孕ませプリンセス!~孕ませを守る3人の魔法少女たち~ 作:XX(旧山川海のすけ)
第64話 阿比須町へ
「心愛! 今の君はここに至るまでの自分を振り返らないと駄目だ! 自分が何を考えて来たのか、何を背負っているのか、それを考え直そう!」
私の肩に両手を置いて訴えかける雄介君の言葉は、私に突き刺さった。
そうだ……
私は師匠と立ち会って、師匠に負ける自分ばかりを想像していた。
絶対に勝たないといけない相手に、勝つ自分を想像できなかったんだ。
技術や実力以前の問題……心の強さで負けていたんだ。
リトライするには、ド級の覚悟が必要になる。
師匠の強さは、師匠自体の強さはもちろんだけど、それ以前に……
例え人類を危機に晒しても、絶対に旦那さんの子供が欲しいという覚悟がある。
だからあの、ゼツボー的な強さがあったんだよ。
「それに阿比須町に戻れば、人血饅頭を購入できる!」
……それもあるよね。
私はプリンセスコキュートスエンドフィンガーで凍結粉砕され、無くなってしまった右腕の付け根を押さえる。
人血饅頭。
阿比須町の名物だ。
処刑があった日に販売される、死刑囚の血液を練り込んだ生地を使った、豚肉の肉饅頭。
肉は死刑囚の肉を餌に使ったブランド豚の阿比須豚。
万病に効き、癌も糖尿病も治る。
そして人体欠損にも効くんだ。
……つまり平たく言うと……私の場合は新しい右腕が生えてくるんだよ。
だから
「分かった……戻ろう。阿比須町に」
私は頷いた。
そんな私たちに
「純真さん、貴女が居ない間は、私たちがこのボテハラ市の平和を守りますから」
「必ず、メツボウプリンセスに勝つための何かを掴んで帰って来て。……頼んだよ」
葵さんと美池さんが、里帰りを決意した私にエールを送ってくれた。
私を信頼している瞳で。
私は頷く。
……うん。
ここに戻ってくるときは、私は師匠をワカらせられる女になって帰って来る。
絶対に。
約束するよ……!
そして私たちは、故郷である阿比須町に向けて出発した。
学校は休んだ。
雄介君の2000の技のひとつ「書類偽造」で、インフルエンザの診断書を捏造して提出したんだ。
2人分も。すごいよね。
このボテハラ市から
在来線に新幹線も併用して1時間の距離。
そこに阿比須町はある。
駅で電車を降りると、改札の上に
『新しくこの町に入る方へ。一切の希望を捨てて下さい』
そんな看板がある。
まあ、住人の8割が人間のクズだしねぇ。
置き引きやひったくりの発生率が、周辺の街の3倍あるし。
暴行事件の発生率は5倍だったっけ。
しかも税金は未だにお米や麦、蕎麦で納めてる未開の土地なんだよね。
私は懐かしい気持ちになった。
「心愛、右手が無いから切符通しにくいでしょ。やってあげるよ」
人間社会は右利き前提で造られているからね。
そう、手を貸してくれる雄介君。
私は彼に深い感謝を覚えながら
「ありがとう。お願いね」
左腕でポケットから切符を出したんだ。
主人公、故郷に帰還す。
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