※この作品はR-18です。

篠ノ之箒の双子の妹にTS転生したので、専用機自力開発してIS学園でハーレム作ろうと思う   作:読人不識

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18時05分にバレンタイン記念更新があります、お楽しみに。


第十二話 ガール・ミーツ・ガール

「ふ~ん、君はシャル君のお母さんが使ってたISだったんだね」

 私は産まれたままの姿で、裸で隣に眠るシャル君のペンダントのような待機状態のISに手を触れ、彼女とそう会話する。

「それでお母さんの代わりに彼を守ってる? そうなんだ? でもボーデヴィッヒさんのISに対して第二世代の装備では、ちょっと決め手に欠けそうだね? 力を貸してほしい? うん、いいよ。第三世代並みに出力上げる程度ならすぐにできるよ」

 私は彼のISのコアとそんな約束をする。

 

 そして私は彼女にかけられた制限を少し解放する。

(どこから束お姉ちゃんが覗いてるか分からないから、大きく解放はできないけど。この程度ならいいよね♡)

 私はそう心の中で呟く。そして、一通りの作業を終えると、そのまま眠りについた。

 

「おはようシャル君」

 朝起きてすぐに隣のベッドで寝ているシャル君に声をかける。すると彼は眠そうな目を擦りながら起き上がる。

「おはようございます榊さん……」

 そんな寝ぼけた様子の彼に私はキスをする。

「え? あ、あの……榊さん!?」

 ああ可愛いわ♡ もうこのまま襲っちゃおうかな? でも、まだ早いよね。

 私は名残惜しいけど唇を離すと、

「ごめんねシャル君。つい可愛くてキスしちゃった」

「あ……あの……僕まだ歯も磨いてないですよ?」

「うん? 知ってるよ」

「なら……」

 もう食べちゃいたいくらい可愛いわ! でも我慢我慢。

 私は彼に服を着せると、そのまま手を引いて食堂へ向かう。

 するとそこにはすでに一夏と箒ちゃんがいて食事していた。

「おはよう二人とも」

「ああ、おはよう榊。シャル もおはよう」

「お、おはよう榊」

 箒ちゃんは普通に挨拶してくれたけど、シャル君はまだ恥ずかしいのか少しぎこちない。

 そんな所も可愛い♡

「ねえ一夏? 更識簪って子知ってる?」

 私は一夏にそう問いかけると彼は、

「いや、知らないな」

「あなたの白式を優先するために、割を食った日本代表候補生よ。まだ謝罪に行ってなかったのね……」

 ため息をつきながら一夏にそう告げる。

「いや、その……」

「まあ良いわ。私も一緒に行く」

 私はそう言うと一夏と箒ちゃんの間に座る。

 するとシャル君が私の隣に座った。

 そして私達は食事を始めるのだった。

 

 放課後になり、子犬のように私になつくシャル君と一夏を引き連れ、私は更識簪がいる整備室へ向かうことにした。

「ところでさ、一夏は謝罪しに行くのはわかるんだけど、榊さんは何でその更識さんに会いに行くの?」

「ラウラ・ボーデヴィッヒと更識簪、その二人が代表候補生で、専用機持ちらしいんだけど、織斑先生からどっちと組むか選べって言われて……」

「ああ、なるほどな」

「だから更識簪に協力してもらおうって事ですか?」

 一夏が納得したように頷き、シャル君がそう聞いてくる。

「うん、まあね。でもそれだけじゃないんだけどね」

 私はそう言って苦笑する。

「じゃあなんでだ?」

「それは秘密かな? まあいずれわかるよ」

 そんな会話を交わしながら歩いていると整備室に到着したので中に入ることにした。

 

 

 整備室の中は薄暗くて埃っぽかった。そんな中、部屋の隅にあるデスクに向かって作業している一人の女子生徒がいた。

 彼女がおそらく更識 簪であろう。

「こんにちは更識さん、でいいのかな? 私は篠ノ之榊、こっちの美少年はシャルル・デュノワ君、でこのぼーっとしたのがあなたにご迷惑をおかけした織斑一夏よ」

 私がそう言うと、彼女は驚いた顔をしてこちらを見る。

「えっ!? あっ! は、はい!」

「驚かせてゴメンね。ちょっとお願いがあってきたのだけど、時間あるかしら?」

「大丈夫です。今日は特に予定は無いので」

 そう言って彼女は微笑んだ。

 その笑顔はとても可愛くて思わずドキッとする。

(うぅ可愛い♡……反則だよぉ……)

「まずは一夏、更識さんに謝りなさい」

 私は少しキツめの顔で言う。

「はい……俺のせいでご迷惑おかけしてすみませんでした!」

「…………」

 一夏は私に言われるまま謝罪をした。

 

「あの……お気になさらないで下さい……。私の方こそ色々とごめんなさい……」

 そう言って彼女は深々と頭を下げる。

「まぁ本当に悪いのは、珍しいからって大してISの知識もない男子の専用機開発を急がせた偉い人たちだけどね。とりあえずこれで遺恨はなしね?」

 私はそう言って微笑む。

「それで本題なんだけど、更識さん私と組んで学年別トーナメントに出場してもらえないかしら?」

「えっと……その……」

 私がそう言うと、彼女は困ったような表情を浮かべた。

「あのっ! 実は私、日本の代表候補生なんですが、専用機が完成してなくてまだ未完成状態です」

 彼女は申し訳無さそうにそう言った後、自分が日本国家代表候補生であることと、第三世代型IS『打鉄弐式』の開発者であることも話してくれた。

 どうやら『打鉄弐式』は倉持技研ではなく、彼女自身で開発しているらしく、現在は未完成状態らしい。

「なら私たちが協力するわ! もちろん訓練も手伝う」

「おいおい榊! そんな勝手な事……」

 一夏はそう言うが、私は気にせず続ける。

「それに私達ならデータとかたくさんあるわよ?」

 そう言ってウインクする。

 するとシャル君も賛成してくれたようで、

「うん! 僕も協力するよ!」

 と言ってくれたので、一夏も渋々了承した。

 こうして私達は更識さんに協力することになったのだった。

 

「それで機体はどの程度完成してるの?」

 私は更識さんにそう訊ねた。

「外装まではなんとか……推進系とかほぼ手付かずで……それに武装もまだ開発中なんです」

 彼女は申し訳無さそうにそう言った後、

「でも……その……私の打鉄弐式は欠陥機なので、あまり期待しないでもらえると……」

 と付け加えた。

 しかし私はそれを聞き逃さなかった。

(この子今なんて言った? 欠陥機って言ったわよね?)

「ちょっと! あなたそれ本気で言ってるの!?」

 私は思わず声を荒げてしまった。

 だってそうだろう。自分の専用機を欠陥機呼ばわりするなんて普通じゃないわ。

「え? あ、あの……ごめんなさい!」

 私の剣幕に驚いたのか彼女は謝ってきた。

「ああ、ごめんね? 別にあなたを責めてるわけじゃないのよ」

 そう言って私は彼女の頭を撫でる。

「全てのISは本当の意味では完成してないの、だからピーキーだったり特化しすぎた機体は欠陥があるように見えちゃうのよ……」

 

「そう……なんですか?」

 更識さんは不思議そうな顔で首を傾げている。

「うん、でも安心して? あなたは一人じゃないわ。私がいるもの」

 そう言って私は微笑む。すると彼女は安心したのか笑顔を見せてくれた。

「はい! よろしくお願いします榊さん!」

 こうして私達は協力関係を結ぶことになったのだった。

 

 学年別トーナメントまであと数日となったある日のこと、私は整備室で更識さんと一緒に作業していた。

 ちなみにシャル君は一夏と模擬戦をしている最中である。

「う~ん、稼働データの検証まで考えると、二人じゃ手が足りないわね。整備課の人にも応援してもらう?」

「あ……でも……お姉ちゃんが……」

 更識さんは言いにくそうにそう呟いた。

「お姉さん?」

「その……私と違って優秀だから、ロシアの国家代表になっちゃってて……」

 ああ、なるほどそういう事ね。

 どうやら彼女は姉と比較されるのを恐れているようだ。

 確かに優秀な姉妹と比べられるのは辛いだろうなぁ。

「そっかぁ」

 私は少し考える素振りを見せた後、身の上話をした。

「私にも姉と双子の姉がいてね、姉の方はISを開発したし、双子の姉は剣道の全国大会で優勝するほどなの。でもそんなの関係ない。例え同じ分野で勝てなくても、私には私が好きで得意な分野で彼女たちを上回ればいいって、そう思ってるの」

「え……? 篠ノ之さんってそういう……」

 彼女は驚いたようにこちらを見た。

 

「だから更識さんにも、開き直って頑張って欲しいなって思うのよ」

 私がそう言うと、彼女は少し考えた後口を開いた。

「……わかりました……少しだけ考えてみます……」

「うん! いつでも相談に乗るからね!」

 こうして私達はお互いを励ましあったのだった。

「それと私のことは簪って呼んでください♡」

「うん♡」

 簪は頬を染めて私を見つめながら何度も頷くのだった。

 

「打鉄弐式は打鉄をベースにした第三世代型ISです。そして基本性能では第二世代の打鉄を超えています」

 現在私達は、集まってもらった整備課有志に向かって、開発中の機体について説明をしているところだ。

「え? でも武装とか未完成なんだよね?」

 私は疑問に思ったことを素直に口にする。

 すると彼女は自信ありげに微笑んだ。

「はい! でも未完成だからこそ、私なりの改造案があるんです!」

 簪はそう言って自分の考えを話し始めた。

「まず推進系なんですが、打鉄のスラスターをベースにした物ではなく、より高出力で扱いやすい物に置き換えます」

 確かにそれなら機動力は上がるかもしれない。

「次に腕部ですが、こちらは打鉄のものを流用して武装を追加します」

 なるほど……これなら拡張領域に余裕が出来るし良いかもしれないわね。

「最後に武装面ですが、主武装として連射型荷電粒子砲《春雷》 2門、対複合装甲用超振動薙刀《夢現》、独立稼動型誘導ミサイル《山嵐》 6機×8門、それをマルチ・ロックオン・システムで管制します」

「なるほど、実体弾に重きを置いてワンオフアビリティを見切る感じなのね?」

 私は思わず頷いてしまった。

 簪は自信ありげに微笑むと、

 

「打鉄弐式は量産機をベースとしているので、再現性の高い仕様にしてあります」

 と言った。

(それは正しい判断かもしれない……でも専用機としては決め手不足になる危険もある)

「専用機としては決め手不足になる危険もあるけど? 大丈夫?」

「それは大丈夫です。この機体は私の夢ですから!」

 簪は目を輝かせながらそう答える。

(この子、本当に自分の機体が好きなんだなぁ)

 私は素直にそう思った。

「うん! じゃあそのプランで行きましょうか? みんなもそれで良いよね?」

 私がそう言うと皆頷いてくれたので、開発計画はこれで決まったのだった。

 

 

 学年別トーナメント当日……私達は第二アリーナの控え室にいた。

 

 シャル君と一夏は既にISを展開して待機している状態だ、彼らはこの私の後の試合で戦う。

 私と簪ちゃんの対戦相手は、ラウラ・ボーデヴィッヒと箒ちゃんのペアだ。

 

 ちなみに簪は機体の最終調整のためこの場にはいないが、一応データを送ってもらっているので問題ないはずだ。

(さてと、そろそろ私も準備しないとね)

 私は制服を脱ぐと下着姿になる。そしてISスーツを取り出すと、下着を脱いで着替える。

 そしてカタパルトまで移動すると、最後にISを身に纏う。

 

「榊さん! 頑張ってください!」

 整備課の人達が声援を送ってくれる。私はそれに手を振って応えると発進準備に入る。

 

「打鉄改……行きます!」

 私の掛け声と同時に機体が加速しアリーナへと飛び出した。

 そしてそのまま空中で制止する。

 

 私の機体は全身装甲で、見た目は打鉄を黒く塗装しただけのように見えるが中身は別物だ。

 まず背部のスラスターだが、推進力と機動力の両立のために高出力のものに換装している。

 次に腕部だが、こちらも同じく強化パーツを追加して大型化しているし、指先から肩まで覆うタイプの大型のクローアームを装備している。

 最後に頭部なのだが、こちらは特に変更はないものの、センサー類を強化して索敵能力を向上させてある。

 

 そして肝心の武装だが、基本装備は荷電粒子砲を2門に薙刀1機ずつとなっている。

 なぜこれだけなのかというと、打鉄弐式の武装をそのまま使うと、拡張領域の余裕が無いためだ。

 もちろんそれだけで終わらせるつもりは無いけれど……。

 

「待たせたわね二人とも!」

 

 私はアリーナに着地すると、対戦相手の二人にそう声をかけ、相棒の簪ちゃんが来るのを待つ。

 

 そして数分後、ついにその時が来た。

 

「お待たせしました榊さん!」

 目の前に現れたのは白を基調とした美しい機体だった。まるで天使のような美しさを感じさせるシルエットをしている。それは私の打鉄改と似ているようで少し違う。なんというか神々しさを感じさせるのだ。

(これが簪ちゃんの打鉄弐式か……)

 私は思わず見惚れてしまう。だが今は試合中だ気を引き締めなければ! 

 

『試合開始!』

 アナウンスと同時に私達は動き出す。

 

 まず最初に動いたのは私だった。

 スラスターを全開にしてラウラに接近する。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!!」

 気合と共に薙刀を振り下ろすが、それは簡単に避けられてしまう。

 

「遅い!」

 彼女は両手にプラズマ手刀を展開し、それを交差させるように振り抜いてくる。

 私は咄嗟に左腕の装甲で防御するが、その一撃で大きく弾き飛ばされてしまう。

 

「くっ!?」

(なんて威力なの!?)

 私は体勢を整えつつ距離を取る。

 すると今度は背後から殺気を感じた。振り返るとそこには箒ちゃんが接近してきていた。

 どうやら挟み撃ちにするつもりらしい。だがそうはいかない! 私は薙刀を構え直し、迎撃態勢に入る。そして箒ちゃんに向かって突進する。

 

 しかし、それはラウラによって阻まれてしまう。彼女はプラズマ手刀で私の攻撃を受け止めつつ、肩のレールカノンを撃ってきた。

 

「このぉ!」

 私はそれをギリギリのところで躱すと、そのまま反撃に移るべく再び薙刀を振り下ろす。しかしまたもや避けられてしまい、逆に蹴りを入れられてしまう。

 

「きゃああ!!」

 吹き飛ばされた衝撃で打鉄改は大きく後退する。

(まずいわね……このままじゃ押し切られちゃうわ)

 そう考えた時だった、簪ちゃんが私の前に躍り出てきた。

「私が援護します! 榊さんは攻撃に集中してください!」

 そう言って簪ちゃんは、荷電粒子砲を連射する。

 しかしラウラは冷静にその攻撃を見極めながら躱していく。

 そして反撃とばかりに手刀を簪ちゃんに向かって振り下ろした。

「くぅっ!」

 それを間一髪のところで防ぐ簪ちゃんだったが、体勢が悪かったため吹き飛ばされてしまう。

 

 私はその間に態勢を整え、今度は私が攻撃を仕掛ける番だ! スラスターを全開にして一気に間合いを詰めると、薙刀を振り下ろすがこれも避けられてしまった。

 だがそれでいい! 本命は次なのだから!! 

 

「はぁぁぁ!!」

 私はそのままの勢いで体を回転させ、遠心力を加えた一撃を放つ! ! 

(今だ!)

 私は簪ちゃんが作ってくれた隙を見逃さず、再びスラスターを全開にして一気に間合いを詰める。そして今度は薙刀ではなく、クローアームで攻撃した。

 ラウラは咄嗟に反応し防御しようとするが間に合わない。

 私のクローアームが彼女に命中する。

「ぐっ!?」

(よし! 効いてる!!)

 私はそのままスラスターを全開にして、彼女をアリーナの壁に吹き飛ばす。

 そしてさらに追撃しようと追いかけるが……。

 

「私を忘れてもらっては困る!」

 箒ちゃんが横やりを入れてくる。

 

「くっ!?」

 私はそれをギリギリで避けると、一旦距離を取る。

 そして簪ちゃんの方を見ると、彼女も体勢を立て直して再び砲撃を繰り返していた。

 

「簪ちゃん! このまま攻め立てるわよ!」

 私はそう叫びながら箒ちゃんを荷電粒子砲で追い込むと、簪ちゃんと共に挟み撃ちにする。

 箒ちゃんのシールドエネルギーがみるみる減っていく。

「ぐぅっ!? まだだ! 私は負けられんのだ!!」

 彼女は苦しげな表情を浮かべながらも、懸命に抵抗してくる。

 だがそれも長くは続かず、ついに限界を迎えたのか、エネルギー切れを起こし機能停止してしまった。

(よし! これであとはボーデヴィッヒさんだけね!)

 そんな時だった。突然背後から殺気を感じた。

 慌てて回避行動をとる。

 

 すると先程まで私がいた場所に、プラズマ手刀が振り下ろされていた。

「ちっ! 今のを避けるか……」

 ボーデヴィッヒさんは忌々しげな表情を浮かべると、再び攻撃を仕掛けてくる。

 私はそれを何とか避けつつ反撃の機会を伺うが……なかなか隙が無い。

(どうする? このままだとジリ貧よ)

 そう考えた時だった。簪ちゃんが援護射撃を行うべくこちらに接近してきたのだ。しかし、それに気付いたのかボーデヴィッヒさんもそちらを向く! 

(まずい! このままじゃ簪ちゃんがAICで動きを止められる!)

 そう思った瞬間、私の体は勝手に動いていた。簪ちゃんを守るために……そして彼女を援護する為に! 

「させないわ!」

 私は荷電粒子砲を連射しながらボーデヴィッヒさんに接近すると、薙刀を振り下ろす。しかしそれをAICで停止させられる。

 だがそれでいい!! 

「はぁぁ!!」

 気合と共にさらにもう近距離から荷電粒子砲で一撃加えようとした時だった、ボーデヴィッヒさんの背中に大量のミサイルが命中しシュヴァルツェア・レーゲンが吹き飛ぶ。

 

「AICは特定の方向しか停止できないから、私を停止させると……その背後からの攻撃には対処できない!」

 私がそう言うと、打鉄弐式が荷電粒子砲を連射する。

「あれって……まさか! 『春雷』!?」

 私は驚愕の声を上げるが、ボーデヴィッヒさんは冷静に状況を分析する。

 

「なるほどな……だが甘い!」

 彼女は再びAICを発動すると、簪ちゃんの動きを止めようとするが、それは叶わなかった。なぜなら……

「そうはさせないわ!!」

 私が荷電粒子砲を放ち妨害したからだ。

「ちぃっ!」

 彼女は舌打ちしつつ、再びAICを発動させようとするが今度は上手くいかなかったようだ。

(よし! いける!!)

 私は勝利を確信したその時だった、突如ボーデヴィッヒさんのシュヴァルツェア・レーゲンの装甲の一部が開き、そこから大量のワイヤーが飛び出してきたのだ! そしてそれらはまるで生き物のように動きながら私達に迫ってくる。

 

「この程度で!!」

 私達はそれを潜り抜けると、二方向から挟み込むように荷電粒子砲を叩き込む。

 

「こんな所で、私は負けられんのだぁあ!!」

 ボーデヴィッヒさんがそう叫ぶと、機体から閃光が走り、機体の原型がブヨブヨと崩れ形を変えてゆく。

 そして数秒後、そこには異形の機体が佇んでいた。

 

「これは……!? VTシステム?」

 私は驚きのあまり言葉を失う。

 だがそれも無理のないことだろう。

 なぜなら目の前に現れたのは全身装甲型の黒いISだったのだから。

 しかもその姿はまるで……。

 織斑千冬の暮桜……

 

『非常事態発令! トーナメントの全試合は中止。状況レベルDと認定。鎮圧のため教師部隊を送り込む。来賓、生徒はすぐに避難すること。繰り返すこれは訓練ではない……』

 突然そんなアナウンスが流れる。

 

「簪ちゃん、二方向から射撃で牽制して。時間を稼ぐの」

「わかりました」

 簪ちゃんは頷くと、異形のISに荷電粒子砲を放つ。

 しかしそれは簡単に避けられてしまうが、それでいい! 私はスラスターを全開にして一気に間合いを詰めると、薙刀を振り下ろす。

 だがそれもギリギリのところで剣に防がれてしまう。

 そしてそのまま鍔迫り合いになるが……。

(くっ!? なんてパワーなの!!)

 私は必死に押し返そうとするがビクともしない。それどころか逆に押し込まれそうになる。

(まずいわ! このままじゃ!)

 私はスラスターの出力を上げると、一気に押し返す。そしてそのまま反撃に転じた。

「はぁぁ!!」

 薙刀を振り下ろすがこれも防がれてしまう。だがそれでいい!! 私はそのまま連続で攻撃を続ける。

 しかし異形のISも負けじと応戦してきたため、なかなか決着がつかない。

 それどころか徐々に押され始めているような気さえする……

(まずいわね……このままだとジリ貧だわ……なら!)

 私は覚悟を決めると最後の手段に出る事にした。

「簪ちゃん! 合図したらアレを撃って!!」

 私は簪ちゃんに指示を送ると、薙刀を構えなおす。

 そしてスラスターを全開にして一気に間合いを詰めると、異形のISに向かって渾身の一撃を叩き込んだ。

「今よ!」

 すると私の声に反応するかの如く、上空に待機していた打鉄弐式が独立稼動型誘導ミサイル『山嵐』6機×8門を放ち始めた。

 そしてその攻撃は全て異形のISに命中し大爆発を起こす!! 

 煙が晴れる頃には異形のISは跡形もなく消え去り、ラウラ・ボーデヴィッヒさんが倒れていた。

 

「やったのかしら……?」

 私がそう呟くと、簪ちゃんが駆け寄ってきた。

「榊さん! やりましたね!」

 彼女は嬉しそうに微笑んでいる。

「えぇそうね」

 私も笑顔で返す。そしてそのまま抱き合った。

(良かった……勝てて)

 

 私はホッと胸を撫で下ろす。するとそこへ山田先生がやってきた。

 どうやら騒ぎを聞きつけて駆け付けたらしい。

「お二人とも怪我はありませんか?」

 心配そうに聞いてくる先生に私達は大丈夫だと答えた。

 その後、ボーデヴィッヒさんは保健室に運ばれていった。

「あの……簪ちゃん、その……さっきはごめんなさいね? 勝手に一人で突っ込んで行っちゃって……」

 私は申し訳なくなって謝ることにしたのだが、彼女は笑顔で許してくれた。

「気にしないでください! 榊さんのおかげで勝てたようなものですから」

 その言葉に私はホッと胸をなで下ろすのだった。

 

 そして翌日、学年別トーナメントは中止となったが、その代わりとして個人戦だけが行われることになった。

 その朝のショートHRで私はボーデヴィッヒさんに捕まり口付けされ、嫁認定されたのだった。

 一夏の出番なしだったから仕方ないかぁ……

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