孕ませプリンセス!~孕ませを守る3人の魔法少女たち~ 作:XX(旧山川海のすけ)
全ての処刑が終わり、市職員による処刑場に使われたグラウンドの清掃が開始される。
血液をホースで水を流して洗い流し、解体の際に出た糞便も処理する。
私たちは、用意していたゴミ袋に捨てられたごみを拾って集め始めた。
この程度のことはしておかないと。常識だよね。
ここの人たち、道にゴミを平気で捨てるし、立小便や野ぐそ上等の野蛮人だからね。
ホンの1時間程度のショウなのに、いっぱいゴミが落ちてたよ。
……明らかに人糞まで転がってたから、それは流石に見ないふりをした。
どうりで異様にうんこ臭いと思った。
そして雄介君に持ってもらったビニール袋が2つほどパンパンになったあたりで。
アナウンスが流れた。
『会場の皆さま、お待たせしました。あと10分で本日分の人血饅頭を販売いたします。限定品です。おひとり様1個までとさせていただきます』
あ、時間か。
私たちはゴミ袋の口を2つ、縛って。
人血饅頭販売の列に並んだ。
お財布から千円札を取り出して貰って、2人で並ぶ。
人血饅頭は1つ1000円。
万病に効く最強の回復アイテムがたった1000円だなんて、破格の安さだ。
「すぐに食べない場合は冷凍してくださいね」
運動会やイベント会場あるあるのテントの下、市役所の職員さんが人血饅頭を販売している。
皆、笑顔で千円札を差し出して、人血饅頭を買っていく。
食べれば万病が治り、人体欠損まで治る。
……スポーツ選手も混じってるかもしれないよね。
体の不調の最後の希望だからね。
……生きてるだけで他者に迷惑を掛け、苦しみしか与えて来なかったクズの、社会への最後のご奉公。
今頃は地獄の底だろうけど、この最後の善行が閻魔様に評価してもらえるといいね。
私は列に並びながら、素材になった3人の堕ちた先に思いを馳せた。
と、そんなことを考えているうちに
私の順番が回って来た。
「人血饅頭ください」
左手で千円札を差し出す。
すると引き換えに、ラップで包まれた真っ黒い肉まんを渡してくれる。
「熱いうちに食べて下さい」
私の右腕が無いことに気づいて、職員さんがそんな温かい言葉をくれた。
嬉しい。
「はい」
私はそこに、人間同士の繋がりを感じた。
そして。
私は、グラウンド隅にある石のベンチに腰掛けて、雄介君に人血饅頭のラップを剥がしてもらうのを待っていた。
右腕が無い私には、本来ならこれはやり難い行動なんだけど、他人の手が借りられるのなら何も問題は無い。
「心愛」
そして私の隣で作業してくれていた雄介君が、ラップが剥がされたホカホカの人血饅頭を渡してくれる。
両手があれば、2つに割るところだけど。
それは無理なので、私はそのまま齧り付いた。
血を練り込んだ饅頭だけど、血生臭さは全然ない。
むしろ阿比須豚の肉で作った肉あんが、本当に美味しかった。
そして1分掛からず私が人血饅頭を1つ平らげてしまったとき。
私の右腕の付け根が熱くなった。
「うっ」
思わず呻くと
「心愛、大丈夫か?」
雄介君の気遣い。
私がそれに対して「大丈夫」って返そうとしたとき。
ズボオッ!
そんな音がして。
私の右腕が生えて来た。
一気にだ。
某ナメック星の知的生物みたいに。
空っぽだった右腕の袖に中身が入り、袖口から手の甲がコンニチハした。
……私の新しい右腕は、粘液で濡れてて。
私の服の右袖を濡らしていて。
その手の甲の皮膚は赤ちゃんみたいに綺麗だった。
生まれたての、新しい私の右腕……
私はそれを自覚したとき。
涙が溢れた。
……これは、人間の築いた智恵の結晶なんだよね。
人の世があったから、私の右腕は再生したんだ……
私はそれで確信した。
……絶対に、師匠を止めなきゃダメだ。
どんな理由があっても、AHRの野望に手を貸すような真似、許すわけにはいかない。
その先に幸せなんて無い。絶望だけだ……
だから歩み寄りなんて無い。
やってることは全部、否定するよ……。
それを決意し、行うだけのものを今、貰えたと思う。
私はベンチを立った。
そして
「雄介君。戻ろう……私たちの街……ボテハラ市へ」
そう言って彼に。
生まれ変わった新しい右腕を差し出したんだ。
主人公が地元で掴んだモノ。
それを師匠にぶつけてあげよう。
(ここで第6章は終了です)
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