終章
二日後――。
菜月の葬儀が執り行われた。
修次と美智子は参列したが、心ここにあらずといった様子だった。
菜月の遺影が無言で二人を見詰めている。
(ごめんな、菜月ちゃん・・・)
修次は心の中で謝罪する。
そして、葬式は終了した。
葬儀場を後にする修次と美智子の足取りは重かった。
二人とも無言で歩いている。
「ねえ、修次・・・」
突然、美智子が口を開いた。
「・・・?」
修次は彼女の方を向く。
「これからは・・・二人で頑張りましょう」
「そうだな・・・」
修次は頷く。
(そうだ、俺がしっかりしなきゃな)
美智子の肩を優しく抱くと、彼女は微笑んだ。
その日の夜――。
夢の中の修次は、見知らぬ森の中でたたずんでいた。
と――。
『修次君、修次君・・・』
聞き覚えのある声が、自分を呼んでいる。
『菜月ちゃん!?』
修次が振り向くと、そこには死んだはずの菜月が立っていた。
蒼ざめた顔ではなく、生前の健康的な顔色をしている。
「ど、どうして・・・!?」
『ふふ・・・』
菜月は悪戯っぽく微笑む。
『修次君、ありがとう』
「え・・・?」
『あたしね、修次君にたくさんの思い出をもらったよ』
「菜月ちゃん・・・」
『あたし、とっても幸せだった。だから・・・ありがとうって言いたいの』
菜月は修次の手を取ると、自分の胸に押し当てた。
柔らかな感触と体温が伝わってくる。
「・・・!」
思わず顔を赤らめる修次。
『修次君、大好きだよ・・・』
そう言って微笑む彼女を見て、修次は胸が熱くなるのを感じた。
そしてそのまま唇を重ねようとしたその時――!
(はっ・・・!?)
目が覚めた。
時計を見ると午前二時。
汗だくだ。
(まだ夢の中なのか・・・)
しかし、不思議と恐怖心はなかった。
何気なく天井を見上げると、消え入るような声がした。
『さようなら、修次君』
「え・・・?」
それは聞き覚えのある声だった。
修次は思わず振り向くが、そこには誰もいなかった。
(今のは・・・)
もしかすると・・・。
菜月の霊だろうか?
(菜月ちゃん・・・ありがとう)
修次は心の中で感謝の言葉を述べた――。
それから数日後の事だった。
学校から帰宅する途中で、修次の前に一人の女性が現れた。
それはあの、里美の姉、琴美だった。
「琴美さん・・・」
「修次君、久しぶりね」
彼女は微笑む。
しかし、その瞳は悲しそうだった。
「あの、俺に何か用ですか?」
「・・・ええ。あなたに話したい事があるの」
「実は・・・」
そう言うと琴美は懐からナイフを取り出した。
「ちょっ、何をするつもりなんですか!?」
修次は慌てて後ずさる。
しかし琴美はじりじりと距離を詰めてくる。
「あなたの・・・あなたのおかげで、私や妹の人生が滅茶苦茶よ・・・!」
琴美の顔には憎悪の色が浮かぶ。
「あなたの・・・あなたのせいで!」
そう言ってナイフを振りかざしてくる。
「ま、待ちなさいっ!」
叫びながら、制服姿の女が後ろから琴美に抱き付いた。
「貴子・・・さん!?」
それは貴子だった。
「離しなさいっ!」
琴美は必死に抵抗するが、体格差があるため振り払えない。
「こんなことして、妹さんが喜ぶと思うの!?」
「うるさいっ!」
琴美は貴子を振り払った。
そして、再び修次を睨み付ける。
「・・・修次君、あなたを絶対に許さないわ」
そう言ってナイフを構え直そうとしたその時だった。
「もうやめて、お姉ちゃん!!」
「・・・里美」
妹の里美だった。
「お姉ちゃんのばか! どうして修次さんを傷つけたりするの!?」
「だって、こいつが・・・!」
琴美は里美に食って掛かる。
そんな琴美の前に貴子が歩み寄ると、自身の手のひらを彼女の頬に飛ばした。
パンッ! 乾いた音が辺りに響く。
「・・・!」
琴美は呆然とする。
「まだわからないの? あなたのやっていることは、自分自身を死刑台に押しやるようなものよ」
貴子は静かな口調で言う。
「それに、妹さんの幸せを願うなら、あなたは生きなきゃいけないわ」
「・・・っ!」
琴美は下を向いたまま震えていた。
そんな琴美の手を里美がそっと握る。
「お姉ちゃん・・・」
琴美は暫く黙っていたが、やがて顔を上げ修次に言った。
「・・・ごめんなさい」
「いえ、わかってもらえれば・・・いいんですよ」
修次はほっと胸を撫で下ろす。
(良かった・・・)
これでもう大丈夫だと安堵する。
しかし、琴美は続けて言った。
「でも・・・あなたの事は許せない」
そう言うと、彼女はナイフを握り締めて修次に向かってきた。
「えっ!?」
突然の事に反応できない修次。
(だめだ!)
そう思った時、貴子が割って入った。
銀色の刃が貴子の腹に喰い込み、衣服を血に染める。
「貴子さん!」
「う・・・っ」
彼女はその場に膝をつくと、そのまま倒れ込んでしまった。
修次は慌てて駆け寄り抱き起こす。
「大丈夫ですか!?」
「ええ、なんとかね・・・」
貴子は苦しそうな表情を浮かべながらも微笑んだ。
「良かった・・・」
ほっと胸を撫で下ろす。
そんな二人を琴美が見下ろしていた。
「・・・ごめんなさい」
そう言って頭を下げると、その場から駆け去って行った――。
その後、貴子は病院に搬送された。幸い命に別状はなく、数日で退院できるそうだ。
(良かった・・・)
修次は安堵の溜め息をついた。
気になるのは、あの琴美の様子だった。
(単に犯された恨みからなのか・・・。まるで何かに操られてるみたいだったな)
修次は考え込んだ。
「どうしたの?」
貴子が心配そうに尋ねる。
「・・・いえ、何でもないです」
修次は慌てて首を振った。
(今は考えても仕方がないか・・・)
それよりもこれからの事の方が重要だ。
(俺は一体どうすれば良いんだろう?)
このままを女性の自分に対する恨みに怯えながら生活していくのだろうか? それとも・・・。
(俺は・・・それだけの事をしたのだから、当然の報いか)
そんな事を考えていると、貴子が話し掛けてきた。
「ねえ・・・修次君」
「なんですか?」
「私ね・・・あなたには幸せになって欲しいの」
「・・・!」
その言葉に胸が熱くなる。
(この人は本当に俺の事を心配してくれているんだな)
そう思うと涙が溢れてきた。
「ありがとう・・・」
修次は涙を拭うと笑顔を浮かべる。
そんな様子を見て安心したのか、彼女は微笑んだ。
「ううん、良いのよ。気にしないで・・・」
貴子はそっと修次の頬に触れる。
そしてゆっくりと唇を重ねた。
(温かい・・・)
その温もりに安堵する修次であった。
(う・・・)
自身の肉柱が取り出される感覚。
修次は思わず声を漏らした。
次の瞬間、肉柱の先端が温かい感触が包み込んだ。
「んっ、んっ・・・んむっ・・・」
「た、貴子さん・・・っ、怪我してるのに・・・そんなことしたらっ」
修次は慌てて止めようとするが、彼女は首を振った。
「いいの・・・私がしたいの」
貴子の巧みなフェラチオによって、修次の肉柱は見る間に膨張していく。
「んっ・・・ちゅぷっ・・・」
卑猥な音が部屋に響き渡る。
その音を聞いただけで興奮してきてしまった。
(ああ、だめだ・・・!)
我慢できなかった。
次の瞬間、彼の肉棒は熱い液体を大量に放出した――。
「あはっ」
貴子は嬉しそうに微笑むと、それを全て飲み干したのだった。
そして窓辺に立つと、寝間着と下着をずり下ろし、こちらに尻を向けた。
「た、貴子・・・さんっ」
修次は思わず生唾を飲んだ。
彼女のそこは、既に濡れそぼっていた。
「お願い・・・」
貴子は切なそうな声で言う。
「・・・わかりました」
修次はゆっくりと腰を下ろすと、貴子の肉球の狭間に顔を埋め、秘貝に舌を這わせた。
「あっ、あんっ」
彼女は思わず声を上げる。
修次は夢中で舐め続けた。
「ああっ、いいっ・・・!」
貴子は快感に身を捩らせる。
「反応早いですね。もう潤ってますよ」
「あんっ、そんな事言わないでっ」
貴子は頬を赤らめて言った。
修次はそんな様子にクスッと笑うと言った。
「じゃあ・・・挿れますよ?」
そして、自身の肉柱をゆっくりと挿入していく・・・。
「ああんっ!」
貴子が甘い声を上げる。
(やっぱり凄いな)
彼女の膣内は狭く、とても熱かった。まるで生き物のように蠢いているのが解る。
「動きますね・・・」
そう言うと、修次は腰を動かし始めた。
「ああっ、いいっ!そこっ、凄く気持ちいいの!」
貴子は喘ぎ声を上げる。
「傷口が痛みませんか?大丈夫ですか?」
修次は心配になって尋ねた。
「ううん、大丈夫よ」
貴子は首を横に振ると微笑んだ。
(良かった・・・)
安堵の息を漏らした修次は、一層腰を前後に振る。
「あうっ、ああっ、凄いっ・・・!」
貴子は快感に身を捩らせる。
そんな様子に興奮し修次もさらに動きを早める。
「ああんっ、もうだめっ・・・イクッ!イッちゃうぅぅっ!!」
一際大きな声を上げ、彼女は絶頂に達した。
同時に膣内が収縮を繰り返し、肉柱から白濁液を搾り取っていく・・・。
その刺激で修次もまた達してしまったのだった――。
しかし、二日後――。
貴子の容態が急変した。
突然、吐血したのだ。
「貴子さんっ!」
修次は慌てて駆け寄り、彼女の身体を抱きかかえる。
「た、貴子・・・さ・・・ん・・・」
だがもう遅かったようだ・・・。
彼女は既に息絶えていた――。
「そんな・・・」
修次はその場に崩れ落ちる。
(俺がもっと早く気付いていれば・・・)
そんな後悔の念に苛まれたが、どうすることもできなかった。
(どうしたら良いんだ!?)
途方に暮れる修次。その時だった。
「修次君、だったね」
不意に背後から声を掛けられた。
貴子の担当医だった。
「これを、君に・・・」
そう言いながら、一通の便箋を手渡される。
「・・・これは?」
修次は不思議に思いながらも受け取る。
「私は見ていないが、恐らく遺書のようなものだと思う・・・」
彼はそう告げた。
「わかりました」
修次は便箋を開くと中身を確認した。
(こ・・・これは!?)
そこに書かれていたのは衝撃的な内容だった――。
(そんな・・・こんなことって!)
修次の目から涙が溢れ出た。彼女はずっと前からこの事を予感していたのだ・・・。
そんな彼を励ますように医師が言う。
「大丈夫だ、気をしっかり持つんだ!」
その言葉に、修次はハッとなった。
(そうだ・・・こんな所で落ち込んでいる暇はない!)
彼は涙を拭うと便箋を封筒に戻し、それを懐へ仕舞った。
「先生、ありがとうございました」
そう言って頭を下げると、医師は微笑んだ。
「いや、礼には及ばないよ」
そして続ける。
「私はただ、自分の仕事を果たしただけだ・・・」
そう言い残し病室から出て行ったのだった――。
修次が帰路に着こうとした時、黒い煙が上がっていた。
自宅の方からだ。
「なんだ・・・?」
彼は嫌な予感を覚え、慌てて駆け出した。
(まさか・・・)
最悪の事態が脳裏を過ぎる。
(頼む、無事でいてくれ・・・!)
祈るような気持ちで自宅へと駆け込む修次。
しかし、そこで見たものは――。
中から火の手が上がり燃え盛る自宅。
「そんな・・・」
彼は愕然とした。
そして、ふとある事に気付いた。
(そういえば、義姉さんは・・・?)
そう思った矢先の事だった。
「修次!」
声を掛けられ振り返ると、そこには一人の女性が立っていた。
「義姉さん・・・!?」
それは美智子だった。
「よかったわ・・・無事だったのね」
美智子は安堵の表情を浮かべる。
「ええ、何とか・・・それよりこれは一体・・・」
修次は困惑した様子で訊ねた。
「あなたの部屋にあったあのハードカバーを手にしたら、独りでに火を吹いて・・・」
美智子は申し訳無さそうに言った。
「そうか・・・」
修次は納得したように言った。
(やはり、あの本が原因なのか・・・)
彼は思案を巡らせた。
しかし今は考えている場合ではないと思い直すと、彼女に向き直ると言った。
「・・・とにかく今は消火活動をしよう」
「ええ、わかったわ」
美智子も頷く。
その時――。
『役立たずの死にぞこないども・・・』
どこからか声がする。
黒煙の中から、男とも女ともつかない、低く唸るような声が響き渡った。
修次と美智子は炎に包まれた自宅を前に、凍り付いたように立ち尽くす。
「誰だ!?」
修次は警戒しながら周囲を見回す。
しかし、煙と炎が視界を遮り、声の出所を特定できない。
美智子は恐怖に顔を青ざめさせ、修次の腕にしがみついた。
『貴様らは、我を失望させた。消えろ・・・!』
再び響き渡る声。
今度は、先程よりも明確な殺意が込められている。
同時に燃え盛る炎が激しさを増し、熱風が二人の肌を焼くように襲い掛かる。
「義姉さん、危ない!」
修次は美智子を庇うように抱き寄せ、炎から身を引いた。
その瞬間、焼け落ちたはずの屋根の一部が崩れ落ち、二人が立っていた場所に激突する。
「きゃっ!」
美智子の悲鳴が上がる。
修次は咄嗟に美智子を抱きかかえ、瓦礫の雨の中を駆け抜けた。
「一体何が・・・!?」
瓦礫から逃れ、息を切らしながら修次は叫んだ。
美智子は震えながら、修次の服を強く握りしめている。
『無駄だ。貴様らは、この炎と共に滅びる運命なのだから・・・!』
声はさらに嘲笑するように響き渡る。
炎はまるで意思を持っているかのように、うねり、高さを増していく。
修次は、ただの火災ではないことを確信した。
あのハードカバーが、そして、聞こえてくる声が、この異常事態を引き起こしているのだ。
「義姉さん、ここから離れよう。危険すぎる」
修次は美智子の手を引き、炎から遠ざかろうとした。しかし、その時、美智子の足が止まる。
「修次・・・あれを見て・・・!」
美智子が指差す方向には、炎の中からゆっくりと人影が現れようとしていた。
それは、燃え盛る炎を纏い、まるで炎そのものが形になったかのような異様な姿だった。
『さあ、絶望しろ。そして、炎に抱かれて死ね・・・!』
炎の人影は、不気味な笑みを浮かべながら、ゆっくりと二人に近づいてくる。
修次は、絶望的な状況に追い込まれながらも、美智子を守るために、覚悟を決めた。
(一体何が起こっているんだ・・・!? この炎は、そして、あの声は・・・!?)
修次は、迫りくる炎の人影を睨みつけながら、必死に思考を巡らせる。
そして、一つの可能性に辿り着いた。
(あのハードカバー・・・あれは、ただの本ではない・・・! 何かを封印していた、あるいは、何かが変化した・・・!)
修次は、炎の人影との対峙を前に、最後の賭けに出ることを決意した。
「義姉さん、少しだけ時間をくれ! 俺が、何とかする!」
修次は、美智子を安全な場所に避難させると、炎の人影に向かって走り出した。
彼の心には、恐怖と同時に、湧き上がるような決意が宿っていた。
「やめろっ!」
修次は叫びながら、炎を纏った人影に向かって体当たりを仕掛ける。
だが、その身体は炎をすり抜けるように突き抜けてしまった。
(やはりか・・・・・・)
彼は舌打ちをした。
同時に、炎の人影も驚いたように目を見開くと、ニタリと笑う。
『無駄だと言っただろう?』
その言葉と同時に、修次の身体が炎に包まれていく。
皮膚が焼け爛れていく激痛に襲われながらも、それでもなお足掻き続ける。
(諦めるものか・・・!)
彼は、必死に思考を巡らせていた。
このまま炎に焼かれて死ぬわけにはいかないのだ。
愛する義姉を護らねばならないのだから――。
その時だった。
『そうよ、諦めないで!』
静かだが、力強い声。
貴子の声だ。
修次はハッと我に返ると、辺りを見回す。
貴子の声が聞こえたのは、確かに修次の耳だった。
しかし、周囲に貴子の姿はない。
幻聴か、あるいは別の何かなのか。
混乱する修次の意識に、再び貴子の声が響く。
『修次君、思い出して。あの本に何が書かれていたか。あの本の力を利用するのよ!』
声は、まるで修次の心に直接語りかけているかのようだった。
修次は、激痛に耐えながら、必死に記憶を辿る。
あのハードカバー・・・古びた洋書・・・そこに書かれていたのは、古代の魔法に関する記述だった。
特に、炎を操る魔法、そして炎を封印する魔法について、詳細に記されていたはずだ。
(そうだ・・・炎を封印する魔法・・・!)
修次は、かすかに残った意識を集中させ、本に書かれていた魔法の呪文を思い出す。
それは、複雑な古代言語で綴られた、長く、そして難解な呪文だった。
しかし、修次は、必死にそれを唱え始めた。
「・・・エクス・・・フレイム・・・イン・・・テル・・・ディクト・・・!」
言葉は途切れ途切れになり、声も弱々しい。
しかし、修次は何とか呪文を最後まで唱えきった。
すると、彼の身体を包んでいた炎が、一瞬、弱まったように感じられた。
炎の人影は、驚愕の表情で修次を見つめる。
『何・・・だと・・・?』
炎の人影の身体が、徐々に不安定になっていく。
まるで、その存在を維持できなくなっているかのようだ。
修次は、最後の力を振り絞り、再び呪文を唱え始めた。
今度は、より強く、より明確に。
「エクス・フレイム・イン・テル・ディクト! エクス・フレイム・イン・テル・ディクト!」
呪文を唱えるたびに、炎の人影の身体は、さらに小さくなっていく。
そして、ついに、その姿は完全に消え去り、後に残ったのは、ただの燃え盛る炎だけだった。
炎は、まるで力を失ったかのように、勢いを弱めていく。
修次の身体を包んでいた炎も消え、彼は地面に倒れ込んだ。
全身は焼け爛れ、意識も朦朧としている。
「修次・・・!」
美智子が駆け寄り、修次を抱き起こす。彼女の顔は、涙で濡れていた。
「修次、しっかりして! 大丈夫・・・? 大丈夫・・・?」
修次は、かすかに微笑んだ。
「・・・義姉さん・・・無事で・・・よかった・・・」
そして、修次の意識は、闇の中に沈んでいった。
どれくらいの時間が経ったのだろうか。
修次は、病院のベッドで目を覚ました。
全身は包帯で覆われ、痛みもまだ残っている。
しかし、彼は生きている。
ベッドの傍らには、美智子が座っていた。
彼女は、修次の目を覚ましたことに気づくと、安堵の表情を浮かべた。
「修次・・・! よかった・・・本当に、よかった・・・」
「義姉さん・・・」
修次は、弱々しい声で美智子の名前を呼んだ。
「もう大丈夫よ。あなたは、本当に頑張ったわ」
美智子は、修次の手を握りしめた。
「あの炎は・・・?」
修次は、尋ねた。
「消えたわ。まるで、最初から何もなかったみたいに・・・」
美智子は、答えた。
「あのハードカバーは・・・?」
「警察が回収したわ。詳しく調べるらしいけど・・・」
美智子は、少し悲しそうな表情を浮かべた。
「私たちの家は・・・」
「・・・もう、住めないわね」
美智子は、言葉を詰まらせた。
修次は、静かに頷いた。
家は失った。
しかし、彼は、大切な義姉を守ることができた。
それが、何よりも重要なことだった。
「・・・義姉さん・・・」
修次は、再び美智子の名前を呼んだ。
「・・・これから、どうしようか・・・?」
美智子は、少し考えた後、微笑んだ。
「・・・二人で、新しい生活を始めましょう。きっと、もっと素敵な未来が待っているわ」
修次は、美智子の言葉に、希望を見出した。
彼は、再び立ち上がり、新しい人生を歩んでいくことを決意した。
三年後―――。
「あぁ、んふぅ、ぅん、む、んっ・・・・・・」
口とペニスの隙間から声が漏れる。
ベッドに横たわる修次に覆いかぶさるように、美智子は彼のペニスを頬張る。
修次も負けまいと彼女の秘唇に舌を這わせる。
「いい反応だね。もう濡れてる・・・」
「あんっ、言、わないでぇ・・・」
美智子は恥ずかしそうに顔を背ける。
しかし、その反応とは裏腹に、彼女の膣からは愛液が溢れ出している。
「ほら・・・こんなに濡れてるよ」
修次はそう言いながら、さらに強く吸い付いた。
「ああぁぁっ! そ、そこぉ!」
美智子は体を大きく仰け反らせる。
あの火事で家を失った二人は、九州に引っ越してきた。
幸い、二人の貯金は多く、安いアパートなら借りることもできた。
そして、修次と美智子は恋人同士になり、一緒に暮らしている。
「義姉さん・・・そろそろ・・・」
「う、うん・・・」
美智子は恥ずかしそうに小さく頷くと、修次の腰に跨る。
張り詰めた先端が秘唇に触れた刹那、美智子はゆっくりと腰を下ろす。
「んっ・・・!」
美智子は小さく声を上げた。
彼女の中は熱く、柔らかく、そしてきつく締め付けてくる。
「義姉さん・・・」
修次はゆっくりと腰を動かし始める。
「あっ、ああぁっ! ああぁぁっ!!」
美智子は修次の動きに合わせて嬌声を上げる。
美智子の裸体が弾けて、のけぞる。
美智子を馬乗りにさせたまま腰を揺さぶる。
ロデオのような体位で、二人は激しく求め合う。
「んっ! あぁん!! ああぁぁっ!!」
美智子は快楽に身悶えし、修次のものを奥深くまで呑み込んでいく。
「い、生きて・・・。生き続けて・・・。菜月や貴子さんの分まで・・・!」
美智子は修次にしがみついたまま叫ぶ。
「その言葉、そのまま義姉さんに返すよ。義姉さんも、ずっと・・・!」
修次はそう言うと、強く腰を突き上げた。
「んあぁぁっ!! ああぁんっ!!」
美智子は一際高い声で鳴いた。
そして、二人は同時に限界を迎えた。
「ああぁぁぁっっ!!」
「くぅっ!!」
熱い奔流を子宮に受けながら、二人は果てた。
その後、二人は抱き合ったまま眠りに落ちた。
(菜月ちゃん、貴子さん・・・。二人とも、俺の心の中で生き続けている。だから、俺は・・・)
修次は心の中で呟いた。
「義姉さん・・・・・・」
そして、隣で眠る美智子にそっと口付けをした。
あのハードカバーがもたらした悪夢は、終わったのだ。
そして、彼は、愛する義姉と共に、未来へと歩み出す。
(完)