どうやら二人がしていた話し合いの結果、水着を着用しての入浴ということになったらしい。
仕方ないと、夜斗は服を脱いでいく。
「ちょいちょい!」
「ん、どうした?」
脱ぎ始めてすぐ、サヤに止められた。
「なんでここで脱いでんの!?」
「なんでって……」
お互いの裸を見せあった仲なんだからいいではないか。
そんなことを言い返そうとしたが、二人も別室で着替えたのだから、夜斗もそうすべきなのだろう。
大きくため息をつき、洗面所から出る。
とはいっても、夜斗は二人と違って水着なんて持って来ていない。なので渚が用意してくれた水着に着替えるのだが。
「ボクサーみたいだな」
お尻や右太股部分といった部分の布面積の半分以上に貼られたラブホテルとサーフショップの宣伝。
スポンサー様の要望だろうが、さすがにこの水着はセンスがない。というより夜斗はまだいいが、二人の水着もこれなのだろうか。
二人の前に出ると、予想通りの反応された。
「うわ、なにそのセンスない水着」
「オーナーから渡された水着。たぶん二人のもこんな感じじゃないか?」
「え、まだ見てない。Tシャツは普通……ではないか、背中部分で宣伝してたから。え、もしかして水着もこんな変な感じなの? 雨奈は見た?」
「さっき水着も確認したけど、ここまで露骨じゃないけどこんな感じではあったよ。モデルさんの水着ってみんなこんな感じなのかなって思ってたけど、やっぱ違う?」
「違うよ、こんなスポンサー様様な水着しないよ! はあ、明日はこれ着けていこ。何か言われたら『帰るぞ!』って脅せばいいんだし」
それより、とサヤに腕を掴まれ引っ張られる。
「見て見て、ジャグジーのお風呂!」
ぶくぶくと泡が吹き出すお風呂を見てテンションが上がるサヤ。
「それじゃ、さっそく……」
「サヤちゃん、まず体を洗わないと」
「えー、まあしょうがいないか。って」
浴槽の前に置かれた小さいイスが一つ。
体を洗う場所はそこと、あと透け透けガラスのシャワー室しかない。
頭の中で、どう三人で交互に体を洗おうか考えているであろうサヤ。
「夜斗くん、ここ座って」
だが、すぐさま雨奈に一つしかないイスに座らされた。
「体、洗ってあげる」
真横で立ち膝をする雨奈が、タオルにボディーソープを付ける。
泡立たせながら「よいしょ、よいしょっと」と声を漏らす彼女を見ていると、変な気分になる。
上からの視界は最高だ。
すると、目が合った彼女はにっこりと微笑む。
「ん、どうかした?」
「いや、別に」
「あっ、期待してるときの顔してる。えへへ、でもダメ。今日はサヤちゃんとの約束もあるから、大事なとこは自分で洗ってね?」
そう言った彼女は「右腕、伸ばして」と言われる。
言われるがままに伸ばすと、彼女は一切の恥じらいもなく右腕を丁寧に洗っていく。
「ヨルっち、いつも雨奈にこんなことさせてるの……?」
若干だが本気で引いている目を向けられた。
「いや、別に」
「うん、いっつもこうしてあげてるよ。夜斗くんがイスに座って『おい、洗え』ってわたしに命令して、わたしは『はい、わかりました』って言うの」
「うわぁ……」
「冗談だからな」
そうこうしているうちに右腕を洗われ、右脚へ。
隣に立って見下ろしているサヤは何か言いたげだ。
「……俺のことは気にしないでいいぞ」
「やっぱりいつもさせてんだ」
「してねえって」
「じゃあ、なんで本気で拒まないの?」
「それは……」
雨奈と目が合う。
彼女はにっこりと聖母のように微笑む。
この体験を拒める男は一人もいないと思う。
「もう!」
はっきりしない夜斗を見て、彼女は雨奈とは逆の位置で立ち膝をする。
ボディーソープのノズルを力一杯叩き、タオルを泡立たせ、夜斗を見る。
「ん!」
「ん?」
「腕、伸ばして」
「え、ああ」
左腕を伸ばすと、一切の優しさのない力強さで洗われる。
「痛いんだが」
「我慢しなさい、男の子でしょ!」
「えぇ……」
「ふふ、夜斗くん、同級生の女の子二人に体を洗われる気分はどう?」
しかも水着で。
まるで王様にでもなったような。
そんなの最高の気分に決まっているのだが、それを言うと色々とマズい気がしたので「まあ」と曖昧な返事をする。
それからも二人からの奉仕は続く。
片方は優しく、もう片方は恨みを込め。
微かに荒くなった息遣いが聞こえ、たまに胸を押し当てられる。
「よし、終わり! ほら王様、とっとと、どいたどいた!」
気持ち良くてボーっとしたい気分だったのに、無理矢理にイスからどかされた。
「今度は俺が洗うか?」
順番的には今度は夜斗が……。
だが、二人は同時に首を左右に振る。
「いい、二人で洗うから。ヨルっちの痛そうだもん」
「夜斗くんの少し痛そうだから大丈夫だよ」
なので先にジャグジー風呂を楽しむ。
その視線の先には水着姿の同級生二人が洗い合いをしている。
「ほんと、雨奈って胸大きいよね。これで同じ高一とかありえないでしょ」
「サヤちゃんも十分大きいと思うけど。というより、わたしの場合は他の部分にもお肉付いてるから」
「これぐらいなら大丈夫でしょ」
「こんなに細いサヤちゃんに言われてもな~。ほら、すっごい細い」
「きゃ! も、もう、太股の内側を触るのは反則! だったらあたしも……えいっ
!」
「あんっ! サヤちゃんの触り方、なんかエッチだよ……」
「今の雨奈の声の方がエッチだよ、まったく」
二人がいちゃつく姿は最高だった。