五条悟×夢主。
苦手なお方はそっ閉じしてください。
これからも随時更新していく予定ですので、読んでいただけると嬉しいです。
目を覚ますとそこは雪景色でした。
ではなく、真っ白いふわふわの髪にふちどられ、線の細い美しい寝顔……睫毛長いなぁーなんて思っていたけれども、お互い丸っ裸なのに気づき、私は【あちゃー、やっちまったぜ】状態。
昨夜の記憶を早回しで呼び起こした。
仕事でくたくたになって帰宅すると、同棲していたカレシがベッドで他の女とよろしくやっているのをみてしまい、散々罵り殴りつけて合鍵を奪い取ってから、二人とも裸で家から追い出したあと、憤りがおさまらず飲みに行ったのだ。
大勢の人がいるところは嫌だったので、客層が上であり絡んで来なさそうな立ち飲み屋でちゃんぽんしてたら、不審人物にしかみえない長身の男がコーラばかり飲んでいたので、彼のグラスにビールを注ぎ「飲め飲め」と無理やり飲ませて酔わせて付き合わせた挙句、ラブホでワンナイトラブしてしまった。
(やばい、目を覚ます前に帰ろ)
そっとベッドを抜け出そうとすると、力強く手首を掴まれた。
「……どこ行くの?」
ガラス玉みたいに綺麗な瞳が、私をみつめる。ほんの数瞬、息が止まった。こんなに綺麗な人を、私は知らない。
「えっ、と」
「今度いつ会える?」
相手が起き上がり、毛布が滑り落ちると、見事な肉体が嫌でも目に入る。白磁の肌に私が付けただろう傷跡。無駄のないしなやかな筋肉……さわりたいと思ってしまう。
「えー、ごめんなさいっ!」
私はとりあえず、ベッドの上で土下座した。
「私、昨夜のことはほとんどおぼえてなくて、たぶんここへ連れ込んだのは私だろうけれども、一夜の誤ちということで忘れてください!!」
青い瞳が大きく見開かれる。そりゃ普通に考えりゃショックよね。女に手篭めにされたようなものなのだから。
「あなたと私は何もなかった! 街で偶然会っても知らんふりで!!」
「嫌だよ」
きっぱりと否定された。
え、ちょっとやばお?
「きみ、昨夜はぼくにしがみついて、あんなに喘いでいたじゃん。気持ちよかったんでしょ?」
「えーと」
申し訳ありません。それもおぼえていません。
昨夜の私は、酔ってて何をしていたかさえあやふやで、とにかく最低カレシにムカついてて、ヤケ酒を煽っていたのだけはおぼえている。
「なんか、傷つくなー」
彼が私の体を押し倒す。
いやいや、ちょっと待ってくれ!
私はこれから会社に行かねばならぬ。
家に戻ってシャワーを浴びて着替える時間が欲しい。
首筋にちくんと痛みが走り、キスマークをつけられたと気づき、慌てて彼の顔を押し退け、やめさせる。
「みえるとこにつけるのはやめてくれませんかね?」
カレシにさえ許してなかったことを、一晩だけの相手にされるのは抵抗がある。
「じゃ、みえないところならいいんだ」
彼は嬉しそうに胸やお腹、太腿の内側に強く吸い付き、痕を残す。
「ちょっ、会社あるし!」
「ぼくも仕事があるよ」
「なら、体力使うのはやめておいたほうが」
「うるさい口だなあ」
私は唇をふさがれ、口内に侵入された彼の舌に翻弄され、身体の奥にあるスイッチがオンになる。
と。
どこからか着信音がして、彼は舌打ちしながらスマホを手にした。しゃべっている間に私は衣服を身につけ、「あ、待って!」という声を背中にその場から逃げ出した。
(やばい、あの人キス上手すぎ)
結局、家に戻る時間はなく、そのまま会社に出社したが、身体の奥の火照りは退社時間になっても消えなかった。
帰り道にスーパーに寄って食材を買い込んだが、もうカレシはいないのに二人分の量をいつもの癖で仕入れ、重い足取りのままアパートまで来ると、なんとあの男が階段に座っていた。
黒マスクに黒い服……どうみても不審者。
こんなのが知り合いだと思われたらアパートを追い出されかねない。
私は彼の横を通ろうとしたが、男は細身のくせにやたらと幅を取っていて、しかたなく「どいてください」と声をかけた。
「おかえり」
「ただいま」
微笑んであいさつされたので、反射的にあいさつを返してしまった。
しかし、なんでこの男が我が家にいるのだ?
待ち構えられてきたことに少し恐怖する。何をした、昨夜の私!
一緒に階段をあがり、部屋の前まで来ると、さすがに【これはあかんやつ】と思い、はっきりと「カレシが待ってるんで、来られると困るんです」と告げた。
「カレシ? どんなやつ? ぼくよりかっこいいの?」
「……(ナルシストか)」
「でも、きみの新しいカレシはぼくだから、そのへん話し合おうか」
「いや、カレシじゃないでしょ」
「昨夜、恋人になったの!」
「ワンナイトラブで恋人なら、私たくさんいますが?」
「え」
彼はあきらかに動揺した。
そう、こんなことは初めてじゃない。
会社の飲み会や合コンなどで、飲み過ぎてワンナイトラブをすること数回、そのあと目の前の男と同じようにカレシ面する人もいたが、恋人はいたのですべて一夜限りの関係で終わっている。
「そういうわけで、お帰りください」
私は部屋の鍵を開けて中に入ると、男がドアの隙間から身体を捩じ込んできた。
「カレシさあーん、いるのおー?」
「近所迷惑になるから大声やめてください」
ぐいぐい外に押し出そうとするが、所詮女の腕力である。男は部屋に入り込み、後ろ手で鍵を閉めた。
「誰もいないじゃん」
「……これから帰ってくるんです」
帰ってくるはずないけれどもね。
一応の予防線は張っておく。
「ふうん、まあオトコのいる気配はあるよね」
彼は部屋の中を見回し、私はため息をついて夕飯の支度を始めた。
「へえ、自炊なの? もしかして、料理上手い?」
「……人並みです」
「何作るの? ぼくはね、シチューが好き」
「……」
「それとオムライスも好き」
「……」
「いちばん好きなのは、きみ」
つる!
ごん!
ぐさ!
皮を剥いていた玉ねぎを滑り落とし、次いで降ってきた包丁が床に落ちた玉ねぎに刺さる。
「あの、刃物使ってるときに冗談やめてくれます?」
「冗談じゃないよ」
「たった一夜の関係じゃないですか」
「きみにはそうかもしれないけど、ぼくには特別な夜だったんだよ」
まあ、私も悪い意味で特別な夜でしたが。
床に落ちた玉ねぎを拾い、水で洗う。
「私、あなたの名前も知らないし、見た目不審者だし、好きになれそうにもありません」
「ぼく、昨夜名乗ったよ?」「すみません、おぼえてないです」
「【五条悟】」
「ごじょーさとる」
不意に思い出してしまった。昨夜ねだられるままに名前を呼び、彼の背中に爪を立て、快楽堕ちしていたことを。
頬がかっと熱くなった。
「ご、ごじょーさん」
「さ・と・る」
「……さとるさん」
「まだ呼び方が固いなあ」
「シチュー作るので、食べたら帰ってくれます?」
五条さんにケモ耳と尻尾がぴょこぴょこ生えて、ふりふりしている幻影がみえてしまった。疲れている……そう、疲れているんだ。
さっさと夕飯を作って、食べ終わったら帰ってもらおう。
メインはホワイトシチューに白米、たっぷりサラダを作り終えてテーブルに並べ終えると、五条さんは嬉しそうに「いただきます!」とまずはシチューから食べ始めて、「美味しいね! きみ、料理の天才!! これなら結婚しても安心」という不穏な賛辞を口にして、三合も炊いてあった白米をすべて食べ切り、シチューもお鍋空っぽにしてくれた。
なんという大食漢!
「ご馳走様でした!」
五条さんがお行儀よく合掌してお皿を運び、当たり前のように洗い始める。
「私がやりますよ!」
「食べさせてもらったんだから、これくらい当たり前でしょ」
それとも、と、五条さんが言葉を紡ぐ。
「カレシくんはしてくれないの?」
「……」
カレシが家事を手伝ってくれたことなんてない。
私が熱を出して苦しんでいるときでさえ「俺のメシは?」なんて尋ねくるあほな男だった。あほすぎて、なんで同棲までしていたのか忘れてしまうほど、ときめきも薄れて……結局他の女に寝盗られて、私ばかみたい。
今はストーカーじみた五条さんにまとわりつかれているけれども、心のどこかで優越感を感じているのもあり、我ながら流されやすいなと思う。
だからこそワンナイトラブが多いのだが。
これではカレシのことをいえないが、さすがに我が家まで連れ込んでの浮気は、ない。
カレシと同じ人種になりたくなくて、はやく五条さんには帰ってもらいたいのだが、この男……勝手にココアをいれだした。
「あのー、五条さん?」
「だから【悟】だってば」
「……さとるさん」
「なあに?」
「帰るつもりあります?」
「んー、仕事次第?」
自由業か。
やのつく職業にはみえないが、もっとやばそうな気がするのはどうしてだろう?
「はい、ココア。熱いよ?」
「……ども」
私はココアの入ったカップを受け取り、ソファに座った。その隣には五条さん。
「あの、狭いんですが」
「好きな子と密着出来る幸せを噛み締めてるの」
「【好きな子】って……」
会ったばかりじゃないか。
身体の相性が良かったのだろうか? 生憎と記憶にないのがくやまれ、しかも私、五条さんに絆されつつある自覚があり、だからこそはやく目の前から消えて欲しい。
だって、こんなイケメンと恋人同士になったら、泣く羽目になるのが目にみえている。
「……五条さん、モテるでしょ」
「んー、それなり?」
「なら、その中でカノジョ作ったらいいんじゃないですか?」
「ぼくってイケメンでお金持ちなんだけど、そういうとこみないで好きになって欲しいんだよね」
そういう点できみは合格。
五条さんがココアを飲み、「あちっ」と舌を出す。
イケメンでお金持ちなら、モテるに決まっている。カノジョの座を狙っている女性は多いだろう。そこに参戦する勇気はないし、そもそも出会ったばかりの相手をすぐに愛せるほど恋愛体質ではない。
五条さんは私の肩を抱いて、髪を弄ぶ。
なんとも恋人らしいスキンシップ。
「私、お風呂入りたいんですが……」
「ぼくも一緒に入ろうかな」
なぜか五条さんが声を弾ませ、一緒に入りたがるが無理である。気持ち的にもそうだし、物理的にも不可能。
やれやれ、どうやったら帰ってくれるのか。
私が頭を悩ませていると、玄関のチャイムが鳴った。時間は午後21時過ぎ。
運送会社の配達時間は過ぎてるし、平日のこの時間に遊びに来る友だちもいない。
ということは。
どんどん、どんどん。
玄関のドアを叩かれる。
「いれてくれよー! 俺が悪かった。あやまるから許してくれ」
やはり予想通りカレシの声だった。昨夜のお相手のところに行けばいいものを。
私は頭の中で引っ越しを考え始めていると、五条さんが立ち上がり、玄関に向かう。
玄関のドアを開けて、情けない顔のカレシと対面し、こちらを振り返った。
「きみ、こいつとやり直したいの?」
「いえ、もうヒモ男の面倒をみるのは嫌なので」
「へえ、ヒモなんだ」
五条さんがおもしろそうにカレシを見下ろし、耳元に何か囁くと、カレシは青ざめて顔をひきつらせ、逃げ出していった。
「これで大丈夫! もう二度ときみの前には現れないからさ」
「何を言ったんですか?」
「ヒミツ」
五条さんが自分の唇の前に人差し指を立てた。
……やっぱりはやめに引っ越そう。
正体不明の男にストーカーされるのも、怖い。
しばらく禁酒しようと心に誓い、さて今度は五条さんを追い出すには……と、悩んでいると昨夜と同じくナイスタイミングで五条さんのスマホが鳴り、仕事が入ったみたいでぐずぐず電話口で文句を言いながらも、「しかたないから行く」ということになり、私はほっとして笑顔で五条さんを見送ったら、五条さんは口をへの字にして「行ってらっしゃいのキスして」と要求してきた。
「キス、ですか」
「うん」
「ほっぺでいいですか?」
「ここがいい」
五条さんが自分の唇を指差す。
はぁ。ため息ひとつ。
私は五条さんの鼻の頭にキスして、「さよなら、お仕事頑張ってください」と告げた。
五条さんは大変不満そうだったが、時間が押していたのか、「帰ってからリベンジね」と言い残して、出て行った。そのあと、スマホで引っ越し先を検索しまくり、朝を迎えた。
結局いい物件はなく、そのまま今のアパートに住み続けることになったが、五条さんはあれ以来姿をみせない。
いれば困るのに、いないとなんか寂しい。
そんな自分に気づいて情けなくなり、禁酒の戒めを破って一人飲みに行き、そこで意気投合した男とラブホテルまで来ると、不意に肩を掴まれて悲鳴をあげそうになり、記憶に残った匂いが振り向かずとも相手が誰かを示していた。
「この子、ぼくのだから」
声が、ものすごく怖かった。
男は何も言わずに逃げて行き、残った私たちはそのままラブホテルの中に入った。
「……えーっ、と……五条さん?」
「……」
「ごじょーさーん」
「……」
ベッドに足を組んで腰掛ける五条さんの前で、正座をしている私。
うーん、これはかなりのおかんむり。
しかし、恋人でもないのにこの構図は……。
「五条さん、怒ってます?」
「……る」
「え?」
「さとる」
「……さとるさん、怒ってますか?」
こくんと頷く五条さん。
そして、続く沈黙。
私がそろそろ足が痺れてきて、感覚がなくなりかけたとき、五条さんが立ち上がり私を抱き上げ、ベッドに放り投げると自分の服を脱ぎ出した。
「ちょっ、ごじょーさ」
噛み付くように唇を奪われ、無理やり舌をねじ込まれる。忙しなく動く五条さんの舌に翻弄されて、私は息継ぎさえ難しくなり、五条さんの胸を両のこぶしで叩いたが、五条さんの攻めは止まらない。
「ふっ、は……!」
唇が離れて酸素を肺に貯め、五条さんに抗議しようとしたら、再び唇を塞がれ……という行為が繰り返されて、キスだけで脳がとろとろ蕩けだし、何も考えられなくなり、身体に力が入らなくなった。
「はっ、はっ、ぁ……っ!」
五条さんの舌がわたしの唇の表面を舐め、すすーっと頬を滑り、耳朶を何回か甘噛みしたあと、思い切り喉に食いつかれて、「いったあーいっーーー!!」と叫んでしまったが、五条さんの攻めは緩まることもなく、ピンクの尖りも齧り取る勢いで愛撫し、痛みの中で(なんでこんな目に)とぼやけた意識を刺激され、下着を剥ぎ取られて一気に肉棒を突っ込まれる。
「ひぎゃあっ」
太くて大きすぎるものが、みっちり私の中で暴れ出す。
「いたいいたいいたい!」
私の目から涙が溢れ出す。
五条さんは思ったよりも優しくその涙を吸い取ったが、腰を動かすのをやめる気はないらしい。
五条さんは肉棒を抜かずに私の身体を反転させ、背後からお尻を掴んで抓る。
「いたあーいいいい! ごじょーさあん、もうやめてえええええ!!」
私が喉を枯らして叫んでも、許されなかった。代わりにお尻をぺちんぺちん叩かれる。そのたびに私は五条さんを締め付けたり緩めたりしているうちに、痛さに慣れつつも気持ちよさが生まれ、喘いだ。
「ぁん、はぁん、もっとお」
「気持ちよくなってきた?」
「もっとしてえ、おく、とんとんしてえ」
「じゃ、ちょっと緩めて」
「できない……できないよお」
「締め付けきついよっ……ぼくも苦しい!」
「ひっく……やだあ、いっぱいしてえ……とんとんしてえ……!」
「してあげたいけどっ!!」
五条さんにも余裕がなくなっているようだ。繋がった部分がぐちゅぐちゅぱんぱん音を立てて鼓膜までも犯す。
「イクよおっ! イっちゃう……!!」
「ぼく、も!!」
私の中で熱い液体がはじけると同時に私は絶頂を迎えて全身を震わせ、ベッドに沈み込んだ。背後から五条さんが私を抱きしめ、倒れる。重い。
ぼーっとした頭の中で、五条さんの声が響く。
「中に出しちゃった。赤ちゃん出来ちゃうね」
背中に五条さんの唇の感触があちこちに広がる。
「でも、恋人期間楽しみたいから、今度からゴム用意するね」
愛してるよ、と、肩を噛まれて、私はからからの声で「私はビッチですよ」と応えた。
「そんなの関係ない。ぼくが決めた、ぼくの好きな人なんだから……当然、浮気は阻止するよ?」
「……今度、オムライス作ってあげます」
「わお、嬉しい! ねえ、もう一発やっていい?」
今度は中に出さないから。
五条さんのおねだりに拒否権はなく、その後私たちは朝方まで抱き合い、おかげで私は会社を休む羽目になった。