※この作品はR-18です。

音無提督の艦娘救済道~ハーレム仕立て   作:笠三和大

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今週からは南西諸島海域……2のステージに行きますね。


進撃

 皆が演習や掃討に従事する2日間の間に、新しく増えた仲間のため、食料や資源(この場合の資源は燃料や弾薬だけではなくて、いわゆる生活用品)の手配を済ませた音無は、ようやく眠りについていた。

 というか、一気に十数人増えたのだから当然と言えば当然だ。

 幸いなことに艦娘たちの多くは、寮の修繕や畑仕事なども手伝ってくれるようになっているため、労働力としてもある程度確保できたというべきである。

 畑の害虫対策として、チャーの作った某アイドルでお馴染みの無農薬農薬を艦爆に積んで散布。馬力の強い戦艦や重巡などは重い資材を運び込んでさらに修繕についても学ぶなど、独自の方向性を見つけつつある。

 これまでの艦娘たちに加えて、睦月型や特型駆逐艦の大半が旗下に加わったことになり、すっかり大所帯となっていた。というか、序盤ということを考慮しても多過ぎである。

 それもこれも、鎮守府のある島で鋼材とボーキサイトが産出するからなのだが、燃料や弾薬も近くの島から補給ができているうえに、チャーが『原料があれば作れるようにしておきたい』といって加工工場も建設させているところであった。

 加工工場が完成すれば、万が一加工した燃料・弾薬を補給できなくても、原材料を手に入れるだけである程度は補給が可能となる。

 チャーはそれを見越して、今のうちにと大量の燃料や弾薬の原料を搬入させ、備蓄させているのだった。

 これにより、SSS鎮守府は食料を除けばある程度の自活が可能なレベルに至るのだった。

 そんなある日の朝、音無が日の光を浴びて目を覚ますと、その隣では千歳が美しい裸身を布団に包みながら眠っている姿が目に入った。

「……キレイだ」

 音無は朝目覚めた本能から、つい千歳の豊満な胸部装甲に手を這わせる。

 昨晩もたっぷりと愛し合ったにもかかわらず、音無の主砲は既に充填済みであった。

 摘まんだ乳首の先端から母乳が滲むと、思わず吸い付いてチュウチュウと吸い出す。さらに、主砲の先端を千歳の秘所に宛がうと、ゆっくりと挿入した。

「んんっ……」

 千歳が身じろぎするが、まだ起きる気配はない。昨晩も長い時間体を交えたせいか、かなり疲れさせてしまったのだ。

 そのため、音無がピストンをしても、顔を赤らめるだけで起きないほどであった。

「あんっ……提督ぅ……らめれすぅ、ちゅうちゅうしながらじゅぼじゅぼしないでくらしゃい……」

 どうやら、夢の中でも音無に抱かれているらしく、『ダメ』と言いつつ寝ぼけながら音無を抱き寄せていた。

「千歳っ……うぅっ……‼」

 

 

――ビュウッ!ドクドクドクッ‼――

 

 

「んんんっ……」

 すると、千歳が軽くビクビクと震えるのを感じた。どうやら、千歳も夢の中で強く絶頂したらしい。

 すると、流石に快感が強かったのか目が覚めたようで、音無の主砲が自分の膣内に『ずっぷり』と挿入っているのを見て、少し頬を膨らませた。

「提督……寝ている女の子に挿入れるなんてヒドイですぅ……」

「す、すまん。千歳があまりに魅力的だったもんでつい……」

「もうっ……そんなこと言われたら怒れないじゃないですか……」

 途端に千歳は膣内を『キュウッ』と締め上げ、音無に快感をもたらす。

「だったら、私にもまだいっぱい出してください。中途半端は嫌ですよ?」

 その後、もう1時間ほどイチャイチャしたのだが、身支度を整えた後で外へ出たら、大淀が真っ赤な顔で『おはようございます』と言ってきたため、2人もまた、顔を真っ赤にしながら挨拶したのだった。

 

 

 音無と千歳がそそくさと食堂へ向かうのを見た大淀は、いつの間にか自分の股間に手を伸ばしていた。

「はぁ……千歳さんが羨ましいです……」

 大淀が手を伸ばした股間は既に濡れている。実は、音無と千歳が初めて結ばれた日の翌朝も大淀が音無を起こしに来たのだが、その時に2人の全裸を見てしまったことで2人の関係を察していた。

 今となっては鎮守府内で音無と千歳が想いあっているのは周知の事実だが、そんな状況でも音無のことを狙っている……もとい結ばれたいと思っている艦娘は結構……いや、かなり多いのだ。

 如月や陸奥はお色気を振りまいて音無を困らせているように見えるが、姉妹に音無のことを話す時はとても楽しそうにしているし、妙高や榛名、さらに想いが強いのは神通に鈴谷、摩耶などの古参メンバーも音無のことをかなり意識しているようであった。

 そして、それは大淀も例外ではなかった。

「……提督は、こんな可愛げのない女でも受け入れてくれるでしょうか……」

 正直、大淀は自分のスタイルにあまり自信がなかった。

 日本人女性として考えると背はスラリと高く、体もスレンダーで細身のモデル体型と言っても差し支えない大淀だが、その分胸部装甲は同じくらいの排水量の大型軽巡(この場合は阿賀野型の上3人)や小型重巡(古鷹型や青葉型、鈴谷と熊野)に比べるとかなり薄い。

 そんな自分とは異なり、給油艦の能力も持っていた千歳は豊満なおっぱいを持っている。どうやら音無も、そんな千歳の母性の象徴とも言えるおっぱいに癒されている部分があるらしく、その点も羨ましい。

「はぁ……」

「どうしたの?」

 ハッと振り向くと、ゆりがいつもの恰好(SSSの制服)で立っていた。

「お、おはようございます。仲村さん」

「おはよう。で、音無君がどうかしたの、大淀?」

「あっ、いえ……その……」

「……ふぅん。そういうこと」

 大淀は足早にその場を立ち去ったが、ゆりに悟られたことは疑いようもなく、大淀は顔を真っ赤にするのだった。

 そんな一幕はあったものの、音無は行動に皆を集めた。

「皆、ここ数日の掃討・警戒、ご苦労だった。現れる敵もほとんどいなくなったことを考慮して、いよいよ次の海域に進みたいと思う」

 次の海域という言葉を聞いて、艦娘たちの顔が引き締まる。

「次の海域……南西諸島海域には、航空母艦と戦艦を中心とした打撃群を送りたい。だが、チャーからの話によると、今後の海域の中には編成に制限がかかる海域も増えてくるという。軽巡や駆逐艦の面々も、練度の向上を怠らないで欲しい。皆の力は、きっと様々な形で役に立つ時が来るはずだ。だから、頼んだぞ」

 艦娘たちは足を揃えて『了解‼』と返事した。

 音無が講壇から降りて執務室に向かおうとした時、鈴谷が呼び止めた。

「提督、ちょーっといいかな?」

「どうした、鈴谷?」

 鈴谷はなぜか、恥ずかしそうにモジモジしている。

「実は、さ。鈴谷、練度35になったから、航空巡洋艦に改装できることになったんだ」

「あぁ、もうそんな練度か」

 鈴谷の話を聞いて執務室に入りデータを確認してみると、榛名も既に35に達しており、他にも練度20で改装可能な駆逐艦もいる。というか、序盤だというのに演習や掃討で練度が上がり過ぎているのである。

 『石橋を叩いて渡る』とは言うが、音無のそれは少々常軌を逸しているように見える。

 だが、その根底には自分が無茶をさせてしまったことによって、死期を早めてしまった妹への想いが根付いていた。

 艦娘たちも準備ができていないまま突入させて、その結果轟沈するようなことにでもなったら目も当てられないと音無は考えていたのである。

 さらに、千歳と千代田に関してももう35に達しているので改装可能であった。

 これにより、彼女たちは搭載量が50機を超える軽空母となる。これにより、千歳たちは低燃費でそれなりの戦いをすることができるようになるため、強力な潜水艦が相手でも十分に戦えるようになる。

「よし、出撃する前に皆の改装をしないとな。瑞雲だって、チャーが作ってくれた高性能型に換装すればさらに高い能力を発揮できるだろうな」

「やーるじゃん♪」

 工廠へ向かい早速改造してみると、左手に航空機搭載甲板を持った姿で出てきた。

「おぉう!これで熊野にゃ負けないねぇ~」

 装備は以下となる。

 

 

○ 20.3cm連装砲(搭載×5)

○ 21号対空電探(搭載×6)

○ 瑞雲(搭載×5)

○ 未装備(搭載×6)

 

 

 航空巡洋艦となったことで、瑞雲系列を含めた水上機を運用可能になったことはとても大きい。1ー3まであれば、基本的に空母なしで制空権を取れるからである。

 つまり……

「よし、じゃあ早速装備の換装だな」

 最上型4隻は15.5cm三連装砲がフィット砲になっているため、こちらを装備しよう……と、した時、チャーがひょっこり顔を出した。

「なにやってんだ?」

「あぁ、鈴谷が改装できたから三連装砲装備してやろうと思ってさ」

「……じゃ、こいつもつけるか?」

「え?」

 チャーが見せたのは、『瑞雲12型(六三四空)熟練』……そう、瑞雲系列の中では名実ともに最強とも言える装備であった。

「え……ま、まさか!これ造ったの!?」

「あぁ。瑞雲一二型のあちこちをいじくり回してたらどうにかなったぞ?」

「「……」」

 音無も鈴谷も呆れてものが言えない。だが、強化装備はありがたいのでせっかくならばと装備させてもらうことに。

 

 

○ 15.5cm三連装砲改(×5)

○ 瑞雲12型(六三四空)熟練(×6)

○ 8cm連装高角砲(×5)

○ 瑞雲12型(六三四空)熟練(×6)

 

 

「おぉぅ!これで熊野にゃ負けないねぇ~」

「それさっきも言わなかったか?」

 ツッコミを入れると、鈴谷と合わせて工廠入りしていた駆逐艦や軽巡の一部が改装し『改』の状態になっていた。

 軽巡洋艦の中でも最古参で、演習と実戦を繰り返していた『神通』の練度は既に35を超えており、彼女も改装されている。

「うおっ、装備が一気に増えてる!」

「はい。軽巡は改装することで偵察機や魚雷発射管を持参する場合が多いんです」

「なるほど……これは確かにすごいな」

 素の神通は『14cm単装砲』が1つ装備されているだけだったが、スロットが2から3に増え、以下となっている。

 

 

○ 14cm単装砲(×1)

○ 61cm四連装(酸素)魚雷発射管(×1)

○ 零式水上偵察機(×1)

 

 

 魚雷の代わりに副砲か主砲を装備してやれば、弾着観測射撃も可能になっていた。

 ただし、神通は夜戦においてその真価を発揮するため、夜戦向けの装備を整えてやった方が有効だろう。

「よし、今度の海域には軽巡を混ぜた混成艦隊にするかな?戦艦と空母も大事だけど、水雷戦隊も重要だ」

「ありがとうございます」

 神通はどことなく嬉しそうだ。穏やかに見えてもそこは艦娘。やはり実戦の場に出たいという思いがあるのだろう。

 チャーが開発した長距離偵察機の情報によると次の海域……南西諸島海域のカムラン半島では、戦艦こそ出てこないらしいが主力艦隊が空母ヲ級になっているという。

「つまり、制空権の確保こそが勝利に繋がるってわけか……よし」

 悩んだ結果、編成は以下となった。

 

 

○ 蒼龍 試製烈風 後期型×12・試製烈風 後期型×27・彗星一二型甲×18・二式艦上偵察機×7

○ 瑞鶴 彗星一二型甲×21・流星改×21・流星改×21・彩雲×12

○ 神通 15.2cm連装砲・15.2cm単装砲・61cm四連装(酸素)魚雷発射管

○ 鈴谷 15.5cm三連装砲・瑞雲12型(六三四空)熟練・8cm連装高角砲・瑞雲12型(六三四空)熟練

○ Scharnhorst 以前と同様

○ 榛名 試製35.6cm三連装砲・15.2cm単装砲・Fumo25レーダー・三式弾

 

 

 以上の編成である。以前扶桑と陸奥が航空攻撃を受けたことを覚えている音無は、榛名に三式弾とFumo 25レーダーを装備していた。

 これで大幅に対空数値が上昇し、対空カットインを起こしやすくなる。

他の艦娘も演習に加えて取り戻した海域の警戒や掃討に赴いており、鎮守府内はすっかり騒がしくなっていた。

「よし、これより主力艦隊は出撃する!」

「了解‼」

 旗艦の蒼龍が元気よく返事をすると、6人の艦娘は勢いよく飛び出していった。

 

 

――カムラン半島

 航行する艦隊は随時索敵機を飛ばして敵の姿を探す。

「どう、蒼龍さん?」

「う~ん、今のところ……」

「偵察機より入電!」

 声を上げたのはScharnhorstであった。

「『敵前衛艦隊確認。内訳ハ重巡リ級2隻、駆逐ロ級4隻』とのこと!」

「正しく前衛艦隊だねー。よし、艦載機飛ばそっか」

 蒼龍と瑞鶴は弓を構え、さらに鈴谷が左腕の飛行甲板を構える。

「対空警戒を厳として、よろしくねっ♪」

 蒼龍が発艦させた烈風は編隊を汲んで飛行していく。相手に空母はいないため、そのまま余裕で制空権の確保ができたのは大きい。

『オラオラオラ!』

『ツッコメー!』

 急降下した彗星一二型甲と瑞雲12型(六三四空)熟練、超低空から仕掛ける流星改の攻撃が敵艦隊を挟み込み、大爆発を発生させた。

「艦載機より戦果報告‼敵艦隊全滅‼」

 戦艦がいないとはいえ、初めて敵艦隊を航空攻撃だけで全滅させてしまった。MVPは、当然ながら瑞鶴である。

「うわぁお。すごいじゃーん!」

「っていうか、艦載機の能力がこの付近の海域にしては強すぎるのよね……」

 瑞鶴が呆れたように言うと、それには同意見だったのか神通や榛名も苦笑いする。

 そして、前回も空母の集団運用による強烈な攻撃力を目の当たりにしていたScharnhorstは改めて呟く。

「すげぇ……第三帝国も戦艦より空母と艦載機を配備・整備した方が、ブリテンとの戦いでもよっぽど戦えたんじゃねぇかな……」

 実際にはイギリスとの水上艦艇戦力に差があり過ぎたため、ドイツが建造を予定していた空母『Graf Zeppelin』だけでは不可能だったと言えばそこまでなのだが、もしも戦艦を抜きにして空母とその護衛艦艇を充実させて、乗員に戦闘の意思を強めさせていたとすれば……と考えるのも面白いと言えば面白い。

「んじゃ、各艦は速度を落として艦載機の補給、よろしくねっ」

 しばらく航行していると、また偵察機から報告が入った。今度は鈴谷が飛ばしていた瑞雲12型(六三四空)熟練だった。

「敵艦隊発見!『軽母ヌ級3隻、重巡リ級1隻、駆逐ハ級2隻』だよっ!」

「艦載機も補給完了してるわ‼」

「行けるよー!」

 瑞鶴と鈴谷から声が上がると、蒼龍が合図する。

「じゃ、またよろしくねっ♪」

 艦娘たちが艦載機を飛ばすと、それに気付いたヌ級も艦載機を飛ばしてきた。だが、軽空母が3隻集まった程度では、正規空母に搭載された烈風(2スロ分、30機以上)にはまるで及ばない。

 ほぼなにもできずに全機撃墜され、呆気なく制空権を取れてしまった。

『セイヤー!』

『セイハー!』

「攻撃隊より入電!『軽母ヌ級2隻、駆逐ハ級2隻撃沈!軽母ヌ級1隻大破、重巡リ級中破』だって!」

「流石に全滅とはいかなかったわね」

「しょーがないよー。数も多かったしー」

 鈴谷の言葉を受けて皆で苦笑いしつつ、敵艦隊との戦闘に突入する。

「榛名、全力で参りますっ‼」

 榛名ややScharnhorstから観測機が飛び立つと、敵艦隊の上空で旋回を始める。一気に中距離に近づいたところでリ級が砲撃を開始するが、中破して精度が落ちているのか、かなり散布界が荒くなっている。

「空母は獲物ォ!放てぇ‼」

 Scharnhorstの掛け声と共に一斉射すると、大破したヲ級も、中破したリ級も呆気なく轟沈していった。

 その様子に神通はホッとしている。

「今回も損害なく倒せましたね」

「まぁ、あの提督さんだと『それでも帰るまでが出撃だ』とか言って、油断させてくれなさそうだけどね」

「確かにっ」

 艦隊はそのまま索敵を続けつつ前進すると、艦載機の補給が終わったところで瑞鶴の顔が変わった。

「偵察機より入電!『敵主力艦隊発見!空母ヲ級2隻、軽母ヌ級1隻、重巡リ級1隻、軽巡ヘ級、駆逐ニ級各1隻』とのこと!」

 敵艦隊の正規空母が2隻、さらに軽空母も1隻加わっているというのを聞いて、少し緩んでいた全員の顔が引き締まる。

「流石に手強そう、ですね」

「水上砲戦ならまず負けねぇけど……蒼龍姐さん、制空権取れそうか?」

 Scharnhorstの方が着任は早かったが、今回の戦いですっかり空母の力を見せつけられたらしい彼女は、すっかり空母娘のことを尊敬していた。

「ま、やってみなくちゃわからないでしょ。じゃ、行こうかっ!」

 烈風が飛び立つと、ヲ級も艦載機を多数飛ばしてくる。

 これまでにない激しい航空戦闘が繰り広げられた。その結果は……

「航空隊より入電!『制空権確保』とのこと!」

「おぉ、烈風2スロだと制空権取れちゃったかー」

 鈴谷の嬉しそうな声のあと、水平線の向こうから爆撃音が響く。

「攻撃隊より戦果入電。『空母ヲ級1隻中破、1隻小破、軽母ヌ級轟沈、重巡リ級大破、軽巡、駆逐ともに轟沈』とのこと!」

「ヲ級が1隻小破かぁ……これ、飛ばしてくるね」

「だからって負けられるかよぉっ」

 Scharnhorstの強気な言葉に全員が頷くと、そのまま戦闘に突入する。

「敵空母発見、砲戦開始‼」

 平均速力30ノット以上の艦隊はあっという間に超長から長へと移行する。戦艦級の砲撃であれば2隻を一度に攻撃することも可能だが、できる限り正確を期すべく、やはり中距離まで接近することにする。

 だが、それを見逃すヲ級ではなかった。

「敵艦載機発艦!対空戦闘用意‼」

 一番目の良かった神通の台詞を受けると、高らかなラッパの音と共に榛名が金色の輝きを放ち始めた。

「榛名、全力で参りますっ‼」

 その時、榛名は主砲で狙いを定めて三式弾を発射した。空中で三式弾は派手に炸裂し、敵編隊の半分以上を一撃で叩き落とす。

「敵機残数僅か!」

 榛名が再び狙いを定めて三式弾を発射すると、敵編隊は炎上しながら全て落ちていった。

「敵機全機撃墜を確認しました‼感激です!」

「すごいな!これが日本の開発した対空主砲弾か‼」

 Scharnhorstを始めとするドイツ艦は基本的に対空能力が低いこともあり、このようなことができる榛名が羨ましいようだ。

「いえ、今回は運が良かったです。敵編隊が大分密集していましたから」

「恐らく空母か戦艦を狙ったのね。でなければあそこまで集中はしないと思う」

 瑞鶴の冷静な分析に、面々は頷いた。

「さぁ、一気に仕掛けるわよ‼」

 最大船速で接近しつつ副砲を撃ちかけ、敵艦の混乱を誘ったところで、全艦の照準がピタリと重なる瞬間が来た。

「空母は獲物ォ!放てぇ‼」

 Scharnhorstの号令と共に放たれた砲弾は、3隻とも大打撃を与えて轟沈させることに成功した。

 本来であれば損害の一つでも覚悟していたが、榛名の三式弾と対空電探のお陰でかなり有効な対空戦闘ができたのが大きかったようだ。

「やったわね、皆」

「蒼龍さんが制空権を取って、瑞鶴さんが敵艦隊の半数を沈めてくれたからですよ」

 瑞鶴の言葉に榛名が返すと、先頭を行く蒼龍がなにかを見つけた。

「あれ、艦娘かなぁ?」

 近づいてきたのは、駆逐艦と思しき艦娘だった。

「どこかの鎮守府の艦隊ですか?」

「そうだよ。あなたも来る?」

「はい。ぜひご一緒させてください」

 彼女はいったい誰なのか……。

 

 

 鎮守府に帰投した一同は、早速補給にかかる。

 一方、旗艦だった蒼龍は音無に仲間になった子を合わせることにした。

「この子が今日見つけた子?」

「はい、そうですよ」

 その女の子は表情を引き締めて『キリッ』と擬音がしそうな勢いで敬礼した。

「駆逐艦、朝潮です。勝負なら、いつでも受けて立つ覚悟です」

 朝潮型駆逐艦。それは、『性能の安定した量産型駆逐艦』として多数が建造されたタイプである。

 陽炎型や夕雲型などの後期型駆逐艦を除けば、最も多いと言えるだろう。

「そうか、俺は提督の音無だ。よろしくな?」

「はいっ。全身全霊で頑張りますっ‼」

 かなり頑張り屋なタイプであるらしく、音無は『行き過ぎないといいけどな……』と心配していた。

 すると、執務室に龍田と長良が入ってきた。

「おぉ、龍田に長良か。どうだった?」

「特に異常なしです~。イ級ばっかりでしたよ~」

「問題ありませんでしたっ」

 彼女たちの後ろには、7人の艦娘が並んでいた。

「クマー。よろしくクマー」

「よっ、アタシは重巡、加古ってんだー」

「特型駆逐艦、綾波型の『潮』です。もう下がってよろしいでしょうか……」

「川内参上~!夜戦なら任せておいてよねっ!」

 6隻は日本の軍艦だったが、最後は明らかに違った。

「欧米系、だな?」

「ひっ……あ、あの……ぱ、Perth級軽巡洋艦の、2番艦で、Sidney、です……」

 正直に言ってかなりオドオドしており、先ほどの潮以上に挙動不審だ。

 見た目は軽巡洋艦というだけあって細身で背が高いモデル体型のようで、顔立ちも整っていることからかなりの美形だと言える。

 だが、Sidneyはそんな美しいはずの顔を歪ませながらオドオドしているのだ。

「な、なぁ。どうしたんだ?そんなにビクビクされたら話もできない……」

「すみませんすみませんっ‼私なんかがこんな場所にいてすみませんすみませんっ‼」

 突然情緒不安定になって謝り出したSidneyに、音無も他の艦娘たちもどうしてやることもできなかった。

「(参ったなぁ……これ、インディよりもひどいかもしれないぞ……この子も相当深い事情がありそうだな……)」

 音無は鎮守府に備え付けられた通信機で工廠にいるチャーを呼び出した。

 そして、わずか3分でチャーは駆け付けた。

「おっす。今日もかなり出会ったみたいだが……その子は?」

「軽巡洋艦のSidneyだってさ。Perth級って言ってたけど……どこの船?」

 チャーは目を見張り、『また珍妙な奴が来たな』と呟いた。

「あー、その、なんだ。Sidneyは軍艦としては異例の艦歴を持っていてな……」

「異例な艦歴?戦艦なのに通商破壊をしていたシャルや、原爆のパーツを運んだインディ以上にか?」

「ある意味、な……軍艦として、不名誉極まりない最期を迎えているんだ」

「不名誉?自爆による沈没……って、それなら陸奥がいるか」

 すると、シドニーは『ひっ、ひっ……』と言いながら泣き出してしまった。

「ごっ、ごめんな、さい……軍艦なのに……貨物船に負けて……ごめんなさい……」

 『貨物船に負けた』という単語に、その場にいた全員が反応した。

「貨物船?貨物船が大砲を搭載していたってのか?」

「あぁ。ドイツの仮装巡洋艦……つまり貨客船に武装を施して、装甲と速力以外は軽巡並みの能力を持たせた船、『Kormoran』と撃ち合った結果、相討ちになったんだ。だが……シドニーは初手で被った損害が大きかったことが影響したのか、645人の乗員全てが、海の底に吞まれちまったんだ」

「それって……」

「あぁ。生存者のいたインディアナポリスよりもはるかに酷い。これは、シドニーの所属していたオーストラリア海軍でも特にひどい人的損失だったこともあって、同国の海軍に大きな士気低下の影響をもたらすことになったんだ」

 Sidney

 今チャーが説明した通り、彼女はオーストラリア海軍所属の6000tを超える大型軽巡であった。

 就役したのは1935年と、日本が太平洋戦争開戦までに建造した軽巡洋艦よりもかなり新しい。具体的には、1941年に進水した『遅れてきた水雷屋』の阿賀野型に近い兵装を持った、高い能力を持つはずの軽巡であった。

 だが、1941年11月19日。彼女はオーストラリア大陸西部のインド洋において、オランダ船に艤装していたドイツの仮装巡洋艦Kormoranを発見した。

 1kmから2kmの距離まで接近したところで、Kormoranが隠していた大砲と魚雷発射管を出現させ、それを用いて一斉に攻撃を開始した。

 その結果、初弾から艦橋や魚雷発射管付近の命中弾を出し、さらに射撃指揮装置も破壊したことによって、わずかな時間で前部主砲2基4門は動かなくなってしまった。

 もっとも、そんな状況にもかかわらずSidneyは後部の主砲2基でKormoranを攻撃し、Kormoranにも大損害を与えていた。

 これにより両者は損害を大きくしたことによって沈没するのだが、問題はここからだった。

 Kormoranの生存者は400人の乗員中317人と言われており、8割近くが助かっているのに対して、Sidneyは生存者皆無という状態であった。

 一説によると、Kormoranの乗員が話すドイツ語だけでは、海戦の詳細な状況が分からなかったらしく、オーストラリアに対して大きな混乱を与えることになったという。

 それを聞いた音無は確信した。

「つまり、Sidneyの『後悔』はそこか」

「恐らくな。1隻の破損した救命艇以外には、70年近くが経過して海底調査で船体が見つかるまではなにも情報がなかったっていうから……乗員全てが死んじまったというのが最も心残りなんじゃねぇかな?」

 改めて、表示されたSidneyのパーソナルデータを確認した。

 

 

○ 耐久・29

○ 装甲・17

○ 回避・33

○ 搭載×3

○ 速力・高速

○ 射程・中

○ 火力・24

○ 雷装・20

○ 対空・24

○ 対潜・15

○ 索敵・9

○ 運・3

 

 

 そう、運以外の数値に関しては阿賀野型に匹敵する高性能艦なのである。

 ちなみに、CVは姉と同じ声帯の妖精さんと思ってください。

 そして、武装は以下となる。

 

 

○ 6inch連装速射砲Mk.XXI(×1)

○ 53cm四連装魚雷発射管(×1)

○ 未装備(×1)

 

 

 なんと、阿賀野型同様に最初から3スロットを持っている軽巡であり、索敵と回避の値が低いことを除けば様々な応用が利くだろう。

 だが、とにかく運の数値が低い。陸奥と同じ3というのは、低すぎると言っても過言ではないだろう(さらに低い大鳳や、1高いGraf Zeppelinもいると言えばいるが、正直に言ってどんぐりの背比べだろう)。

 恐らく、『仮装巡洋艦との戦いで相討ち』になり、『乗員全員が死亡した』という点が運方面で大きく影響しているのだろう。

 だが、同じようにネガティブだったIndianapolisとの会話である程度耐性の付いた音無は、特に動揺することもなくSidneyに近づいた。

「シドニー」

 呼ばれたSidneyはビクッと肩を震わせて、またしゃくりあげる。

「そんな泣いてばっかじゃ、美人が台無しだぜ?」

「でッ、でもっ……私……ホントに役立たずで……貨物船なんかに負けちゃって……」

 すると、音無はIndianapolisにしてやったようにSidneyを抱きしめた。

「大丈夫だ。お前は確かに、昔大事なものをいっぱい失ったかもしれない。でもな、今のお前は艦娘だ。ここではかつての国のしがらみとかは一切ない。皆仲間で、家族なんだ」

「かぞ、く……」

「あぁ。そんな家族を守るのに、弱かったり、運が悪かったり、相手のことをなにも知らなかったとしても、それはなにもしない理由にはならない。この鎮守府でなら、お前にもできることはいっぱいあるはずだ」

「私に、できること……」

「そうだ。だから、もう泣かないで、前を向いてくれ。そして、新しい仲間たちを守るために、お前の力を貸してくれ」

 音無の真っすぐな瞳は、Sidneyの心にかかっていた雨雲を取り払ってくれた。

 Sidneyはやや泣きはらした目ではあったが、その目元を引き締める。

「情けない姿をお見せしました。Perth級軽巡洋艦2番艦のSidney、ただいま着任します‼もう騙されませんし、負けませんっ‼」

 その一言で、その場にいた艦娘たちも笑顔になるのだった。

 特に、今回彼女を連れてきた長良の艦隊に所属していたIndianapolisは彼女のことが他人とは思えなかったらしく、今後なにかと世話を焼いてやることが多くなるのだった。




と、いうわけで今回もクセのある子が着任しました。
草田草太先生がご存命であれば、この子も出てくれたかと思うと無念でなりません。
如月たちのように可愛らしいキャラクターを描いてくれたこと、とても素晴らしいことです。

惜しい人をなくしました。
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