まさか……来るとは3年前には思わなかったにゃ……
それと、今回登場するパラドックス艦娘の1人は日本の汚点とも言える事件にかかわった子が1人います。
帰投した主力艦隊を含めて、多数の艦娘と邂逅した。だが、今回はそのほぼ全てがデータにない艦娘だった。
「は、初めまして。帝国海軍特設巡洋艦、報国丸と申します」
「どもども、恐縮です。青葉です!一言お願いしま~す!」
「ボンジュール。私は自由の国の水雷戦隊所属、Lamotte Piquetよ!」
「えっと、その……王国海軍所属海防戦艦、トンブリ、です……な、なんでここにラモットさんがいるんですか……?」
「お初にお目にかかります。私は帝国海軍所属の特設巡洋艦、愛国丸と申します」
「えっと、その……病院船、Op Ten Noort、です……」
「こんにちは。帝国海軍所属特設水上機母艦、聖川丸と申します。前線での水上機補充であれば、お任せください‼」
「貴殿が提督殿か。我はRoyalNavy所属戦艦、DredNootだ。以後よろしく頼むぞ」
なんというか、これまたクセの強すぎる面々、少なくとも、青葉以外はこれまで存在していない艦娘ばかりである。
まず見たのは、特設巡洋艦の2名と特設水上機母艦の艦娘だった。
「えぇと、特設巡洋艦はトールやピングインたちで知っているけど……特設水上機母艦ってなんだ?」
問われた聖川丸は『よくぞ聞いてくれました』と胸を張った。
「特設水上機母艦は正規の水上機母艦ほどの搭載量はありませんが、南方方面の最前線に様々な水上機を運び込んで防空任務に就いたのです!」
日本が太平洋戦争開戦に伴って南方へ進出したのはよかったのだが、当時の日本は機械化の遅れもあって飛行場の設営能力が著しく低かったため、最前線に送り込む飛行機は自然と海さえあれば離着水が便利な水上機となった。
旧式ながら信頼性の高かった九五式水上偵察機や零式水上偵察機、さらに零式水上観測機や二式水上戦闘機も運び込んだ。
その結果、南方戦線において水上機部隊は防空・対艦攻撃・対地攻撃・対潜攻撃など、八面六臂の大活躍をしたのだ。
もっとも、アメリカの航空母艦による艦上戦闘機戦力が拡充し始めるにつれて、その力は発揮されなくなってしまった。
ほとんどの能力は特設巡洋艦と同じだが、搭載数と装備は大幅に異なる。
数値は以下となる。
○ 耐久 50
○ 装甲 16
○ 回避 26
○ 搭載 18
○ 速力 低速
○ 射程 短
○ 火力 8
○ 雷装 0
○ 対空 18
○ 対潜 12
○ 運 25
運の数値が初期としては高めだが、これは聖川丸が戦後サルベージされて再利用されたことにちなんでいるようだ。
装備は以下となる。
○ 零式水上観測機(爆装型)×12
○ 零式水上偵察機×4
○ 12.7cm単装高角砲(×3)
彼女を含めた特設水上機母艦が持参する装備に『零式水上観測機(爆装型)』があるが、これは零式水上観測機が60kg爆弾2発か、特攻向けだったとは言えある程度の爆弾を搭載することが可能だったということから生まれた装備である。
この装備の数値は以下となる。
○ 対空+4・爆装+4・対潜+8・索敵7・命中+3・回避+2
これを特設水上機母艦、水上機母艦、或いは航空戦艦及び航空巡洋艦に装備した場合、様々なアップボーナス数値が付く。
しかも、偵察・観測機でしかなかった本来の零式水上観測機と異なり、瑞雲と同じ対艦・対潜攻撃などを行ってくれるうえ、日本における艦上爆撃機と異なり対地攻撃の経験も豊富なことから、地上型深海棲艦に対して装備した艦の全ての攻撃(この場合は砲撃・航空攻撃)が強化されるという能力も付与されている。
当然ながら弾着観測射撃の誘導もしてくれるが、地上型に対して行使した場合さらに攻撃力が上がるというおまけつきである。
その能力は既に基本の瑞雲を上回っているが、これは零式水上観測機が『三菱の飛ぶ不条理』と言われるほどのチート性能を発揮し、ベテラン搭乗員の操縦によってさまざまな戦果を挙げたことからのボーナスである。
なにせ零式水観は『格上のはずの単発戦闘機と戦って撃墜した噂(あくまで未確認だが)を持つ』だの『Bー17重爆撃機に体当たりして撃墜した(当時の日本の戦闘機では大変苦戦し、墜とし辛かった)挙句パイロットは生還した』だの『航空支援を要請したら零式艦戦ではなく観測機のはずの本機が飛んできた』というウソのような伝説の持ち主なのだ。
改装するとスロットが4に、そして装備可能機数も20機まで増えるため、使い方次第では面白い能力を発揮する。
また、レベル30で改装すると『零式水上観測機(爆装型) 熟練』と『二式水戦(熟練)』と『熟練艦載機整備員』を持参するため、育てる価値は十分にある。
「……なるほど。開戦当初から日本の様々な空を支え続けてきた『縁の下の力持ち』だったわけだ」
横で千歳……の代わりに千代田が補足してくれる。千歳は攻撃を受けた影響で入渠中だからだ。
「正規の水上機母艦などと比較すると名前が知られているわけじゃないけど、私たちと一緒に色々頑張ってくれた大切な仲間なの!」
「うん。この鎮守府ではどんな奴でも歓迎している。色々働いてもらうことになるから、覚悟しておいてくれ」
「はっ。お任せください」
ちなみにイラストレーターは金剛たちと同じ方で、雰囲気はだらし姉ぇに若干似ている感じであり、声帯の妖精さんは千歳たちと同じ方で1つ。
続いてはトンブリと呼ばれた艦娘だった。その見た目は大型駆逐艦に酷似しているが、主砲は驚くべきことに20.3cm連装砲と重巡並みのモノを装備している。
「えっと……海防戦艦って言ったっけ?」
「簡単に言えば、強力な砲撃力を持つ大型艦を持てなかった国が、一定の砲力を持つ船として保有していた戦艦という名の海防艦ですね。船体の割に大口径砲を搭載しているのが特徴です」
トンブリはタイ王国海軍が1938年に建造した海防戦艦である。仮想敵国はフランス海軍で、彼らに対する沿岸防衛を行うための艦として日本に発注されたのだ。
特徴として、日本の朝潮型と陽炎型の間とも言えるほどの排水量である2200トン前後の船体に重巡並みの20.3cm連装砲を2基搭載しており、それでいてある程度の航洋性も求められたために船首楼を高くして陵波性を確保しつつ、艦尾の艦舷を低くすることで重量を抑える方式を取っている。
人で例えるなら、胴長短足気味というところか。
そんなトンブリはコーチャン沖海戦においてフランスのLamotte Piquetと交戦し、横転着底しているが、後にサルベージされて繋留練習艦となっている。
数値は以下となる。
○ 耐久 18
○ 装甲 8
○ 回避 18
○ 搭載 0
○ 速力 低速
○ 射程 中
○ 火力 25
○ 雷装 0
○ 対空 17
○ 対潜 0
○ 索敵 7
○ 運 25
装備は以下となる。
○ 20.3cm連装砲
○ 8cm単装高角砲
戦艦という名前がついてこそいるが船体規模が大型駆逐艦並みということもあって、初期スロットは2つしかない。
また、主砲は日本に発注された船ということもあって日本の重巡系列の主砲であればフィットするようになっている。
だが、特設艦船たちと同じく色々微妙な能力ばかりであった。
「なるほどな……こりゃ運用に苦労しそうだな」
「でも、近海警備くらいなら十分にやってくれると思いますよ。『なにもできない』ってわけじゃないと思います」
千代田の言葉に音無も『そりゃそうだ』と納得する。
すると、自分が負けたこともあってかトンブリは自身のなさそうな顔を更に歪めて、今にも泣き出しそうになっていた。
重巡と軽巡の間の火力でありながら低速で搭載機もなければ魚雷も積んでいないというのは確かに扱い辛いかもしれない。
だが、それは音無に取っていてはいけない理由にはならなかった。
「気にするな、トンブリ。ただ戦うだけが軍艦の役目じゃないだろう?皆を教導する練習艦だって立派な役目だし、必要なら戦いもする。その時は覚悟を決めるしかないんだ」
「提督、さん……」
音無はアジア風の顔立ちの、どちらかといえば日本人に少し近い雰囲気の可愛らしい顔を歪めてしまっているトンブリの頭をゆっくりと撫でてあげるのだった。
「あっ、そ……その……」
「いいんだよ。お前はお前にできることを、全力で頑張ればいいんだ」
その言葉に少し自信が出たのか、やっと笑顔を見せたトンブリだった。
「で、隣のお前がトンブリと撃ち合ったっていうフランスの軽巡か」
「はい!私は華麗にトンブリさんを、ギッタギタのメッタメタにしてさしあげましたのよ‼」
一見お嬢様っぽい口調だが、素はどちらかと言うと荒っぽいようだ。
元々はフランスの植民地警護のための船だったからか、少し高圧的というか不良染みた一面があるのかもしれない。
「まぁ、昔は色々あっただろうけど、これからは仲間になるんだ。仲良くしてくれよな」
「えぇ。お任せください!と、いうわけでよろしくお願いしますわね、トンブリさん!」
どちらかと言うとハイテンションなタイプらしいが、仕事には真面目なようなので心配はいらないだろう。
数値は以下となる。
○ 耐久 32
○ 装甲 18
○ 回避 37
○ 搭載 6
○ 速力 高速
○ 射程 中
○ 火力 27
○ 雷装 16
○ 対空 12
○ 対潜 0
○ 索敵 13
○ 運 20
装備は以下となる
○ 15.5cm連装砲(火力+6・命中+3・対空+1・回避+1)(×2)
○ 55cm三連装魚雷発射管(雷装+5・装甲+1・命中+1)(×2)
○ 無装備(×2)
大淀型に匹敵する排水量を誇る大型軽巡ということもあって、最初から3スロットを持っているのが特徴である。
「っていうか、これを見ると如何に日本の軽巡が遅れていたのかが窺えるな……」
「仕方ないクマー。日本の軽巡は基本的に一次大戦水準の設計を引き継いだものばかりで更新が滞っていた状態だったから、数値上の軽巡戦力という意味ではドイツにすら劣っていた部分があるクマー」
たまたま側にいてくれた球磨が説明してくれたので『ありがとな』と頭を撫でてやった。
「そうか……確か元々最上型は大型軽巡ということで建造されたけど、途中から20.3cm連装砲に換装したから重巡になったんだったな。で、海外が最上型に触発されて大型軽巡を作った……なんか日本って、重巡や特型駆逐艦もそうだけど、変なモノ造って海外に影響与えて自分の首を絞めている割合多くないか?」
「それを言われるとキツイクマー」
これが先駆者の辛いところである。後出しには中々勝てないのだ。
実際最上型が装備していた60口径15.5cm三連装砲は大変使い勝手がよく現場からも好評だったそうで、取り外される際はかなり惜しまれたという。
というか、相手が数で多いならばこちらも手数で押していくべきだったのだから、最上型は普通に三連装砲でよかったのではないかとすら思う音無だった。
まぁ、今言っても詮無いことだが。
そんな彼女のデザインは他のフランス艦と同じ絵師さんで、声は白熊を使い魔にしたオラーシャの魔法少女、或いはフランス戦車を率いる甘いモノ好きお嬢様系隊長の声で1つ。
「で、次が……Op Ten Noort……オプテンノールって読めばいいのか?」
「は、はい。よろしく、お願いします……も、もう臨検や拿捕はしないで下さいね……」
「……え?」
すると、球磨がとてとてと走り出し、駆逐艦寮へ向かった。彼女が誰を連れてくるのかと思ったら、天津風だった。
「え、天津風?なんか関係あんのか?」
「ちょっとなによ球磨さんったら……げっ!あ、あんたオプテンノールじゃないのっ‼」
「ひっ!に、日本の駆逐艦っ……‼」
やはりなにか知っているらしい。音無の視線に気づいた天津風は『あ~』と言って頭をポリポリと連装砲君に掻いてもらっていた。
「その、ね。実は……このオプテンノールは、当時の私の艦長が臨検して拿捕することになった船なのよ」
「えっ?国際条約の本を読んだけど……確か病院船を理由なく臨検することや拿捕することは国際法違反なんじゃなかったか?」
「そうなの。でもね、当時帝国海軍は南洋攻略のために多数の艦船を集めている時だったから、オプテンノールから情報が漏れることを恐れたのよ」
実際にはもしOp Ten Noortがそれを通信手段で報ずれば逆にOp Ten Noort側が国際法違反を犯すことになるのだが、通信以外の方法でなにか伝えることができるのであれば国際法違反にはならないため、最寄りの島に寄られて口伝で伝えられた場合には違反にならないという抜け穴があったのだ。
「だから当時の私の艦長がこの子を拿捕することを決めて、軍令部もそのままにしておけないからって日本まで連れて行っちゃったのよ……」
「そんなことがあったのか……」
これに関しては『オプテンノール事件』として、戦後30年近くが経過してようやく解決したのだが、戦中の日本政府はこのことを隠蔽しようとしていたらしく、オプテンノールを改装して『天王丸』、その後『天王丸』が『天皇』に通じるから不敬であるという理由で『第二氷川丸』と改名させたりしたという経緯を持っている。
「そ、そうだったのか……なんつーか、泥縄的な対応感が見え隠れしているな」
「結局戦後まで生き延びたけど、日本政府はこのことがバレたらマズいと思ったのよ。で、舞鶴港外にまで引き出してこの子を爆破して沈めたの」
だが乗員たちから証言を得たオランダ政府はこの件について激しく追及し、結局日本政府はオランダに対して賠償金を払うことで解決したのだという。
この件で唯一救いがあったとすれば、日本に収容されたOp Ten Noortの関係者たちは極めて人道的な扱いを受けていたということくらいだったという。
「なるほど……そりゃまた複雑な経緯だな」
「……そうなのよ。私も……悪いことしたと思ってるわ」
天津風はOp Ten Noortの方に向き直った。Op Ten Noortは天津風が相当怖いらしく、『ひぅ』と怯えてしまっている。
「オプテンノール。あなたを怖い目に遭わせてしまって、本当にごめんなさい。許してくれ、なんて言えた立場じゃないけど……謝るわ。この通りよ」
普段から音無の姿勢を見ているからか、天津風はなんの意地も張らずに素直に頭を下げて謝っていた。
そんな姿勢を見たOp Ten Noortは驚いていたようだが、天津風自身に責任はないことを理解していたからか、『あ、頭を上げてください……』と声をかけた。
「あの時は、その……色々複雑な状況でしたから……あ、アマツカゼばかりが悪いわけじゃない、わ……だから、その……これからは、お友達になってくれる?」
本当なら自分が言いたかった、言わなければいけなかったことだが、先を越されてしまったという顔をしていた天津風。だが、その顔は晴れやかだった。
「ありがとう。これからは同じ鎮守府に努める仲間になるものね。よろしくね、オプテンノール」
「あ、その……長いと思うから、呼びやすい呼び方でいい、よ」
「そう?じゃあ……ノールで!」
天津風とOp Ten Noortが握手すると、その手の上に連装砲君が手を乗せ、少しほっこりするのだった。
そんなOp Ten Nortのイラストは同じオランダ艦娘を担当した人で、声帯の妖精さんは天津風の声帯の妖精さんとかつてユニットを組んでいたお人の声で一つ。
そして続いては、マラートよりも小さいと思われる戦艦だった……ただし、艤装の横幅はマラート以上だが。
「えっと、ドレッドノートだったよな。えぇっと、ドレッドノート……え、戦艦のエポックメイキング!?」
「えぇ。我があったからこそ、後の戦艦たちがあると言っても過言ではないのですよ」
DredNoot
イギリスが日露戦争終結の翌年に建造した、出現当時世界の海軍関係者に強烈すぎる衝撃を与えた戦艦であった。
それまでの戦艦と言えば、『記念艦三笠』を思い浮かべていただくと分かりやすいと思うが『30.5cm連装砲2基』を主砲として、15cm前後の中口径砲と7cmから8cm前後の小口径砲、さらに40mmから50mm前後の速射砲と言うべき大砲を備えた船だった。
全長も130m前後と、後年で言えば秋月型駆逐艦くらいの長さしかない。
そんな中でDredNootは全長160m、全幅25mの巨体を、これまた新開発された蒸気タービン機関で20ノットという巡洋艦並みの高速を発揮することが可能という強烈な能力を持っていた。
しかも、主砲はそれまでが12インチ(30.5cm)砲2基4門だったところを、同軸線上に3基、両舷に1基ずつの計5基を搭載し、片舷に対して8門という既存の戦艦の倍の主砲を指向することができた。
「つまりドレッドノートって、当時存在していたどの戦艦よりも速くて主砲の数も多かったってことなのか……?すごいな」
しかも驚くべきことに、それまで40口径だった主砲の砲身長も45口径に延長されているため、有効射程が三笠などの戦艦に比べて延伸されているのも大きい。
戦艦同士の砲撃戦でならば、アウトレンジから一方的に相手を叩くことも夢ではなかったのだ。
「その通り。故に各国では私に追いつかんとしてDredNootClassの戦艦が次々と建造されるようになったのだ。自慢ではないが、すごいだろう?」
自慢というよりは自信。世界にそれほどの影響を与えたという意味では、確かに大きな存在である。
また、日本ではこの『ドレッドノート級』を略した結果『弩級戦艦』という言葉が誕生し、後のOrion級戦艦によって『ドレッドノートを超えた』とされる『超弩級戦艦』と言われるようになるのだ。
そして、日本が初めて導入し、最後の輸入戦艦となった超弩級戦艦こそが、金剛型戦艦1番艦の金剛だったのである。
「じゃあ、ウチに着任している戦艦たちの大先輩ってことか‼」
「えぇ。アタシは空母だけど、軍艦に属する者として、彼女のことを知らない者はいないはずよ」
千代田が緊張した顔で応えると、音無はDredNootの数値を確認する。
○ 耐久 57
○ 装甲 50
○ 回避 22
○ 搭載 0
○ 速力 低速
○ 射程 中
○ 搭載 0
○ 雷装 9
○ 対空 10
○ 対潜 30
○ 索敵 12
○ 運 25
「えっ、戦艦なのに対潜値があるのか!?」
「うむ。我は第一次世界大戦の折にドイツの潜水艦に体当たりして沈めたことがあるのだ。まぁ、それが大戦中唯一の戦果でもあったがな」
「マジ!?」
これが嘘のような本当の話なのである。
これによりDredNootは戦艦でありながら潜水艦への攻撃が可能となっており、彼女特有の対潜攻撃『Head Attack』が使えるようになっている。
「艦首の尖った部分で体当たりして穴を開けて沈める……な、なんつー力業だよ……」
「ふふふっ。やはり最後に頼れるのは己が肉体ということだな」
腕まくりをして誇らしげに言うDredNootは、『天霧やHornetあたりとは気が合うかもしれないなぁ』、などと吞気なことを考える音無だった。
また、装備は以下となる。
○ 12Inch連装砲(火力+10・命中+3・装甲+2)
○ 12Inch連装砲
○ 無装備
一応戦艦ということもあって最初から3スロットを持っており、射程こそ短いが中々強力そうであった。
だが、搭載数が0なので弾着観測射撃ができないこと、それでいて素で雷装値を持っている為夜戦には向いていることなど、これまた運用には色々と考えさせられそうなタイプだった……単純にそもそも老兵なのが原因とも言えるが。
見れば、同じ英国艦娘たちはもちろんだが、イギリスを海軍の師匠と仰ぐ日本の艦娘たちも明らかに緊張した顔であった。
ちなみに、イラストは他の英国艦娘と同じ方で、声帯の妖精さんは大淀や磯風と同じ方で1つヨロシク。
その夜、多数の艦娘たちがまた着任したのは嬉しいのだが、音無の中では色々な疑問が生まれていた。
「……また、色々とクセのある奴が着任したな」
正規の目的で作られた軍艦ではなく、貨物船など民間船だったものを改造して作られた船や、第二次世界大戦から考えれば古すぎる、或いは最前線には送り出せない軍艦。
今回着任した艦娘で前線に出られそうな性能を持つ子と言えば、重巡洋艦の青葉くらいだろう。
その青葉とて、最古参の重巡である古鷹型の改良型でしかないため、妙高型や高雄型などの新型且つ本格的な重巡洋艦と比べると能力はハッキリ言って低い。
「提督、なにか気になりますか?」
隣では、今夜床を共にしようとやってきた千歳と妙高だった。なお、妙高は既に亀甲縛りで縛られて転がされており、これから2人は音無と熱い夜を過ごす予定だ。
「ん。いや、ウチの鎮守府ってさ、他の鎮守府と色々違うだろう?」
「え、今更ですか?」
千歳は『なにを今更』と言わんばかりの呆れた声を出し、妙高ですら口を塞がれつつジト目でこちらを見ていた。
「え、俺なんかヘンなこと言った?」
「そもそも提督権限を持つ方が複数いらっしゃる鎮守府もほとんどありませんし……妖精さんの手を借りていると言っても装備を人間の方が作り出している時点どうかと思いますよ……」
「えぇと……まぁ、そりゃそうか」
汚野を始めとするボルネオ島の三大提督は、あれでちゃんと鎮守府がそれぞれに分かれているのだ。
北部の航空脅威が多い区域は汚野が、西部の潜水艦が尤も脅威を振るっている区域には月光・美茄子の2名が、東の対艦攻撃力が最も充実している区域は海野が担当しているのだ。
鷹山と大下がニュージーランドの南北に分かれているのも覚えている。
「……なんだかさ、誰かに導かれているような気がするんだよな」
「導かれてる、ですか?」
千歳のキョトンとした表情を見ながら『あぁ』と音無は頷く。
「なんだろうな……上手くは言えないんだけど、変わった艦娘ばかりが着任しているのって、ただ深海棲艦と戦うためだけじゃないような気がするんだよな……」
「あぁ、そういうことですか」
千歳も納得したらしいが、それで止まる彼女ではない。
「それは確かに重要ですけどぉ……今は私たちの方を見てください♡」
そう言われては音無も一度思考放棄せざるを得ない。
「ま、そうだな。今を生きることこそ重要、だもんな」
音無はそのまま千歳に覆い被さり、彼女と、放置プレイの後に妙高の肢体を貪るのだった。
ここまで読んでいただいた方の多くが抱いていたであろう疑問が、音無君の中で生まれました。
それが何を意味するのかは、この物語が終わるころには分かるでしょう。