貞操逆転世界でAV男優始めました〜100年に1人の逸材 現役男子大学生Debut〜 作:たんばりん
第一話
### **第1話 — 崩壊の果てに —**
山田タクミの人生は、ついに完全に行き詰まっていた。
会社のオフィスで深いため息をつく。デスクの上には上司からの叱責が書かれた報告書、パソコンにはエラーが並ぶ業務システム。プロポーズの失敗で心に負った傷はまだ癒えていないというのに、今日のミスで完全に評価は地に落ちた。
「お前、本当に社会人か?」
上司の言葉が頭の中でこだまする。もはや反論する気力もない。タクミは机の上の書類をまとめ、ふらふらと立ち上がった。
彼の視線はスマホの通知に移る。消費者金融からの催促。金額は膨れ上がる一方で、返済の見通しはない。
「……もう、無理かもな」
苦笑しながらタクミは帰路についた。
***
彼の人生が狂い始めたのは、大学時代からだった。
**孤児院育ち**の彼は、親の援助もなく、奨学金とアルバイトでなんとか学費を賄っていた。しかし、生活費を稼ぐためにバイトを詰め込みすぎ、単位を落とし、気づけば**卒業まで6年**かかってしまった。
同世代より2年遅れで社会に出た結果、同期との距離は広がり、年上という理由で周囲に馴染めないまま時間だけが過ぎていった。
さらに、奨学金の返済が重くのしかかる。毎月の支払いに追われ、生活費を補うために消費者金融に手を出したのが運の尽きだった。金利は膨らみ、借金は雪だるま式に増え、もう後戻りできないところまできていた。
そんな状況の中、唯一の希望だったのが彼女の存在だった。
——いや、元カノの存在だった。
「結婚しよう」
そう告げたとき、彼女は困ったように笑った。
「ごめん、タクミとは将来が見えない……」
それが別れの言葉だった。
重くのしかかる現実。人生はどこで間違えたのか? もっと上手くやれたんじゃないか?
そんな考えがタクミの頭を離れなかった。
***
気がつけば、彼は小さな神社の前に立っていた。
「……神様、俺の人生やり直させてくれませんかね」
冗談半分、祈るように呟いた。もし過去に戻れるなら、もっと効率的に単位を取り、無駄にバイトばかりする生活をやめ、友人を作り、まともな就職をして、こんな惨めな人生を送らずに済んだはずだ。
**もう一度、大学生活をやり直したい。**
タクミはそう願った。
その帰り道だった。
ぼんやりと歩いていた彼の前に、猛スピードの車が迫っていた。
「——あっ」
気づいた瞬間にはもう遅かった。強烈な衝撃が全身を貫き、視界が一瞬で暗転する。
***
——どこかで、小鳥の鳴き声が聞こえた。
目を開けると、見慣れた天井があった。
シンプルな白い天井、木目調のデスク、小さなキッチン。懐かしい景色がそこにあった。
「……え?」
タクミは跳ね起き、部屋を見回す。
間違いない、これは**10年前に住んでいたアパート**だ。
動揺しながら机の上を見ると、一冊のパンフレットが置かれていた。
『○○大学 入学式のご案内』
——入学式?
慌てて日付を確認すると、そこには見慣れた「10年前」の年月日が記されていた。
理解するのに数秒かかった。
**俺、タイムリープしたのか?**
驚きとともに、彼の心にはある感情が湧き上がっていた。
それは——**歓喜**だった。
(第二話へ続く)