どうも、Sアンビーの激重エージェントストーリーを観てダメージを食らった作者です。
気分的に先にヒューゴ編をプレイして臓器売買って何ぞや?って思ってたら……オイオイオイ、美少女の強制ドナーって……。
たまにゼンゼロって鬱要素ブッ込んでくるよね。まあポストアポカリプスな世界観だから当たり前だろうけど。
というわけで二次創作に逃げます。本編は書き直しになったので、しばしお待ちを。
「先輩……?」
自分、『エレン・ジョー』は静かな空間の中に居た。
周りにあるのは整頓された机と趣味の詰まった本棚、ライフルや拳銃、ショットガンなど様々な銃器が置かれたガンラック、ふかふかのシングルベッド。
そしてこちらを見上げる形で眼前に立つのは、きょとんと不思議そうな表情を向けてくる、自身に迫り来る危機に未だ気付いていない哀れな被捕食者。
所属しているヴィクトリア家政という組織の名前の通り、ヴィクトリアン風味の意匠を取り入れたワンピースとエプロン、ヘッドドレスを身に纏っている。
丁寧に飾り付けられたその姿は、まるで真っ白な雪原を前にした時のように、思わず滅茶苦茶に汚したくなるような清楚さと可愛らしさを感じさせてくる。
気付けばムラムラと肉欲が湧き上がってくるのを自覚した。
「わっ……!?」
衝動的に、しかし力がこもり過ぎない程度に軽く手で突き飛ばす。
相手が後ろにあったベッドへ倒れ込むと、履いていたヒールを脱ぎ捨て、こちらも続いてベッドによじ登る。
シーツの上に広がったフリル付きエプロンと黒いスカートを膝で踏みつけながら這って行くと、明らかな動揺と僅かな怯えを含んだ双眸と目が合った。
こちらがどんな顔をしているかは言うまでもない。
これでも抑えている方だが、おそらくは性欲に塗れてギラギラとした獣のような目付きをしていることだろう。
「っ……も、もう……。」
しかし対して相手は逃走と抵抗を選ばなかった。
怖がってはいるものの、こちらに向けられる表情と双眸からは僅かに期待の色が滲み出ていた。
手を掴んでも嫌がることは無く、むしろ自ら指を絡めて来る。
「別に良いですけど……せめて口で言ってからにしてください……。」
恥ずかしそうに頬を赤らめながら視線を逸らす姿を前にして、ただでさえ滾っていた情欲が昂っていく。
今まで抱えていた黒々とした征服欲が満たされていく。
支配しているのは自分なのだと。
他人ではなく。
この自分だけなのだと。
「んっ……。」
もはや我慢なんぞ出来なかった。
顔を近づけていくと、そのまま躊躇うこと無く唇を奪う。
柔らかな感触が唇の表皮を通して直に伝わり、多大な幸福感が頭の中を満たしていく。
「んっ……んふっ……♡」
相手の身体に指を這わせ、胸や尻を撫でくり回す。
しかし一度自分を抑える。
本来なら気分に任せてメイド服を引き裂き、すっ裸に剥いた後に貪り尽くしたいところだが、この服はクラスⅣ以上の高い防弾防刃性を持つ一級品の防護服だ。
性能に比例して値段も非常に高価であり、意味も無く壊せば自分の給料が大幅に減らされるだろう。
「ぷはっ……あっ……♡」
一旦口を離すと、細い唾液の糸が双方の間にかかった。
両腕を伸ばし、冷静にひとつひとつ服を脱がせていく。
徐々に肌が見えていくところもまた一興と言えるだろう。
「ん……♡」
エプロンを取り、首の裏にあるホックを外す。
手慣れた動きでファスナーを下げ、ワンピースを脱がし始める。
すると目に入って来たのは首筋の白磁のような白い肌と半円状の赤い噛み痕。
その下には噛みついた痕だけではなく、吸い付いて出来た内出血の痕が、肩や鎖骨など様々な箇所にあった。
更にはワンピースを完全に脱がすと、首周りに限らず腕や胸、脇腹、内股、太ももなど、全身からおびただしい数のマーキング痕が姿を現してくる。
どれも普段の生活において晒さない部位にばかりつけられており、こうして服を脱がせない限り見ることは不可能だ。
もちろん例外なく全て自分が施したものであり、眼前の人物がこちらの制圧下にあることを示している。
清楚な見た目と礼儀正しい雰囲気とは裏腹に、布一枚剥いだ先には既に自分の手で徹底的に汚され、蹂躙され尽くした肢体があったことに、ゾクゾクと背筋が震えた。
ちなみに下着は上下共にレース付きの女物であり、以前に自分が命令して着させたものだ。
どうやらこちらの指示を律儀に守っていてくれたらしい。
「あの……そ、そんなジロジロ見ないでください……恥ずかしいです……♡」
背徳感に浸っていると、恥じらいの声が聞こえてきたことで我に返る。
目の前では相手が自らの身体を手で隠すような仕草をしており、これがまた非常に扇状的で、劣情を催す光景だった。
次の瞬間、プツリと、自分の中で何かが切れた。
今まであれだけシたというのにまだ犯してほしいのか、こちらを誘っているのかと、相手を食い散らかすことだけが頭の大半を占めていく。
そしてもう準備は整ったからと、自らにかけた理性という名のストッパーを外し、内に秘めた野獣を解き放った。
「んぶっ……!?♡」
ガシリと相手の顔を両手で掴み、勢いのままに唇を奪う。
こちらよりも小柄で非力な身体にのしかかり、尻尾も含めれば倍近くも差のある体重をかけてグイグイと押し込んでいく。
さながらライオンがインパラを、サメがアザラシを捕食しているが如く、被食者に逃げる隙を与えないように。
「んぐ……えうっ……!?♡」
間髪入れず、今度は単に唇を合わせるだけではなく、唇と歯をこじ開けて無理矢理舌を捩じ込んだ。
自身の唾液を塗り込み、代わりに相手のを掻き出す。
周囲にくちゃくちゃにちゃにちゃと粘液の擦れ合う卑猥な音を響かせながら、刺激の強い大人なキスを続ける。
いつの間にか気分は最高潮まで達していた。
行為としてはまだまだ序盤ではあるだろうが、高揚する場面のひとつであることには違いない。
「んんっ……あっ……♡」
次の段階へ移らんと、手を相手の下半身へと伸ばし、白いショーツを雑に引っ掴む。
そしてずり降ろそうとするも、ここで邪魔が入った。
耳に入ってきたのは聞き慣れたアラーム音。
気分が冷めたことに不満を感じながらも、吸い込んで引き摺り出していた相手の舌を離すと、音の発生源であろう携帯端末を探す。
しかしいくら周りを見渡しても端末は見つからない。
それでも音は近くから聞こえるため、手探りでベッドの上を捜索すると、ようやくコツンと指先に硬い感触を感じ取った。
手に取ると画面を見る。
「…………あ?」
視界に映ったのは『7:00』と画面に表示された文字と、アラームの表記。
そしてカーテンの隙間からさし込む眩い陽光と自分が舌を這わせていた枕。
昨晩に交換したばかりの青色のカバーには自身の唾液による黒いシミが広がっており、次に胸のあたりを確認すると、そこには腕と脚で抱き込んだ掛け布団だけがあった。
最後に周りを見渡せば、自分が居るのは古風な洋室ではなく、1LDKの一般的なアパートメントの一室であることを理解する。
誰の家かは言うまでもない。
「はあぁ……。」
状況を把握すると、途端に羞恥心が心の中を占めていく。
枕に顔をうずめると、パタパタとサメの尻尾をバタつかせながら悶え苦しみ、柄にもなく死にたくなった。
だがどうにか心に平静を取り戻す。
全ての責任を他人になすり付けることで。
「ああもう……アイツのせい……全部アイツが悪い……!」
羞恥心に脳を焼かれながら起き上がると、キッチンへ入り、チョココーンフレークと牛乳、どんぶりを持ってテーブルにつく。
簡易的な朝ごはんを食べながら携帯端末を触り、写真のアプリを開くと、フォルダのひとつをタップする。
そこに映ったのは夢の中で見た相手と同じ人物、『スズツキ・ナイドハート・グナイゼナウ』。
学校で昼食を食べた時、ゲームセンターでボコボコにした時、ホラー映画を涙目で観ている時、ラーメンを奢らせた時、メイドの授業を受けている時、車を運転している時、などなど……。
今までの彼との思い出がそこに詰まっていたが、あいにくと夢の出来事と同じような写真は無い。
しかし例外として最後の写真には首筋につけられた大きな噛み痕が映っていた。
それを前にして思わず口角が緩んでしまう。
「……やばっ、もうこんな時間。」
気付けば時計の針は登校予定時刻の5分前を指していた。
慌てて歯磨きと学生鞄の準備を済ませると、エナメルのローファーを履いて玄関から飛び出た。
⬛︎
夢の出来事があったからか、午前中の授業は悶々としていた。
だが幸いにも今日は目的の彼と一緒に昼食を食べる約束をしていた為、それに向けて眠い意識をどうにか保たせ続ける。
そして昼休みのチャイムが鳴ると、学食へ直行する男子連中のように、いち早く教室を飛び出し、いつもの待ち合わせ場所へと向かった。
教室からは敷地のちょうど反対側の、校舎から独立した位置にある図書館棟の2階。
廊下に据え付けられた長椅子には既に彼が居た。
こちらに気付くと、ふるふると軽く手を振ってくる。
「せんぱーい。」
「ん、早かったじゃん。」
夢で見たのと同じ人物、スズツキの姿を前に今までの心のつかえが取れた気がした。
心なしか軽くなった足取りで彼へと近付いていき……そして再び気分が重くなった。
視界の端に見覚えのある髪色のツインテールが映り込んだのだ。
「あ!エレンさん!」
「……カリンちゃん。」
スズツキの隣に座っていたのは『カリン・ウィクス』。
同じヴィクトリア家政に所属するメイド仲間であり、ここ中高一貫校においての後輩。
そして今現在の場面では第二のライバルと言える。
「スズツキさん、今日はリクエストの唐揚げですよ。」
「やった!ありがとう!」
「ふふっ、何でも言ってくださいね。カリン、頑張りますから。」
「いただきまーす!」
……いや、もはや敵と言っても過言ではない。
彼女はこちらには無い高い料理スキルを用いてスズツキの胃袋を鷲掴みにしてしまったのだ。
おかげで今まで彼は自分で弁当を持って来ていた筈が、今日のような一緒に食べる日に限って毎回カリンに作ってもらっている。
「へー、私にも1個ちょうだいよ。」
「あっ!それなら!」
スズツキが唐揚げを摘んだところで横取りしようとすると、すかさず横合いから弁当箱が突き出されてくる。
そちらを向けばカリンが笑ってない笑みを浮かべていた。
「もちろんエレンさんの分もありますよ!」
「あー……ありがと。」
要約するとこうだ。
余計なことすんじゃねえ、エサやるから大人しく引っ込んでろ、と。
仕方なくスズツキの隣に腰を下ろし、貰った弁当を頬張る。
悔しいが、味は普通に美味かった。
「お、お味はどうでしたか?」
「すごく美味しいよ。何か特別な調味料でも入れたの?」
「いえ、『特には』何も入れていませんよ?全て簡単に手に入るものです。ただ……。」
「ふむふむ……。」
調理に関して会話に花を咲かせるスズツキとカリン。
自分抜きに話が進んでいることに、それも非常に近い距離感で行われていることに苛つきを覚えると、いつも通り尻尾をスズツキの腰に回そうとする。
だが彼の見えないところでベチンと小さな手に叩かれてしまった。
横目で見ると、スズツキの頭越しに黒々とした双眸と視線がぶつかる。
しかし負けじと得意の鋭い眼光で睨み返してやった。
瞬時に空気が張り詰めたものへと変わっていく。
「え、えっと……先輩?カリンちゃん?」
「……何でもない。」
「……何でもありませんよ?」
それから昼休みが終わるまでギスギスとした時間が続いた。
⬛︎
朝から続くモヤモヤは帰りのホームルームが終わっても、未だに残ったままだった。
むしろ昼の一件のおかげで嫉妬から来る黒々とした感情が心の中で滞留していた。
エレンはガリガリと棒付き飴を齧りながら校門を目指していると、前方に見覚えのある小柄な背中を発見する。
即座に捕獲すると、やはりというかスズツキだった。
「わっ……な、何だ先輩か。」
「何?何か悪い?」
「いえ別に……そっちも帰りで?」
「うん。」
駅までの道を連れ立って歩きながら雑談を交える。
ようやくお望みの展開が来たことに心が洗われていったが、楽しい時間ほどすぐ過ぎてしまうもので、気付けば最寄りの駅に到着していた。
もちろんまだ物足りない為、スズツキを帰すつもりはない。
エレンは改札を過ぎたところで彼の腕を掴むと、無理矢理別のホームへと引き摺っていく。
「せ、先輩!?」
「ゲーセン行くから付き合って。ヒマでしょ?」
「まあ、別に良いですけど……それなら『GOD FINGER』行きましょうよ。あそこならメダルゲームのストックありますし。」
「あー……。」
『GOD FINGER』と聞いて思わず渋い顔を浮かべるエレン。
別にそのゲームセンターが悪いわけではない。
問題はその向かいのラーメン屋の隣にあるビデオ屋なのだ。
まあ訪問さえしなければ問題無いだろうか。
「……ねえ、一応言っとくけど、ビデオ屋には行かないから。絶対。」
「え?わ、分かりました。」
「アンタも行っちゃダメだからね?行かないでよ?」
「分かりましたって。」
人で混んだ電車に乗ると、奥には進まずにドアのすぐ側に立つ。
するとスズツキがすぐ目の前の位置に来た。
彼はドアの窓から外を眺めており、こちらを向いていない。
「………。」
思わず彼の後ろ姿を横目でジッと眺めていると、列車が発車し、徐々に速度が上がっていく。
すると線路がカーブに入ったようで、車内へガクンと揺れが発生した。
他の乗客達が吊り革や支柱に捕まりながら車両の一方へ身体を傾かせたことで、こちらの背中が押される。
力には自信があるとはいえ、流石に勢いを殺すことは出来ず、そのままスズツキをドアに押し付けてしまった。
「ぶえっ……。」
「ご、こめん。」
身体同士が密着し、スズツキの感触がハッキリと伝わってくる。
その時、それをきっかけに誘発させられたのか、今までの邪な妄想が脳裏に蘇ってきた。
どれもスズツキをモノにするシチュエーションばかりであり、特に今のような状況は一番妄想した場面だった。
スズツキを背後から壁に押さえつけ、何も出来ない彼をまさぐりながらガブガブと思うがままにマーキングするのだ。
そして次に向き合う形にすると、メインディッシュに残しておいた前面を時間をかけて最後まで味わい尽くし、徹底的にハメ潰した彼を胸に抱いて眠る。
そんな情景が思い起こされ、思わずムラッと感じてしまう。
エレンはこのまま眼前の白いうなじに噛み付きたい欲求に駆られていたが、スズツキの声で我に返る。
「せ、先輩……?」
「……あ。」
慌ててスズツキから離れると、それからは六分街に着くまで彼とは反対方向を向いて立っていた。
しかし恥ずかしさよりもドス黒い欲望の方が未だ勝っていた。
もうどこか狭い場所へ連れ込んで食ってしまおうかと、心の中の悪魔が囁いてくる。
だが関係に亀裂を生じかねないという天使の声も無視出来ない。
結局、気分の整理がつかないまま、気付けばゲームセンター『GOD FINGER』に到着していた。
早速、毎度恒例の格闘ゲーム機の前に座る。
「ぬぐっ!このっ!」
「ふっ、もう負けそうじゃん。大丈夫?」
「ま、まだまだ!」
画面に映るのはゲームの画面内で戦う2体のキャラクター。
片方が剣を振る浮浪騎士で、もう片方が2丁拳銃を扱う賞金稼ぎだ。
画面上部には体力ゲージが表示されており、こちらの操作する騎士は半分以上残っているが、対して相手はもう残り少ない。
数分もしないうちに画面には勝利の文字が並んでいた。
「はい、私の勝ちー。」
「ぬぐぅ……手加減してくださいよー。」
「学食の特盛カレー奢ってくれるなら考える。」
「や、やっぱりもう一回です!」
「よしきた。負けたらジュース奢りね。」
再び青春らしい、楽しい時間が過ぎていく。
やはり一時の欲望を満たす為だけにこの素晴らしき日常を崩すべきではないだろうと、天使側の意見へ理性が寄っていく。
結局、強硬的な手段は最後であるべきだと、そう決めた。
……温かい2人だけの空間に水を刺すものが現れるまでは。
「あっ!スズツキ君だ!」
「おうっ……!?」
「んふー……久々のスズツキ君成分……。」
非常に高まっていた気分が一気に氷点下まで下がっていく。
突如としてスズツキの背後から現れ、彼の首周りに腕を回しながら後頭部に顎を乗せているのは例の変態店長『リン』。
偶然を装っているが、大方いつも通りストーカー紛いのことをしていたのだろう。
「リン……居たんだ。店はいいの?」
「お兄ちゃんが居るから大丈夫だよー。それよりエレンも居たんだ。全く気付かなかった。」
「大の大人が遊んでて良いの?
「仕事ならこの前したじゃん。お宅のおかげで今年はもう去年の収入の半分以上稼げたから結構余裕があるんだよねー。」
「ふーん……。」
「へへ……。」
椅子から立ち上がるエレンの、また彼女に相対するリンの、それぞれ双眸には一寸の光も灯されていなかった。
「じゃ、その汚い手、退けようか。」
「いやいや、浄化してるだけだよ。スズツキ君から魚の臭いがしたからね。それにしてもスゴいアンモニア臭、鼻が曲がりそう。」
「風呂キャン常連のネットギークよりは全然マシ。あー、あとアンタの場合、加齢臭もあるか。ホントおばさんは大変だよねー。」
バチバチとメンチを切り合うエレンとリン。
これでプンスコとした怒り顔ならまだ可愛い気があるかもしれないが、今の彼女達はどちらも無表情で、恐怖を感じさせてくるものだった。
2人から発せられる覇気にスズツキも含めて店内が静まり返ると、彼女達はそれぞれ矛を収める。
「早くどっか行ったら?雰囲気が悪くなる。」
「じゃあね、スズツキ君。またいっぱい遊ぼうねー。」
リンはニコリとした笑みをスズツキだけに向けると、その場を後にしていった。
危機は過ぎ去ったかに思われたが、エレンの心中は先程よりも荒立っていた。
「……ねえ、ちょっと着いてきてほしいんだけど。」
ガシリとスズツキの腕を掴みながらそう言う。
選択肢など与えないと言わんばかりの鋭い視線を向ければ、スズツキは首を縦に振った。
⬛︎
エレンに言われるがままに着いていくと、到着したのはそこそこ大きなアパートだった。
「先輩、ここは……?」
「私の家。」
「えっ。」
「いいから行くよ。」
いきなりのことに驚くこちらを他所にエレンは足を進めていく。
何をするつもりなのか疑問だったが、いつにもなくピリピリとした様子の彼女からは聞き出し辛かった。
結局、会話の無いままエレンの部屋に到着してしまう。
「入って。」
「は、はい。」
ドアを押さえてくれたエレンの横を通って玄関に入る。
靴を脱いでいると、彼女は後ろ手にドアを閉め、鍵をかけた。
上と下とドアロック、更に自前で追加したのか内鍵2つを。
その厳重過ぎるドアを眺めているとエレンと目が合う。
「何?」
「いや、鍵多いなって……。」
「独り暮らしの女子高生には少な過ぎるくらいだよ。アタシの職業柄的にも一応ね。」
「な、なるほど……それであの、先輩……一体何の……。」
「いいから行って。早く。」
「はい……。」
室内は2LDKで広々とした作りになっていた。
リビングにあるソファへ座ると、エレンは何やら忙しく部屋中を動き回っていた。
何度も部屋を行き交い、全ての窓を施錠し、カーテンも閉じていく。
それら作業が終わると、こちらの隣へドカリと腰を下ろしてきた。
数秒の沈黙の後、彼女は大きな溜め息を吐く。
「ねえ、アンタさ、自分の状況分かってる?」
「えっ……何でしょうか……。」
「はぁ……ったく……!」
こちらの反応にエレンは苛ついた様子で再び溜め息を吐くと、勢いよく尻尾を胴体へ巻き付けてきた。
もちろん振り払える膂力などある筈もない。
そのまま彼女の真隣へ引き摺られていく。
「……これでもまだ分からない?」
「ば、罰ゲームですか?いや、でも尻尾触れるからご褒美ですかね?」
口の端を引きつらせながらも、そうヘラヘラと返すが、エレンの怒ったような顔は崩れない。
むしろ火にナパームを投下したようだった。
「分かった。アンタは実際に身体で体験しないと覚えないタイプみたいだね。」
「えっ……うわっ……!?」
尻尾の拘束が解かれると同時にエレンが手で突き飛ばしてくる。
ソファーに横たわると、上から彼女が覆い被さってきた。
状況を飲み込む前に、こちらの腕と脚の両方をそれぞれエレンの手と尻尾で押さえ付けられてしまう。
「せっ、先輩……?」
「流石にもう分かったよね?今自分がどんな状況にあるか。これからどんなことをされるのか。」
「じょ、冗談……。」
「じゃない。衝動的に誘っちゃったから、少しでも警戒する素振りを見せればやめるつもりだったけど……見事なまでにホイホイ着いてきたね……。」
ここで初めてエレンは口角を上げた。
しかも単なる笑顔ではなく、ニタリとした、獲物を捕まえた時の捕食者の笑みだった。
「ホント……アンタって世間知らずで、お人好しで、お坊ちゃんで、警戒心ってものがまるで無い。そんなんでよく今まで純潔を保ってこられたね?」
「先輩、お、落ち着いてください。様子が変ですよ?」
「落ち着いてる。自分でも意外だけど、すっごく落ち着いてる。毎晩の妄想の中でアンタを捕まえて無理矢理ブチ犯す時は興奮が止まらなかったのに、今は驚くほど平静を保ってるよ。」
「よ、良い教訓になりましたから……ね?今日のことは無かったことに……。」
「いいや、どうせアンタは新発売のプラモデルとか、なんなら太もものチラ見せでも、餌を吊るされればあっさり着いていくね。どこの馬の骨とも知れない他の女に初めてを奪われるくらいなら、今ここで私がアンタの何もかもを汚し尽くす。」
ずいとエレンの顔が、彼女の良い匂いがハッキリと分かるくらいの距離まで迫ってくる。
その覚悟が決まった双眸を前に、スズツキは現状をようやく理解することが出来た。
今の自分が自らの意思で虎穴に入った阿保だということに。
「ほ、ほんとうに……する気なんですか……?」
「そんなに怯えないでよ。アンタの身体にマーキングするだけだから。例えばこんな風に……。」
エレンはこちらの首元へ顔を突っ込んでくると、肌を擦り付けてきたり、髪に顔を埋めて匂いを嗅いでくる。
ぴったりと身体同士が接触し、特にどことは言わないが、エレンの豊満な身体の一部の感触が伝わってくる。
そして彼女は耳へ歯を当てると軽く噛み付いてきた。
チクリと小さな痛みが走る。
「いっ……。」
「はい、1個完了。」
「ま、まだですか?」
「当たり前じゃん。」
エレンは上体を起こすと、スズツキの身体を指でなぞっていく。
「首、肩、腕、胸、陰茎、睾丸、太もも、ふくらはぎ……まだまだ沢山あるね。ああ、安心して。マーキングは制服を着た時には見えないようにするつもり。」
「あっ……ちょっ……。」
「あと内面にもマーキングするから。童貞もファーストキスも、全部に私の痕を刻み込む。徹底的にね。」
「ま、待ってください……!」
シャツのボタンを外そうとするエレンの手を掴む。
すると不満気な様子の彼女と視線がぶつかった。
「……私としては初めては和姦が良いんだけどなぁ。それとも何?組み伏せられて犯される方が好き?」
「いや……その……はうっ!?」
エレンの手が次に股間の方へ伸びる。
実はスズツキの弾体加速装置は既に発射形態への移行を済ませており、狭いパンツの中、横倒しの状態で待機していた。
それを布越しにエレンの指が撫でると、スズツキの身体が軽く跳ね、砲身の硬度が更に増す。
「嫌がってる風な割に、アンタの『コレ』はさっきからずっと膨らんでるけど?」
「せ、生理現象です……!」
「じゃあ私に興奮してくれてるってことだよね?」
「うぅ……あぅ……。」
絶対絶命の場面にしどろもどろになっていると、目の前のエレンが突然ひとり納得したような表情を浮かべる。
「なるほどね。確かにそうだ。私が間違ってた。」
そう言うとエレンはスズツキから手を離した。
思い留まってくれたのかと、ホッと胸を撫で下ろすスズツキだったが、直後、ガシリと両手で顔を挟み込まれてしまう。
再び前を見た時、エレンはペロリと軽く舌舐めずりをしていた。
「うん、確かに順番がおかしかったね。映画でもAVでも初手は必ずキスとペッティングからだったし。」
「うぇ……いぇっ……?」
「大丈夫、さっき軽く歯磨きしてきたから。」
「せ、せんぴゃっ……みゃっ、まっ……!?」
「暴れないでほしいんだけど。歯がぶつかったらヤだし。」
スズツキはエレンの腕を掴むと、どうにか振り払えないかと力を込める。
しかし建設会社のミニバックホーが軍のMBTに力負けするように幾ら頑張っても彼女はピクリとも動かない。
むしろ状況を楽しんでいるのか、こちらの必死の抵抗をニタニタとした余裕の笑みを浮かべながら眺めてくる。
もちろん結果に変わりはなかった。
「で、アンタのささやかな抵抗は終わり?もう続けてもいい?」
「うぐ……。」
顔色ひとつ変えないエレンを前にスズツキは完敗を悟った。
ライカンやリナのような強くて頼りになる仲間達に囲まれて、銃という強力なオモチャを握って、強くなったと、男らしくなったと勘違いしていたが、本質は何も変わっていなかったらしい。
やはり自分は非力な被食者に過ぎず、圧倒的な力の前には完全な屈服か庇護下に入るかの二択しかないのだ。
だが悪い気はしなかった。
生物的に強く優れた異性に交尾を求められて、本能の方は最初から狂喜乱舞しており、理性もそれに引っ張られていた。
スズツキは諦めて力を抜き、エレンの腕から手を離す。
そして今出来るめいいっぱいの笑みを浮かべた。
ニタリとした、嘲るようなものを。
「へ、へへ、先輩如きにやれるものなら……むぐっ……!?」
結局、スズツキは最後の悪あがきすら許してもらえなかった。
彼の僅かな抵抗はエレンの物理的な口封じによって終わりを迎え、彼女にとって待ちに待った蹂躙劇が幕を開けた。
次回から本番です。スズツキ君が雌の鱶に食い荒らされます。
よろしければ高評価又は感想をお願いします。作者のモチベが爆上がりするので。