※この作品はR-18です。

貞操逆転世界でAV男優始めました〜100年に1人の逸材 現役男子大学生Debut〜   作:たんばりん

7 / 17
第7話

 

# **第7話 — エリカの衝撃 —**

 

私は目の前の光景に言葉を失っていた。

 

いや、私だけじゃない。この場にいる誰もが、息を呑んで彼を見つめていた。

 

監督も、カメラマンも、照明スタッフも、メイクも、ADも——この場にいる全員が、タクミという存在に釘付けになっていた。

 

「……すごい……」

 

誰かがそう呟いた。それが私自身の声だったのか、それとも誰かの言葉が耳に入ったのかは、もうわからない。

 

私たちが今、目撃しているのは、これまでの常識を覆す瞬間なのかもしれなかった。

 

**「AV男優に演技は求めてならない」——その常識が崩れる瞬間**

 

AVの世界では、基本的に“男性”が主役である。

当然だ。ユーザーの98%が女性であり、彼女達は皆、男性の痴態を見たいのだ。

大根役者と揶揄されるであろう男優でも、“AVに出てくれる男優なだけで貴重“なのだ。

 そこに演技力など求めてはいけない。

 業界の不律問である。

 

カメラに映るのは男性、フォーカスされるのも男性。

故に男優とは、ただ自らの肉体を曝け出し、時々でも良いので射精するシーンを見せてくれるだけでよかった。

むしろ、視聴者にとって“それが当たり前であり演技力は二の次”とさえ言われてきた。

 

だから、男優に求められるのは、顔の良さや、肉体の美しさ、そして性器の大きさ。

 即ち直感的なエロさである。

適度な演技、適度なセリフ回し、適度なタイミング。

演技力など二の次にしてセリフなどは後回しである。

そうやって業界の「普通」が作られてきた。

 

だが——

 

タクミは、その“普通”を根底から覆していた。

 

彼の存在は、決して普通にならなかった。

むしろ、その場のすべてを支配していた。

 

それは単なる“ルックス”の話ではない。

もちろん、彼の顔立ちは悪くない。いや、むしろ整っている方だろう。

しかし、この業界にはもっと端正な顔立ちの男優はいる。

 

だが、タクミの場合は違った。

顔がどうこうではない。

彼の“圧”が、主体的に取り組む体勢が、場を完全に支配していたのだ。

 

言葉は少ない。

いや、ほとんど喋っていないと言っていい。

本人いわく、「どうせ棒読みになるなら、喋らないほうがマシ」とのことだった。

その言葉通り、彼から発せられるのは荒々しい息遣いだけ。

 

だが、それが逆に「リアルさ」を生み出していた。

 

男優が口にする、決まりきった台詞の数々——

 

「気持ちいい?」

「ほら、イケよ」

「お前、エロいな」

 

そういう、テンプレートのようなセリフを彼は一切言わない。

 

それなのに、彼の動きひとつひとつが、場の空気を作り出していた。

 

荒々しく、獣のように——

 先ほどより女優を四つん這いにさせて、バックより激しく腰を自ら打ちつける彼に私は目を離せない。

 

まるで女性の本能を刺激するかのように、圧倒的な存在感を放っていた。

 

### **業界の“常識”をぶち壊す男**

 

私はこの業界に関わって10年以上になる。

 

小さなプロダクションで雑務をこなしていた頃から、今やこの大手プロダクションの中心人物のひとりになった。

数えきれないほどの現場を見てきたし、“すごい”と言われる男優も何人も見てきた。

 

技術がある男優は確かにいる。

演技が上手い男優もいる。

ルックスが良い男優もいる。

 

けれど、タクミはそのどれとも違った。

 

彼は、まるで“本能で動いている”ようだった。

人間の三大欲求は、男性にも関わらずあるのだと。

 

決められた演技ではなく、決められたセリフではなく、ただ“そこに、女体を貪るように荒々しいプレイをする”だけで、彼の世界が出来上がってしまう。

 

女優の反応も明らかに違った。

 

いや——これは、演技なのか?

 

女優の表情、女優の息遣い、女優の指先の震え——

 

私は今まで何百、何千というシーンを見てきた。

だからこそ、わかる。

 

これは——演技じゃない。

 

彼女は、彼の前で「女」にされている。

 

まるでAVという枠を超えた“現実”を見ているような錯覚さえ覚えた。

 

タクミの動きに合わせ、女優は本能のままに声を上げ、身体を震わせている。

それは台本に書かれた動きでも、演出された表情でもなかった。

 

「……こんなの……見たことない……」

 

気づけば、私はそう呟いていた。

 

隣にいた監督も、口を開いたまま何も言えなくなっていた。

カメラマンも、まるで映像の神が降臨したかのように、その手を止められないでいた。

 

「……変わる……」

 

私は、確信した。

 

業界が——変わる。

 

世界が——変わる。

 

タクミという男の存在によって。

 

これまでの常識が、彼によって塗り替えられる。

 

たまたま昨日、求人応募で見つけた男——

「大学生でお金が必要だから」という単純な理由で応募してきた男——

 

その男が、業界の歴史を変えるかもしれない。

 

私は、ゾクッとした。

 

こんな男を、逃がすわけにはいかない。

 

私は彼を——この業界に引き込む。

 

どんな手を使ってでも。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。