※この作品はR-18です。

アリウスクソボケオオカミ   作:カブライニキ

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せっかく見つけた居場所を失ったのは、何も彼女たちだけではないのでしょう。


私たちのミスでした。

 

「きっと、喪失感というのは、今この感情を指す言葉なのでしょうね」

 

カタンコトンと揺れる電車に、一人の女性の声が響く。

透き通るようで、それでいながら悲しい声が

 

「せっかく見つけ出した宝物を、奪われてしまう感覚はこれなのでしょうね」

 

ネガティブな言葉を、女性は吐き続ける。

見れば腹、肩、胸から血が流れている。あの位置では致命傷は避けられないだろう

 

「.........私は、私が選んだ道に後悔はありません。ずっとそう言い聞かせながら過ごしてきました。」

 

時折深呼吸を混ぜながら、続ける

 

「ですが......今は少しばかり後悔しています。私が彼の前から姿を消したことも。」

 

 

「私が、貴女を呼んだことも」

 

 

彼女はさらに続ける。正面に存在する真っ黒な鎧に向けながら。

 

 

 

「なぜ、彼は死ななければならなかったのですか?」

 

 

声に怒りが混じったような気がした。

 

「なぜ彼を殺したのですか」

 

彼女の目元からは、決して人前で流すことがなかった涙が溢れる。

これを流すのは、彼の前だけと決めていたはずなのに。

 

......その約束も、彼が居なければ意味がありませんね

 

 

「......可笑しいですね。私は彼を生かすために貴女を呼んだ。でも、彼は貴女を生かすためにその命を捧げた。」

 

 

目の前の鎧が、いつの間にか黒の混じった緑色の頭髪の女性に変わっていた

 

 

「“......ごめんなさい“」

 

「......貴女からの謝罪を聞きたいわけではないのです」

 

 

遂に言葉を発した“先生“。だが、その言葉を彼女は____“連邦生徒会長“は切り捨てる

 

「自分でも驚いています。ここまで自分が怒ることがあるなんて」

 

うすら笑いも浮かばないこの状況で、彼女は手元に持っていた『ショットライザー』を『先生』に向ける。

 

 

「......私はアルト君のことが好きでした。確実に、貴女よりも」

 

突然の告白に先生は少し訝しむが_____

 

 

「大好きでした。愛していました。私の唯一の居場所で、私の唯一の愛しい人」

 

 

走り続ける電車をそのままに、連邦生徒会長は立ち上がって、懐に忍ばせていた『プログライズキー』をショットライザーに装填する。

 

 

『オーソライズ』

 

 

『フルショットライズ』

 

 

一思いに引き金を引く。

 

 

「......けど、もう私は彼に会うことは『絶対』にできないようですね。なので、『先生』」

 

彼女は初めて、『先生』の名を口にする。

 

「アルト君は、貴女に譲ってあげます(アルト君をお願いします、先生)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ランペイジガトリング』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に聞こえてきたのは、彼が使っていた鍵の音だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________

 

 

 

 

 

 

 

「『ナラム・シンの玉座』と『ショットライザー』の接続を完了。『アトラ・ハシース』の方船を並行世界へ侵食。『多次元演算シールド』を展開」

 

 

 

義体を得たアロナはアルトによって開けられた穴が刻まれた『シッテムの箱』を操作する。

この『シッテムの箱』は原本ではない。メンテナンスのためにアルトに渡していたコピー品。

 

 

「......成功です。これで、多次元領域のキヴォトスに侵入することができました」

 

 

一息つき、アロナは大事そうにショットライザーを抱える。

 

 

 

 

「“本当に、もう少しなんだね“」

 

「はい。これで________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルトさんに、また会えるかもしれません」

 

 

 

 

 

 

 

 

「“......うん“」

 

 

先生はアロナのその髪を撫でる。

そうするとアロナは嬉しそうに頬を緩めるが、その表情は以前のような喜びの表情には程遠かった。

 

 

 

 

 

「“......これでシロコも、喜んでくれるかな“」

 

 

 

先生はアトラ・ハシースによって造られた『砂狼シロコ』の個室を眺める。

 

塞ぎ込んでしまった、彼女を案じながら。

 

 

 




感想の皆さんがセンスありすぎる。まじで言いたいこと全部言ってくれるのほんと助かる
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