篠ノ之箒の双子の妹にTS転生したので、専用機自力開発してIS学園でハーレム作ろうと思う 作:読人不識
(はぁ……憂鬱だわ)
あたしは一人溜息をつく。原因は勿論、一夏の同室の女のことだ。
名前は篠ノ之榊、学年主席だそうだ。
そしてあたしの恋敵でもある。
(なんであんな奴が一夏の幼馴染なのよ!)
そんなことを考えているうちにいつの間にか教室の前に着いていたようだ。
中に入ると既にクラスメイトたちが揃っており、皆それぞれ雑談をしている。
「おはよ~」
挨拶をしながら自分の席に向かうと隣の席の子が話しかけてきた。
「凰さん、1組の篠ノ之榊さんとクラス対抗戦で勝負するって本当なの?」
「本当よ、一夏と同室の権利をかけて勝負するの」
「相手は学年ナンバー1だよ? 大丈夫なの?」
「大丈夫よ! あの子が一夏とどれだけ親密だろうと、あたしの方がより親密になればいいだけだし」
そんなことを話しているうちにホームルームが始まったようだ。
昼休みになり、あたしは食堂に来ていた。
注文したラーメンを受け取り空いている席を探していると声をかけられた。
「ここ空いてるよ」
顔を上げるとそこには篠ノ之榊の姿があった。
「……どうも」
と言って隣に座ると早速本題を切り出すことにした。
「ねぇ、あんた一夏のこと好きなんでしょ?」
そう言うと一瞬驚いたような顔をしたがすぐに笑顔になった。
「うん、好きだよ」
「……っ! そ、そう……」
(落ち着けあたし……まだ慌てる時間じゃないわ)
「でも一夏はあたしのこと好きなの!」
と自分に言い聞かせるように言うが内心不安でいっぱいだった。
そんなあたしの心情を見透かしたかのように彼女は続ける。
「知ってるよ、でも私はそれでも一夏のことが大好きなんだ」
(くっ! この女……)
あたしは苛立ちを抑えつつ、話題を変えることにする。
「ところであんた一夏とどういう関係なのよ? なんでそこまでするの?」
そう聞くと彼女は少し考える素振りを見せた後こう答えた。
「う~ん、簡単に言えば幼馴染かな?」
「それだけ?」
「うん、それだけだよ」
(本当にそれだけなのか?)
そんな疑問を抱いていると彼女が口を開いた。
「それよりさ凰さんは一夏とどこまでいったの?」
いきなりの質問に動揺しつつも平静を装って答える。
「ど、どういう意味かしら?」
「そのままの意味だよ? キスはもうしたの?」
「……まだだけど」
そう答えると彼女は嬉しそうな表情を浮かべた後、とんでもないことを言い出した。
「じゃあさ、私が一夏の全てをもらってもいいかな?」
(なっ!?)思わず絶句してしまう。しかしここで引くわけにはいかないと思い反論する。
「ダメよ! 一夏があたし以外の女とするわけないじゃない!」
そう言うと彼女はクスリと笑う。
「もう一夏の初めてはあらかた貰っちゃってるのよね♡」
「なっ!?」
驚きのあまり声が出なかった。まさか一夏の初めてがこの女だったなんて……
(こうなったら直接勝負するしかないわ!)
そう思い立ち上がると彼女の方を向く。
「これから放課後のアリーナで勝負しましょう!」
そう言うと彼女は余裕たっぷりに微笑んで言った。
「そんなに慌てなくても来週には戦えるんだから、その日が来るのをゆっくり待ちましょう?」
「くっ! 覚えてなさい!」
捨て台詞を残して立ち去るあたしの背中に彼女の楽しそうな笑い声が聞こえた気がした。
* * *
織斑先生は私が一夏の代わりにクラス対抗戦に出場したいと告げたところ、割とあっさり代理を認めてくださった。
まぁ実力的には私の方が一夏より上だし、一応は学年主席として座学も実技もトップをひた走っている。
本来出場すべきは私の方だろう? ということなのかもしれない。
問題は秘匿している私の専用機をこんな所で衆目に晒すのか? ということだった。
束お姉ちゃんが箒ちゃんのために開発している紅椿ですらが、世間の最先端の更に先を行っているのだ。
私の緋牡丹を先に公開していいはずがない。
なので学園にある量産型IS打鉄を改造する許可を貰った。
これで私が出場する条件は整うことになる。
ちなみに一夏は朝イチに篠ノ之博士の部屋に連行されたようだ、今頃は束お姉ちゃんのおもちゃにされていることだろう。
授業が終わった後私は職員室に来ていた。
そして山田先生に声をかける。
「山田先生? ちょっといいですか?」
「あ! 榊さん! どうしたんですか?」
彼女は笑顔で対応してくれる。本当にいい人だ。
「実はお願いがあって来たんですけど……」
そう言って事情を話すと快く引き受けてくれたので感謝の言葉を伝える。
「いえ! これくらいお安い御用ですよ!」
そう言って胸を張る姿が可愛らしい。
そして私は職員室を後にするとピットに戻り、早速準備に取り掛かったのだった。
クラス対抗戦当日、一夏は篠ノ之博士に拉致されたまま帰ってこなかったが、代わりに私が出場するということで話は纏まったらしい。
そして今はアリーナで凰さんと対面しているところだ。
彼女は自信満々といった様子でこちらを見てくるので少しイラッとする。
「ふんっ! 見てなさいよ!」
よほど自信があるのか? 私に向かって息巻いている。
私と戦う前の人は大抵そういう感じだ、三つ編みおさげで眼鏡をかけた優しげな私は、箒ちゃんに比べてもいじめようとする人が多かった、そしてそのほとんどが後悔しつつ謝罪してきた。
試合開始のブザーが鳴ると同時に私は一気に加速する。
そしてそのまま彼女の背後に回り込み斬りかかったが、あっさりと避けられてしまう。
「へぇ~やるじゃない」
そう言うと彼女はニヤリと笑う。
今度は逆に私が背後を取られてしまい攻撃を受けるが、なんとか持ち堪えることに成功したので反撃に出ることにした。
(よしっ!)
私は一旦距離を取るために後退するが、それを見越していたかのように彼女も距離を詰めてくる。
そして再び鍔迫り合いが始まったのだが、やはり力負けしてしまい押し切られてしまう。
「くっ!」
何とか踏みとどまろうとするものの、じりじりと後退させられてしまい壁際に追い込まれてしまうとそのまま蹴り飛ばされてしまった。
「きゃあっ!!」
壁に激突する衝撃に思わず悲鳴を上げるが、すぐに体勢を立て直すために起き上がると追撃を避けるために距離を取ることにした。
(このままじゃマズイわね……)
そんなことを考えている間にも凰さんは攻撃を仕掛けてくるので避けるのに精一杯だ。
(どうにかしないと……)
そう思いつつ思考を巡らせていると突然頭の中に声が聞こえた気がした。
『あなたなら出来るわ』と、その声に後押しされるように私は自分の中のスイッチを切り替えることにした。
(よしっ!)
次の瞬間には私は先程までとは比べ物にならない速さで動いていた。
相手の次の動きが見えるかのように身体が自然に反応する感覚を覚えると同時に、私は自然と笑みを浮かべていることに気付くのだった。
* * *
「何あれ!?」
あたしは目の前で繰り広げられている光景に驚愕していた。
さっきまではあたしの攻撃を防ぐのが精一杯だった榊さんが今は逆に攻め立ててくるようになったのだ。
しかもその動きはまるで別人のように洗練されており、まるで別人が乗り移っているかのようだった。
「くっ! このっ!」
何とか反撃しようとするものの、その悉くを躱されてしまう上にカウンターまで決められてしまい徐々に追い詰められていった結果、遂にはエネルギー残量がゼロになってしまい敗北を喫したのだった。
* * *
試合終了後、私はピットに戻るとそのまま座り込んでしまった。
(疲れた……)
まさかここまで苦戦を強いられるとは思ってもみなかったからだ。
「お疲れ様」
そんな私に山田先生が声をかけてくれる。
「ありがとうございます」
そう答えると私は立ち上がり、シャワーを浴びるために更衣室へと向かうことにしたのだった。
ちなみにクラス対抗戦は1年1組、というか私の優勝で幕を閉じた。