この海水浴場はそこそこ有名で人気のある場所なのだとか。
海開きが行われていない時期は街自体もそこまで活気がない感じなのに、夏の今の時期になると観光客が住民の倍以上は訪れて人で溢れる。
他の海水浴場にはあまりない、海水浴場へ訪れた人に向けたシャワー室が設置された建物がある。
夜斗も、男性用のシャワー室は一度だけ使ったことがある。
その時が特に混雑していた時間帯だったからなのかもしれないが、大勢の人で溢れていた。
知らん奴が大勢側にいるのが嫌なのと、ホテルに帰ればシャワーも風呂もあるからということもあって、夜斗はその一回しか使わなかった。
「しーっ、だよ」
サヤは人差し指を立てながら、夜斗の手を引く。
ここはシャワー室、それも女性用のだ。
見てすぐにわかるが、男性と女性で造り自体が違うらしい。
カギを閉められる扉に、正方形の個室がいくつもある。
壁の高さは夜斗の身長と同じぐらいで、プライバシーにかなり配慮されているようだ。
「なんで女用に……」
「もし男用のシャワー室にあたしがいるのバレたら大変じゃん」
「俺がここにいるのがバレても大変なんだが」
女には女の大変があるだろうが、男には男の、社会的な大変が待っているのだが……。
「もし誰かに見られてさ、知らない男たちに『口止めに犯させろー』なんてシチュエーションになってあたしがかわいそうな目にあってもいいの?」
「それは」
「それに、ヨルっちに拒否権はないんだよ。抜け駆けして雨奈と気持ちいいことしてんだもん」
と、言われたら断れない。
夜斗とサヤは周りが空室ばかりの端の方にある個室へ入る。
海の家はほとんど閉まり、日も沈み始め、昼から夜の海を満喫しようとし始める客に変わった頃。
なので、シャワー室の利用も半分以下というとこだろう。
あちこちからシャワーが床を叩く音が聞こえる。
「なんか、これから危ないことするって思うと興奮するね?」
壁に背を付けたサヤが小さな声で言う。
豊満な胸と黒の水着。
仕事中はあまり気にしないよう意識していたが、状況が状況だ、自然と海パンに収まっていた肉棒がはみ出して顔を見せる。
「ヨルっち、やる気満々じゃん……」
興奮する状況とは別に、無理して小さな声にしようとしているからか、少しだけ呼吸が荒くなったサヤが視線を落とす。
左手で夜斗の脇腹に手を当て、伸ばした右手でパンツ越しに肉棒を撫でる。
「お前だってそうだろ」
「まあね。……誘った側だし、朝から、雨奈としてるの聞いて……もやもやしてたから」
サヤの方から唇を重ね、舌を絡ませてくる。
もやもや、ではなく、どうやらムラムラしていたのだろう。
普段よりも激しいディープキスと手コキ。
気付くとパンツは脱がされ、逆手で扱かれていた。
「ん、はむっ、ちゅ……あむっ、ちゅ、ぱあ!」
荒くなっていく吐息と唾液を啜る音が、周りから聞こえてくるシャワーの音に反抗しているように夜斗の耳に響く。
夜斗は手を伸ばし、シャワーのハンドルを回す。
「あっ……そっか、端の周りに人がいない個室に入ったけど、シャワー流してないとバレちゃうもんね」
「ああ」
「さっすがヨルっち、気がきくね。……それとも、雨奈とこういうこと経験済みとか?」
煽るような問いかけにサヤの口元は笑っていたが、目は何か訴えているように感じた。
「ねえよ、そんなの」
「ふぅん、どうだか。まっ、いっか」
夜斗の返しは正解だったのか、サヤは目は微かに満足そうだった。
「ね、ここでしてあげよっか?」
自分の唇をつんつんと指差しながら言われた。
「お前が? 珍しい、熱でもあんのか?」
別にサヤは雨奈と違ってフェラ……というか、夜斗を悦ばせる行為を好んで自分からしようとするタイプじゃない。
頼めばしてくれるが、基本的に『えー、別にいいけどさ』といった感じだ。
なので自分からすると言ったことに驚くのは当然だ。
「ないよ、バカ。してほしいの、してほしくないの、早くどっちか答えて」
握られた肉棒がきゅうきゅうと悲鳴を上げていた。
「まあ、してくれるならしてほしいが」
「素直じゃない、やり直し」
「……じゃあ、してほしい」
「あたしに?」
首を傾げるサヤ。
なるほど、雨奈に嫉妬してか。
「サヤにしてほしい」
らしくはないが素直に頼むと、サヤは驚いたように目を大きく開き、
「しょうがないなあ、まったく……」
と、にんまりと笑ってしゃがんだ。
「うわ、やば……。ほんと、どんだけ大きいのさ……ったく」
ぶーぶー文句を垂れるサヤ。
「まるで他の男のモノと比べたみたいな反応だな」
「ん、まあね。実際に比べたからね」
「あ?」
予想していなかった返事に声を小さくするのを忘れた。
「ちょ、しーだってば!」
「ああ、悪い悪い」
「まったくもう……あれ、もしかして気になる? あたしが、他の男と寝たんじゃないかって?」
「……別に」
「嘘つき。ってか、自分は他の女と気持ちいいことしてるくせに? 自分勝手さんだねぇ、まったくまったく」
楽し気な上目遣いにむすっとした表情を見せる。
サヤは楽し気に笑い、肉棒に顔を近付けた。
「このまま焦らしてヨルっちの反応も見たいけど……」
「……」
「どうせすぐバレちゃうだろうから、止めとこ。比較したのはね、エッチな動画で。勉強したの、雨奈と一緒にね」
「雨奈と?」
「そうそう、お勉強。フェラの仕方と、パイズリの仕方と、あと……」
少し考えてから、
「あとは秘密。だから、今日は勉強会の実践。気持ちよくて、変な声とか出さないでねぇ……!」
そう言いながら、サヤは肉棒へと舌を這わせた。