※この作品はR-18です。

奪われた果実   作:悪の組織ふぁいあむーん(調教師)

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西野つかさと10回のキス

1.奪われたファーストキス

 

「……嘘でしょ……?」

 

 夕焼けに染まる公園の片隅で、私は立ち尽くしていた。目の前には、淳平くんと東城さんが抱き合いながらキスをする姿。何も言えなかった。声を出すと涙が溢れそうで、ただその場から逃げ出した。

 

 必死に走った先で、知らない男が声をかけてきた。

 

「あれ、つかさちゃん? 何泣いてんの?」

 

 軽い調子のその声に、私は顔を背ける。

 

「……あっち行って」

 

「冷たいなあ。でも、そんな顔してたら、俺、放っておけないよ?」

 

 馴れ馴れしい。関わりたくない。だけど、彼は引き下がらなかった。

 

 そして、不意に──

 

「んっ……!」

 

 唇に、熱。

 

 私は咄嗟に男を蹴り飛ばしていた。

 

「ふざけないでっ!」

 

 涙混じりの怒声をあげ、逃げるようにその場を後にした。

 

(最低……ファーストキスだったのに……!)

 

 

2. セカンドキスの悪夢

 

 翌日、街角でまたあの男に出くわした。

 

「おー、つかさちゃん。また会えたね」

 

「……知らない」

 

 そっぽを向くが、しつこくついてくる。

 

「また、キスしちゃおうかな?」

 

「……!」

 

 ついに我慢の限界にきて、男を睨みつける。だが──

 

「ちゅっ♪」

 

「なっ……!」

 

 スキを突かれて、またキスされてしまった。

 

「はい、つかさちゃんのセカンドキッス❤ ゲット!」

 

 その瞬間、私はカバンを振り上げ、彼の顔を思い切り殴った。

 

「……ふざけないで!!」

 

 再び走り去る。心臓が、うるさい。

 

(……なんなの、この人は……)

 

 

3. 逃げられないキス

 

 数日後、またもや男が現れた。目が合った瞬間、嫌な予感がして私は反射的に駆け出した。

 

「おっ、今日は逃げるのかい? なら、俺も本気で追いかけちゃうよ?」

 

 私は、できるだけ遠くへ、できるだけ速く走った。しかし、後ろから響く足音がどんどん近づいてくる。

 

「待ってよ、つかさちゃん! そんなに逃げられると、俺、燃えちゃうじゃん!」

 

 男の声が背後で弾む。振り返る余裕もない。ただ、必死に前へ走る。しかし──

 

「はぁ、はぁ……つ、捕まえた……!」

 

 追いつかれた。

 

「逃げなくてもいいじゃん……ただちょっと、話したかっただけなんだし……」

 

 息を切らしながらそう言う男の姿に、私は戸惑う。

 

「……話って何よ?」

 

「キス、強引にしちゃったから……謝りたくて」

 

 彼の言葉に、一瞬、胸がざわつく。

 

「……謝るなら、もうしないで」

 

 そう言ったはずなのに、心の奥底で、自分でも分からない感情が渦巻いている。

 

「うーん、それは無理かな?」

 

「は?」

 

「だって、つかさちゃんとキスするの、好きなんだもん♪」

 

 呆れ果てる私に、彼は急に表情を変えた。

 

「……あ、汗でブラ透けてる。」

 

「えっ!?」

 

 咄嗟に服を確認しようとした瞬間──

 

「ちゅっ♪」

 

「……!」

 

 また、やられてしまった。

 

「透けてるの、嘘ぴょーん!」

 

「……っ!!」

 

 私は、思い切り平手打ちして、すぐにその場から駆け出した。

 

(……バカじゃないの!)

 

 

4. 雨の日のキス

 

 小雨の中、私はいつもと違う道を選んだ。あの男に会わないために。

 

(今日は絶対に会わない……)

 

 そう思っていたのに、角を曲がった先で──

 

「よっ、つかさちゃん♪」

 

 傘を差したあの男に出会ってしまった。

 

「……なんでここにいるのよ!」

 

「雨の日って、偶然が多いんだよねぇ」

 

 最悪。どうしてこうなるの?

 

「ちょっと待ってよ。濡れちゃってるじゃん。俺の傘、入る?」

 

「入らないわよ!」

 

 そう言って避けようとしたが、男がさっと傘を差し出す。そして──

 

「ちゅっ♪」

 

「……っ!」

 

 また、唇を奪われてしまった。

 

「つかさちゃんの唇って、本当にマシュマロみたいに柔らかいね」

 

「なっ……!」

 

 雨に濡れた頬が、今度は熱くなった。

 

「この傘はあげるよ。じゃ、またね♪」

 

 軽やかに去っていく男。

 

 私は、何も言えずにその場に立ち尽くしていた。

 

(……なんなのよ、もう!)

 

 

5. 届かぬ想いと男の唇

 

 部屋のベッドの上で、私は天井を見つめていた。

 

 思えば、あの男にファーストキスを奪われてから、もう四回目……。

 

「淳平くんとは、まだ一度キスもしてないのに……」

 

 別れているとはいえ、淳平くんとは、まだ気持ちが通じ合ってると思っている。でも、まだキスしてくれない……。

 

「やっぱり、私に魅力がないのかな?それとも、淳平くんは東城さんの方が……」

 

 そんなことを考えていたら、ふと、あの男の言葉を思い出した。

 

『つかさちゃんの唇って、マシュマロみたいに柔らかいね』

 

 思い出しながら、私は、無意識に自分の唇を指で触っていた。

 

(……あれが、男の人の唇……)

 

 指先が触れた部分が、なぜか熱を持っていた。

 

 ゆっくり目を閉じる。

 

(淳平くん……早くしないと、私……誰かのものになっちゃうかも……)

 

 

6. 甘いキスの味

 

 昨夜は、なかなか眠れなかった。

 

 ベッドの上で何度も寝返りを打ったけれど、頭の中にはあの男のことがちらついて離れなかった。

 

 寝不足のまま、ぼんやりと歩いていたら──

 

「あれ? つかさちゃん、また会っちゃったね」

 

 ……間違えた。

 

 いつもの道を避けようとしていたはずなのに、無意識に足がそちらへ向いていた。

 

「きっと、これは運命だ♪」

 

 軽くウインクして笑う男を見て、私はなぜか心臓が跳ねた。

 

(な、なに意識してるの私……!)

 

 改めて見てみると、彼は意外と整った顔をしていた。

 

(いや、何を考えているのよ私……!)

 

「はい、これ。お詫びの気持ち」

 

「……え?」

 

 彼が差し出したのは、小さな包み。

 

「チョコレート?」

 

「うん。つかさちゃんが好きそうなのを見つけちゃってね」

 

 包装紙には、有名なスイーツ専門店のロゴが見えた。

 

(これ……食べてみたいと思ってたやつ……!)

 

 いらない、と言おうとしたけれど。なぜか、不思議と手が出てしまった。

 

「……なら、一口だけ」

 

 口に入れた瞬間、チョコレートの甘さが舌の上を広がっていく。

 

「……おいしい……!」

 

 思わず笑顔が出た。

 

「ふふふ。つかさちゃんの笑顔っていいね。まるで天使みたいだ。」

 

「っ……!」

 

 男の言葉に、不意を突かれた。

 

(……なにこれ、恥ずかしい……)

 

 顔が熱くなって、反射的に視線をそらした、その瞬間──

 

「ちゅっ♪」

 

「……!」

 

 またしても、男に唇を奪われてしまった。

 

「ふふふ、今日はチョコの味だね♪」

 

 耐えきれず、彼を突き飛ばす。

 

「もう……!」

 

 その場から駆け出す私。

 

 走りながら私は、指で自分の唇に触れていた。

 

(……なんで、こんなに熱いの……?)

 

 

7. 無邪気な彼とズルいキス

 

 休日、なんとなく公園へ足を運んだ。

 

 そこにいたのは──

 

「あれ……?」

 

 あの男だった。

 

 けれど、彼は子どもたちと一緒に遊んでいた。

 

 鬼ごっこでもしているのだろうか。無邪気な笑顔で、子どもたちと駆け回っている。

 

(……意外)

 

 いつも私をからかってばかりの彼が、こんな風に純粋な笑顔を見せるなんて。

 

 でも──

 

(だからって、アイツは強引にキスしてきた最低な男)

 

 その事実は変わらない。

 

 私は踵を返し、その場を立ち去ろうとした。だが──

 

「あれ? つかさちゃん、どうしたの?」

 

 不意に、声をかけられたしまった。

 

「べ、別に。ただ通りがかっただけよ」

 

「そっか。じゃあ、一緒に遊ぶ?」

 

 親しい友達に声をかけるように、彼は、私に話しかけてきた。

 

「あ、遊ばないわよ!」

 

「そっか、じゃあまたね」

 

 あっけなく引き下がる彼。

 

 私はその背中を見つめたまま、心の奥に違和感を覚えた。

 

(……あれ? キスは……?)

 

 その瞬間、思考が凍りついたのを感じた。

 

(えっ……私、今、なにを考えて……!?)

 

 顔が熱くなる。逃げるようにその場を立ち去ろうとした。だが──

 

「ごめん、忘れてた」

 

「えっ?」

 

「ちゅっ♪」

 

「……!」

 

 気がつけば、また、彼に唇を奪われていた。

 

「今日の分ね。それじゃ。」

 

 そう言って、彼は何事もなかったかのように子どもたちの元へ戻っていった。

 

 私は、その場で呆然と立ち尽くす。

 

(もう、本当に……私……どうにかなっちゃいそうだよ、淳平くん……)

 

 

8. 大人のキスと揺れる想い

 

 どの道を選んでも、結局彼と出くわす。

 

 もう無駄だと悟り、私はいつもの道を歩いた。

 

「おー、つかさちゃん♪ 今日も可愛いね」

 

 案の定、彼は道の先で待ち構えていた。

 

「……」

 

「どうしたの、そんな怖い顔して。あ、そうだ! この前の公園、楽しかったよね?」

 

 彼はニコニコしながら、無邪気に話しかけてくる。まるで普通の友達みたいに。

 

「……知らないわよ」

 

「えー? つれないなあ。じゃあ、いつものやつさせてもらうね。」

 

「えっ?」

 

 彼が顔を近づけてくる。

 

 私は、反射的に目をつぶってしまう。

 

(また今日も……)

 

 そう思っていたが、待っても待っても、唇には何も感じなかった。

 

 おそるおそる目を開けると、目の前に男の顔があった。

 

「……ふふ、キスされると思った?」

 

「えっ……!?」

 

 彼はいたずらっぽく答えた。まるで、私の反応を楽しむように。

 

(まさか……私……)

 

 知らず知らずのうちに、キスされることを待っていたの?

 

 胸がざわつく。顔が熱い。

 

「……っ!」

 

 恥ずかしさに耐えきれず、私は後ずさった。

 

 けれど──

 

「逃がさないよ」

 

壁ドン!

 

 彼の両手によって、行き場を無くされてしまった。

 

「やっぱり……つかさちゃんは可愛いな。」

 

 間近に迫る彼の顔に、無意識に鼓動が早くなる。

 

「ば、バカ……!」

 

 強く睨みつけるつもりだったのに、彼の顔が近づくと、声が震える。

 

 そして──

 

「ん…っ!」

 

 深く、強く、彼に唇を奪われてしまった。

 

 それは、今までのとは違う、大人のキスだった。

 ──熱が伝わるほどに密着し、舌が絡まる。

 

「……っ!」

 

 思考が追いつかない。

 

 初めての感覚に、私は、ただ震えるだけだった。

 

 キスは長く、終わらない。

 

(苦しい……でも、不思議と、いやじゃない……?)

 

 気づけば、私はされるがままだった。

 

 20秒ほど経った頃、ようやく唇が離れた。ふたりの間には、細い唾液の橋が架かっていた。

 

「……っ!」

 

 正気に戻った私は、勢いよく彼を突き飛ばす。

 

「ばっ……バカ!!!」

 

 精一杯の力でその場から駆け出した。

 

(何これ……なんなの……!)

 

 走りながら、自分の顔が真っ赤になっているのがわかった。

 

 心臓が壊れそうなほど高鳴っている。

 

(ダメ……こんなの……おかしいよ……!)

 

 

 

9. 境界線を越えて

 

 いつもの道を歩くと、また彼がいた。

 

「よっ、つかさちゃん。昨日のキス、どうだった?」

 

「……っ!」

 

 思わず足が止まる。

 

「感想聞かせてよ。ドキドキした?」

 

「そ、そんなわけないでしょ!」

 

 顔が熱い。目を逸らしながら反論する。

 

「へえ? じゃあ、なんでそんなに顔赤いの?」

 

 彼が私の腕を掴む。

 

「ちょっと……!」

 

 振り払おうとするが、強くはできない。

 

(どうして……前ならすぐに振り払うのに……)

 

「……もう、俺のこと拒めないんじゃない?」

 

 不意に、彼の顔が近づく。

 

 心臓が跳ねる。

 

(ダメ……なのに……)

 

 キス寸前で、彼は止まる。

 

「ねえ、今日はつかさちゃんからしてよ?」

 

「え……?」

 

 彼の瞳が、私をまっすぐ捉えている。

 

 ……逃げられない。

 

 数秒の沈黙の後ーー

 

 私は引き寄せられるように、彼と唇を重ねた。

 

「……いただきます❤」

 

 そういって、彼は深く口づけ、舌を絡めてきた。

 

 私も、押し寄せてくる快感に抗うことができず、彼の動きに合わせ、舌を絡めていった。

 

(もう……戻れない)

 

 自分からキスをしたことで、何かが決定的に変わってしまったのだ。

 

「これで、つかさちゃんは、俺のキスフレンドだね❤」

 

 彼を拒む気持ちが、消えていくのを感じた。

 

(……ごめんなさい、淳平くん。私、もう……)

 

 

10. 変わってしまった私

 

 最近、西野と話せていない。

 

 そんなことを考えながら、真中は彼女のバイト先であるケーキ屋を覗いた。

 

 店内は相変わらず忙しそうで、西野もテキパキと働いていた。だが、どこか違和感がある。以前の彼女よりも、大人っぽくなったように感じる。

 

(……なんだろう、この感じ)

 

 もしや、日暮さんと付き合い出したのか!?

 

 気になった俺は、店のおばあちゃんにそれとなく尋ねてみた。

 

「最近、西野は、その…どうですか?」

 

「ああ、西野ちゃんね。頑張ってるわよ。でも、孫はフランスに戻っちゃったから寂しいわ。」

 

「……え?」

 

 じゃあ、違う? でも、前とは雰囲気が変わっているのは確かだ。

 

 気になった俺は、彼女のバイト終わりを待つことにした。

 

 店を出てきた西野を見つけ、声をかけようとした。しかし──

 

 彼女は俺に気づくことなく、すぐにどこかへ向かっていった。

 

(……どこへ行くんだ?)

 

 俺は彼女の後を追った。

 

 数分後、ある場所で足を止める西野。そこには、一人の男が立っていた。

 

(あいつ……誰だ?)

 

 遠目から見ていると、彼女は男と楽しそうに話しながら歩き出す。距離が妙に近い。

 

 まさか……。

 

 そして、二人はある建物の前で立ち止まり、周囲を気にしながら、軽く唇を重ねた。

 

 俺の心臓が、冷たく沈んでいく。

 

(嘘だろ……?)

 

 西野は、そのまま男と肩を寄せ合いながら、ラブホテルの中へと消えていった。

 

 思わず、足がすくむ。

 

(……なんで……?)

 

 目の前で起こったことが信じられなかった。

 

****

 

 ぱちゅん! ぱちゅん! ぱちゅん! ぱちゅん!

 

 「これでつかさも、俺の女だ。もう、真中と連絡取ったりするなよ。」

 

 「うん、わかった……❤ もう連絡はとらない……❤ 

  だからお願い……❤ もっとつかさを気持ちよくして……❤」

 

 「よし、いい子だ。オラァァァ!!!」

 

 「イ、イクゥゥゥゥゥゥゥ……ッ❤❤❤」

 

ぷっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

(ごめんなさい、淳平くん……私、もうこの人のモノになっちゃった❤)




今回、短編形式で作成してみましたが、いかがだったでしょうか?

好評であれば、次も書いていきたいと思っています。おそらく「東城あや、北大路さつき、外村美鈴」の誰かになるかと思いますが。

ぜひ、コメントを頂けると嬉しいです。
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