※この作品はR-18です。

クラスメイトの女神を◯撮するモブ男子   作:安芸田老

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逆さ◯り

 朝の駅に足を踏み入れた瞬間、纏わりつくような空気が鬱陶しげに行き交う乗客たちの肌を撫でる。まだ朝のホームルームにも余裕があるこの時間から既にクマゼミは一斉に響き渡り、盛大な合唱が、これから迫りくる昼の容赦ない猛暑を容易に予感させる。地面から立ち昇る熱気が鉄道の軌道へからみつき、線路の果てへ視線を向ければわずかに陽炎で揺らめいて見えた。

 しかしそんな粘りつくような暑気をまるで感じさせぬ存在が、静かに改札を通る。

 

 西高の二輪の華、そのうちの一輪——冬の華と称される宮藤紘乃。

 

 スクールバッグを右肩に、ストラップを握る指をキュッと握り、人波を縫いながら、整然とした足取りで進んでゆく。ひとつひとつの動作が端正で品性を感じさせる所作、足元に付き従う影すらも穢れなき涼やかさを湛えているかのようだ。革靴がタイルを叩く足音も軽やかに改札を通り過ぎる。

 西高の夏の制服である白いセーラー服のスカーフを揺らし、紺のプリーツスカートの裾がかろやかに従う。駅の喧騒が遠のき、まるで彼女の周囲だけが、密やかな冬の気配を宿しているように錯覚させる。

 階段を昇るたび、陽の光が少しずつ彼女の肌を燦々と照らしていく。細くしなやかな指先が、スカートの裾をそっと押さえる。その仕草の自然な様子は不埒者への警戒というよりも、双方が不快な思いをしないためにという嗜みが宿る。

 揺らめく陽炎の向こう、汗ばんだ額を拭う人々の群れのなかにあっても、彼女の額はひと筋の汗すら許さぬかのように、凛とした白さを保っていた。

 ホームに並ぶ列の最後尾に加わる。

 静かに流れる風が、ひそやかに彼女の髪を撫でた。夏の朝特有の湿り気を帯びた空気が、人々の間をあまねく抜けていくくせに、不思議と彼女の立つ場所だけは清澄な空気が漂っているようにさえ思える。一度、電光の案内板に目を向けて運行状況と時刻を仰ぐ。さらりと揺れたハーフアップの髪が紺地のスカーフの上を軽やかに流れていく。電車が届くまでに僅かな待ち時間、バッグから単語帳カードを取り出し、伏し目に捲る。足元には、陽光に焼かれたアスファルトの鈍い輝き。けれど、彼女の影だけは、その光の熱を吸い込むことなく、ただ静謐にそこに佇んでいる。

 クマゼミの声がさらに響きを増す。駅の構内に充満する蒸し暑さに辟易しながらも、朝の通勤客たちは誰もが無言で汗を拭い、肩をすぼめて列に並ぶ。しかし、紘乃の姿には微塵の乱れもない。反対のホームに滑り込む電車に押し出された空気が風となって吹き抜けると、柔らかく揺れるブルネットの髪の隙間から、白磁のような首の薄肌が覗く。そのひんやりとした質感を思わせる白さが、どこかこの灼熱の朝にそぐわぬほどに端正だった。

 ホームドア、次いで電車のドアが段階を踏んで開いていく。目の前を駆け抜けてゆく学生たちの足音、遅刻を恐れて早足になる会社員の急ぎ足。それらの雑然とした動きのなかで、紘乃はまるで異なる時間の流れの中にいるかのように、穏やかで、凛然としていた。

 ふと、強い風が吹き抜け、スカートの先がふわりと舞う。膨らんだスカートはまるでパニエを着けたスカートのように美しく舞い上がり、単語帳を捲っていた指先が離れてそっと浮かび上がった布地を押し付ける。スカート越しに、雰囲気とは裏腹に肥えた肉付きがまろいラインを描く。すぐ後ろに並んでいた学生が、ぎょっと目を瞠って彼女の思いの外、安産型のヒップラインを凝視した。ただ、そんな思春期の感情が爆ぜそうな想いに気付くこともなく、紘乃は単語帳にまた目を通していく。

 湿気を含んだ風のなかで、彼女の周囲だけが違う季節を生きているかのようだった。蝉の鳴き声がさらに激しさを増し、遠くの空には、ぎらつく陽光が容赦なく大地を焼きつける。しかし、そのなかにあって、紘乃の立ち姿は、まるで冬の朝の静寂を映したかのように、清らかに、ただそこに咲いていた。

 

 ——冬の華は、夏の陽にも溶けることなく、ただ気高く咲いていた。

 

 

 そんな、物語上のヒロインのような少女を。

 後ろに並ぶ学生、篠原光一は傷心と寂寥を胸の奥に抱えて見つめていたのだった。

 

 ◆

 

 彼女の背を、篠原光一は遠くから認めていた。

 胸部以外はすらりとした肢体が、まっすぐにホームへと向かう間も。

 セーラー服のスカーフが規則的に揺れ、紺のプリーツスカートが彼女の足の動きに合わせてふわりと弧を描きながら階段を登っていく間も。

 ホームの行列に並び、電車を待つ間も。一切の迷いなく。

 光一は、そっとその後ろに並んだ。

 

 自他ともに認める『モブ』。

 光一は、異能に片足を突っ込むレベルで、周囲に存在を認知されにくい。

 気遣いに満ちた対応から、西高吹奏楽部の母とも呼ばれる紘乃でさえ、光一の存在には気付けず単語帳に目を通したままだ。

 呼吸を抑え、静かに距離を測る。じり、じりと。ほんの数歩先にいる彼女との距離を、コンマ数センチずつ、詰めていく

 彼女の後ろ姿を見つめるだけで、胸の奥が熱を帯びる。けれど、その熱は決して表には出ない。彼女にとって自分は、ただのクラスメイトのひとり。吹奏楽部で楽器を構え、特別目立つこともない、地味な存在——。

 それでも、彼女が目の前にいるという事実が、光一にとっては日々を彩る奇跡だった。

 その足元、彼の登校用のスニーカーには、足の甲の空気穴に擬態した小型カメラが仕込まれている。

 夏の熱気が満ちるホームの空気に、彼女の纏う涼やかさが溶けていく。光一は、言葉にならない想いを抱えたまま、そっと足元に視線を落とす。靴の先が、わずかに震えているような気がした。

 ひと息、深く吸い込む。

 目を伏せたまま、足の位置を入れ替えて、筋肉を解すように。さりげない風を装いながら──彼女が佇む脚の間、革靴と革靴の間に爪先を捩じ込んだ。

 

 ──叫び出せない、しじまの歓喜。

 

 光一の興奮を代弁するかのよう、蝉の鳴き声が、高らかに夏の朝に喚き散らす。

 

 ──その日。

 

 インターネット黎明期から存在する巨大掲示板。

 その中のアングラな性的嗜好をテーマにした掲示板群の中にひっそりと立てられていた西高吹奏楽部のアンチスレ。数ヶ月前に動画化されていた二輪の華たちを中心にした吹奏楽部の定期演奏会の動画。それらの明度をいじりセーラー服に浮かぶ下着の刺繍を強調したり、揺れる制服越しの胸やスカートの裾をスローモーション化したりと下劣な欲望を好き勝手に吐き散らかしていたそのスレッドに、一つの動画が貼り付けられた。

 

 ◆

 

 空を向いたカメラの画角。薄暗い場所を捉えるために事前に調整された画面は、画面の大多数をハレーションが締めている。揺れる画角が、端にスカートの裾を捉える。

 ふわり、ふわり。ホームの構造上、どうしたって揺れる裾は彼女の気品のある所作をもってしても止められない。とは言え、はたからみればなんてことのない、むしろ制服の清楚さを醸し出すようなゆらめきが、この画角では致命的だった。

 一気呵成の勢いで、カメラはスカートの真下に潜り込む。

 夏の日差しは容赦なく紺の布地を貫通し、透かされた紺地が淡い光をまとい紘乃の肌に照明を当てれたかのよう映り込む。紺のスカートの外はハレーションを起こしたまま、『スカートの中』だけを撮るためだけに調整されたレンズ。陽炎のなかにゆらめき揺れる紺のスカートが不規則に空気を含んで膨らみ、夢の中の幻を見るかのように控えめに踊る。まるで触れようとすれば指の隙間からするりと逃げてしまいそうな儚さを纏っていた。

 カメラは、光一の悪意は、完璧だった。映像の下端は彼女の白いソックスを鮮やかに映し出す。運動部もかくやと言った具合で身体を動かし続ける吹奏楽部での活動に誰よりも意欲的に取り組む彼女のスタイルはまるで人の手で作られたかのように完璧で。捉えた脚線の輪郭はあまりにも整いすぎていて、文句のつけようがない。細い足首からふくらはぎ健康的な筋肉を纏いつつ雄の劣情を誘うかのような曲線を描いて膝の後ろを通る。シミも、ホクロもない柔肌は遮る物は既になく。足下にねじ込まれてしまったカメラへの対策などなく、更に無防備に奥を暴かれていく。

 次に目に入るのは、引き締まった下腿の印象からすればむっちりとした印象を抱かせるふとももだ。余計な力が抜けているのに、それでいて揺るぎない軸を感じさせるのは彼女の鍛えられた肉体の強さを感じさせる。

 はただ立っているだけで、その場の温度をわずかに下げてしまうのではないかと思えるほど、静謐な空気を漂わせていた──―なのに。いかな彼女とて、人間なのだろう。

 住人たちは、次に映し出される映像に狂喜した。

 ふとももの上、毎日の鍛錬にぷりんとハリに満ちた桃尻は、艷やかに膨らんで、ふとももとおしりの境界線はここですよ、と丁寧に教えてくれている。そんな、揉み応えを想像せずにはいられない弾むような桃尻を包むパステルブルーのショーツ。

 そよ風に晒されたスカートが明度の調整に、細かく明暗した先で。パステルブルーのショーツが覗く。臀部を包む履き口はレースが縁取って静かに揺れ、薄絹のように繊細で涼しげ布地が彼女の下半身を包んでいる。腰の履き口には紺色のフリルがアクセントとして一周している。下腹部を包む意匠は背後からは覗けないが、足の間から僅かに覗く下腹部の曲線に微かに映った糸の具合からして、花をモチーフにしているのかもしれない。朝の光を透かすスカートの下、細やかなレースの模様のとある一部分が、住人の歓心を誘った。

 それは形よく膨らんだ安産型の、彼女の雰囲気とは裏腹に淫猥な肉感を宿す臀部。

 左辺の桃を包む涼し気な青色。

 彼女の臀部に食い込み縒れて、半ケツを晒していた。

 陽の光が透けるたび、ショーツが守れずむき出しになった尻肉は淡く発光するようにきらめき、風が戯れるたびに、ほんのわずかに食い込んだレースが身をよじって尻の谷間に躙り取られる。光と影が交互に踊り、彼女を魅力的に飾るために織り込まれた糸の一本一本が、叛逆するように淫らに装う。

 投稿者の字幕が画面の端に挿入される。

『清らかで甘いホワイトティーのボディミストが、ほのかに香ってきました』

『いい匂いだなーて思ってたんですが、何食わぬ顔で半ケツ晒してたんすねwww』

 

 当たり前の事実。

 人間なのだからそんな瞬間とてあろう。幼児のように人前で直すのも行儀が悪いし、紘乃の精神性を思えば余計だ。

 けれど、そんな事はスレッドの住人たちには関係ない。

 本来後ろ足の履き口を可憐に彩るはずの繊細なレース飾りは、谷間に食い込んでいるせいでむしろ少女の尻肉の弾力を伝える淫靡な飾りと化していた。

 紺色のスカートは眩しすぎる外界とを隔てるスクリーンと化している。展開される肉感に満ちた肌色、腿肉と尻肉の饗宴。風にスカートが揺れるたび、脚線を彩るようにライティングを変えている。

 ふいに、画面の左端に静止画が配置された。

 白地のセーラー服に紺色のスカーフ、紺のプリーツスカートという清楚な制服に身を包む紘乃の立ち姿だ。スカートの裾からしなやかに伸びる脚はスラリと美しく、未だ成長過程の華である片鱗を覗かせる。

 そんな清楚な佇まいと、覗かれているなど意識もしていない逆さ撮りの半ケツドアップ映像は、投稿者の底意地の悪さを滲ませる。事実、「ほら、ヌキやすくしてやるよwww」との字幕。

 そんな投稿者の嘲笑に、けれど住人たちは映像を止める事は出来ない。

 本来なら目にするだけで得をしたと思えるような極上の美少女の逆さ撮り、更に半ケツ食い込み映像と来れば投稿者の自我がウザい事なんて大した事ではなかった。

 遥か上を見上げたレンズが捉える光景に魅入ってしまう。風を孕み、光を浴びて、その繊細な衣装が両足の間を健気に守る。肉付きのよい臀部に食い込む履き口を飾るレースは、右辺の桃尻はしっかりと完全ガードしている。しかし、ガードしたところで、繊細なショーツに出来る事などたかが知れている。手を伸ばし確かめたくなるようなカーブを描いた臀部は隠しようがないし、むしろ、しっかりとガードした分、臀部に微かに食い込んで支えている様は、左の食い込んだ半ケツとの対比によってかえってってエロティックかもしれない。

 若い女体だけが放てる柔肌のきめ細かさ。滑らかで、揺らめくスカートがもたらす光の加減によって様々な表情を見せる。重心の配分を右足から左足に変えればパステルブルーの布地が健気に付き従ってくねり、違う皺を刻んだ曲線を描く。

 ──また、食い込んだ。

 もしかしたら、少女の日々の成長に、ショーツのサイズが追いついていないのかもしれない。また僅かにむき出しになった左の尻肉。ずり上がった白い陶磁のような肌には、レースが食い込んでいた跡がうっすら赤くなっているように見える。

 男たちの視線は、彼女が秘す全てを暴こうと懸命だ。

 張り詰めた臀部を包む布地と比べれば、くしゅりと縮む部分がある。開かれた足の付け根。まるで、最後の砦のように隔てるパステルブルーは、クロッチ部分が分厚く、何とかショーツの主の秘密を暴かせまいとしているかのようだ。とは言え、前身と後ろを守る布地と比せばあまりに脆弱な布の量。むしろ、クロッチ部分にこそ彼女の恥ずかしい秘密があるのだと喧伝しているかのようだ。彼女の秘密を暴き立てるほどに縒れていないとは言え、既に食い込んでいるショーツの守りはとても危うい。右の内ももと左の内ももに食い込むゴムと淡い青色が彼女を守っているけれど、横断した布地から輪郭が、想像できてしまう。

 ──ここからが、始まりで。

 ──ここに割れ目があって。

 そんな男たちの妄想を、ショーツの持ち主さえ知らぬ欲望にクロッチが晒されている。

 

 薄汚い雄の影が、少女の純潔にそっと忍び寄る。それは、まるで静かな夜に、女の後ろ姿を眺める男のような薄暗い情欲。超然と佇む少女は、男たちの悪意に気づくこともなく、無邪気に単語帳に目を通したまま、自分さえも見たことのない半ケツをオカズに、何億匹という子種を放たれていた。




次回合宿回で下着コキと望遠露天風呂撮影執筆中だけど、完成が遅くなりそうなので盗撮タグが嘘じゃんと思われないために取り急ぎ。という割に、ヒロインを強調する描写に超がつくくらいこだわったので、これが第一話目の方がいい気がしてきた。
あと、前回の掲示板回1~20までのレス番、コピペミスして抜けていました。現在は修正しています。

もう一つ、お願いです。
その内、本編での5ちゃんねる風アンチスレッド回を予定しています。
https://odaibako.net/u/Akitarou5ch
に、下卑たコメント、送ってくれたら嬉しいです。本編に組み込めるような薄汚い劣情まみれのコメント待ってます
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