「初めまして、私の守護者様!」
「何言ってんだお前」
「へっ……!?」
気が付けば目の前に居たロリにへんてこりんな事を言われたら辛辣な物言いになっても仕方ないと思う。
固まる謎の幼女を放置して取り敢えず周囲を観察すると、石レンガで壁も床も天井も作られた、大体六畳ほどの大きさ部屋に俺は居るようだった。丁度、ロリの真後ろに
後ろに視線を向けると、緑色に淡く光りながらゆっくりと自転している六角柱状の結晶体が浮かんでいる。
「あ、あのお……」
「ん……?」
声を掛けられ視線を結晶体から戻すと、おどおどした様子のロリが俺を見ている。
改めてロリを見ると、整った顔立ちに透明感のある白玉の様な肌。白にも見える、腰ほどまでの長さの銀髪に愛らしいアーモンド型の碧眼。服装は白いシースルー生地のキャミワンピを素肌に纏っているだけで、上着や靴などを身に着けている様子はない。
「えーっと……誰?」
「あっ、はい!私はこの迷宮のダンジョンマスターの、ティナです。守護者様!」
「その守護者様って……なんなの?」
ぱぁっと、花が綻ぶような笑顔を浮かべていたティナは「えっ?」と戸惑う様子を見せる。
「あ、あのぉ……。守護者様、少し自分の内側に意識を向けて見てください。そうすれば分かりますので」
「は?そんなの分かるわけ……いや分かるわ」
疑いながらも守護者とは何かと考えると、それにまつわる知識を思い出すかのように理解した。
「何この感覚。すっげぇ気持ち悪い……」
「だ、大丈夫ですか!?」
アワアワと慌てるティナに身振りで落ち着けと伝えながら、知識を改めて確認する。
この世界、フォルテシアは俺の居た地球とは異なる世界。所謂異世界であり、剣とか魔法とか魔物とか、そういう物があるテンプレートなファンタジー世界である。
そして、ティナはこのフォルテシアにて
ダンジョンマスターは生物というよりは現象と言うべき存在で、その本質は精霊に類する魔物である。
ダンジョンマスターはその名の通り、自身の領域として迷宮と言う小さな異世界を生み出すのだ。
これだけ聞くと凄まじい存在のように思えるが、ダンジョンマスターははっきり言って弱いのだ。下手するとそこらの五歳児にボコボコにされてしまう程に弱いのだ。
その上、見た目は見目麗しい上に迷宮を生み出す力を持っているため、人間から狙われる。
また、魔力を多分に保有する為、他の魔物からも狙われるのだ。
そのため、ダンジョンマスターは自身の迷宮を生み出すと守護者と呼ばれる存在を召喚する事で自身の身を守るのだ。そして、迷宮に侵入してきた魔物や人間を守護者が殺し、魔力を取り込む事で迷宮を成長させていく。
迷宮が育てばダンジョンマスターも成長していき、出来ることも増えていく。
こうしてある程度まで育っていった迷宮とダンジョンマスターは、逆にこの世界での強者となれるのだ。
「……とは言っても俺、戦う力なんてないぞ?」
「……へ?」
俺の言葉に動きを止めるティナ。俺の近くに浮かんでいた結晶体……ダンジョンコアに触れて確認すると、膝から勢いよく崩れ落ちた。
「そ、そんな……。私、まだ生まれたばかりなのに死んじゃうんですか……?」
「……なんかごめん」
「……いえ、守護者様は悪くありませんよ」
「ははは……」と乾いた笑いをするティナに申し訳なく思っていると、
「……あ、そうだ。守護者様」
と、顔を上げてティナが声を掛けてきた。
「なんだ?それと守護者様じゃなくて、名前で呼んでくれ。俺は田中 幸人だ。よろしく」
「あ、はい。よろしくお願いしますユキト様。……ではなくて!!これってどう意味なのでしょうか?私にはよく分からなくて……」
そう言って、ティナが再びダンジョンコアを操作すると、ブオンッと空中にモニターのようなものが投影された。
「これは……」
「ユキト様のステータスです。それで、この称号の欄なのですが」
ティナが指差した所を見てみると、
RACE:守護者Lv.1
JOB:守護者Lv.1
STATUS
STR:0
VIT:0
INT:0
MND:0
AGI:0
DEX:5
LUK:10
SKILLS
称号
【ダンジョンマスター:ティナの守護者】
【異世界人】
【ガチャ廃人】
と、あった。取り敢えず、何故称号だけ漢字なのか。とか、俺のステータス、運意外0かよ。とか、誰が【ガチャ廃人】だ。とか色々言いたくなることはあったが、話が進まないので我慢して確認すると、
【ダンジョンマスター:ティナの守護者】
ダンジョンマスター:ティナの守護者として召喚された者の証。
ダンジョンマスター:ティナと迷宮の管理権限を共有する。
【異世界人】
フォルテシアとは異なる世界からやって来た魂に与えられる称号。
一部スキルが拡張される。
【ガチャ廃人】
ガチャと呼ばれる物に傾倒し過ぎた者の証。
一部スキルの効果が変化する。
と書かれていた。
「あの、何かわかりました?」
「……全く分からん!」
俺の答えに「まあ、そうですよねぇ」とティナはガックリと項垂れたのだった。