「きっと、喪失感というのは、今この感情を指す言葉なのでしょうね」
カタンコトンと揺れる電車に、一人の女性の声が響く。
透き通るようで、それでいながら悲しい声が
「せっかく見つけ出した宝物を、奪われてしまう感覚はこれなのでしょうね」
ネガティブな言葉を、女性は吐き続ける。
見れば腹、肩、胸から血が流れている。あの位置では致命傷は避けられないだろう
「.........私は、私が選んだ道に後悔はありません。ずっとそう言い聞かせながら過ごしてきました。」
時折深呼吸を混ぜながら、続ける
「ですが......今は少しばかり後悔しています。私が彼の前から姿を消したことも。」
「私が、貴女を呼んだことも」
彼女はさらに続ける。正面に存在する真っ黒な鎧に向けながら。
「なぜ、彼は死ななければならなかったのですか?」
声に怒りが混じったような気がした。
「なぜ彼を殺したのですか」
彼女の目元からは、決して人前で流すことがなかった涙が溢れる。
これを流すのは、彼の前だけと決めていたはずなのに。
......その約束も、彼が居なければ意味がありませんね
「......可笑しいですね。私は彼を生かすために貴女を呼んだ。でも、彼は貴女を生かすためにその命を捧げた。」
目の前の鎧が、いつの間にか黒の混じった緑色の頭髪の女性に変わっていた
「“......ごめんなさい“」
「......貴女からの謝罪を聞きたいわけではないのです」
遂に言葉を発した“先生“。だが、その言葉を彼女は____“連邦生徒会長“は切り捨てる
「自分でも驚いています。ここまで自分が怒ることがあるなんて」
うすら笑いも浮かばないこの状況で、彼女は手元に持っていた『ショットライザー』を『先生』に向ける。
「......私はアルト君のことが好きでした。確実に、貴女よりも」
突然の告白に先生は少し訝しむが_____
「大好きでした。愛していました。私の唯一の居場所で、私の唯一の愛しい人」
走り続ける電車をそのままに、連邦生徒会長は立ち上がって、懐に忍ばせていた『プログライズキー』をショットライザーに装填する。
『オーソライズ』
『フルショットライズ』
一思いに引き金を引く。
「......けど、もう私は彼に会うことは『絶対』にできないようですね。なので、『先生』」
彼女は初めて、『先生』の名を口にする。
「
『ランペイジガトリング』
最後に聞こえてきたのは、彼が使っていた鍵の音だった。
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「『ナラム・シンの玉座』と『ショットライザー』の接続を完了。『アトラ・ハシース』の方船を並行世界へ侵食。『多次元演算シールド』を展開」
義体を得たアロナはアルトによって開けられた穴が刻まれた『シッテムの箱』を操作する。
この『シッテムの箱』は原本ではない。メンテナンスのためにアルトに渡していたコピー品。
「......成功です。これで、多次元領域のキヴォトスに侵入することができました」
一息つき、アロナは大事そうにショットライザーを抱える。
「“本当に、もう少しなんだね“」
「はい。これで________________
アルトさんに、また会えるかもしれません」
「“......うん“」
先生はアロナのその髪を撫でる。
そうするとアロナは嬉しそうに頬を緩めるが、その表情は以前のような喜びの表情には程遠かった。
「“......これでシロコも、喜んでくれるかな“」
先生はアトラ・ハシースによって造られた『砂狼シロコ』の個室を眺める。
塞ぎ込んでしまった、彼女を案じながら。
感想の皆さんがセンスありすぎる。まじで言いたいこと全部言ってくれるのほんと助かる