スーパーロボット大戦OG淫呪伝~逆襲のテンザン~ 作:真田クロ:B=Lack
神聖ラングラン王国リストン州の人里離れた場所にある、オリハルコニウム輸送中継用貯蔵基地にて。
その日の夜半過ぎ、普段は輸送が行われる時以外は静かなこの基地が、警報と爆音が鳴り響く大騒動になっていた。
「夜襲!? 敵の襲撃だとッ!? 一体どこの馬鹿が攻めて来たというのか! オリハルコニウムは国際条約で分配が定められていて、我が国が独占しているわけではない! ここを襲撃するのはラ・ギアス全土を敵に回す事と同じなのだぞ!」
「それが、ジャミングが酷い上に、高度な隠匿魔術も使われているようでして、襲撃者の正体が未だ判明しておらず……司令、今情報が入りました! 襲撃者は正体不明の黒い機体が2機に、デ、デモンゴーレムが多数の模様!」
「デモンゴーレムを統率している!? ちっ、つまりはヴォルクルス教団の手の者という事か。ならばこの暴挙もうなずける……この基地には十分な戦力が配置されてはいるが、相手が邪教徒共では戦力の実態が図れん。一応、周辺基地にも救援を要請するのだ!」
「駄目です! ジャミングは精霊レーダーや各種観測機以外に、通信にも及んでおり、これは……まさか、遮断結界!? 王都への最重要直通回線まで、完全に遮断されております!」
「なっ……直通回線は最重要機密で、情報なしに回線を保護している魔術を破るなど……そ、そこまでの術師が居ると言うのか!? もしくは、内通者か……『背教者クリストフ』の例もある。今の時代、軍や政府の上位者であっても、邪教徒に汚染されている者が絶対に居ないとは言えぬか、クソォ!!」
正解はその両方である。元からラ・ギアス一と目されるほどの電子情報戦能力の持ち主であったセニアが、今や『ダークブレイン』の力の一端を引き継ぎ『闇の叡智』まで手にしているのだ。その上彼女は、王都とのホットライン回線のセキュリティ内容もある程度は把握している。故にセニアにとってはこの程度の結界構築は造作もない事であり、ついでに周囲に一切情報を漏らさない為の広域隠匿結界ですら、瞬く間に築いてしまっていた。
「敵がそこまで周到に準備しての襲撃となれば、こちらも覚悟せねばなるまい。ともかく、全力で迎撃しろ! 確か近衛の見習いも研修でこの基地に来ていたな。そいつらも動員して、他の基地からの救援が来るまで時間を稼ぐのだ!」
「「「ハッ!!」」」
重要拠点を任されているだけあり、基地司令の判断は的確であった。
しかし、その襲撃者はラ・ギアス史上でも一二を争う程の邪悪で悪辣な者たちであったというのが、彼らの不幸に他ならなかった。
「照準はバッチリ! そこねぇ♪」
ズキュゥーーーーーーンッ!!
ドゴォオオオオオオンッ!!
セニアの操る漆黒に紫のオーラ輝く呪装機『ノルス・ヴェノム』の放つビームに撃ち抜かれ、基地警備隊の魔装機『ルジャノール改』はあっさりと爆散した。
夜闇の中で赤々と燃える大破した機体から上がる炎と、黒い機体のアイカメラバイザーやその手に持つ武装などから漏れる紫紺の光が、不気味に基地の外壁を照らしている。
「やった、また命中! あぁん、ビームライフルっていいわぁ~♥ テンザン様のアドバイスのお陰もあるけど、ブラス・ナックルより遥かに当てやすいんだもん♪」
(まぁ、そりゃそうだっての。あんな欠陥兵器でちゃんと当てろってのがそもそもの話、無理難題なんだよなぁ……セニアの奴、今まで可哀想に)
今までにない活躍が出来て喜ぶセニアに対し、複座型に改造されたコックピットの背部側に座り射撃の指導をしていたテンザンは、かつての彼女に対し内心で同情していた。
改造前の『ノルス・レイ』は王族用機体だけあって各パーツは文句なく一級品だが、設計自体が古すぎるせいでスペックは低く、セニアの得意とする『ナノマシン散布による機体修復能力』以外はほぼポンコツと言っていい代物であったのだ。
そんな機体で健気にエースパイロットを目指していたと思うと余りに不憫で、自分のメスになったという愛着もあり、セニアの育成はちゃんとしてやろうと改めて心に決めたテンザンであった。
「射撃の基礎は出来ているみたいだな。筋も悪くないっての……てか、あんなポンコツ兵器で頑張っていただけあって、相手の動きを読んでの偏差射撃は大したもんだ」
「ほんの一時期だけど、手持ちのリニアレールガンを装備してる『ジャオーム』に乗ってた時とか、私でもそこそこやれてたもん。まぁそれも結局、私の魔力とプラーナが低すぎて正魔装機に乗るとすぐにへばっちゃうから、レギュラー操者にはなれなかったんだけどね……」
「ホ! そりゃあ魔装機自体が、そもそも欠陥兵器っつー事だっての! だが今のノルスは弱点を克服し、長所は残ってる状態だ。これまでより遥かにやれる事は多いだろう。
今後お前用の機体を作る時の参考にもなるし、今回はお前の好きなように暴れて、いろいろ経験を積んでみろっての!」
「了解よ、テンザン様♥ じゃあ、今度は近接戦闘を仕掛けてみるわ! って言っても、C級にも満たないルジャノール相手じゃ、大した練習にならない気がするけど」
「あのザコ機体、デモンゴーレムにも勝てないもんね~。あたしもせっかくお兄ちゃんに砲撃戦のコツを教えてもらってるのに、これじゃ張り合いなさすぎだよぉ」
基地の夜間哨戒をしていたのはD級魔装機に分類される、元々が土木作業用の機体を改造して作られた急造兵器の『ルジャノール改』であった。魔装機の作られた黎明期でならぎりぎり通用する程度の性能であり、十分に実戦に耐えうるレベルのC級分類である量産型魔装機が各国に配備されつつある今、完全に時代遅れの機体となっている。国内の重要設備にも拘らず、ラングランが未だそれを運用せざるを得ないのは、やはり滅亡寸前にまで追いつめられた先の大戦の影響が色濃く残っているからだ。
だが、襲撃者がこの国の懐事情に対し、配慮をしてやる理由などあるはずがない。彼らは哀れな弱小機体たちを容赦なく、圧倒的な性能差で瞬時に殲滅させてしまっていた。
「おっと、流石に重要拠点だけあって、まともな機体も出てきたみたいだぞ。こっからが本番だっての、気合入れろよ、俺様のメス奴隷たち!」
「「はいっ、テンザン様ぁ♥♥」」
スクランブルによって基地内格納庫から出てきたのは、カーキ色の鋭角なフォルムを持つ尻尾と翼の付いた魔装機『ガディフォール』と、モスグリーン色の丸みのあるフォルムで肩部にリニアレールガンを装備した『ブローウェル』、ラングラン軍の正規量産型魔装機が2種。それぞれが5機ずつ、合計10機が百邪淫の眷属機とデモンゴーレムたちの前に現れた。
「うんうん、出てきた出てきたぁ♪ 前衛の『ガディフォール』はセニアさんとデモンゴーレムに任せるから、あたしは砲撃で後ろの『ブローウェル』を潰していくね!
んふふふ、お兄ちゃんの『淫呪』の力でパワーアップしたあたしの『ディアボロス』に、所詮は『ディアブロ』の量産型であるブローウェルなんかじゃ相手にならないって、思い知らせてあげないと♥」
「ええ、任せなさい! まぁデモンゴーレムを召喚したのは私だけど簡易的な命令しか出来ないから、適当に暴れさせてるだけなんだけどね。
でも、C級魔装機相手なら多少の時間稼ぎにはなるだろうし、その間に数を減らしていくわよ、プレシア♪」
実体片刃剣『アサルトブレード』を改造した紫のオーラを纏う『デモニックブレード』を抜き放ち、正面に構えるセニアの『ノルス・ヴェノム』。
元々の『ノルス・レイ』は甲冑を着た天使のような、神聖さを感じさせる美しい姿の魔装機であったが、眷属機となった今は白と緑であった装甲が
「そぉれッ!」
漆黒の堕天使はこれまでのノルスに無かったスピードで一気に距離を詰め、警備隊のガディフォールに対し袈裟切りの一撃を放つ。
ガキンッ!
『なんの! そんな小型の機体で、このガディフォールに……!』
重要拠点に配属された正規兵の技量は伊達ではなく、ガディフォールはその手に構えた実体両刃長剣『ディスカッター』でセニアの鋭い斬撃を受け止めていた。そしてそのままつばぜり合いに持ち込み、機体の体格差を活かしてノルスを押し込もうとする。
だが、邪悪な力で強化された眷属機相手に、その思惑は外される事となる。
『む、うぉおおっ!?』
「はん! 今までの私とは魔力が、出力が違うのよぉ! やぁああああああああっ!!」
ガコンッ! ザァアアアアアンッ!!
『な、なんだっ!? パワーが、違いすぎるっ!?』
ノルス・ヴェノムはその小柄な機体に不釣り合いなパワーを発揮し、つばぜり合いをしていたガディフォールの剣を出力差で無理矢理かち上げ、剣を弾き飛ばされ隙を晒した守備兵の機体に返し刀の一閃を振り下ろす。魔剣による斬撃は紫に煌めく軌跡をガディフォールの肩口に刻み、その片腕は鮮やかな断面と共に斬り飛ばされていた。
「いいぞセニア、パワーの差を上手く活かしてるっての! だが踏み込みがもう半歩足りねぇ、あれじゃ致命傷になってねぇから、もっかいアタックだ!」
「まだ慎重になり過ぎてたって事ね! 了解よ、テンザン様……次は、一撃で決めてやるわ!!」
(セニアは思ったより優秀だったが、流石に正規軍相手に一対多数を捌き切れるほどじゃねぇし、デモンゴーレムを用意させておいて正解だったな。つか、電子情報戦とかそれ以外のサポート系能力がずば抜け過ぎてて、ぶっちゃけパイロットとしての能力なんてこの程度で十分と思えるほどなんだよなぁ。
だが本人がエースになりてぇっつーんなら、それを叶えてやるのがご主人様である俺様の腕の見せ所だってな!)
そんな感じで複座シートのテンザンがアドバイスなり補助操作なりでセニアをサポートし、そのおかげもあって彼女と愛機の邪悪なる堕天使は、正規軍の機体を一機、また一機と撃破し、夜の闇の中へと沈めていく。
警備兵たちも当然黙ってやられているだけではなく、連携で応戦し何とかデモンゴーレムだけは倒す事が出来ていたが、前衛をサポートする後衛の砲戦型魔装機『ブローウェル』たちもまた、もう一機の漆黒の機体による砲撃の餌食になっていた。
しかも、ブローウェルの原型機だったはずの悪魔となった機体からの攻撃は、前衛で行われている戦闘よりも更に悪辣で、残虐なモノであった。
ドゴォオオオオオオオオンッ!!
「ふぅ~ん、速攻でコックピット直撃させて殺した時に吸収出来る負念は、こんな感じなんだ。距離でどうなるかも気になるけど、とりあえず次は嬲って追いつめたらどうなるかを試してみるね、お兄ちゃん♪」
「おぅ、砲撃のコツも大分つかめてきたようだし、その辺のオカルト要素は俺よりもプレシアの方がセンスがあるからな! 任せたっての!」
漆黒に染まった武骨な砲戦用機体『ディアボロス』のコックピット内で、プレシアもテンザンからのアドバイスを受けて巧みな砲撃戦を行っていた。ディアボロスはノルスと違い複座型に改造されたわけではないし、テンザン自身はノルスに乗っている状況で、だ。
にも拘らず、
「くくく、しかしこの
「えへへ、上手くいって良かったよ♥ 今はまだ
「ま、生身の分身になれなくても、プレシアにだけは触る事が出来るけどなぁ。こんな風に……!」
むにむにぃ♥
「あはぁん♥ この状態でもお兄ちゃんにオッパイ揉み揉みしてもらえるのぉ、サイコーだよぉ♥ テンション上がるしチカラも漲ってきてぇ、もっとうまく戦えそう♥」
テンザンは生身でセニアのノルスに同乗しつつ、自身の分身たる『
二つの視点に加えて二機の操縦補助となれば、その膨大な情報を完全に処理するなど、常人ではまず不可能な所業だろう。テンザンの天才的な戦闘能力スペックをもってすれば一応は可能ではあるだろうが、それでも脳にかかる負担はすさまじい筈である。
しかし、思考演算能力に関しては配下となったメス眷属たちとの同調による並行処理に加えて、超高性能な生体演算装置である『ブレイン』とも一体化しているために、テンザンは負担なく二つに分かれた視点と思考でメス達の面倒を見る事が出来ていた。
ちなみにプレシアたちがオッパイを揉まれたりして性的に興奮しても冷静さを維持し、更に戦闘能力を向上させている理由の一つも、この『ブレイン』や眷属同士のリンクにある。
他にも性的な高まりが『淫呪』の力を引き出す一番の鍵だったりと、常識では測れない理由がたくさんあるが、ともかくメス奴隷眷属たちは主に求められ快楽を感じるほどより強い力を発揮できるようになるのは、間違いない事実であった。
『く、コイツ! 同じ砲戦機なのに、かなりの運動性だ! だがそれにしたって、数で押しているこっちが有効打を与えられないとは……なんて奴だ!!』
当然警備隊のブローウェルたちも果敢に応戦しており、ディアブロと同系統の肩部単装リニアレールガンによる砲撃で着実にデモンゴーレムの数を減らしていたものの、漆黒の機体たちに対しては直撃させることは出来ず、かすめた砲弾も強固なバリアにより完全に阻まれてしまっていた。
そして黒い甲冑に身を包んだ襲撃者側の砲戦機は、常に動いて相手からの砲撃を回避しつつも、その上で自身は的確な砲撃で次々と警備隊の機体を撃破しているのだ。元より優秀な資質を持っていたプレシアだが、その能力を発揮するにあたり枷となっていた優しさ故の躊躇などが一切無くなった今、彼女は悪魔の手ほどきにより圧倒的な、そして危険なほどの戦闘センスを開花させつつあった。
「よぉし、エネルギーのリチャージも完了♪ 『ハイパーデモニックレールガン』、発射しちゃうよぉ!!」
ズギューン! ズギューン!
ズギューン! ズギューン!
淫呪の巫女の乗機ゆえにノルス・ヴェノム以上の禍々しいオーラを纏っている『ディアボロス』。その両肩部の二連装レールガンに付いているパワーオーブが煌々と紫に輝き、4つの砲門から邪悪なエナジーに満ちた砲弾が、僅かな時間差をもって新たなターゲットに向けて連続発射される。
ドゴォッ! ドゴォッ! ドゴォオオオオンッ!!
『ぐぁああああっ! こ、コイツ、俺を嬲る様に……!! クソ、これじゃ動けねぇ……!!』
悪魔に狙われたブローウェルは初弾こそ回避したもののそれは囮であり、続く3発の砲弾が次々と彼に命中し、両肩のレールガンと脚部を撃ち抜かれボロボロの状態になってしまっていた。完全に相手の動きを読み、そして容赦のない的確な砲撃を行うという、テンザンの十八番をマスターしたプレシアの成長の成果である。
肩部装甲を吹き飛ばされた両腕はショートして力なく垂れ下がっており、片脚を失い地に伏す寸前であったそのブローウェルは、もはや完全に戦闘不能だとわかる。これまでのプレシアであれば、この状態の敵に追撃するなど、絶対にやらなかっただろう。
しかし、今の彼女は違う。百邪淫王テンザンの忠実なるシモベたる『淫呪の巫女プレシア』にとっては、敵対するパイロットの生死など、自身の行動を躊躇する理由にはなりえないのだ。
「うんうん、アナタが怯えてるのが、あふれ出る負念で伝わって来るよぉ♥ もう逃げられないからねぇ……これでもぉっと恐怖して、もっと負念を絞り出しちゃってよ♪ そぉれ♪」
ドドドドドドッ!!
前傾姿勢になったディアボロスは背部のコンテナユニットから一斉にミサイルを発射し、既に動けなくなったブローウェルとそのパイロットに対し、容赦のない追い打ちを仕掛ける。
ドガガガガガガガァァァァアアアンッ!!
『う、うあぁ! や、やめろっ! やめっ……やめてくれぇ!! くぁああああああああっ!!』
「ふふふ、イイ感じかも♪ この感じだとやっぱり、負念を集めるならこうして嬲りモノにした方が、普通にやるより効果は大きそうだね~」
爆撃により激しく揺さぶられ、アラーム音が鳴り響くブローウェルのコックピット内で、正規軍パイロットの男は余りの恐怖で泣き叫んでいた。通信を繋いでいないのでその声自体はプレシアに聞こえる事はないが、あふれ出る恐怖の『負念』から、彼女は相手の状況を正確に読み取る事が出来ていた。
そうして悪魔たちの実験につき合わされ嬲られ続けていた哀れなブローウェルであったが、小さな破裂音と共にコックピットブロック付近の装甲がパージされた次の瞬間、そこから何かが夜空へと打ち出された。
パシューーーーーンッ!!
「あちゃ~、脱出装置が作動しちゃったか。アレが作動しないように手加減しつつ、限界まで中のパイロットを恐怖させるのって、かなり難しいんだなぁ~」
「ま、手加減ってのは言うても高等テクだからな。技量で相手を上回りつつ、更にそれ専用の技術も必要になるから、今のところは気にしなくてもいいっての」
「うん、これからいろいろ頑張ってみるよ、お兄ちゃん♥ でも逃しちゃったから、普通に殺した時との負念生成率の差がわかんなかったのは、ちょっと残念かも?」
そう、悪に堕ちたとはいえ、彼女らは別に殺人癖に目覚めたという訳ではない。『他者の命などどうでもいい』というテンザンの感性に完全に染まっているため、殺し損ねたとしてもそれはそれで別にどうでもよく、ほとんど気にも留めないのである。
だがそれは当然、悪の契約により闇の眷属となった彼女らの中に僅かでもかつての善性が残っている、という事ではなく……
「じゃ、それはこっちでやってみるわね♪ ちょうど剣の扱いのコツがつかめてきた所だしぃ……まずはこうしてぇ! 無力化しちゃってぇ……ッ!!」
ザンッ!! ズサァアアアアアアッ!!
『ぐ、おぉおおおっ!? 両腕が、一瞬で!?』
どんな残虐な事でも、崇拝する主の為に必要ならば躊躇いなく出来てしまう、という事である。
「肩のビームキャノンも一緒に斬り飛ばしたし、殆ど武装解除完了ね♪ ガディフォールに残る武装は……『ギガソートカノン』、この尻尾だけよねぇ!!」
ドゴン!! ぶちぃっ!!
『がぁあああああっ!!』
セニアは鋭い踏み込みによる接近からデモニックブレードで瞬く間にガディフォールの両腕を切断した後、そのままタックルで押し倒しつつ転倒する敵機の尻尾を掴み、パワー差を活かしてそれを強引に引きちぎっていた。ガディフォールは安定性重視の為に胴体部に内蔵武器はなく、これでこの機体は悪魔に対し抗うすべを完全に失ってしまった事になる。
「これで良し、っとぉ♪ 後はこうして直接、コックピットに向けてブレードをゆっくり差し込んであげればぁ……♥」
ズブゥ!!
ジジジジッ ジジジジジジッ
『ひっ!? ひぃいいいいいっ!! け、剣が、コックピットに迫ってきてるッ!? だ、ダメだ、脱出装置も作動しない!! こ、こんな……こんな風に死ぬなんて嫌だ! やめっ! やめてくれ! お願いだぁ!! 助けてくれぇええええええっ!!』
アラートだけでなく、コックピットの内壁が徐々にへこみ、ブレードから発せられているエナジーによって溶解し始めている事で、パイロットは自身に避けようのない死が迫っているのを否応なく突き付けられてしまう。
一瞬で終わるのではなく、徐々に迫って来る死の気配は、祖国を守るために戦い抜くと誓った男の矜持をあっさりと折り、恐怖で埋め尽くしてしまっていた。
「おぉ~、かなりの負念が発生してるし、距離が近いと吸収率もいいみたいね。それじゃこのまま……えい、っと♪」
ズブゥウウウウッ!!
先程のプレシアの時と違い、直接回線で男の命乞いは聞こえていたが、セニアは容赦なくブレードをコックピット内へと完全に突き入れ、あっさりと止めを刺してしまった。これは『怯えさせて殺してみたらどうなるか』の実験なのだから、彼女に『助ける』という選択肢など、あるはずもない。
「ふぅ~ん……なるほど。確かにあっさり殺すよりも負念の発生量は増えてたけど、増加量自体はこんなもんかって感じでもあるわね」
「わざわざ手間をかけるほどじゃない、って感じだよね。ていうか十分恐怖を植え付けたなら、殺す必要もそんなにはないかも? 生きてる限りは恐怖で負念を生み出し続けてくれるわけだしね♪
まぁそもそもあたしたちの『淫呪』は負念の吸収だけにこだわる必要はあんまりないし、今回はそれがわかっただけでも十分な収穫かな!」
「おぅ、そうだな! 実験ご苦労だった、二人とも。あらかたの敵は倒したが、こっちのデモンゴーレムも全滅か。なかなかできる奴が残ってるじゃねぇの。
つー事はセニア、やっぱ
闇夜に撃墜された機体が燃える光だけが強い主張を放っている中、まだ動いているのは悪魔の眷属機が二機と、警備隊側はブローウェルとガディフォールが一機ずつ。その二機は他の警備隊の連携とは違い、前衛がブローウェルで後衛がガディフォールとなっている。
そして彼らは警備隊の中でも圧倒的な動きの良さを見せており、テンザンたちのデモンゴーレムを全滅させる事が出来たのも、この二機の存在があってこそだと言っていいだろう。
「ええ、多分間違いないわ、テンザン様。情報通り、あの子たちはここに配属されていたみたい。私が魔装機神隊にスカウト予定だった、近衛騎士団の……」
『お前ら、どういうつもりだ!! こんな、こんな遊ぶような戦い方で! デモンゴーレムなんか使いやがって!! 絶対に許さないからな!!』
『そうだよツレちゃん! こいつら……ヴォルクルス教団の連中は、絶対に許しちゃダメなんだから……!!』
わざわざオープン回線を開いて襲撃者を非難してきたのはブローウェルに乗る正義感に燃えた赤い瞳の若い男であり、その彼に続く形で邪悪の徒に向けて強い敵意を示したのは、ガディフォールに乗るゆるふわピンク髪の美少女であった。
「あらあら、あちらから挨拶してくれるなんて、確認の手間が省けて助かったわ♪ ブローウェルに乗ってるのは近衛騎士見習いの『ツレイン・ザン・レカニバン』で、ガディフォールの方はその幼馴染の同じく近衛騎士見習い『メフィル・ザニア・ボーラング』ね♪ 両方とも優秀で将来有望な若手って感じなのは、お話しした通り……
それじゃせっかくだし、こっちからも挨拶を返していいかしら、テンザン様♥」
「おぅ、お楽しみが増えた所だし、反応も面白そうだ。やってみろっての、セニア」
「了解よ♥ ではぁ……」
ピッ
「はぁ~い♥ 久しぶりね、二人とも♪ あれから腕を上げているようで、私的にも本当に嬉しいわぁ♥」
『なっ!? あ、あなたは……!!』
『そん、な……なんで……っ!?』
回線がつながり、ディスプレイに表示された襲撃者の正体を見て、絶句するツレインとメフィル。
その相手は神聖ラングラン王国の近衛騎士団所属である二人にとっては、最もありえない、ありえてはいけない人物であったのだから、当然の反応である。
銀髪で褐色肌になり、煽情的ないやらしい服装に身を包んでいるが、その気品と美貌は見間違えるはずもない。
『セニア・グラニア・ビルセイア』……近衛騎士団が守るべき王族の一人。彼女は王位継承権こそ持っていないものの、間違いなくラングランの『姫』なのだから。
『なんか、肌の色とか変わってますけど……セニア様、ですよね!? この前僕らをスカウトしてくれた貴女が、なんでこんな……こんなひどい事を! 意味が分からないですよ! まさか、偽物とか……でも何でそんな事を!?』
『ツレちゃん、動揺しないで! このセニア様が偽物かどうかはわからないけど、こいつらの正体自体はもうわかってるんだから!
怨霊のデモンゴーレムを操っている上に、あんな禍々しいオーラを放つなんて、ヴォルクルス教団の連中でしかありえないもの! こいつらは……絶対に倒さないといけない相手だよ!』
動揺する年下のツレインに対し、メフィルは彼を支えるように、ハッキリと相手が倒すべき敵だと断言する。未だ新人の域を出ない彼女も初めての大規模な戦闘で脅えが無いわけではないが、相手が相手であるがゆえに、一歩も引く姿勢を見せていない。
普段は見た目通りポワポワおっとりとしている彼女を熱血漢のツレインが引っ張る形なので、メフィルが内面にこれほどの苛烈さを秘めている事を知る者は少ないだろう。メフィルにとってヴォルクルス教団とは、それほどまでに因縁のある仇敵なのだ。
『メフィル、お前……わかった! 確かにコイツらはどう見ても邪教徒絡みだし、そうなりゃやる事は一つだ……!!
目の前のセニア様が本物なのだとしたら操られているだけだろうし、ともかくここを切り抜けなくっちゃな! って事でその機体は無力化しちゃうんで、貴女が相手でも容赦しませんよ、姫様!』
「もう、怨霊でしかないヴォルクルスなんかと同一視するなんて、テンザンお兄ちゃんに対して失礼過ぎる連中だよ! ここはお兄ちゃんの偉大さを、あたしたちで思い知らせてあげないと! それにぃ……♥」
「ええ、エッチで可愛いメフィルちゃんは、テンザン様にお捧げしないと、ね♥
では、テンザン様ぁ♥ せっかくですので新たなシモベとなるメスに対し、一言お言葉を与えてもらえますか?」
「ああ、そうさせてもらうっての!
ひひひ、男の方は当然どうでもいいが、そっちの女……メフィルっつったなぁ! 資料じゃアホで緩そうな顔だしそこそこ程度のメスって印象だったが、中々凛々しい表情も出来るじゃねぇか! 良いぜぇ、こっちの方が大分好みだ!
これからお前の全てを奪わせてもらうからなぁ……嫌ならせいぜい、全力で抗って見せろってのぉ!!」
『く、コイツが親玉……そしてこの襲撃は、メフィルが目的だったっていうのか!? メフィルは絶対に、お前なんかには渡さないぞ!』
『うん、私はあなたになんか、絶対に負けない! 悲しみを振りまく邪神を崇める連中なんかに、絶対に負けてやらないんだから!!』
姿を現した邪悪な魔王を前にして、果敢に立ち向かう意思を示す、正義の騎士たち。
ラ・ギアスに悪夢の始まりを告げる悪徳の宴は、まだ始まったばかりであった。
次回!第15話『刻まれしマーキング』
今回珍しくエロシーンは無いですが、こういうシーンの方がエロいって人は一定数居そうだなと。
そして始まりましたセニア育成計画!
今回はオーソドックスな射撃と近接技能の育成でしたが、次回はどんな能力を発揮する展開になるか……お楽しみに!
そして電子諜報戦においては既に作中トップクラスなんで、そっちが伸びるって描写は逆にあんまりないかもですね。それで活躍するシーンは是非作りたいですが!
楽しめたなら感想、評価お願いします!
セニアのエースパイロット育成計画! どの能力を鍛えるのが良いか
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近接格闘、武器系
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近接格闘、特殊系
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射撃系、オールラウンダー
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射撃系、スナイパー
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支援系、味方補助系
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支援系、搦手デバフ系
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隠密行動、暗殺系
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その他、何かあれば感想などに