主人公「まてよ~こいつぅ~」ドォォンッ!!
篠原まり「うふふ~捕まえてごらんなさぁ~い」(ダカダカ走り)
アンネローゼ「ダウト」
「…………はん………ん……あっ」
下半身が何だか気持ちいい。微睡む意識が少しずつ覚醒していくうちに感覚も強さを増していく。
「あっ!……あはっ……大きく、なってきたぁ……」
身体が上下に揺れている。下半身にリズムよく衝撃が来る。心地よい眠りから目を醒ますと。
「はっ、はっ、い、いき、そう……私、んはぁ………」
「アンネローゼ?っ!?」
どくっ!どびゅうるるるるるうううう!ドッ……!ドッ………!
「ひあああああ………!いっぱいぃ………でたぁ」
目を醒ますと、アンネローゼが騎乗位で男を逆レイプしていた。これには男も驚きで目を見開いてしまう。
「何をしている?」
「はぁ……ハァ………きもちいい……もっと、いっぱいぃ」
虚ろな目で再び腰を振り始めるアンネローゼ。既に精気を吸収し終えたおかげで身体は元の身体に戻っているが、色々とタガが外れたのだろう。完全に出来上がっていて夢見心地に快楽を貪っている。様々な体液に塗れているが気にも留めていない。それなりの時を生きたとはいえ、交わりでしか得られない快楽にすっかりと虜になっているようだった。
「はっ、はっ、はっ、あっ、んぅ、ひあ、あっ、はっ」
「………ふむ」
ごちゅぅ!
「あはぁ!」
据え膳喰わぬは何とやら。取り敢えず満足して気絶するくらいまで付き合うことにする。この様子では前後不覚になるまで繋がっていたらしい。
男は上体を起こすと、対面座位となってアンネローゼを抱く。
「くちゅ……はぁぷ……んん……ぁ……ふ……ふんん」
その動きは緩慢なものだが、彼女の手は男の後頭部に回され、自ら唇を差し出して、積極的に男とキスをする。
「じゅるぅ、ぷん、はぁ、じゅろろろろぉ……はっ、ちゅむ、ちゅ……」
その手は蛇のように巻き付き、ガッチリとホールドされている。まるで性の快楽を覚えたてな中高生のようだ。
「ちゅううう、ふはぁ、あっ、あっ、んっ、んっんぅぅ!」
どくっどくっ!ごびゅっごびゅっごびゅっごびゅっ!
達したばかりな所為かお互い絶頂も早かった。もう少し楽しんで行為に及べるのならば良いが、非常に残念だが、男にも予定がある。
「は……はひっ………あはぁ………」
と言ってもほとんど意識が飛んでいるアンネローゼは知る由もないだろう。気絶し、寄りかかる彼女をゆっくりとベッドに寝かせ、身体に付いた体液、汚れ、澱んだ空気その他諸々を手早く取り除いた後、男はその場を後にするのだった。
◆◆◆
シェンフーに頼んで朝食を早めに用意してもらい、済ませた後、男は眠るアンネローゼをそのままに、自室のデスクに向き合っていた。理由は定期的に来る『草』からの情報をまとめるためだ。コンピューターなどといった電子系のデータは便利だがその分簡単に盗まれる危険性がある。そのため、他人の工作が入り辛いここならば紙媒体でも十分情報の伝達は可能なのである。
「………カオス・アリーナが随分と盛況だな」
いつものことだ。と断言はできない。魔族の欲望が満たされるからか?人間の浅ましい獣欲の解消ができるからか人気なのか?そんな単純な理由だけではない。『誰』が出て、『何』をするかだ。その理由に男は心当たりがある。『草』が過去に持ってきた情報。対魔忍アサギが朧に捕えられたということ。あれから数日が経った。
アサギが死んだという情報は入っていない。未だ煮え湯を飲まされた肥えた豚どもの仕返しと称した屈辱の限りを尽くされているのか、それとも醜い化け物へと改造されてしまったのかは定かではない。現状結論としては『草』だけでは深いところまでは情報は入らない。いずれまたあそこに直接出向く必要があるだろう。
「………」
ブラックを殺すことは男にとって現状最優先すべき目的だ。その中でアサギを失うことはこちらにとっても不利益にしかならない。加えて言うと、彼女の妹である井河さくらがアサギ救出のために動いたことも情報として入っている。二人とも失うことになれば対魔忍だけの問題ではない。人類側の損失となるだろう。
「何が最強の対魔忍だ。笑わせる」
男の眉間には珍しく皺が寄っていた。未だその力が発揮されていないとはいえ、人質に取られ、こうも容易く捕えられてしまうと、改めて怒りが湧きそうになる。胸の内に湧き上がった黒い感情を吐き出すように男は深く、長い溜息を吐く。
「柄ではないが、スパイの真似事でもするか」
「………」
スパイと言えば………と、呟く男の視線は、真上へとゆっくりと移される。未だ息をひそめこちらを見ている人間が一人。否、二人。戯れに放っておいたが、こうも熱い視線を向けられるといい加減鬱陶しく思うものだ。
「俺を監視したかったらその心臓の音も電子音も隠せるようにすることだ」
「「!?」」
「まぁ、攻撃を仕掛けてこなかったことは賢明な判断だと褒めて遣わす」
男が立ち上がる。面白いぐらいに息遣いが乱れてくれたおかげか男は低く唸るように笑い、続ける。
「俺とアンネローゼの交わりは見ていて滾ったか?くく、興味があれば混ざってもいいぞ?」
「………っ」
男の指が揺れると同時に、窓の外の景色が廃ビルが並ぶ景色が見える場所へと変わる。アミダハラだ。窓を開けて男は外に向けて親指を指す。
「そら、勝手口はこっちだ」
「………」
「どうした?もう居場所など分かっているのだ。今更嘆くこともあるまい?」
力の揺らぎとともに、心臓の鼓動も、気配も消え、再び現れた。トン、と軽い音が男の鼓膜を震わせる。横目で男は先ほどまで監視していた対魔忍の姿をとらえた。
後頭部に纏められた紺色の長髪、青い対魔忍の装備と背中に背負われた長刀が特徴的な少女が一人。長身だが目に見える肌の質から二十歳にも達していない。まだ未熟さが窺えながらも、その全身から放たれる力はいずれ次代を担う優秀な対魔忍としての才の塊を男に魅せた。そして、その揺れる髪の間から覗かせたコバルトブルーの瞳はまるで宝石のように男の姿を映し、再びここに来ることを決意した目で男を見ていた。
それも一瞬のこと。対魔忍は瞬時にその場から姿を消した。
「………退いたか。惜しいことをした。どうやって侵入したか知らなかったが、空遁の術の使い手であったか。となると、あれが近頃スーパールーキーとして知られる斬鬼の対魔忍か」
まぁいい。と男は次に未だこちらを見ている虫と視線を合わせる。正確にはその虫を通して見ている科学者に対して。
「何を知りたいかはあえて問わぬ」
その口元は愉悦に歪む。見下すように、嘲笑うように。
「名も知らぬ科学者よ。持っていきたければ持って行け。その程度でこの俺の正体がわかったら、褒美をくれてやろう。この俺直々の寵愛だ。泣いて喜ぶといい」
「………」
窓を開けたまま男はそういって部屋を後にする。傲慢に、自身の優位性に一片の疑いもなく、男は一点の曇りもなく愉悦に満ちた笑みを零す。
それからしばらくして、蟲は部屋にはいなくなっていた。ただ主の命令を受諾し、行動するために。その後に残ったのは、未だ眠るアンネローゼの穏やかな息遣いのみ。
◆◆◆
「………先輩………」
昨日男が捕えた対魔忍篠原まりが眠る部屋。その隣で朝食を済ませた桃子が座っていた。彼女はまりの身を案じるように虚空に消えそうなほどか細い声でつぶやいた。
その横では、最近桃子と仲が良くなったティアがいる。
「桃子、心配なのはわかるけど、あまり煮詰めすぎなのもよくないわ。かなり疲労が溜まっているけどそれだけよ。目を覚まして栄養のある食事を摂ればすぐに元気になるわ」
「ティアさん………はい」
「………随分この対魔忍に思い入れがあるのね。先輩って言ってたけど?」
「あ、はい。篠原先輩は、五車学園でよくしてもらった先輩だったんです。私、突出した部分とか、特別なところとか、無いですから」
「………」
ティアは無言を貫き、続きを促す。
「その時は、私魔族のことが憎くて仕方がなくて、でも、気持ちだけじゃどうにもできなくて、どんどんいろんな人と引き離されちゃって。そんな時、先輩から励ましてもらったんです。一緒に残って訓練してくれたり、座学を教えてくれたりして。私にとって、大切な恩人なんです」
「ふぅ~ん………じゃあ桃子は、会えて嬉しかったっていうこと?」
「え?」
「その先輩によ。起きたら何を話すとか、そういうのは考えてるのかしら?」
「………ああ、えっと、あはは、考えてないです」
「そう………でも覚悟しておきなさい。桃子はもうご主人様のモノよ」
そう、前園桃子は男のモノになった。彼は魔族だ。自分の敵であり、対魔忍の敵でもある。出合い頭の戦闘など普通にあり得る話だ。篠原まりは対魔忍であり、自分は今や魔族の陣営に身を置いている『抜け忍』だ。
「対魔忍として復帰できるよう取り計らうと約束したとはいえ、最悪ここで戦闘になることだってありうるわ。その時は、逃げることは考えておいた方が良いわ。だって、戦いたくないでしょう?」
ティアは桃子から視線を外し、篠原まりの隣に不用心にも置かれた装備を見やる。例え親しい間柄とはいえ、必要とあらば身内でさえ斬り捨てるのが対魔忍だ。知り合いだからといって上手くいくほど、この世界は優しくないし甘くは無い。
「………はい」
ティアの言わんとしていることは桃子とて教師から、これまでの先達から痛いほど聞かされたから分かった。それでも、この場から立ち去ろうとはしない。それでも大恩がある先輩に対しては、報いたい気持ちがあるから。
「まったく………もう」
ティアがため息交じりに呟く。桃子の隣に何時までも居るのはそのためだ。篠原まりと対峙した時、身体を張って彼女を護るのが自分の役目であり、そうするようシェンフーから言われていた。
こうして一緒にいると分かる。桃子は少々頑固な気があって、一度決めたらやり通そうとする。気絶した篠原まりを看病すると言ったらこれだ。だが、そういうのは嫌いではない。同時に危うい。例えシェンフーに言われずともティアは桃子の隣に居ただろう。
「………今も」
「え?」
「今も、魔族は嫌い?」
「…………分からないです」
「そう………」
「でも」
「?」
「ティアさんもシェンフーさんも良い人です。天華さんは、まだ分からないところもありますから何とも言えませんけど、でも、ご主人様と一緒にいる人たちは、皆いい人だと思います」
「!…………つくづく、対魔忍に向かない子だわ、桃子」
「?………何か言いました?」
「いいえ、何でもないわ」
今も尚篠原まりをジッと見据えて見守る桃子を彼女は眩しいものを見るように、されど微笑ましそうなものを見るように目を細めた。不意に扉が開かれる。
「………」
無言で入ってきたのは男とシェンフーの二人だ。眠っている篠原まりを気遣っているのか、扉を閉めるときの動きはどこか緩慢だ。熱心に見つめている桃子はティアが出ていったと思っているのか、篠原まりから視線を外さない。
男は殊勝にも人の容体を気にして見舞いに来たわけではないことは分かっている。男が来たということは、そろそろ篠原まりが目覚める頃合いなのだとティアは感じた。
「ん………ぅ」
ティアの考えている通りだった、僅かな身じろぎと共に篠原まりの意識が戻った。
「先輩!」
「ぇ………桃子……ちゃん?」
呆然と、篠原まりが桃子の顔を見上げる。桃子は彼女が無事に意識が戻ったこと安堵し、眼の端に涙を溜めながらも笑みを浮かべていた。
「先輩、良かったです!気が付いたんですね?」
「だって…………桃子ちゃんは、魔族に殺されたんじゃ……」
篠原まりの言葉に桃子は首を振った。
「いいえ、死んでません。私、ここで元気にやっています」
「ここ?……そういえば、私……ツクモさんに………っ!!」
上体を起こし、自分がここに来た経緯を思い出した篠原まりが、男の存在に気づき、近くにあった武器を手に取ろうとして。
「やめたほうがいいわ」
その手をつかまれた。しかし、ティアのいる位置からでは届かない距離だ。篠原まりの手を止めたのはもう一つの手。ティアが操る半透明で、鎧のように固い外殻に包まれた人外の腕。
「今この状況でそれは悪手よ。まずは話してみるのもいいんじゃないかしら?」
「………」
いつものぽやぽやとした雰囲気は無い。あるのは対魔忍としての使命を背負った一人の戦士がそこに居た。
「放してやれ」
「………」
男の言葉にしばし批判的な視線をティアは送ったが、結局従った。
「桃子、ティアは部屋から出ろ」
「ご主人様、ですが……」
どうか、手荒な真似だけはしないでほしい。桃子の訴えかけるような視線に男は彼女の頭に手を置く。
「任せよ。そう悪くはせぬ」
「………はい………先輩。またお会いしましょう」
篠原まりは桃子の言葉に応えなかった。男の強さを知っているだけに、どうやってこの場から脱出するかを必死に戦略を練っていたからだ。桃子が生きていたということを知れて嬉しい反面、彼女が男の手のものとなっていた事実を悲しく感じていた。
「………」
「そう警戒してくれるな。犬に出会った猫のように健気さを見せられても困る」
「桃子ちゃんに一体何をしたんですか?」
「勘違いするなよ?洗脳などしておらぬ。ただ選択肢の幅を広げてやっただけだ。あ奴の才能、未だ芽を出しておらぬが確かなものだ。要は手元に置きたくなったのよ」
男の言葉に篠原まりは視線と警戒をさらに強める。例え他の連中のような薄汚さやゲスな感情を持たずとも、やはりこの男は根っこは魔族だということを改めて確信する。
「………桃子ちゃんを帰してください」
「良いだろう。元よりそのつもりだ」
「………………!」
即答。特に躊躇いもなく、衝動的というわけでもなく、予め知っていたかのように男はそう言った。男は続ける。
「山本信繁と話がしたい。貴様を介して奴と、引いては貴様ら対魔忍と協力関係を結びたい。当然、秘密裏にだ」
「魔族の貴方が?」
そのとおりだ。と男が頷くと、今まで静かに後ろで控えていたシェンフーが掌に魔力を集め、天井に放った。放たれた魔力は弾け、まるで立体映像のようにある映像を映し出した。
「エドウィン………ブラック」
その映像は不敵な笑みを浮かべたブラックを映し出していた。その近くにアメリカの国旗を、中国の国旗、そして対魔忍の装備を象ったシルエットが映し出された。
「魔族………米連………中華連邦………そして対魔忍。現在世界で取り巻く中で魔族と敵対、協力関係なく最も関係の深い勢力はこの四つだが、その5つ目には俺達が入る」
立体映像に三等身ほどのデフォルメされた男の全体像が現れる。すると、アメリカが銃を取り出し、ブラックに向けて発砲した。近くでは対魔忍のシルエットが変化し、男と同じくデフォルメ化された篠原まりがブラックを背後から虎視眈々と狙っているような絵面になった。
「中華連邦は隙あらば技術を………。米連は打倒ブラックを掲げ、お前たち対魔忍も隙あらば奴を殺そうと動いている。いや、動きたくとも動けないと言った状態か?」
デフォルメになった篠原まりを後ろから鎖が巻き付き、雁字搦めにしてしまう。その鎖の根元には国会議事堂を似せた白い建物だ。
「汚職に塗れた議員、金に目がくらんだ議員、魔族の力に魅了された議員。どいつもこいつもこぞって貴様ら対魔忍をやっかみ、目の上のたん瘤にしている」
「………」
男の言っていることは正しい。対魔忍組織は歴史の闇の中で動く戦闘集団。だが、武力を持たないと掲げる現在の日本にとって、一つ間違えれば信用を失いかねない事例の一つ。男がパイプを作りたいと言った人物、山本信繁は、現在政府と対魔忍組織との関係を円滑なものとし、ただ一つの例外として対魔忍の存在を容認してもらうために奔走している人物なのである。何となしに男の言わんとしていることが分かった篠原まりは、必死に選択肢を模索する。
男の実力は今まで戦ってきた魔族の中でも次元が違う。そう考えるのならば協力関係になるのはむしろ喜ばしいこと。だが、魔族を内側に迎え入れるということは、裏切られたときに恐ろしいほど手痛い損失を受ける覚悟持たなければならないこと。非常にリスキーだ。そのリスクを覆せるほどの交渉材料を男が持っているというのだろうか。彼女は未だ判断しかねなかった。
「そこで貴方ということですか?」
まずは僅かでも良い、男から少しでも情報を得なければ。篠原まりの問いかけに男は僅かに笑みを浮かべることで応える。
「察しが良くて助かる」
男が篠原まりにき付いた鎖を断ち切った。
「俺の部屋に魔族と繋がりを持った議員とその証拠、おまけに脱税、横領、その他諸々の不正のリストがある。映像、写真も込みだ。こいつは凄いぞ?量にして電話帳が出来る。これがあれば以前とは比べものにならないくらい動きやすくなるだろう。政府公認でバックアップも貰えるだろうよ」
唸る様に笑う男に篠原まりの眼の色が僅かに変わる。
「事故に見せかけて暗殺も良し、晒して社会的に殺してやるも良し。世間の混乱を避けたいのならばおすすめは前者だ。必要とあらば俺の部下がやってやる。当然、アフターサービスも万全だぞ?後進の育成にも一枚噛んでやる。スポンサーにも、武器の制作にも、全てだ」
「それほどの資金とコネは一体どこから………」
「俺に不可能は無い」
男が剣を取り出し、ブラックを真っ二つにした。
「俺の目的はブラックを殺すことだ。お前らが殺してくれればそれはそれで構わん。とにかく奴が死んでくれればそれでいい」
パンパカパ~ン と立体映像から YOU WIN という文字がでかでかと表示される。男と篠原まりが笑顔で万歳三唱している。
「ご苦労だ。シェンフー、もう消して良い」
「御意」
「とにかくだ。俺たちの利害は一致している。別にこれから先ずっとというわけではない。ブラックが消えれば俺達も去ろう。ブラックが消えた後の魔族の事後処理も任せるがいい。優秀な人材が居るのでな」
「………」
この男の言葉、一体どこまで信用して良いものなのか………。今の篠原まりには分からない。男の話が嘘を吐いているようには思えない。だが、どこか現実離れしたようであるのもまた事実。こうまで対魔忍にとって有利に動いてくれる男の存在はかえって不気味である。いや、その言い方は少々不適切だろう。
怖いのだ。実は全部嘘で一気に組織を瓦解させてしまうのではないかと。それが出来るだけの力を、男は有している。だが、それらを踏まえれば自ずと答えは出てくる。
「ごめんなさい。山本司令と話をさせてください。私一人ではとてもではありませんが、扱えるものではありません」
「いや、それでいい。俺としても、山本信繁と話の席が設けられるだけでも十分な収穫だ。シェンフー」
「はっ」
「直ちに通信機器の準備だ」
「御意」
少しずつではあるが、事態は動き始める。時計の秒針のようにそれはゆっくりだが、着々と、確実に………。
ぐぅ~~~~~~………
「………」
「………」
「あ、あははは………ご、ごめんなさい。なにか、食べるものってありますかぁ?」
「…………………………………シェンフー。その前に飯だ」
「ぎょ、御意」
進んで………るのかな?
○月×日
屈辱だ。これ以上ないほどに屈辱だ。それ以上書くものは無い。予定通り体液の採取も出来た。やってみろだと?寵愛を与えてやるだと?
どこまでも上から目線な男だ。良いだろう。いい機会だ。貴様にとって最低最悪の天敵を私が作り上げてやる。私のプライドに泥を塗った罪、思い知らせてやる。
―あとがき―
立った!フラグが立った!
活動報告を見ると少しだけ幸せになれるかも