※この作品はR-18です。

フウリンザキヴォトス   作:一般通過ゲマトリア

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狐の面に黒い制服。この騒動の元凶と言われる生徒、ワカモがそこにいた。

 

「ワカモ……!! どうしてここに……!!」

 

「さて、どうしてでしょう……? 可愛い子犬たちともっと遊びたかったから……かもしれませんね?」

 

’遊ぶのはまた今度じゃダメかなぁ、なんて……’

 

「あら……? あなたは……」

 

今まで先生の存在には気付いていなかったのか、お面越しに訝(いぶか)し気な声が聞こえる。

 

「先生!! 危ないですから下がっていてください!!」

 

「うーん、先生、ですか、これはこれは……フフ」

 

’な、なにかな……ハハ……’

 

「フフ、ウフフフフ……」

 

’は、ハハハ……’

 

「いいでしょう、今日は失礼いたします。またお会いしましょうね、先生?」

 

’え、うん、またね……?’

 

そう言うとワカモは堂々と歩いて部屋を出ていった。残された全員が無言でその背中を見送る。

 

一瞬の間をおいて、

 

「はぁ……緊張した……って先生!! あんな危険な真似をして……もし先生の身に何かあったらどうするつもりですか!!」

「はい、結果的に上手くいったようですが、一歩間違えれば……」

 

’はは、ごめんごめん、まあ今回は上手くいったからノーカンってことに…………なりませんかね?’

 

「あの状況で私たちに打てる手が無かったことも事実です。何故ワカモが大人しく引き下がったかは分かりませんが……、もしかして先生には勝算があったのでしょうか?」

 

’うん、まあね?’

(無いが?)

 

「そうなんですか? だったら、まあ」

 

「お待たせしました」

 

ふと入口の方から声がした。どうやらリンが到着したらしい。

 

「……? 何かありましたか?」

 

’ええと……’

「つい先ほど、こちらでワカモと接触しました。先生にお怪我はありませんでしたが」

 

「!! ……そうですか。ご無事でしたようで、なによりです」

「休む間もなく申し訳ありません。今のキヴォトスには一刻も早く先生のお力が必要です」

 

’うん、そのためにここまで来たからね’

 

「ありがとうございます、先生。ここに、連邦生徒会長の残したものが保管されています」

 

そう言いながらリンが壁際のデスクに近寄る。

 

「……幸い、傷一つなく無事ですね」

 

リンは何かを持ち上げると、先生に差し出した。

 

「……受け取ってください」

 

’これが……?’

 

「はい。これが、連邦生徒会長が先生に残した物。【シッテムの箱】です」

 

’シッテム? システムじゃなくて?’

 

「はい、とはいえ私も詳しくは知りません。普通のタブレットに見えますが、実は正体の分からない物です。製造会社も、OSも、システム構造も、動く仕組みのすべてが不明」

「連邦生徒会長は、この【シッテムの箱】は先生の物で、先生がこれでタワーの制御権を回復させられるはずだと言っていました」

「私たちでは起動すらできなかった物ですが、先生ならこれを起動させられるのでしょうか、それとも……」

 

’…………’

 

「……」

「……では、私はここまでです。ここから先は、全て先生にかかってます」

「邪魔にならないよう、離れています」

 

そう言うとリンは他の生徒たちを引き連れて、部屋を出ていった。

 

’…………’

’……あれ、これ……どうやって起動させるんだ?’

 

画面の下、中央にある円形のボタン。てっきりこれを押せば電源が入る物かと思ったのだが、何度押してもうんともすんとも言わず、画面は暗いままだ。

 

’あ、あれ? なんで? だってこれ、え? え?’

 

他にスイッチが無いか探してみるものの、それらしきものは一切見当たらない。

 

(待ってくれよ、これが、これが動かなかったら、どうなるんだ……? リンちゃんも、ユウカちゃんも、皆このために俺をここまで連れてきてくれた。なのに、それなのに、起動すらできませんでしたって、そんなの……)

 

相変わらずも微動だにしないそれに、ある考えが浮かぶ。

 

(いや、待てよ? もしかして、コイツだけじゃ動かないのか? そうだ、きっとそう!! リンちゃんも焦ってたから伝え忘れてたんだ!!)

 

――でもそうじゃなかったら?

 

(そうだ、そうだよな? はは……早く聞きに行かないと……)

 

――――――

――――

――

 

そうして先生が事の次第をリンに説明したとき、リンが浮かべた表情は、驚愕、落胆、そして……

 

――見紛うことも無い、絶望だった。

 

To Be Continued…

 

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