世界最強の魔女、無様敗北の末に敵国に捕まって魔女裁判で有罪になる。残りの人生は苗床として一生子宮を使われ続けるようです。 作:破戒僧
帝国では、魔女を『苗床』にして魔法兵士や軍用魔獣を産ませて増やす方策をはじめ、非人道的と後ろ指を指される……どころではない過激な研究が平然と行われている。
全ては帝国の国益に沿うものであるため、帝国が世界を統一する助けとなる技術であるため、それを殺し文句に、人道も倫理も脇に置いておかれて、公に認められた研究としてそれらは行われている。
しかし、そんな帝国ですら表沙汰にはしない、過激という言葉すらぬるい研究も、公にされない闇の中では行われている。
そして、それらの研究を行うのは……こちらも存在自体が秘匿されている、帝国直属の研究機関の者達だった。
今の皇帝が、80をゆうに超える高齢でありながら、まだ30代かそこらにしか見えないほどの若さを保ち、活力をみなぎらせているのも……その研究機関が作る、若返りの秘薬によるもの。
そして、その秘薬を作るために、魔女を含む数多の人命が『消費』されていることを考えれば、決して表ざたにできないのも納得できるだろう。
そして、その研究機関が今、一番力を入れている……というよりも、数十年前から最重要目標として開発を続けているもの。
それは……『不老不死』である。
この世界において『不老不死』とは、一部の亜人の中で、魔力の扱いを極めた者のみがたどり着くことができる境地であり、人間には決して手の届かない領域だった。
文字通り年を取ることがなく、死ぬような傷を受けても死ぬことはなく、時間をかければ回復……あるいは『再生』する。
単なる『再生能力』とは明確に違う。首をはねようが体がバラバラに爆散しようが、肉片1つ、骨の欠片1つ残さず消滅しようが、死ぬことはない。魂だけの存在となって、時間をかけて肉体を再構築し、復活できる。
生きとし生けるものはいつか必ず死ぬという、世界のルールから逸脱した……あるいは『死ねない』『死ぬことを許されない』存在。それが真の『不老不死』だ。
帝国の現皇帝・レガリアは、この力を強く欲した。
権力者に限らず、多くの人は自分の死を恐れるものであるし、それも理由の1つではあったのだが……皇帝には、自分が帝国の、いや世界の、唯一絶対の頂点たる存在として永遠に君臨し続けるという野望があり……そのために、永遠の命を欲していた。
しかし、皇帝は人間。本来のやり方でその境地に至ることはできない。
幸いにも、帝国の研究機関によって『若返り』までは手にすることができたため、それによって時間を稼ぐ間に、真の『不老不死』を手にすることを望み……数年前には、その強力な助けとなる、最高の研究材料を手に入れた。
『黒の女王』と呼ばれた、世界最強の魔女……本物の『不老不死』を持つ存在を。
マリーを苗床にして帝国の戦力の強化を進める傍ら、ひそかに研究機関の者を動かし、研究を進めさせた。
マリー自身の体や体液、産んだ魔物を分析させて研究を進めさせ……彼女が生んだマンドレイクなども素材として活用し……『不老不死』の薬は、ゆっくりと、だが着実に完成へと近づいていった。
☆☆☆
10年。
マリーが帝国に捕まり、『牧場』に入れられてから……10年が過ぎた。
相変わらず、マリーは『苗床』として、様々な魔物や、時に魔法兵士の補充を産み落とす日々を送っていたが……その、彼女が産み落としたもの達に関して、ここ最近、ある変化があった。
変化と言っても、彼女や彼女の周囲が何か変わったわけではない。変化した、ないし、変化をもたらしたのだ。彼女がかつて生んだもの達が。
結論を言ってしまえば……ここ2~3年ほどの間に、彼女が生んだ『魔法兵士』や『軍用魔獣達』が、訓練や調教の期間を終え、戦場に投入され始めたのである。
魔女が生んだ『魔法兵士』は、薬品や魔法によって成長を促進され、約5年で戦える体格に成長する。そこからさらに必要な訓練や、知識の面での教育を積んで、およそ7年~10年で、戦場投入が可能な『魔法兵士』として完成する。
帝国の『調整魔法兵士』は、小規模な戦線であれば、1~2人投入されるだけで選挙区を一変させてしまうほどの戦力である。
『スカイクラッド』の魔女などの、構成員全てが突起戦力級の者達の前でこそかすんでしまうが、魔法戦力を有しない、あるいは乏しい小国や、大国であっても小部隊規模の者達にとっては、十分に脅威となる存在なのだ。
それが例え……『一般的な』魔女から生まれたものであっても。
そして、そこにおいて……マリーという、『世界最強』とまで言われた魔女の胎から生まれ落ちた『調整魔法兵士』はというと……正しく『格』が違った。
「この1ヶ月で、小国が3つ落ちた。小国とはいえ、地の利を生かした戦術や、そこに住む亜人達との連携で、我ら帝国の進軍を上手く阻んでいた者達が……たったの1か月で3つ、大した被害もなく落とすことができた」
帝国軍の会議の場で、進行役が淡々と話す。
会議には、軍人だけでなく、占領後の統治などを担う政治分野の担当者達や、各分野の研究者、そして『牧場』の職員の代表者達も参加していた。
理由は簡単。彼ら全員にかかわりのある話が、今から行われるからだ。
「今回投入されたのは、『黒の女王』を苗床として使って産ませた魔法兵士のうち、初期に生んだ者達数名。つい最近、教育課程が完了して、戦場投入が可能になった者達です。事実上、これらの国家との戦争が初陣となったが……」
「これまでの『魔法兵士』とは一線を画す戦力ですな。まさに、一騎当千だ」
「火力はもちろん、継戦能力や、生命力・回復力、各種攻撃への耐性……どれをとっても従来の基準を大きく上回る。大人と子供……いや、それ以上の差だ」
「『魔法兵士』だけではない、『軍用魔獣』もだ。体の大きさなどはさして変わらないのに、魔力や知能のレベルが大きく違い、きちんと調教すれば、最小限の命令でこちらの意をくみ、最高効率で敵を殲滅するとある。ははっ、中に人間でも入っているのか?」
「他の低位の『軍用魔獣』を統率することすら可能だとか……これは、冗談抜きに戦場が変わる」
マリーが生んだ『魔法兵士』や『軍用魔獣』がロールアウトされ、帝国の各方面への侵略は、より激しさを増して展開されていた。
会議の中で話されていた通り、マリーの魔力を受け継いで誕生したそれらの戦力は、それまで帝国軍が運用していた者達のはるか上を行く性能を持っていた。
それだけに、洗脳教育や調教には細心の注意を払う必要があったものの、『完成』したそれらの有用性は、最早議論の余地がないほどだった。
それまで帝国が苦戦していた戦線に投入されるや否や、あっさりと敵の抵抗を食い破って、次々に屍の山を築き上げ—―あるいは屍すら残さず消し飛ばし――道を切り開いていく。
その圧倒的な力に、帝国軍の者達は歓声を上げ、それに懸命に抗っていた者達は絶望した。
「欠点らしい欠点と言えば……燃費、でしょうかな。『黒の女王』から受け継いだ力を十全に振るうには、相応の『肉体』が必要で……それを維持するには、これまた相応の栄養が……食料が要るようだ」
マリーが生んだ兵士や魔獣は、マリーの……『黒の女王』の力を、一部とはいえ受け継いで生まれてきた。そしてそれは、一部だけであってもすさまじい力を発揮するものだ。
すでに何度も会議の場で話されているとおり……戦況を一変させるほどに。
しかし、それを支える肉体は、魔女ではなく、人間や各種族の魔獣のもの。受け継いだ魔力の大きさに比して、調整・強化されているとはいえ、それでもアンバランスとしか言えなかった。
人間ではありえない、扱いきれない魔力を、人間の体が無理やり持たされているようなもの。
無論、持って生まれた者には違いないのだから、それを持っているだけで害になったり、扱えないということこそないのだが……その大きすぎる燃料タンクと、それを十全に使いうる機能面を維持するのに……維持するだけで、相応のエネルギーが要る。
相応の栄養を取って、肉体のポテンシャルを維持している必要がある。
ゆえに、今言われたとおりの唯一の欠点として、食料を多く消費する、燃費の悪さがあった。
もっとも、兵士数人から十数人分の食費で、数十人分、下手をすれば数百人分の戦果を挙げることを考えれば、決してコストパフォーマンス的に『悪い』わけではないのだが。
兵士以上に問題になるとすれば、同じく大喰らいの『魔獣』の方だ。調教されているとはいっても、文字通り獣であるため、『食欲』という本能に忠実であり……食料が足りなければ、へそを曲げて言うことを聞かなくなる……程度で済めばまだいい。
なまじ、普通よりも高い知能を持つからこそ、『待遇に不満を持った』時にどういう形でそれが現れるかが恐ろしい。
故に、兵士はもちろん魔獣の方にも、戦闘中・作戦行動中のみならず、待機状態の時も合わせた常時、彼らの『維持管理』に気を使っておく必要があった。
「まあ、別に食料が足りなくなるほどのものではないし……きちんと管理していればいいだけの話だ。帝国の兵站機能であれば、特段問題はありますまい」
「ですな。ただ、それらも決して常勝無敗というわけではないようで……それを超える実力を持つ者達相手では、狩られてしまっています。主に、『スカイクラッド』の魔女や、それに準ずる戦闘能力を持つ者達に」
「それは仕方あるまい。『黒の女王』本人ではないのだ……力の強弱はいかんともしがたいし、不老不死というわけでもないのだから」
「今後は、そう言った特記戦力を有する勢力との戦いも増える……こちらが『黒の女王』が生んだ魔法兵士を投入すれば、それを察知してそれを討ち取り得る戦力を……いやむしろ、そのために戦力を差し向けてくることでしょう。情報戦や駆け引きも重要になってきますな」
「そのあたりの運用は参謀本部が考えることだ。そしてその運用・戦略の幅を広げるためにも、引き続き『苗床』には産んで増やしていってもらわねばなるまい」
「では、『黒の女王』自体の運用については、これまで通りということで……」
☆☆☆
「……気が滅入ります」
所変わって……こちらは、『スカイクラッド』の本拠地。
部下達や、同盟国各国から上がってきた報告の書類を前にして……盟主であるクレアは大きなため息をついていた。
今までに確認されていた『調整魔法兵士』や『軍用魔獣』よりもさらに強力なそれが、各地の戦線で……数は少ないが確認され始めている。
一応、『この事態』を予想して備えていたために対応はできているが……とうとうこの時が来てしまったことに、クレアは色々な意味で、今言った通りに気が滅入っていた。
意見を聞くために呼び出されたマリアンヌは、それらを見て、クレアとは対照的に、特に何か思う様子もなく言う。
「間違いなく、マリーの胎を使って産ませたものだな。時期も合う。予想はしていたが、やれやれ……厄介なことになった」
「相変わらずさらりとおっしゃいますね、マリアンヌ殿……あなたの娘が尊厳も何もかも凌辱された証なのですが。もう少し思うところはないのですか?」
「思ったところでどうしようもないだろう。私が不安に思ったところでこいつらが弱くなってくれるわけでも、あの子が助かるわけでもない。悲しむな、悔しがるなとは言わんが……そればかり考えていても意味はない、今我々にできること、やるべきことをしなければなるまいよ」
「それはわかっていますが……そういうあなたは何やら最近、部屋に引きこもってばかりのようですが、何か大事な仕事でもなさっているのですか?」
ここ最近、同じ『拠点』に住んでいるというのに、ほとんど会って話すことがなくなったマリアンヌにそう尋ねるクレア。
クレアだけではない。他の部下達もそうだった。マリアンヌは、ここ数か月、いや数年……この拠点の誰ともほとんど合わなくなり、自室に引きこもって何かをしている。そしてその引きこもっている時間は、年々長くなってきている。
何をしているのか、聴いてもはぐらかし、答えてはくれない。
「ああ、しているとも。大事な、大事な仕事だ……というわけで、私はそろそろ失礼させてもらうぞ。用があるなら後にしてくれ。具体的には夜以降にな」
そう言って盟主の執務室を後にするマリアンヌ。
(……本当に、部屋で1人で、何をしているのかしら?)
彼女がつかみどころがないのは、今に始まったことではないが、ここ最近は特に、何をしているのか、どういう意図なのかがよくわからない。
信頼はしているが、もう少しきちんとその意図やら何やらを話してほしい、と内心思いつつ……しかし仕事も溜まっていて手を動かさないわけにはいかないクレアは、何度目かのため息をついて、マリーが出て言った扉から、自分の手元の書類に目を移し、ペンをとるのだった。
☆☆☆
会議の場で、あらためて『苗床』、ないし『資源』としてその運用方法を議論されていたマリーは……また1つ、帝国にとって『戦力』となるものを産み落とすところだった。
ベッドの上。今回は特に固定・拘束などはされていない。
うつぶせに寝た状態で膝だけを立てて……お尻を上に突き出しているような、戦場的な形になっていた。腕を立てて四つん這いになっていないのは、そこまでの余裕はなかったから。
「ふぅ、ぅっ……くぅ……んんんっ!!」
突っ伏した顔をベッドに押し付け、シーツの布をかみしめながら、下半身に力を入れて……雑な言い方をすれば、力んで、踏ん張っている。
当然のように全裸で、膣口は丸見えで……それが、力むのに合わせてゆっくりと開いていく。
その奥から……つるりとした『卵』がゆっくりと姿を見せた。
産道を通って、最後に膣口に引っかかっていたところを、マリーは最後の一押しとばかりに力んで見せて……ぽん、と音が出そうなくらいに、きれいに産み落とされた。
息荒くして突っ伏す美女の股間から、握り拳よりも大きなタマゴがひりだされるという光景は、異常と言えば異常だが……芸のように見えなくもない。
俗に『まな板芸』などと呼ばれるものの中には、このように、人間が産卵するような『芸』を披露するものもある。もちろん、本物の卵ではなく、あらかじめ膣内に仕込んでおいたもので。
マリーの場合は……本物の卵であるが。
先の『触手生物(テンタクルス)』の時と同じである。未成熟な卵を子宮内に産み付けられて、子宮の中で魔物の卵が育っていったのだ。
というより、今回も使われたのは『触手生物』だった。あの触手は、卵生の魔物をマリーに、ないし『苗床』に産ませる際に使われる代替交尾装置であるらしい。
そして、産ませることができる卵は、魚やタコなどの水生生物に限らず……今マリーが生んだ『コカトリス』の卵のような、鳥系の魔物の卵も可能なようだ。
「ぅぅううぅう……っ! ふぐ……っ!」
続けざまに再度力むマリー。下腹部に力を入れて、子宮内にあるものをぐぐっと押し出すように……膣肉にも意識して力を入れて、外へ、外へ、肉壁を動かして押し出していく。
やがて顔を見せた卵が、またしても子気味よく、ぽん、と中からひりだされてベッドに落ちる。
落ちた卵は、すぐさま立ち会っている職員が回収し、ケースに入れていった。
「まだ胎内に卵はあるか?」
「はぁ……はぁ……あ、あと1つか、2つ……」
「そうか、早く産みなさい」
淡々とそう返し、早く仕事を終わらせろと命じる職員。
その指示に従って、マリーは3度目、4度目の力みを経て……子宮内にあった卵全てを無事に産み落とした。
子宮内が空になった感触と同時に、マリーは崩れ落ちるようにベッドに寝転がった。
仕事(出産)は終わっているので、職員は何も言うつもりはないらしい。卵だけを回収して、さっさと部屋を後にする。
「しばらくしたら検査を行います。それまでは寝ていてよろしい」
そう言い残し、マリーからの返事も聞かずに、部屋から出て行った。
そのまましばらく、マリーはベッドの上で体を休めていた。
息は割とすぐに整い、落ち着いた様子で、姿勢を変えて仰向けになる。
職員が置いていった布を使って、股間や太もも……出産の際に愛液その他で汚れた個所をぬぐいながら、精神的な疲労がまだ少しあってぼんやりした頭で考える。
(この間もそうだったけれど、卵で産むタイプの魔獣は、割と産むの楽ね……お腹の中で赤ちゃんが暴れないから、かも。ミノタウロスやヒポグリフの時は……死ぬほどボコボコ体の中で蹴って暴れて、散々だった……気持ちよかったけど。……それにしても)
ふと、マリーはここ最近気になっていることを思い出した。
やっていることはいつもと同じ。『種付け』された魔物を育てて生む、それだけなのだが……
「最近、私が産まされてる魔獣……何に使うのかしら? 戦闘向けじゃないものが多いような……」
普段は、『ミノタウロス』や『ヒポグリフ』などの、戦闘ないし軍事行動に適した魔獣を孕まされて、産んでいる。これらについては、単純に戦力にするつもりなのだろうとすぐにわかる。
しかし最近は……魔法薬の原料になる『マンドレイク』や『アウドムラ』はともかくとしても……今産んだ、石化の呪毒を持つ鶏『コカトリス』や、猛毒を持つが大人しい蛇『フープスネーク』。
以前に産んだタコのような稚魚のあれは『シービショップ』だろう。高い魔力を持つが、大人しい上に水棲で、軍事利用はしづらいはずの魔物である。
明らかに戦闘用でない魔物を産まされることが増えている。
魔女という『苗床』の利用用途は、あくまで戦闘用の兵士や魔獣を産ませることのはず。マリーのような、強力な魔力を持つ者の場合は、特に。
そうしないのであれば……確実に何か理由があるはず。それは何か。
しかし、マリーには考えてもわからなかった。
孕まされて、産むことしかできない身。ここ10年、この施設から外に出ることができておらず……外の情報も何も皆無。
……ましてや、その答えが……帝国が極秘に研究している『秘薬』の材料として、というものなのだから……いくらマリー自身が、魔女としては博識な知識を持っているとしても……予想など、しろというのが無理な話であった。
☆☆☆
「報告いたします、皇帝陛下。軍部より報告があり、先に攻め落とした小国の1つに、ご消耗されておりました素材が保管されていたのを確認、押収したとのことです」
「ほう、そうか! それでは……ついに、必要なものが揃ったのだな?」
「はい、後は……調合し『熟成』して、薬として完成させるのみとなります。ただ、その際の『作り方』と『使い方』につきましては、常の『若返りの秘薬』と同様になりますので……」
「うむ、構わん。『触媒』にはどれでも好きなものを使うがいい」
「はっ。それでは今回は、特に薬効が強力になりますので……最も力のある『苗床』を使わせていただいても……?」
「構わん。それによって我が目的が達成されるのならば、な」
「ははっ……必ずや!」