※この作品はR-18です。

裏アカ快楽責め系ハメ撮り系連作(仮)   作:ふりーじ屋/家庭内禁書

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 有償依頼147件目です。ご感想くださるとうれしいです。
ご依頼は https://skeb.jp/@freege_affected からどうぞ。pixivリクエスト https://www.pixiv.net/request/plans/7443 も受け付けています。 ※pixiv、ハーメルンとくるっぷに転載しています。

 例によって女性が強制絶頂させられるお話です。
 パンちゃんの年齢は考えてなかったのですが、『「これだけは、村上さんに言っておこう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける330の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?』を読んでてエピグラフを採る気分になったので21歳ということにしました。
 エピグラフの問答は100頁にありますが、初出はサイト『村上朝日堂』とのことなので、そちらに出典を合わせています。

 ご参考までに、依頼内容はこちら https://skeb.jp/@freege_affected/works/71


チワワ系女子大生(※胸はでかい)の秘密さわさわレ●プ中毒が悪化しているお話

21歳の女の子は好きなことをして、幸福な気持ちになる権利があります。

 

――『村上朝日堂』より村上春樹

 

 

※

 

(……なんだかいつもより浮ついてる、と思ったら、そろそろ学園祭の準備か)

 

 都内某大学のカフェテリアの昼下がりだと、多くの座席で学生がめいめいに駄弁っている風景は、ほとんどいつものことである。そこに1人で野菜ジュースの紙パック1つきりテーブルに置いて黙って座っていれば浮いてしまう、と在学生である〝彼女〟は知っている。

 ただ、実際そうしてみると、むしろ自分以外が揃って浮ついていた。

 

(あたしも、ちょっと違ったらサークルとか入ってワイワイやってたかも……でも両立はキツいか)

 

 彼女は入学間もないころ〝八百会パンドラ〟という活動名でVtuberを始め、現在それなりに多忙にしている。さらに就職活動も意識させられるころにもなった。

 学園祭の屋台や出し物などについて話しているらしい周囲の学生から自分が浮いていても当然、と割り切れていた。

 

『お待たせ、パンちゃん、僕は――』

「ごあいさつは、けっこう」

 

 このカフェテリアで、彼女にパンちゃん、と――八百会パンドラという活動名が覚えやすいがあまりに物々しく、Vtuberとしてもっぱらパンちゃんと呼ばれている――呼びかける青年など、本来いるはずがない。

 彼女はリアルの知人にVtuberとしての活動をまったく伏せていた。

 

「それと、ここであたしを〝パンちゃん〟って呼んだら、あんたが変な顔されるわよ」

『参ったなぁ、隣いい?』

 

 その日の朝、夏服をしまうにはまだ早いですよ、と天気予報でアナウンサーから聞いた。

 そのせいか、彼女がまず青年へ抱いたイメージは、良くも悪くも、夏が似合いそうだというものだった。遠くから見るシルエットは細身だが、近づいてくると薄着のおかげで一目でわかる筋肉。清潔感があって優しげで人の良さそうな顔つき。それでいて、物言いや立ち居振る舞いがどことなく押しつけがましい――モニターごしに見れば爽やかな快晴だが、その空の下に立つと燦燦と照りつけて暑苦しくて、元気がないときは避けたい――と、彼女は心中で喩えた。

 もしただ雑談するだけなら、青年より好青年、と評価できていた相手だった。

 

「そんなに長くかかる話かしら」

『単刀直入に言うにしても、立ち話じゃあね』

 

 周囲に誰もいないかのように近づき、世間話のように切り出してくる。

 

『パンちゃんが裏アカに出ていること、黙っていたほうがいいよね?』

 

 悪人も見た目だけならなかなか良いらしい、と彼女は内心で強がる。

 

(お姉さまが聞いたら、いくら大学のカフェテリアだからって一人で会うなんて迂闊すぎる、って叱られちゃう)

 

 彼女は青年を口止めするために待ち合わせしていた。

 どんな手段に訴えても、と身構えていた。

 

 

 

「あれ、クーちゃんきょうはバイトじゃないんだ?」

「ふぁっ!?」

『……クーちゃんって誰? パンちゃんでも〝そら〟ちゃんでもなくて?』

 

 身構えが早々に揺るがされた。

 

 

 

※

 

『なるほど、あっちの活動で忙しいってのは、先輩にはバイトで忙しいって言ってるんだね』

「……語弊のある言い方を」

『はい、はい。ガワをかぶってるほうで忙しいってのは、バイトで忙しいって言ってるんだね』

 

 知人からたまたま声をかけられるのは完全に想定外だった。就職活動が片付いてやり残しが卒論だけになっているらしき先輩であって、邪険にできず、彼の気配を隣に感じたまま、どうにか当たり障りなく会話する。

 

『先輩からかわいがられてるんだね。僕のことはなんて言ってくれるの? ふだんは、彼氏が欲しい~とか言ってるキャラでもないのに』

「……知ったかぶりって、うざがられるわよ」

『いつのまに素敵な彼氏さん作っちゃって~、とか言ってもらえたりして』

「自意識過剰よ」

『じゃあお兄さんぐらいにしておこうか。僕のこともお兄さまって呼んでよ』

 

 先輩の相手など、ほとんど上の空である。

 

『それにしても、パンちゃんが大学のカフェテリアで待っていてくれて良かった』

「その場所のおかげで、今こうなってるってわかってる?」

『街中でこんな可愛い〝妹〟が手持ち無沙汰にしてたら、いかがわしい男にナンパされたりなんだりって、気をもんじゃう』

 

 その日の朝、夏服をしまうにはまだ早いですよ、と天気予報でアナウンサーから聞いた。

 彼と会うため露出度を抑えた服装を選んだが、体のラインを隠すのは限界があった。

 

「……そんなに目立つ格好かしら」

『まず顔が可愛いから』

「ふんっ」

 

 わざと大げさに青年をせせら笑うと、やりすぎたせいか先輩から首を傾げられた。慌ててごまかした。

 

『それに、きちんとしているようで見せるところ見せてて、かえってそそっちゃう』

 

 先輩のほか、親しくしている姉貴分からも『可愛いけど、ちょっと垂れ耳のワンちゃんみたいだね』と言われるヘアスタイルと顔立ち。目がほんのり透けて見える薄色サングラスのレンズとフレームで、大きく印象を変えたつもりだった。帽子か何かで髪型も隠せば、先輩から呼びかけられず済んだか、あるいはいつもと違う格好でかえって注意を引いて呼びかけられたのか。

 

「……アタマがすけべだから、何を見てもそそっちゃうんじゃないの」

 

 大学構内を歩いているだけでも視線を集めがちなスタイルのうち、大きく重いバストをスポーツブラ寄りの下着に包んでいる。自分の好みよりデザインがスポーティーすぎると思いつつ、吸汗速乾と巨乳に耐えるホールド感を兼ね備えた――(こうじゃないと、汗疹とかねぇ……)――どちらかといえば気に入っている品である。

 同じく運動にも使えるスキニーパンツを――(スカートだとまだ蒸れがしんどいし……)――選んだあと、ヒップラインが露骨に出過ぎるのが気になった。太もも丈のキャミソールを合わせ、とりあえずヒップ側の曲線を隠した。さらに肩、デコルテ、胸元を隠したり冷房が利いている室内を意識してリブカーディガンを羽織っていた。

 つまり肌の露出が少なくとも、バストのふくらみやウエストのくびれを見せてしまっているコーディネートであった。

 

『……僕だけすけべ扱いされるのは、心外だな』

「ほかに誰がいるっていうのよ」

『パンちゃんが』

「冗談でしょ」

『ただセックスするだけでも気持ち良くなっちゃうのに、わざわざネットに流させるなんて』

「あれはあたしじゃないもん」

『バレるかも、って思うとますます気持ちいいんだよね?』

「まさかっ」

『ほかに人前でこういうことされた経験があるの? 嫉妬しちゃうな』

 

 手を伸ばせば届いてしまう隣席から、彼が手をひらひらさせて、彼女の視界の端をくすぐってくる。痴漢と呼ぶには無造作で、いたずらと呼ぶには不埒な、ただの手振り。

 

『例えばこういうところでさ、さわさわされて、気持ちよくされちゃったら』

「ありえないから」

『あの動画のお兄さんほど焦れったくしないよ、僕は』

 

 彼女は、Vtuberのパンちゃんの中の人としてセクハラじみたコメントやファンアートを真面目なトーンでたしなめたりする一方、ガワを剥がれ激しく絶頂する痴態を撮影されネットに流出させられたりもしている。

 

「……何を観て言っているのかしら」

 

 けれども彼女は白を切る。

 裏アカ男性にハメ撮りをされているが、不幸中の幸いで、その男性が彼女の顔を判別できないように――(おっぱいとかあそことか、声とか、しっかり撮られちゃったけど……)――してくれている。

 

『見つかっちゃったらどうしよう、ってほうが興奮しちゃうんだよね』

「……っん!?」

 

 その裏アカ男性――(〝二階堂〟って、まさか本名じゃないよね?)――と、彼の手つきがまったく違う。テーブルの下でするりと彼女のスキニーパンツごしの太ももに、それもかなり際どいところに一気に迫ってくる。公衆の面前で、テーブルの向かいに彼女の先輩が座っているのもまったく無頓着である。

 

『声、出してもいいよ』

「いい訳、ない……くっ、ふ……っ!」

 

 太ももだけでなく下腹部まで緊張してしまう。それに勢いづいてか、青年の指先がキャミソールのすそをまくるかどうか、といった具合のままウエストをくすぐってくる。

 

『おっぱいとお尻だけおっきくて、あとはちっちゃいの。男のわがままに応えてくれる、って感じの体』

「っ……っう……少なくとも、あんたの、ため、なんかじゃ……はぅぁっ!」

 

 かと思えば、急にウエストからアンダーバスト側をゆさゆさともまれる。とっさにテーブル天板に乗せていた両手を畳んで、もまれるバストを周囲の目から隠す。

 

「やめて、こんなところでっ」

『パンちゃん、すごく敏感だね。ちょっと触っただけなのに』

 

 ダメだと思えば思うだけ、抑えきれず反応してしまう。

 

『パンちゃんは、人目があるほうがお好みかも知れないけど』

「触らないでったら……!」

『僕は、ホテルとか、ほかの人に邪魔されないところに行きたいかな。だってね』

 

 躊躇なく、秘所に手が突っこんでくる。無理やりの快楽で思考が止まる。頬が熱くなるのも、息が乱れて浅くなるのも、止められない。

 

『例えば、見てよこのカーディガン』

「何を……見えてるわよ」

『リブの編み目が、パンちゃんのおっぱいおっきいですっ! ってアピールして』

「そんな……っ」

 

 否定しようとしても声が勝手にかき消える。

 リブ編みの凹凸模様がバストのふくらみに沿ってこんもり曲がって、確かに強調している気がして少し鏡の前で迷ったのは数時間前の彼女自身である。それとスポーツブラ、キャミソール程度ではGカップのボリュームのいい引き立て役である。

 

『それにこっちは、お尻の形くっきりでさ』

 

 青年の手が、テーブルの下から腰へ、そしてヒップのラインをなぞってくる。

 

「やっ……!」

『太ももがむっちりしてるの丸わかりで……触ってるとわかるけど、すごくいい』

 

 無遠慮に触ってくる男相手なのに、恥ずかしいのに、心が浮き立つ。

 

『パンちゃんの体、本当にエロいよ。あのガワよりもね』

「エロくなんか……っ」

『エロさは中身が圧勝だよ。触らせてもらえて嬉しい』

 

 指が再び内もも側に戻ってくる。今度はゆっくりと、彼女がどう反応するか指先でじっくり味わおうとしているらしい。無音なのにうるさくてたまらない。

 

『こんなに敏感で、すぐ濡れちゃって……可愛いね』

「濡れて……なんかっ……」

 

 スキニーなら夏物で汗を吸ってすぐ乾く生地だし、下着もちゃんと履いている。外から触って湿り気を彼が感じ取っているとしても汗にすぎないだろう。けれど内ももや下腹部がびくり、と愛撫を相手するように反応してしまう。

 

『もっと触ってあげる』

「あっ……んっ……!」

 

 スキニーパンツと下着を重ねた上からでも、ぐいぐいと彼の手に密着される。もぞもぞと我が物顔でまさぐって、敏感な場所をかすめ彼女をますますもだえさせる。

 

『ここかな……それとも、ここ?』

「やっ……そこ……っ」

 

 クリトリスの位置を、生地越しに的確に捉えられる。

 

『パンちゃんが教えてくれて、わかりやすいな』

「教えてなんか……ああっ!」

 

 そこを集中的に責められる。円を描き、圧迫し、リズミカルに擦ってくる。まるでここがラブホテルで、もうセックスの準備ができているんだろう、と言わんばかりの傍若無人な手つきなのに、快楽をしっかり捉えてくる。彼女が座ったままでどうにか手から逃れようと太ももや腰をよじらせても焼け石に水。

 

(ダメ、こんなの絶対おかしい……)

 

 もっと息が荒くなる。胸を天板と両腕のあいだに押しつけて、むにゅむにゅ強調する仕草になってしまう。

 

『ダメだよ、先輩から怪しまれちゃう』

「あんたに言われたくないわっ」

『ひょっとして、おっぱいも感じてる?』

「見ないで……っ」

『こんなところで、無理やり触られて興奮して、恥ずかしいのに……パンちゃんはちゃんと可愛いね、ずるい』

「違う、違うったらっ……っ……っうぅー……ぅ……!」

 

 否定する声が、愛撫に性感をくすぐられて不自然に高く跳ねる。

 普通の女性ならば、いくら好みの男性とは言え、いきなり人目のある場所でデリケートなところを一方的にもてあそばれて快感を味わうなど、想像すら無理である。

 しかし〝パンちゃん〟は、そうした経験がある。

 

「ふ……ゃ……っ……!」

『初めてじゃないでしょ? 人前で感じるの』

 

 一度彼の手で意識させられると、振り払って物理的に引き剥がしても、デリケートな部分に余韻が残る。内ももを擦りあわせても薄れもせず紛れもしない。それどころか、横から彼にお尻をもぞつかせているのを見られてやしないかと、余計に意識を浸潤される。

 

「こんなの、くすぐった……いや、気持ち悪い、だけ……んく……っ……!?」

『素直じゃないパンちゃんも可愛いよ。もっと聞かせて』

 

 脚の撫でられ心地が一転する。ねっとり舌で舐めるふうに、指、手の平や手首まで広く使ってもみしだいてくる。それでお尻や太もも、下腹部がこわばると、ますます彼の手つきに支配されている気分に追いこまれる。

 下着の股間部分がついにぬめって感じて、愛液だ、と触覚が認めてしまう。

 

「んっ……んんっ……!」

 

 くちびるを噛む。声を押し殺そうとする。周囲の学生たちは相変わらずおしゃべりに夢中らしい。

 彼女も年ごろの女子として「痴漢されたら大声をあげて助けを求めなさい」と教えられている。理解している。

 実行できていない。

 

『本当に、いやらしい気分になったりしてないの?』

 

 くちびると歯に力を入れて、反応してやるまいと構える。例の裏アカ男性と比べると巧みではあるが性急でもあるらしい。期待を裏切ってさらりと流してやれば、興冷めするか、苛立って愛撫が精彩を欠くか。

 そうなれば堪えられるかも知れない、と言い聞かせる。

 

「何かの、間違い、で……っぉ……!?」

 

 クリトリスを布越しに捉えられる。円を描く。圧をかけられスキニーパンツが秘所に食いこむ。

 

『まぁ、実を言うとね』

 

 指先がピンポイントで急所を擦る。

 

「ひゃあっ……あああっ……!」

『パンちゃんがこうやって反応してくれるから、かろうじてわかってるってだけなんだ』

 

 うなじやつま先まで快楽でぴりぴりしびれる。腰が跳ねる。太ももが震えて彼の手首を挟んでしまう。

 

『ほら、イってもいいよ』

「あっ……ああああっ……!」

 

 秘所から愛液があふれる。下手にもぞついたせいで、かえって愛液が下着をはみ出してスキニーパンツを内側から濡らしてしまう。

 彼の愛撫で筋肉が勝手に縮みあがる。ひょっとして自分ではなく彼の神経が接続されているんじゃないか。強迫的な妄想がぐるぐる回る。太ももの付け根がぞくぞくして、制しようと体を無理に緊張させても徒労のまま。

 

「きゃ、ぁ……!?」

 

 頭が熱く白くなったのが、絶頂だと理解してしまう。カフェテリアの喧騒も衆目もなくなって、彼女だけが達する。人前での絶頂に独特の、自分の中にある道徳や羞恥心をひっくり返すカタルシスに神経を焼かれる。

 

「っはっ、あ、ぁ……!」

 

 テーブルについて両手のあいだに顔を埋める。息が整えられずどうしても胸が上下する。サングラスがズレて、天板に落ちてからから軽く鳴る。先輩に拾ってもらって、どうにかお礼を一言絞り出す。

 

『すごかったね、パンちゃん』

「……別に、大したこと、ないっ」

 

 反射的に強がる。

 

『そう言ってくれると、もっとかわいがりたくなっちゃう』

 

 青年の指が、また動く。絶頂の余韻が残る秘所を撫でる。

 

「んきゅっ、ふ……!? くっ……」

『気持ち良くしてあげる、絶対』

 

 今度は爪先が乳首を襲ってくる。かりかりと、軽い加減がむしろ彼女の神経を波立たせる。

 

「んっ……!」

 

 ついにカーディガンの内側に突っこまれ、キャミソールとブラごしに撫でられる。あまりに甘く鋭い性感で、すでに脱がされて直接責められているのか、と錯覚させられる。

 

『ほら、気持ちいいね』

「気持ち良くなんて、なるわけ、ないっ……」

『あそこも、くいくいって誘ってるみたいだよ』

 

 お留守にされている下半身が反応しているのを揶揄され、羞恥を高められ、抵抗を弱められる。

 

『乳首、かりかりされるの、気持ちいいね』

「もう止めて……んっ、んぅ……!」

『気持ち良すぎるから?』

 

 遠い快感に秘所が不満を漏らしてか、ひくひく震える。さっき達したばかりなのに、青年の指を求めてひっきりなしに疼く。

 

「んっ……これは……違う……っ」

『パンちゃんの体、もっと欲しがってる』

 

 対して青年の指が、アンダーバスト側から胸を絞り上げようとする。持ち上げられ、広げられ、歪まされる。

 

「そこ……っぇ、あっ、んくっ……!」

 

 敏感な場所が震え、生地と下着がくしゃりと押しこまれぬるりと擦れ合う。胸のふもとをこねられる。心臓まで触れられてしまったふうに動揺する。

 

『直に触ってもいい?』

「ぜったい、ダメ……!」

『ふふ、覚えておくよ』

 

 触られるのを意識しすぎた乳首が明らかにしこりたって、服越しに浮いて見えてやしないかと気をもむ。ヒジに押しつけて隠す軽い接触さえじわじわ熱っぽい。

 

「あっ……んっ……ああっ……!」

『いいよ、こっちだね』

 

 股間の惨状を強いて知らんぷりしていたが、彼の指先が不意に戻ってきて一めぐりするだけで瓦解する。ぬちゃぬちゃとした感触がもっと広がってしまった気がする。目を逸らしているスキニーの股間部分が心もとなくなっていく。ちゃんとした着衣のはずだが、彼の手に好き勝手されていると、お手洗いでうっかり貼り付いてしまったトイレットペーパーより脆くも破けてしまうのでは、とも妄想してしまう。

 

「くふ、ぃっ……! ハッ、はァッ……」

 

 さっきより強く。腰が跳ねる。背中が反る。外を歩いていたときより顔が汗ばんでいる。

 

『イキそうなの、我慢してるんだ』

「……そんなんじゃ……ない、よ……っ!」

『いじわるされてるときにかわいくしちゃうのは、感心しないね。ねだってるみたいだもの』

 

 太もも、お尻、バスト。ウエスト。触られながらからかわれているのに、恥ずかしいだけじゃなく、じわじわ嬉しい。

 もっと受け入れたら、もっと嬉しくさせてもらえるのでは。恥ずべき期待をかき立てられる。期待が羞恥を、羞恥が興奮を、興奮が喜悦を、喜悦が期待を呼ぶのなら、無限ループに落ちてしまう。

 

「やっ……!?」

 

 そう理解しつつ、恥ずかしいのに心地良い。

 

『本当はパンちゃんって、えっちなこと、気持ちいいこと、大好きでしょう』

「気持ち、よく、なんかっ……っっうぅー……ぅ……!」

 

 否定しなければならないのに、心の中で彼女自身に言い聞かせるのが精一杯で、体が勝手に蕩けてますます敏感になる。

 太ももから腰へ。腰からお尻へ。お尻から背中へ。服の上から、ますます全身のあちこちを撫でまわされる。

 

『もっと気持ち良くしてあげたら、僕の言うことも聞いてくれるよね』

「まさか、あんた……ん、ダメ、んっ、はぅ、んっ……!」

 

 指が下半身に戻ってくる。

 

「やっ……もう……っ」

『僕がイカせたい、って思ったら、パンちゃんはすぐイッてくれる、どこだってね』

「んっ……!」

 

 さっきまでのからかい混じりの愛撫と打って変わって、的確に容赦なく、指を動かしてくる。

 

「あっ……やっ……ああっ……!」

 

 あまりに早く再び限界が迫る。あんなに堪えていてもあっけなく達してしまいそう。快楽とともに危機感も引っぱり上げられる。

 

「っ……っうぅー……ぅ……! す、すみません、せんぱい、ちょっと……ぉ……」

 

 周囲の目を気にする完全に余裕が失せる。テーブルに突っ伏し、自分の腕の中に顔を埋める。居眠りみたいでみっともない、と一瞬だけ気にする。

 これならノドが嬌声を漏らしてもどうにか抑えられる。

 吐息が天板、両腕、バストの間の空間で跳ね返ってくる。どうしてもイカされてしまう、という諦めが実体化したふうに温い。

 

「……ぁたし、具合、悪い、みたい、なんで……失礼、します、ぅ……」

 

 息も整わぬまま席を立った。泥酔してしまったかと思うほど、彼女は自分の足元がひどく頼りなく感じた。

 

 

 

※

 

『パンちゃん、二人きりのほうがお好みかな?』

「あんたなんて、ここに入れたくなかったわ……! でも……人目がなければ、あんたの好きなようになんて、いかない」

 

 彼女はカフェテリアからも大学の構内からも、よたよたと、慌ただしくも鈍臭く逃げ去り、どうにか他人の目を避けられる一室にたどり着く。

 

『追い出そうと思えば追い出せたのに、入れてくれるなんてね』

「無理やり連れこんでおいて……!」

『あはは、もう言ってることがむちゃくちゃだ』

 

 後ろ手にドアを閉めて鍵をかける。ついにふっと足腰がおぼつかなくなって、靴も脱がずに扉へもたれかかる。

 

「……好きにすれば。警察沙汰が怖くなきゃね」

『なるほど、他人目からだと、パンちゃん本当は嬉しいんでしょ、って見られちゃうもんね』

 

 〝尉子お姉さま〟が二階堂に撮られていたハメ撮りや、彼女自身が電車やカラオケボックスでされた痴漢紛いが、理性で打ち消そうにもつい思い出されてしまう。

 ありえないはずのことだが、この青年からもしさっきのように強引に絶頂させられたとしたら。そこに周囲の目があったとして、助けてもらえるだろうか。不埒なお楽しみだと思われやしないか。青年と同類だ、と蔑まれやしないか。

 

『お兄さま、って呼んでよ』

「触んないで……っ!」

 

 青年の手が、カーディガンに触れる。青年をにらむが、額からだらだら汗が垂れるあまり眉でもまつ毛でも受けきれず、目にしみてやめさせられる。拒否する手を彼からやんわりどけられる。

 

「やめ……っ」

『お兄さま、って呼びたくなるまで、イカせてあげちゃう』

 

 壁に肩と背中をくっつけたまま、カーディガンもキャミソールも無理にたくしあげられる。あらためてスポーツブラを露わにされる。

 

『すごい汗だね、脱いだほうが楽じゃない?』

「……暑いだけだってば」

 

 指先が谷間に落ちそうな汗をすくってくる。

 

「んっ……!」

 

 それだけで、声が出る。肌のもぞつきを抑えたつもりが、繊細になりすぎて、肌と服が擦れるのも気になってしまう。

 

『がんばるよ、パンちゃんがいいって言ってくれなきゃ、手が後ろに回っちゃうから』

「やっ……っ」

『まぁ、僕にはそんなこと〝絶対にあり得ない〟けど』

 

 両手で、乳房をつかまれる。ぐにゅ、と無遠慮に形を歪まされる。触ってもいいよね、と指から押しつけがましく迫ってくる。

 

「ふぁっ……!」

 

 なのに甘い声で応じてしまう。カフェテリアのときより彼女自身も声がうるさく聞こえる。青年の手の中で、乳房が指と手の平を押し返して弾む。

 

『ほら、まずは乳首。ここだけこりこりだから、ブラ脱がなくてもわかりやすいね』

 

 もまれる合間に突起を擦られる。

 

「あっ……!」

 

 背筋やら何やらに走る電流が素直なばかり。逃げようにも自分でドアを閉じてふさいでしまっている。

 

『すごく感じるんだね、ここ』

 

 どれだけ彼に抗っても、彼女がこの大きく柔らかく重々しい乳肉を胸に引っ提げていて、そこから快楽を得てしまうという事実に引き戻される。

 

「やっ……あっ……んんっ……!」

 

 イメージ通りに大きな彼の手の平で、優しく包みこまれる。それでいて男らしく長い指が曲がって乳首を転がしてくる。硬軟織り交ぜた責めに腰も手足も震え、ずるずる、とドアに背中を擦って曇りを広げてしまう。

 

『立ってられない?』

 

 ブラまでずらされる。片方。もう片方。

 

「ぁッ!? あ……ッ、ひぅ……やめっ……見ないで……っ」

 

 目の前の青年へ自らの体を差し出すように、ウエストと背中がびくびく震えつつ勝手にアーチを描いてしまう。

 

『こうやって触ってるだけで、どんどんむわむわってしてくるね』

「んあっ……!」

 

 アンダーバスト側から、むっちりと感触を堪能しながら持ち上げられる。彼の手にもてあそばれるのと同じぐらい、首や肩が振られて乳房が自ら弾む。ぷるん、ぷるん。

 

『優しく触るとふわふわしてるけど、力を入れるとぱつんぱつんって跳ね返ってくるね』

「お、おっぱいなんて、そんなものでしょ……っあっ……やっ……んんっ……!」

『いやいや、パンちゃんのおっぱいは特別だよ、おっきい以外のとこも』

 

 乳首を指で挟まれる――指先の真似を見せられただけで、彼女はお腹のそこがぎゅうって身構えて彼を待ち構えてしまう――ぎゅっ、とつねられる。

 

「ひぅっ……! あっ、やらッ、あ、遊ぶんじゃないっ」

『ほら、気持ちいい。正直になって』

「気持ち良く、なんか……っ」

 

 言葉で否定したそばから体にひっくり返される。乳首がさらに硬く、ぷっくり膨れる。青年の指に転がされてもはっきり押し返すほど勃起している。

 

『パンちゃんの嘘つき』

 

 ぐりぐり、ぐりぐり。乳首を転がされる。硬くなった突起が、指先に挟まれてこねくりまわされる。ぬるぬると汗を塗りつけられると、力を込められても痛くなくなって、ただ強い力に応じた快楽が引き起こされてしまう。

 

「んっ……あっ……ああっ……!」

 

 片手で乳房をもみしだかれながら、もう片方の手で乳首を責められる。むにゅむにゅ、こりこり。二つの刺激が交互に、時には同時に襲ってくる。

 また、限界が近い。さっきより簡単にイカされてしまう。体が覚えてしまった。彼から乳首を刺激されれば、すぐにイけると身についてしまった。

 

『ほら、もうイきそう』

「そんな、わけ……や、やめっ、あっ」

『わかるんだよ、パンちゃんのことなら』

「あっ……ああああっ……!」

 

 ぎゅううっ、と乳首をねじられてイく。小さく。でも、確かに。

 

「やっ……もう……っ」

 

 こりこり、こりこりと追い打ち。さっきイったばかりの乳首。触れられるだけで、恐怖と期待に圧倒されて理性がぺしゃんこになる。

 

『何回でもイけるんだね、パンちゃん。ほら、ぐりぐり。イく。こりこり。イく。ぎゅっ。イく』

「やッあ、くッッ、それ、へんっ……感じてなんかッ……ぅ……っひゅっッうう、あぅ、や、やめ゙ッ……んひッッ!」

 

 またイく。ちょろちょろ、と小刻みにスキニーパンツを汚してしまう。三度目。四度目。数えられなくなる。乳首を刺激されるたびにイケてしまう。

 

『僕は、パンちゃんがここだよ、こうやっていじめて、っておねだり通りにやってるだけさ』

「んっ……やっ……ああっ……は、ぉ、ァ、あ……ッ!!」

 

 ヒザから完全に力が抜ける。壁に背中を滑らせて、靴と一緒に床にへたり込む。玄関の床がやけに硬く冷たいが、興奮を冷ますにはまったく不足している。

 

「もう……だめ……っ!」

 

 両手で胸を覆う。Gカップのボリュームを抱えこんで必死にガードする。

 

『おっぱい、隠しちゃうんだ』

「触らないでってば……っ」

 

 両腕で胸を守る。青年の視線がその向こうに動く。

 

『でも、あそこ、すっごく濡れてる』

 

 スキニーパンツの股間部分が、もうはっきり濡れている。湿った布地が、下着なんてないかのように秘所に張り付いてしまった。太ももを閉じてそちらを守ろうにも、青年が靴を履いたまま、足を割りこませてくる。男物のスニーカー。27cm。見覚えがある。彼女が女の一人暮らしをカムフラージュするため玄関に置いていたはずの靴。

 それを履いているように、足が、パンちゃんの太ももに触れる。

 

「っ……!」

 

 スニーカーのつま先周りが、内ももの際どいところに食いこんでくる。ざらざら、と衣擦れさせて、痙攣でスキニーパンツの生地が引き連れる。

 

「やっ……足で……っ」

 

 足先が、股間に近づく。ゆっくりと。焦らすように。触られる前から太ももの内側をぞわぞわ這い上がってくる。

 

「やめ……っ」

 

 靴先が、股間部分に触れる。ぐり、とくすぐる。大ざっぱで指とは似ても似つかない感触。

 

「んあっ……!」

『ここ、すごく濡れてるね』

 

 靴先で擦られる。ぐにゅ、ぐにゅ。靴先が生地と秘所に食いこむ。ぬちゃぬちゃ湿った音が響く。足がこんな音を立てるほどもぞもぞ細かく動けるものだろうか。半分以上は彼女が自らもだえて漏らしていた。

 

「あっ……やっ……んんっ……!」

 

 それでも彼女にとっては、クリトリスを靴先がいじめてきて、布越しでも敏感な場所がわかっているからそこを集中的に、ぐりぐり、と転がされている感覚である。

 

「ひゃっ……そこ……っ!」

 

 手と違って、秘所全体が思っても見なかったように刺激される。

 

『僕は知ってるんだよ、パンちゃんが本当はたくさんイカせてもらいたいんだって。無理やりなら気持ち良くなってもいいんだよね?』

「知らない……っ、そんなこと……っ」

 

 否定する。でも、腰が勝手に動く。靴先に擦りつけるように。ぐちゅ、ぐちゅ。自分から、股間を押しつけてしまう。

 

『ほら、自分から動いてる』

 

 靴先が秘所を掻き回す。でも、浅い。表面だけ。中途半端。ぐりぐり、ぐりぐり。クリトリスがひしゃげて一段高い悲鳴があふれる。

 

「んっ……あっ……ああっ……!」

 

 イきそう。でも、イけない。刺激が微妙に強すぎた。

 

『もっと欲しい?』

「欲しく……ない……っ」

 

 強がる。でも、体が求めてしまう。靴先を追いかける。ぐちゅ、ぐちゅ。スキニーパンツのしみが広がる。

 

『お兄さま、って言ってよ』

 

 靴先が、膣口も含めてぐりぐり、ぐりぐり。痛くて気持ち良い。そう思ったところですぐに離れる。

 

「あっ……やっ……なんで……っ」

 

 イきそうで、イけない。限界が近いのに、青年が足を緩める。

 

『イきたい?』

「イキたく……っ」

『パンちゃん、僕の足でも感じてくれちゃうんだ』

「感じて、ない……っ」

 

 汗が止まらない。額から、首筋から、背中から。全身が火照っている。

 

『またやってあげる。今度はイケるかな?』

 

 靴先が、またクリトリスに触れる。ぐりぐり、ぐりぐり。でも、すぐに離れる。また触れる。また離れる。

 

「あっ……やっ……ああっ……!」

 

 焦らされる。イきたい。でも、イけない。靴で、足で、こんな屈辱的な方法などさすがに現実では未経験である。

 

『イカせてほしい?』

「っ……」

 

 まだどうにか認めたくない、と思える。でも、もし胸を優しく愛撫されながらだったとしたら頷いてしまっていたかも、と危惧するほど体が素直になっている。

 靴先がぐりぐりクリトリスをいじめて、腹立たしいと思うほど屈辱と興奮がどんどん重く、意地と理性がどんどん軽くなる。スキニーパンツのシミがますます広がって、お尻の谷間まで違和感がまとわりついてくる。

 

「んっ……あっ……そんなこと、言うわけ……っ」

 

 そう言い聞かせるのをやめた瞬間、どうなるかわかったものじゃない。

 靴先が微妙な力加減で秘所を擦りながらうろついている。あと少し。あと少しで、イける。イッてしまえる。靴を愛液で汚してしまっているだろうか。ざらざら、ごつごつ。痛気持ちいい。

 

『濡れちゃってるね』

 

 ドアに背中がつっかえてこれ以上後ろに下がれない。ぐちゅ、ぐちゅ。スキニーパンツと下着の股間部分から、またもぬちゃぬちゃと音が立つ。彼女も言い訳を諦めるほど完全に濡れている。

 

『何をお願いするの?』

「っ……しない、ったら……っ!」

 

 靴先がしつこく秘所を焦らす。ぐりぐり、ぐりぐり。クリトリスの周りを撫でる。でも、肝心のところの一歩前で止まる。

 

『……んぅっ!?』

 

 このまま生殺しで狂わされるのか、というときに、カツン、コツンと扉の向こうから音がした。誰かがすぐ外の廊下を歩いている。隣の住人か宅配便か通りすぎるだけか。

 どれであっても彼女を戦慄させる。息を殺す。

 でも、股間への刺激が続けられる。

 

「んっ!? ふ……ぅ、っ……!」

『誰か来たのかな、どうする?』

「やっ……やめ……っ」

 

 小さな声で懇願する。体が勝手に動く。太ももが靴先を捉えるように縮こまって、ますますぐちゅ、ぐちゅ、と音が立つ。

 カツン、コツン。足音がまだ近い。心臓がドクドク激しく鳴って胸の中で暴れて死にそうなほど苦しい。

 

『見られちゃうかもね』

 

 靴先が、クリトリスをぐりぐり。さっきと変わらない刺激が、声を殺せるかどうかのぎりぎりまで追い詰めてくる。

 

「ぁ……んんっ……!」

 

 慌てて手で口を覆う。爪先による刺激が、だらだらと、そんな抵抗ならいつでも壊せる、とばかりに続く。

 

『見せつけてあげても、よかったかな』

 

 カツン、コツン。足音が遠ざかって聞こえる。彼を忘れて、全力疾走の直後かというほどぜぇぜぇ息をつく。体の火照りも全力疾走並みだった。

 

『パンちゃん、今すごく感じてたでしょ?』

 

 余裕がほんの少しでも戻ると、すかさず追撃を入れられる。

 

「っ……感じて、ない……っ!」

『いやらしいね、パンちゃん』

「あんた、なんかに……は、ぉ、ァ、あ……ッ!!」

『お兄さま。はい、もう一回』

 

 靴先での責めと同じぐらい、彼の言葉責めもいやらしい。彼女がぎりぎり頷けない台詞を聞かせて瀬戸際でもてあそんで、それを露骨に匂わせてくる。

 

「人の、大事なところ、足蹴にしながら……っ……きゃあッ、や、ぁっ!?」

『でも、素直じゃないパンちゃんも、いやらしいパンちゃんも、可愛いよ』

「はぅ、ほぁっ、はぁっ……っく……ふ、ぅう……っ!」

『もっと可愛いところを見せてほしいな』

 

 彼の口から聞かされるこんな自分の痴態を肯定してしまったら、八百会パンドラが台無しになるどころで済まない。

 

「こんなことされて、気持ち良くなるなんて、あり得ないっ……」

『気持ち良くなっていいんだよ』

 

 優しい声音で、言われたくてたまらないが、認めてはいけない言葉をかけられる。

 

「ほあっ……んくっ……」

『焦れったいのがお好みかな?』

 

 クリトリスをぐりぐり、足先なのに優しく丁寧にしてくる。声が甘くなる。抵抗がぽろぽろ剥がれ落ちていくのを感じる。相手がこちらを立って見下ろしているはずなのに、ささやきのようにくすぐったく耳をふさいでも否応なく聞こえる。

 

『パンちゃんが欲しがってるの、全部あげるから』

「……っあ、ぁ、ぅ」

『はい、お兄さま』

「……お、おに、ぃ……」

 

 言いかけて、くちびるを噛む。必死で彼を見上げて涙がにじむまでにらむ。

 靴が股間にじりじり食いこんだまま止まる。測ったように、またちょうどイきそうで、イけない。この状態が引き伸ばされると、快楽以外の何もかもが薄れて透き通って見えなくなる。

 

『さすがに足先だと物足りないかな、パンちゃんのえっち』

 

 歯をくちびるへ立ててしまっているのに痛くなくなっていた。汗がしょっぱいのが妙に濃く感じた。

 

『玄関先なのにこんなにぐしょぐしょにしちゃって、部屋に入ったらどうなっちゃうんだろうね』

「どうにも、ならない……ならないったら……!」

『あるんでしょ、部屋には、もっと。これで終わりにして、耐えられるの?』

 

 靴を払い除けたら、いきなり空っぽのように玄関に転がった。

 

「あ……」

『先に上がらせてもらうよ』

 

 息を整えてドアの手すりを頼りに立ち上がったが、室内へ目を向けると足がどうにもすくんで、玄関マットまでもなかなか踏み出せなかった。

 

 

 

※

 

『足裏であそこをぐりぐりしながら震わせる、って子どものころ無邪気にやってたじゃない?』

「ううゔ……くっ……こんな……あ゙ッ……!?」

『もうそんなことできないよね、パンちゃんすぐイッちゃうもん』

 

 樹脂製灰色こけしのような手持ち電動マッサージ機が、ヴヴヴ、と蜂の羽音のような振動を彼女に浴びせ始めて、ものの数十秒でショーツの端から愛液が漏れていた。

 

「あっ……ああっ……!」

 

 スキニーパンツをヒザまで下げられ、ショーツの上からクリトリスと陰唇に押し当てている。うつ伏せに逃げてもあお向けに転がっても振動が追従してくる。非人間的なまでに細かくじんわり責めてきて、あっさり我慢を超えられる。

 

『ほら、もうイきそう』

「イっ……イっちゃ……っ!」

『お兄さま、だよ』

「……あ゙っ……くうっ、あぁ、あ……っ! んっ、ぉ……ああ゙ぁああっ……!」

 

 玄関では最後までどうにか引き絞っていたくちびるが、もう大きく丸く開かれ、彼女自身認めてしまうほどはっきりと喘いでしまう。

 

『あの動画のときみたい。パンちゃんのファンには聞かれちゃったらどうなるかな』

 

 腰がガクガク震えて背中が反る。お腹の底からつま先までしびれる。

 

「はぁ……はぁ……っ……、ッ、くぅ、あぁ、あふ、あっ!?」

 

 これからイかされる、好きにイカされる。そうわからされながらイカされると倍以上は響く。

 

『使ってたら使ったぶんだけイケちゃうかもね』

「そんなわけ……やっ……もう……っ!」

 

 彼が否定を誘ってか、あからさまにうそぶいてくる。抗弁しようとして嬌声にふさがれる。

 

『まだまだ』

 

 実のところ、彼女は自慰で電動マッサージ機を使った経験があった。そのときは強すぎて、所詮は機械だ、と落胆・安堵半々で放り投げた。

 今彼の手から与えられるとなると、絶頂の余韻が残る敏感な場所でも、刺激を受け入れてしまえる。

 

「く……あ゙、あ……やああ゙あ゙ッ!」

『こんなのに慣れちゃったらどうしようか』

 

 膣肉どころか全身のどこもかしこも快楽でやられて、痙攣でどうにもならなくて、このままでは身も心もすっかりどうにかなってしまう。

 

「いや、いやあ! んんンっ……くう、う……あ、あっぅあああっ!」

『お兄さま、って言える?』

「む、むぃ……無理、よ……っ」

 

 下着が吸いきれない愛液がどくどく漏れて太ももやベッドを汚す。電動マッサージ機そのものもぬらぬら濡れて、愛液をまとわりつかせぶじゅぶじゅ濁った音を立てる。

 思考が霞んで真っ白になる。

 

『まだイくよ』

 

 絶頂が降り積もって重なって数えられなくなる。

 

「あっ……やっ……おに……に、ぃ、さまっ……!」

 

 ついにすがりつく。ほんの一瞬だけ刺激が収まってくれる。がくんと腰が落ちて、さっきまで勝手に浮かせてしまっていたと気づく。本来の神経機能が快楽に取って代わられている、と痛感させられる。

 

『パンちゃん、すごいね。何回イったかわかる?』

「……っは、あ、あた、し」

『もう、頭が真っ白?』

「知らない、ったら……」

 

 ぼやけた意識で答える。彼の声が勝手に脳内に居座ってころころ転がって回る。いつ再開されるとも知れないのに、しゃべっているあいだの責めの中断が救いのように感じてしまう。

 

『じゃあ、こうしようか。イッてない、ってパンちゃんが言えるぶん、もっとイカせてあげる』

 

 息が整ったと思った瞬間、一気に快楽の底へ引きずり降ろされる。

 

「ま、まらっ、っく、い……いッぐううゔッ……!」

 

 秘所だけでは到底受け止めきれず、手足をじたばたさせて必死で過剰な快楽を逃がす。それでどこかを叩いた具合で、まだ部屋のベッドから落ちずにいられている、とどうにかわかる。

 もっと彼に反抗的にして、怒りか呆れを買って、床に蹴り落としてもらえたら、高ぶりすぎている体が少し収まるかも知れない。二階堂だったらそろそろそうしてくれる。女を壊さずしゃぶる商売の裏アカ男性ならそうだろう。

 

『そんな声でもパンちゃんったら、可愛い』

 

 青年はこの点で違っていた。比べるにしても、二階堂より梨に近かった。

 彼女を快楽で責め立てて壊れても楽しいからいい、と割り切ってくる。

 

「あ、ぅっ……んぐ……うっ、あお゙……ぉお゙ッ、い、いっ……っ……」

『無理やり、好きなんでしょ』

 

 彼女にとって恐ろしいはずのそれに、必死で抵抗しても、だんだん弱くされている。絶頂の合間、息を整えて心を持ち直そうとしても、どこかで彼から抵抗を割られてしまう。

 恐怖じみた期待がふくらむ。

 

『無理やりなら、僕のせいだもんね』

「ぜ、ぜんぶ、あんたの……んひぃっ、お゙っ、ほぉぉおっ――」

『――んんー?』

「ぉ、おっ、おにぃ、さま、のっ……」

『パンちゃん、マゾだね。それも責任転嫁するマゾだ』

 

 ヴヴヴ、ヴヴヴ。電動マッサージ機の音が、もっとうるさく鼓膜を苛む。頭がむずついて目を開けていられないほど反響する。

 

「マゾなんか……じゃ……っ」

『認めないでいられたら、もっとしてあげる』

 

 敏感を通り越して、接近だけでもびくん、びくん、と痙攣してしまう。震える声でどうにか否定する。

 

「あっ……ああっ……ぐっ……あァ、あッ、あああ゙あオッ……!」

 

 振動が、秘所全体をまんべんなく蹂躙する。クリトリス、秘唇、膣口。全部、同時に責め苛まれる。腰が逃げ道を断たれて追いやられ宙に浮く。ベッドのシーツに爪を立てる。ネイルでもしていたら台無しだった。そこまでしても快感が殺しきれない。

 

『パンちゃんはいじめられて気持ち良くなれる、僕はそれにずっと付き合ってあげる。最高だね。いつまでも終われやしない』

「違……っ、あんたが……っ」

『僕が、無理やりだから?』

 

 絶頂の予兆で、どうにか立て直したはずの反抗心を折られる。早すぎる。狂っている。さっき達したばかりなのに。

 

「んっ、んぶっ! んむゔっ、ゔっ……っ!」

『ほら、またイきそう』

「イっ……イっちゃ……っ」

『どっちだってパンちゃんのこと好きでいられるから』

 

 受け入れたらおしまいの恍惚、陶酔を前に、なぜうれしがってしまうのか。

 

「あっ……お兄さまっ……ぁ……!」

 

 お兄さま、と言って絶頂すると、もっと気持ち良くなってしまう、と気づいてしまう。手足がバタついてしまうのも、ベッドのシーツが汗びしょびしょなのも、腟内をペニスでがしがし擦られたくてしょうがなくなっても、どうでもいい。

 

「はぁ……はぁ……っ……」

『じゃあ、次はマゾって認めようか』

「やっ……それは……っ」

 

 首を振る。必死に否定する。その矜持の最後のかけらが、電動マッサージ機でみしゃみしゃひび割れる。

 

『無理やりされて、気持ち良くなっちゃうんでしょ。マゾだよね』

 

 快感の熱波に言葉が蒸発して思考が灼かれて消える。あお向けから横向きに、横向きからうつ伏せに、体もベッドの上で無秩序に暴れ狂う。

 けれど快感の渦にとらわれたまま。

 

「あっ……やっ……ああああっ……!」

 

 ヴヴヴ、ヴヴヴ。振動が離れない。

 

『逃げても無駄だよ』

「んっ……くっ……ああっ……!」

 

 うつ伏せのまま、腰が高々と浮く。お尻が天を突くように突き出される。愛液がじゅばじゅば噴出してシーツにしとしと音を立てて垂れ落ちる。彼も濡れてしまっただろうか。淫靡極まりない失禁にも、羞恥を感じる余裕が失せていた。

 

『パンちゃん、すごくエッチな格好してる』

「見ないで……っ」

 

 そこまで朦朧としている意識にも彼がどうやってか煽りを差しこんでくる。こじ開けられて二重に辛い。

 

『まだまだ』

「もう……無理……っ」

『無理じゃないよ。ほら』

 

 電動マッサージ機が角度を変える。本来の筋力なら抗えるはずの太もも、ヴヴヴ、ヴヴヴと震わされると明け渡してしまう。再び内側の粘膜まで振動が侵食する。

 

「だ、めぇ……も……ぃッ、うぐぅうーッ!」

『うんうん、ここがいいんだね』

「よく、なんか、な……っ」

 

 たまたま引っつかんだ枕を抱き締める。窒息したほうがマシとばかりに顔を埋める。

 

「は、ぁ……あ゙うっ……お゙ッ……!?」

 

 かえって快楽が籠もってしまってか、ここまでで一番濁った音声を、ノドとともに彼女自身の耳でも聞いてしまう。

 

『パンちゃん、マゾでしょ? 僕に無理やりされて、こんなに狂ったようにイってるのも、マゾとしか言いようがない』

「だっ、だから、もう……」

『電マはもうじゅうぶん、でもそれだけじゃダメ、ってことかな』

「ばかっ、あんた、そんなっ」

 

 本当に久しぶりのように、快楽と羞恥以外の感情が湧き上がる。

 

『ナカにもほしいんでしょ』

 

 

 

「……ほっ、ほしく……ない……っ!」

 

 否定する。でも、膣内が疼く。外側だけでなく内側も満たしてもらえる、と知ってしまっている。

 

『ナカ、空っぽで寂しいんじゃない? ひくひく動いて、おねだりしてるよ』

 

 またイく。体が跳ねる。痙攣する。でも、満足できない。物足りない。

 

「んっ、んぶっ! んむゔっ、ゔっ……っ! ……んぐっ……」

 

 ノドが渇く。垂れそうになったつばをこっそりすすって飲みこむ。

 

『パンちゃんはね、何回イっても、満足できないの』

 

 また達する。浅く。短く。

 

「いや、いやだったら……これい、や……ああァああ゙……ッ!!」

 

 この期に及んでも体が正直すぎる。膣壁が収縮して肉ヒダどうしをむなしく擦りあわせる。

 

『ナカ、ひくひくしてるよ』

「見ないで……っ」

 

 ヴヴヴ、ヴヴヴ。振動が続く。またイく。またイく。どんどん渇きがひどくなる。

 

「あっ……やっ……ああっ……!」

 

 体が求めてうねる。お尻もあそこも開く。閉じる。また開く。

 

『欲しがってるね』

「欲しが……って、ない……っ」

 

 欲しい。欲しくてたまらない。

 

『じゃあ、このままでいいんだね』

 

 電動マッサージ機が、クリトリスだけを集中的に。ぐりぐり、ぐりぐり。

 

「あっ……んぐっ……はぅウっ……!」

 

 イく。でもおあずけを忘れられるのがほんの一瞬。膣内がどくどく脈打つようにうるさい。

 

『……そんなことはないよね』

「あああっだめ……だめっやめて……いくうう……っ!」

 

 ベッドの上で身をめちゃくちゃによじらせる。枕を噛む。空虚感がくすぶる。

 

「っ……ナカ……っ」

『ナカ? 何が欲しいの?』

「っ……何か……っ」

 

 小さな声でも、彼は聞き落とさない。ぶじゅぶじゅ、ヴヴヴ、ばたばた、彼女がほかにどれだけうるさくしてしても。

 

「あっ……やっ……ああっ……!」

 

 またイく。でも、足りない。全然足りない。

 

『ちゃんと言わないと、わからないよ』

「っ……ぃ……れて……っ」

 

 震える声で。

 

『何を?』

「んっ、ぐ……ぃ、や……くあっ、は、あ……うくっ……あはっ……!」

 

 これより前までさんざんに意識を苛んでくれた電動マッサージ機の責めが、ここではただの焦らしに後退してしまった。

 

 

 

「っ……おちん……っ」

 

 言いかけて、止まる。恥ずかしすぎる。

 

 ヴヴヴ、ヴヴヴ。

 

「あっ……やっ……お願い……っ」

『パンちゃん、マゾだもんね』

「っ……マゾ……っ、マゾで、いい……っ」

 

 ついに認める。もう、何でもいい。満たされるなら。

 

『いい子だね』

 

 褒められる。嬉しい。

 

『じゃあ、何が欲しいか、ちゃんと言って』

「っ……おちんちん……っ」

 

 小さく。でも、はっきりと。

 

『どこに?』

「ナカに……っ、お願い……っ」

『誰のおちんちんが欲しいの?』

 

 また、焦らされる。でも、もう抵抗できない。

 

「お兄さまの……っ、おちんちん……っ、ナカに、ほしい……っ」

 

 全部、言ってしまう。屈服。降伏。

 

『よく言えたね』

 

 優しい声。でも与えられない。ヴヴヴ、ヴヴヴ。電動マッサージ機が、まだ続く。

 

「やっ……もう、言った、言ったぁっ! あ゙、あ………おお゙……ぐうううっ!」

『おっきくしておいてあげてるから、ちゃんと自分で入れてね』

 

 膣口に、電動マッサージ機が触れる。入り口を、ヴヴヴと震わせる。

 

「ひゃあっ……そこ……っ!」

 

 その表面だけ。ついに涙も隠さず頬に垂れるがままになってしまう。

 

「お願い……っ、入れて……っ」

『パンちゃんから入れてよ、そうしてくれるまで、ずっと待ってるから』

「お願い……っ、お兄さま……っ」

『ナカに入れてほしい?』

「ほしい……っ、すごく……っ」

『おちんちん、入れてほしい?』

「入れて、ほしい……っ、お願い……っ」

 

 足に力が入らない。腰が立たない。これでどうやって彼女から入れるのか――(やっぱりこのまま……電マだけでも……でも、ナカ……)――迷いながら、どうしても動かなかった体がノロノロ動く。

 

「ゃ、やばい、入れちゃったら、本当に、あたしっ」

『そうだね。でも、このままで困るのはパンちゃんだ』

 

 つかむ。自分の指より太く長いけど、硬さはそれなりで、取り澄ましているように冷めて感じる。

 

『パンちゃんがすっごく興奮してて、指先まであつあつだね。あっためてよ』

「ぁ、あ、あぅ……ぅ……」

 

 手の中で、それが体温を吸い取っていく。火照った手の平からほんのり熱が奪われるのが気持ちいい。

 

『パンちゃん、握りしめちゃって』

「っ……だって……っ」

 

 握ったまま、震えている――(本当に……入れちゃうの……?)――理性が悲鳴のようにきしむ――(これ、入れたら……もう……)――膣内が疼く。空虚感が、叫ぶ。

 電動マッサージ機が震えたままベッドに落ちて濡れたシーツを震わせ、これまで彼女が放ってきた不平よりも不平たらしく鳴っていた。

 

 

 

 手が動く。下腹部に近づける。

 

『そうそう、いい子だね』

 

 褒められる。見えない声に背中を押される。先端が、太ももの内側に触れる。ぬるり、と愛液で濡れた肌を滑る。恐怖と期待で震える。もっと近づいてついに膣口に先端が触れる。

 

『ほら、パンちゃんのナカ、もう準備できてるよ』

 

 さんざん食らってきた電動マッサージ機で入り口がぴりぴりしびれたままだが、見えない奥が開く感じがした。

 先端を、ゆっくり押し当てる。ぐっと入り口を広げる。

 

「あっ……入る……っ」

 

 弱い抵抗をずるりと抜けて、体が受け入れようとしている。少しずつずぶずぶ先端が膣内を割り開く。

 

「んっ……ああっ……!」

 

 満たされて、ふぅとため息が出る。電動マッサージ機の騒々しく力ずくで辛くもある快楽、絶頂と違って、内からの圧迫感さえひどくなじむ。

 

『どう? 気持ちいい?』

「っ……はっあ、こ、これは……あんた……お兄さまが……んんぅっ」

『腰がへこへこしちゃってるね』

「あっ……やっ……おっ、く……っ」

 

 さらに奥へ。ずぷずぷと膣壁の締めつけを押しのけて、太く長く奥まで届く。

 

「んあっ……ああっ、おお゙っ……」

 

 内側から快感に満たされる。

 

『全部、入ったね』

「はぁ……はぁ……っ……」

『パンちゃんが満足するまで、どうぞ』

 

 腰が動く。持ち上げる。降ろす。また持ち上げる。異物が膣壁を撫でる。奥を突く。ゆっくりと味わえる。

 

「んっ……ああっ……おお゙……ぐっ……ふ、ふふっ……」

 

 快感が、じわじわ広がる。電動マッサージ機の暴力的な刺激と違う。穏やかで確実。自分の思うまま、という幸福感に浸りすぎてここまで凌辱されていたのに笑ってしまう。腰を揺らす。前後にも、円を描くようにも。膣内でそれが角度を変えて壁の違う場所を擦る。

 

「あっ……そこ……っやっ、また……だめ、ぇ……」

 

 気持ちいい場所を、見つける。そこを集中的に。腰を動かす。ぐちゅ、ぐちゅ。愛液があふれる。なんだか前よりしっとり聞こえる。

 

『パンちゃん、自分から腰振ってるね』

「っ……だって……気持ち……っお兄さまが、脅してくるから、仕方なく……!」

『おっぱいもゆさゆささせて、えっちだ』

 

 もっと気持ち良くなりたくて腰をくねくね、うねうねさせる。ノーブラの乳房がゆさゆさ振られて少し痛む。今こそ青年が下からおっぱいを支えてくれたら都合がいいのに。このまま好きに気持ち良くさせてくれたら好きになってしまうかも知れないのに。

 

「んあっ……ああっ……!」

 

 奥まで、届く。子宮口に、先端が触れる。ごつん、ごつん。お腹がきりきりするほど締めつけてしまっても彼がそのまま。

 

「あっ……やっ……ああっ、おお゙っ、あぐっ……はあぅ……」

 

 もうちょっと腰を激しく動してみる。ベッドがぎしぎしきしむ。なんだか楽しくなってくる。単純なことがひどく愉快で、アルコール1滴も入っていないのに酔っ払っている心地がする。ぎゅうぎゅう、ぐつぐつ、ぐるぐる、ぐるぐる。膣壁のあちこちを擦り上げる。

 

「んっ……そこっ……ああっ……!」

 

 弱い場所を、何度も。執拗に。自分で見つけて、自分で責める。

 

『気持ち良さそうだね』

「気持ち、いい……っ、すごく……っ」

 

 腰が止まらない。もっと。もっと欲しい。奥まで。何度も。上下に跳ねる。頭まで揺れる。ぱんぱん、ぱんぱんと尻が叩きつけられて鳴る音も景気よく感じる。

 

「あっ……ああっ……イク……っ」

 

 絶頂が、迫る。もう少し、と腰を前後に揺らす。ぐちゅぐちゅ、ぬちゃぬちゃ。

 奥がしびれて熱い。子宮が震える。もうイクしかない、と腰を激しく動かす。跳ねる。揺れる。回る。めちゃくちゃに。鈍い刺激が奥を突く。ごつんごつんと子宮口に先端が叩きつけられる。

 

「んっ……そこっ……ああっ……! んあァっ、あ゙っ、お、おく奥ぅ゙ッ……!」

 

 膣奥にガツンとくれてやったら、浅いところにかすかな違和感が起きて、じわじわ広がる。

 

「やだ……これ……っあ、あっ……とまっ……!?」

 

 膣奥アクメしていてもわかる、尾籠で微かで慣れ親しんだ快感。汗でもよだれでも愛液でもごまかせない失禁。

 

「や、だっ……こんなのっ、や、やだっ……っっくっ……!」

 

 さすがに腰を持ち上げる。膣内を擦りながらそれが抜けていく。

 

「ん、ああっ」

 

 抜くだけで気持ちいい。気持ち良すぎて半分も抜けずに止まる。

 

「だめ……っ、でも……っ」

 

 動く腰。抜く。戻す。また抜こうとする。挿れる。ぐちゅ、ぬぷっ、ずぷっ、ぬちゅっ。

 

「んっ……ああっ……やっ……! ぉく、響いて……あふうっ、あ゙っあ゙……!」

 

 結局抜き差しを繰り返す。何度も膣内を擦り上げる。

 

『我慢できなかったんだね、えっちなパンちゃん』

「っ……や、め……っ」

 

 認めてしまう。欲望に負けてしまう。抜く。挿れる。抜く。挿れる。自分があの恨めしい電動マッサージ機じみた動きで何度も奥をごつごつ突くのにハマってしまった。

 

「あっ……ああっ……イクっ……!」

 

 何度も奥を突く。ごつんごつんと子宮口に響いて、限界に近い膀胱もほころびる。

 

「やっ……漏れちゃ……っ」

 

 一度漏らしてしまうと恐怖がアクセント程度に収まって快感のいい添え物になる。これでは止まらない。激しく抜き差しする。ぐちゅぐちゅぬちゃぬちゃと愛液が飛び散る。

 

「あっ……やっ……お兄さまっ……!」

 

 爆発する絶頂。今までで一番強い。

 

「ああああああっ……!」

 

 ガクガク震える腰。痙攣する全身。ぎゅうぎゅう締めつける膣内。

 

「っあっ、あた、しっ……ちがっ……こんな……だって……おにぃ……あ゙アぁっあっ!」

 

 絶頂が長く何度も押し寄せて、彼女も彼も一緒くたに洗い流す。

 

「イクッいくっ、いッ!! ひっ、ん゙あ……っお、おぉおぉっ……ん゙あっ、あ……ぉ……!」

 

 体力の限界がきてふっつり意識を失った。それがいつだったか彼女にもわからなかった。

 

 

 

※

 

「……こんなのいたら、都合が良すぎてむしろホラーよ」

 

 青年はすべて彼女の妄想だった。

 

「お゙ぉぅッ」

 

 腰が悲鳴を上げた。都合のいいこと以外だいたい現実だった。

 

「……おかしいわね、本当にイカされちゃってたときは、こんなに……ぅゔうぅゔ」

 

 あちこちの粘膜がひりつくのも、舌やくちびるが傷ついて血の味がするのも、ぬめぬめ、ねとねとして自分でも触るのがためらわれる体液も、現実だった。それらに汚れたディルド、シーツ、充電切れで止まっていた電動マッサージ機、玄関に転がしたままの男物の靴は彼女の私物である。

 よたよたの足取りで浴室にたどり着き、姿見から目を逸らしながら自分の肌にも残るぬめぬめ、ねとねとを洗い落とす。

 ひりひりは洗い落とせなかった。

 

「……言い訳、どうしよう」

 

 部屋は彼女が借りているマンションである。かつて自宅で録っていたころ、この部屋で自分がどのぐらい悲鳴を上げたらまずいか調べてた経験はある。それと、さっきの叫んだりドタバタしたりしてしまったりとでは、どちらがひどかったか。

 

「オナニーしてました、なんて言えないし……じゃあセックス? 冗談じゃないわっ」

 

 苦情が来てしまったら、と心配が大遅刻してくる。青年からの空想言葉責めと違って背筋が冷えてしょうがない。

 彼女は内心で――(あれでも、あたしにちょっとは気を遣って……あれで?)――しぶしぶ二階堂を見直した。

 

 

 

「お、おぅ、あっさり、大台を超えて……」

 

 後片付けを終えて、ふと二階堂のアカウントを見ると、彼女のハメ撮り動画が予想より数倍多いインプレッションを稼いでいて、思わず舌打ちが出て――(あたしがこんだけ稼ごうとしたら……っ!)――頭をもたげていたハメ撮り露見の現実味がいきなりずしんと増した。

 

「何、こんなの……身バレしたら、終わり、でっ」

 

 バレてしまったらどうしよう、と尉子に相談しようとするのをどうにか堪えた。

 先輩より付き合いが深く、ハメ撮り沼にも深くハマっている尉子相手と話したら今の内心をごまかすのは無理、と心配よりもさらに遅れてきた理性が止めた。

 

(おしまい)

 

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