貞操逆転世界でAV男優始めました〜100年に1人の逸材 現役男子大学生Debut〜 作:たんばりん
### **第2話 — 10年前の世界 —**
山田タクミは、震える手でスマートフォンを手に取った。
画面に表示されるのは、10年前に使っていたガラケーに近いスマホのUI。ブラウザを開き、ニュースサイトにアクセスする。
日付を確認すると、そこには紛れもなく10年前の**入学式当日**の日付が記されていた。
「マジで……タイムリープしたのか……?」
胸の奥がざわつく。夢じゃないかと何度も頬をつねるが、痛みはしっかりと現実を教えてくれる。
(これは……やり直せる!)
タクミはゴクリと唾を飲み込む。
人生で積み上げた苦しみ、失敗、後悔——それらすべてをリセットできる機会が今、目の前にある。
前世の知識があるのだから、効率的に単位を取り、無駄にバイトばかりする生活をやめ、友人を作り、就職活動だって有利に進められる。
「……よし!」
まずは入学式に備えよう。
勢いよくベッドから飛び起き、クローゼットを開く。そこには新品同然のスーツが掛かっていた。前世では安物を着ていたが、10年前の自分はまだ希望に満ちていて、入学式のためにまともなスーツを買っていたのだ。
「懐かしいな……」
着慣れない感触に違和感を覚えながらも、しっかりとネクタイを締める。
準備が整い、ふとテレビをつけた。
『速報です。昨夜、○○市内で女性が男性を襲い、強制わいせつ未遂の疑いで逮捕されました。被害者の男性は軽傷で——』
「……は?」
一瞬、理解が追いつかなかった。
**女性が男性を襲う?**
前世の常識とは逆のニュースに、タクミの思考は止まる。しかし、時間は刻々と過ぎていく。
(いやいや、考えてる暇ない……入学式に遅れる!)
深く考えるのは後にしよう。そう判断し、急いで家を出た。
***
大学のキャンパスに足を踏み入れた瞬間、タクミは違和感を覚えた。
**やたらと、女子が多い。**
いや、それどころか——**男がほとんどいない。**
**7:3**。感覚的にはそんな男女比だった。
(えっ、ちょっと待て……こんなに女子ばっかりだったか?)
前世の記憶と比べても明らかに違う。周囲には色とりどりのワンピース、華やかなメイクの女子たちが談笑している。男の姿はちらほら見えるが、ほとんどが一人で行動している。
「うわぁ……なんかすごいな」
タクミは戸惑いながらも講堂へと向かった。
***
入学式が始まった。
校長の長い挨拶を聞き流しながら、タクミは周囲を見回していた。
やはり女子が圧倒的に多い。ここまで偏っていたか? いや、そんなはずはない。
——何かが決定的に、おかしい。
違和感を振り払うように、タクミはスマホを取り出し、ニュースサイトを開いた。
『日本の男女比、最新データ公開。依然として**女性が多数**を占める社会構造に変化なし』
その一文を見て、タクミは息を呑んだ。
さらにスクロールすると、統計データが載っている。
『現在の出生率:**男性3割、女性7割**』
(……は?)
タクミの思考が止まる。
(どういうことだ? 俺の知ってる世界と違う……!?)
男女比が3:7? こんな世界だったか? **いや、違う。俺のいた世界は男女比はほぼ1:1だったはずだ!**
冷や汗が流れる。
——この世界は、俺が知っている10年前とは違う。
(もしかして……俺、ただのタイムリープじゃなくて、**別の世界に来たのか!?**)
タクミの鼓動が高鳴る。
**ここは男女比が偏った世界だった。**
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入学式を終え、講堂を出たタクミは、まだ新しい環境に少しだけ緊張しながら歩いていた。周りの学生たちは、式の後の解散と同時に、楽しげに談笑しながら次の目的地へと向かっている。
だが、タクミが一歩踏み出した瞬間、数多くの学生が勧誘活動を始めた。
「軽音サークル!音楽好きな人、集まれー!」
「フットサル同好会、参加しませんか?」
「料理サークル、一緒に作って食べよう!」
次々と手渡されるビラに戸惑いながらも、タクミは心の中でつぶやく。
*うーん、どれも全然興味ないな…*
そして、歩みを進める中、ふと目の前に立つ女性に気づいた。
その女性は、周りの勧誘活動に目もくれず、一人で立っていた。彼女の姿は他の学生たちと明らかに違っていた。
露出度の高いホットパンツ、そして、胸元が少し見えるニットのカーディガン。それは、今まで目にしたことのないような、目を引く存在感だった。
タクミはその女性に視線を向け、思わず足を止める。
彼女は、まるでタクミの目を引くためにそこにいるかのように、堂々と周りを見渡していた。
その女性がふとタクミを見つけ、微笑みながら近づいてきた。
「こんにちは!水泳サークルの勧誘です!」と、明るく声をかけてきた。
タクミは一瞬、戸惑う。
*水泳サークル?*
そして、その女性が笑顔でビラを差し出してきた。
「水泳サークルって、運動にもなるし、リフレッシュできるし、何より楽しいんですよ!今日の午後に新歓の花見をやるので、ぜひ参加しませんか?」
タクミがその言葉に答えようとする前に、何かに引っかかるような感覚を覚える。その女性の顔をじっと見つめていたタクミは、ふとその女性がどこかで見たことのある人物だと気づく。
*あれ…?*
彼女は、今まさに目の前で勧誘している女性は、タクミが前世で一目惚れをして入会を決めた「さやか先輩」だということを、思い出した瞬間だった。
タクミの心臓が少しだけ速くなる。
あの時のさやか先輩が、目の前に立っているのだ。
タクミは一瞬、動揺しながらも、冷静に言葉を返す。
「水泳サークルか…、ちょっと考えてみるよ。」
「ぜひ、来てくださいね!今日の午後、4時から公園で花見があるんです!他の部員たちも集まるので、わからなかったら連絡してください!」
さやか先輩は楽しそうに言いながら、タクミにビラを再度手渡し、最後にニッコリと笑った。
その笑顔に、タクミは一瞬、言葉を失った。
あの頃と変わらず、魅力的で、どこか輝いている笑顔だった。
「ありがとうございます!じゃあ、また後で!」
さやか先輩はそう言って、周りの他の学生に声をかけながら、その場を去っていった。
タクミはしばらくその背中を見送った後、手に持ったビラを見つめながら、心の中で決めた。
*花見、行ってみようかな…*
学生生活をやり直すチャンスだ。こうして新たな出会いを楽しむのも、悪くないかもしれない。
タクミはそのまま花見に参加することに決め、ビラをポケットにしまった。