裏アカ快楽責め系ハメ撮り系連作(仮) 作:ふりーじ屋/家庭内禁書
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タイトルを「パンちゃん、ワンちゃんにされる」にしようとして思いとどまりました。
「大学出てそのまま専業はちょっと……水物の商売だし」
「尉子ちゃんは先輩として何か言ってるの?」
「お姉さまは、勤め人やってたから」
「それでパンちゃんも就活してるんだ」
うら若き女子大生が、柔肌に薄いタオル1枚だけ巻いて胸元から太腿の中程までを隠して、ラブホテルで借りたソープマットの上に横たわっている。色っぽい画だが、うつ伏せで脱力している手足と、表情や声音がだいぶだらけた雰囲気を醸している。
「……アンタはどうだった?」
「学生の時のバイト先に採用してもらったみたいな感じで、就活はすぐ終わりにしたよ」
「みたいな、って……もしかしてこういう商売?」
彼女――パンちゃん――の言う〝こういう商売〟の声音に、非難と感心が混じり合っていた。彼女自身も勢いで口にして、どういう気持ちか曖昧なようだった。
「全然。もしこういう本業だったら、副業でまでこういうのは勘弁だよ」
言われた彼――〝二階堂〟と名乗っているがパンちゃんはそう呼んでやらない――は、身を任せてきているパンちゃんの女体を、マッサージのようにほぐしていた。
彼女は成人女性の平均より背丈が小さく肩が細い。成人男性として平均よりやや大きい二階堂の両手が、マッサージのマネで少し動くとすぐはみ出る。
そのくせバストはかなり大きく――かつて、二階堂はこっそりブラを確認してGカップだと知った――腋や二の腕とソープマットとの間でむにゅむにゅ挟まれて横にあふれている。
バストのむにゅむにゅから少し目線を上げる。12トーンほどの明るいブラウンのふんわりしたボブカットの毛先が、細い肩や首の肌にかかっている。ふだんなら、両こめかみから頬にかけて目立ってふくらむセットが入っている。丸く柔らかく軽い雰囲気のシルエットを作りつつ髪で頬の輪郭を隠して小顔に見せようとしている、との意図があるらしい。二階堂から見ると少しやりすぎで、横髪の主張が強く犬の垂れ耳のようにも見えてしまう。顔は、ミスキャンパスに「パンフレットに顔出してくれるだけのエントリーでもいいから」と頼みこまれた(ただし本人談)ほど可愛らしく、どことなく犬っぽい。喩えるならチワワかミニチュアダックスフントか、と二階堂が勝手に思っている。
今はその髪も湿ってぺちゃっとしたシルエットで、顔もマットへ伏せられている。
「あたしも、フルタイムであのテンションはなぁ……時々ならともかくさぁ」
彼女が呼ばれた〝パンちゃん〟という名は、もちろん本名ではない。女子大生とVtuberの二足のわらじを履いているうち、Vtuberの活動名を縮めたあだ名である。
対する彼の〝二階堂〟も本名ではない。本業の傍ら、裏アカ男性として快楽を求める女性に応えつつ、その女性とのハメ撮りを会員制サイトにアップして副業としているときの名前である。
「じゃあ、こうして僕の撮影に付き合ってくれるのも、時々なら?」
「アンタとこうやってたら本来あたしお金を払うんでしょ」
「……僕、マッサージは素人だよ。プロの真似なんてとても」
彼は一瞬どう反応するか迷って、とにかく手を止めないことを最優先にしつつ、残りの意識で適当に言葉を放り出した。
「あーぁ……これ続けて、どうにかエロマッサージみたいに編集して、撮れ高稼げないかなぁ。それであたしが協力したことにならないかなぁ」
「そんなにお疲れなんだ」
髪やポーズだけでなく、態度も普段の彼女と大違いだった。
普段の彼女は陽気な物腰であり、Vtuberによくあるオーバーリアクションもおおむね素でやってのける。ゲーム配信その他で慌てると声が上ずってキャンキャン響くのをよくネタにされている。視聴者からも同箱やスタッフからもその他の関係でもほとんどから〝パンちゃん〟呼ばわりされる所以である。
そのオーバーリアクション相応に――姉貴分にだまされたとは言え――裏アカ男性の二階堂と接触して処女のまましこたま性感開発されてしまうほど軽率である。
そんなアブノーマルに始まった性体験をいつからか割り切って――あるいは、味をしめて――二階堂に時々セックスをねだるほど前向きで図々しくもあるはずだった。
その日も、ホテルで気持ちよくしてもらう引き換えに、自分の女体――さすがに顔は隠すものの――をハメ撮り素材に提供する約束で彼と会っている。
「社会ってあたしみたいな人間、あんまりお呼びじゃないらしいわ~」
「パンちゃんは可愛くて愛想があるから、部署に1人2人は欲しいタイプだと思うよ」
「止めてよ~、ご視聴者さまでもないくせに、おだてちゃって……何も出やしないよ。それにアンタには、もう出せないとこまで出しちゃってる」
「じゃあ木に登ってもらおうか」
そういう約束だったが、二階堂は疲れがにじんでいるパンちゃんを見て、彼女の肩やふくらはぎを揉んでやるうちに、愚痴を聞いてやる羽目になっていた。
「結局さぁ、アンタもオンナをキャンキャン、アヘアヘさせて良いように切り抜いて稼ぐんでしょ、いいよ、いいわ、あたしもわかってきちゃったから」
普通の若い男性であれば、顔が可愛らしくてバストの大きい女子大生の柔肌を触れる時点でそれなりの役得なのだろう。
裏アカ男性となるとそれでは済まない。奉仕してもらいたいなら直接金をもらうか、あるいは体をハメ撮り動画の素材としてもらうのが不文律である。
「パンちゃん、シラフなの? 酔っ払ってないよね?」
彼女は、それを今さら言われずとも、と言いたげにマットに突っ伏したまま首を振る。
「わかってきちゃったから……わかってきちゃったから、ね」
それから彼女は面を上げた。犬にしては苦み走った笑顔をしていた。
『パンちゃん、声の調子が……どうしたの?』
「……激辛グルメ方面でコラボするかも、って話がありまして……自分がどれだけいけるか、リアクション込みで、個人的なリハーサルを」
二階堂がマットを片付けシャワーを浴びてから、ハメ撮りカメラを準備してパンちゃんをホテルのベッドに腰掛けさせて、横からソフトタッチの愛撫をしてやっていたところだった。
バイブレータの籠もった振動音が鳴った。
撮影の邪魔だが切るほどでもないか、と思いつつちらりと視線を向けると、スマートフォンのモニターに彼の見慣れない通話アプリのUIと、有洒川尉子の文字が見えて――『こら、アンタ、勝手に……』『〝いこお姉さま〟だし、早く出て早く済ませちゃったら?』――勝手に取ってしまった。
尉子はパンちゃんから見ると事務所の先輩である。配信のスケジュールなど細かい事務連絡があったらしい。チャットか何かで済ませればいいのに、と二階堂は横で聞いていて思う。連絡が終わってからもおしゃべりが続く。
ひょっとすると尉子もパンちゃんの就活疲れを察して何か探ろうとしているのか、などと二階堂は邪推していた。
『うらやましい! 私、激辛はちょっと好きなのに、喉にさぁ……専業になってから食べにくくて』
「いこお姉さまって、地声とかけ離れてますからね……ピリ辛ぐらいでセーブすれば」
『足りないわ、喉が焼けつくところまで含めて味なのよっ』
あるいは、尉子がとにかく誰かと話したい気分だったのか。
二階堂はパンちゃん、尉子も含めいくらかVtuberの中の人やYoutuberを裏アカ男性として相手にした経験がある。他の職業と比べて明らかに話好きが多く、話好きが配信者に必須の素質なのかと思っている。一方で、一人で黙々とやる作業を苦手とする傾向も感じる。動画や音声で稼いでいるのに編集作業が苦手、と聞かされ苦笑いさせられたことが何度かある。
通話の蚊帳の外にされている二階堂は、録画を一時停止しようとしたが、カメラに接続したパソコンのモニターを見て手を止めた。
『――チャレンジしたけど辛すぎたの? コラボは下調べが生命線よ、ちょ〜っとばかし甘かったんじゃな~い?』
「そういうお姉さまは辛口のようで……」
『パンちゃんは軽率なところがあるし。二階堂くんのときもそうだった……』
ハメ撮りである以上、もともと彼女のあられもない部分が映るようカメラ位置を調整している。彼女は薄いタオルを巻いているままで、豊かなバストにしては可愛らしい乳輪がうっすら透けている。その下の太腿や秘所も映しこんでいる。
その画の中で、内腿や両膝どうしをしきりに擦り合わせているのが目につく。
「今は、アレは関係が……もしかして辛党なんですか、アレって」
『辛党じゃあ酒好きって意味になっちゃうじゃない。で、どうなの』
「……何がですかぁ?」
『パンちゃんは、吹聴してもらったら困っちゃうことも、知ってるし~』
一度注意を向けると、他にも些細な仕草に気づく。スマートフォンを持っていない左手が見てて挙動不審だ。垂れ耳に似ている形の髪を撫で回したり、首元や右肩、タオルごしのアンダーバストやウエストをウロウロしつつさすっている。
パンちゃんだけに聞こえる程度に、ぼそりとつぶやいてみる。
「このまま続けて欲しい?」
パンちゃんが何か言葉にならない声を噛み殺す。
『パンちゃん、誰かいるの?』
「ええと、まぁ……いるっちゃあ、いますけど、別に、あたしはお姉さま優先で……んぴゅっ!?」
『……んんん~?』
「あのっ、これは……犬です、犬っ、今実家に帰ってて……」
彼がモニターからパンちゃんへ目線を戻すと、また彼女が舌をもつれさせた。こわばった内腿どうしがぴったり押しつけられ、膝からつま先までが一瞬だけぴんとまっすぐ伸びて、ふらりとベッドサイドへ落ちた。
『犬ってめちゃくちゃ構ってちゃんって聞くけど』
「そうですっ、待てって言っても聞きゃあしない、すぐに……っ……」
彼は彼女のすぐ左隣に座り直し、彼女の左手を握ってみた。右往左往していた左手が、彼の手に噛みつくような勢いで握り返してくる。尉子と通話している右耳と逆側の、左耳にささやいてみる。
「お話が長くなるなら、ここでも撮れ高を稼いでみようか」
『私は猫派だったから、昔びっくりさせられたよ』
「え、ええ……昔、友達を家に呼んだ時も、うちのは誰彼構わずじゃれついて……」
また彼女の膝下が跳ね上がり、左手が彼に噛みつこうとする。
「パンちゃんも中途半端で焦れてるみたいだし」
二階堂に出来心が降って湧いていた。
マッサージをさせられながら就活の愚痴を聞かされたのは、まだいい。被写体にリラックスしてもらうほうがハメ撮りには好都合である。仕事の範囲と割り切れる。
尉子とぐだぐだ話しているのも、まだいい。スマートフォンをとって通話を始めてしまったのは二階堂であるし、ぐだぐだは尉子のせいでもある。
『ペットも何か仕事に使えないかな……でもガワかぶったままリアル動物とどうやって絡めばいいのやら』
「そう、ですね……獣医さんでVtuberやってる人が、何かやってました、ね」
口で素知らぬ風を装いながら、それ以外で焦れっぷりを見せつけてくるパンちゃんが、二階堂の気分を煽っている。
目前にひねくれながら愛撫をねだっている女体がある。
『そんな知識も経験もあるガチ勢のマネは危ないよ~。生兵法は大怪我のもと!』
しかもハメ撮りのためホテルを借りていて、ここで少しでも多くの痴態を収めておきたい。
「そのあたり……例えば、お姉さまの得意分野に比べれば、どうにかなっちゃうんじゃないか、って気も」
今さらながら、パンちゃんの女体はセックスアピールにあふれている、と実感する。
顔は小さく愛嬌があって、肌も二階堂の愛撫に対してつるつるした触り心地とぷにぷに跳ね返す弾力をくれる。首も肩も手足もウエストもほっそりしているのに、バストだけこんもりとしている。
そして耳元や首筋に彼の顔を近づけると、触れる前から肩や首を身動ぎさせる。バストがぷるぷる揺れて目立つ。とても敏感そうに見えて、実際に敏感である。
今日まだ触れていない桃色の乳輪の丘が、薄いタオル越しにほんのり盛り上がって見える。彼が彼女と初めて会った日、そこを爪で軽く引っかいてやっただけで彼女は甘く悶えた。
『法律のマニアはプロばっかりだけどさ、動物はどうかな』
「動物好きは……まぁ、いるでしょうね、母数が」
記憶をなぞるように、彼が手をもたげ、彼女のバストに触れる。
『プロは知識を出し惜しみするわ。商売道具だもん、タダで披露したら……って気持ちがどこかで歯止めをかける。でもアマチュアのマニアは、ね』
「あぁ……ファッション、お料理、健康、ガジェット、音楽、歴史、鉄道……」
彼女の膝が反応して、足が振り子のように再び跳ね上がる。彼の片手に噛みついていた左手がぴくぴく震えたあと、一転して手をフラフラ浮かせ、その手で口元を隠す。潤んだ目で彼を睨んでいるが、彼からだと流し目にも見える。
『つまり重箱の隅を嬉々としてつついてくる鬼門のジャンル……考えてみると、鬼門、多いな!?』
「……コラボ候補の人の、守備範囲にあったら、勉強させてもらいま~すっ♪ って便乗するぐらいがいいかも、ですね」
彼女の左手がしていた〝挙動不審〟を思い出して、彼は彼女の髪、首元、肩、タオル越しのアンダーバストとウエストを撫でる。
タオルで隠れていても、彼女の下腹部や尻、太腿がきゅうきゅう力んでは緩む一部始終がつぶさに観察できる。
『それがいいわね、知らないうちこそできるってこともあるし』
「……あたしは学生で、知りません教えてくださ~いってねだるプロみたいなもんですけど……っ……知らないうちこそ、とは」
バスタオルの太もも側の裾を引っ張って彼女の気を引いたあと、内腿の間に手をねじこむ。彼女が急にぎゅうと力を込めて太ももを閉じようとするが、彼の指が入る隙間が残ってしまう。
『昔の私が、Vtuberにもっと詳しかったら、始める踏ん切りがついたかは怪しいよ』
「それは、怖いもの知らずと言うのでは」
中指で粘膜をなぞる。ぬめっとした感触を恥丘にまで塗り拡げる。彼女が内くるぶし同士を押しつけ合う。お尻と太ももが力むあまり、彼女が座ったままなのにタオルとシーツとの衣擦れが微かに聞こえる。
『怖いもの知らず! パンちゃんにそう言われるとはぁ』
「……当てつけを、言わないで、くださいっ」
彼の二の腕にごつん、と何か硬く滑らかなものがぶつかってきた。手を止めると、また彼女の涙目と視線が合う。眉が八の字の形をしていて、肘打ちをされたと気づく。
『……後悔してる? 私なんかのためにあそこまでしてくれたこと』
「ああ、いや、そんな……そこまでガチで言ったつもりじゃあ、ない、ですっ――」
肘をぶつけてきた彼女の左腕が、フラフラと沈む。左手が左膝に乗せられて、じっと動かなくなる。肘打ちしてきたくせにしおらしい。
彼はちょっと不安になって、彼女の左腕を撫でてみる。ぴくぴく緊張が伝わってくるが、左手を左膝に乗せたまま。
「――我ながら、かなりやらかしちゃったなあって思ってるんです、あの時は……ねぇ?」
『それ自虐のつもりだろうけど私にも刺さってますよ、八百会パンドラさん』
「じゃあ、アレが、アレが女の敵で全部悪いってことでっ」
撫でる場所を、彼女の左腕から左腿に移してみる。むっちりしていた太ももが強張ってかちかちになる。
「そんなに緊張させてたら、足が張り詰めちゃうかも。またほぐして欲しいの?」
そうささやくと、いくらか両足の緊張が和らげられる。それからふくらはぎをベッド下に引っ掛けるように両膝を折りたたんで、両腿の間に彼の片手がぎりぎり入れそうな隙間が空く。
『……んー、まぁ……いやいや、ごめんねダラダラと。気になっちゃって』
「っん……何の話をしてたんでしたっけ……?」
左腿を撫でながら、その隙間に彼の手を近づけていく。肘打ち前に突っこんでいたときより、一層しっとりした肌触りを感じる。
『お仕事のスケジュールの話よ。ここまでしゃべった他にも、できるかもな~ぐらいの案件があるんだけど』
「では、詳しくはメッセージで……文字じゃないと、うっかり……忘れちゃう、かもなんで」
両内腿の間のタオル地がじっとり濡れている、と気づく。
『あるって言っておいてなんだけど、就活してるんなら面接とか優先しなきゃ、だよ』
「……お姉さまに、そこまでお気遣いいただいちゃうと……」
太ももやお尻とタオル、ベッドの衣擦れに加えて、ふくらはぎとベッドの擦れる音も重なる。
急に触れたら爆発してしまうんじゃないか、と荒唐無稽な危惧が浮かんで、彼はわざと彼女の左腿に手をべったりとつけ、じりじりとした手つきで秘所へ近づける。
『誰かほかに気遣ってくれる? 少なくとも事務所のスタッフはダメね。パンちゃんがうまくいい会社に就職してVも卒業~ってなったら困る立場よ』
「っぁ……おっしゃる、とおり、で……」
彼が気づいたときには、べっとり熱い粘膜が触れていた。
「……しょうじき、悩ましいところで、は……あぃっ!? ひ、ぁ」
彼女が背中を反らしつつ左手で口元を塞ぐ。ウエストや下腹部が苦しむようにくねる一方、ほんの入口に届いただけの二階堂の指先に、生暖かく粘っこい液体がとくとくと湧いてどんどん絡みつく。両足が膝を曲げてカギ型になったまま硬直している。
『パンちゃん、おーい、パンちゃーん?』
「すみま……ああ、あ……ッう、あ……」
『ちょっとパンちゃん大丈夫、ねぇ、ねぇったら』
二階堂は、音漏れしていた尉子の声がいきなり遠ざかったことで、パンちゃんが電話を取り落としたと気づいた。
「パンちゃん、手に持っていられなくなっちゃったんだ」
パンちゃんはまた二階堂を潤んだ瞳で睨むと、スマートフォンをハンズフリーモードに切り替えた。
「き、汚い話なんで、言いたくなかったんですが……」
『汚い話?』
「辛いものたくさん食べると……食べる時だけじゃなく、その、出るときも」
『……うわぁ、挑戦したんだねぇ』
辛いものを食べすぎたので、喉粘膜がひりついているのに加えて、お腹やお尻の調子も悪くなってしまった。そういう言い訳を、パンちゃんが尉子相手に述べていた。
「ほら、上体をしっかり上げておっぱい見せて。腰だけなら僕が支えていてあげられるけど」
「っ……っうぉ、おぅ……おなかに、ちょっと、きちゃ、って……」
『病院行ったら? 無理しないで』
述べながら、ベッドに四つん這いにされて、二階堂から後背位で貫かれた。
ベッドに置いたスマートフォンを通して尉子と通話しているため、上半身はすっかり伏せて、二階堂のピストンや軽いスパンキングでぺちぺち叩かれる尻だけ高く上げられている体勢である。
「ほら、お姉さまが黙っちゃってるよ。怪しんでるのかもね」
「ひっくひぃっ……!! ハッ、はァッ……おなか、ほんとに、その……ごめん、なさ、いっ……ぉ……」
二階堂のペニスで膣奥やクリ裏をこすられ、手足や胴体が震えてのたうつ。巻いていたタオルなどとっくに剥がれ落ちている。後ろ髪で見え隠れするうなじ部分にざわざわ鳥肌が立っていて、薄暗い照明なのに二階堂からも見て取れる。
「あとバックでぷるぷるしてるおっぱい見せて。チャームポイントだから撮りたいんだ」
「そんなの、む、ぃ……ぇふ、ぇう……ぁうっ……!」
無理、と口走ったようだが、パンちゃんは両肘をベッドにぐいと突き立てて、どうにか上体を起こそうと努めている。背中を見下ろす二階堂が、彼女の背骨部分の凹み具合を見てほんのり感心する。細い背がぷるぷる震えつつ背骨周りがほのかに凹んでいる。がんばって背筋に力を入れているのか。
「よしよし、上がってきたね。じゃあ突くよ」
「ぁ……っく、ぅ、ぅ……だ、ぇ……あ゙うっ……お゙ぶッ」
二階堂が彼女のくびれを両手で掴み、どしどしと膣奥を刺激する。往復のたびに、ペニスからは膣肉の、手からは腹筋のガタガタ、ガクガクという小刻みな痙攣の感触が伝わり、また両肩も同じリズムで震えて見える。5往復目で彼女はがくんと首を垂れてベッドに顔を押しつけた。肩が下がってGカップの乳房もベッドに押しつけられ、むにゅんと両腕側にあふれる。
「もうダメ? パンちゃん、もっとがんばってっ」
「へぅっ、あぶ、ぅっ、うぅぅんっ……!」
「よしよし、パンちゃん可愛い、おっぱい可愛い、いいぞーっ」
肘をベッドに突き立て直し、腕と肩を震わせつつ荒い呼吸もそのままに、どうにか肩の高さを戻す。
「やらしいプッシュアップだなあ。それ、3つ数えたらまた突くよ。3、2……まだ突いてないよ」
ぺしゃん。むにゅん。
「マン肉はじゅうぶんキツキツだから、おっぱい見せて、映して。はい、もう一度……パンちゃん、聞いてる?」
彼女の下半身は二階堂のピストンに反応している。膣肉を引き締め、尻や腰がフラフラ触れ、ベッドを足のスネや甲でじたばた叩いて、と忙しなく騒がしい。そのくせ、上半身は再びがくんと首を垂れてしまい、動きが重く鈍い。
「ああもう……尉子ちゃんの通話も切れちゃってるよ、いつの間にか」
「ほぁっ、はぁっ……ほ、ほん、と……?」
「……これは切れてるんだよね?」
挿れたまま、二階堂は上半身を屈めてパンちゃんの背中や肩を覆う。彼女のスマートフォンのモニターを近くで改めて目視確認するだけのつもりだったが、一際ぎゅうっときつく膣肉を引き締められ、一瞬気圧される。
「これ、僕が普段使ってないアプリだから、パンちゃんも切れてるか見てってば……しっかりしてよ」
「んぉ、いや、ぁ……ぉお、ッほおぉ……ぉ……!」
彼は期せずして彼女と寝バックの体勢をとっていた。カメラに女体を映しにくく、動きも単調になりがちなイメージを持っていて、ハメ撮りではほとんど選ばない体位だった。
ところがこのとき、彼は寝バックを続ける気分になっていた。
「っ、あっ……あっ……♥ そんな、そこ……っ、ダメ、ッ、お゙っ……!?」
「パンちゃん、寝バックは初めて? もしかして、お好きかな」
「離して……ダメ、なんか、これ、おかし……やめっ、ぉく、こわ、ぃ……」
うつ伏せのまま少しでも二階堂を制止しようというのか、彼女は両膝を急角度に曲げ、つま先や踵をバタバタ振り回しているらしい。ほとんどは虚しく宙をかいて、たまに彼の太ももや足にぺちぺち当たる。
その具合が軽くて、もっともっととせがまれている気がしてしまう。
「ねぇパンちゃん、ちょっと深く入っちゃってるかもしれないけどっ」
「おうぅっ……お、く……ぅ、ぅう……ンああぁああ……っ!?」
また膣奥を突く。こする。腹の底から嬌声が搾り出される。彼女は両手で口元を覆うが、押し殺した息が指の隙間から漏れてしゅうしゅう鳴っていた。
「んんぅっ……ぅ、ふ、っ……こわ、い……ぉ、く、あたる、の……ぉ……♥」
彼女の両脚が不規則に開閉する。太ももがずりずり水っぽくなった衣擦れを鳴らし、それでいて膣肉がぎゅうぎゅう締めつける。ぶちゅ、ぐちゅとした水音に、ぶうっとセックスらしからぬ音が混じる。
「うわ、マン屁なんか鳴らされたよ、僕が下手っぴみたいに見えちゃう」
「お゙ぉっ……んっ……! んぐっ……ほ、ぉ……!」
ピストンの軸がうまく合っていないと、膣肉とペニスと愛液の間に空気が入って、放屁じみた音が鳴ってしまう場合がある。彼女がそれを知ってか知らでか、膣肉から鳴る響きを恥じて、顔を突っ伏しつつ首を横に振る。
「寝バックだと強く入りすぎる? もう少し手加減してあげる」
「ん、んっ……っぃ、や、め゙……っは、はっあっ……あはああぁっ……♥」
それからの彼の責めは、彼にしては珍しく、ハメ撮りの動画映えを捨てた地味な画となる。トントン、トントンとリズミカルに膣奥を叩きつつ、彼女の腰がじたばた逃げると両手で抑えつけ直して位置を直し、再開する。
音は地味ではなかった。マン屁や衣擦れに加えて、ぎゅぷっ、ぎゅじゅっ、という汁気たっぷりにペニスを締める膣肉の音、ひゅうひゅうという喘鳴に濁った声まで重なって響く。
「はああぁっ……♥ ち、が……あっ、あい……い、いく、ぅ゙………ッんひぃっ、お゙っ……ほぉぉおッ……!」
彼女は腰を彼の手で抑えつけられつつも、お尻をくいくい左右に小刻みに振っている。彼からの膣奥責めをいなそうと必死らしい。確かにそうされると、彼女がもっとも反応する芯から責めが指1、2本分ズレてしまう。
「んひぃぃっ、んやっ、っく……ちょっと、休ませて……お゙……ぉお゙イ゙……ぅ……っ!」
「お尻振って煽ってるのかと思っちゃった」
彼が覆いかぶさりながら微修正して膣奥を捉えなおすと、彼女のお尻が動けなくなり、今度は背中が細かく震える。激しい快楽に耐えるため、また両肘をベッドに押しつけぐっと力を入れる。両の肩甲骨がくっきりと浮き上がる。まるで背中から羽が生えようとしているかのように皮膚と筋肉を押し上げている。
もともと背中が細く、普段巨乳でほんのり猫背気味になっているせいか、背中の羽が劇的な変化に見える。
「よし、そうやって感じたまま、おっぱい見せて、がんばれパンちゃん」
また膣奥を捉えこつこつ連打すると、3回目で上げかけた首ががっくり折れてしまう。
「あぁ……ダメかな」
「はぅ、ほぁっ、はぁっ……も、もう……ぅく……くううう、うゔぅっ……!」
「そんなところ噛んで……大丈夫なの?」
続いて彼女は、両腕を折りたたんで顔の前に持っていき、上腕で口元を覆う。何かと思った彼が見ると、なんと彼女自身の二の腕に歯を立てている。
「これはこれで絵になるかもしれないけど……痛いでしょう」
「ふぐっ、んぶ、っぐ……ゔっうゔ……ッ!」
また膣奥を捉えこつこつ連打する。抵抗のつもりか、彼女が急にヒップに力を込めてこんもりさせる。少しピストンが浅くなってしまう。
「ぉお……それは」
「ひうぃイ゙っ……!?」
「力が入っちゃって、かえって刺激が」
つられて膣肉がきゅっと引き締まり、ペニスからの刺激も強くなって悶絶する。結果は抵抗というより自爆だった。
「あっ、あィ……いゃ……イく…ぅ゙……ッ!」
「ほら、噛むのも止めておこう。血でシミできちゃったら迷惑だよ」
彼女の腕を口元から引き剥がしてみると、わずかな血の赤みと、ディープキスでもしたかのような唾液の糸がいくつも見えた。
「あえ゙っぅうっ……や、め゙……これ、イクの、こわ、ぃ……ひぐっ……ぁぐううっ!」
二の腕の噛みつきを止められると、また足が騒がしくなる。足の甲をベッドに叩きつけたりつま先や太腿でシーツをぎゅうぎゅう擦って衣擦れを起こしたりが、寝バックでのしかかっている二階堂からでも、やかましく聞こえる。
「……たまにはこういうのも、いいかもしれないけど」
対してパンちゃんの肉体のほかの部分が、膣奥への一突きごとに従順になっていく。その変化を二階堂はこれまでに無いほど鮮明に感じて、撮れ高にならないとしても寝バックを続けてしまう。
伝わってくるのは主に皮膚からだった。膣奥を突くたびヒップが力むのだが、同時に尻肉が彼の下腹部にみっちり密着する。だんだん、抵抗というよりも、お尻が歓喜に抱擁してくるとも思えてくる。
「おっ奥、奥は、ぁっ……ま、た……ぅく……くううう、うゔぅっ……!」
彼女の肩や背中で浮いたり垂れ落ちたりする汗も、生暖かく、匂いが甘いのに舐めるとしょっぱかったりして彼を楽しませる。もうハメ撮りには使えなさそうなポーズだ、と割り切って彼女の背面にもっとぴったり覆いかぶさる。彼女の震えも、匂いや体温もより深くじんわり染み入ってくる。
これがハメ撮り中でなければ、とチラリと思った。
「ぉお゙ッ、い、いっ……ぃ、ぅ……!」
さらにトントン、トントンと膣奥責めに没頭していると、いきなり彼女が太ももを強く引き攣らせる。寝バックしている彼でも、彼女が足先までピンと伸ばしている、とわかるほど力んでいる。ペニスと膣肉とがますます密着し、快楽も強く濃く深くなる。
「足ピンイキはクセになるとよくないらしいよ……男だけかもしれないけど。パンちゃんったら」
射精にはまだ早い、と彼がほんのり名残り惜しく思いつつペニスを引き抜いた。彼女は足どころか胴も腕もピンと真っすぐにして、全身をベッドに埋もれさせつつ背中とお尻をぴくぴく痙攣させていた。
何となく、それを撮影機材と別に自分のスマートフォンでも撮影しておこうとしたとき、彼は自分の着信履歴に気づいた。
※
『ごめんね二階堂くん、取り込み中だった?』
「取り込み中ではあるんですが、ちょっとした思いつきがありまして」
二階堂への着信は尉子からだった。履歴のすぐあとメッセージも来ていて――用件が、尉子と二階堂が次にハメ撮りする日程調整についてだった――折り返しする必要はなかったが、彼はパンちゃんの隣に座りながら尉子にコールバックしていた。
『……ひょっとして、えっちなこと、してる?』
「ご理解が早くて助かります。かなりのマゾメスなんです。その言葉責めを手伝って欲しいんです。お時間があれば、ですが」
『私が?』
「僕だけではマンネリになってしまいます。それに、やはりマゾメスのツボを知るのはマゾメスです」
『誰がマゾメスよ』
「ザコ乳調教されて泣いて嬉しがってるお姉さんだって評判ですよ」
彼がパンちゃんに目を向けると、彼女の背中がぴくりと震えるのが見て取れた。
どうやら通話相手が尉子だと気づいてくれたらしい。
「ちょっと……アンタ……マゾメスって、もしかして……」
どうにか誤魔化したばかりの尉子が再来して、連続絶頂直後の放心も破られたらしい。彼女が肩や腰をがくがく震わせながらも、上体をもたげて二階堂に抗議を投げつけかける。
『あれ? ひょっとしてマゾメスってパンちゃん?』
「どうしたんですか」
『今、なんだか聞き覚えのある声が』
「いやぁ、もっとずっとマゾメスの子です。パンちゃんもなかなかだと思いますが」
『もっとずっと!?』
出かかった彼女の抗議を、彼は視線と言葉だけで押し留める。
「……ええ、今、メス犬らしくなれるよう躾をしてます。そうなると、僕一人でぶつぶつ人間の言葉をしゃべるわけです。これがなかなかきつくて」
『それで言葉責めを私に手伝えっての……できるかなぁ』
尉子に話しかけると同時に、パンちゃんに表情だけで言い聞かせる――ハメ撮りはこのまま続行、うまくメス犬のマネをして尉子お姉さまを誤魔化しきって――パンちゃんの喉が、こくんと鳴った。
「パンちゃんどころか、もしかするとこれまで撮った中で一番ひどいマゾメスかもしれません。もちろん、お時間がなければ結構ですが」
『また新しい女の子をダメにしてあげてるんだ』
「そういう商売です」
彼は今の尉子が食いついてくると期待していた。ハメ撮りスケジュール調整の連絡など急ぎでもないのにまず通話アプリを使ってきたので、餓えている気分だろうと見こんでいた。
『……他の女を躾ける手伝いして欲しいなんて、普通だったら、ブチギレたり、百年の恋も醒めるんだけどなぁ』
「だから尉子ちゃん、というか晴美さんにしか頼めないんですよ。協力してくれた実績があるし」
『へいへい、私はセックスのために後輩を売った女ですよぅ』
尉子がスマートフォンの向こうで唸っている間に、彼は自分の荷物からあらかじめ用意しておいたドリンクを取り出し、ベッドに座りこんでいるパンちゃんの頰に押しつけた――ひょっとして、前からメス犬になってみたかった?――生ぬるくなったボトルだったのに、彼女は冷水入りをくっつけられたかのような悲鳴で反応した。
『よし、まずはチンチンね。犬にやらせるみたいに、そのマゾメスちゃんに命令するのよ』
「……僕も妙案と思いますが、あえてその狙いをうかがいましょう」
『あとでドギースタイルが確定でしょ、じゃあ先に四つん這い以外のポーズを映しておくのが無難でしょう』
「撮影・編集する側の都合もわかってくれていて本当に助かります」
『お姉さんこれでもちょっと生身で撮られる商売してたのよ?』
二階堂が尉子との通話をスピーカーに切り替えて、パンちゃんに目を向けてみる。彼女がベッドの上でノロノロと身を起こし、そのまま膝立ちになろうとしてふらついていた。
その肩を支えてやりつつ、ささやく。
「床だよ」
「ふぇ……?」
『犬が人間の寝床に入るんじゃないわよ~』
「あとこれから嬉ション垂らさせまくるので、ベッドの上だと」
『マゾメスちゃんに責任とらせて後始末させりゃいいじゃない』
「犬の粗相は飼い主の責任です」
『……へぇ、そういう方針なんだ、二階堂くんは』
「……ぁは、っ、はっ、はっ……」
彼に寄りかかって膝立ちする彼女の下半身が、荒く浅い呼吸に合わせてわずかに震える。汗や愛液が生乾きで股間や内腿に残ったままで、甘酸っぱい匂いが立ち上って嗅覚をくすぐる。
「はい、チンチン」
「うぅ……っくぅんっ……」
『おやおや、不服なようで』
「お恥ずかしい、躾がなってなくて」
『いいんじゃない? マゾメスってのは、わからされたいものなのよ』
「円滑な撮影にご協力いただきたいんだけどな」
二階堂のつぶやきで言い訳を得たか、パンちゃんはノロノロとベッドを下りて、覚束ない腰つきで床に膝立ちになる。
「チンチンです。おっぱい隠しちゃダメ」
彼女は豊満な胸を両腕で隠そうとしていたが、二階堂が念押しすると、見えない縄で吊られているようにぎくしゃくしながら両手を上げた。
すると二階堂が備え付けのバスタオルを持ってきて、彼女の足元に敷こうとしてきた。膝頭と硬い床の間に挟んで保護してくれるつもりなのか、どうせ床も垂れ流して汚すんだから先に敷いておくと言っているつもりなのか。
『マゾメスちゃんっておっぱいおっきいの?』
「そうですね」
『私より? 見せてよ、ビデオ通話にしちゃいましょうよ』
「……ザコ乳具合で言えば晴美さんが明らかに上ですね」
『あー話を逸らしたーっ』
「わ、わぅっ!? わんっ! あんっ!」
ビデオ通話にされたら、メス犬の真似をしている自分の姿を見られてしまう。そこから話を脱線させるために犬の鳴き真似をする。とんだ矛盾だった。
『若そうな子だね、声が』
「僕より年下ですね」
『あらあら、お若いのに性癖めちゃくちゃね』
「パンちゃんと同じぐらいらしいです。パンちゃんよりめちゃくちゃですけど」
『へぇ~?』
「例えば……喘ぎ声がね、オホオホって、低く濁ります。パンちゃんはキャンキャン甲高いですよね」
『それは、声質もだけど、姿勢とか、体調にもよるんじゃないかしら』
チンチンをしながら半開きになっていた彼女の唇が、犬というより陸の魚のようにパクパクと何度か空気を食む。下腹部に加えて喉やデコルテまでひくひく震える。
誤魔化すために喉を潰して喘げ、と彼の指図を理解してしまったらしい。
「この息苦しくないはずのチンチンポーズでも、オホオホしちゃうんです」
『オホオホじゃあ犬っていうか猿……がんばって犬の真似をしなきゃダメって趣向なんだね』
二階堂も床に降りてパンちゃんの隣に座り、スマートフォンをわざわざ彼女の前に置く。このまま〝嬉ション〟させられたらかかってしまう、と彼女が目で咎めてくるが、無視する。
「ふぁっ!? ぁ、ふ、んんっ……! ぁ、おんっ……」
〝チンチン〟で無防備な彼女の割れ目に指を入れてやる。思わず苦笑させられる奇妙な声を漏らしてきた。
『うーん、マゾメスちゃん、もっと犬っぽくしなきゃね、あんあん、くぅーんって』
彼女の意識は羞恥と倒錯ですっかり混乱していた。
自分が八百会パンドラであるとバレないためにはオホオホ喉を潰して喘がなければならない。同時に忠実なメス犬としてワンワン鳴かなければならない。あんまりな二律背反に心の底まですくむ。
いっそ、考える余裕が消し飛ぶほど二階堂が責めてくれれば、とすがりたくなる。
「ワンちゃんのおまんこ……子宮が下りてるのか、おまんこ全体がきゅううって縮んでるのか、指でも届いちゃいそうだ」
『そんなのあるんだ。エロ本とかだけだと思ってたけど』
「尉子ちゃんのπの日って発想もエロ本らしかったですよ」
懇願が伝わったものの、反対に二階堂の指遣いがゆっくり浅くなる。それに〝ワンちゃん〟という呼び方も、なんだか〝パンちゃん〟に似せて聞こえる。
「はっ、ん……んんっ! わぅ、あう、ぉっ……っは、はっあっ、あはああぉっ!?」
彼女の細い腰が跳ね、バストがゆさゆさ揺れる。太ももや尻の肉が力んで盛り上がる。チンチンのポーズでバランスが取りにくいらしく、あっさり崩れかける。ただ姿勢を立て直すだけで息を切らせてしまう。
『ダメ。全然人間よ。メス犬とは程遠いわ』
「よだれベタベタなのは犬っぽいですよ。ほら、これ誰の匂い?」
二階堂がべとべと汚れた指先を、彼女の鼻先に突きつけてきた。失禁に残り香も混じって生臭く、鼻どころか目も反らしたい。
「ほら、ワンちゃんみたいに、クンクンって嗅いでごらん。誰の匂い?」
二階堂の仕草と声音が、誘惑と脅迫になって彼女を揺るがす。従えば、彼と顔を合わせる前に抱えていた悩みも疲れも消し飛ぶ快楽をもらえる。逆らってしまえば、お預けにされる。機嫌を損ねれば、顔出しでハメ撮りを流されてしまうかもしれない。
「く、くふ……くぅん、くぅん……」
「それは違うけど……まぁ、犬っぽいかなぁ」
『なんだか私までドキドキしてきちゃうね』
二階堂の指先に、頰をすりすりと擦り付ける。白濁液があまりついていない彼の手のひらを舌先でチョロチョロ舐めつつ目で哀願する。
「イカせて欲しい?」
「あぅ、わぅっ……くぅん……♥」
『じゃあ、これからはイッちゃったら〝くぅん〟で、それ以外は〝わんっ〟って鳴くことにしましょう』
「イッちゃったときに〝くぅん〟なんですか?」
『〝わんっ〟だと、イッて口を開けたとき弾みで言えちゃう。〝くぅん〟だとがんばって口を閉じなきゃ言えないの。イク、って言わされるよりイッちゃう、のほうがちょっとだけラクなのと同じね。あと、当然チンチンポーズもキープ』
「そんなっ……!? はっ……ぁぅ、はっはっ……わ、わんっ……」
それから二階堂の焦らし責めが始まった。
「っく……わ、わんっ、わぁうっ……」
『気持ちいいの? もうちょっと哀れっぽく鳴いてみようか』
「わぅ……わんっ、わんっ……きゃんっ!?」
女陰かと思わせて、急に乳首を摘まれる。ひねられる。思わず自分の膝元をずりずり動かしてしまい、床との間に敷いてもらったバスタオルがくしゃくしゃになっている。
「はぅっ、あ、あっ……わんっ、わんっ……あぅ、あぅううっ……」
「チンチンのポーズは崩しちゃダメだよ」
指示通りの鳴き声が難しいので、眉間や頬に皺を寄せて声を我慢しようとする。一転して彼の責めがゆるくなる。ぷっくりしてきた乳首や乳輪を指先でかりかりくすぐられる。もっと刺激してほしくて膝立ち拱手のままバストを揺らすあまり、アンダーバストで汗がぬちゃぬちゃ鳴る。
「お行儀が悪いな」
「わぅ、わうっ……あ゙はっあお゙おおっ!?」
『あれれ、それじゃオホオホって聞こえちゃうよ』
乳首を強くひねられる。快楽をいなそうと腰がへこへこ揺れて、バランスを崩しかけて汗がぺちゃぺちゃうるさくなる。両手を上げながら手のひらに爪を食いこませ、そのまま腕をぶんぶん振って耐える。
「そんな手だと、犬というより招き猫みたいだね」
「はっ、あっ、わんわんっ……おぉほぅっ……っく、う、ッぐ、ひっ」
『それはしゃっくりみたいだね。犬ってしゃっくりするのかな』
乳首愛撫が重ねられる。
腰を止めたまま快楽で痙攣してしまうのを抑えようとして、衝動が内に籠もって声や呼吸を乱す。
「んも゙うっゔっ……わ゙ぁゔ、んん゙ンゔうゔ……ッ!」
『まだイカせてあげてないの?』
「ええ、フリが時々崩れてますし……チンチンのまま体のあちこち必死でヒクヒクさせてるのが、面白くて」
『うわぁ』
矛先がまた女陰に転じる。人差し指と中指を彼女の入口のごく浅いところでぬちぬち抜き差ししつつ、親指でクリトリスの周囲を揉む。
「あっ、あぅっ、ぁあ、そんなっ……わうっ、あうっ、うううううっ……!」
「泣いちゃった。そんなにイカせてほしかったんだ」
『涙を流すのは、犬らしいのかな』
「さぁ」
『いい加減ねぇ』
快楽と、羞恥、屈辱、緊張、被征服感とが彼女の意識にどんどん押しこめられ、理性がどんどん押しのけられる。汗も涙もよだれも垂れ流しでぶつぶつ未練を零す。
「イカせて欲しいなら、がまんしてね。それが一番のおねだりだよ」
「ぅ、ぅうぅ……」
『お返事は?』
「……わ、わんっ……く、く、ぅうっ……」
さらに乳首をかりかり、膣口をぬちぬちと繰り返す。とろ火でじっくり煮え立たせ、彼女の尊厳を蒸発させていく。
「わ、ぁ、あぅ、ん……ぉお、っほおお……お゙……ッ!!」
彼女が予想もしなかったことだが、そうされていくうちに自分の体がどんどんふわふわ軽くなる。軽くなりすぎて恐ろしくて、寝バックのときの重さが恋しくなる。
『もうちょっとマゾメスちゃんの様子を実況してよ。カメラがないからわかりにくいよ』
「そうですね……お腹やお尻や太ももがめっちゃぴくぴくしてます。膣内もすごくきつくて、そのくせちょっとでも指を入れすぎると、ふかふかになった子宮口っぽいところに届いちゃう」
「わぁぅ、ああっ、う、く、ぐぐ、ふぅううっ……! おォおお゙……ッ!! ふかっ、ふかぁぉおほぉおォッ!!」
『こら、違うでしょう。くぅん、だよ』
〝ふかふか〟を指先で揉まれ、またたく間にあっさり絶頂、失禁し、ついに〝チンチン〟が崩れる。ピチャピチャした水音で尉子にも伝わってしまっただろう。それを気にする余裕もなく、倒れかけて、二階堂の肩と首にすがって泣く。
「ぁあうっ、あう、あぅ……っく、くぅん、くぅん、んぅうんっ……」
「ワンちゃん違う、イッちゃったあとじゃなくて、イクときに言うんだよ」
『うわぁ、もしかしてスマホにびちゃびちゃかかってない? 大丈夫?』
「大丈夫でしょう、ちょっとだから」
尉子が〝マゾメスちゃん〟のことを八百会パンドラかと疑う素振りが、もはやすっかり消えている。ありえないはずの痴態を晒しているのだ、と理解させられる。
「ほら、晴美さんに認めてもらえるまでがんばって」
「わんっ、わんっん゙、ぐくっ!? んんんぁぁ゙あああ゙っっ……お゙っ、おっぐ、んんっあ……っぐ、くぅん、ゥ……!」
『ちゃんとイク瞬間にくぅんって言えてる?』
「さっき1回は言えました。よし、よし、いい子」
「ぁ、ぁは……くぅん、くぅん……♥」
『二階堂くーん、1回できたぐらいでそれって甘くない?』
「犬の躾は、できた瞬間ごとに必ず褒めるのが鉄則、だそうです。ちょっと調べただけですが」
二階堂にすがりながら、膣肉を優しく責められ何度もイカされる。人に聞かせられない声や見せられない形相や体液や狂態を、すべて受け止めてもらっている。鳴き声一回ごとにこれまでの自分が消えていくのを実感しつつ、身を任せてしまう。
「それに、マゾメスとしてどうかと思うけど、撮れ高にはなっています」
「あ、はッ、アッアッ……わんっ、わぅんっ、あんっ……っくぅん……♥」
『二階堂くんが甘いんだかドライなんだか、お姉さんわからなくなってきたよ』
度重なる膣イキで彼女が白目を剥いて失神するまで、数分とかからなかった。
『それがマゾメスちゃんのケツかぁ……あんなにだらしない声出してたくせに、なかなか引き締まってるじゃん』
「バックって女体を撮りにくくて、ハメ撮りとしての実用性が気になるんですが」
『おっぱいとか見たい男としてはともかく、マゾメス視聴者としては……女体がある程度隠れているほうが、二階堂くんみたいなイケメンに責められてる女の姿に自分を重ねやすいとも言えるわ。逆に、すらーっとしたモデル体型の子を存分に見せつけられると、ハメ撮りでも興奮より劣等感を刺激されちゃう』
「晴美さんでもですか? 意外だな」
『私が恥ずかしいデカ乳首に開発されたときに反応がよかったのもそういうことよ』
ついに尉子(晴美)との通話がビデオつきに切り替えられたが、カメラに映るのが四つん這いの尻と足だけなためか、八百会パンドラの中の人だとバレずに済んでいる。
『マゾメスちゃん、二階堂くんがみっちり躾してくれてたのに、マンコイキ気持ちよすぎて失神しちゃった? 恥ずかしいねぇ』
「わ、わぅ、わんっ……」
『わかるよ、きっもちぃいもん……で、二階堂くんは撮れ高が欲しいから、これからバックで責めてくれるんだって。でも、命令に従えなかったのにご褒美って、おかしいねぇ』
「わぅ、あ、あうっ」
『何をしたらいいか、考えよっか』
「メス犬に考えさせるんですか」
『人間の知恵を、人間からメス犬に成り下がるために使ってもらおうと思って』
尉子がスピーカーごしに言い終えるより早く、パンちゃんは四つん這いのまま自分の尻肉をがばっと掴み、両手を食いこませ、充血してぽってりしてしまった陰唇を左右に開く。
「わんっ、わんっ、あぅうっ!」
当初とは段違いに大きく響く鳴き真似に合わせて、広げられた膣肉がきゅうきゅうと収縮する。二階堂の耳に、きゅぷっ、ぬちっ、と空気か愛液かが鳴らす奇妙な音も届く。
「あうっ、わぁうっ、あうっ!」
『よしよし、おまんこ広げられてえらいね~。じゃあ次はきゅって締めてみようか。お尻の穴も一緒でいいよ』
「ぁ、ぅ……? あっ、わ、わんっ」
『はい、締めて、緩めて、締めて……緩めて……締めて、しばらくそのまま……息が苦しいかもだけど、がまんしてね?』
収縮と弛緩を何度も繰り返させられると、膣奥から粘っこい液体が垂れて、バスタオルまで落ちる様子も撮れた。
「お上手ですね、さすが動画とおしゃべりのプロって感じです」
『視聴者のみなさんも、私の指示に合わせて、締めて、緩めて、ってしてみてくださ――あッこらっ、見えなくなっちゃった!』
「それはさすがにやりすぎです」
二階堂は感心を一瞬でひっくり返させられ、尉子と通話中のスマートフォンを床に伏せてしまった。
それから引き締めたまま震えているパンちゃんの膣と尻をそっと撫でた。
「っく、ぁ……くぅぅううんっ、くうぅっ……♥」
「ワンちゃん、これだけでイッちゃえるんだ」
「わんっ、わんっ、わんっ」
「もうちょっとだけがんばってね」
「わぁううっ!?」
二階堂がそばでじっと見ていると、パンちゃんがもう少し引き締めたまま堪えようとするが、やがて足が震え、すねと手の甲でバスタオル越しに床をバタバタ叩きだす。
『何、もう入れてあげちゃってるの?』
「まだです。我慢するのが辛いらしくって、ジタバタしてます」
『床でジタバタして青痣でもつけちゃったら、ますますマゾメスらしくなるねっ』
彼女は不可視の口枷や首輪で締められているかのように、膣肉を引き締めたままガタガタ苦しげに震える。そのうち、連続絶頂の余韻とこれからの挿入への恐怖・期待が高まりすぎてか、緊張が破れて尻や膣肉がびくびくと不規則に痙攣しだす。
「ほら、ワンワン、がんばって」
「わぁう、わんっ、わんっ……!」
「チンチン欲しい?」
「わんっ、わんっ!」
『いいね! 次はワンちゃんらしく、片足を上げておしっこのポーズいってみようか』
「ここまで足腰がやられちゃってると、もう無理だと思います」
『ええー……甘いなぁ二階堂くんは』
「本日はいきなりのお願いにもかかわらず、ご協力いただきありがとうございました」
『ちょっ、ここでおしまい!? お姉さんの盛り上がってる気分は!?』
「今度会うときに埋め合わせしますから」
『っくぅうん……絶対だよ! 約束破ったらそのチンポちょん切ってやるからね!』
スマートフォンの通話を切ったあと、四つん這いを保つのも精一杯のパンちゃんに、ようやく手を差し伸べてやる。
「パンちゃん、よくがんばったね」
「わぅっ、わぅっ……くぅん……♥」
「……わぁ、嬉ションか」
「ひ、ひっ……あぅ、あ、あっ……♥」
「それもう一回撮りたい、嬉ションおかわりお願い」
「わ、ぁ……無茶を言うんじゃないわよーっ!」
二階堂が『確か自販機があったから』と飲み物を調達しに部屋を出た。残されたパンちゃんは何度か立ち上がろうとしたが、何度も深呼吸してようやっと、ぐしょぐしょのバスタオルから膝を離した。
彼の作為か偶然か、近くに彼女自身のスマートフォンが落ちていた。震える手で拾おうとして、真っ暗なモニターに反射で映りこんでいた自分の顔があまりにひどくて目を反らしてしまう。
それから気力を振り絞って、四つん這いのまま受けきれなかった床の涙やよだれをタオルで拭っていると、二階堂が戻ってきた。
「延長してきたから、まだ片付けないでいいよ」
二階堂がペットボトルを開栓すると、身を屈め、残りの手で手皿を作って中身を注ぎ、彼女へ差し出してきた。
「……ええと、これは」
「お皿がないから。ボトルから直飲みじゃ、人間らしすぎてイマイチだよね」
あまりの言い草に、顔を上げて二階堂をにらむ。
二階堂の瞳に、ハメ撮り用に調整された部屋の光が反射して見える。
さっきまでの自分の姿をこの男に見られていた、と完膚無きまでに理解させられる。
「これ飲んで休んだら、嬉ションの練習をしようね」
「ちが、ぅ……ゃ、ゃめて、あたし……ぃ……」
「いっぱい頭撫でて、褒めてあげる」
「……わ、ぁ……っくぅ、ぅう、んっ、くぅんっ、くぅん……♥」
「それから、寝バックでもまたイかせてあげる。がんばったもんね、好きに声出していいよ」
彼女は背中や腰をぷるぷる震わせつつボトル1本分を二階堂の手皿から舐めて喉を潤したあと、時間いっぱいまで褒められながら失禁する練習に励んだり、寝バックで床を舐めながら何度も善がり泣いた。
その無理が祟ったらしく、喉や膣肉や膀胱がその後も数日間シクシクと痛んだ。
「……っく、ぅ、んんっ……!」
痛みが収まってからも、トイレの個室で放尿するときや就活などで気疲れしたときに牝犬にされたい衝動がじわじわ湧いて、唇を噛んでどうにか誤魔化す日々が続いた。
「パンちゃんや尉子ちゃんが絡むと編集がたいへんに……って、わかってたつもりだったけど」
二階堂は、ハメ撮りに尉子の音声が重なった部分があまりに多く、また編集作業で頭を抱えていた。
(おしまい)