こんにちは。織部けいと(毛糸玉)です。『溶鉄のマルフーシャ』二次オリ作品『撃砕のマルィシュカ』のマルィシュカさんの百合R-18を書きました。濡れ場経験無さすぎて色々雑です。自己満足の産物なのでご了承くださいね。
ちなみに代理人さんは『アッシュアームズ』というゲームのプレイヤーの分身、主人公的な方です。何か文字に起こすととんでもなくややこしくなってきますね。
あ、撃砕のマルィシュカはこちらから読めます。↓
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=23559674
──日記を付けるのは、いつ以来になるだろうか。
気が付いたら知らない世界に流れ着いた私、見目こそ変わらぬもののDOLLSと呼ばれる存在になっていた私。
改めて、自分の立場を確認しよう。私の名前はマルィシュカ。以前はカゾルミアという国の前線に立っていた5等級の衛生兵であったが、今は紆余曲折を経て整備会に保護された一介のDOLLSである。知らない世界で
人間関係は……正直に言うと、あまり良好な関係は築けていない。私以外にもカゾルミア出身のDOLLS達もいるが、知り合いと呼べる知り合いは私と同じサバーカ看護学校に在学していたベルカくらい。私自身が積極的な性格ではない事も相俟って、実質的な孤立状態に陥っている。
誤解が無いように記すが、私は決して今の環境に不満を抱いている訳ではない。カゾルミア陸軍に所属していた時と違い生活に不便がある訳ではないし、人間ではなくなったというのに人間の時より自由に使えるお金も多い。とはいえ私には趣味がある訳でもないし、この身体は食事が必須という訳でもない為に使い道もあまり思い付かない。初めての買い物がこの日記帳とペンである事を思えば、如何に私が空虚な人間DOLLSであるかが分かるだろう。人形の名に相応しい、なんて自嘲でもすればいいのだろうか。
取り敢えず、しばらくは拾われた恩に報いるべく任務や代理人の手伝いにでも奔走しようと思う。もう二度と、後悔なんてするのは嫌だから。
「……もう、喪うのは嫌なんだ」
◆
私には目下の悩みが二つあった。一つはいつにも増して事務机に積み上げられた書類の山脈。そしてもう一つが、
「おはよう、マルィシュカ。整備会にはもう慣れたかな」
「おはようございます、代理人。……不器用なもので、まだ少し落ち着かないかも」
この新入りDOLLS、マルィシュカである。右目を隠す焦茶の髪と赤紫の瞳、そして何処かミステリアスな雰囲気を漂わせる重戦車型DOLLS。落ち着いた性格ではあるが自己主張をする性質ではなく、未だ周囲との環境に馴染めないように見受けられる。列車の護送や戦闘等の任務には忠実に臨み、任務中の他のDOLLSとの連携も卒なく熟す程に彼女は優秀なのだが、任務を終えると忽然と幽霊のように姿を消し、食事の場にさえ姿を現さずこの医務室に籠もっているという。勿論私も馴れ合いを好まない少女にプライベートな交流を強要するつもりは毛頭無いが、彼女の消極的な姿勢には何か特有の事情が絡んでいるような予感がしてならないのだ。
「気を遣う必要は無いからね。此処には君を酷い目に合わせるような人間はいないし、他の子達も君を歓迎しているんだから。たまには食堂にでも顔を出したらどうかな」
「……代理人。私はDOLLSだよ、食事は必須じゃなくて」
「マルィシュカ。食事の席は良質な交流の場だよ。他のDOLLSと親睦を深めるだけじゃなく、有益な話や面白いジョークが聞けるかもしれない」
「いや、食事は必要な人が食べれば……」
「今日は私も同席しようと思ってね。折角だし一緒に行こう」
強情なマルィシュカの手を取って強引に医務室から引き剥がし、すれ違う整備会の人間と挨拶を交わしながら廊下を歩く。遠慮がちな彼女は多少無理にでも外に連れ出した方が良い、そう判断して戸惑いの声に聴こえないふりをしてDOLLS用の食堂に連れていき、その勢いのまま椅子に座らせる。
「あ、あのっ。代理人、私は……」
「そこに座っていてくれ。今朝食を持ってくるから」
「ま、待って。代理人にそんな事させる訳にはいかないよ。自分の分は自分で取れるから」
いいから、と慌てる少女を押し留めて二人分の朝食を運ぶ。パンと苺のジャム、コーンスープとコップ一杯の牛乳。トレーに乗せて医務室籠もりの重戦車の前に持ってくると、
「わぁ……!これが整備会の朝ご飯……!」
聞いた事の無い歓喜の音が食堂に響く。初めて見たマルィシュカの明るい表情は目を惹く程に可憐で美しく、きらきらと輝かせる赤紫の瞳はまるでアレキサンドライトのようで。
「……こほん。代理人、本当に私が食べてもいいものなの?」
「勿論。此処はDOLLS用の食堂なんだから」
「そ、そうなんだ。それじゃ、いただきます」
恐る恐るスプーンを手に取り、湯気の立ち昇るスープを掬い口元まで運ぶ焦茶の少女。食事の場は良質な交流の場だと代理人の立場で説いたが、彼女を見ているとその言葉の意味を改めて実感する。美味しい料理は緊張を解し、その人の在り方を露呈させる。先程まで遠慮と警戒を抱いていたマルィシュカでさえ、いつしか別人のように幸せそうに朝食を頬張っていた。
「お気に召したようで良かったよ、マルィシュカ」
「……ちょっと、後悔してるかも」
「もしかして、何か不満があったかな?」
「いや、必要じゃないからって何も食べずに部屋に籠もってた事を後悔してるだけ。……満足出来る食事なんて、いつ以来だろうね」
早々に食器の中身を空にしてトレーを運ぶマルィシュカ。少しだけ表情が緩んだ彼女に微笑みを返し、私もまた温かいスープに口を付けた。
◆
──代理人は物好きだ。
こんな戦闘と医療しか能の無い私を捕まえたと思ったら、私が食事を摂る様子を見て微笑んでいるなんて。気を遣ってくれているのは分かるけれど、表情が硬く愛想も良くない、こんな詰まらない女を眺めて何が楽しいのだろうか。……食べ物は前線で口にしていた糧食やサプリメントの何百倍も美味しいと思ったのは事実だけど。
思えば、代理人が変人だの変態だのという噂は方々から聞こえていた。兵器であるDOLLSと親密な関係を築いているだとか、理想ばかり掲げる愚か者だとか。それと、隙あらばDOLLSの身体に触れるとか、直接的な表現だと『おっぱい星人』だとか。
……いや、あの人女性では。確かに整備会や任務中に見掛けるDOLLSにはスタイルの良い者も数多く見掛けるが、あの代理人だって相当メリハリのある容姿なのだから自分のものでも揉んでおけばいいと思うのだが。どちらにせよ、ぺたんこな私にはあまり関係の無いような気もする。
周囲の尾鰭が付いたような噂はともかくとして、代理人が奇特な人間だというのは否定しない。けれど悪い人だとは思わないし、むしろ私は彼女の事を好意的に見ている。あの時何も守り抜けなかった私を朽ちる前に見付けてくれて、そのまま迎え入れてくれた優しい貴女だからこそ、私は恩を返したいのだ。
「……ねぇ、皆。私、どうしたら報いられるかな」
◆
マルィシュカと交流を重ねる内に、私は彼女の性質を少しずつ理解していった。
彼女の在り方を一言で表すならば「調和」だろう。食堂に赴いた日以降、彼女は待機中にも他のDOLLSや整備会の面々と交流するようになった。温厚ながらも芯のある性格故に他方と衝突する事は少なく、以前と比べると良好な関係を築けている。
彼女の身の上話も聞くことが出来た。カゾルミアにいた頃は最前線で戦う衛生兵で、劣悪な環境の中で国を守り続けていたらしい。「今思えば酷い扱いだった」と語る彼女の表情は、言葉とは裏腹に何処か穏やかで。
「明日生きられる保証も無いし、ご飯だって碌なの無いし。給料明細も見てて悲しくなる数字だし、部隊の連中は9割がごろつきみたいな野郎ばっかりだし。本当、前の職場は掃き溜めみたいな場所だったよ」
「そうか。けれど気づいているかい、マルィシュカ。その掃き溜めの話をしている時の君が、今までで一番楽しそうだ」
「知ってる。……あの部隊が、私の唯一の居場所だったんだ。帰る場所も待つ家族もいなかった私にとって、あの部隊が私の全てで」
赤紫の瞳が揺れる。初めてマルィシュカと出会った辺境で、彼女はボロボロのARMSを駆り己を顧みない乱暴な戦法で災獣に抗っていた。当時は彼女は何かを守る為に必死に戦っていたと思っていたが、今になってそれは思い違いだったと気付く。
──マルィシュカは、戦闘以外の全てを失っていたのだ。
「マルィシュカ」
「……あ、勘違いしないで。整備会の生活に不満がある訳じゃないから。寧ろカゾルミアにいた頃より余程良い生活させて貰っているし」
「──私が、マルィシュカの居場所になるよ」
「……え」
私の言葉に少女は目を見開いて。居場所の無いDOLLSなんて存在してなるものか。代理人として、彼女を拾い上げた整備会として。それはきっと、彼女達の為に私が果たすべき責務なのだから。
「本気?」
「勿論。二言は無いよ」
「……そっか。ありがとう、代理人。私、きっと報いるから」
赤紫の瞳が無邪気に微笑む。これで彼女が少しでも楽になればいいのだが。そんな物思いに耽りながら、私は再び山積みの書類を崩し始めた。
◆
──私は、代理人の事がよく分からない。
元よりバイザーのせいで表情の機微が分かりにくい人ではあるけれど、それ以上に彼女が何を思って私に接しているのか、私に何を求めているのかが理解出来ない。
私の事が嫌い、という訳では無いと思う。真に嫌っているのであれば面白くも何ともないような身の上話に耳を傾けないだろう。相手を理解し寄り添おうと至り、何度も交流を重ねようとする人間が私を嫌悪している、なんて事は考えられない。訂正、考えたくないと表す方が適切かもしれない。
「……違うか。彼女は等しくDOLLSを想える人だから」
分かっている。分かっているんだ。私が想う代理人は彼女しかいないけれど、彼女のDOLLSは溢れんばかりに存在している。居場所になってくれると言ってくれた彼女を特別視する人なんて、人間もDOLLSも数え切れない程に存在しているのに。代理人は私の特別であれど、私は彼女の特別にはなれない事くらい、理解出来ないような馬鹿じゃない。
「……でも、ちょっと嫌だな」
──けれど、その事実を受け入れられるような大人でもないらしい。彼女の事を想う度に、彼女に報いる術を考える度に、彼女の特別になれない自分が恨めしくなる。代理人が私の特別なら、私も代理人の特別でありたい。私を見て欲しい、私を知って欲しい、私を覚えて欲しい。私を、私を、私を。
「……ごめんね、代理人。ちょっと、抑えられないかも」
◆
こん、こん。一日の仕事を終え、医務室の扉を響かせる。音から数拍置いて代理人を出迎えたのは、以前より穏やかな表情を見せるようになった焦茶色の乙女の姿。
「お疲れ様、代理人。ごめんね、夜中に呼び立てて」
「構わないよ。それよりもマルィシュカ、話って」
「ありがと。取り敢えずベッドに掛けて。お茶は出せないけどゆっくりしてね」
促されるままにベッドに腰を落ち着ける。仄かに香る薬品の匂いに包まれながら、私の正面に立つマルィシュカをしっかりと見据える。代理人として彼女をしっかりと理解するために、透き通るような赤紫の瞳と対峙する。
「……代理人。貴女は、私の居場所になってくれると言ったよね」
「うん、確かに言ったよ」
「そう。なら」
口にして、一歩踏み出すマルィシュカ。二歩、三歩とまた近く。髪に触れられる程に、彼女の熱を感じる程に。親愛で片付く以上の距離を詰められて。
「ま、マルィシュカ──」
「──しっかりと、私を覚えてください」
──そして、距離がゼロになる。倒れ込む私の視線には、腕を掴んで見下ろす乙女。柔らかな声は荒い息に、宝飾の瞳は捕食者の眼に。神秘で本性を覆い隠した猟犬が、私の身体を押し倒した。
「ま、待って。一旦落ち着こう、マルィシュカ──」
「いいから」
「んむっ!?」
抗議の声が唇で塞がれる。舌を絡められ、呼吸を奪われ、思考が鈍り。んむむと弱々しい音は唾液の音に掻き消され、執拗なまでに口内を犯されて。
「……ぷはっ。暴れないで欲しいんだけど、代理人」
「はぁっ……はぁっ……。急にこんな事されたら抵抗するに決まってるよ……」
「ふぅん。ま、逃がすつもりは無いんだけど」
ようやく口が解放されたかと思うと、今度は衣服に手を掛けられる。羽織るコートからインナーまで、そして固守していたバイザーまでを一瞬で奪われて。あまりに鮮やかな追い剥ぎの技術に拒絶する間も無く、凛々しい指揮官から一人の女性の姿に変えられてしまう。
「ふふっ。結構可愛い顔してるよね、代理人。それにいい身体してる。胸おっきいし」
「それはどうも。ところで満足とか」
「するわけ無いでしょ。はい、ぎゅー」
「ひぃん!?」
当然、剥かれて終わりな筈は無い。猟犬の指先が私の双峰の先を摘み、鋭い快感に声が漏れる。
「……乳首、気持ちいい?」
「そ、そんなワケ……♡」
「そ。ならも少し弄っても大丈夫だね」
「やっ♡やめっ♡」
止まらない。止まるわけがない。さわさわ、すりすり。転がすように、捏ねるように。甘く柔らかな刺激、蕩けるような快感。代理人としての誇りが、人間としての理性がマルィシュカの指先一つでたちどころに削られる。途切れ途切れの嬌声を涎と共に溢しながら、悦楽の波にベッドを軋ませる。
「とめてっ♡イっちゃうからっ♡」
「我慢しなくていいよ。ほら、もっかいぎゅー」
「あっ──♡」
痺れるような甘い絶頂。抓られる乳頭から走る快感が全身に伝い、身体が跳ねて水音が鳴る。思考は既に理解を拒み、目を白黒させて惚けるのみ。
「あ、イった。悦んでくれたみたいで何より」
「ま、まだイってない……♡」
「……へぇ?それじゃ、もっと激しく行ってみようか」
「ふぎゅっ!?♡」
猟犬の指が再び乳頭を責める。それも先より速く激しく、着実に私の理性を飛ばす。爪弾き、摘み、こねくり回し。絶頂の余韻の残る中で襲い来る電気信号が、正常な思考さえ押し流す。
「ゆっ……ゆるしてっ……。さっきイったばかりなのっ……」
「……嘘吐いたんだ。もう止めてあげないから」
「やめっ、やめてっ♡んっ♡またイッちゃう♡♡」
跳ねる。跳ねる。何度も跳ねる。じくんじくんと疼く乳頭は幾度責められても際限無く身体に快楽を迸らせる。もう思考は回らない。静止の声など届かない。涎と愛液を垂らす私の姿は、既に代理人の威厳とは無縁になってしまったのだろう。
「はーっ♡はーっ♡」
「あーあ。乳首だけでこんなになっちゃって。淫乱乳首。変態乳首。クソ雑魚乳首。……でも構わないよね、代理人はよわよわ乳首をくにくにされるのが好きなんだから」
「よわよわ……ちくび……♡」
もう尊厳も威厳も見当たらない。それらはコートとバイザーと共に剥がされた、金髪の乙女に残されたものは獣に近しい本能だけ。
「マルィシュカ……♡」
「うん。貴女のマルィシュカだよ。代理人は私に何を望む?」
それでも構わない。この医務室には私と彼女の二人だけ。ベッドの上でまで権威の衣を羽織る必要は無い、故に私は、今だけは目の前の欲に溺れる獣となる。
「もっと……♡もっと私を気持ち良くして……♡」
「──了解、
しなやかな指が再び私の身体に触れる。その期待を前にじわりと濡れる。私の頭が、身体が、その心が。彼女を求めて悦に浸る。
「……覚えてくださいね、代理人。私の声を、熱を、感触を。匂いを、鼓動を、私の全てを。貴女が全てを忘れてしまったとしても、きっと思い出せるように」
その願いが身体に触れる。力尽きるまで、満ち足りるまで。心地良ささえ感じる程の痺れに溺れ、ただひたすらに情欲を貪って。水音と自らの嬌声に包まれながら、その悦楽の波に沈みゆく。
◆
ちゅんちゅん。ちゅちゅん。何処からか聴こえる小鳥の囀りが意識を覚醒させる。気が付くと私がいたのは医務室のベッドの上、一糸纏わぬ姿に毛布を掛けられていた。ぼんやりとする頭と極度の疲労感と闘いながら記憶を辿り、
「……そうだ、マルィシュカ──」
「昨日は大変申し訳ございませんでした、代理人様」
「……え」
隣のベッドで土下座するマルィシュカを視界に入れる。あまりにも綺麗な謝罪を前に一瞬思考が混乱するが、衝撃で頭が冷えたが故かすぐに記憶を取り戻した。
「調子に乗りすぎました。どうかこの卑しいマルィシュカを辺境に送り返してください。この下劣な猟犬をスクラップにしてください」
「お、落ち着いて。取り敢えず深呼吸と……あと私の服返して」
「あっはい。すぐに」
青ざめるDOLLSからデスクに置いてあった衣服とバイザーを返却され、ベッドの上で申し訳程度の身嗜みを整えてからこほんと咳払い。
「別に怒っていないから心配する必要はないよ。……それに、約束したからね。私がマルィシュカの居場所になるって」
「……代理人。ごめんなさい」
焦茶の髪が頭を下げる。分かっている、彼女は不安になっただけなのだ。私の言葉だけでは足りなかったから、未だ信頼には届かなかったから。改めて居場所を刻もうと逸ってしまった、ただそれだけの話なのだ。
「そうだ、今日は昼から装甲列車の護衛があったはずだ。頼めるかな、マルィシュカ」
「は、はいっ。不肖マルィシュカ、貴女の為に頑張ります」
固くなったシーツの後始末を済ませ、綺麗になった医務室の扉に手を掛ける乙女。その弱々しい背中を呼び止め、
「帰るのを待っているよ、マルィシュカ」
「……うんっ。任せて、きっとすぐに戻るから」
──笑顔を浮かべたマルィシュカを見送り、ようやくベッドから起き上がる。凝り固まった関節をゆっくりとほぐし、気合を入れ直して医務室を空にした。
「……昨日の、気持ち良かったな」
……R-18の文章……というか喘ぎ声の書き方わかんない……。
これからも精進して参りますね。