※この作品はR-18です。

音無提督の艦娘救済道~ハーレム仕立て   作:笠三和大

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と、いうわけで今週の投稿なのですが……追いつくにしても時間がかかるなぁと思いましたので、本日このまま5話まで連続投稿いたします。
急に宣言と変わってしまい、申し訳ない(^-^;

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始動、SSS鎮守府!

 音無が執務室へ入ると、幹部たちに加えて千歳と千代田の2人も入ってきた。

 巨大な戦艦娘が艤装を付けたまま入ることを想定しているからか、死後の世界の校長室以上の広さが確保されており、皆で入っても余裕がある。

「さて、それじゃ俺たちはまず深海棲艦と戦うために戦力を整える必要があるわけだが……大淀、この鎮守府の残存資源は?」

「はい。前の提督が倹約を旨としていたこともありまして、それなりに備蓄がございます。燃料2万3150、弾薬2万5200、鋼材4万8740、そしてボーキサイトが4万2620です」

「チャー、これでどのくらい戦える?」

「当面、バカスカ使いまくっても大丈夫なくらいだな。特に鋼材やボーキが多けりゃ建造がたっぷりできる」

「建造……艦娘とは深海棲艦を倒した海域だけじゃなくて、資材を消費することで建造することもできる、だったか?」

「あぁ。『初めての建造』とかも任務に含まれていると思うが……まぁ、そのあたりは大淀に任せよう」

「はい。お任せください。ただ……」

「ただ?」

「以前は任務をこなすことでその報酬として艦娘を派遣していたのですが……本土はともかく、この近辺の戦況の悪化に伴い、それが不可能になりました」

「燃料や弾薬はどう補給すればいい?」

「実は、この島の近く……ボルネオ島に別で、油田と弾薬の元となる物質を産出する島がございます。そこまで『遠征』していただくことで、燃料と弾薬については補給可能となっています」

 大淀の返答に頷く音無。

「となると、今するべきは……やっぱり建造・開発なのか?」

「そうだな。これだけ資源がありゃ、戦艦だって建造できるぜ。ただ、遠征させるには駆逐艦が必要だからな。それらも含めてまず何回か建造をするべきだろう」

「わかった。なにか数値に特徴はあるのか?」

「出やすくなる『レシピ』ってのがある。それを教えてやるから、それでやってみろ」

「よし。で、提督補佐となっている奴ら以外はどうするんだ?」

 チャーが『それについてだが』と付け加えた。

「ギルドメンバーの多くは建築についてなら詳しい。そこで、俺と斎藤以外の連中は基本的に鎮守府諸設備の修繕に当たらせようと思う」

「他の連中は?」

「女子には裏の畑での農作業を、野郎どもには鉱山で鋼材・ボーキの採掘を行ってもらう。恐らくそのために女子・男子まとめて転生させられたんだろうな」

「つまり作業員かよ……どんだけ人手が足りてないんだ……」

「いいじゃないか音無さんよぉ。下手に分からねぇ連中が群がるより、顔が分かる俺たちの方が指示もしやすいってもんだろ?」

 日向が横からウインクして言うと、音無はフッと苦笑して「それもそうか」とこぼした。

「よし、チャーには工廠長として艦娘の建造と装備の開発に就いてもらう。女子はゆりに指揮を任せる。ただし、緊急時に備えて岩沢とひさ子で補佐してやってほしい。ゆりが俺の補佐に入った時、2人でも対応できるようにな」

「ああ」

「岩沢がたまに抜けたこと言うから、あたしもっていうのは正解だと思うよ」

「ああ、ひさ子がいてくれればなにも問題ない」

 岩沢が真顔でそんなことを言うものだから、ひさ子はポッと顔を赤くした。

 そんな、相も変らぬ仲の良さにむしろホッとしてしまう音無であった。「さて」と言うと、音無は並んでいる千歳と千代田に改めて顔を合わせる。

「大淀から聞いているかもしれないけど、改めて……お前たちの提督として着任することになった音無結弦だ」

「水上機母艦、千歳です」

「妹の千代田です」

 2人の女性がピッと背中を伸ばして挨拶をすると、音無は言葉を続ける。

「まず、お前たちに言わなきゃいけないことがある……」

 そう言うと、音無は2人に頭を下げた。

「お前たちのお陰で助かった。本当にありがとう」

 いきなり上官が頭を下げてきたので、千歳と千代田、横から見ていた大淀も慌ててしまう。

「ああ、頭を上げてください提督!?」

 千歳が発言すると、我に返った大淀も加わる。

「そうです提督。艦娘が提督を助けるのは当たり前、それ以前に上官を見捨てるなどあってはならないことです」

「お前たちの言い分を聞けるのも、命令もないのに俺たちを迎えに来てくれたからだ。最初に言っておく。お前たちは、確かに戦争の苦い経験を刻み込んだ軍艦だったかもしれない。だが、今のお前たちは特殊な力を持っているとはいえ人間だ。人間であるからには心を持ち、自分の意志で行動することができる。俺は、お前たちが与えられた尊厳を踏み躙るつもりはない。だから、自分なんかと思わないでくれ。お前たちと言葉を交わせるのなら、俺はその時間を大事にしたい」

 音無がそこまで述べると、一瞬静寂が訪れる。直後、呆然としていた千歳の目じりに涙が溜まっていた。

「あ、すまない。指揮官のクセに、おかしなこと言ったよな」

「いえ、違うんです」

 そう言う千歳は袖で涙を拭うと、何故か笑っていた。

「そんな風に言っていただけるのが、嬉しくて……」

 千歳の発言を聞いて、ゆりが大淀の顔を見る。よく見ると、大淀も目尻に溜めた涙を指で掬い取っていた。

「端的に申しまして、先の提督はとても淡々としたお方で……私たち艦娘も、道具とまでは言いませんが人のように扱っていただけているとは言いにくい環境でした」

「差し詰め、大会社の社長さんが何人もいる平社員を見ているような感じかしらね」

「ですから、帰投後の報告や任務完了のお知らせも、聞いたらそれだけと言う感じで、提督と言葉を交わす時間はどの艦娘もあまり取れておりませんでした」

「だから、感謝してもらえて、私たちも人だって言ってもらえて、私、嬉しくて……」

「お姉」

 また溢れる涙を手で隠す千歳に、千代田がそっと肩を寄せる。

「こんな、胸が温かいの、久しぶりで……」

「そう、だったのか……」

 それを聞いた音無は、そっと千歳の肩を抱いた。

「その提督は、任務遂行に一生懸命で、他のことに気を配るのが難しかったのかもしれない。でも、俺はそんな理由で一緒にいる仲間を粗末にしたくない。俺にリーダーっていうとこを見せてくれた奴に、合わせる顔がないからさ」

 音無はそう言って、ゆりの顔を見る。ゆりは恥ずかしそうに顔を逸らす。

「それに、ここにいるのは俺だけじゃない。話し相手はこんなにいるし、勝手に飛びついてくるじゃじゃ馬もいるからな。これからは胸ん中が火傷するくらい熱くなるぞ」

 音無が微笑みながらそう言うと、千歳は泣きながらも満面の笑みを浮かべ……

「はい、ありがとうございます、提督!」

 思い切り音無に抱き付いてきた。その時、音無は胸板の上で、グニュっと柔らかいものが形を変える感触を覚えた。

「んおぉ!?(なんだ、こいつ腰は細いのに、滅茶苦茶デカい!?)」

 音無の反応を見たチャーは、ケロッとした顔で言った。

「言い忘れたが、水上機母艦……とくに千歳たちは給油艦の能力を持っていた時期もあるから、体格が『すごく』いいぞ」

「先に言ええぇっ!」

 いきなり上がった音無の大声に反応して、千歳はハッとなって離れた。千歳が胸の前で指を寄せ合うと、腕で両側から挟まれた胸も寄せられて、その豊満さを強調していた。

「(上着で見えていなかったけど、こんなに大きかったのか……)」

「も、申し訳ありません提督。その、こんな無駄に大きいの、ご迷惑でしたか?」

「いや、無駄なんてもんじゃないぞ。そんだけ引き締まってるのに出るところ出てるって、むしろ魅力が満載だと思うぞ……」

 音無が真顔でそんなことを言ったので、千歳は赤くなった顔をさらに赤くする。見兼ねたゆりがわざとらしく咳払いをすると、2人ともハッとして姿勢を正す。

「と、とにかく。俺はお前たちが言ってくれることも、やってくれることも無下にしたくはない。もちろん、ダメなものはダメと言う。それは分かっておいてくれ」

 ゆりのお陰で冷静になったのか、千歳は笑顔を浮かべつつもきちんとした態度で礼をした。

「はい、これからよろしくお願いします」

 やっとまとまったところで、音無は最初にするべきことを口にした。

「よし、じゃあまずは工廠へ行こう。建造してみなきゃな」

 音無、千歳、千代田、そしてチャーと日向の5人が工廠へ向かった。

「それにしても音無、随分と受け入れが早いじゃないか?そんなにかなでちゃんに会いたいのか?」

「……そうだな」

 疑問に思ったらしい千歳と千代田がチャーに近寄る。

「あの……工廠長、かなでさん、とは?」

「音無がこの世界に来る前に『死後の世界』と言うべき場所で恋をした女の子だ。見た目は駆逐艦並みの小柄な女の子だが、戦艦以上の戦闘力を持つ女の子でな。俺たち死んだ世界戦線は彼女を神の遣いと勘違いして長い間争っていた」

 千歳がハッと息をのむ。

「そんなことが……」

「あぁ。そんな俺たちを変えてくれたのが音無だった。だが……俺たちが先に成仏し、この世界への転生を待っている間に、音無とかなでちゃんの間には大きなやり取りがあった……ゆりっぺからはそう聞いている」

 即ち、アニメ最終話の最後の場面である。チャーの話に、日向が続ける。

「音無にとってはかなでちゃんのことは心残りだったはずだ……でも、あいつは自分のやるべきことを全うする、やりきることの大切さも知っている奴だ。だから、切り替えられるんだと思うよ」

 そんな話を聞きながら歩いていると、すぐに工廠に到着した。

『オツカレサマデス』

 扉を開けると、妖精さんたちが小さな体ながら笑顔で出迎えてくれる。

「ご苦労さん。早速建造をしたいんだが、案内してくれるか?」

『リョウカイ』

 妖精さんについていくと、大きな『炉』のようなものが目の前に現れた。

「さて……チャーは最初なにを狙うべきだと思う?空母か?戦艦か?」

「それなんだけどな。序盤のある程度までは敵に航空戦力がいないんだ。だから、空母を後回しにして、重巡や軽巡辺りを狙うのがいいかもしれない」

「駆逐艦は?」

「さっき言った通り、海域を開放すると艦娘が現れることもある。この辺だと駆逐艦の方が多いから、そのうち集まるだろう」

「分かった。駆逐艦は勧誘するってことで。じゃあ、レシピを教えてくれ」

「これだな」

 チャーが差し出したメモには250・30・200・30と書かれていた。

「一応これで巡洋艦が出やすくはなるはずだ。あ、ちなみに、ボーキを200以上にすると空母もドロップテーブルに乗るから気をつけろ」

「わかった。その辺りはおいおいやっていくとして……セッティング良し。建造!」

 

 

――ポチッ

 

 

『イッテミヨー』

 直後、炉の中からすさまじい音が響き始めた。

「さて、どうなることか……」

 そしてしばらくすると、『チーン』と言う音が鳴った。

『オワリ』

 そして、扉が開く。そこに立っていたのは、オレンジ色の服にロングヘアーの、どこか儚げな印象の女性だった。

「あの……軽巡洋艦、神通です。どうか、よろしくお願いいたします……」

「おぉ、キレイな人だな」

「川内型軽巡洋艦、2番艦の神通。戦史研究家のサミュエル・E・モリソンからは『太平洋戦争中、もっとも奮闘した日本軍艦』と評されている軽巡でもある」

「そんなにすごいのか!?」

「コロンバンガラ島沖の夜戦において、神通は味方のために探照灯を照らす。当然敵の目標になった神通は集中砲火を受けて沈んでしまった。しかし、そのおかげで他の艦隊は攻撃に集中できて勝利することができたという話だ」

「へぇ~……」

「でも……皆私のことばかり狙うんですもの……ひどいわ」

 流石に集中砲火を浴びたことには思うところがあるらしく、一筋の涙を流した。

 だが、だからこそ音無はそんな神通の肩を力強く、しかし優しく包んだ。

「だったら、この新しい鎮守府でまたみんなのために頑張ってほしい。今度は……沈まないように俺も頑張る。名乗りが遅れたが、提督の音無結弦だ。神通、どうかよろしく頼む」

 音無の意志の強い、光に満ちた瞳を見た神通は、涙に濡れた目ではあったものの、ようやく笑顔を見せた。

「はい……神通、頑張ります」

 そのまましばらく2人は見つめ合っていたが、チャーの咳払いで我に返った。

「あー、その、なんだ。もう1回やってみろ」

「あ、あぁ。すまない」

 音無はバツの悪さをごまかすかのようにボタンを押し込んだ。

『イッテミヨー』

 その音無の姿を見て、神通は質問する。

「あの……この鎮守府って、どういう状況、なんですか?」

「この鎮守府はつい先ほど稼働を始めたばかりでな。お前が建造一番目の艦娘だ」

「そ、そんな栄誉ある立場に私なんかがいちゃっていいんですか!?」

「いちゃっていいもなにも、お前が来てくれたんだからそれでいいと思うぞ」

 堂々とした音無の答えに、思わず神通は胸をときめかせていた。

 すると、後ろから千歳が神通を『ツンツン』とつついた。

「あっ、千歳さんに千代田さん!」

「こんにちは、神通。会えて嬉しいわ」

「お姉以外の初めての仲間、歓迎するよ?」

「えっ、お2人も建造されたのですか?」

 千歳は『いいえ』と言いながら首を横に振った。

「私たちは前の提督の時の生き残りなの。その頃は改二にまでなって軽空母として頑張っていたんだけど……艤装は全部破壊されちゃって、今は初期状態に戻っちゃったの」

「で、私とお姉は音無提督と一緒に頑張るってさっき話してたんだ」

「そうでしたか。では、私も精一杯頑張らせていただきます!」

 先ほどまでの儚げな印象とは裏腹に、急に凛々しい表情を見せた神通。

 と、彼女がそんな風に気合を入れた瞬間、炉の中から『チーン』という音が響いた。

『オワリ』

 再び重々しい音と共に扉が開く。そこにいたのは、神通とはかなり違うが、ロングヘアーでちょっとギャルっぽい少女だった。

「鈴谷だよ!賑やかな艦隊だねー?よろしくね!」

「見た目通りの陽気な子、って感じだな」

「だが、軽そうな見た目に騙されるなよ?これで改装をすると航空巡洋艦と言う艦種に変更されて、偵察機に加えて水上爆撃機『瑞雲』を搭載することが可能になる」

「瑞雲?」

「水上機でありながら250kg爆弾を搭載し、急降下爆撃に加えて空戦も可能とされていた、旧日本軍が作った水上機さ」

 鈴谷は誇らしげに胸を張る。

「すごいでしょー?偵察も、必要なら対艦攻撃だってできちゃう優れものなんだから!」

 張ったお胸は千歳や千代田に負けないくらい豊満に見えて(実際着痩せするタイプの女性)、思わず音無は目を逸らしてしまう。

「ちなみに改装すれば千歳や千代田も瑞雲を搭載できるぞ?」

「ちなみに能力は?」

「あぁ~……詳しくはあとで教える。で、どうする?まだ建造するか?」

 だが、音無は考え込む姿を見せ、『いや』と呟いた。

「確か、武装を開発するのにも資材がたくさん必要なんだろう?だったらここからは開発に充ててほしい」

 音無としては、装備を充実させなかったせいで艦娘が苦戦し、果てには轟沈する……つまり、自分たちのように心残りを持たせたまま志半ばで倒れるようなことにはなって欲しくないと考えていた。

 そして、そんな音無の心をチャーも理解していた。

「わかったよ。じゃ、あとは開発だな。妖精さん、色々教えてくれ」

『オマカセ』

 神通と鈴谷を加えた7人は開発工廠へ入った。

 そこには、様々な兵器の設計図や作りかけの航空機らしきものなどが残っていた。

「そういえば、前の提督ってどうなったんだ?」

 千歳がつらそうに顔を伏せた。

「……泊地を守るべく外で指揮を執っていたところに、敵の艦載機の攻撃を受けて……殉職されました」

「……そうか。前任者も、志半ばで散ったのか」

「はい」

 音無はギュッと拳を握り締めた。

「だったら、今度こそちゃんとやり遂げないとな」

 その言葉に、千歳と千代田のみならず、神通と鈴谷も音無の方を向く。

「俺1人にできることなんて、たかが知れているだろう。でも、皆が一緒にいてくれれば、色んなことができるはずだ」

「提督……」

 すると、鈴谷がニカッと笑うと音無の背中に抱き着いた。当然ながら、制服の下に隠れた豊満な胸が押し潰されて音無の背中に押し付けられる。

「やるじゃーん提督!そういうカッコいいの、鈴谷は好きだなぁ~!」

「ちょっ、おまっ、当たってる!当たってるって‼」

「ん~?あててんのよ」

「テメェワザとか!タチ悪いな‼」

 咳払いして落ち着いた音無は、改めてチャーに質問した。

「で、この開発工廠ではどんなものを作るんだ?大砲とか機関銃は分かるんだが……」

「なんでもありさ。主砲、副砲、機銃、電探、爆雷、ソナー、魚雷、戦闘機、艦上爆撃機、艦上攻撃機、偵察機、水上機、特殊装備など色々な」

「へぇ~……」

「さて、と……最優先するべきは……強化装備だな」

「皆の初期装備ってどんな奴なんだ?」

 チャーは音無に言われてホワイトボードに書き出す。

 

 

○ 千歳&千代田 『零式水上偵察機』×12・『12.7cm連装高角砲』×12

○ 神通 『14cm単装砲』・他1つ空き

○ 鈴谷 『20.3cm連装砲』・『零式水上偵察機』・他1つ空き

 

 

「ってところだな」

「まず強化するべきところは?」

 チャーは更に書き出した。それは、三連装砲だった。

「千歳と千代田、それに神通にこの『15.5cm三連装砲(副砲)』を装備することだ」

「副砲?主砲じゃなくてか?」

「あぁ。千歳と千代田はこの副砲を装備することで『短』の射程が『中』に伸びる。元々、砲弾のリロードには巡洋艦と同じ時間がかかるからな、これで砲撃のタイミングを合わせることができる」

「一斉攻撃か……その方が強いのか?」

「あぁ。命中率も威力も上がる。その上、中距離まで入ってから副砲発射を命じれば、相手に命中することでわずかだがダメージを与え、さらに至近弾……つまり間近に砲弾が落ちれば相手を動揺させて攻撃を遅くすることも可能になる」

 これはアーケード版の副砲の役目だ。

「神通の場合、もし開発できればフィット砲になる『15.2cm連装砲』を装備した方が、能力が高くなるんだが……副砲一斉射で相手を怯ませる方が今の時点での価値は高いな」

「じゃあ、その方向で開発してもらいたいんだが……できるのか?」

「任せろ」

 そういうや否や、チャーは資材を取り出して妖精さんと一緒に組み上げ始めた。

「なるほどなるほど……こうすれば自動装填装置が……よしよし」

『ナンニモオシエテナインダケドナー……』

『コノヒトナニモノ?』

 カチャカチャといじくり回していた結果、あっという間にいくつもの装備が並んでいく。

「すごいな、もう6つも作ってるぞ」

「飛行機もあるわね」

「やっぱチャーはスゲーわ」

 音無たちも驚くが、もっと驚いているのは艦娘と妖精さんたちだ。

「嘘、でしょう?」

「工廠長って普通の人間なのよね?なんでこんなことできるわけ……?」

 だが、ギルドを立ち上げて土塊から様々な兵器を作り出してきたチャーからすれば、ちゃんと資材が揃っているだけ作りやすいらしい。

 それからさらに30分後……。

「……ひとまずこんなもんか」

 そこには、15個の装備がズラリと並んでいた。

 

 

○ 10cm連装高角砲(火力+2・対空+7・射程短)

○ 15.5cm三連装砲(副砲)×3(火力+7・対空+3・命中+2・射程中)

○ 15.2cm連装砲(火力+5・対空+3・命中+3・射程中)

○ 零式水上観測機×2(爆装+1・対空+2・対潜+4・索敵+6・命中+2)

○ 61cm四連装(酸素)魚雷(雷装+7)

○ 32号対水上電探(索敵+10・命中+8)

○ 13号対空電探×2(対空+2・索敵+3・命中+1)

○ 零式艦戦52型×2(対空+6)

○ 12cm30連装噴進砲(対空+8)

○ ドラム缶(ステータス上昇なし)

 

 

 その出来栄えと、チャーが覚えている限りを記したメモの内容を見た日向が思わず叫ぶ。

「ギルドのリーダーやっぱスゲー‼」

「自分で言うのもなんだが、電探2つは大きいな。これで色々やりやすくなる。有力な艦が来たら優先的に装備してやらないとな」

『ソンナバカナ』

『アッチョンブリケ』

「本音を言えば高射装置が作れれば序盤から対空カットインを狙えたんだが……ま、しゃーないな」

 艦娘と妖精さんが完全に『(‘Д’)』状態なので、どれほどすごいのかが窺える。

「よし、じゃあチャーの作ってくれた装備をつけてやりたいけど……どうすればいい?」

「そうだな。じゃあ副砲2つを千歳と千代田に、神通には連装砲を装備してやろう。せっかく作れたしな」

「鈴谷には?」

「鈴谷には四連装酸素魚雷だな。これで雷装値と夜戦火力がマシマシだ。それと、資材はそれなりに使ったと思うが……」

 見れば、まだ建造からそれぞれ3千も減っていない。

「マジか。もう1回くらい建造してもバチ当たらないかもな」

「やってみるか?今度はお前の好きなようにしてみろよ。ほら、レシピメモ」

 それを見た音無はなんとなくではあったが、再び巡洋艦レシピを打ち込んだ。

「(どうせなら重巡洋艦でも来てくれたら御の字だし、鋼材を少し多めにして……)よし」

 音無は資材量を確認してボタンを押した。

『ヒァーウィーゴ―』

 建造をする間、音無は端に置いてあった椅子を見つけると、大淀を手招きする。

「立ちっぱなしも辛いだろ。座っておけ」

「い、いえ、提督を立たせておいて、私が腰かけるなんて……」

「これは命令だ。怪我人の最優先任務は、さっさと傷を癒して復帰すること。いいな?」

 音無が笑って言うと、大淀は困りつつもどこか嬉しそうな顔をして腰かけた。それを見ていたゆりは、胸の内で思った。

「(これ、後々音無君自身が困るパターンじゃないかしら)」

 既に音無の1級フラグ建築士振りを見抜いていた。

 すると……

『オツカーレ』

 建造で動く機材の音が止まり、扉がゆっくりと開く。扉の向こうから現れたのは、紺色のセーラー服――ただし胸元が大きく開き、深い谷間がくっきりと見える――を着た、明るい雰囲気の女性だ。

「よ、アタシ、摩耶ってんだ、よろしくな」

 その姿を見て、「これはまた」とチャーが漏らした。

「摩耶?」

「日本海軍の中で傑作と言われた重巡洋艦、高雄型の三番艦だ。またなんとも個性的な奴を引き当てたな」

「そんなに個性が強いのか?」

「あぁ。後に大改装を経た結果、対空装備をマシマシにした防空巡洋艦に変貌したんだ」

「へぇ~」

「あんたが提督か?ま、よろしくな」

「あぁ。よろしく」

 若干ヤンキーじみた雰囲気だが、悪い子ではなさそうだと音無は感じていた。

「チャー、早速だけど摩耶に装備を……」

「そうだな。摩耶は主砲以外にスロットが2つ空いているから……よし、観測機と副砲を装備してやるか」

「おっ、弾着観測射撃できるじゃねーか。制空権取ったらこの摩耶様に任せな‼」

 とにかく威勢がいい。鈴谷の元気さとは別ベクトルの方向性である。

「よし、これで稼働可能な艦娘が5人か……チャー、これからどうするべきだと思う?出撃するか?」

「いや、せっかくなら演習で皆の練度を上げた方がいい。個別の単独演習なら少し頑張ればあっという間にレベル10は超えるだろう。そうすれば千歳たちは改装できるしな」

「なるほど……わかった。じゃあ演習場へ行くか」

 港湾に辿り着くと、内湾に千歳と千代田が標的を次々と並べていった。

「よし、じゃあ全員でそれぞれに砲撃演習だ。目標は練度10まで上げること」

 艦娘たちは一斉に『了解‼』と叫んで水の上へ出た。

「どんどん行くわ」

 千歳の言葉を皮切りに、各艦がそれぞれに砲撃を開始した。

 千歳たちや神通の主砲はそれほどでもないが、重巡の鈴谷と摩耶の主砲は明らかに威力が高いのか、大きな水柱が上がっている。

「おぉ、人間サイズとはいえ、砲弾の命中……えぇっと、着弾って言うのか?はすごいな」

「あぁ。まぁ、いくら砲撃の威力が優れていても『当てられなければ』意味はないからな。皆には練度を上げてもらって、できる限り早く命中率を上げてほしいもんだ」

 そう言っている間にも、次々と標的が破壊されていく。

 大淀が持っているタブレット状の物体には、現在着任している艦娘のレベルや能力値が表示されている。

「これをあと数時間続ければ、練度10くらいまでは十分到達するでしょう」

「そうか。できる限り強くしておいて、余裕をもって敵と戦えるようにしないとな。緊張感がないのも困るが、ガチガチになりすぎるのもよくない。上手くバランスを取らないと」

「提督は本当に色々とお考えなのですね」

「って言っても、チャーみたいに専門知識があるわけじゃないからな。教わりつつ俺も頑張らないと……って、当のチャーは?」

「あ、はい。作りたいものがあると言って交渉にこもり始めましたが……」

 チャーのことである、またどえらいものを作り出すつもりなのだろう。

「ま、あいつに任せておけば問題ないだろうな……俺は艦娘の勉強をしないと」

「でしたら、執務室に前任提督がまとめていた艦娘に関する資料がありますので、それをご覧ください」

「よし。皆には練度が10に達したら今日は終わりにするように言っておいてくれ」

「了解しました」

 その夜、音無たちが食堂へ赴くと、割烹着を着た女性が料理をしていた。

「もしかして……間宮?」

「あ、はい。間宮型給糧艦、間宮と」

「伊良子型給糧艦、伊良子です」

「「よろしくお願いいたします」」

 戦線メンバーの女の子も手伝っていたからか、既にたくさんの料理ができあがっている。

「おぉ、こりゃうまそうだな」

「今日は皆さん始まったばかりでお疲れでしょうから、肉じゃがに海藻の味噌汁と疲れの取れそうなメニューにしてみました」

「あぁ……なんとも言えないな……」

 すると、艦娘たちも戦線メンバーもどやどやと入ってきた。

「皆揃ったか?じゃ、改めて……いただきます!」

『いただきます!』

 その後は戦線メンバーと艦娘が親睦を深めながら和気藹々とした雰囲気で食事が進んでいった。

 こうして、音無の鎮守府経営は始まった。

 分からないことも多く、どうなるかも全く予測がつかない話であるが、音無は自分に課せられた使命を全力で果たすことを決めていた。

 それが、愛する少女と再び会える道であると信じて。しかし考え事をしながら食べ続けた結果……

 

「……調子に乗って食べ過ぎた」

寝付くまでしばらく時間がかかった。




ということで、まだ投稿します(^-^;
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