主人公「巨大な組織に狙われた奴に未来はにぃ。早く入るべき。死にたくなかったら俺のモノになるべき。そうすべき。だれだってそうする。俺だってそうする。裏世界でひっそりと幕を閉じなくなかったら。カカッと契約。しなかったらマジでかなぐりすてんぞ!」
ようやく天華のエロシーンだ。その前に長い会話と説明回。
「臭い、臭いですねぇ~なんでこんなところに臭い魔女が居るのでしょう?申し訳ありませんが出ていってもらえませんか?むしろ消えていただけませんか?邪魔なので」
「あら、この私が態々出向いてやったのよ?お茶くらい出したらどうかしら?客人にお茶も出せないなんて、主の器もたかが知れてるわね。こんな能面みたいな女が従者なんて、あいつも本当災難だわ、あ、御免なさい!悪気はなかったのよ?だってその仮面あなたの素顔だと思ってたから!」
「マリカー!これなんて良さそうよ!100年物の泡盛ですって!」
「泡盛……ですか?しかし、勝手に取るのは」
「大丈夫よ!あいつが言うには日本の南端付近で多く作られている酒とか言ってたわ。ほらほら、ここじゃ遠慮なんていらないわ!アンタも飲みなさい!」
「えと、いただきます………」
「お帰りなさい、ご主人様」
「お、お帰りなさいませ!ご、ごご主人様!」
「なんだ………これは?」
「うわ~……」
アジトに戻ったら恐ろしい密度で殺気を出し合っている怒り心頭のシェンフーと楽しそうに笑うアンネローゼが居た。続いて目聡く秘蔵の一本をふてぶてしく取っていって目の前で飲み始めるカーラとグラスに注ぐマリカに視線を向けた後。メイド服を着たティアと桃子が男を出迎えてくれた。
男はこのカオスな状況にしばし呆然、天華は圧倒されていた。
「桃子、説明しろ」
「え!?あ、あのあの、えと」
「ティア」
「なに?」
「説明」
「ええ。………ご主人様が人材探しをしている間、午前中は私が桃子にここについての説明をしていたの。夕方になってからカーラとマリカが、続いてアンネローゼとシェンフーが同時にアジトに来て、メンチの切りあいを開始、かれこれ一時間以上不毛な争いを続けていて、最後にご主人様が帰宅、現在に至るわ」
「パーフェクトだ」
「感謝の極み」
男の言葉に慣れた様子でティアが一礼する。一方、桃子は気落ちした様子だ。
「うぅ、私、ご主人様のもとでやっていけるのでしょうか」
「大丈夫よ、桃子。こんなもの慣れだわ。そんなに気になるんだったら今夜ご主人様に慰めてもらったら?」
「ティ、ティアさん!?」
「ふふふ、じゃあ私が行こうかしら?」
「それは………!あうぅぅ」
「お前たちいつの間にそんな仲が良くなった?」
「ねぇお兄さん。お兄さんのモノになるっていう話、撤回しちゃダメ?アレ、スゴクコワインダイケド」
天華の視線はシェンフーとアンネローゼに注がれている。額をゴリゴリと削るつもりで密着し合っている姿は非常にシュールだが、その濃密な殺気は近づきがたい。下級の魔族や常人であれば失神、あるいはショック死をしかねなかった。
「それは駄目だ」
「ですよねー」
怖いというのはわからんでもないが、今更撤回しようとしてもそうはいかない。すでに天華はウツボカズラの中に入った虫同然だ。力なく笑う天華を近くのソファに降ろした後、男はこの混沌の様相を呈している状況を打破するために、まずシェンフーとアンネローゼの下へ。
「丁度良い機会です。今度こそその髪を切り落としたのちに四肢を捥いで強姦ストリートに放置してやりましょう」
「相変わらずエンジンがかかるのが遅いわよドM従者さん?御託は良いからさっさとやりましょう?」
「上等です。ならば今すぐ死ねぇッ!!」
「アハハ!」
シェンフーの二刀とアンネローゼの魔刀・金剛夜叉がぶつかり合いそうになる中、男の歩みは実にゆったりとしている。
「え!?」
「ご主人様!?」
「………」
ガキィィンッ!
両者の振り降ろしが丁度男を挟む形になった時、男はナギナタを抜き放ってアンネローゼの金剛夜叉を、シェンフーの二刀を指四本で挟むようにして白羽取りをした。
「あなた……!?」
「………」
驚愕するアンネローゼを一瞥した後、男はシェンフーの方を視線を移す。
「ご、ご主人さ……きゃ!?」
主に手を上げたことによる怯えの混じった表情の彼女を、男は問答無用で二刀ごと引き寄せ、顎を摘まむと
「ふむぅ!?」
有無を言わさず男の唇がシェンフーのそれに重ねられ、貪るようにキスをした。
「ん……ふ……んぅ……ふ………んん……ん」
侵入してくる舌を受け入れ、突然のことにされるがままになるシェンフー。そして、銀色のアーチが出来るほど濃厚なキスを終える頃には―――
「はふぅぅ~~………」
―――シェンフーは恍惚の表情を浮かべながら腰砕けになってその場にへたり込んでいた。
「そこまでだ。この俺の目の前で、身内間での戦闘は許さん。アンネローゼも、これ以上シェンフーの挑発はやめてもらおうか?」
「………ちぇ、なによ、久しぶりだから良いじゃない、別に」
拗ねたように頬を膨らませるアンネローゼ。実に不満気な顔をした彼女に男は付け加えるように続ける。
「どうしてもというのならアンネローゼ。俺が相手になるぞ?だが、覚悟しておけ。負けた時には、問答無用で俺のモノになってもらうがな。少し前にも戦闘を行ってな、少々気が立ってるんだ。本来の魔族としての俺は、ブラックでも顔が引き攣るぐらいにはエグいぞ?」
男の睨むような視線に、アンネローゼは珍しく罰が悪そうな顔になって金剛夜叉を仕舞った。
「………はぁ、やめてよ。そんなあなたの顔、見たくないわ。悪かったわよ。もうしない、約束するわ」
「ならいい」
男のナギナタが光の粒子となって霧散する。
「そういえば、ミチコはどうした?」
「置いてきたわ。あ、そうそう。今日は泊まっていくから」
「勝手に言ってくれる」
「寝室も用意してくれるともれなく私が笑顔になるわ」
「自分で寝室を用意してくれたらもれなく酒がつくが、どうだ?」
「もう、仕方ないわねぇ」
ちょろい
シェンフーとアンネローゼの一触即発の殺し合いはひとまずの終わりを告げたが次はカーラ達の番だ。
「カーラ、泡盛を戻して来い」
「良いじゃない。減るもんじゃないんだから」
「泡盛の貯蔵量が減る。そも、人の許しもなく秘蔵の酒を取ってくるな戯け。特にそいつは沖縄でやっと手に入れたんだ。一千万はする」
「ええ~……じゃあ頂戴?」
見惚れるほどきれいな笑顔でコテッと首を傾げる仕草をとるカーラ。何処か子供染みたそれは、普段の彼女を考えるとギャップがあって素敵だが、今の男にはそれを楽しむほど機嫌は良くなかったからか、溜息を吐きそうになる。
「お前なぁ……」
「カーラ様、あまり主様を困らせるようなことはしない方が………それに、我々にとって主様は大恩あるお方。あまり怒らせない方が」
「うっ………それは反則よマリカ」
「事実です」
堅いわね~、と拗ねたように溜息を吐きながら、陶磁器で出来た歴史を感じさせる酒瓶を自ら酒蔵へと持って行くカーラ。
「いつもカーラ様が申し訳ありません」
「構わん。公私は混同させていないのだろう?ここで羽を伸ばしても罰は当たらん。俺の支配下に置かれているのは建前だが、彼女はよくやってくれている。俺は俺のモノに対しては寛大だからな。貴様も良くやってくれている」
「ありがとうございます」
そういってマリカはなんでもないような様子で礼の姿勢を取る。この一連の会話で特に表情の変化はない。まるで能面のような印象を受けるが、これが彼女の普通だ。
「今日は二人で来たのだな。この間は置いて行かれたと聞いたが」
「………そのことについては触れないで頂けるとありがたいです。まさか政務を放って貴方様に会いに行くとは思いもしませんでしたから」
「その後はちゃんとやっていたのか?」
「ええ、まぁ、それは………。寧ろ上機嫌で張り切っていました。遅れを取り戻してくれるのならば問題はありませんが配下に示しがつきません」
「クク………そうか」
「笑い事ではありません。主様。ここで許してしまったら、また政務を放るかもしれません」
頭痛を抑えるように言うマリカに男は頷く。
「ああ、そうだな。その時は俺とお前でカーラにお仕置きをするというのもありかもしれんな」
「っ!?お、お仕置きというのは?」
ビクリッ、と肩を揺らしたマリカの問いかけ。対し男は意地の悪い笑みを浮かべた。
「決まっている」
マリカの腰に手を回し、引き寄せる。
「あっ!?」
彼女の形の良い乳房が服越しに男の胸元に押し当てられ、ぐにゅりと柔らかく形を変えた。
「おれのやり方でだ」
「っ………」
マリカの蒼い瞳が左右に小刻みに揺れ、次いでその褐色の頬がほんのりと赤く染まっていく。
「クク、冗談だ」
「その、そういうのは、また今度で。いえ、嫌いではないというか、むしろ好きというか、ああ、いや違います!違うんです!これは本音が漏れたとかではなく主様のお手を煩わせないようにするためでありましてですますでして!ああ、なんといえば良いのか………ぁ、そう!添い寝なら!しても大丈夫です!」
「ほぉ、添い寝か。悪くないな」
「ああッ!間違えました!違うんです!」
「してくれないのか?」
「主様が望むなら………あ」
ここにきて、マリカはようやく自分が注目を集めていることに気付いた。突き刺さるような視線、その中には笑いを堪えるカーラの姿。
「ぷぷ、マリカ………!いつの間にそんなに可愛い子になっちゃったの?くく………!やだ、あたしげんかあはははははは!可愛い~!健気すぎるわよマリカ~!この間私が彼と寝た次の日に不機嫌だったのはそれが理由だったのね!」
「か、カーラ様!違います!私はそんなんじゃ、ないんです!違うんです!」
「へぇ、吸血鬼でもそんな恋する乙女に早変わりなんて、相変わらず女誑しね、あなた」
アンネローゼのからかうような笑みに、男は肩を竦める。
「それほどでもない」
「つくづく思いますけど、ご主人様は一度刺されたほうがいいと思います」
シェンフーのほうは仮面で表情はわかりづらいが、おそらくジト目で睨んでいる。
「刺されるやつは甲斐性が無い奴だ。だが、この俺は違う」
「それが事実なだけになんだか腹が立ちます。ですが、女は嫉妬深い生き物なんですよ?」
「戯け。その嫉妬ごと飲み込んで骨抜きにしてくれる」
自信満々に言う男をカーラが背後からその両肩を掴むと、マリカの方へ身体を向けさせた。その表情は悪戯を思いついた意地の悪い子供のような笑み。
「じゃあ、あそこに控えめに嫉妬している可愛い娘がいるんだけど、どうかしら?」
「か、カーラ様!?何をおっしゃるのですか?!私は………嫉妬などしていません!」
「感情的なのも怪しいわ。いい加減観念しなさい」
「その通りだマリカ。お前の気持ちはだいたいわかっているのだ。素直に白状しろ」
「あ、主様まで!?そもそも分かっているのにどうして!?」
「何故………だと?愚問だな!本人の口から言わせるからこそ良いのだろう!」
「流石ご主人様、そんなあなたも素敵でございます」
「私には全然わからない次元です」
男の力説に恍惚とした表情でイヤンイヤンと体をくねらせるシェンフーと頬を引き攣らせて苦笑いを浮かべる桃子。まぁ、良い感じに雰囲気もほぐれたところで冗談はこれくらいにしておくことにする。
「紹介しよう。天華だ。今日から俺のモノになった」
「えっと……よろしく」
まずは手始めに新しく入った仲間の紹介から入るとしよう
◆閑話休題◆
天華の自己紹介を済ませ、次に、と男は一つ間を置く。これから話すことはそれなりに真面目な話だ。
「近いうちに俺は吸血女帝を手に入れるつもりでいる」
男の言葉にカーラ、マリカ、そしてシェンフーが瞬時に表情を変える。
「それで俺の異界支配は一旦終わり。その後はカーラ、お前に任せる」
「それは前からわかってるけど、それで良いの?」
「支配はすれども統治はせずだ。元々俺がこの世界を支配するきっかけは気に入らんかったからだ」
相も変らぬ傍若無人を絵にかいたような男にカーラは呆れたように溜息を吐いた。
「吸血女帝も災難よね。世界支配が気に入らないって理由だけで計画をぶっ壊されちゃうんだから」
「当然だ。この俺を差し置いて支配するなど、言語道断だ。どっちが支配者にふさわしいか、この俺が直々に躾けてやろう」
まずはどうしてくれようか、と息巻く彼を見ていた桃子が、そういえば、とシェンフーに問いを投げた。
「その吸血女帝ってどういう人なんですか?」
桃子の問いに全員が一時押し黙った。
「え?え?何か私、間違えましたか?」
戸惑う桃子にいいえ、とシェンフーが苦笑した。
「そうですね。いずれはあなたも知らなければならない相手。この際です。ご主人様、話してあげましょう」
「それもそうだな。桃子、俺が数々の異界を支配してきたのは知っているな?」
「はい。ティアさんから話は聞きましたけど、ご主人様の場合支配って呼べるのでしょうか?」
「お前の言う通りだ。元々俺は気に入らないモノを破壊して、気に入ったモノを奪って支配してきただけだ」
「それじゃあ奪っていくうちに気付いたら世界全てを支配していたとかですか?」
「いや、どっかのバカが俺を神だなんだいって勝手に祀り上げてた」
あっけらかんとした男の言葉に乾いた笑いを上げる桃子。
「まぁ、神とは名ばかりのガラクタを壊したことはあるが、俺が神と言われるとは思わなかった」
「え゛?」
次にでた言葉に再び桃子は驚愕した。男は続ける。
「昔、それこそシェンフーにも会ってなかった時代だ。その時は酒を売りながら転々と旅をしていたんだがな、そのガラクタがいきなり俺を殺せと命令したのさ。で、気に入らなかったから全力で抵抗して10年かけて破壊した」
あの頃は大変だった。と遠い目になって懐かしむように笑う男。
「それから紆余曲折あって今に至る」
「終わりですか!?その途中が凄く気になりますよ!」
「それはまた今度だ。吸血女帝のことを知りたくないのか?」
「ぁ……すみません。つい、気になってしまって」
「うむ、構わん。さて、その吸血女帝だが、順を追って話すとするか」
◆◆◆
その世界には今いる世界と同じく人と魔が存在し、時に争い、時に育みあっていた。
人間側には一人の王が、魔族には頭角を現していた吸血女王ことカーラ・クロムウェルと、件の吸血女帝が代表だった。
カーラ率いる魔族の集団は、人間に対して友好的であり、いわゆる穏健派として人類と共存して生きるべきだという思想の元存在し、吸血女帝はその対極、過激派として弱い人間は隷属されるべきだという弱肉強食の考えのもと集っていた。
片や共存、片や支配。カーラの考える未来は文字通り互いの種族、そして文化を尊重しあい、同等の権利を持ち合うこと。それによって長く続いた魔族と人類の戦いに終止符を打ちたいと考えていた。
対し吸血女帝の考える未来は、人間専用の住む地域を設け、定期的に食料として人間100人の生贄を国に捧げること。それで最低限の住民権を保障するというまさしく慈悲のかけらもない家畜のような扱いを強いろうとしていた。
カーラと吸血女帝は幾度となく話し合いの場を設けるが、互いに譲らず平行線をたどるばかりであり、そう遠くない未来で対立し、争いが勃発するのは自明の理だった。
その時の人間の王は領地を放棄、歴史上に残るほどの大移動で住民を移動させ、争いの火種が引火するのを防ぎつつ、民の利益となる手段を講じており、同時にカーラと吸血女帝の戦争に、我関せずを貫いていた。
その時、彼、黄金の男がその世界に現れた。正確には、両軍の総力がぶつかり合う直前、その場所にだ。突然の男の出現に、先に攻撃を行ったのは吸血女帝の軍団。その結果は推して知るべし。
◆◆◆
「それが俺とカーラのファーストコンタクトだ。泥沼状態で共倒れになりそうだった状況に俺が水を差す形で待ったをかけたということだ」
「なに言ってるのよ。あの時戦ってたら私が勝ってたわ」
「だとしても、その後人間の軍が攻撃を仕掛けて漁夫の利だ。友好を結ぶより捕虜にしたほうが手っ取り早い。確実に交渉の席に着きたいなら、事前に国王にも話をつけておくべきだったな。まぁ、相手が人格者で助かった。想定していたよりも早く話がつけられたのだからな」
「ぐぬぬ」
悔しげに眉をひそめるカーラと勝ち誇ったような笑みを浮かべる男。
「ねぇ?一つ聞きたいんだけどさぁ……結局その吸血女帝って、名前なんなの?」
回想の間、ずっとカーラはカーラと名前呼びだったというのに対し、吸血女帝は吸血女帝で名前もわからないままだったことに業を煮やしたアンネローゼが問いかけた。
「ああ、言ってなかったな。いつの間にか二つ名で言うのに慣れてて名前で呼ぶのを忘れていたな」
「私も気になります。その人、何て名前なんですか?」
「そういえば、あなた対魔忍だったわね。聞いたら驚くわよ。まさか顔も名前も同じなんて」
「そうなんですか?」
いったい誰なのだろうか?見当もつかない桃子は首をかしげるばかりである。
「アサギだ」
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ほえ?」
沈黙すること十秒。期待に満ちた顔のまま、こてん、と首をさらに傾げた。
「だからアサギだ。アサギ。顔も名前も同じ。対魔忍井河アサギのいるこの世界とは違い、あっちの世界では吸血女帝として名を馳せているアサギだ」
「………………………………うわぁ!いかいってすごぉい!ももこおぼえた!ももこ、またひとつかしこくなった!」
「ティア」
「とう!」
ズビシッ!
「あうっ!?」
ティアのチョップが正気を失った桃子の意識を取り戻す。男が言うように、吸血女帝の名はアサギ。この世界の対魔忍としてアサギではなく、吸血鬼としてのアサギ。それが男が現在目標としており、手に入れると決めた人物。
桃子にとっては天上のような有名人だっただけに、その衝撃はすさまじかっただろう。
「あの、ご主人様、本当にあのアサギ様が、あちらの世界では吸血鬼として?」
「ああ、そうだ」
「そうなんだ………もしかしてもう一人の私も、あっちの世界にいるのでしょうか?」
「なんだ、急に?」
「いいえ、あっちの私は家族とちゃんと幸せに暮せているかな、って思っちゃいまして……アハハ、申し訳ありません。女々しくて」
「………」
力なく笑う桃子を見て、男はやれやれ、と首を横に振った。
「さてな、探してみないとわからんだろう。それにしても貴様、俺を前にしてよくそんなことが言えたな?」
「え?」
「あっちはちゃんと幸せに、だと?たわけ。桃子。あっち『も』だ」
「え?え?」
なに?なに?と不機嫌そうな男の言葉に戸惑う桃子をティアが苦笑しながら彼女の両肩に手を置いた。
「桃子。つまりご主人様はこれからあなたを幸せいっぱいにしてやるって言ってるのよ」
「あ………ぅぅ」
ようやく、と言った感じに桃子は一瞬呆けた後、赤面してうつむいた。
「その通りだ」
「……ご主人様は強引です。幸せの押し売りは………お断りです」
「クーリングオフは受け付けん」
桃子の表情は前髪で隠れていて見えない。だが、その口元は笑っている。
「最低です。悪徳業者です。だから、ご主人様」
―――ちゃんと責任。取ってくださいね?―――
「任せるがいい」
しっかりと、桃子の願いを男は聞き入れるのであった。
◆◆◆
あれから時間が経ち、場所は天華が割り当てられた寝室へと変わる。
「それでお兄さん?今の今まで放ったらかしにされた私は早速すねちゃってるんだけどな~?それについての弁明はありますか~?」
ベッドに座った天華が腕と足を組み、フリッ、フリッ、と不機嫌そうに二股のキツネ特有の尾が揺らしている。むくれた顔は怖いというより愛らしさが勝っていた。
「許せ、必要なことだった」
「ふぅ~ん?」
天華がそれだけ?謝ることだけしかしてくれないの?とあざとく視線で訴えかけてくる。
「詫びに何かしてやろう」
「ほんと?」
「二言はない」
「じゃあ………ねぇ、お兄さん?私ね奴隷になった時から、妖しい薬、毎日飲まされてるんだよね」
「だろうな」
「うん。だから、ね?わかるでしょ?今日は、一杯私の中に暖かい精気を、注ぎ込んでほしいんだ」
天華が足元まである道士服をたくし上げて、オンナを疼かせ、愛液で濡れたマンコを男に見せた。
「はぁ、はぁ、もう、限界なんだぁ。早く私をとろとろに蕩かして、お兄さんのモノの証を隙間もなくなるくらいにぃたくさん、たぁくさん刻み込んでぇ?」
上気し、発情して赤く染まった頬、ぺろりと厭らしく舌を覗かせ、誘うように腰を突きだして揺らす姿はまさしく娼婦のソレ。主人を喜ばせるために改造されたその身体は、確かに男を求めていた。
男の指が天華の股間に添えられ、指が膣内へ侵入していく。
「ん……は……ぁ」
ぶるっ、と快感に身体が震えた。包皮を持ち上げてむき出しになったクリトリスを愛液でまぶした親指で擦ると、きゅぅ、と侵入した指を締め付ける。それに対抗するように男は指を曲げて肉豆の裏側を擦り上げた。
「ひぃんっ!あっ、あっ!そこ、いぃよう。もっと擦ってぇ!」
そのまま前後させながら、親指でクリトリスを押しつぶし、そのままこね回すだけで、天華の呼吸は切羽詰まったものへと変わっていく。
「はっ……はっ、これが、お兄さんのゆびぃ!」
全身を媚薬で侵され、男のモノとなったことで、今まで堰き止められていた疼きが解放され、快感は早くも頂上へ上り詰めようとしていた。
「すごぃよぉ!私のおまんこ!お兄さんの指をちんぽだと思って吸い込んれるぅ!」
「夜は長いんだ。一度達して落ち着け」
男の愛撫に身を任せていると立つことさえ困難になってきていた天華がたくし上げていた裾を手放す。
「はぁ!はぁ!はぁ!んぁぁあん!あひゅぅ!?」
男の服を掴んで、態勢を保とうとするが、指が動くたびに翻弄される身体が言うことを聞いてくれず、ガクガク内股の状態になってしまう天華。
「くぅん!くぉおぉおん!」
拍子に彼女の顔が男の胸元に押し付けられる形となり、近くに居るだけでクラクラするくらい女を疼かせる匂いを発していたのに、直接吸い込むとそれがアクセントとなって彼女を絶頂へと導いていった。
「くる!くるよぉ!いっぱぁい!あ、あ、イク!イク!イク!~~~~ッッッ!!!」
目を力一杯閉じて、二股の尻尾がピンッと強張って天井を向く。ビクビクビク!と膣痙攣を起こし、指を締め付ける感触が絶頂を教えてくれた。
「っはぁ!はぁ………!はぁ………あはっ」
恍惚の笑みを浮かべる天華がそのままベッドへと仰向けに倒れ込むと、まるで見せつけるように自ら秘唇を割り開いた。
「ねぇ、お兄さん、見てよ」
にゅぱぁ、と糸を引く愛液が滴り、何時でも男を受け入れることが出来るようになっていた。
「凄いでしょ?もう、私、準備OKなんだよ?お兄さんの太くてかったぁいおちんちんが欲しくて、こんなにおねだりしちゃってる」
絶頂したばかりの肉の壁がヒクヒクと震えた。しばし余裕が出来たのか、恍惚としたものの中に、挑発的な笑みが浮かんでいる。それを屈服させたくなり男は服を脱ぐと大きくなったそれを膣口に押し当てた。
「ひゃあ………あつぅい」
血が集まり、硬度が増したそれは、天華の予想に反して長大。女を喜ばせるのは十二分な代物だった。
男の視線がいいか?と天華に最後の確認を取らせる。
「うん。きて」
天華の言葉と同時に、腰を推し進めていき、大きさとは裏腹に、すんなりと奥まで入っていった。
「ひゃひっ!?ふにぃ!?」
コチュッ!と天華の子宮口を亀頭が圧迫する。グリグリとほじくる様に押し当てるだけで天華の膣は歓喜に震えた。
「ふぁあ!あふぁあああ!い、いいよぉ!も、好きなように動いて良い………からぁ!もっとぉ!」
天華の懇願に応えるように男の腰が前後する。
ズチュズチュジュチュジュジュ!
ジュブジュブジュブジュブ!
「きゅうううううんん!きたぁ!はげし……きもひぃい!」
甘い悲鳴を上げて仰け反る天華のヴァギナはまるでイキっぱなしになって居るかのように強く締め付けてくる。ぎゅるぎゅると男の子種を求める膣の引き込むような動きに負けじと男も腰の動きを早めていく。
「はひっ!はひっ!はひゅうう!んみゃああ!むねぇ!」
黒の道士服を身に纏いながらも、それでもなお自己主張して揺れる胸を鷲掴む。指が沈みこみ、動きに合わせて形を変えるほど柔らかく解れているのに、その掌にはコリコリと固くしこった乳首の感触があった。
服越しにくりくりと弄ぶだけで、流れる快感に合わせて膣の動きが変化していく。
「んはああああ!みゃあああぁあ!」
胸元を肌蹴させ、直接触るだけで、天華は反応を示す。こねくり回すその手の動きにされるがままの天華の膣が絶頂によって痙攣した。泡立った愛液を怒張が掻き出し、膣奥まで突進していく。
「んにゃ、あっあっぁうっアッ、奥、奥ぅ!ひゃあああ!」
注挿を続けながら亀頭の先に当たる子宮口を何度も細かくノックする。その度に生暖かい唇のような感触がついばむようにぶつかり、まるでキスをしているかのように、厭らしく亀頭と子宮口が何度も密着しあう。
「はっはっはっ、くぉおん!こぅうううう!クオオオオオオオンンンン!」
何時の間にか、喘ぎ声がまるで狐のようになっていた。本能に直結するゆえか、魔族としての一面が表に出てきていた。雄に服従し、その子種を子宮で受け止め、仔を孕もうと膣の動きが激変する。
「あぐっ、あうぅ、こぉぉおおおんん!」
喜悦の涙に濡れた瞳は焦点を失っている。天華の眼は細められ、舌は制御を失ったように突き上げに合わせてぶらぶらと揺れる。だらしなくトロトロに蕩けた顔に合わせて、天華は服従する犬のように股を広げ、両手は胸の前に置かれていた。
「りゅむぅ、じゅるる、ぷひゃ、はぷ、じゅるおぉ、じゅるるるうる、へぇうむ、おにいしゃあみゅ、じゅるるううううう!」
強い快感になにもかも押し流されていく。とてもそれが幸せに感じられて、天華は自分が作り変えられていくことを感じた。
「はっ、はっ、はふぅ!みゃううう!んみゃああああううぅぅん!」
だが、恐怖は無かった。何もかも身を任せて良い安心感があった。寧ろその先にある晴れやかな気分を夢想してもっともっとと自ら腰を上下させる。
「っ……そろそろ限界だ。どこが良い?」
「あ!あ!ここ!ここぉぉおおおん!このみゃみゃあああ!きてぇ!」
天華の欲に応えるために、男は更に腰の動きを早めていく。腰の括れを両手で挟むようにして掴み、叩きつけるように腰を動かしてゆく。
パジュパジュパジュパジュパジュパジュ!バジュバジュバジュバジュゥン!!
びゅくびゅくびゅくずびゅろおおおおぉぉぉーーーっ!!どぷどぷどぷどぷんっ!びゅるびゅるびゅろおおおっ!
天華の子宮に灼熱の精液が渦巻きながら注ぎ込まれた。
「んんんにゃひいいぃぃぃいぃんッ!あちゅいいいっ!おにいひゃんのせいきがぁぁ!わらひがぬりつぶしゃれちゃううううう!」
全身が仰け反り、白い咽喉を見せる天華の声が甲高に裏返る。激しい痙攣と連動して、子宮と濃厚なキスをする亀頭が脈動し、放出を続けていく。
「かわってゃあああ……あっあっ………わらひのじぇんぶぅ………あっ……おにいひゃんにかわっひゃあああ………ひあわへぇぇぇ………あっあっあっ………いくぅぅぅ」
子宮内の感触に更なる絶頂を極め、彼女身体が何度も激しく跳ね踊り………やがて脱力していった。ぐったりとしてベッドに投げ出し、虚ろな声を漏らす天華の膣から、射精を終えたペニスが引き抜かれる。
「あぅ……ぅぅん」
幾分か絶頂の余韻に浸っていた彼女は、身を起こすと、男のペニスに優しく触れた。
「あはっ……まだ元気ぃ……まずは、綺麗にしてあげるね?んちゅ………」
そういって亀頭に口付けると、ニュルりとした感触と共に、根元までそれを咥えこんでいった。
「んちゅるう……んくっ……いっぱいついてるぅ……れるっ……ワタシの膣内……そんなに良かった?」
「ああ、だが、まだ足りないな」
飴のように舐める舌が次は蛇がとぐろを巻くかのように男のペニスを満遍なく綺麗にしていく。
「じゅるる……はぷ………りゅう……ちゅ、ちゅううう……むん………えへへ……うん。私も」
天華の指の爪が鋭利に伸びたかと思いきや、ピィィィと布地の切れる音と共に道士服の前部分が下まで真っ二つに切った。そして、そのままコートを脱ぐようにするりと落とし、その美しい裸体を露にした。
「今度は、私がしてあげるから」
シェンフーたちに勝るとも劣らぬ豊満な胸の谷間に挟み込み、亀頭を舐めていく。
「んむ、んっ、ちゅぱ、ぴちゃ、ぴちゃ、れぅ、ちゅ、ちゅっ、はふ」
吐息を漏らしながら谷間から覗かせた亀頭をいとおしげにキスし、舌を這わせる。両手で挟み込むように圧迫させると中でピクリとペニスが震えた。
「えへへ。気持ちいいんだ。嬉しい」
男の反応を楽しむかのようにその奉仕にも熱が入っていく。
「あふ、ちゅぱっ………お兄さんのやっぱり大きい……んはぁ、ちゅく、ちゅるる、ぴちゃ、ちゅっ、れるっ、ちゅうぅぅぅぅ……ぱ。あはっお兄さんの精気ぃ、残り汁がまだ残ってるぅ」
先ほど出した精液が残っていたらしく、先走りと共に尿道口から出てきていた。はしたなく音を立てて男の愛液を啜る天華の頭を男の手がそっと重ねられた。
「じゅぱ、じゅぱ、じゅるるぅ……むふ~」
さわさわと撫でると狐の耳がピピッ!と震え、機嫌の良い犬のように尻尾がくねった。耳の根元を摘まむようにこねるとウットリと目を細めた。
「ちゅぽちゅぽちゅぽちゅぽ、ぷぁ、れるれるれる、じゅるじゅるじゅぅぅぅうるるる」
亀頭を集中して舌を動かしながら吸引すると、男の股間が痺れるように快感が駆け抜けた。
「どぉ?気持ちいい?」
「ああ、中々上手い」
「えへへ、良かった。あむ」
亀頭を咽喉奥まで呑み込み、フェラチオを再開する。天華。夢中になって口内で上下する時は、歯を立てない様細心の注意が払われた。
「んっんっんっんっんは、じゅぼじゅぼじゅぼじゅぼじゅぱ……んくっ………ちゅうう……じゅるるるるる!」
口淫を続ける天華に対し、男はまるでペットの頭を撫でるように慈しみが込められているかのようだった。それに呼応する形で、天華の奉仕もより激しさを増した。
激しい吸引を行いながらじゅるるると舌が蛇のように絡みつき、男の亀頭が膨らむのに合わせ、一気に吸い上げた。
「んっ!」
「っ!」
どびゅうっ、どぷっ、どぷっ、びゅぶるるるぅ!
「んく、んぐ、ん、んちゅる…れぉ……じゅるるぅ……ちゅくるるるぅぅ………」
脈動するペニスを口内一杯に頬張り零さない様に飲み込んでいく天華。
「んくっ………んはぁぁ、しゅごぉ……体の芯までぇ精気が満たされちゃったぁ。凄すぎて、酔っちゃいそう」
それでもなお飲み込み切れずこぼれて付着した手を舌で舐めとると、次に天華は四つん這いになって、腰を突きだした。
「まだ、元気だよね、お兄さん?また、欲しくなっちゃった。お願い、今度は、獣交尾で妊婦みたいになるまでお腹いっぱいにしてぇ。だから、ねぇ、いっぱい、い~っぱい、天華ときもちよくなろ?いつでもどこでも天華を犯して?お兄さん」
ふりふりと揺れる腰を掴み、男は半ば乱暴にペニスを突き入れた。
「んはぁ!入ってきたぁ!気持ちいいよぉ!」
舌を突き出し、はっ、はっ、と犬のように荒い息を出しながら男の律動に合わせて腰を振る天華。
「あっ、あっ、あっ、あはっ、あっ、あっ、イグッ!あっ!あっ!」
顔を枕に押し付けて涎を垂らしながら息も絶え絶えになった天華に構わず、男の腰の動きはどんどん速さを増していき、天華もまた、絶頂で身体を硬直させる暇などないと言わんばかりに、絶頂から降りてこられない状態で貪欲に更なる快楽を求めていく。
「あっあっ!また!イッた!あっ!?また、イグ!イグ!いくぅ!あっぁっあっあうぅぅう!りゃめぇ!またイっちゃったぁああ!気持ち良すぎるよぉお!」
男の身体が天華に重なる様に覆いかぶさる。その両手は彼女の脇の下を通り、胸元へと伸ばされた。
「はひぃ!むにぇええ!いく!いく!あ、あ、ああああ!うにぃいいいいイグぅぅぅうう!」
乳首を挟みながら握るようにもみ込む動きに白目をむいて歓喜し、全身を包む男の匂いと温もり、快感と多幸感、それが絶え間のない絶頂となって津波のように押し寄せてくる。
「あへえええええ!こんにゃのおおお!こんにゃあああ!ひあわせぇえええへえええええ!」
暴力的な快感で身体はほとんどうごけそうな状態ではない。だというのに、男が突き入れるマンコ、腰はまるで別の生き物のように振られている。獣の交尾のような本能に身を任せた情交。これで最後だと言わんばかりに男の突き上げが一層激しいものとなる。
「は!は!は!は!は!は!は!は!は!あ!あ!あ!」
限界まで反り返った陰茎が今か今かと射精しようとしている。天華もまたこれ以上の快楽が処理しきれないことを悟った。最後の最後、最高の瞬間で終われる様、天華正確には魔族としての天華が、その能力を後先など考えずに常人では廃人になりかねない狂気の快楽を―――
「あああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「グ………おォ!?」
解放した!!
どぼどぼどぼどぼっ!!どびゅるるるるるるるる!どびゅうううううううう!どぐ!どぐ!どぐ!どぐ!どびゅ!びゅぐびゅぐびゅぐびゅぐびゅぐううううううううううううううう!!
「イイイイイイイグウウウウウウウウウウウ!!………ウ!……ウ!……うぅぅぅう………!」
ぼびゅぅううううううううううう!どびゅううううううううううう!ドッ!グッ!ドッ!グッ!
「あっ………あっ……あふぅうう……んっんっ……あはっ」
どぷどぷどぷどぷんっ!ごぼぉぉ………
「れるぅ……ちゅ……ちゅむう……はふ……おにいしゃああん……こりぇ…ちゅ、ちゅ…しゅきぃぃ……れるれうぇぉ………」
二人の荒い息遣いと貪るような口付けの音が闇夜に木霊す。永遠にも感じるぐらい長い長い時間、二人の濃厚というだけでは表しきれないナメクジのような絡み合いからしばらくして、やがて聞こえて来た二人の寝息によって、今宵の情事は終わりを告げるのであった。
○月×日
遂に私の超えるべき相手が現れた。あの黄金の男だ。奴の身体は常に謎に包まれている。それを解明する為に態々この紙媒体を使って日記を書こうと思う。面倒だが、データを取られない様あえてアナログなものにするためだ。これを肌身離さず持っていれば盗まれる危険性は、まぁ無いだろう。
ざっと書いてみたが、日記を書くにしてもどう書けばいいのか勝手が分からん。弟に訊いても良いが、なんか馬鹿にされそうで腹が立つのでやめておく。彼奴は普段から姉上に対する敬意がなっちゃいない。今度お仕置きと称して躾けてやろう。と、話が逸れた。さて、そもそもこの日記の目的は、男のデータを取るためだ。レポートと言った方が良いかもしれないが、愚痴だったりいろいろ好き放題書いてるので日記ということにしとく。
男は数年前アミダハラに現れたが、その日のうちに、アミダハラを三分する組織の一つ、日本ヤクザ連合である神武組を壊滅させ、そこに男が居座る形となってアミダハラの秩序の一つとして組み込まれた。
古いデータから分かったが、組の人間が男に喧嘩を売ったらしい。そして、組もろとも壊滅。連中も災難なことだ。下っ端の吐いた唾が組をなくす結果になるなど、思いもしなかっただろう。
神武組には恐ろしい実力者が居ると聞いたが、それ以降行方が知られておらず、恐らくもうこの世にはいないだろうと私は考察している。
このようにこの男の戦闘能力は未だ計り知れない。全貌が見えていない。私、桐生美琴の興味は尽きない。だが、いずれその全てを手に入れ、解明して見せる。それが、現状の最優先するべき目標だ。
自分のやるべきことを確認したところで、今日はここまでとしよう。
明日からが楽しみだ。