※この作品はR-18です。

音無提督の艦娘救済道~ハーレム仕立て   作:笠三和大

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いよいよ北方海域です。
アルフォンシーノ方面はウィークリーでお世話になってます……


北方海域進出

 Scharnhorstの初めてをもらった翌朝、音無はいつもより清々しい気分で朝を迎えていた。

「……補給のあるなしって、すごい差が出るよな」

 昨晩は千歳からたっぷりと補給を受けながら連戦したからか、目覚めた時には既に股間が元気に天を向き、戦闘配置についていた。

 その隣では千歳とScharnhorstが横になってスヤスヤと寝息を立てている。その腹は大きく膨れ上がっており、さらに体中にはミミズがのたくったような粘液らしい痕が多数あることから、夜戦の激しさがうかがえる。

「……もう少し寝てな」

 そう言って2人の頭を撫でると、シャワーを浴びるべくバスローブを羽織って外へ出た。

 時計を見れば、まだ時間は6時にもなっていないため、基本的に艦娘は就寝している時間だ(SSS鎮守府では朝食が7時なので基本的に起床時間は6時半である)。

 誰も起きていないだろうと思って風呂場へ向かっていると、天龍と龍田にばったりと出くわしてしまった。

「おっ、提督じゃねぇか」

「あらぁ、おはようございます~」

 2人は前線に出ることこそ少ないが、掃討艦隊や遠征艦隊の指揮を執ってくれているため、音無としては主力艦娘に負けないくらい重要な艦娘である。

 すると、龍田が音無の姿を見てニマ~と笑った。

「あらあらぁ、昨夜はずいぶんお楽しみでしたかぁ?」

「おい龍田」

 天龍がたしなめようとするが、音無は『構わないよ』と苦笑いした。

「『お楽しみ』だったのは間違いないし、隠すつもりもないしな。別にいいって」

「まぁ、提督がいいならいいけどな。朝風呂か?」

「あぁ、流石にこのまま出るわけにはいかないからな」

「そりゃそうか」

 描写こそしていないが、天龍と龍田も音無と肉体関係にある艦娘である。そのため、音無としても『隠し事をしても意味がない』と考えているのであった。

「なんなら、一緒に来るか?」

 こんなこと、転生するまでの音無からであればまず出てこない言葉だっただろう。だが、艦娘と触れ合い、彼女たちとの関係を深めていく中で、積極的に彼女たちとの仲を深めていこうという音無なりの心中の変化があったのだ。

 そんな積極的な態度を見せる音無に、天龍は顔を真っ赤にし、龍田は若干顔を赤らめつつもニコニコしていた。

「い、いいのかよ?」

「タダじゃすみませんよ~?」

 天龍はともかく、龍田はしっぽりする気満々であった。

「構わねぇよ。流石に何発もはできないけど、1発ずつくらいならな」

「お、おぅ……」

「はーい♡」

 2人を伴った音無は風呂場へ入り、彼女たちに体を洗ってもらってから宣言通り1発ずつ発射してやり、満足させてやったのだった。

 結局、音無が食堂に顔を出したのは7時5分前だったという。

 

 

 艶々になった天龍と龍田を伴って食堂に入ると、今日はGraf Zeppelinが台所に立っていた。

「む、Admiralか。グーテンモルゲン」

「おはよう、グラーフ。今日はお前が朝食を?」

「あぁ。第三帝国の健康に配慮した朝食、とくと味わうがいい」

 自信たっぷりに胸を張ると、ファンからは『パイオツェッペリン』と言われるほどに豊かなバストが『たゆん』と揺れる。

「(何度見てもデカいな……搭載数が少ないとは言っても、流石は正規空母というところか)メニューはなんだ?」

「あぁ。昨日から漬け込んでおいたザワークラウトに、目玉焼きとウインナー、ハチミツとバターをふんだんに使ったトースト、それにコンゴウから教わったビーフシチューだ」

 見れば、巨大な寸胴鍋がいくつも火にかけられており、金剛や鳳翔など料理が得意な艦娘が手伝っていた。

 比叡は……具材をカットする係に回されていた。

 安心してください!無事ですよ‼

「朝から結構たっぷりだな……っていっても、ウチなら食えるか」

「あぁ。アカーギやカガはよく食べるからな」

 実際、ビーフシチューやカレーなどは大量に、そして一気に作ることが可能な料理であるため、大食艦がいる鎮守府にはもってこいのメニューである。

 しかも、ビーフシチューやカレーは野菜も肉も摂取できるため、塩分にこそ注意する必要はあるがバランスの取れたメニューと言えるだろう。

 味付けは萩風が見ているらしく、『もうちょっと肉と野菜を煮込んで肉の旨味を出せれば塩分をもう少し控えめにできるかも……』と呟いていた。

 いやはや、流石の健康オタクぶりである。

「んじゃ、それを楽しみにしますか」

 天龍と龍田は先ほどたっぷりと『頑張って』もらったからか、敢えて音無から離れて座った。すると、そんな姿を見て音無の隣に座ったのは、如月であった。

「司令官、おはようございます」

「あぁ、おはよう。なんだか元気ないな?」

「……そう、見えますか?」

「あぁ、なにかあったか?」

「……じゃあ、後でお話しさせてくださいね?」

 如月の様子がなんとなくただごとではないように見えたので、音無も『わかったよ』と頷いたのだった。

 朝食を終え、次に目指す『北方海域』の南端、『モーレイ海』への哨戒作戦を議論し始めた。

 海域の解説はその日の秘書艦の役目であり、今日は霧島であった。

「では、説明させていただきます。北方海域の南端である『モーレイ海』は基本的にわずかな艦隊が哨戒活動をしているだけですが、その編成が問題です」

 見てみると、『重巡リ級FlagShip・軽巡ホ級Elite×3・駆逐ロ級Elite×2』、『軽母ヌ級Elite×3・重巡リ級FlagShip・駆逐ロ級Elite×2』、『空母ヲ級FlagShip・戦艦ル級FlagShip・戦艦ル級Elite・駆逐ロ級FlagShip×2・無印ロ級』とわずかに3艦隊のみである。

 しかし、見てわかる通り、無印はほとんど存在せず、どれも『Elite』以上であり、『FlagShip』も多々確認されていた。

「全体的に沖ノ島沖を強化したような布陣か。数は少ないようだけど」

「はい。ですので、この海域に関しては空母や戦艦と言った重武装部隊でのごり押しの方が楽です。ただ……問題はこの奥にある、『キス島』です」

 そこには日本を含めた連合軍が防衛のために陸軍を派遣していたのだが、つい先日撤退が決定されたということで、その準備を進めているのだという。

 撤退戦の支援ということもあり、鈍重な戦艦を連れていくことができない。それどころか、重巡も空母も潜水艦も連れて行けないのだ。

 連れて行けるのは『駆逐艦6隻』か、『軽巡1隻旗艦・残り5隻を駆逐艦』とした艦隊のみである。

 駆逐艦のみの編成で一斉砲撃と速力を活かした攻撃にかけるか、軽巡を1隻編成して副砲や偵察機による支援を受けるか、悩みどころではある。

 だが、当面の問題はモーレイ海の哨戒任務であった。

「編成は以下とする」

 

 

○ 鈴谷改二・翔鶴改・飛龍改・Gneisenau改・伊勢改・日向改

 

 

「その心は?」

 霧島に聞かれた音無は『ごり押しなら、な』と答えた。

「翔鶴の艦載機で確実に制空権を取り、飛龍に加えて伊勢と日向で航空的に打撃を与えつつ、全員揃って遠距離から砲撃を見舞う。実戦の少ない奴に経験をさせつつ、できるだけアウトレンジで戦いたいってことさ」

 そう、『ある程度』育ってきた艦娘たちの能力向上と実戦経験を積ませることも兼ねているのだ。

 万が一接近された場合には副砲で牽制し、その間に距離を取るという戦法である。

「本当は摩耶を連れて行って敵機を墜としてもらうのもいいかと思ったんだが、できるだけ速攻で片づけること、そのために射程をできるだけ一致させたい」

 鈴谷改二には『熟練艦載機整備員』とBearnの協力で制作した『Late 298B』が装備されているため、射程距離が『長』に延伸されているのみならず、火力に加えて雷装値も若干だがアップしている。

 これを利用したいということであった。

 流石に瑞雲の強化型と比べてしまうと航空攻撃力が落ちているが、元々航巡の航空攻撃力など、航空戦力を有する相手には『ないよりマシ』程度なので、それほど問題ではない。

「提督~、ありがとー!」

 鈴谷は初めての旗艦ということもあってか、かなり嬉しそうであった。

普段のギャルっぽい雰囲気でテンションも高いので羽目を外さないかは心配だが、曲がりなりにもSSS鎮守府の最古参重巡(航巡)である。大丈夫だろうと音無は信頼していた。

「あぁ。皆、頼むぞ!」

 音無の指示を受け、艦隊は張り切って出港していく。

 

 

――モーレイ海

「は~……は~……」

 流石に北方海域と言うだけあって冷え込んでおり、先頭を行く鈴谷が吐いた息が白くなる。

 通商破壊作戦の都合上、北方に行くことも多かったGneisenauはあまり気にならなさそうだが、他の面々は結構寒そうである。

 そんな鈴谷を見ながら、伊勢と日向が話をしていた。

「こう言っちゃなんだけど、島風とか露出多い子がこっちに来たら危なくない?」

「確かにな。あの薄着ではいつ風邪をひくやら分からないだろう。まぁ、私は瑞雲の加護があるから平気だが(ドヤァ)」

「ニホンの水上機に対する異様なまでの信仰心はどこから来るのかしら……」

 教祖様(日向師匠)が特別なだけです。

 戦艦3人がおバカな会話をしている中、意外にも鈴谷は真面目に偵察機からの報告を待っていた。

「偵察機より入電!重巡リ級FlagShip・軽巡ホ級Elite×3・駆逐ロ級Elite×2』の艦隊を発見したって!」

「それでは、早速仕掛けましょうか。直掩隊も、攻撃隊の援護に回って!」

 翔鶴が弓を引き絞り、虚空に向かって放つ。矢は飛行機……『震電改』に変化し、敵へと向かって行った。

 敵艦隊が気付いた時にはもう遅く、『彗星一二型甲』と『Aー1(初期型)』、そして『瑞雲12型(六三四空)熟練』などの艦載機がそれぞれ攻撃を開始する。

『ナンカ久シブリィ‼』

『ヤレヤレェ‼』

 猛烈な攻撃の結果は……

「攻撃隊より報告!駆逐艦全滅、軽巡ホ級Elite2隻轟沈、重巡リ級FlagShip中破とのこと!」

「やはり全滅とはいかないか」

「まぁ、しょうがないね」

 航空隊の帰投を確認してから、一同は会敵する。

「エンジン、あったまって参りましたぁ!」

 温まったと言いつつも、減速して敵が射程に入るのを待つ。敵艦隊は射程に入り次第砲撃してやろうと構えながら進んできていた。

 だが、全員が長射程以上の艦隊相手には無意味であった。

「波間に散りなさいっ‼」

 Gneisenauの声を合図に4人が一斉に砲撃すると、敵艦隊から水柱が上がる。その水柱が収まった頃には、敵艦隊は水の上から消えていた。

「負けませんわ!」

 まるで比叡のような言い回しだが、Gneisenauは空回りしやすい比叡と落ち込みやすい山城、2人の姉好きを足して2で割ったようなタイプの艦娘である。

 どこか似通っているのも仕方ないのだろう。

 そこ、『なにその危ないハイブリッド』とか言わない。どこの世界にも強烈なシスコンキャラというのはいるものですよ。

 某魔女アニメの第三帝国の猟犬お姉ちゃんとかいい例です。

「まだ敵の前衛だから、すぐにデカいの来るよ~」

 鈴谷は一見軽そうな口調だが、ふと見た翔鶴は驚いた。

 とても普段のテンションと声の高い女の子と同一人物とは思えないほどに、鈴谷の顔が引き締まっていたのだ。

 やはり、手強いと言われる北方海域にまで来るとなにか違うのだろう。

 その後も偵察機を飛ばし続けると、敵艦隊を2つ発見した。

 幸いなことに、敵主力艦隊と思しき艦隊の方が、こちらとの距離が近い。

「どうします、鈴谷さん?」

 鈴谷は即答した。

「叩けるなら主力を一気に叩いちゃおう。主力を潰せば残りは撤退するし」

 鈴谷としてはできるだけ損傷のリスクを避けたいようであった。

 音無の教えを受けた鈴谷は、仲間が傷つくことを恐れるようになっていた。

「分かりました。では飛龍さん、一緒に」

「了解!第一次攻撃隊、発艦!」

 攻撃隊が発艦すると、空母ヲ級FlagShipからも迎撃機が上がってくる。

 強化されているとはいえ、当然ながら震電改の敵ではなく、呆気なく蹴散らされてしまう。

 ヲ級FlagShipは驚いているらしく、対空戦闘の対応が遅れた。

「攻撃隊から報告!『空母ヲ級FlagShip大破・戦艦ル級Elite、駆逐艦全艦轟沈』とのことです!」

「空母を無力化できたのは大きいですが……ル級FlagShipが無傷ですか……」

「1隻だけとはいえ、油断できないな」

「FlagShipは例え1隻だけでも戦局をひっくり返す力があります。気を付けなければ……」

 敵もこちらに気付いたようで、こちらに全速力で向かってくる。

 圧倒的に不利な状況であるにもかかわらず、敵は攻め手を緩めようという気配がない。

「いつも思うけど、深海棲艦のあのタフネスさってどこから来るのかな?」

「沈んだ船、乗っていた人たちの無念や憎悪、そういった負の感情が膨張を続けて『生きている』者に対して恨みをぶつけようとしている、それが深海棲艦のエネルギーとなっているのではないか、と工廠長が言っていました」

 自分たちもある意味船の亡霊みたいな存在であるというだけに、背筋が寒くなる。

「それでも、やるしかないよね」

 伊勢の言葉に、他の全員も力強く頷く。

「撃つぞ、それっ!」

 日向の掛け声と共に接敵し、瑞雲が発艦して敵の上空を飛び回る。

「敵の射程に入ったらすぐに攻撃が来るはず。誰か……食らうかもしれないけど……」

 皆の顔が引き締まるが、鈴谷が『だいじょーぶ!』と声を上げた。

「提督と工廠長が私たちを信じて送り出したんだから、だいじょーぶ!」

 その顔は満面の笑みであり、不安など微塵も感じさせないものであった。

「……分かりました!」

 接敵し、敵の射程に入ったその瞬間、ル級FlagShipがいきなり発砲してきた。

「敵艦発砲‼最大船速‼回避っ‼」

 鈴谷の声が響いたと思った瞬間、よりによってその鈴谷に砲弾が命中した。

「鈴谷さん!」

「痛いしぃ~……」

 なんと、改二改装した鈴谷が一撃で大破にまで追い込まれてしまった。

 だが、既に全員が射程に入っている。

「お姉さまに捧げますっ!」

 Gneisenauの言葉と共に放たれた砲弾は吸い込まれるようにル級FlagShip……の隣にいた大破状態のヲ級FlagShipに命中し、ヲ級FlagShipを海の底へと引きずり込んだ。

「しまった、空母に当たった!」

 空母は接敵した時に中破以上になっていれば、装甲空母でなければもう航空機を飛ばせなくなるため、棒立ちしているだけの無力な存在となる。

 なので放っておいてもよかったのだが、Gneisenauの砲撃が中心になったせいか、空母に対して優先的に攻撃が行ってしまったようだ。

 旗艦であるため沈めなければいけないのは間違いないのだが、優先順位を間違えてしまったというのが正直な感想だった。

 そのような考えに耽る暇もなく、敵が再度発砲してきた。

 今度は翔鶴に命中し、彼女を中破に追い込む。

「も、もう!なんで私ばっかり‼」

 だが、この時既に航空隊の発艦用意が整っていた。

「第二次攻撃の要を認めます!急いで‼」

 飛龍から飛び立った航空隊は、ル級FlagShipに大量の魚雷を投下した。

 ル級FlagShipはなんとか回避しようとしていたが、多数の魚雷を避けることはできず、5本以上の大きな水柱が立った。

「どう?」

 水柱が収まった時には、既にル級FlagShipの姿は消えていた。

「……よかった。倒せたようですね」

 鈴谷がヨロヨロしているが、飛龍が肩を貸してなんとか航行している。

 すると、Gneisenauのレーダーに反応が出た。

「レーダーに感あり。これは……艦娘ですわ」

 近づいてきたのは、赤い髪の毛をした艦娘だった。

「どこかの艦隊ですか?」

「えぇ。一緒に来る?」

「はい。ご一緒させてください」

 艦隊は鎮守府へ帰投する。

 

 

 音無の執務室には、主力艦隊が出会った艦娘に加えて他にも7人の艦娘がいた。

「やっと会えた!陽炎よ。よろしくねっ!」

「陽炎型駆逐艦8番艦、雪風です!どうぞ、よろしくお願いしますっ!」

「夕雲型駆逐艦、三番艦の風雲よ。そっか、あなたが提督なんだ。了解です。ご命令、どうぞ!」

「Guten Morgen。僕の名前はレーベレヒト・マース。レーベでいいよ、うん」

「僕が神風型駆逐艦四番艦、松風だ。キミが僕の司令官か。いいね。僕の背中は任せたよ!さぁ、一緒に行こう!」

 そして最後は、またも空母らしい甲板を持つ、それでいてツナギを着込みふっくらとした体を持つちょっと背の高い艦娘であった。

 どこか、明石を思わせる雰囲気を漂わせている。

「初めまして。私はLoyalNavy所属の航空機修理艦、Unicornと申します。また日本に来れて嬉しいわ‼」

「航空機修理艦?初めて聞く艦種だな」

「はい。工作艦は世界の海軍に多数存在しましたが、航空機を修理する軍艦を建造したのは、世界でもLoyalNavyのみと言われています」

 Unicorn

 大英帝国が作り出した、航空母艦の形状を持つ『航空機修理艦』という特殊な艦種である。

「じゃあ、空母みたいだけど飛行機は飛ばせないのか?」

「そんなことはないわ。こう見えて、ちゃんと実戦経験もあるのよ?サレルノ上陸作戦では上空援護や地上攻撃に航空機を発艦させたの。頑張ったんだから」

 その最大の特徴は、艦内に艦上機や水上機及びその備品を修理するための工場設備が整えられており、搭載数こそ35機と軽空母並みだが、そこに収容された航空機はすぐに修理され、飛行甲板からいつでも飛び立てるようになっているのが特徴である。

 これにより、Unicornは高い能力を発揮することが期待されていたのだ。

 ただ、第二次世界大戦開戦時に航空母艦の絶対的な不足を補う対策として、この船を航空母艦として完成させたという話もある。

 その後、Unicornは先ほど本人が言った通りイタリア上陸作戦の中でも最も過激と言われた『サレルノ上陸作戦』に投入され、イタリアでの攻撃に参加している。

 その後終戦してからはマレー半島で発生したマレーゲリラとの戦いに必要な航空機を運搬する活躍をしたのだが、その後に思わぬことがあった。

「へぇ……でも、日本に来たことがあるのか?」

「えぇ。朝鮮戦争の時に機体補充と補給艦の役目で日本の……WhiteSnakeの土地にお世話になったの」

「ホワイトスネーク……山口県の岩国市!?」

「そう、それ。StoneCountryって名前だったわ」

 朝鮮戦争の際には岩国市を拠点として活動していたのだが、あまり一般人には知られていない話である。

 その後、1955年に解体されている。

 要目は以下となる。

 

 

○ 耐久 40

○ 装甲 13

○ 回避 44

○ 搭載 35

○ 速力 低速

○ 射程 短

○ 火力 0

○ 雷装 0

○ 対空 22

○ 対潜 0

○ 索敵 28

○ 運 55

 

 

 回避と運の数値が初期状態としては異常に高い。理由はいくつか挙げられる。

まず、世界大戦を生き延びたということ、1945年に僚艦のIlustrias、フォーミダブル、インディファティガブルと共に機動部隊を編成してアメリカを支援するべく対日戦に参戦した際、フォーミダブルとインディファティガブルが特攻機に突っ込まれたのに対して、装甲がなく一番危険なUnicornは全く被害が出なかったことによるものである。

「へぇ……じゃあ、前線で消耗した機体を補充できるのか?」

「はい。航空戦闘で消耗した機体を、1回の出撃に1度だけ修理して補充できます」

「そりゃすごいな……使い方次第じゃかなり強力だぞ」

 そんな彼女の装備は以下となる。

 

 

○ Fulmer(×10)

○ SwordFish(×25)

○ 熟練艦載機修理員

○ 無装備

 

 

 艦体に余裕があったからか、軽空母並みの搭載量でありながら4スロットを持つ艦娘である。無装備の部分にはバルジやタービン系を装備してやることで大幅に能力を上げることができるだろう。

 そして、空母系の能力を持ちながら搭載数0のスロットが2つあるというのも面白い。

 あと、やはりと言うべきか英国艦娘に欠かせないと言われる『SwordFish』もちゃんと搭載されている。

「(使い方次第じゃすごい能力を発揮するかもな、彼女)」

「提督。自分で言うのもアレで奇妙な私ですが、ぜひ使っていただけると幸いです」

「あぁ。ウチじゃできることは色々あると思うから、よろしく頼むよ」

 だが、そんな新任たちの挨拶も程々に、音無は入渠場の方へ向かった。

 心配だったのは、大破したという鈴谷のことだったのだ。

 音無が入渠場へ断りもなく入ってくるが、誰もなにも言わない。音無がいざという時には性欲抜きにして心配してくれると分かっているから、と言うのもあるが、今日入渠している鈴谷はもう音無と関係を持っており、翔鶴もそう遠くいないうちに体を交えるつもりだ。

 そのためか、音無がいきなり入ってきてもなにも言わない。

「大丈夫か、鈴谷?」

「いや~、一時はどうなるかと思ったけどねぇ」

「撃たれたのは痛いですけど、伊勢さんたちに当たらなかったのは、むしろ幸いと言えます」

「そう思ってくれると、俺としてもありがたいよ、翔鶴」

 修復材に浸かっている翔鶴の頭を、音無はそっと撫でる。

「あっ……ありがとうございます……」

 その顔は『ふにゃぁ』とでも言うべき雰囲気で、普段の凛々しさは微塵も感じられない。

 音無に救われてからというものの、伊勢や日向を含めた鹵獲改装組はすっかり音無に依存しているようであった。

 だからこそ、会ってまだ間もない音無に対しても、もう体を捧げるだけの心構えができているのだが。

 すると、翔鶴が頬を赤らめながら音無に『あ、あの……』と声をかけた。

「提督、その……もし今晩よろしければ、私と加賀さんを……」

 だが、音無は一瞬顔を引き締めると『すまない』と声を上げた。

「え?」

「今夜はちょっと如月に呼ばれてるんだ」

「如月さんに?」

「あぁ。なんだか……思いつめたような顔していたからな」

 如月はこの鎮守府で最古参の駆逐艦である。それだけに、多くの艦娘が彼女のことは敬っている。姉である睦月でさえ、と言えばその重要さがうかがえるだろう。

「なーるほど。提督さんは如月さんのことが気になるんだー」

 鈴谷も気にはしていたらしく、急に真剣な顔になった。

「鈴谷もなにか気付いたのか?」

「うーん、なんていうか……改二になってからなんとなく、かな?」

「そういえば……」

 翔鶴も思うところがあったらしく、顎に手を当てながら思案していた。

「悪いな、翔鶴。せっかく誘ってくれたのに……」

「いいえ。如月さんのことはとても大事です」

 やはり、皆思うことは同じらしい。

「ありがとう。それじゃ、今夜は如月の『話し相手』になってやるよ」

 鈴谷はここにきて音無がまだ如月のことを見た目通りの少女扱いしていることに若干の危惧を覚えていた。

「(如月さんは1925年に竣工した駆逐艦……私より12歳も年上なんだけど……提督、まだその辺をあんまり分かってないのかなぁ……)」

 余談だが、この鎮守府で最も古くに竣工した軍艦は『金剛』である。

 日本初の超弩級戦艦なのだから当然と言えば当然なのだが。

 というか、艦これに存在している艦娘で最も古いのが金剛であり、それに匹敵するのが天龍や神風たち、海外艦ではガングート(1914年竣工)やイタリアの弩級戦艦、Conte di Cavour(1915年竣工)なのだ。

 睦月型はその直後なのだが、駆逐艦としては初めて魚雷をそれまでの53cmから61cmという大幅な拡大を行っているという、吹雪型に繋がるエポックメーキングと言える艦なのだが、どうも音無はまだその点を深く理解していないらしい。

 音無が出て行こうとした時、鈴谷はその後ろ姿を心配そうに見るのだった。




と、いうわけでちょっとばかり不穏な空気が……
次回をお楽しみに‼
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