ちさと様の下僕 作:千年
「はむ……ちゅ、れるぅ」
「…………」
「ぺろっ、んふ……」
「………………」
「……何?さっきからじろじろこっち見て。言いたい事があるならはっきり言いなさいよ」
お気に入りのソファに腰掛け、お気に入りの棒キャンディーをしゃぶるちさと様。僕はそれを横目で見ながら部屋の掃除をしていたのだが、とうとう気づかれてしまった。
「いや……その……」
「何?ちさとの顔に何かついてる?」
ちさと様はソファから立ち上がると、頭二つ三つの差がある僕の顔を、覗くようにして見上げる。
近づかれたら、バレる。そう思った僕は、咄嗟に距離を取ろうと後ずさりするも、彼女はその細く白い腕で僕の腕をぐいと掴んだ。
「逃げるな。ちゃんとちさとの目を見て……ああ、そういう事」
どうやら気づかれてしまったようだ。その証拠に、ちさと様の目は軽蔑の色に染まっていた。
「何勃起してんの?気持ち悪い……」
少し厚手の部屋着が狭っ苦しくて仕方がないといった感じに、こんもりと盛り上がった股間を指さして、ちさと様が言う。無論マゾの僕はそれで萎えるなどと言う事は無く、むしろピクンと最後の一押しのように、そこは少しだけ伸びた。
「こんな朝早くから、ちさとの事そのキモい目でジロジロ見て、勃起させてるの、ホントどうしようもないよね。明日から会社より動物園に行った方が良いんじゃない?」
「ごめんなさい……でも……」
「何?口ごたえするの?○○自分がちさとのげぼくってこと、忘れてるんじゃないの?」
僕は決して、ちさと様を見ただけで勃起したわけではない。確かに彼女は大変に可愛らしく、出会ったばかりの頃はそういったこともあった。ただ、言い方は悪いが毎日のように会って、殆ど同棲のような関係になれば、それでは体がもたない。僕が今欲望を煮え滾らせているのには、他の理由があるのだ。
「わ、忘れてなんかいません。ただ…………」
「ただ、何よ?言ってみなさいよ、言いなさい、言え」
語気が少しずつ強くなるのが怖くなり、僕は嫌われるのを覚悟で言い放つ。
「あ、飴です……!」
「アメ?アメって……これの事?」
ちさと様が咥えていたキャンディーを顔の前にかざす。その一連の仕草が、僕を更にかき立てる。
「そう……です。ちさと様がそれを食べているのを見て、興奮していました……」
「へぇ…………なんで?」
彼女は不思議そうな顔をして、こちらに尋ねる。
「いつもちさと様にお世話をしていただく時、必ず飴を舐めますよね?だから、普段それとは関係なく飴を舐めているちさと様にも、興奮してしまうようになって……」
ドン引きされるのを覚悟で、まくし立てた。一通り話し終えて、どんな罵倒が返ってくるのだろうと恐怖半分期待半分で待っていた僕にかけられたのは思いもよらない一言。
「へぇー、そうなんだ……ふふ……」
笑っている。宝石よりも輝く笑みをたたえたちさと様の顔が、僕の瞳に映った。
「飴舐めてるの見ただけで勃起しちゃうの、ちゃんと下僕らしくなってきてるね、感心感心」
多分本当の意味で褒められてはいないのだろうけど、それでも僕は嬉しかった。余計な事を口走るくらいには。
「あ、ありがとうございます。さ、最近はちさと様以外の子でも、飴を舐めていると勃起しちゃって……」
「は?」
口にした途端、まずい、と思った。更にはちさと様の雰囲気が一瞬にして変わったのを感じて、殺される、と思った。
「ちさと以外の子?それ、誰なの」
「わ、わかりません……街ですれ違っただけなので……」
「へぇ…………まだまだ調教が足りてなかったみたいだね。○○はほっといたらせーはんざいしゃになっちゃうう危険人物なんだから、それを強制するためにちさとが面倒見てあげてるのにねえ?」
昼間は天使のように可愛く、夜は小悪魔になるちさと様だが、怒った時は本当に怖い。蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった僕に対して、彼女は判決を下す。
「久しぶりに、あれやろっか。一回叩き直してあげる」
そして、一週間後。
「一週間、よく頑張りました、ぱちぱちぱち……ちゅる」
わざとらしくキャンディーの棒を見せつけ、あどけない拍手を僕に送るちさと様は、とても可愛い。ただその時の僕は、そんな事を考える余裕が全くなかった。
「じゃあ、これ外してあげるけど、まだ触っちゃダメだよ?」
ちさと様はいたずらっぽく笑って、小さな鍵を使って僕に仕掛けられた貞操帯を外す。単に一週間射精をしないだけなら耐えられるが、今回はその間毎晩、ちさと様に乳首と尻穴を責められていたのだ。当然ペニスは射精を求めて猛り狂い、手を股間に伸ばした所で貞操帯に気づいた僕を彼女が嘲笑う……マゾヒストの自覚はあるが、流石に今回は辛いものがあった。その辛さから今、解放されようとしている。
「はい、外れた。じゃあ……」
今にも出そうだったが、ちさと様の言いつけを破れば、更なる罰が待っている。僕は理性を凄まじい勢いで消費しながら、必死に耐えた。
「乳首、カリカリしてあげるね。あ、念の為手は縛っとくね」
「え……?あぅっ……!」
カチャリと後ろ手に手錠を付けられ、そろそろ切らなければ学校で怒られそうなほど伸びた爪と、キャンディーの棒で、僕の硬く勃った乳首をチリチリと虐める。
「はゃっ……!や、やめて……いっ!?」
「はは、キャンディーの棒で気持ちよくなってる、キモっ」
鉛筆のように棒を持ち、乳輪を丁寧に弄る。性的な物事とは本来遠い所にあるはずのキャンディーが、ここでは卑猥な性具同然。その倒錯感が、僕を更に狂わせ、酔わせる。
「〇〇、一週間で女の子みたいな乳首になったねー。このまま続けてたら、おっぱい出てきちゃったりして!あはは!そうなったら本当に人生しゅーりょー!!」
人生終了。その響きに、射精を今か今かと待つペニスが我慢汁を垂らす。ご主人様に、ちさと様になら、終わらせられても良い。終わらせられたいと、僕の身体が叫んでいる。脳の最後の良識が対抗しても、それ以外の全てがそれをかき消す。
「ほらほら、おちんちん一回も触らないでイっちゃえ、女の子みたいな乳首触られて、女の子みたいな声出しながら、キモいマゾのおじさんが射精しちゃえ!」
まだおじさんと呼ばれる年齢ではないと自負しているのでショックではあるが、『ちさと様が喋っている』それ以外の事を、僕は認識できていなかった。
ちさと様の責め方が、カリカリと削るようなものから、ガリグリと抉るような激しいものに変わって、僕の我慢のダムは決壊した。
「あっ、ああっ、ひぃっっ!!!??」
ドクドクッ!!ヂュルッ!ビュゥ……デュグゥゥ……!
濁流のような白濁液は、その原因であるちさと様に襲いかかった。幼くアバラが若干透ける薄い身体が、濃い精液に塗れて行く。何度見てもこの上なく興奮する、僕にとっての絶景。
「はぁっ、はぁっ……んぁ……」
「わぁ、いっぱい出せたね」
どろどろの胴体を満足げに見て、ちさと様は僕を褒めてくれた。僕を射精に導いた棒はするりと彼女の口内に戻り、それを思わず目で追ってしまう。とても良い笑顔で飴を頬張る彼女は、女神なんて手垢の付いた表現では表せないものだった。
カチャリ
「……んぇ……?」
「じゃ、また次の土曜日ね。ちさと、今日はもう寝るから」
そう言ってちさと様は、浴室へと駆けて行く。全身を包むような絶望感に襲われたのち、僕みたいな罪人の行いはこの程度で赦されるものではないのだと、再びの一週間にて思い知るのだった。