「おはよ〜ございま〜す」
いつもの軽い声で挨拶し、オフィスルームにクロヱが入ってきた。
「おはようございます」
入口すぐのデスクでスマホを触っていた建太は顔だけ向けて軽く会釈。
「おはよう沙花叉、今日は随分早いね」
建太の向かいに座っているAZKiがやや驚いたように言った。それに追随するように、一回り大きい社長用デスクのかなたからも声が上がる。
「すっげぇ早く来るじゃん、いっつも遅刻ギリギリなのに」
「いや〜、やっぱ遅刻ギリギリに来るのってどうなのかなぁ〜、って思えてきて〜」
「…………」
出勤時間がいつもより早い理由に対してかなたは怪訝そうに眉を顰める。
「…………ホントか? なんか嘘臭いんだが?」
「なんスかもう〜! ちゃんと時間に余裕を持って行動するのって悪いことじゃないでしょ〜!?」
「まあ、それはそう」
かなたは肯定する。しかし釈然としていなさそうな表情は変わっていない。
「けど、急にそんなこと言い出すからビックリなのよ。今まで出勤時間は遅刻ギリギリ、勤務態度もよくない、生意気、風呂に入らない、そんな沙花叉がいきなりまともになると思えないし」
「風呂は関係ないでしょ〜!」
あれこれ言われたクロヱは反論した。
「まあまあ二人とも落ち着いて……」
見かねたAZKiが仲裁に入る。
「とにかく、沙花叉はお仕事頑張ろうって思った、ってことでいいんだよね?」
「そっスね〜」
「じゃあそれでいいんじゃないかな。あれこれ言ってやる気を削ぐのもよくないよ」
クロヱの考えを尊重し、同時にかなたを窘める。
AZKiの言葉に、ようやくかなたは矛を収めた。
「あずちゃんがそう言うなら……」
しかし、
「も〜、器が小さいッスよかなた先輩〜。小さいのは胸だけにしといて下さいよ〜」
消えかけていた火に油、それもガソリンを注ぐ暴言。
無言で拳を振り上げるかなた。それに気づいて悲鳴を上げるクロヱ。
「キャーーー!! 暴力反対〜!!」
「おみゃえが挑発してきたんだろうがぁ!!」
大して広くもないオフィス空間で始まる追いかけっこ。拳をブンブン振り回しながら追走するかなたにさすがのクロヱもビビっている。
あまりにも幼稚なそれにAZKiはため息をつき、建太も苦笑いを浮かべるしかなかった。
すると、今まで追いかけ回されていたクロヱが突然建太の腕を掴み、引っ張り出す。
「助けてケンタ〜!! 盾になって〜!!」
「え、ちょ、は……!?」
いきなり追いかけっこに巻き込まれ、建太は目を丸くする。そして目の前には──
「沙花叉あああああ!!!!!」
走りながら腕を振りかぶり、渾身の力で殴りかかろうとしてくる社長の姿があった。
建太は出来る限りの防御策を取る。両腕で顔の前を覆い、顎を可能な限り引いて衝撃に備えた。
歯を食い縛る建太。
だが、その暴力が訪れることはなかった。
不思議に思って防御姿勢を解くと、腕まで僅か数ミリのところでかなたの拳が止まっていた。
「……ぶない、危ない……間違えて金屋くんを殴るところだった……」
続けて、建太の背に隠れている元凶に怒鳴りかかろうとしたところ、
「こっち!」
「はっ、え!?」
建太はクロヱにまたも引っ張られ、今度はオフィスルーム外の廊下に連れ出された。
「アイツ……!!」
かなたは怒りが収まらない、といった様子だった。その勢いのあまり壁を殴りそうになるがそこはどうにか抑えている。
「事あるごとにボクのが小さいって弄ってきやがって! ボクだってなぁ、デカいおっぺぇが欲しいんだよぉ! けど親のせいでこんなちっせぇおっぺぇに産まれてきちまったんだよぉ!!」
美少女なのにぃ!! と吐き捨てるように叫ぶ。
「かなたんはそんなおっ…………胸が手に入ったらどうしたいの?」
「揉む。揉みまくる」
AZKiの問いに即答し、それどころか、
「けどあずちゃんのも悪くはないなぁ。手のひらにちょうど収まるサイズでこれはこれでいい感触が……」
饒舌だったかなたは、しかしそれ以上続けることができなかった。
ふと見たAZKiの表情が、隠そうという意思すら感じられない嫌悪感に満ちていたからだ。極寒地の氷柱のような鋭利で凍てつい視線が心を貫いていくのを感じ、口を閉ざさざるを得なかったのだ。
「……さ、さぁ〜て! 仕事仕事! ……あ、けどまだ始業前だったぁ! アハハハハ…………」
どうにか話題を変えようとするかなただが上手くいかない。気まずさがさらに増大する。
そんな空気の流れを変えたのはAZKiだった。
「……ところでさ、沙花叉ってさっき金屋くんのこと『ケンタ』って呼んでたよね」
「え? …………あれ、そうだっけ?」
怒りのせいでかなたは覚えていなかった。AZKiは続ける。
「間違いなく『ケンタ』って呼んでた。けど今まではずっと『新人くん』って呼んでて名前で呼んでるとこ見たことなかったけどなぁ。それに名字じゃなくて下の名前、っていうのも気になるかも」
「え? つまりあれか? あの二人は付き合ってる?」
「それはわからないけど」
「けど下の名前で呼ぶとかもう確定でしょ! 昔からの腐れ縁とかならまだしも出会って半年も経ってないのに下の名前で呼び合うのは確実に付き合ってるとボクは見たね!」
かなたは面白そうにフフフフフ、と含み笑い。スクープの尻尾を掴んだ週刊誌記者のような悪い顔になっていく。
「沙花叉をからかうネタができたなぁ……散々ボクの胸を弄ってきたんだからこれくらい許されるよなぁ!!」
誰へ向けるでもなく声を張り上げるかなた。
二人の関係性が気にならないわけではないものの、AZKiは社長の姿に呆れるしかなかった。
◇
かなけん本社は雑居ビルのワンフロアに入居している。以前は別の企業がオフィスとして使っていたらしく、そこが撤退した場所に入り込んだ、とかなたから聞いている。ちなみに賃貸契約だ。
それ故に、建太が入社するより前から男子トイレが存在する。小便器三つに個室の洋式便器二つ、手洗い場一つを備えているが、もちろん女性三人だった頃は使う者などおらず放置されており、建太の入社後には問題なく使えるように清掃・修繕されている。現在も建太以外には利用者はおらず、掃除は基本的に一人で行なっている。
クロヱに引っ張られてきた建太はそこへと連れ込まれた。
「っぶな〜、まさかあそこまで怒るとはな〜。カルシウム足りてないんじゃないかな〜w」
ヘラヘラと笑うクロヱ。悪びれる様子はない。
「そりゃ、毎日ああやって弄り倒してたらいつかはそうなりますよ……」
「え〜!? ケンタもかなた先輩の味方すんの〜!?」
大きな声を上げてこれみよがしに、ぷく〜っ、と頬を膨らませるクロヱ。
「いや、一般論ならそうなりますよ。かなた社長も言われ続けて溜まってたんでしょうし」
「ふーん、そっか。沙花叉の味方してくれないんだ〜」
だったらぁ、とクロヱが顔を間近に寄せてくる。ニヤニヤとしたその表情は間違いなく悪い事を企んでいる顔だった。
「今日は沙花叉のアソコ、使わせてあ〜げないっ」
そう言って、スラックス越しに建太の股間を撫で始める。手のひらで包み込むようにして二枚の布地の下に眠る大蛇を目覚めさせていく。
間もなく、それは一目で分かるレベルの布の隆起を引き起こした。
建太の呼吸が僅かに乱れる。クロヱは今度は耳元に唇を近づけてくる。
「せっかく早起きして来てあげたのにな〜、沙花叉の機嫌損ねなきゃこんなツラいことにはならなかったのにね〜w」
囁き声が鼓膜を振動させ、しかしそれ以上に建太の心をも動揺させる。
「う、うぅ……」
「そもそも早起きして来てほしい、って言い出したのはケンタの方だよね〜? 沙花叉とヤりたいから、ってね〜w」
「っ……」
建太は一切反論しなかった。否、できなかった。
社内でもクロヱと繋がり合いたい、と言っただけでなく、男子トイレなら使える、という提案までした。
ついこの前の週末、あの感触と興奮を建太は忘れられなくなってしまったのだ。
当然、剛直の根元にぶら下がる袋もずっしり重くなってしまっている。
「かなた先輩だけじゃなくてケンタも溜まってるね〜w、白濁した欲望がパンパンにここに溜まっちゃってる〜w」
ちょうど陰嚢の位置を撫で回してくる。スラックス越しなので大した感触ではないはずだが、それでも建太はのけ反ってしまいそうになる。
それを面白がるクロヱ。そしてさらに面白い反応を引き出そうと建太のファスナーを下げ、その中から膨張しきったイチモツを取り出した。増加した血流によって熱を帯びたそれは既に先端部から透明な糸引く液体が漏出している。
「
にちゅっ、にちゅっ、と粘り気のある水音が立つ。鼓膜から伝わるそれが射精欲を高めていく。限界まで太くなった剛直を扱かれる小さな手の感触もたまらなく気持ちいい。
けれども、クロヱは射精を許さない。遡ってきそうになるのを見計らって手を離してくる。
「はい、ここまで〜w」
思わず恨めしい視線を送るもクロヱはまるで意に介さない。
そして落ち着いたらまたゆっくりと手コキ。
それを繰り返され、建太は頭がおかしくなりそうになっていた。思考回路が性行為のことでいっぱいになり、怒張は苛立ちながら脈動する。その度に「悪いのはそっちだよw」と嘲笑ってくる。
そんな責め苦を受け続けてもうすぐ三十分。
始業時間が間近に迫った頃にクロヱはようやく建太を解放した。
勿論、生殺し状態で、である。
おかげで仕事は全く捗らない。勃起もまるで収まらない。常にテントが張られた状態だ。こんなのをかなたやAZKiに見せられるわけがない。
移動する際は上体を前に倒し気味にする、という奇妙な体勢を強いられ、下半身に二人の目が向かわないかハラハラさせられる。幸い、怪訝な顔はされたものの気づかれてはいないらしく、なんとか昼休憩を迎えることができた。
しかし、待っていたのは新たな責め苦だ。
休憩室にて珍しく四人揃っての昼食となった今日。建太から見て、テーブルの向かいには左にかなた、右にAZKi。
建太のすぐ隣にはクロヱ。
そして、向かいの二人からは死角になっているのをわかっている彼女は隆起した股間を絶えず撫でてくる。手のひらでそっと撫で回したり、肉幹を生地越しに摘んだり、揉みほぐしてきたりしてくる。
生殺し状態の建太にはそれらの刺激だけでも躱すのが難しい。射精欲を高められてしまう。けれどもクロヱとの関係を知らないかなたとAZKiが同じ空間にいる今ここでそんな醜態は晒せない。
額に汗が滲む。顔の温度が上昇していくのを実感する。
「……ん? どうしたの?」
異変にいち早く気づいたのはかなただ。ふと目が合った時、その瞳に明らかな疑問の色が浮かんだのがわかった。
「い、いえ……なんでも……」
「ふーん……けど金屋くん、ホントに大丈夫? ボクにはなんか様子がおかしく見えるんだけど」
「気のせいじゃないっスか〜? ねぇ〜新人くん?」
白々しくそう言いながらクロヱは手を止めない。それどころかファスナーを開けて中身を取り出し、直接手淫で責めてくる。指先を器用に使ってくすぐるように肉棒を弄ってくる。
「いや沙花叉には聞いてねぇんだわ。なんでおめぇが答えてんだよ」
「そりゃ可愛い後輩ですから〜、かなた社長の圧からは守ってあげないと〜」
などと言っておいて、先輩と社長が同席している場で手淫され、その上で射精を耐えなければならないというとてつもない圧を与えてくるクロヱ。
悪いのは百パーセントでクロヱなのだが、万が一ここで我慢しきれず暴発させてしまえば建太にもマイナスイメージがついてしまうことは避けられない。だから言い返すこともできず、ただひたすら耐えることしかできないのだ。
「だ、大丈夫ですよ……クロ、沙花叉先輩には、よくしてもらってますし……」
「ホントォ? 言わされてない?」
「本心、ですよ……ホントの、ホントに、本心ですっ……」
「疑ってんスかぁ、かなた先輩〜?」
「いやだってさぁ……ねぇ、あずちゃんはどう思う?」
話を振られたAZKiは、うーん、と首を傾げる仕草を見せる。
「どうなんだろ……まあ、いつもとは様子違うようには見えるかな。けどAZKi達からアレコレ掘り下げるのもあんまり、ね?」
気になることはありそうだが、AZKiはそれ以上追求してこなかった。かなたは少々不満そうな顔を見せるが、同時に休憩時間がもうすぐ終わることに気づく。
「あー、そろそろ仕事に戻らないとね。……金屋くん、もし沙花叉に何かされたらすぐボクに言いなよ? なんならあずちゃんにでもいいし」
「AZKi? ……まあ、AZKiが金屋くんの新人教育担当みたいな感じだったしね。悩み事とかあったら相談に乗るよ?」
「はい、ありがとう、ございますっ……!」
必死に取り繕う建太。下半身は暴発までのカウントダウンが始まっている。
「それじゃボク達は先に戻ってるから、二人とも時間だけは守れよ〜?」
かなたとAZKiは休憩室を出ていく。
二人にバレる危機が去り、全身の力が抜け始める。
けれどもクロヱは同時に建太の剛直から手を離した。尿道内を遡ろうと待機していた精液がじわじわと下がっていくのを感じた。
「射精はさせないから〜w、まだ沙花叉の機嫌直ってないからね〜w」
それじゃ午後もお仕事頑張ろっか〜、とクロヱは言う。
その口調には明確な嘲笑があった。
苛烈な寸止めを食らった建太は暫く立ち上がれず、クロヱよりも遅れて仕事に戻った。そして仕事自体も全然捗らなかった。
早く射精したい。溜まった分を思いきりブチ撒けたい。
この日の終業まで、そんな下心まみれの思考に建太は支配されることとなる。
◇
この日の勤務時間が終わり、オフィスルームのパソコンは全て画面が黒く沈黙している。社長のかなたも先輩社員のAZKiも既に帰路についている。
この室内に残ったのは建太とクロヱ。無論、残業というわけではない。クロヱがワイシャツもスカートも脱ぎ捨てて黒いランジェリー姿になっているのがその証拠だ。
「今日は一日大変だったね〜w、ずーっと勃起しながらお仕事だったもんね〜w」
嘲笑するクロヱ。彼女の視線の先ではスラックスも、その下のボクサーパンツも脱がされ、朝から今までバキバキ、ビキビキになったままのペニスを晒す建太がいた。
職場で下半身を丸裸にされた羞恥心はあるが、それよりも性行為への欲求の方が遥かに強い。セクシーな下着を纏ったグラマラスボディが眼前にあるのだから尚更だ。
「けどそろそろ本気でしんどいよね? だからぁ──」
クロヱは蠱惑的な目で建太の顔を覗き込む。
「今の沙花叉にナニしてほしいのか、はっきりと具体的に教えてくれたらその通りにシてあげるよ〜?」
建太の剛直がブンっ、と上に跳ね上がった。「チンポで返事してて草」とまた嗤われる。
「俺のを、クロヱ先輩の
建太はそう伝えた。しかしクロヱの反応にはまるで手応えがなかった。
「つまんな〜、そんなん普通すぎてつまんね〜。もっと具体的に言いなよ、沙花叉の『どんな』『場所に』建太の『どうなってる』『ナニ』を『どうしたいか』くらい言ってくれなきゃ願望は叶えてあげれないな〜w」
「そんなに具体的に……」
「嫌ならいいよ。一人虚しくシコシコしてれば〜?」
ペロリ、と舌を出して挑発的な笑みを見せつけてくるクロヱ。
建太は文章を考える。とにかく今は溜まりに溜まった欲望をぶつけたくて仕方がない。
そして、我慢汁を垂らしながら考えた新しい文章は完成した。
「クロヱ先輩の、濡れ濡れのマンコに……俺の勃起したチンポを
言いきった建太はクロヱの顔色を伺った。
ニヤニヤとした顔を見せつけ、そして
「不合格〜w」
ケラケラと嗤った。
「もっと具体的に描写してくれなきゃダメだな〜。じゃなきゃ沙花叉、ヤらせてあげないよ〜?」
そう言ってクロヱは壁に向かって両手を突き、尻を左右に振ってみせる。乳房と同じく良好に発育した白くて綺麗な尻たぶ、そこに挟まれた黒くて狭い布地が煽情的だ。
建太は思わず喉を鳴らす。目の前の桃尻をめちゃくちゃにしたい、という衝動に駆られる。それを理性で抑え込むがそれも長くは続かないだろう。
「そ…………それなら…………」
間歇泉のように激しく噴き出す欲情を形にするため、建太は新たな文章を口走る。
「クロヱ先輩の、濡れ濡れぐちょぐちょの……スケベマンコ、に……俺の……どうしようもないほど勃起したバキバキチンポを突っ込んで…………頭がおかしくなるくらい、犯し尽くしたい…………です…………!」
脳の容量を最大限使って作った卑猥な文章。これ以上のモノを考えろ、と言われたらおそらく無理だと建太は思った。
クロヱの判定を待つ時間が煩わしい。身体に対して直角に勃ち上がったペニスがずっとクロヱの尻、もっと言えば黒いショーツに覆われた秘裂を指し続けている。
「…………そうだな〜」
壁に手を突いたまま首を回し、クロヱが口を開く。
「それじゃあ…………合格、ってことで」
合格。
その漢字二文字の単語を聞いた瞬間、建太は弾かれるように飛びかかった。
黒ショーツを素早く引き下ろし、そこから現れる雌臭に満ちた淫穴に己の武器を突き立てた。
「あぁんっ!! ちょっ、いきなりすぎるって……!」
「朝からずっと我慢させられてたんだからこれくらい、いいじゃないですか……!!」
「だからって……んんっ、んちゅっ、ちゃぷっ、あふぅんっ……」
クロヱの唇を即座に塞ぎ、舌で強引にこじ開ける。二匹の蛇が交尾するかのように唾液まみれの二人の舌が絡み合う。
水音を立てながらバックでクロヱを責め立て、弾力ある豊乳は両手で包み込んで揉んでいく。下半身が溶けて一つになっていくかのような感触があまりにも気持ちいい。
クロヱの肉穴は
「クロヱ先輩……んっ、ふぅっ……もう、
自分でも早過ぎる気はしていた。けれどもこれだけ溜めさせられたらすぐに
しかしクロヱは、
「いいよ……沙花叉も、ケンタの精液欲しい……いっぱい、
すんなりと
それを見せられた男は理性を維持できるわけがなかった。朝から蓄積し続けていた劣情を建太は何度も音を立ててぶつける。クロヱが上げる嬌声も感情を煽り、欲望の炎を燃え上がらせる。
大きなモノが迫り上がってくるのを感じ、建太はそれを思いきり
「ふううぅぅぅぅぅ…………!!」
「──────────!!」
長く息を吐いた建太と、声にならない絶頂を迎えたクロヱ。
溜め込んだ、というより溜め込まされたり精液は一分近い時間
先週金曜日にホテルで嬌宴を愉しんだ時よりもずっと多量に吐精したことを視覚的に理解させられ、建太の剛直は射精直後とは思えない強度を維持している。
「いっぱい
クロヱは
「……美味し」
そう呟き、それから建太の汚れた剛直に舌を這わせる。
「綺麗にしてあげる」
玉袋から裏筋までの道のりをつぅーっ、と二回、三回、四回、と舐められる度に建太の身体は小さく震える。目を細めたクロヱの表情は形容し難いほどの艶かしさだ。
やがて裏筋だけではなく亀頭、そして肉幹をも咥え込んでいく。窄めた口を突き出し、頭を前後に揺らし、唾液を巧みに操って音を立てる。
クロヱが魅せる極上のフェラチオに建太は腰が抜けてしまいそうな感覚に陥る。後ろにあるデスクに体重を預ける。下半身がとても温かい。
下を向けばこちらを上目遣いで見つめてくるクロヱ。うっとりした表情を浮かべ、剛直を咥え込んでいる様がよく見える。
それだけではなく、クロヱが片方の手で陰部を弄っている。
あまりにも淫靡な光景。
どろどろ、と理性が溶けていく音がする。
「んぐっ!?」
クロヱが唐突に苦しそうに呻いた。
「んっ!? んふぅっ! んんっ! んぐぅっ!」
一度や二度ではなく、何度も呻き声が上がる。
「はぁっ……はぁっ……!」
その一方で恍惚な声を漏らす建太。
その建太の腕は斜め下へと伸びており、両の手がクロヱの頭を両側から掴んでいる。そして強制的に前後へ動かしていた。
クロヱの意志を無視して無理矢理に喉奥まで咥えさせ、その口をまるでオナホのように使う征服感。それがたまらず、建太は表情を蕩けさせる。
「んぶっ! んくぅっ、んぐうぅぅっ!」
性欲処理の道具に使われているクロヱの声は苦しそうではある。しかし秘裂を弄る指の動きは一層活発になっており、奥から精液混じりの淫蜜がこんこんと溢れ出ている。まなじりを下げている表情から読み取れるのは苦悶ではなく、むしろ興奮だった。
「あー……ヤバいっ、もう
そう呟き、咥えられた剛直の根元にクロヱの頭を押しつける。そして遡る精液を遠慮なく喉奥へと吐き出す。
「んぐぅっ!! んふぅっ、んんんっ!? んんんんんっ!!」
強制的に精飲させられ、クロヱは強く呻いた。絶倫な建太の平均以上の射精量を直接胃に流し込まれてはこうなるのも無理はない。
それを
「ク、クロヱ先輩……俺……」
すいませんでした、と謝ろうとした時、
「強引だなぁ……なら沙花叉も反撃していいよね〜?」
舌なめずりを一つすると、
「えいっ!」
建太は後ろへと押される。不意を突かれた形の建太の脚はよろめき、もつれ、尻餅をついて後ろへと倒れる。絨毯の繊維が僅かにその衝撃を和らげた。
そしてクロヱは屹立する剛直の上に跨り、淫汁を垂らしながら腰を落としていく。ぬぷぷっ、とそれは飲み込まれていき、媚肉に包まれることによる熱く抗えない快楽を発生させる。
「はぁっ…………今度はケンタのこと、騎乗位でた〜っぷり責めてあげるね」
そう宣言すると、クロヱは腰をグラインドさせ始める。結合部を中心に円を描くように動いて満遍なく肉棒を刺激し、煽情的な腰使いで視覚的に建太を誘惑する。決して動きが激しいわけではないが、その様はあまりにも妖艶だった。
「ふぅっ……うぅっ……あぐっ、ハァッ、ハァッ……!」
「あれ〜? 余裕なさそうじゃ〜ん? もっといろいろしたくなっちゃうな〜w」
クロヱは前屈みになり、建太の上半身を纏うワイシャツのボタンを一つずつ外していく。それからその下の肌着を捲り上げて素肌を暴き、その下から現れた二つの小突起に指を置いた。
「ハァッ、それはっ……うくぅっ、おぉっ……!」
捏ねくり回される乳首。以前クロヱにやったことを今度は建太がされている。性器に伝わる快感と混ざり合い、建太は情けない喘ぎ声を上げさせられる。
「アハッ、どう〜? 気持ちいいでしょ〜、乳首こねこねされるの〜w」
むず痒いようなくすぐったいような、そんな感触を常に与えられることで感じてしまう。自分で触っても対して気持ちよくもないのに、性的行為の場で、他人に触られるだけでこんなにも変わるのだと思い知らされる。
しかしクロヱによる乳首責めはまだまだ終わらない。
「せっかくだしペロペロしちゃお〜w」
今度は指の代わりに舌先でクリクリ、と転がしたり、舐めたり吸ったりしてくる。空いている方の乳首も指責めされて快感を逃させてはくれない。
それだけではない。乳首を舐めるということは、クロヱの身体は建太と並行になるように約九〇度倒さなければならない。そうなると必然的に腰は浮いてしまう。
ではその腰はどうなっているのかというと、大きく上下しながら建太の剛直をピストンしている。にゅちゅっ、じゅぷっ、という卑猥な水音と身体同士がぶつかり合う音を奏でながら肉壺で肉棒を扱き上げていた。その様は第三者がいれば捕食者と被捕食者にしか見えないだろう。
「乳首コリコリ〜w、感じてるんだ〜w」
長い舌を操りつつ、快楽に悶える建太の表情を眺めて悪い笑みを見せるクロヱ。ただ舐めるだけだは終わらず、小さなそれを柔らかい唇で挟み、ちゅーちゅー、と吸いついてくる。
「クロヱっ、先輩ぃ…………気持ち、いいっ…………!!」
苛烈な責めに耐えかね、降参するかのように声を漏らす。けれどもそれで「はい、わかりました」となるわけがない。
「じゃあもっと、あぅんっ、イイコトしよっか〜w」
乳首から舌を離すと、クロヱは口の中をもごもごさせ始める。じゅる、じゅる、という音を何度も何度も、建太に聴かせるように鳴らす。
「口、開けて」
耳元で囁かれ、まるで魔法のように素直に従う建太。
その口腔の直上から粘性を持つ泡立った透明な液体がたっぷりと垂れ落ちてくる。
それはクロヱの舌を伝い、あるいは大きく開いた口の端からとめどなく滴ってきていた。
唾液に味があるのかどうかはわからない。しかし建太にはそれが甘いものに感じられた。
二人の顔の距離はだんだんと縮まっていき、やがて唇、そして舌同士で密着し合う。何かを意識したわけではないが建太は腕をクロヱの胴体に巻きつかせていた。
「んっ、んっ、じゅっ、じゅるるるっ……」
「ハァッ……んじゅるるるっ、んぷぅっ……ちゅうぅぅぅっ……」
仕事場の床の上で裸になり、性欲という原始的な欲求に忠実になる二人。昂り続け、お互いの性器も絶頂の気配を感じ取って雌雄の淫汁を多く分泌していく。
「ケンタ……そろそろ、イク……!」
「俺もです、クロヱ先輩っ……!」
そして一緒に床の上で共に昇り詰めていった。ドクンッ! ドクンッ! と色も遺伝子も濃い精液をたっぷりと注ぎ込み、クロヱはそれを直接感じながら甘くて強烈な痺れに酔い痴れていた。
「もっとっ、ケンタもっとぉっ」
まだ物足りなさそうな顔をしたクロヱが求めてくる。建太は一旦彼女をどかし、ワイシャツと肌着を脱ぎ捨てる。それから就業時間中にいつも使っているオフィスチェアに座り、まだ天井を指し続けるモノが聳り立つ、その股座に乗るよう促す。
「ケンタっ、ケンタっ……あぁんっ、ケンタのチンポ大好きっ……!」
「クロヱ先輩のオマンコもすごくイイですよ……熱くてぬるぬるで、気持ちいいっ……」
「ケンタ……んちゅっ、じゅるっ、れろれろぉ……」
「ふぅっ、おぉっ……ちゅっ、ちゅっ、んぢゅっ……」
椅子の上で裸になり、抱き合いながらディープキス。クロヱの腰も前後左右、小刻みに動いている。
お互いの身体に夢中になって性悦を享受する二人。
ガチャッ。
二人が現実に引き戻したのはそんな無機質な物音だった。
バケツいっぱいの冷や水をかけられたかのように盛り上がりが冷め、二人は音がした方を同時に見る。
「沙花叉…………? それに、金屋くん…………?」
信じられないモノを見た、といった表情を顔に貼りつけた、二人の先輩社員がオフィスルームの入口で立ち尽くしていた。
「え…………?」
「あ、AZKi先輩…………?」
空気が固まり、時間が凍る。
お互い暫く動けずにいる。
状況把握とそれへの対処に時間がかかっている。
建太が口を開こうとした。しかしそれより数瞬早くAZKiが動く。
建太とクロヱを視界に入れず、彼女はいつも仕事で使っているデスクへ足早に移動。そこで何かを探す。そして目的の物が見つかると二人を一瞥もせず、逃げるように立ち去っていった。
おそらく、何か忘れ物でもしたのだろう。
しかし、今はそんなことどうでもいい。
明日からどんな顔をして出社したらいいのか。建太には答えがまるで浮かばない。
助けを求めるようにクロヱを見る。しかし首を傾げ、顔を背けられた。
「……どうしたもんかな〜」
彼女の呟きは虚しく空気にかき消されていった。
窓の外は既にとっぷりと日が落ちていた。