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ニア・殺してでも奪い取る
翌日の朝、男は一度前園桃子の様子を見に行くことにした。体をすっきりさせてリフレッシュさせたのはいいが、肝心な人格、意志が戻っていなければ話もできなかった。もっとも、期待はしていないが。
「………。」
男が部屋に入り、桃子が眠るベッドを覗き込むが、彼の予想通り、桃子の意識は覚醒しているが、その濁った瞳は何も映しておらず、ただ虚空を見つめるだけだった。行き過ぎた快楽、急激な肉体改造の負荷による精神崩壊。悲劇の果てに救い出されたヒロインの末路とでも言ってしまえば美談だが、あいにくそれを手放しで楽しむほど男は感性が豊かではない。
これから行うことは前園桃子の身体を昨夜のワームのように弄るのだから……。
男の目的は前園桃子を手に入れること。肉体は手に入れても術を使える前園桃子でなければならない。これからやることは前園桃子の意識を元に戻し、人格の再構成、肉体の再構築だ。
さて、まずやることは。
「その無駄に大きすぎる胸を戻すことから始めるか」
「………。」
布団を剥ぎ取り、桃子の服を脱がしていく。彼女の裸体は昨日の洗浄で長い間見てたし、性感帯やほくろの位置や数も知ってるのはまぁ蛇足だが、いまさらあわてるようなものでもない。初体験は最悪だっただろうが……。
自分のモノにすると決めたものはその全てをモノにする。その全てをささげることに至上の悦びを得られるくらいに屈服させる。
これは決定事項である。
―――ワームから得た快楽などすべて俺が塗りつぶしてくれる。
前園桃子を抱えて、背後からその超乳を揉みあげる。柔らかくシットリとした素肌にほとんど抵抗無くぐにゅりと指が沈み込む。
「ん……」
そこからヤワヤワと揉みこむように指を動かしていく。
「ぅ……は……………んん」
「見れば見るほど無茶な改造だ。貴様も災難だったろう。知性のカケラもないワームに体を弄繰り回されるのは」
「は……ぁ………う」
下から掬うように、揉みあげてフルフルと優しく揺らした後、乳首を転がすように指の腹で弾いていくと、次第に固くしこった肉豆がムクムクとそそり立ってくるのが分かった。
「許せ。今から俺はお前を抱く」
乳首を摘みあげて扱くと、乳白色の液体が乳首からわずかにこぼれた。
「はっ、はっ、う、くぁ、ぁぁぁ」
上気して赤く染まる頬と熱を持った肢体、鼓動が早まって肌の色がほんのりとピンク色になった。精神が崩壊しても、女として快楽を得る機能は健在のようだ。昨日のシャンプーのさわやかな香りが鼻腔をくすぐった。
「マグロの女を抱く趣味はなかったが、なかなかどうして、これも悪くない」
興が乗ったのか、男の愛撫に熱が入ってゆく。揉みこむスピードと力を絶妙な加減をしつつ強めたり弱めたり、挟み込むように二本の指で乳首を摘みあげ、そのままひねりを入れた。
「……くぁ……んふぅ……ぅん」
鷲掴み、縦横無尽に動かし揉みしだくと甘い声がわずかに漏れた。
「ひぅ……はぁ……ん、ん!」
僅かに身を震わせた瞬間、母乳が噴水のように吹き出てベッドを汚していく。止めどなく吹き出す母乳を見やる男が、桃子の耳元で何かを囁いた。
ォォオンと地の底から響いてくるような不気味な音とともに桃子の額に紋章のようなアザが浮き出る。
「ッ!?アアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛!!」
突如、桃子が叫んだ。
「ううううううううううう!!!あうううううううううう!!!!」
全身に電流を流されたように震えた。身体が沸騰したかのように熱く火照り、その熱が乳房へと凝縮される感覚は、ワームに身体を改造されたときの感覚を思い起こさせた。
「えへええええええええうううううううううううう!!!?」
背が仰け反る。凝縮された熱が乳首の先の一点に集まり、弾けた。
――――――ぶしゅうううるるるるうううううう!!
彼女の吹き出る母乳の勢いが増した。
「ああぎぃ!!?あいいいいいいいいいいいいいい!!」
見も世もない悲鳴が部屋に木霊する。切羽詰まったその様子が痛ましいものの、男が行為をやめる兆しはなかったが、やがて桃子の身体に変化が起こった。
「はっ!はっ!はぐぅ!はひぃ!?」
みるみる内に彼女の膨張した乳房が縮んでいった。身体中の毒素が抜けたことによってもとのあるべき姿に戻ろうとしているのだ。と言っても、敏感になった肌はまだまだ時間が必要だ。
「あ、お、お、おふぉ、おふぅ」
白目をむいたまま、全身の力が抜けて意識を闇に落とした桃子をみて、男はようやく桃子を解放した。
「一先ずといったところか」
男は部屋内を充満するむせ返るようなミルクの臭いに包まれながらふぅ、とため息をつく。
未だ桃子の額にはアザが浮かび上がっているがコレで良い。心の奥底に眠った人格のサルベージを行い、会話ができるレベルまで治療する。そしたら次は、本格的に男は桃子を手に入れるために動き出す。
「それまで休んでおけ。これからが忙しいのだからな
撒き散らされた母乳と独特な匂いを除去したあと、不適な笑みを浮かべたまま男は部屋をあとにするのだった。
◆◆◆
「ん……ぇぁ……?」
暖かいふかふかの毛布に包まれながら、まるで休日の朝のように覚醒は緩やかなものだった。まるで母親の腕の中のようにそれは暖かく、心地よく、二度寝をしてしまいそうなくらい心地が良かった。
「あったか~い」
少女、前園桃子は寝返りおうって誰の物かもわからぬもふもふの抱き枕を抱きしめてご満悦気味につぶやく、このまま二度寝へと決行しようとしたところで。
「こそばゆい、さっさと起きろ」
「んうええぇぇぇ!?ぶへっ!?」
ブン!と波のように動いた抱き枕が桃子を振り払った。一瞬の浮遊感をから、顔面に叩きつけられた衝撃。
「い、痛い」
ボフッと顔からベッドへと落ちた桃子は痛む鼻を押さえながら振り返り、時が止まった。
「――――――――」
―――黄金
前園桃子が男を見た時、最初に胸に抱いたものだった。
黄金の髪。
黄金の瞳。
黒の道士服を身に纏い、身体の大半を覆い隠した黒すら塗りつぶしてしまうほど眩く映る黄金に、桃子は確かに目を奪われた。“まぶしい”と表現したが、ほんの少し違う。身に纏った黒が気にならない程に男の肉に、肌に、瞳に、その存在感に魅了されたのだ。
その手に触れられたらどれだけ幸福なのだろう。その唇で囁かれただけで達してしまうことが容易に想像できてしまう。息をすることさえ忘れてしまう。このまま男を瞳に移したまま死ねれば、男に看取ってもらえるだけで今まで生きてこられた人生に感謝してしまうほど桃子の心は幸福で一杯になり、そして―――
「おい」
「きゅっ!?」
トンッと後頭部を叩かれ、咳き込む桃子に男が溜息を吐く。
「戯けが、少しでも俺を魅了した女が俺に魅了されるな」
「ケホ……あ、あれ……私?」
自分の身に起こった出来事。自分が自分でなくなり、男に己の全てを捧げたくなった。いや、そうなる様に誘導されたのだろうか?
「っ!?あ、貴方は何者ですか!?」
シーツで身体を隠しながら身構える桃子に男は椅子に座り、戦う意思がないことを示す。
「そう噛みつくな」
男が袖の中から黒いものを桃子に投げ渡す。黒いベルトだ。その中には対魔忍用の装備一式が入っており、それが自身の使い慣れていたものであることに気付く。
「仮にも俺は命の恩人だぞ?感謝されこそすれ、敵対されるいわれは無い」
椅子に座り、笑みを浮かべる男。それだけで絵になる構図だが、彼女にそれを鑑賞するほどの余裕はない。嫌な汗が頬を伝った。男の命の恩人という言葉に連想されるものに心当たりがあったからだ。殴り、蹴られ、あばらの折れた痛み、口の中の血の味、そして、自分がワームに食われた瞬間がフラッシュバックのように桃子の脳裏を過った。
「うっ……ぐ」
こみ上げる吐き気に桃子は口元を抑える。全身の穴という穴を犯され、肉体を改造され、暴力的な快楽に呑み込まれた身体に嫌悪を覚えた。同時に悔しくて泣きたかった。処女を散らされ、後ろの穴すら侵され、人としての尊厳を踏みにじられた。いつか好きな人が出来た時に捧げると密かに誓っていたものは世界の闇に簡単に踏みつぶされた。悔しくて悔しくて仕方がなくて、大口を開けて泣きわめきたくなる衝動に駆られた時、ふと、何かに気付いたように桃子は自分の身体をもう一度見渡した。あれほど醜く膨れ上がった胸は元の大きさに戻り、撫でまわされるだけで息も絶え絶えになるくらい敏感だった肌は普通の感触を脳に教えてくれる。
「安心しろ。処女膜も全て再生済みだ」
「~~~!?い、いきなりなんてこと言うんですか貴方は!?」
「好きな人に捧げたかったのだろう?」
「ひゃひ!?そ、そそそそれを何で知っているのでせうか!?」
「俺に不可能はない」
「答えになってません!」
ムキになって言う桃子に男はクククと笑みを零した。それを見て、桃子は追及しても不毛だと判断した。
「うぅ………あ、あの、やはり、貴方が……私を?」
黄金の男が頷く。桃子の反応一つ一つが可笑しいのか、愉悦を含んだ笑みを崩さない。
「あの、その……ありがとうございました。助けていただいて」
改めて男が本当に命の恩人であったことに、桃子は今まで言わなかったことに申し訳なく思いながらも礼の言葉を口にする。
「………。」
対し、男はやれやれと首を振るった。
「なってない」
「え?」
「命の恩人とはいえ、対魔忍が気安く会ったばかりの男に頭を下げるな。闇の世界ではその一瞬すら命取りだ。五車の教師から習わなかったか?」
「え?あ、あの。すいません」
謝る桃子に再度男は溜息を吐く。
「五車学園の教師共は無能の集まりか………!」
あの時見せた才能は確かなものだということを男は知っている。だがこうして対面するだけで桃子の隙の多さが手に取る様にわかる。しかも対魔忍たるものが備えなければならない技術や精神的な素養すら一人前の域を出ていない。これが男にとって許せないことだった。
同時にこれだけの逸材を手に入れたこと、それに気付けなかった対魔忍どもの無能ぶりを不快に感じながらも感謝していた。
吐き捨てるような独り言は、桃子には聞こえなかった。
「さて、初めましてだな。前園桃子、俺の名は――――――いや、いい。それは後にしよう。その前にお前は自分の状況を理解しているか?」
「ええと……その、分かりません。ワームに食われてから記憶が、こんがらがってます。でも、貴方に命を救われて身体を元に戻してもらってここにいることは分かります。それから―――」
そこで一度話すのを止めた桃子。彼女の眼が戦闘のソレへと変わっていた。
「それから?」
男は不敵な笑みを浮かべたまま続きを促す。既に桃子の手には小太刀が握られていた。
「貴方がアリーナのVIP席に居たこと、エドウィンブラックと同じ席に座れるほどの貴方が、なぜ私を助けたんですか?」
「目的があってな。それでお前を助けた」
「貴方は……魔族なんですか?」
「人間以外の種族を魔族として括るならば正解だ」
「私の敵ですか?」
「敵……ではないな。だが、味方でもない」
次々と来る問いに男は平静を崩さず冷静に答えていく。武器を向けられていることなど気にもしなかった。いや、それが当たり前なのだ。そして、桃子は漸く本当の意味で自分が絶望的な状況に置かれたことを理解した。エドウィン・ブラックと同等かもしれぬ存在がただ善意で自分を助けようとする筈がなかった。だが反面、男の言葉が嘘を吐いているようにも思えない。依然として男はこの状況を楽しんでいる節を見せながら椅子に座り、リラックスしている。
「何のために私を助けたんですか?」
「そうだな。率直に―――」
“単刀直入に言おう”
「え」
背後からの声に桃子は不意を突かれた。武器を持った手を掴まれ、一瞬の浮遊感と共にベッドへ投げ飛ばされた。
「あぅッ!?」
仰向けに投げ出された両の手首を片手で押さえつけ、男が馬乗りになった。
「前園桃子。俺はお前が欲しい」
「っ……」
敵の言葉だというのに、顔に血が集まり赤くなる桃子、錯覚だ。男に魅了された名残がまだ残っているだけなのだと桃子は断じた。
「力も、技術も、心も、体も、全部だ」
空いた手が桃子の顎を持ち上げる。
「もう一度言う。俺はお前が欲しい。だから、俺の物になれ」
組み敷かれ、囁かれるだけで自分の身体が震えた。嫌悪による寒気だ。下腹部がキュウ、と締め付けられるような感覚を覚える。錯覚だ。このままこの男に滅茶苦茶にされても良いかもしれないという心の声が聴こえた。幻聴だ!
「さぁ、どうする?」
「……ゃ……す」
「うん?」
「嫌です…!」
思い通りになるものか。私は帰るのだ。友達が居て、憧れの先輩が居て、楽しく話が出来る暖かい世界に。だから―――
「私は……貴方の物には……なりません!」
「……………」
桃子が力を振り絞って答えを出して5秒、10秒とそれほど長くはない時が経った。男が一つ溜息を吐くと、組み敷いていた手をどけ、男はベッドから降りた。
「え、え?」
「そう、か」
突然強引な行動から一転してあっさりと止めた男の行動に、戸惑う桃子。再び男は元の椅子に座り直し、頬杖をつくと、先ほどの愉悦に満ちた笑みとは別に、残念そうな表情で窓越しの外を見ていた。
「まぁいい。これで手に入るとは思っとらんさ。ああただ、お前には一つ言い忘れていたことがあった」
「………?」
―――ドックン
「~~ッ!?カッ!?…あっ!?」
鼓動の音が聞こえたと同時に、全身を走る感覚に桃子は己の身を抱き、蹲った。感覚の正体は快感だ。暴力的なまでに自分の身体を快感が走った。
「外見的な変化は昨日元に戻せたが、肝心の性感感度をまだ戻せていなくてな。こうして俺が術を解けばお前は昨日の夜と同じ所謂淫らな女と同じだ」
「はぁ!はぁ!はぁ!」
ブルブルと生まれたての小鹿のように震える桃子の肩に男が優しく触れた。
「ああッ!?」
短い悲鳴と共に、彼女の身体が痙攣し、絶頂したことを教えた。これだけで達してしまうことに身悶えながらも愕然とする桃子。
「こんな……の、どう………して!?」
「安心しろ、それも今から治す。だがな、お前が俺の物にならないとなると、少々対応を考えねばならん。タダで治してやるほど、俺はお人好しじゃない」
「ん……くっ!……はっ!……んうぅ……!」
「ゲームをしよう。前園桃子。今日より二日間、俺はお前の身体を治す。それに耐え切れば、お前の勝ちだ」
音が指を揺らすと同時に、全身を暴れまわっていた快感が鳴りを潜め、男を睨み付けた。
「当然、勝てば無線機も用意しよう。お前は無事元の身体を取り戻し、司令部からの情報でランデブーポイントを教えてもらい、輝かしい生活に戻ることが出来るだろう」
「………」
「お前が負ける条件は二つ。一つは俺の前で俺の物になると宣言したとき、もう一つは二日たっても俺のところに居る時だ。実に単純だろう?お前はその条件に引っかからない様にすれば良い。更にサービスだ。お前は俺に対して一つ条件を提示することが出来る」
「条……件?」
肩で息をしながら聞き返す彼女に、男は楽しげに頷く。
「何でもいい。治療を妨げること以外の条件を出し、自分の勝率を少しでも上げる。さすがに何でもとは言わん。限られてはいるが、条件の次第では、俺に勝つことだってできる。よく考えることだ」
「………」
息を整えた桃子はシーツで身体を隠しながら思案顔になる。自分が勝つために何を条件にすればいいのかを。
「その前に質問を………宜しいですか?」
「内容によるな」
「治療とはどんな方法を?」
「そうだな。分かりやすく言えばセックスだ」
「!?」
ボッ!と熱くなる顔を抑えながら身を守るために距離を取る桃子。
「生娘にはきつかったか?すまんな。許せ」
「条件が決まりました!」
桃子は即決した。治療の内容を聞いて、桃子は即時に条件を決定させた。
「少し早すぎだ。もう少しよく考えろ」
「良いんです!これ以外ありません!」
「………それで、条件は?」
「挿入ないことです!」
「は?」
「わ、わ私の処女を、取らないようにすることです!」
「それで良いのか?」
「良いんです」
「最後にもう一度訊く。本当にそれでいいんだな?」
「くどいですよ!」
「そうか……契約成立だな。前園桃子」
男の笑みが、桃子の知らぬところで深みを増すのであった。
◆◆◆
「それじゃあ、これよりゲームを開始する。俺はこれからお前の敏感になった身体を治し、お前はそれに耐える。俺に課せられた条件は挿入しないこと。お前の敗北条件は俺の前で俺の物になると誓うこと。あるいは、二日たっても俺の下を去らないこと。この二つで良いな?」
頷く桃子に男は掌から光の玉のようなものが飛び出したと思いきや、光が弾けた。
「!?」
目も開けられぬくらいに強い光が部屋を満たしていく。そして再び目を開いたときには―――
「え!?」
自分は水着を着ていて、周りの景色は、常夏の太陽が照り付くビーチとなって居た。
「さぁ、ゲームスタートだ。楽しんでいこうじゃないか、なぁ?前園桃子」
流石に一日一万文字はきつい。
アリーナがアップデートで変わったけど今はレイドボスをせっせと狩らなければ。
赤鬼・速疾鬼。お前らのことだよ。