※この作品はR-18です。

アリウスクソボケオオカミ   作:カブライニキ

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お盆だからヒナちゃんをアルトくんの腕の中で死なせて読者たちを驚かせましょう!

欠損ございます、閲覧注意


がんばったよ

 

「ヒナちゃんは、みんなのそばにいてやってくれ」

 

 

私も手伝う、私だってまだ戦える

 

 

「俺が言うのもなんだけどさ、もうヒナちゃんに傷ついてほしくないんだ」

 

 

これくらいの怪我、今までだってしてきた。

だから、大丈夫。

 

まだ頑張れる

 

 

「頑張らなくていいんだよ」

 

 

頑張りたいから、私が

 

「じゃあ俺ががんばってほしくないんだよ」

 

 

先輩がそう言ったとしても、私は先輩の役に立ちたい

 

 

「......俺なんかのために、頑張らなくたっていいんだよ」

 

 

どうしてそんなことを言うの?

先輩だって、最近寝てないでしょ

 

先輩だって、頑張りすぎてるのは私が一番知ってる

 

 

......少なくとも、今は私が一番知ってる

 

私はどうしたらいい?

私は大丈夫だから、もっと私に頼って

私は先輩に元気でいてほしい

これ以上先輩だけが苦しむのは見たくない

 

 

私は

 

 

 

「右腕吹っ飛んでんだぞ!!!」

 

 

 

もっと

 

 

「もっと自分のことを大切にしてくれよ!!俺なんかのために頑張ろうとするな!!」

 

 

先輩のために

 

 

 

「ヒナッ!!」

 

 

 

別に、右腕がなくたって

 

 

銃が持てればそれでいい

役立たずで、何もできない私よりは幾分かマシだから

 

 

それに、これは先輩を『守れた』証でもあるから

誇りに思ってる

 

 

包帯ぐるぐる巻きになっても、先輩は私のことをまっすぐに見てくれた

 

きっとこれから左腕が飛んだって先輩は私のことを抱きしめてくれるでしょ?

 

 

だから、もっと頑張らせて

 

今まで心配が私の代わりに頑張ってくれた分

お返しさせて

 

それが

 

それだけが

 

 

私にできる

 

私にしかできない

 

 

 

 

 

 

罪の精算

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________

 

 

 

 

「はぁっ!はぁっ!」

 

 

 

『虚妄のサンクトゥム』出現より約200時間

 

 

 

「ヒナ!!」

 

 

同時に、『シャーレの先生』が意識を失ってから約120時間

 

 

ゲヘナ学園最終防衛ライン崩壊

 

 

「せん......ぱい?」

 

 

「大丈夫か......っ.........」

 

 

地面に倒れ伏したヒナを俺は抱き上げてその状態を確認する

 

 

だが________________

 

 

 

「......ほん、ものよね?」

 

 

「っ......ああ.........ちゃんといるぞ」

 

 

もう、これは

 

 

「ふふっ......よかった......先輩がそばにいてくれるなら、死ぬのも怖くない......かも」

 

 

「やめろよ......これで最期みたいに言うんじゃねぇよ......」

 

 

「自分のことは自分が一番.........わかってる、から.......ゲホッ!!ごほっ!......多分、助からないんでしょう?」

 

 

出血がひどい

体温だって、もう

 

止血も間に合わない

輸血ができるような器具だってここにはない

 

無理に動かしたら、苦痛が長く続く

 

 

「ねぇ、先輩......最後にちょっとだけ、お話ししてもいい?本当に......少しだけで......いいから」

 

 

「.........うん、いくらでも付き合うよ」

 

 

また、奥歯が欠けた

 

口の中が血の味でいっぱいになる

 

 

「私......ちゃんと先輩の役に、立てた?」

 

 

「当たり前だ......むしろ頑張りすぎだっての......」

 

 

「ふふっ......なら、本当に良かった......最後に、先輩の役に立てたなら......すごくうれしい......」

 

 

もう、手立てはない

 

一切

 

 

「でも......もっと、頑張れた......ハズなのに......」

 

「......いいんだよ......大丈夫だ、ヒナは......ヒナちゃんは、誰よりも頑張った。これ以上ないくらい。いや、本当にこれ以上ないほどに、頑張った」

 

 

なら、最後くらい

 

俺が、ヒナの苦痛の気を逸らせるなら、先輩冥利に尽きるだろ

 

 

「ありがとう、俺の、自慢の後輩だ......っ......ごめんな、こんなに......こんなになるまで......頑張ってくれてありがとう......ごめん、ごめんなぁっ......」

 

 

「......あやまら、ないで」

 

 

ヒナの喉からゴロゴロと音がする

 

きっと、肺に血が溜まって音を鳴らしているんだろう

 

その苦痛は、俺には計り知れない

 

 

「わたし、は......先輩の役に立てた......だから、あやまらないで......」

 

 

ヒナが、震える左手で俺の頬に触れる

 

その手はひどく冷たくて、今にも力が抜けてしまいそうな手だった

 

俺はその手をしっかりと持って、その温度が逃げないようにと握りしめる

 

 

「ねぇ......おぼえてる......?せん、ぱいと......昔......一緒に......暮らしたときのこと......」

 

 

「......覚えてるよ、忘れる訳ない」

 

 

「......あの、とき......先輩が、いてくれなかったら......わたしは、みんなのあたたかさとか......しらないまま、ぜんぶ投げ出してた......きっと......」

 

 

「俺は何もしてないって......ぜんぶ、ヒナちゃんが頑張った結果だ......っ......俺は何にも......」

 

 

俺は、なんの役にも立ってないじゃないか

 

 

「先輩が、わたしの手を取ってくれて......それで、いっしょに、ごはんを食べてくれて......だきしめて......くれた........」

 

 

俺は

 

 

「たのしかった......」

 

 

何の

 

 

「......幸せだった......」

 

 

ヒナは、俺の顔をその震える指で少しなぞった

 

 

「だから......泣かないで......笑ってくれたら......きっと......寂しくない、から」

 

 

「.........うん.........っ......うん.......」

 

 

俺は、笑った

 

大粒の涙をこぼして

 

 

ヒナとの楽しかった思い出

 

その全てを、思い出して

 

 

「......せんぱい.........さむ、い......」

 

「寒いよな......大丈夫だ、ずっと、いっしょにいるから」

 

 

ヒナの体が、だんだんと『物』に変わっていくのを感じながら、ゆっくりと時間が過ぎてゆく

 

 

「............声、きかせて......?」

 

「うん......大丈夫、ここにいる。いなくなったりしない、大丈夫.......」

 

 

「......だんだん......見えなく、なって...............」

 

 

「怖いよな、苦しいよな......辛いよなぁ......っ」

 

 

 

ヒナの声が、掠れて聞こえなくなってゆく

 

それでも俺は、全部の言葉を聞き逃さないように、一つの音だって聞き逃さないように

 

 

「......せんぱい......」

 

「どうした......?」

 

 

もう、何回時計の針が回ったか分からない

一瞬だったようにも感じる、何日もヒナを抱き抱えていたようにも感じる

 

 

「......あのね.........だいすきだよ.........むかしから......うう、ん......むかしより......ずぅっと.........だいすき......」

 

 

「......俺も、大好きだ」

 

 

 

何の心だって籠っていない

ヒナが今伝えてくれた想いに、何の責任も持たない『大好き』と言う言葉

 

 

それなのに

 

 

 

「......えへ......よかっ......た.........せん..................ぱい...............だい.........す......き.......」

 

 

なんで君は、ずっと嬉しそうにしてくれるんだ

 

 

「............ヒナ.........?」

 

 

 

 

 

 

ヒナから、音が聞こえなくなった

 

 

おかしいな

 

今までどんな掠れた言葉だって、聞き逃さなかったのに

 

 

「ヒナ」

 

 

 

ヒナがいつも俺に向けてくれていたその目は、動かなくなって

 

 

ずっと手を握ってくれていた左手には、もう何の力だって籠っていない

 

 

 

死んだ

 

 

違う

 

 

「ヒナ......?」

 

 

 

今、死んだ

 

 

 

 

違う

 

 

 

 

なぜ認めようとしない

 

 

 

何で、今になって後悔が押し寄せてきた?

 

 

 

 

「なあ、ヒナちゃんって......」

 

 

 

違う

 

死んでない

 

 

今からだってきっと助かる

 

 

 

 

________________だが、

 

 

 

それに相反するように、ヒナの少し重くなった体が『終わり』を実感させる

 

 

 

 

「なぁっ......!」

 

 

 

どれだけ呼びかけても、死体は動かない

 

 

どれだけ頭を撫でたって、喜んでくれる君はいない

 

 

いつものように、動いてはくれない

 

 

絶対に

 

 

 

先輩と、呼んでくれた声も

 

 

 

 

もう、聞こえない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ“あ“あああああああああああああああああああああっ!あ“あ“あぁァァァァっああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、じゃあ今日も行ってくる」

 

 

「......うん、気をつけてね。物騒なんて可愛らしいくらいだから」

 

 

「ははっ、言えてる」

 

 

 

ヒナが死んでから、一週間が経った

 

ゲヘナの治安は......いや、『風紀委員長』というストッパーが消えたことで、治安なんて言葉自体が存在しなくなった

 

 

 

それでも、今も交流を持ってくれる友達はいる

 

数は、だいぶ少なくなってしまったが

 

 

今目の前にいる少女も、その1人だ

 

 

「んじゃ、みんなのこと頼むわ、カヨコ」

 

 

「......わかった」

 

 

 

そして俺は、懐から赤い腕章を取り出して、しっかりと腕に通す

 

 

 

『風紀』

 

 

 

その名と、巨大な銃________________

 

『終幕;デストロイヤー』を携えて

 

 

 

 

「............今日は、グラタンでも作って食おうな」

 

 

 

 

 

 

「ヒナ」

 

 

 

 




……涙止まりません、どうすればいいですか(犯人)
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