※この作品はR-18です。

音無提督の艦娘救済道~ハーレム仕立て   作:笠三和大

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いよいよEOを除けば北方海域もラスト……決戦です‼


北方海域艦隊決戦!

 編成が決定したことで、艦隊は出撃する。

「今回は敵の編成も重厚だわ。だからこちらもできる限り消耗を避けて、敵の主力を中心に叩きたいと思うんだけど……どうかしら、提督さん?」

『それでいいと思う。むやみやたらに戦闘するだけが能じゃない。偵察機からの報告はどうだ?』

 偵察機として鈴谷が装備している『Late 298B』が飛び立っているが、すぐに報告が入った。

「偵察機より入電!『重巡リ級FlagShip・軽巡ヘ級Elite×2・駆逐ハ級FlagShip・Elite×2』の艦隊を発見!」

「前衛艦隊ね。避けるのは難しい距離だわ」

「どうするー?攻撃するー?」

 鈴谷の言葉に、瑞鶴はすぐに判断を下した。

「まずは小手調べね。なら、倒しましょう!」

 ちなみに、今回艦載機は瑞鶴に『震電改』を2スロット、Grafに『Bf109改(熟練)』を装備していることもあり、余程のことがなければ制空権は取れると考えられている。

 さらに攻撃隊は『Aー1(初期型)』と『Juー87C改二(Rudel Gruppe)』なので、空母がいない相手であれば、とあるガキ大将よろしく『ギッタギタのメッタメタ』にできるほどの戦力である。

 というか、何度も言うが音無が慎重すぎるのだ。

「アウトレンジで……決めたいわねっ‼」

 瑞鶴とGraf、さらに鈴谷からそれぞれ艦載機が発艦し、敵艦隊に突入していく。

 

 

『トゥァー!』

『デリャァー!』

 

 

 

「……攻撃隊より入電。駆逐艦3隻、軽巡ヘ級Elite2隻撃沈!」

「重巡リ級FlagShipが残ってるかぁ……でも、これなら!」

 鈴谷の言葉に全員が頷く。

 これは『慢心』ではなく、『自信』であった。

「主砲、斉射用意‼」

 Scharnhorstの掛け声と共に全員が戦闘態勢に入る。

 すると、摩耶が声をかけてきた。

「アタシはあくまで対空防御中心だ。長射程の鈴谷と榛名、超長射程のシャルでぶっ潰せ!」

 摩耶もあくまでアウトレンジ戦法に徹するつもりらしく、自分が手柄を立てることよりも確実に、手傷を負わないようにすることを優先するようになっていた。

 3人が頷き、長射程に入ったところで確実に仕留められるように丁字有利状態になるように位置を調整する。

「主砲、砲撃開始ーっ‼」

 榛名の掛け声で3人が斉射すると、砲弾の大多数は重巡リ級FlagShipに突っ込んでいった。

 結果、重巡リ級FlagShipはなにもできずに海の底へと引きずり込まれていった。

「うっし。まずは1勝だな」

 摩耶が嬉しそうに拳を『バシッ』と打ち付ける。

 何度か偵察機を飛ばしているうちに、敵艦隊の様子が明らかになっていった。

「敵艦隊は『重巡リ級FlagShip・Elite・軽巡ヘ級Elite×2・駆逐ハ級FlagShip・Elite』、『戦艦ル級FlagShip・Elite・空母ヲ級FlagShip・軽巡ヘ級FlagShip・駆逐ハ級FlagShip・Elite』、『戦艦ル級FlagShip×2・Elite×2・軽巡ヘ級FlagShip・駆逐ハ級FlagShip』、『空母ヲ級FlagShip・空母ヲ級Elite×2・戦艦ル級FlagShip×2・駆逐ハ級FlagShip』、『空母ヲ級FlagShip×2・戦艦ル級FlagShip×2・雷巡チ級Elite×2』だね~」

「艦隊が多いな。しかも、主力艦隊は重厚な布陣だ」

 すると、鈴谷が『でもね~』と声を上げた。

「南の方は空母が少ないから、アウトレンジしやすいっていう意味ではそっちから行った方が楽かもね~」

「そうね……グラーフさんはどう思う?」

「私はあまり艦隊決戦には詳しくないが……それでもできる限り消耗・損耗を抑えるというのは賛成だな。『最小の効率で最大の戦果を』。きっと、総統閣下もそう仰るだろう」

 『ふんす』と胸を張るGraf。もっとも、総統閣下が今のGrafを見れば『おっぱいぷるんぷるーん!』とか言いそうだが。

 閑話休題(それはさておき)。

「じゃあ南へ行きましょう」

 瑞鶴が進路を変え、南の方へと向かう。

 すると早速、『戦艦ル級FlagShip×2・Elite×2・軽巡ヘ級FlagShip・駆逐ハ級FlagShip』が近付いてきた。

 幸い、向こうはこちらに気付いた様子はない。

「皆、艦載機の準備は?」

「Graf、準備良し」

「鈴谷、行けるよ~!」

「じゃあお願い!」

 瑞鶴の声を皮切りに艦載機が飛び立つと、空母のいない相手に素早く制空権を確保する。

 

 

『イケヤオラー!』

『イクゾコラー!』

 

 

 急降下と雷撃が炸裂し、色とりどりの爆炎が巻き上がる。

「どうだ?」

 Scharnhorstが問いかけるが、瑞鶴は攻撃隊の報告を待っている。

「!攻撃隊より入電!『駆逐艦、軽巡轟沈。戦艦ル級FlagShip、Elite1隻大破』とのこと!」

「うげっ、FlagShipとEliteが1隻ずつ無傷かよ……」

 摩耶がイヤそうな顔をするが、鈴谷が『しょーがないって』となだめる。

「いつもうまくいくことばかりじゃないよ。それでもできることをやらなくちゃ。ね?」

 一見チャラそうな鈴谷だが、その実かなり真面目な子である。今もイラ立つ摩耶を上手く宥めてくれている。

 摩耶も『まぁ、そうだな』と納得しているあたり、いつもいつでもうまくいくなんて保証がどこにもないことは頭では理解しているのだ。

「しゃぁねぇ。このまま……」

「待った」

 声を上げたのはGrafだった。

「相手はこちらの位置に気付いていないのだろう?なら、反復攻撃を実施したらどうだ?相手を徹底的に弱らせて、無理だと思ったら接近してとどめを刺す。その方がよりリスクは低くなると思うのだが」

 Grafの言うことも尤もである。幸い、今鈴谷が『熟練艦載機整備員』を装備している影響もあって、わずかだが航空リロードの時間が短くなっている。

「反復攻撃ねぇ……そういえば、日本も真珠湾は反復攻撃をするべきだったのを、司令官の南雲さんが誤った選択をしたって」

「そうか、瑞鶴の艦長はその場にいなかったんだったな」

「私じゃなくて赤城さんや加賀さんが決めた戦いだったから」

 だが、言われてみれば当たり前のことであった。

 時間はまだ十分にあるため、反復攻撃の余裕はある。

「じゃあ、速度を原速にまで落として、疲労抜きもしましょう。機関全速を続けてたらすぐ疲れちゃうわ」

「瑞鶴さんに賛成です」

 高速戦艦とはいえ、榛名が約30ノット、Scharnhorstが32ノットという速力を考えると、34ノット以上を出せる他の艦と足並みを揃えるという意味でも速力を落とすのは十分ありであった。

 速度を落として距離を保ちつつ、艦載機の準備が整うのを待つ。

「準備完了!」

 瑞鶴がGrafと鈴谷を見ると、2人も『うん』と頷いていた。

「ただの空母でないところを、見せてやろう!」

 発進した機体は、残った戦艦に殺到する。その姿はまるで、大和型戦艦を攻撃しようとする米軍機を思わせるようだった。

 

 

『イクゾガーデルマン!』

『タイクウホウニキヲツケロヨ!』

 

 

 Juー87C改二から投下された1t爆弾は、戦艦ル級FlagShipに勢い良く突き刺さった。

「攻撃隊より入電!『戦艦ル級FlagShip、Elite1隻轟沈、戦艦ル級Elite1隻中破』とのこと!」

「まだFlagShipが1隻無傷……上手くいかないわねぇ」

 瑞鶴が不満そうに不貞腐れるが、改二に改装したばかりということもあって、妖精さんたちも慣れていない部分があるようだ。

「どうする?」

 瑞鶴の言葉に『やりましょう』と答えたのは、榛名だった。

「確かに傷つくのは恐ろしいですし、提督もそれを望んでいません。ですが、ただ恐れてばかりでは勝てないのも事実です」

「榛名姐さんの言う通りだ。俺らだって戦艦だ。多少のことじゃ潰れねぇよ」

 Scharnhorstが続いたことで、艦隊はこのまま突っ込むことを決定する。

「敵艦隊発見か……よろしい。攻撃隊、発艦初め!蹴散らすぞ‼」

 接近していくと、ル級2隻が砲撃してくる。

「1発至近!面舵一杯‼」

 だが素早く転舵しやすい四速まで落とし、素早く右へ転舵。そのまま最大船速まで加速し、敵の砲弾落下予測ポイントから距離を取った。

「敵弾回避成功!」

 そう言っている間に、中距離まで接近する。

「副砲、一斉射‼」

 嵐のような砲弾の雨が吹き荒れると、中破したル級Eliteは大破に、FlagShipも小破状態に追い込まれた挙句、至近弾で足並みを乱される。

「その荷は置いてけぇ!」

 Scharnhorstの言葉を皮切りに4人が主砲を発射すると、砲撃によってル級Eliteが水の底へ沈んで行ったが、ル級FlagShipが中破とはいえ残っている。

 そのままル級FlagShipが砲撃を放ってきた。

「直撃コース!」

 砲弾は、榛名の先に立つScharnhorstに命中する。

「ぐあぁっ‼ま、まだ沈まねぇ!」

 Scharnhorstは小破に追い込まれるが、中破にはならずに済んだ。

「丁字有利になってこれかぁ……キツイゼぇ!」

 だが、そうこうしているうちに短距離まで接近した。

「ぶっ殺されてぇか‼」

 摩耶の声と共に鈴谷、Scharnhorstも魚雷を発射する。

 ル級FlagShipは距離を取ろうとしていたが、間に合わず多数の魚雷が命中し、水の中へと消えていった。

「シャルさん、大丈夫ですか?」

「このくらい、提督との夜戦に比べりゃ屁でもねぇ!」

 音無との『夜戦』を思い出したのか、鈴谷と摩耶、瑞鶴も『それはそうかも……』と微妙な表情になった。

 なにせ、毎回毎回射精される度にボテ腹になるのだから、キツくないわけがない。

「と、とにかく先へ進みましょう」

 瑞鶴が空気を変えるように声を上げたが、Grafと榛名は顔を真っ赤にしていた。

 榛名は『提督との……夜戦……』と呟いているし、Grafまでもが、『Admiralと……熱い夜戦でいっぱい……エヘヘ♡』と普段の凛々しさが嘘のような恋する乙女のごとき雰囲気を見せている。

 そんなことを考えつつ艦隊が進んでいると、航空機の発艦準備が整ったと妖精さんから報告があった。

「主力艦隊も近付いてきたし……先制攻撃しましょう!」

「あぁ。私も賛成だ」

 空母2人が賛同したことで、再び航空隊が攻撃に向かう。

 ヲ級もこちらの艦載機接近を察知したらしく、艦載機を飛ばしてきた。

 震電改とFW109改(熟練)が激しい航空戦闘を繰り広げる。

 深海棲艦の艦載機は基本的に格闘戦を得意とした戦法のようだが、艦娘側の艦載機2種類はどちらも一撃離脱を得意とする高速戦闘機であった。

 すれ違いざまに機関銃・機関砲を叩きつけ、さらに素早く上昇して追いすがる敵機を振り切るほどの速度差を見せる。

 深海側の艦載機が諦めて反転した瞬間、反転180度から背後に機銃を叩きこむという技を見せつける。

 その結果、ほとんどの敵機を撃墜することに成功していた。

 つまり、制空権確保である。

 空母ヲ級FlagShip2隻という強力な航空戦力が相手であったにもかかわらず、圧倒的な力と数で制空権を確保して見せたのだ。

 その後に続くように『Aー1(初期型)』と『Juー87C改二(Rudel Gruppe)』が攻撃を開始する。

 

 

『センシャヲツブシタイ!』

『ガマンシマショウ』

 

 

 またも妖精ルーデルがボヤいているが、妖精ガーデルマンが宥めてくれている。

「攻撃隊より入電!……『雷巡チ級Elite、空母ヲ級FlagShip1隻轟沈!戦艦ル級FlagShip1隻中破』とのこと!」

「やっぱ戦艦は簡単には落とせないね~……しかも旗艦も無傷かぁ」

 鈴谷の言葉に渋い顔をする一同だが、榛名が『大丈夫です!』と声を上げた。

「確かにまだ敵には戦える力があります。ですが、私たちはもっと余裕をもって今この場にいます」

「榛名さん……」

 『確かにな』とScharnhorstが続いた。

「俺たちは戦うための存在だ。Admiralはそれだけじゃねぇって言ってくれるが、根本的にはそういうものだ。そんな俺たちが戦いを怖がってちゃどうしようもねぇさ」

 戦艦2人の言葉に奮起したのか、改めて顔を引き締める。

「そうだよね。提督に心配かけるのも良くないけど、だからって怖がってばっかじゃなにもならないしっ」

 そして、そうこうしているうちに敵主力との距離が近付く。

 だが別の艦隊も近付いてきており、そちらも艦載機を飛ばそうとしていた。

「間に合え!」

 しかし、敵艦隊から多数の艦載機が発艦し、こちらへと向かってきた。

 幸いなことに瑞鶴とGrafが発艦させた直掩隊の迎撃は間に合ったため、それだけでも敵編隊の数がかなり減っていた。

それでも一部の敵編隊が近付く中、摩耶の体が光り出した。

「そこだろ?わかってんだよぉ……食らえーっ‼」

 摩耶が高角砲と機銃を空へ向けて一斉に発射すると、まるで光のシャワーのごとき猛烈な弾幕が空に展開された。

「敵機さらに接近!全火器使用せよ(オールウェポンズフリー)‼」

 摩耶の対空砲火に絡めとられた敵編隊は、まるで花火の火花に焼かれる羽虫のごとく擦り減っていき、最後の1機がGrafに肉薄したものの、『Fumo 25レーダー』で追尾していた摩耶が素早く撃墜して事なきを得た。

 その直後、敵主力艦隊と接敵する。

「どーだ!参ったかぁ‼」

 接敵した直後、すぐに敵が艦載機を飛ばそうとしてきたため、カウンターの要領でこちらが先制することにした。

「アウトレンジで……決めたいわねっ‼」

 敵の攻撃隊が先かこちらの方が先か、と考える間もなく、敵の上空に攻撃隊が到着する。

「やった!旗艦のヲ級FlagShipが大破した‼」

「これで少なくとも、航空攻撃の心配はなくなったわね……」

 瑞鶴もGrafも明らかにホッとしている。空母だからこそ、航空攻撃の恐ろしさはよく知っているのだ。

 だが、問題はここからだった。

 今回出くわしたル級FlagShipはかなり能力が高いようで、遠距離から放った3隻の砲撃をかわして見せるのみならず、お返しと言わんばかりに放った砲撃が一瞬で榛名と鈴谷に命中、大破に追い込んでしまった。

「榛名姐さん!鈴谷!」

「やだ!被弾した!?」

「もう~!痛いしぃ~!」

 至近距離まで近づいて副砲を撃ちかけることで、なんとか怯ませることには成功した。

 ついでに、観測機からの報告も入ってくる。

「第一砲塔仰角修正1度、第二砲塔3度、これで……撃てーっ‼」

 Scharnhorstを皮切りに一斉砲撃を放ったことで、なんとか旗艦である空母ヲ級FlagShipは撃沈し、さらにル級FlagShipを中破に追い込んだが、その直後に再び敵が砲撃を放ってきた。

 その結果、2隻同時に攻撃されたことでScharnhorstと摩耶も大破に追い込まれてしまった。

「も、もう冷たい海には沈まなねぇ!」

「んだよ、クソがぁっ‼」

 しかも大破状態では魚雷も発射できないうえに攻撃力もかなり落ちてしまうため、こちらからの攻撃はほとんどカスダメ状態になってしまった。

 さらに悪いことに、もう一度放たれた砲撃によって瑞鶴もGrafまでもが一撃で中破に追い込まれてしまった。

 これではもはや航空攻撃もできない。

なんとか主砲と副砲を撃ちまくって大破にまでは追い込んで見せたが、その時点で夜戦突入状態になってしまった。

「くっそぉ、これじゃぁ……」

 摩耶が片膝を着くと、鈴谷や榛名たちも項垂れる。

「撤退、かな……」

「ここまで来たのに……」

「一応、これで敵も撤退はするだろうけどな……」

 しかしそんな中、Graf Zeppelinは1人、立っていた。

Grafが自分の損傷した飛行甲板を見ると、彼女の格納庫から出てきた妖精ルーデルが不敵に笑いながら牛乳を飲んでいた。

まるで、『こんな傷じゃケガのうちに入らない』とか『まだまだイケるだろ?』とか言っているような感じである。

「Admiral、夜戦突入だ」

「ちょ、グラーフさん!皆もう中大破でなにもできないんだよ!?グラーフさんだってもうボロボロじゃん!」

 鈴谷は心配そうに声をかける。だが、Grafは首を横に振った。

「確かに皆は中大破した。だが、私は中破だ。まだまだ戦える」

 皆がざわめくが、シャルンホスルトはハッと気づいた。

「そうか。お前は夜間作戦(砲撃・航空攻撃)能力があった……それに、今のお前は装甲空母化しているから中破状態でも攻撃できる!」

 それを聞いた皆が、ハッと息を呑んだ。

そして、音無の返事を待つ。

『……分かった。攻撃はグラーフに任せる。他の皆は、副砲で徹底的に援護しろ!』

 他の5人も『了解‼』と叫んで表情を引き締めた。

 艦隊は夜戦に突入し、敵を追い詰める。

 

 

 艦隊が夜戦に突入すると、既に至近距離に近付いていたこともあって副砲を一斉に撃ちかける。

「撃て撃て撃てー‼敵に反撃の隙を与えるなぁー‼」

 Scharnhorstの声も息も荒いが、皆必死で交代しながら副砲の嵐を見舞っている。

 一方Graf Zeppelinは『Fumo 25レーダー』で敵の姿を補足しており(Fumo 25レーダーは対空能力の高いレーダーだが、水上も補足可能)、それによる照準で敵戦艦に狙いを定めていた。

「敵艦追尾良し。仰角補正」

 そして、Grafの体が金色に光り出す。力が溢れてくるのを感じたGrafは、高揚感からか歯をむき出しにして、どこか獰猛さを感じさせる顔で笑っていた。

「フフフッ……夜戦か……‼」

 直後、Grafから放たれた砲弾は戦艦ル級FlagShipに命中する。その一発での撃沈はできなかったが、続け様にGrafが砲弾や機銃を連射し、敵に猛烈なダメージを与えていく。

 そして、砲撃が終わった時、敵戦艦は猛烈な爆炎を上げながら海の底へと消えていったのだった。

「真に実戦配備されたGraf Zeppelin。この戦果も当然の帰結、だな?Admiral?」

 Grafの上げた強烈な戦果に、思わず全員が圧倒されていた。

「す、すごくない?」

「やはり第三帝国は本気を出せば強い!」

「マジかよ、やるじゃねぇか‼」

「グラーフさん、流石です!」

「中破しても引き下がらない……同じ空母として、誇りに思うわ‼」

 皆が口々にGrafを評価すると、Grafも『フン』と胸を張った。

 すると、Grafのレーダーに反応があった。

「む、これは……艦娘か?」

 確かに、何者かが近付いてくる。

「どこかの鎮守府の艦隊か?」

「えぇ、そうよ。あなたも来る?」

「ちょうどいい。行く当てもないこの身だ。拾ってもらえれば幸いだな」

 こうして、艦隊は帰投した。

 

 

 帰投した主力艦隊及び掃討艦隊が遭遇した艦娘たちが執務室に並んだ。

「貴様が司令官か。私は那智。よろしくお願いする」

「夕雲型駆逐艦、六番艦の高波です。あ、あの……頑張ります!ホントかもです!」

「Buon Giorno!Zara級重巡、一番艦Zaraです!粘り強さが身上です。提督、よろしくね!」

「提督!谷風だよ!これからお世話になるね!」

「陽炎型駆逐艦、野分、参上しました。さあ、司令、行きましょう」

「また……来てしまったのね。この海に。夕雲型駆逐艦、早霜……着任しました」

「特Ⅰ型駆逐艦、吹雪型の末娘、浦波です。司令官、どうぞよろしくお願いいたします」

 そして、最後に立っていたのは星条旗を掲げた、茶髪で『ヤンキー』という言葉が似合いそうな、大柄で肉感的な女性だった。

 自信満々な風貌で、常に豊満な胸を張っているため、よりバストが大きく見える。

「Harrow!私はNew York級BattleShip、2番艦のTexasよ!」

「テキサス……えぇっと、金剛たちとほぼ同時代(1914年3月12日)に、姉のニューヨークより先に竣工された、14インチ砲10門を搭載した戦艦、だったな?」

「Yes!2つのWorld Warに参加して生き延びた、Very Luckyな船なんだから!」

 New York級戦艦2番艦、Texas

 アメリカ初の超弩級戦艦であり、イギリスが34.3cm砲を搭載した新型戦艦を進めているということを知った米海軍が45口径35.6cm砲を装備することを選択した戦艦である。

 当初は扶桑型戦艦と同じ12門を搭載することを求められていたというが、予算の問題から連装砲5基10門を搭載する戦艦として建造されたのだ。

 Texasは第一次世界大戦の際、姉妹艦『New York』や他の戦艦を含めた艦隊で大西洋に派遣された。

 この時大規模な交戦こそしなかったものの、この艦隊の派遣によって英国海軍が米海軍に対する見方を変えるきっかけになったという話がある。

 Texasは1918年には砲塔上に滑走台を設け、翌年には米戦艦で初めて航空機を発艦させた戦艦となった。

 第二次世界大戦時には大西洋艦隊の中核として船団護衛を中心に活動していたが、1942年10月末から行われたトーチ作戦や、オーバーロード作戦が始まるとTexasも各地で艦砲射撃を行ったのである。

 ノルマンディー上陸作戦の際にも激戦地となったオハマビーチの西側で連合軍の火力支援を実施している。

 ヨーロッパでの戦いがひと段落すると今度は太平洋戦線に転身し、硫黄島や沖縄攻略戦に参加し、やはりこちらでも艦砲射撃で支援をしている。

 姉のNew Yorkがクロスロード作戦の実験艦に使われたのに対して、Texasは1948年にアメリカで初めての常設記念艦となった。

その後も度々資金難に悩む、ハリケーンで浸水して傾斜するなどの事態に見舞われているものの、その度に寄付金を集めることによって今でも両大戦に参加した唯一のアメリカ戦艦としてその姿を残しているのである(両大戦に参加した船、という点ではイギリスにも軽巡洋艦Carolineが存在する)。

 

 

 要目は以下である。

○ 耐久 68

○ 装甲 70

○ 回避 21

○ 搭載

○ 速力 低速

○ 射程 長

○ 火力 70

○ 雷装 0

○ 対空 24

○ 対潜 0

○ 索敵 10

○ 運 55

 

 

 装備は以下である。

○ 14Inch連装砲(火力+14・対空+3・命中+2)

○ 5Inch副砲(火力+2・命中+2)

○ 無装備(×3)

○ 無装備

 

 能力的には金剛型戦艦と扶桑型・伊勢型戦艦の間くらいの能力である。

 だが、彼らと決定的に違うところがあるとすれば、それは尋常ではない運の高さである。

 両大戦を生き延び、しかも現在に至るまで船体が残されて保存されている(艦娘になっているということは深海棲艦の攻撃で沈没していると考えるべきか)ということからか、なんとIowaや雪風、Warspitなどの『豪運艦』を上回る55という超・高水準なのだ。

 低速というのが数少ないネックだが、それを補って余りある能力である。

 また、彼女は改装することで対空用の両用砲を持参するが、これに関してはかなりおまけ的な要素の方が強い。

「こりゃまた……面白い奴が来てくれたな」

「かつてはステイツの船としてJapanのBattleShipともガチンコで撃ち合いたかったけど……生まれ変わったからには世界平和のために、この主砲の全力で戦ってやるわ‼」

 基本的にヤンキー系と言っていい口の利き方だが、それだけにやる気は十分のようだ。天龍や木曾のような強気系・オレ様系キャラを見てきたゆりも若干圧倒されている。

「若干ひさ子さんみたいな感じね~……いかにも荒っぽそうな子だわ」

 だが、摩耶を含めて強気、荒くれ系女性にも動じない音無はあっさりと返答した。

「よし。ウチの鎮守府はどんな奴でも歓迎するよ。演習である程度練度を上げたら、今度は掃討艦隊で実戦をある程度経験してもらう。場合によっては正面の主力艦隊に加わることもあるかもしれないから、存分に頑張ってほしい」

「OK!Admiralのためなら、どんな敵でもぶっ飛ばしてやるわ‼」

 ちなみに、声帯の妖精さんは鈴熊や夕張と同じ方で、イラストのイメージも3人と同じ方で一つヨロシク。

 こうして、またもSSS鎮守府に新たな艦娘が加わった。

 その夜、音無が夕食後に珍しく砂浜を散歩していた。

 当然その隣には千歳と、珍しく『付いて行きます!』と言った萩風の姿がある。

 手にはおつまみらしい包みを持っている。健康に気を遣う彼女のことだ、千歳と音無のためにわざわざ体によさそうなものを作ってくれたのだろう。

 沖を見れば川内が夜間哨戒と称して『ターリラーリラー!夜戦だー‼』と楽しそうにはしゃぎまわっており、それに那珂と初風、春雨、初春、そして村雨の4隻が苦笑いしながら追随している。

 月の輝く空を眺めれば、奇妙な音楽を流しながら空を飛ぶ『夜間戦闘機 月光(超・熟練)』が見える……いつも通り妖精さんは『ワハハハー!』と笑いながらだったのが若干心配だったが。

 そんなことを思いつつ歩いていると、2人の目に誰かが留まった。

「ん?あれは……?」

「どなたでしょうか?」

 近づいてみると、真っ白な服に色白の肌でピンときた。

 Graf Zeppelinであった。

「グラーフじゃないか。月見か?」

「Admiralか。なに、やはり夜はいいものだと思ってな」

 Graf Zeppelinは夜戦能力を持っているからか、本人も夜の方がなにかと性に合うのかもしれない。

「隣、いいか?」

 Grafが『コクリ』と頷いたので、音無と千歳も隣に座る。

 よく見れば、Grafの脇にはジョッキが置いてある。どうやら、ビールを飲んでいたようだった。

「やっぱりグラーフはビールが好きなのか?」

「えぇ。私もそうだけど、BismarkやOygenも好きだと聞いてるわ」

 千歳も持っていた徳利から酒を注ぎ、音無と一緒に飲み始める。

 すると、Grafがなにか決意し様な表情で音無の方を見てきた。

「Admiral、頼みがあるのだが」

「ど、どうした?改まって」

 その目は輝いており、真剣な表情であった。

「今夜、Admiralとの夜戦を所望する!」

 あまりにも堂々とした物言いに、音無と萩風はポカンと口を開けていた。

 千歳だけは『やっぱりそうなりますよね~』と楽しそうだったが。




はい、次回はグラーフさんとの夜戦です。
絶対やらせたかったんだぁ……
次回は11月16日に投稿します。
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