「かなたん、これ今日届いた依頼書だよ」
「お、ありがとあずちゃん。うわ、こーれ作るのめっちゃ苦労しそうなんだけど……」
「色々希望聞いてたらこうなっちゃったんだよね〜……まあ、今思えばAZKiも向こうの口車に乗せられちゃってたな〜、って……」
「しかもこれ利益大して出ないじゃん。やっぱ値切り交渉上手いんだよな〜ルイのヤツ……」
「だから客選べって言ったじゃーん、鷹嶺相手じゃ分が悪いってさぁ。ホーントかなた先輩って客見る目ないよね〜w」
「……オイサカマタ」
「ナニ〜? ホントのこと言っただけじゃ〜ん? ああいう頭の回転早かったり口が上手いヤツじゃなくてもっとアホそうな相手の方が儲かるって〜w、ロボ子先輩とかみこちとかならいくらでもボれるっしょ〜w」
「こっちには客選ぶ余裕ねえんだよぉ!!」
自転車操業状態の経営状況についてやいのやいのしている三人の見目麗しき女子達。
バーチャル世界で建設業を営む小さな会社《かなた建設》――通称・かなけん。
社長である天音かなたとなんでもこなせる優秀な社員AZKiのやり取り、そこに茶々を入れながらも的確な指摘をする沙花叉クロヱの三人、
「そうだ、新人君の意見も聞いてみないと!あずちゃんもそう思うよなぁ!?」
「え? ま、まあそうだね」
「うっわ、かなた先輩が自分の立場使って新人君に圧かけようとしてる〜パワハラじゃんそれ〜w」
というやり取りがあって、そして三人の視線がこの場にいるもう一人のかなけん社員に集まる。
「さて、今のやり取りを見てどう思った!?
「え、ええっと、そうですね……」
かなけん唯一の男性社員、金屋
「うーん……やっぱり商売する相手はちゃんと見極めた方が――」
グシャッ。
何かが潰れる音がした。
かなたが右手に握り拳を作っている。建太に向かってそれを突き出し、開く。そこから現れたのはペシャンコになった紙コップ。
たかが紙コップ、それを潰すことくらい幼児にだってできることだ。けれどもかなたがわざわざそれを見せつけることが何を意味するのかわからない建太ではなかった。
つつぅっ、と冷や汗が一滴滴る。かなたはニッコリとわざとらしい笑顔だ。
「あ、あー……けどやっぱりいちいち相手を選んでいたら事業として成り立たないですし……」
「ちょっとー!? 言ってることが真逆になってんじゃん!? かなた先輩の圧に屈すんなよー!!」
「ヘヘン、これが社長の威光ってヤツよ!」
「それただのパワハラだと思うんだけど、かなたん……」
ない胸を張るかなたに対して遠慮がちながらも的確にツッコむAZKi。
これがかなけんの日常だ。かなたが大抵の事柄に対して作戦計画を立案し、それにクロヱが茶々や文句を垂れ、AZKiは冷静かつ現実的なツッコミを入れる。たまにAZKiも立案しており、殆どの場合そっちの方が現実的かつ効率的な内容になる。クロヱもAZKiには指摘こそすれ茶化したりはしない。
それでもかなたが先頭に立つのはやはり、彼女がかなけんで一番リーダーシップがあるからだろう。やる時はやる女、それが天音かなたなのだ。
「金屋くんも巻き込まれちゃって大変だったね」
「あ、いえ、お気遣いありがとうございます」
AZKiから労われた建太は軽く頭を下げる。
「仕事にはもう慣れてきたかな?」
「はい、おかげさまで一通りのことはどうにか一人でできるようになってきました」
「それはよかった。これからも一緒に頑張ってこ?」
にっこりと笑いかけるAZKi。その人心を癒す笑顔に建太はつられて笑う。そしてこの後も頑張ろう、という気持ちが沸々と湧いてきた。
◇
ここに建太が入社したのは遡ること三ヶ月前。
就職活動が上手く行かず途方に暮れていた建太。大学を出てから新卒で入社した会社も社長のワンマン経営ぶりにうんざりして二ヶ月ほどで辞め、どこへともなくフラフラと街を彷徨い歩き、時間を浪費する日々を送っていた。
その日も目的などなくただ大型ターミナル駅近くの公園で一人ベンチに座っていた。行き交う人や車を眺めるだけのひたすらに虚無な時間。
「すいませーん、何してるんですかー?」
そこに声をかけてきたのがかなただ。彼女の青い瞳が俯いた顔を覗き込んできたのだ。ウーパールーパーらしきキャラクターがど真ん中に居座るTシャツにまるでパジャマみたいなチェック柄のボトムスを履いており、素人目から見てもファッションセンスは皆無だ。
最初は面倒臭く、適当にあしらった。けれどもかなたは、
「いやいやー、なんかめっちゃ落ち込んでるみたいだったからねー、何かあったのかなぁ、って思ったらほっとけなくてさー」
そう言ってすぐ隣に腰掛けてくる。一体なんなんだ、と思ったがその場を離れることすら面倒だった。
「なんでもない、ただ時間を潰してただけだよ……」
そう返し、ハァ、と一つため息。毎日毎日、もう何度ついたかもわからない。
「当てて見せましょうかー? あなたが今考えてること」
そう言うとかなたは建太に向けてビシッ! と人差し指を向けた。
「ズバリ!! 仕事がない!!」
ドヤっ、とかなたは得意げな表情を見せる。
建太はもう一つため息をついた。
「……まあ、真っ昼間に一人でこうしてればわかるだろうな」
「えっ!? 当てずっぽで言ってみたらマジで当たった!? うわっマジで当たったよ! 人を偏った目で見ちゃダメだと思ってはいたけどホントにだった!!」
驚いて一人早口になるかなた。適当に言っただけかよ、と建太はまたため息をついた。
「無職に用なんかないだろ、さっさとどっか行ってくれよ」
シッシッ、と追い払うように手のひらを振る建太。
ところがかなたはむしろ興味を持ったかのよう目を輝かせ、建太の顔にぐいっ、と迫る。
「いやぁあなたみたいな人を探してたんですよ〜! こんなに早く見つかるとは思わなかったからボクもびっくりしちゃって!」
まくしたてるかなたに思わず顔を引いた建太。そして建太が口を挟む隙すら与えずかなたは続ける。
「そんなあなたにちょうどいい会社があるんですよ~! かなた建設! 略して『かなけん』! 今急成長中の将来有望な会社で社員満足度も満点五つ星! 引く手あまたで大忙し! 業務拡大につき新入社員絶賛募集中なんですよ~!!」
関西のオバチャンの如きマシンガントーク。気怠さで満ち、誰も近寄らせないオーラを醸し出している建太が圧倒され続けている。
「興味があったらこの番号に電話してきてくださいね~!! いつでも待ってますから~!!」
そう言うと一枚のビラを手渡され、かなたは去っていった。
『優秀なキミを求む!!!』と白く縁取られた赤文字でデカデカと印字され、その下にはかなたを含むかなた建設の社員三人の写真、そしてその裏には募集要項や連絡先、社長――かなたからのメッセージが載っている。
最初は建太も気に留めておらず、勧誘のビラも捨て置いていた。だがその後も就職がなかなか決まらず、焦りを覚えた建太はふと勧誘のビラを思い出し、ホコリを被っていたそれを引っ張りだした。半分冗談のつもりで電話をかけると履歴書持参での面接の日取があっさりと決まり、そして半分雑談のような面接をすんなりと通過してしまった。
なんでも社長のかなた曰く、
「金屋建太くんっていうの!? 略したら『かなけん』じゃ〜ん!! この会社の略称も『かなけん』って言うんだよ〜! もうめっちゃシナジーあるじゃ〜ん!! これはかなけんに入るために生まれてきたようなものだねぇ!!」
というのが一番の理由なのだそうだ。
こんなザルな採用試験だったので内定拒否しようかとも思った。だがこれまでずっと書類選考で足切りされ、面接で落とされ続けていた建太は長いこと焦燥感に駆られ続けていた。こんな怪しい会社でも心が揺らいでしまう。
そして、数日悩んだ結果、建太はその内定を受け入れることを決断した。
入社後に建太が直面したのは、初邂逅時にかなたが言ってたことは大半がデタラメだったという事実だ。経営は自転車操業、社員は建太を含めて僅か四人。仕事も言うほど入ってこずに暇を持て余すこともザラにあり、そして給料も多いとは言えない。
失敗としか思えない就職だったが、このかなけんは居心地だけはよく、気づけばすっかり建太はこの場所に居ついていた。
『居場所』を見つけることができたのだ。
◇
「お昼行ってきまーす」
建太はそう宣言して仕事場のオフィスを出た。まだ残っているかなたとAZKiは共に「はーい」といつも通りに応じた。
八畳ほどの休憩室に入ると、先に休憩に入っていたクロヱがスマホをいじっていた。入室してきた建太に気づくと「やっほ」と軽く手を挙げて合図してくる。「お疲れ様です」と応え、建太は保温用家電に入れていた昼食のコンビニおにぎりを三つ取り出し、デスクワーク中に半分ほど飲んだペットボトルのお茶と共にテーブルに置く。
フィルムを剥がし、その一つを食む。味はおかかだった。
ふと、建太はクロヱの方に目を向けた。
彼女の前に置かれているのは弁当箱。サイズはごく一般的なものであるのだが、中に入っていたであろうおかずは全て自分で作ってきている。冷凍食品も一部あるだろうが、それ以上に入社したての頃の建太はクロヱが自炊できる、という事実に驚いていた。
銀髪のイケイケなギャルっぽい雰囲気を漂わせているため、食事もコンビニかジャンクフードで済ませていると思っていたのだ。意外と家庭的な一面が垣間見えてそのギャップに驚いたのを覚えている。
ギャップといえばクロヱの体型もだ。
一五〇センチに満たない身長と、それに釣り合わない豊かな二つの果実。しかもそれによって形作られた谷間を見せつけるかの如き高露出度のワイシャツをいつも着て出社してくるのだ。そのうえ弾力があってよく揺れる。残酷なほどに平坦であるかなたから何かと嫉妬の対象となっており、イヤミや僻みを投げつけられてはクロヱが煽り返す、というのがお決まりとなっている。
建太もその魅惑の双丘に視線を引っ張られそうになっており、それを現在進行形で理性によって押し留めている。許されるならば舐め回すように観察したい、という欲求も抑えつけている。
意識的にクロヱを視界から外すようにしている建太。けれどもその魅力的なバストの魔力は強力で、ちょっと気を抜けばすぐに横目でチラチラと見てしまう。
そもそも見せつけている、と言わんばかりに胸元を露出されては男である建太としては困るのだ。かなけんには今まで女性しかいなかったから、異性の目があるということに対する自覚が足りないのかもしれない。かなたとAZKiにはそういったところはないからこれはクロヱだけなのかもしれないが。
そう考えているとまたクロヱの胸元に目が行ってしまう。スマホを両手で持ってゲームをしており、感覚の狭まった両腕が乳房が挟み、ただでさえ目立つ谷間がさらに深くなっている。
横目では満足できず、とうとう顔そのものを向けてしまう。その滑らかな肌色はもっちり、すべすべとしていそうで、今まで女性経験がない童貞の建太には刺激が強い。生まれたままの姿の女体なら映像作品として画面越しに見たことは何度もあるが、液晶を通さずに見る肌色の方がずっと性的な思考を掻き立ててくる。
鼻の下が伸び始めている自覚もなく建太の視線が固定される。
と、
「…………?」
ふと、クロヱが顔をあげた。そして建太と目が合った。
「っ……!」
建太は反射的に目を背ける。しかしナニを見ていたのかはクロヱにはバレバレだった。
「あれ〜? どこ見てたのかなぁ〜?」
イタズラっぽくニヤニヤとした笑顔を見せ、そのうえ上半身を前屈みにして胸元を強調してくる。それでも意地になってそっぽを向き続ける建太の姿はとても滑稽だった。
「あからさますぎてバレバレなんだけど〜w、ねぇ正直に言ってごらんよ、沙花叉のおっぱいガン見してました、ってさぁ、ほらほらw」
面白がるクロヱは立ち上がり、建太のすぐ隣に座った。そして柔らかな膨らみを彼の腕に押し当てる。ビクッ、と建太はわかりやすく動揺する。
「意地張ってないで素直になっちゃえよ〜w」
するとクロヱの声が耳元に急接近する。
「勃起しちゃってるくせにw」
「は……!?」
指摘されて建太は目を落とす。スラックスの股座部分が明らかにこんもりと盛り上がっている。
「沙花叉のこと、やーらしい目で見てたんだぁ……」
クロヱは目を細め、現在進行形で血流が集まり続けるそれを見つめている。建太は顔から火が出そうになっている。
「も、もういいでしょう!? 離れてくださいよ!」
「そんなに嫌がらなくてもいいじゃ〜ん、ホントは嬉しいくせにさ〜w」
さらに押しつけるクロヱ。
「なんならさぁ、ちょっとくらいなら触らせてあげてもいいけどねw」
その言葉に建太は思わずクロエの方を振り向いた。
「アハハ、わっかりやす〜w、やっぱり興味津々じゃ〜んw」
小馬鹿にするように笑ったのち、クロヱは腕から離れる。そして今度はテーブルの下に潜ると建太に両脚を開かせ、その間にすっぽりと収まった。両の太ももの上に載る、ワイシャツに包まれた豊かな乳房。それは成人向け映像作品でよく見るプレイを彷彿とさせる。
「ほら、触ってみてよ」
促された建太はおそるおそるクロヱの膨らみに手を伸ばす。左右から手のひらで包み、下から掬い上げる。中に詰まった脂肪の重さがはっきりと伝わってくる。
「んっ……」
微かに甘い声を漏らすクロヱ。
「いいんだよ、もっと積極的になって……」
さらに促してくる。手に力を込めると、ふにゅんっ、という音がしそうなほど簡単に乳房はその形を変えた。
ふにゅんっ、ふにゅんっ、たゆんっ。
「んっ、ふぅんっ、ふぅっ……んあぁっ……!」
甘ったるい喘ぎ声が建太の鼓膜を震わせる。スラックスを押し上げる剛直は一層硬度と体積を増していき、生地の伸縮能力の限界に達してもなお膨張し続ける。
柔らかな果実を弄ぶ手も止まらない。さすり、掴み、揉んでいるうちに直接触れたいという欲求が雪だるま式に膨れ上がり、気づけばワイシャツのボタンを引っ張るように強引に外していた。
ばるんっ!
という効果音が鳴りそうな勢いでブラジャーと共にクロヱの乳房がまろびでる。草花を模した意匠を施した黒一色のそれは彼女の大きさには全く釣り合わない小さな布面積で、南半球しか隠せていない。ちょっと力を入れれば簡単にずらすことができる。
泉のように溢れる欲望のままに建太はクロヱのブラを上にずらす。綺麗なピンク色をした乳輪がそれぞれ現れ、その中心ははっきりとわかるほど勃ち上がっていた。
もちもちとした乳肉を直に鷲掴みにし、親指の腹で乳輪を捏ね回す。白い柔肌が手に吸いつく。
「あぁっ、はぁっ、いいっ、積極的に、なってきたじゃんっ……」
頬を上気させるクロヱ。その表情が明らかに蕩けたものに変わり始めている。乳首のコリコリ具合もあがっている。
それをまさぐる建太もすっかり夢中だ。女の豊かな乳房をこんなに堂々と触る、という初めての経験が脳の記憶回路に書き込まれていく。
目の前のおっぱいにしか意識が向かず、既に最大値まで肉棒が膨張していることすら忘れかけている。
頭の中がクロヱのおっぱいに関するあらゆる邪念で埋め尽くされてオーバーフローになりかけていた。
「うっわぁ……すっごいねぇ……あんっ、めちょおっきいじゃんキミのチンポっ……」
なのでそう感想を呟くまで、建太はスラックスのベルトを緩められていることにも、過去最大級にフル勃起したペニスを露わにされていることにすら気づかなかった。
「はっ……? 沙花叉先輩?」
気づけば愚息がコンニチワ。そんな状況になっていた事実に建太は困惑し、クロヱの乳房からも手を離していた。
「今度はこっちの番だよ〜?」
ベロッ、と長い舌を出し、先端をチロチロと小刻みに震わせる。
そしてザラついた表面を目一杯使って、
レロォッ……!
「んぐおぉっ……!!」
根元から頂点までをゆっくりと、まるでその感触を覚えさせるかのように建太のペニスを一撫でした。
「アハハッ、たったこれだけなのにめちょ気持ちよさそ〜w、ほらほら、もっとナメナメしてあげよっか〜?」
一回、また一回、さらに一回、唾液をまぶしつつクロヱの舌が這い回る。建太の愚息はビクンッ、ビクンッ、と情けなく脈打つ。自分でも気づかぬうちに下半身も浮き上がる。
「そんなに気持ちいいんだ〜w、ならもっと気持ちいいことしてあげる〜w」
浮き上がったことでできた隙間からスラックス、ボクサーパンツすらも脱がされる。職場の休憩室で下半身を丸裸にされるというあまりにも恥ずかしい姿にされてしまう。重力と反対方向に勃ち上がるペニスとその根元から垂れ下がる陰嚢。
そこにクロヱの手が添えられ、さわ、さわ、と優しく揉み始める。
「くぅっ……!!」
建太は仰け反った。またも腰が浮いた。
そして舌による責めも終わったわけではない。肉竿は根元から繰り返し舐め回され、醜いマツタケの傘のような肉エラの裏側も舌先を使って丹念に刺激してくる。
「ふうぅっ、ううぅぅっ……せ、せん、ぱい……」
何度も何度も腰が浮き、その度に体が前へ前へと動いていく。完全にテーブル下に収まったクロヱは口淫を緩めようともしない。まるで蟻地獄に落ちる蟻のように、建太の下半身がクロヱに引きずり込まれ、支配されていく。
「んちゅっ、ちゅっちゅっ、レロレロっ……なんか、ぬるぬるしたヤツが出てきたよ~? どんどん出てくるね~w、やらしい~w」
鈴口から溢れ出るカウパー汁は塗りつけられる唾液と混ざり合い、ペニスをてらてらとコーティングしていく。
「気持ちぃ、よすぎる……!」
クロヱに下半身を捕食されて、建太の口はすっかり緩んでいた。フェラチオとキンタママッサージを同時に施されること、それは童貞には到底受け止めきれない快楽なのだ。
剛直の内部で何かが遡り始める感覚を建太は覚えた。このまま身を委ねれば一分と経たずにその正体である欲望を撒き散らすだろう。
建太の視界がチカチカと点滅し始める。
休憩室のドアが開いたのはまさにその瞬間だった。
「沙花叉いつまで休憩してんだおみゃえはああぁぁぁ~~~~~!! …………って、あれ?」
甲高い怒鳴り声をあげながら入室し、そしてすぐにそれが幻であったかのようにいつものトーンに戻るかなた。
「金屋くんだけ? 沙花叉は?」
首を傾げるかなた。ちょうどテーブルの下が死角になっており、クロヱの姿が視認できていないのだ。
「え、ああ……さっきまでいたんですけど……」
ここでクロヱが見つかってしまえば、同時に建太の下半身までもがかなたの眼前にさらされてしまう。そうなればかなたに『変態』のレッテルを貼られてしまうのは必然だ。
(さ、沙花叉先輩……そろそろ、やめないとマズいですよ……)
直接声に出すわけにもいかず、建太は目配せで行為を止めるよう伝える。クロヱにもその意図は伝わったようで、下半身から手と口を離した。
「ん〜? じゃあトイレ言ってんのかな? 沙花叉の弁当箱はそこにあるわけだし……」
「そ、そうですね……多分少ししたら戻ってくると……おぅふっ!?」
突然下半身に新たな刺激が加えられ、思わず建太は大きな声を出してしまう。
「? どうしたの?」
「あ、いえ……なんでも、ないですっ……」
あくまでも平静を装いつつ返答し、それからさりげなく目線を下に向けた。
さっきまでひたすら上を指し続けていたペニスが、クロヱの口の中に収まっていた。
陰毛の茂る根元まで呑み込まれ、こちらを上目遣いで見つめてくる。明らかに建太の慌てふためく反応を愉しんでいた。さらにキンタマ揉みも再開し、一度は引いていた射精欲が一気に沸き立つ。
(ダ、ダメですって……! かなた社長にバレちゃいますよ!?)
行為をやめるよう要求するが、クロヱは全く手も口も緩めない。陰嚢は精液を作るよう直接手で促され、口の粘膜で包み込まれた肉棒はザラつく長い舌で蹂躙され続ける。しかも音は立てないようにしているのが尚更タチが悪い。
「なんか顔赤い……? もしかして熱でもある?」
「いえ…………大丈夫、ですっ…………お気にっ、なさらずにぃ…!!」
それでもかなたは訝るように建太を見ている。
テーブルの下ではクロヱに愚息を苛められている。
緊張感と快感で気が狂ってしまいそうになる建太。心臓も射精管も爆発寸前だった。砕けそうなほどに奥歯を噛み締める。
やがてかなたは興味を失って踵を返す。
「まだ新人なんだし、無理はしないようにね〜……それにしてもどこ行ったんだ、あのボケなしゅ……」
バタン、とドアが閉まり、かなたの気配が遠ざかっていく。
変態扱いされる危機は去った。しかし第三者がいなくなったのを見計らったように、
じゅるるっ! じゅぽっ! じゅぽっ! じゅぽっ! じゅぽっ!!
大きな水音を立てながら激しいスロートで建太を責め立てた。
「ああっ、ダメですっ! 沙花叉っ、先輩ぃぃっ……! もう、我慢がっ……!」
言っている間に建太は限界に達した。
閉じられていた元栓を一気に全開にしたかのように、溜まりに溜まった精液が一気にクロヱの口内に放出される。
「んぐぅっ!? んんっ、んんんーーーーっ!!」
呻き声を出すクロヱ。射精はなおも止まらない。一旦始まったら途中で止めることは不可能に近く、吐き出し終わるまでコントロールも効かない。
何度も何度も腰が浮き、体がピンと一直線になり、ドクドクと白く濁った欲望は無秩序に放出され続ける。
しかしクロヱはそれらを口の中で滞留させる。リスのように両頬を膨らませて建太の口内射精を全て受け止めきるとようやく口を離した。
「んべっ……」
口を開け、なみなみと溜まった精液を見せつけてくる。そしてそれをゴクンッ、と喉を鳴らして飲み込んだ。
「
ケラケラと笑うクロヱ。その口の周りに付着しているてらてらと光るものは唾液なのか、あるいは精液なのか、建太には判断がつかなかった。
それから今度は肉茎、肉頭に残る精液を綺麗に舐め取り、続いて尿道の中に残った分も吸い出す。鈴口を舌先でほじくられる感触に建太は痺れにも近い快感を覚える。
「アハッ……まーだ勃起してるじゃ〜ん、めちょ元気だねぇキミのチーンポ」
ツンツン、と指で何度かつつかれたペニスは鉄芯を通したかのような硬度を維持したままブンブン、と左右に揺れる。
「沙花叉ももっと続きしたいけど……さすがにこれ以上はマズいかなぁ〜、かなた先輩やAZKi先輩に見られでもしたら大変だし」
クロヱは言いながらテーブル下から這い出し、乱れた服装を整える。
それから建太の耳元で、
「お仕事終わったら付き合ってよ。明日は休みだし時間はたっぷりあるでしょ?」
そう持ちかけ、返事を待たずに休憩室を出て行った。
建太は頭の中がグルグルしていた。両手が覚えた初めての感触と下半身に受けた初めての経験が深く脳に刻み込まれ、思考力が低下している。
勃起し続ける下半身を晒し続け、休憩時間が終わる直前になってようやく下着とスラックスを履き直す。そしてぼんやりとした頭のまま仕事へと戻るのだった。