※この作品はR-18です。

音無提督の艦娘救済道~ハーレム仕立て   作:笠三和大

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一体なにが始まるのか……お楽しみに‼


夜襲迎撃戦!~変態の祭典

 音無がGrafの乳房を枕に夢見心地だった夜中、急なサイレンの音で目を覚ました。

 例の、宇宙戦艦が戦闘に入る際に流れるサイレンであった。

 

 

――フィーッ‼フィーッ‼フィーッ‼――

 

 

「敵襲かっ‼」

 音無が寝ぼけているGrafと鈴谷に布団をかけて飛び起きると、扉を蹴破らんばかりの勢いで……いや実際に蹴破って夜間当直をしていたScharnhorstが飛び込んできた。

「Admiral‼レーダーに感あり‼駆逐艦2、軽巡2、重巡2の艦隊に加えて、雷巡2、戦艦1、空母2、そして……巨大空母1、他にも駆逐艦らしい艦多数を確認した‼」

「巨大空母!?」

「監視員曰く、『空母棲鬼ではないだろうか』とのことだ‼これはヤバいぞっ‼」

「夜間戦闘機隊、発進を‼」

「既に準備させているっ‼」

 当直のリーダーだったScharnhorstは既にその辺りの手配をしたうえで音無に報告に来たらしい。

 さらに、妙高を旗艦とした哨戒艦隊も既に戦闘に入っているようだ。

 流石と言うべきであろう。

「よし、俺も出る‼」

 音無はズボンを穿きワイシャツだけ羽織ると、ロッカーから64式小銃とワルサーP38を取り出す。窓から外へ飛び出した……足元は砂場なのでそんなに足にダメージはない。

「うっ、既に敵機が来ているっ‼」

 空では『局地戦闘機 雷電』、『局地戦闘機 閃電改』、『夜間戦闘機 月光(超・熟練)』が飛び回って戦闘を繰り広げているが、夜間に不意を突かれた影響もあってかなり不利な状態だった。

「くっ、レーダーを充実させてるつもりだったが……やっぱり簡単にはいかないかっ‼」

 敵艦隊は駆逐艦を前衛に多数の艦艇が攻撃を仕掛けているらしい。

 しかも続報によると、輸送ワ級も多数確認されたとのことだ。

「ワ級が多数……なにをする気だ?」

駆け寄ってきた川内が音無に自分の考えを報告する。

「たぶんだけど、島に兵力を上陸させて占領する気じゃないかな?」

「……どうでもいいけど、川内……お前、今夜当直じゃなかったよな」

 川内はなにも言わない。

 つまりはそういうことだ。

「……まぁ今はいい。お前も急いで支度しろ‼昨日改二になったんだ。せっかくなら暴れて来い‼」

「やったぁー‼夜戦だ夜戦だー‼」

「波には乗っても調子には乗るなよぉ‼」

 ツッコミ染みた注意もそこそこに、川内は嬉々として支度しに行った。

 見れば、当直の妙高を先頭にした哨戒艦隊が既に応戦しているが、かなり苦戦しているようだ。

 それもそうだろう。深海棲艦側は20以上いる。

 鳥海改二がいることで探照灯が照射され、熟練見張り員の能力もあってそれなりに攻撃は命中しているようだが、決定打を与え切れていない。

 まして、6隻の艦隊ではあまりに分が悪い。

「くっ、少しでもなんとかしたいが……」

 音無もサーチライトの明かりを頼りに小銃を発射するが、流石に以前昼間に受けた奇襲の時ほどは命中しない。

 しかも、空では既に何機かの戦闘機が撃墜されている。

 制空権の確保状態という意味では、『不利』というところか。

 夜間に不意を打たれる、そしてそれに即応できなかったことを悔やむが、生き延びれた場合に新たな対処法を考えなければならないだろう。

「くそっ‼」

 見れば、先程まで余裕そうに音楽をかき鳴らしていた『夜間戦闘機 月光(超・熟練)』が、火を噴きながら落ちていく。

「月光がやられた‼」

 妖精さんも『ギャー‼』と叫び声をあげていた……それでもコスプレ染みたセーラー服は変わらず、『クウッ、我ラノ月光ガ……』と言いながら見事に着地していたが。

「……余裕があるのかないのかどっちなんだ……」

 すると、寝ていたらしい戦線メンバーも飛び出してきていた。

 それぞれの武器を持っているが、やはり夜の戦いは厳しいようであった。

「くそっ‼前の奇襲よりっ、動きがいいじゃねぇか‼」

「藤巻君、後ろっ‼」

「やべっ‼」

 大山の声で藤巻が飛び退くと、先ほどまで藤巻が立っていた場所に小型爆弾が落ちた。小さな爆発だが、命中していたら確実にあの世行き……いや、『あの世界』行きだっただろう。

「あっぶねぇ……サンキュー大山‼」

 乱戦ということもあってか、あまり攻撃が当たっているようには見えない。

 敵機の中には至近距離から機銃掃射を仕掛けてくる機もある。

 そんな1機を松下五段が岩陰に隠れてやり過ごすと、すれ違いざまに『そりゃぁ‼』と砂を被せた。

 砂を被って一瞬埋もれた機体は勢いよく飛び出すが、それを待っていた高松の正拳突きを喰らうと粉々に砕け散った。

「やはり……筋肉こそ正義‼」

「高松のダンナ、やるねぇ‼」

「Excellent‼すごいわっ‼」

「感心してないで準備しろっ‼」

 出撃準備を整えていた天霧とHornetが変な所で感動していた。

 天霧もHornetも筋トレが趣味らしく、よく高松と一緒に鍛えているが、その影響らしい。

 ゆりも久しぶりに銃を取って戦っているが、鎮守府の入り口近辺を守るのが精いっぱいであった。

「くっそぉ‼非戦闘員はシェルターに避難させたけど、流石にキツイわねっ‼」

 すると、敵機の一部が鎮守府に爆弾を落とそうと近づいてくる。

「ヤバッ‼」

 ゆりは64式小銃をバーストモードにして一気に撃ち込むが、それでも削り切れなかった。

「ちくしょうッ!」

 ゆりが自分に迫ってくる敵機を見て死を覚悟した直後、建物の中からおたまや包丁が飛んできた。

 それらは正確に敵機に当たると、粉々に打ち砕いていた。

 ゆりが振り返ると、岩沢、ひさ子が鳳翔と共に厨房から持ち出してきたらしいそれらを投げつけていたのだ。

 フラフラと落ちてきた敵機は関根、入江、そしてユイの3人がキャーキャー言いながらタコ殴りにしていた。

「そんなマンガみたいな戦い方あるかぁーっ‼」

 アホみたいな状況にツッコミを入れつつも、射撃は忘れないゆりだった。

 すると、急に地上からの弾幕が増えてきた。見れば、工廠の方からチャーを始めとしたギルドメンバーや、移動式の対空機関銃を持ってきた妖精さんたちが射撃を始めたのだ。

 さらに、緊急で艤装を展開したUnicornが『熟練艦載機整備員』の妖精さんや、自分の『艦載機修理設備』の妖精さんと共に月光や雷電の修理を始めていた。

 既にリーダー機を始めとして何機かは戦線に復帰し始めており、改めて自分たちの能力を生かした戦い方をしていた。

 すると、海の中からも爆発が起こり始めた。

「おぉ、蛟竜や甲標的の攻撃かっ‼」

 直井の考えは正しかった。敵艦隊の攻撃目標にならないということを利用した甲標的・蛟竜が出撃し、攻撃を加え始めていたのだ。

 だが、そんな状態でも敵のワ級部隊が迫ってくる。やはり強襲揚陸を考えているようだ。

「行かせるな‼」

 チャーの叫びと同時にギルドのメンバーがM1バズーカを、さらに妖精が操る沿岸砲台が砲弾を多数発射する。

 沿岸砲台は古くなった35.6cm砲や41cm砲を流用しており、命中すれば高い威力を誇る。

 バズーカ砲が命中したワ級は大きな損傷を負うが、それでも下半身から小鬼のような物体を出すと、それを進撃させてきた。

「戦車が来るぞ‼『Tー34』を出せっ‼」

 チャーの掛け声と共に格納庫から多数の戦車が顔を出す。

 丸っこい砲塔を持つロジーナ(Tー34)を先頭に、『九七式中戦車(第十一連隊 超・熟練)』が多数進撃していく。

 戦車と思しき深海棲艦の付属物はTー34と九七式中戦車(新砲塔)が相手をし、小さな人形のような……深海側の妖精と思しき雰囲気の相手には九七式中戦車(旧砲塔)と陸軍妖精たちが攻撃を仕掛けていた。

「工廠長殿の装備は見事であります‼メリケンの装備がこれほど強いとは‼」

「え、どういうことだ?あきつ丸」

「はっ!実は熊野丸が先に着任していたこともあり、その頃からメリケン式の銃や榴弾砲、『ばずうか砲』などを配備していただいたのでありますっ‼これがなんとも使いやすいっ‼」

「ア、ソウデスカ……」

 見れば確かに、音無も持ったことのある『九九式小銃』より洗練されていると思しき銃……『M1ガーランド』や、『M1バズーカ』を携えた歩兵妖精たちが猛攻を仕掛けていた。

「よぉーしっ‼吶喊‼」

 他にも音無は知らなかったが、『八九式重擲弾筒』を持った工兵隊も側面から攻撃をしており、敵の上陸部隊に次々と攻撃していたのだ。

 深海棲艦も戦艦ル級FlagShipを先頭に、艦砲射撃で上陸を支援しようとしているが、鎮守府側も要塞砲や出撃していく艦娘たちの攻撃でそれを妨害している。

 すると、先頭に立って艦砲射撃しようとしていた戦艦ル級FlagShipに、哨戒をしていた神風が突っ込んで行った。

「やります!撃ち方、始め‼」

 神風の体が光り始めると、砲撃カットインを発生させてル級FlagShipに強烈な猛攻を叩きこんでいった。

 大正時代生まれの旧式駆逐艦とは思えない攻撃力にル級FlagShipは圧倒され、遂に撃沈させられてしまった。

「旧式だからって、侮っちゃいけないわよ‼」

 周囲を固めていたはずの駆逐艦たちが、懐に飛び込んできた神風に攻撃を仕掛けようとするが、今度はそこに綾波と夕立が飛び込んできた。

「綾波が、守りますっ‼」

「さぁ、素敵なパーティしましょう‼」

 2人が背中を合わせて主砲と魚雷を乱射すると、周囲を固めていたはずの駆逐艦たちが次々と轟沈していった。

 やはり、『ソロモンの鬼神』と『ソロモンの悪魔』の名は伊達ではない。

 深海棲艦側も猛烈な反撃に慌てているようだが、空母棲鬼は動じた様子がない。

 鋭く指示を飛ばし、動揺を収めていった。

「くっ、流石に簡単にはいかないか……」

「提督っ、直上っ‼」

 近くにいた大井の声に上を向くと、敵機が1機、火を噴きながらも迫ってきていた。

 『そいつ』は戦闘機のようだが爆装しており、小型爆弾を抱えながら音無の方へ突っ込んできていた。

 損傷して戻れないと判断したのか、特攻するつもりのようだ。

 先に気付いた大井が自分の艤装に取り付けられた機銃を発射するが、当たる気配がない。

「くっ‼」

 音無も銃を発射するが、数発撃ったところで『カチン!』と虚しい音が響いた。

「弾切れっ‼」

 どう考えても装填は間に合わない。

 大井が叫んでいるが、音無の耳はうまく聞き取れていなかった。

 すると、大井が音無の体に抱き着いて庇おうとした。

 倒れ込む自分。そして迫る敵機に、着任してからこれまでのことが走馬灯のように蘇る。

「(俺は……また死ぬのか?今度こそ……今度こそ皆を守り抜こうと思ったのに……また……守れないのか……?)」

 思考はそのような考えに至りつつ、最後の抵抗と言わんばかりに腰の銃剣を引き抜いて、逆手に構え、大井を逆に押し倒していた。

 もちろん、そんなもので特攻の命中による爆発を防げるわけもない。

 それでもせめて、自分に覆い被さっている大井が無事でいればと、そんなことを考えてのことだった。

 見れば、近くで千歳も艤装を放り出してこちらへ走ってきている。

 だが、間に合わないだろう。

「(あぁ……皆、すまない)」

 音無は覚悟を決め、迫る敵機を睨みつけた。

 

 

――ガアアァンッ……‼――

 

 

「……えっ?」

 突如、近くまで迫っていた敵機が爆発した。

 音無たちはなにもしていないし、誰の攻撃も当たっていないはずだった。

 千歳や大井共々、なにが起こったのか分からずにポカンとしてしまう。

「い、一体なにが……?」

 すると、大柄なレシプロ機が目の前を通り過ぎていった。

 チャーがそれを見て目を見開いた。

「あれは、夜間戦闘用の烈風だ‼ウチにはまだない装備だぞっ‼」

「だ、誰がそんなもの……?」

 

 

――ザザーザザザザ……『ハッハッハッハッハ‼間に合ったようだな、音無君‼』――

 

 

「この笑い声はっ‼」

 聞き覚えのある野太い声。音無が上空を見上げると、満月が煌煌と輝いている。その満月に、ゴマ粒のような黒い点が現れる。

 そして、高らかな音楽が流れ始めた。そこには、『夜間戦闘機 月光』に乗った、セーラー服の変態オヤジ、ボルネオ島に所属する3人の提督の1人、聖羅月光がいたのだ。

「ハッハッハッハッハ‼華麗な変身伊達じゃない……ん!?」

 月光提督は自分の背後に満月の書き割りが出されていることに気付いた。

「お、おい!今夜は本物の月がバックだ‼書き割りの月はいらない‼」

 美茄子が『あっ‼』と言って素早く書き割りをしまう……。

「もう一度最初から‼」

 深海棲艦側はポカンと見ているが、音無たちは呆れ顔だ。

「せっかくカッコよかったのに……」

「段取りがなってねぇなぁ……」

 上空で旋回したらしい月光は、再び満月をバックに音楽をかき鳴らす。

「ハーッハッハッハッハッ‼華麗な変身伊達じゃない‼月のエナジー背中に浴びて、正義のスティック闇を裂く‼空の戦は任せてもらおう!月よりの使者‼月光提督、ただいま参上‼」

「同じくアシスタントの美茄子提督もヨロシクぅ‼」

 空母棲鬼ですら唖然としていると、月をバックに多数の航空機が迫ってきた。

「夜間戦闘航空隊‼月に代わってぇ、お仕置きよぉ‼」

 月光提督が率いていたのは、夜間戦闘能力を持つ赤城改二戊、加賀改二戊、龍鳳改二戊、Ark Loyal、Saratoga Mk,2、そしてそれらをサポートするための『熟練艦載機整備員』を装備した最上改二だった。

 彗星一二型甲や流星改が次々と突っ込み、爆弾と魚雷の嵐をお見舞いしていく。

 しかし、夜間戦闘向けの航空隊とは言え、敵味方入り乱れた状態では状況の把握が難しいようだ。

 思った以上に戦果が上がっていない。

「むぅ、敵もなかなかやるな……よし。美茄子、変身だっ‼」

「了解‼」

 月光が持っていた三日月のスティックを天にかざす。

「ムーンライトパワーッ‼」

 『カシャカシャッ』という音と共に素早く変身用の幕が展開される。

 その陰で素早く着替えている姿を見て、音無は呆れ交じりに呟いた。

「今回はなにに変身する気だよ……」

 音無の周囲を固めていたドゥブロヴニクが『変身するんですかっ!?』と驚いていたが、音無は『いや』と心底イヤそうに返した。

「着替えているだけだ」

「変身だっ‼」

 そんなことをやりつつ、周囲は『烈風(夜間作戦用)』が固めているために手は出されない。

 やがて終わったらしい月光が『メイクアップ‼』と叫ぶと、幕が上がって銀髪に猫耳を付け、タイツを履きロケットランチャーらしいものを持ったオッサンが現れた。

「説明しよう!月光提督はサー○ャ・V・リ○ヴャクに変身することで、夜間索敵能力が大幅にアップするのだっ‼」

 ちなみに、美茄子は相方のス○ムスウィッチのコスプレだ。

「サーニ○、気を付けるんダナ‼」

「分かってるわ、エ○ラ‼」

「相変わらず謝罪文必要そうな小ネタを……」

 音無が呆れる中、月光提督自ら月光の斜銃で敵航空隊を牽制する。人間が自力で攻撃する姿を見て、深海棲艦の中にも動揺が走る。その光景を見ていた音無をチャーが大声で呼ぶ。

「音無、こいつを使え!」

 チャーが投げたのはポンプアクション式のショットガン、海上保安庁などでも装備として採用されているレミントンM870である。

『どういうことだろう』と一瞬考えたが、音無は考えるよりも使ってみようと思い至った。

 音無はポンプアクションで弾を装填すると、銃床を肩にしっかりと当てて、接近する深海棲艦の戦車妖精に発砲した。

 すると、スラッグ弾らしい弾が発射されて、戦車妖精の目の前に来たところで破裂した。

「これ、ただの散弾じゃない?」

 音無の脇に立ったチャーが、同じようにショットガンを発砲しながら言った。

「艦娘の三式弾を応用して、ショットシェルに新開発の近接信管を搭載してみた。こういう時に少しは役に立つだろうと思ってな」

「お前ホントになんでもアリになってきたな!?」

 ちなみに、敵戦闘機に接近された高松は自慢の拳銃デザートイーグルを発砲しているが、その弾丸が敵の前で破裂して吹き飛ばしていた。

「あっちは、ダムダム弾ってヤツか?」

「拳銃で使うなら、あっちの方が都合はいいと思ってな。ギルドの連中がゆりっぺたちにも弾渡してるところだ。これでちったぁ粘れるだろう」

「ああ、助かったよ!」

 音無は苦笑しながらも、ショットガンを連発して上陸してきた敵戦車妖精を吹き飛ばす。近接信管を搭載している都合で、弾丸が少し重くなっている。携帯性を考えれば銃床を外すところだったが、反動を少しでも抑えるために残したのだ。

 見れば、あきつ丸の銃も同じ弾丸を使っているようで、次々と深海棲艦に大きなダメージを与えていた。

 敵戦闘機が減ってくると、月光提督の夜間航空隊も戦闘がしやすくなったようで、敵機を次々と墜としている。

「いいわ、エ○ラ。一気に行くわ」

 そう言うと、着替えた月光提督がコクピットのボタンを押す。

「だから変身だ!説明にまでツッコませるな!」

「気にするな、美茄子。フリ○ガー○マー発射用意!」

「発射用意!」

 月光提督の合図で、月光の下部ハッチが開き、九発装填のロケットランチャーが露出する。

「さっき肩に担いでただろ!?どうやって移した!というかどうやって積んだんだ!?」

「細かいことは気にするな!発射ぁ!」

 月光提督がボタンを押すと、九連装のロケット弾が空母棲鬼に向けて発射される。それに合わせて、夜間航空隊の艦爆部隊も急降下爆撃を喰らわせる。対空戦闘で艦爆とロケット弾がいくつか撃墜されたが、それでも空母棲鬼に命中した。

 海に出て戦闘を開始していた川内が、飛ばしていた九八式水上偵察機(夜偵)の報告をそのまま伝える。

「夜間航空隊の爆撃に成功。空母棲鬼、小破!」

 川内の報告を無線で聞いていた月光提督は、珍しく眉間に皺を寄せて『くそっ!』と操作盤を叩いた。

「やはりこんな所まで迫るだけある。一筋縄ではいかんか!」

 空母棲鬼は攻撃を受けた直後、残存艦隊を率いて180度反転した。上陸した戦車妖精を粗方吹き飛ばした音無も、その様子を見ていた。

「ここを離れて態勢を立て直す気か!」

 音無が舌打ちをすると、息を荒くしながらも落ち着いた顔をしたゆりが駆け寄ってくる。

「音無君、旗艦を失った地上戦力と遊撃艦隊なら私の指揮でもどうにかなる。あなたはあのデカいのを追いかけなさい!」

「えっ、いいのか?」

「うちの娘たちは最初から夜戦に突入する戦闘に慣れていない。多少リスクを負ってでも、あなたが前線に出て直接指揮を執るべきだわ」

 ゆりが言うことも尤もだと音無は思った。この鎮守府はまだ早朝に出撃してから夜間戦闘に突入する戦いしか経験していない。合同演習を夜から行う時もあるが、実戦での経験はほとんどないに等しい。

 大きく深呼吸をすると、音無は銃を抱えたまま隣にいる大井に伝える。

「大井、防衛中の各艦に通達。俺はこれより夜戦艦隊を率いて、空母棲鬼の追撃戦に入る。防衛艦隊の指揮は……月光提督に一任する」

「よ、よろしいんですか?」

「間違いなく俺たちより経験豊富だ。提督、うちの娘たちをお預けします。砲撃込みの艦隊は不慣れと存じますが、この鎮守府をお願いします」

 音無が依頼すると、インカム越しに月光提督の声が聞こえる。

『無論だ、守るために駆け付けたのだからな。音無提督、指揮権の一時譲渡、確かに承った。存分に海を走るといい!』

「感謝します……大井、頼んだぞ」

「は、はい」

 音無が優しい笑みで大井に呼びかけると、大井の顔がポッと赤くなる。音無が港に向けて走り出そうとすると、『提督!』と叫び、音無に抱き着いて唇を重ねていた。

 まさかの大井のキスシーンを見て、ゆりたちは顔を真っ赤にして驚いていた。音無自身も驚いており、唇を放した大井の顔をボーっと見ている。

「ご武運を、提督」

 心から心配してくれている大井に、音無は引き締めた笑顔で頷いた。

「行ってくる」

 

 

 音無は高松が操縦するモーターボートに乗り、空母棲鬼の後を追っている。音無の前には川内率いる夜戦艦隊がいる。

「どうでもいいけどさあ、高松いつの間にボートの操縦覚えたんだ?」

「遠征に際して、松下さんたちと交代で台船を動かしたりしていたら、気が付けばモーターボートも操縦できるようになっていました。やっておくものですね」

「まったくだ。こんな形で役に立つなんてなぁ」

 音無はそう言いながら、モーターボートの穂先に立つ。手にはショットガンを持ち、胸のホルスターにはダムダム弾を装填した拳銃もある。夜戦艦隊については、以下の通り。

 

 

川内改二、神通改二、綾波改二、夕立改二、足柄改二、Scharnhorst Zwei

 

 

 戦艦を編成に加えると足が遅くなることが懸念事項だったので、比較的足の速い巡洋戦艦のScharnhorstを入れた。そのお陰で思ったより速度は下がらず距離は詰まっている。それでも、追いかけるなら相手より速く動かなければならないので、艦娘たちの負担も大きい。

「ちくしょうっ、もう一息だっていうのに……」

 空母棲鬼の艦隊は音無艦隊の射程に入らない距離を維持し、なおも進んでいる。このままでは、追い続けることはできても攻撃できない。音無が歯軋りをした、その時だった。

 

 

――ドォォォン!ドゴォォン!――

 

 

 突然、空母棲鬼の周囲で水柱が発生。敵艦隊が減速する。

「なにが起きたんだ!?」

 音無もなにが起きたか分からず、辺りを見回している。すると、索敵していた川内が報告する。

「水中から爆発音。これは……魚雷だよ!?」

「魚雷、水中……まさか!?」

 そのまさかだった。空母棲鬼の右舷に急速浮上する6隻の潜水艦娘と、艦橋だけ本格的な小型潜水艦が姿を見せた。小型潜水艦のハッチが開くと、その中から無駄に明るい光と太い男の声が聞こえた。

「お茶目なヤシの木カットは伊達じゃない。海を愛し正義を守る。誰が呼んだかポセイドン!タンスに入れるはタンスにゴン!」

「や、やっぱりこの声は!?」

「ボルネオ提督三羽烏の1人、海野土佐ヱ門、ただいま参上!」

 そう言ってハッチから勢いよく飛び出してきたのは、月光提督と共にボルネオ島鎮守府を守る提督の1人、海野土佐ヱ門。通称ドルフィン提督である。

「海野提督!あなたも来てくださったんですか!」

「ダッハッハァ!敵が海にいるからには水中も備えておくに越したことはないからなぁ!潜水艦隊、音無艦隊を援護する!潜航開始ぃ!」

 海野提督がパイプを鳴らすと、6隻の潜水艦娘が潜航を開始した。潜航する前に海野艦隊へ空母棲鬼が攻撃を仕掛けようとすると、Scharnhorstが音無に伝える。

「Admiral!ギリギリ射程に入る!狭叉くらいかもしれねぇが……」

「海野艦隊の邪魔をさせるな!シャル、撃てぇ!」

「おうよぉ!」

 Scharnhorstが射撃準備をした瞬間、彼女の体が光り始める。

「おぉっ!これがカットイン。生で見るのは初めてだな」

「空母は獲物ォ!放てぇ‼」

 Scharnhorstが発砲した砲弾が、空母棲鬼に命中した。間髪入れずに連続射撃を行った結果、空母棲鬼が中破した。

「空母棲鬼中破!これで艦載機は出せないよ!」

 川内が嬉しそうに言う中、空母棲鬼が中破する直前に発艦させた艦載機が海野提督の潜水艦隊に接近する。それを見た音無はショットガンを足元に置くと、代わりに持ってきておいたM1バズーカを担ぐ。

「これで、どうだぁ!」

 音無が引き金を引くと、ロケット弾が飛び出し、敵艦載機の一団に向かって飛んでいく。敵艦載機隊が回避しようとした直後、中心に飛び込んできたロケット弾が炸裂し、飛び散った破片で一掃した。

「チャーがこいつにも近接信管つけてくれていて助かった。試作でまだこれしかないらしいけど」

 それでも用意してくれたチャーに音無が心中で感謝すると、海野艦隊の潜水艦娘は潜航を完了した。

「よぉし、攻撃開始ぃ!」

 

 

――ポッポーッ‼――

 

 

 海野提督がパイプを鳴らすと、旗艦を務める呂500が合図を送る。

「夜ですって。頑張る。がるるー!」

 6隻の魚雷一斉攻撃が命中し、空母棲鬼を残して艦隊が壊滅。すると、同行していた敵の随伴艦隊と音無艦隊の距離が縮む。

「足柄、シャル、副砲一斉射!一気に距離を詰めろ!」

 音無の指示で足柄とScharnhorstが副砲を連射して牽制、随伴艦隊に接近する。

 綾波と夕立の射程圏内に入ったところで、音無が号令を発する。

「全艦、砲撃始め!」

 すると、今度は夕立の体が光り始めた。

「よりどりみどりっぽい?」

 この攻撃で、既に2隻を失っていた随伴艦隊の残り4隻が攻撃を受けた。3隻が轟沈して戦艦ル級Eliteだけが残ると、艦隊が連続砲撃を浴びせ、今度こそ沈めた。

「よし、これで横槍を入れられる心配はなくなった。後は……」

 音無が空母棲鬼に照準を合わせようとすると、思いの外距離を取られていた。随伴艦隊に接近する過程で、どうやら離れてしまっていたらしい。

「潜水艦隊も接近するのは難しい。全艦、最大船速!なんとしても追い付くぞ!」

 音無の指示で艦隊は船速を最大まで上げるが、それでも中々追い付けない。

「くそぉっ!もうちょっとだっていうのに……」

 すると、神通が報告を入れる。

「提督、空母棲鬼の進路上に別の艦隊を確認!」

「まさか、奴らの増援か?」

 しかし、『いいえ』と神通が否定した。

「この信号は、艦娘のものです。しかも、側に別の小型物体の反応があります」

 神通の言葉の意味が分からず。音無は赤外線スコープを付けた双眼鏡で空母棲鬼の向こうを見る。すると、なぜか大きな水飛沫を立てて接近する物体が見えた。

「あれは……」

 その、妙に自信たっぷりの笑顔で水上バイクを駆る海パン一丁の男を見て、音無は背筋が冷えた。

「ヒャハハハハハハハハハァッ!股間のモッコリ伊達じゃない!深海棲艦立ちはだかるなら、海パン一つで全て撃退!ボルネオ提督三羽烏の1人、汚野武!ただいま参上!」

「やっぱりあんたか汚野提督ぅぅぅぅっ!」

 増援に来てくれたことはありがたいが、三大変態提督の最後の1人、汚野提督の登場は、音無に喜びよりも驚きを与えたのだった。

 




はい、特殊刑事課三羽烏もとい、特殊提督の惨状……じゃなかった、参上でした。


いやーどこかでこれを書きたかったんですよね(笑)
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