※この作品はR-18です。

音無提督の艦娘救済道~ハーレム仕立て   作:笠三和大

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ケッコンカッコカリ

 激しく絡み合った翌朝、目を覚ました音無の隣には、獲物を丸呑みしたカエルのごとくパンパンに腹がせり出した3人の艦娘が眠っていた。

「ふぅ……また随分張り切っちまったな……」

 特に加賀は膣、腸、口の全てに大量の射精を受けていたために、つい先ほどまでパンパンどころか破裂寸前と言っていいほどに膨らんで動けなくなっていたのだ……今は腸と胃袋の方は全て吸収されたようで『程々』の膨らみに落ち着いているが。

 そして大量に吸い出したはずの母乳も、既に補充されているようだ。まるで無限機関である。

 音無は仰向けに寝転がる加賀の乳房から再び母乳を吸い出すと、日課とも言える朝シャワーに向かうのだった。

 これも暗黙の了解で、音無と夜を過ごした艦娘は大体翌日の朝早くは起き上がれないことが多いため、誰も起こしに来ないのだ。

 だから音無は自分で起きて、シャワーを浴びて食事を摂りにいかなければならない。

 シャワー室へ向かっていると、またも意外な顔に出くわした。

「あっ、提督。おはようございます」

「あ~……おはよ~、提督~……」

 それは、古鷹と加古の姉妹だった。昨晩は彼女たちが夜間哨戒に出てくれていたらしい。

 古鷹は真面目に挨拶してきたが、加古はどちらかと言うと眠そうだ。

 夜勤明けだから、というわけではなく、加古は普段からそんな感じなのだ。

「2人はこれからどうするんだ?」

「入渠しようと思ったけど~……ふあ~あ……傷もないからお風呂の方がいいかな~って」

 加古があくびしながら答えるので、『こらっ』と古鷹が窘めた。

「す、すみません提督。加古ったら失礼を……」

「いいって。じゃあゆっくりと……え?」

 音無が立ち去ろうとすると、古鷹がキュッと腕を掴んでいた。

「ふ、古鷹?」

「あ、あれ……?」

 古鷹は自分でも気づかないうちに音無の腕を掴んでいたらしい。

「え、えっと、その……」

 すると、加古がニヤリと笑って古鷹の胸を鷲掴みにした。

「ひゃっ!?か、加古ぉ!?」

「へへへ~、古鷹ってば提督とイチャイチャしたいならそう言えばいいのに~」

「えっ、古鷹……」

 古鷹は顔を真っ赤にしながらアワアワと大慌てする。

「いやっ、あの、違くてっ……」

「え~、いいじゃーん。ねぇ提督ぅ~、アタシたちもシャワー一緒していいかな~?」

「加古ぉ、急になに言ってんのぉ!?」

 だが、音無も『フッ』と笑っていた。そして、古鷹たちに改めて手を差し出した。

「1人だけでシャワーじゃ寂しいところだったんだ。一緒に来てくれるか?」

 古鷹はポカンと、加古は『にしし』と言わんばかりに笑っている。

 そして、先ほどよりさらに顔を赤くしながらも、古鷹がか細い声で、しかし嬉しそうに『は、はい……』と答えた。

 

 

「えっ、ちょ、ちょっと提督っ、そんなところ触るのっ!?あっ、ちょ、ら、らめぇ~っ♡」

「うえへへ~、こんな気持ちイイことならもっと早く味わってもよかったかなぁ~♪え、ちょ、そこ尻だって尻!?……おふっ♡」

 

 

 そして、シャワーを浴びつつ重巡姉妹2人の体を堪能し、2人の初めてをもらうのだった。

 

 

 古鷹型姉妹とのシャワーを終えた音無は2人を連れて食堂へ向かっていた。2人はすっかり艶々しており、夜勤明けとは思えない雰囲気である。

 食堂へ入れば、多数の艦娘たちが『わいわいがやがや』と姦しく話しながら食事を摂っている。

「鳳翔さん、おはよう」

「まぁ提督、おはようございます」

 見れば、鳳翔は炊き込みご飯をよそってPerthとSidneyの姉妹に渡していた。

「今日はオーストラリアからいいトウモロコシが手に入りましたので、トウモロコシを使った炊き込みご飯です」

 茶碗を手に持ってみれば、ふんわりと醤油と出汁のいい香りが立ち上っている。それを鼻腔に受け止めるだけで、昨夜から激しい夜を過ごしたことで体力を消耗した音無の腹の虫が『ぐうぅ』とだらしない鳴き声を上げるのだった。

「オージーコーンか。こりゃ楽しみだな」

 他にも菜園で取れたほうれん草のおひたしや、近海で取れたらしいサバの味噌煮など、日本人にはどこかホッとさせられるメニューである。

 見れば、味噌汁やおひたしの味は鳳翔さんだけでなく萩風も見てくれているようで、相変わらず健康によさそうな味配分を考えているのだった。

「じゃ、いただきます」

「「いただきます」」

 音無に続くように古鷹型姉妹も食事を始める。

 食事をしながら古鷹、加古と話をしていると、千歳と千代田が近付いてきた。

「お、千歳。おはよう」

「おはようございます、提督」

 すると、千歳が何故かモジモジしているのに気が付いた。

「どうした?どこか具合でも悪いのか?」

「あ、いえ、その……」

「お姉、ちゃんと言わないと提督さんには伝わらないよ」

 千代田に背中を押された千歳は、意を決したらしく音無の方を強く見つめてきた。

 周辺に座っている面々も、音無にとって最も信頼の厚い千歳が急になにを言い出すのだろうかと視線を向ける。

「じ、実は!つい先ほど朝の演習を終えたところで練度99に達しました!」

 音無も以前話は聞いていた。『艦娘は練度99に達したところで提督とさらなる絆を深めることができる〈ケッコンカッコカリ〉という現象が存在する』と。

「え、それって確か……マジか!?」

 そう。艦娘は練度99に達することで提督と『ケッコンカッコカリ』が可能になるのだ。

 そして千歳の練度も99。つまり……

「その、提督……私と……ケッコン、していただけますか?」

 その瞬間、食堂の全ての視線が千歳に集中していた。

 わずかな沈黙。千歳は流石に恥ずかしいのか、顔を真っ赤にしながら俯いている。

 その沈黙を破ったのは、音無の動きだった。

 彼は立ち上がると、千歳をギュッと抱き締めたのだ。

「本当にいいのか?俺は……色々な艦娘に手を出す最低最悪の浮気野郎だぞ」

「いいえ。提督は皆の思いを受け止めて愛して下さる……最高最善のお方です」

 千歳はゆるぎなく音無の瞳を見つめている。

 音無もそんな千歳の眼を見続けていたが、やがて優しい目になり、彼女を再び抱き締めた。

「千歳、俺からも言わせてもらう。ケッコン、してくれ」

「はいっ♪」

 その瞬間、食堂の中で『わっ』と歓声が上がった。

 鳳翔や鈴谷たち、ゆりたち戦線メンバーも嬉しそうに笑っている。

「千歳さん、おめでとうございます」

「やったねー、千歳さん‼」

「へっ、羨ましいよなぁ‼」

「ヒャッハー!祝い酒祝い酒ー‼」

「えへへ~、ポーラも飲んじゃいますよ~!お祝いお祝い~‼」

「お前ら飲みたいだけだろーが‼」

 珍しく音無ではなく日向(ひなた)がツッコミを入れると、日向(ひゅうが)も『まぁ、そうなるな』と続けた。

「いいなぁ。アタシたちも負けてられないねっ、日向」

「あぁ。もっと……もっと鍛えなければな」

「どちらかといや新参者としては羨ましいねぇ。でも今は嬉しいから踊っちゃうよヒーハー!」

 伊勢たちに続いてMinas Zyeraisも陽気に声を上げる……どちらかと言うと踊りたいだけのようだが。

 初めてのケッコンカッコカリとは、それほどのインパクトを持つ行事なのだ。

 食事を終えた一同は身支度を整え、そして執務室へ入った。

 そこにいるのは音無と千歳以外では見届け役を兼ねている大淀と、戦線代表でゆりがいるだけである。

「それでは、こちらを」

 大淀が差し出した小箱の中には、キラリと光るリングが納められていた。

 音無はそれを手に取り、千歳の薬指に近付ける。

 練度99に達していなければ指輪は不可思議な力で弾かれると言う。だが、その心配はなかった。

 千歳の指にスッとリングが納まった瞬間、千歳の体が強く光り輝いた。

 そして、千歳がニコリと微笑んだ。

「生まれ変わった千歳、いつも見守ってありがとうございます、提督」

 この瞬間、音無と千歳は今まで以上に深い絆で結ばれることになった。

 以後は練度がさらに上がるようになり(ゲームで言うカンスト)、その練度を最大限まで上昇させれば、様々な面で非常に高い能力を発揮するようになる。

 だがそれ以上に音無にとって重要だったのは、自分が愛した女性とさらに深い絆を紡げるということだった。

 しかし、ここで大淀が衝撃の事実を告げる。

「申し訳ありませんが、提督。実は他にもケッコン可能な方が既に何人か出てきておりまして……」

「え!?マジ!?その……いいのか?一気にそんな何人とも……」

「まぁ。本来であればいきなり何人もの艦娘と一気に関係を結べる提督が普通いないのですが……この鎮守府は皆自主演習などの影響で基本的に練度が高くなっていたので……人数だけで言えば10人以上いますよ」

「う、ウソだろ……なんだかムードもへったくれもねぇ……」

「これに関しては言うことはありませんね……まぁ、それだけ『提督のために』と皆が頑張ってくれている証拠だと思えばよろしいかと」

 まぁ、当然だろう。何人かの艦娘を揃えてから鎮守府の運営を始めたのだから、千歳を含めて多数がいてもおかしくはない。

 それでもいきなり10人以上というのはかなりの人数だろう。

「ついでに言いますと……海域解放の最中でもあるので、最初の人以外にあまり時間をかけられない、という部分もありますが」

「あぁ。そういうことか……確かに、海域攻略も大事だからな……とはいえ、身も蓋もねぇな」

「返す言葉もありません。ただ、それだけこの鎮守府の艦娘たちの平均的な練度が高いんですよ」

 そもそも、SSS鎮守府の艦娘たちの練度向上への意識が高すぎるのが(以下略)。

「そ、そうか。えぇっと……じゃあ、1人ずつ呼んでくれ」

「はい。まずは……千代田さんですね」

 千代田が入ってくると、若干照れくさそうな顔をしていた。

「えっと……カッコカリは俺じゃないとできないけど、その後に来るカッコガチはもし他に絆を深めた人がいればできる、だったよな?」

「その通りです。もっとも……私はガチの結婚でも音無提督がいいですけど」

 大淀がちょっと唇を尖らせて言うので、音無も『悪かったよ』と素直に謝った。

 なぜ音無がこのようなことを言ったのか。それは、千代田が高速軽空母として鎮守府近海の対潜哨戒に従事するために直井とよく一緒にいたからであった。

 クセというかアクの強い直井には同じくクセの強いシスコンである千代田が合っていたらしく、これで結構仲がいいのである。

 なので、本ケッコンの際にはぜひとも可愛い舎弟のお嫁さんになってもらいたいと音無は思っていたのだ。

「じゃあ、千代田。それでいいかな?」

「わ、私は別に……で、でも、音無提督のことも、大事だと思ってますから」

 千代田の指に指輪をはめると、どうしても言いたくなったのか、『つい』という雰囲気で口から言葉が出てきていた。

「提督……お気持ちは嬉しいけど、千代田はやっぱり、千歳お姉が心配だから……でも、よろしくね」

「あぁ」

 続いて入ってきたのは、始めて建造された艦娘である神通だった。

 しっかりと神通の顔を見てあげながら、指にリングを嵌める。

「たまにはゆっくりと……神通とお話しませんか?」

「あぁ、そうだな。色々話をしたいよ」

「え、ほんとに!?いいの?……ありがとうございます、提督っ」

 さらに続いて、鈴谷。

 いつもは朗らかな彼女も、かなりガチガチに緊張しているようだ。コチコチと言わんばかりの歩き方で、見ている大淀やゆりたちの方が心配そうであった。

 鈴谷が震えながら指を差し出すと、音無も優しく指輪を嵌めてあげる。

「て、提督ぅー。ちょっと真面目な話するけど、鈴谷みたいな艦をここまで運用してくれて、ありがとうね。一応、お礼……えへっ」

 普段のギャルっぽさはどちらかと言えばキャラ作りに近いのだろう。この純情さこそが、鈴谷の本当の姿なのだ。

「……ぇ……あ、えぇとね、これからも、よろしくね!」

 最後のたんぽぽみたいな笑顔こそ、鈴谷の本心なのだろう。音無もそれを理解しているからこそ、鈴谷に笑いかけながら頭を撫でるのだった。

 これからも彼女は、この愛らしさを忘れないだろう。

 さらに続いて摩耶。

「アタシの力を引き出してくれて、ありがとな。これでも、感謝してるんだ、ぞ……?」

 普段のヤンキー染みた雰囲気から一転、モジモジしながら告げる姿はむしろ可愛らしい。

 すると、音無も彼女の頭をゆっくりと撫でる。

「あぁ。俺も感謝しているよ。お前が空を守ってくれているから、皆も安心して戦えるんだ。これからも頼むぜ」

 特に、特別任務の時には彼女の防空能力のお陰で守られたこともあった。改二になってからはあまり能力を発揮している時間は少ないものの、ここぞという時には頼りになる存在である。

 続いて如月。

 『うふふ』と笑っている彼女はいつも通りに見えるが、髪飾りをちょこちょこと弄っている。やはりと言うべきか、一応緊張しているようだ。

「うーん……全部『フリ』なんだけどね?本当はあなたと、ぼんやりと海を眺めていたいだけ、なの」

「へぇ、そうなのか?」

 音無は敢えて挑発的に聞く。如月もそれは理解しているようで、若干顔を赤くしていた。

「くすっ、なーんちゃって♡」

 最後に笑って見せるが、音無も笑ってみせる。

「お前はいつでもそうだよな。ほとんど本音を見せてくれなくて……でも、だからこそお前の心を聞ける時は、すごく嬉しいよ」

「うふふっ♡ありがとう、司令官♪」

 その後も多数の艦娘たちに指輪を渡し、それぞれとのケッコンカッコカリを進めていく。

 これでは流れ作業のようだと音無は思ってしまっているが、それでも艦娘たちは嬉しそうであった。

 大井や北上、木曽などの雷巡姉妹や、初めての戦艦である榛名、初めての海外艦であるScharnhorst、さらに初めての空母だった鳳翔や蒼龍、瑞鶴など、皆それ相応に嬉しそうな顔をしていたのだった。

 もっとも、如月に関してはケッコンカッコカリにかこつけて夜の約束をしようとして、神通に『例えケッコンしたとしても、私たちにはまだまだ上がありますから』と呆気なくしょっ引かれていたが。

 その中でも、Scharnhorstのケッコンの言葉は印象的だった。

「へへっ……Admiral。いつもいつも、俺みたいな半端者をここまで大事にしてくれてさっ……俺、本当に嬉しかったんだぜ。俺、Admiralと一緒なら、ドーバー海峡だって一息に走り切れると思う……だから、これからも一緒に頼むぜ。なっ♡」

 そんな一幕もあった。

 しかし、例えケッコンカッコカリしたとしてもその日やることに変わりはない。

「というわけで、今日はカレー洋制圧作戦のため、カレー洋近海の敵艦隊を叩くことになる。だが……」

 音無は、偵察に行った『夜間戦闘機 月光(超・熟練)』の情報を見て唸っていた。

「これは厳しいな……」

 それは、敵艦隊の編成よりも、こちらが組める方の編成制限であった。

 曰く、『軽巡1隻以上かつ駆逐艦2隻を有する艦隊』でなければならないのである。

 それでいて回遊している敵艦隊は、潜水艦隊2個を含めて5つ。どのように立ち回るか悩ましいところである。

 そこで久しぶりにチャー及び千歳たちの意見を聞くことにした。

「問題なのは、敵主力艦隊までは航空母艦が1隻もいない代わりに潜水艦隊が2個回遊していることですね。これを確実に片づけておかないと、後が厳しいと思います」

「だよなぁ……だがそれで主力艦隊を疎かにもしたくないしな……チャーはどう思う?」

 チャーは少し考えていたが、ホワイトボードに自分の理想とする編成を書き出し始めた。

「これだな」

 

 

○ 神通改二(15.2cm単装砲・探照灯・六連装(酸素)魚雷発射管・三式爆雷投射機 集中配備)

○ 綾波改二(12.7cm連装砲B型改二・照明弾・六連装(酸素)魚雷発射管・零式水中聴音機)

○ 初月改(10cm連装高角砲+高射装置×2+13号対空電探改・六連装(酸素)魚雷発射管)

○ Scharnhorst Zwei(Zwei初期装備+零式水上偵察機11型乙(熟練)・新型高温高圧缶(Type・Wagner)

○ 千歳改二(全スロット『Aー1(中期型)』・熟練艦載機整備員)

○ 千代田改二(3スロットは千歳と同じで、4スロのみ『彩雲』・増設スロットに増設バルジ(中型艦))

 

 

 全員が増設スロットを使用しているため、実質的に装備スロットが1つ増えているのも特徴だ。

「……その心は?」

「簡単さ。神通と綾波は高速と高回避で夜戦まで持ちこたえてもらってから夜戦火力で敵を圧倒し、初月は対空カットインで艦載機の迎撃に当たってもらう」

 Scharnhorstも雷装値があるため夜戦となれば改二戦艦クラスの破壊力を叩き出すことが可能になるが、それに関してはあまり心配いらないだろう。

「対潜攻撃はどうするんだよ?」

「そのための千歳たちさ。忘れたのか?千歳たちは軽空母だから潜水艦に対して特効効果があるんだぞ?」

 音無も思い出したようで『そういえば』と呟いた。

 この鎮守府では基本的に対潜戦闘は直井に任せており、祥鳳や龍驤を始めとする軽空母や、対潜攻撃で実戦経験を積むことになっている駆逐艦、軽巡洋艦たちも多くは直井と一緒にいるのだ。

「千歳たちは今うちに着任している軽空母では2番目に搭載量が多く、おまけに足もそれなりに早い。これを活かさない手はないと思ってな」

 ちなみに現在、一番搭載量が多いのは隼鷹改二であり、龍鳳も改二になれば60機を超える搭載量を確保できるうえに29ノットという高速になるため、今では千歳型改二はほぼ3番手と言うべきだろう(速力と防御力だけならば軽空母一といってもいいのだが)。

 だがそれだけに、その使い勝手の良さは間違いない。

「だとすれば……千歳たちにスカイレイダーを乗せれば、相当な対潜火力になるな」

「史実の艦だったらあんなバカでかいバケモノなんざ搭載できないが……艦これ世界ならいけるさ」

「おいおい、無茶苦茶だなぁ……」

 だが、取れる手段がある限り、その手段を選んでいる余裕などない。

 ちなみに今回は何気なくだが初月以外の全員がケッコンカッコカリをした艦娘ばかりである。初月とて改二が存在していない(2023年現在)秋月型としては最古参であり、既に練度は80近いため、手強い海域でも十分に戦えると音無は判断していた。

 というか、本当に練度が普通の鎮守府から比べると異常に高(以下略)。

「よし。皆、頼むぞ‼」

「了解‼」

 音無の命を受けた艦隊は、意気揚々と出撃していく。

 西方海域は手強い艦隊も一気に増えるが、彼らならば大丈夫に違いない……そんな確信めいた感覚が、音無の中にあった。

 赤城や加賀辺りならば『慢心してはいけない』と戒めるかもしれないが、音無はなんとなく気付いていた。

 これは慢心ではなく、『自信』なのだと。

 

 

――カレー洋付近

 カレー洋に進出した艦隊は、主に電探を使用して索敵を行う。

 というのも、偵察機を搭載しているのが千代田とScharnhorstだけなので、あまり偵察機の数が多くないのだ。

 こういう点では航空戦艦である日向改二などはかなり強い。なにせ瑞雲系列を乗せまくるだけで偵察能力のみならず自身の能力も大幅に向上するのだから当然だ。

 これに関しては艦上爆撃機である『彗星二二型』系列を積むことが中心になる伊勢改二とは大きく異なっている(伊勢改二も瑞雲系列でボーナスはあるが、彗星二二型系列の方が高くなるためそちらが優先されやすい)。

 また、偵察機以外ではScharnhorstの『Fumo 25レーダー』や初月の『13号対空電探改』に、敵主力艦隊の上空を直掩として飛んでいるらしい艦載機の影が映っていた。

 初月はその報告を受けて考える。

「ということは、あっちの方に主力がいるということだな……シャル殿、潜水艦は確認できるか?」

 Scharnhorstはニヤリと笑う。

「あぁ、見つけたぜ。もう索敵範囲内だが……敵はまだこっちに気付いてねぇ。チャンスだ」

 その言葉を受け、千歳たちが艦載機を発艦させる。

「大丈夫。私に任せて」

 発艦したSkyRaiderは潜水艦隊直上に到達すると、九七式艦攻や天山、流星では考えられない量の対潜向け爆弾を多数投下した。

 なにせSkyRaiderは3t近い兵装を搭載可能な、日本基準で言えば『重爆撃機』というほどの航空機である。

 これは単純に日本の航空機(特に海軍の航空機、それも初期型)が航続距離と運動性を重視していたために搭載量と防御力の多くを犠牲にしていたことが原因である。

 日本基準では、『2tも積めれば重爆撃機』と言われることからもその事情が窺えるというものである。

 一方、敵潜水艦隊は見つかっていたとは思っていなかったようで、奇襲を受けた形になった。見つかったと判断した時点で急速潜航を試みたものの、投下された大量の爆弾によって逃げる間もなく全艦撃沈させられてしまったのだ。

「うふふっ。気持ちいい♪」

 千歳のニコニコとした顔に、全員も思わず顔を綻ばせるのだった。

 その後も遭遇する敵艦隊にはSkyRaiderの猛攻が襲い掛かり、接敵する時にはほとんど倒せてしまっている状態だった。

 特に、最初の輸送ワ級を中心とした艦隊(しかもワ級4隻は無印)など、航空攻撃だけで全滅してしまったほどだった。

 だが、最後の主力艦隊は別だった。Scharnhorstの偵察機が敵艦隊を発見し、内訳を素早く報告する。

「敵主力艦隊発見!『戦艦ル級FlagShip×2・空母ヲ級FlagShip1・軽巡ホ級Elite1・駆逐ロ級Elite×2』の艦隊だ‼」

「来ましたね……ル級FlagShipが2隻というのが厄介ですね」

「ヲ級は俺に任せな。そのための俺様だ」

 Scharnhorst級には航空母艦系列に対する特効効果があり、優先的に攻撃するようになっているため、恐らく一撃で無力化してくれるだろう。

「では、接敵した直後にシャルさんの一撃でヲ級を無力化、できれば撃沈して下さい。その後は千歳さんたちが攻撃を仕掛けて怯ませたところで一気に接近し、肉薄してから連続攻撃を叩きこむしかないですね。千歳さんたちは極力回避に専念して、攻撃可能であれば再度攻撃隊を発艦させてください」

 いくらSkyRaiderの中期型が零式艦戦52型並みの制空値を持っていると言っても、軽空母2隻の航空隊では航空優勢を取れるかどうかも怪しい。

 だとすれば、下手に事前攻撃して大幅に数を減らされるくらいならば接敵した直後に航空攻撃を行おうということだった。

 神通の淀みない指示に千歳たちも頷く。そのために一番攻撃を受けるだろうと考えられている最後尾の千代田には防御のために『増設バルジ』を装着しているのだ。

「んじゃ、行くとすっか!」

 Scharnhorstの声を聞き、一気に敵艦隊に接近した。

「敵空母発見!砲雷撃戦、用意‼」

 敵艦隊に接触した直後、Scharnhorstの主砲が狙いを定める。

「仰角調整、未来位置想定……ここだ!空母は獲物ォ、放てぇ‼」

 Scharnhorstの放った砲弾の内、1発が空母ヲ級に命中した。爆炎の中から現れたヲ級は黒煙を上げており、一見して中破以上のダメージを負ったことが窺える。

 これで、航空戦力は無力化されたと言えるだろう。

「流石はシャルさん、空母相手ならすごい力です!」

「へっ、まぁな!」

 艦隊が接近し始めた直後、千歳たちも艦載機を発艦させる。

「お姉、先に行くよ‼」

 2人の格納庫からSkyRaiderが発艦すると、敵艦隊に向けて1機辺り2本という多数の魚雷を投下した。

 敵艦隊はそれを避けようと陣形が乱れるが、後方の駆逐ロ級Elite1隻と軽巡ホ級Eliteがそれに囚われ、大爆発を起こした。

 爆炎が納まった時には、既に2隻の姿はなく、ついでに戦艦ル級FlagShipも1隻中破させていた。

「一気に接近します‼」

 Scharnhorstにも『新型高温高圧缶(Type・Wagner)』を装備しているため、艦隊速力はわずかだが上がっている。

 それを活かして、少しでも攻撃を受けないようにするしかない。

「進路そのまま、行きます‼」

 神通の言葉を受け、艦隊が最大速力でさらに接近する。中距離に入ったところで神通とScharnhorstが副砲を放つが、流石に2隻だけではほとんど当てることもできず、怯ませることも難しそうだった。

 だが、それでも魚雷を発射する時間を稼ぐには十分すぎた。艦隊は上手く丁字有利状態に持ち込んでおり、しかも敵艦隊の背後に回っている。

「撃ちます‼」

 神通の声と共に神通、綾波、初月、Scharnhorstが一気に魚雷を発射した。

 敵艦隊に接近した多数の魚雷は命中した……が、旗艦の戦艦ル級FlagShipを小破させたに留めた。

直後、放たれたル級の砲撃が千歳に命中した。

「お姉!」

「うあぁぁっ!ひ、飛行甲板はやらせないっ‼」

 千歳は強烈な砲撃を受けて、たったの一撃で大破させられてしまった。

 すると、千代田が怒りと共に艦載機を発艦させた。

「よくもお姉をっ‼」

 発艦した艦載機隊は大破状態の空母ヲ級FlagShipに攻撃を命中させ、海の藻屑にしてやったのだった。

 そして同時に、装填が終わった4隻が一斉砲撃を放った。

「綾波が、守ります‼」

 しかし、軽巡と駆逐艦2隻を含めた艦隊4隻の砲撃では、どう足掻いてもしょっぱいダメージにしかならなかった。

 それでも随伴していたル級FlagShip1を1隻沈めることには成功したが、その直後に再びル級が砲撃を繰り出してきた。

「ぬおぉっ‼ちっ、やりやがる‼」

 Scharnhorstが攻撃を受けたが、幸いなことに丁字有利状態だったこともあって小破で済んだ。

 その時点で時間が切れたようで、日没が迫る。

「提督、夜戦に入ります!」

『あぁ、仕留めろ‼』

 夜戦に突入した直後、綾波が照明弾を撃ち上げ、神通が探照灯を点灯した。

 直後、Scharnhorstの体が光り出した。

「艦隊決戦……望むところだっ‼撃てーっ‼」

 放たれた砲弾は煌めきながらル級に多数命中し、ル級に多数の炎を噴き上げさせながら海の底へ引きずり込んで行ったのだった。

「なんとか……倒せましたね」

「しっかし、ケッコンしていてもこのザマか……もっと鍛えねぇとな……っと、レーダーに反応あり」

 全員がそちらを見ると、重巡並みの体躯を持った女性が近付いてきた。

 だが、その格好こそ海軍の制服を着こんでいるものの、どこか着慣れないという雰囲気を漂わせている。

「どちらかの艦隊ですか?」

「あぁ。お前も来るか?」

「はっ。ご一緒させてください」

 こうして、艦隊は帰投した。




……これを初めて書いた頃はまだ、初月の改二ってなかったんですよね……この後に改装、ということでどうか一つ……(遠い目)
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