そのキャラは……大淀さんです!
弟が元ネタを考えたところに私が肉付けをした形ですね……
艦娘たちの努力のお陰で、深海棲艦から西方海域の大半を解放することに成功した音無。
残るは西方海域の拠点を防衛する港湾棲姫を倒すのみとなった。西方海域最後の難関に挑む前に周辺海域の哨戒を行おうという音無の指示でこの日、普段は秘書艦として内勤に努めることが多い軽巡洋艦の大淀が出動していた。
「なんか珍しいですにゃ、大淀さんが艤装付けているのって」
そう語るのは、前線部隊として出撃することはどうしても少なくなる睦月型駆逐艦の1番艦・睦月。
「仕方ありません。私は秘書艦として働く時間が多いですし、艤装を再装備したのが遅かったので」
「それでもぉ、こうやって一緒にいると心強いっぽい」
その後に続く白露型駆逐艦の三番艦・夕立が笑いながら言う。
「はい、大淀さんの三連装砲、とってもかっこいいです」
最後尾を守っている特型駆逐艦の1番艦・吹雪も続く。
「ありがとうございます。日頃提督がおっしゃる通り、最前線だけが重要ではありません。鎮守府の襲撃もありましたし、即応できるように体を慣らしておくのは大切です。提督のご配慮にも感謝しなくては」
この4人での対潜哨戒が今回の主な任務だ。大淀たちがいま通過している海域は既に解放されており、最近では少しずつ民間の船の往来も見られるようになった。しかし、深海棲艦の潜水艦や主力艦隊から逸脱したはぐれ艦隊の襲撃を受けたという事例が少なからずあるため、近隣の鎮守府では民間船舶の航路の哨戒も行うようになっていた。
タウイタウイ島鎮守府も例外ではなく、普段から艦娘たちがローテーションで行っている。
「そう言えば、2日前の報告、まだ解決していないんですよね」
「えっ?ああ、あの件ですね」
それは2日前、大淀が演習を終えて音無に結果を報告していた時だった。
当日の秘書艦であるイタリアの戦艦Romaが大本営からの通達を知らせて来た。
「民間船の消息が不明?」
「はい。フィリピンから日本に向かう途中だった小型の輸送船が、昨日消息を絶ったと」
海域が解放されたと言っても、深海棲艦の襲撃がなくなったわけではない。しかも世界の制空権は未だに多くの地域で敵が牛耳っている。そのため航空機は飛ばせず、タンカーのような大型船はほとんど動かず、小型から中型の船での往来が主である。
「でも、なんでフィリピンから日本に輸送船が?資料を読む限り、食料品の輸送に向いてる大きさの船じゃないし、原油とかだったらアラブの方から来そうだけど」
音無の指摘を聞いて、Romaはポリポリと頭を掻きながら言った。
「その、乗っていたのは荷物ではなく人だそうです」
「なにっ?」
「深海棲艦の出現以降、各国で留学生や出稼ぎ人員の渡航もできない状態でした。航空機が飛ばせない以上、船で往来するしかない。ようやくそれができるようになったということで、フィリピン政府が許可を出して輸送船に乗せたそうです」
「そうだったのか……もしそうだとしたら、輸送船の拿捕じゃなくて誘拐の可能性が高いってことになるのか?」
「その可能性は捨てきれません。その輸送船には船長を合わせて乗組員が10名、留学生が17名、出稼ぎの現地人が23名乗船していたそうです。しかし大本営がフィリピン政府に問い合わせても、身代金を要求されるような身分の人はおらず、どこにもそれらしい要求が来ていないそうです」
「う~ん」
こういう事件に遭遇したことがない音無は、どうしたものかと思案していた。
「それと併せて、フィリピン近海で多少ですが海賊らしい船舶の存在が確認されているそうです」
「海賊?深海棲艦の攻勢が収まった海域だっていうのに……」
「だからこそ、でしょう。解放されたばかりの海域なので、各地の資源は乏しい状況です。元々海賊だった連中が、資源を求めて手を汚すことも考えた民間人を引き込んで仕事を再開した、と見るべきです」
Romaの推測に大きな相違はないだろう。音無はフムと考えながら、机に向けていた顔を上げる。
「消息を絶った海域がここから遠くないというんなら、俺たちも捜索に加わるべきだろう。実施している近海の哨戒で、該当の船の捜索もするように言っておくか。確か、明後日からは大淀もシフトに入っているよな?」
「はい。明後日より3日間になります」
「今日出ている哨戒艦隊には今のうちに無線で打電しておくよ。それでも見つからないようなら、すまないがよろしく頼む。ただし、あくまで対潜哨戒が最優先だ」
「はい。了解いたしました」
すると、音無はなにかを思い出したように退室しようとした大淀を呼び止めた。
「大淀、この哨戒任務を終えたら大事な話がある。帰投後はすまないがなるべく早く戻ってくれ」
「は、はい。了解いたしました」
大淀が敬礼をしてRomaと共に執務室を退室すると、音無は机の引き出しからクリップでまとめた書類を出す。
「大本営に打診してやっと認可が下りたからな……この哨戒で必要な練度に達すれば……」
音無は大切そうに書類をしまいながら、微笑を浮かべた。
こうして、大淀はタウイタウイ島北西沖を、艦隊を率いて航行していたのだ。
「吹雪さん、パッシブに反応はありますか?」
「いえ、今のところありません。最初の頃に比べると随分性能が良くなって。位置が分かりやすくなりましたから……Uボートでもなければ見つけられると思います」
自信に満ちた吹雪の言葉に大淀は『クスリ』と微笑む。
すると、大淀の通信妖精がなにかを傍受したようだ。
「……え、救難信号ですか?」
「大淀さん、どうしましたか?」
「救難信号をキャッチしました。深海棲艦に襲われているのかもしれません」
「じゃあ急いで助けにいくっぽい‼」
やる気満々の夕立の言葉に大淀も頷く。
「今回は対潜装備を中心にしていますが……雑魚くらいなら相手できるでしょう。救難信号を見過ごすわけにはいきません。急ぎましょう!」
大淀を先頭に第五船速で救難信号の方向へ突き進む。距離はそれほど離れていない。今ならば十分間に合うだろう。
「どうか無事だといいのですが……」
そして30分後、該当海域に到着した。
「この近くのはずですが……どうですか?」
すると、睦月が『あっ!』と声を上げた。
「8時の方向!船が見えるにゃ!」
よく見ると、確かに船が見えた。大きさ的には小型の貨物船くらいだろうか。
「対潜警戒を厳として接近します」
付近にそれらしい敵影が見えないことから、大淀は潜水艦に襲われているのではないかと判断したのだ。
しかし、近づくにつれて吹雪が顔を顰める。
「ダメです。この付近はあの船のエンジン音が酷過ぎて水中の音がうまく拾えません」
船は全速力でこちらに向かっているように見える。そのせいでエンジン音が酷いのだと大淀は判断した。
「人は見えますか?」
「えぇと……あっ、いたっぽーい‼」
見れば、手を振っている人影が見える。
「船に接近します」
さらに接近すると、東南アジア系と思しき人たちが手を振っていた。
「タウイタウイ島の艦娘です‼救難信号をキャッチしてきました‼」
「た、助かった!潜水艦に襲われてたんだ‼」
日本語を話せるようで、意思疎通に問題はない。
しかしこの時、警戒に最大の注意を払っている大淀に対して睦月は男たちの雰囲気に違和感を覚えていた。
「(あれぇ?潜水艦に襲われたにしては浅瀬の方に向かっているわけでもないにゃ……)」
潜水艦に襲われた場合、雷撃される方向を明らかにするために、浅瀬の方に向かうという考え方がある。
この船はむしろ、深い場所……沖合に向かっているように見える。
「……ん?」
大淀はそこまで気づいていないようで、さらに船に接近する。
「被害状況は‼怪我人はいますか!?」
「あぁ……それなら……」
と、男が言った瞬間、船の中から多数の男たちが顔を出し、大淀たちに向けて銃器を突き付けてきたのだ。
「なっ!?」
「これからお前たちがそうなるかもな」
大淀は『くっ』と主砲を構えようとしたが、一瞬で水面に銃弾が落ちる。
「動くな‼動けば足をぶち抜くぞ‼」
いくら艦娘が深海棲艦の攻撃にある程度耐えられると言っても、実は人間の武装にはあまり耐性がない。
その瞬間、睦月は自分たちが嵌められたことに気付いた。
だから、睦月は音無ならばなにを言うかをすぐに判断した。
「吹雪ちゃん、夕立ちゃん、逃げるにゃっ‼」
睦月が主砲からなにかを発射した。
一瞬相手側は攻撃だと思って身を竦めたが、実際には違った。
砲弾は相手の船の目の前で破裂すると、猛烈な光をまき散らしたのだ。
「ぐわっ!?星弾かっ‼」
その隙に睦月たちは反転し、全速力で逃走を図った。
「くそっ‼撃て撃てっ‼」
次々と発砲される銃声が、海に木霊する。その時、『あうっ』と短い悲鳴が聞こえた。
「誰かに当たったぞ‼」
「バカっ‼殺したらどうする!商品価値がなくなるぞっ‼」
光が収まると同時に男たちは発砲をやめた。そしてようやく目が慣れてくると、目の前に眼鏡の艦娘……大淀が座り込んでいた。
艤装の効果によって水面に座り込んでも沈まないが、大淀の足からは血が流れていた。足を撃たれた影響で動けなくなったらしい。
「……チッ。あのガキ共も捕まえられりゃいい儲けになったってのに……女1人だけかよっ」
「ですがボス、深追いしたら……」
「……あぁ、そうだな。こいつだけ引き上げろ」
大淀は動けないまま、男たちに捕まるほかなかった。
ただ、できることはしておこうと思った。
引き上げられた時、妖精さんの1人がヒョイと降りて貨物船の隅に隠れたのだ。
大淀は偽装を外され、両腕を縛られた状態で一際大柄な男の前に引き出された。
「ひどいもんです。ガキ共には逃げられました。アイツらなら好事家共に高く売れたでしょうに」
その一言で大淀は彼ら……海賊の目的を知った。
「やはり……人身売買でしたか」
「まぁ、そういうこった。好事家共の中にゃ大金を積むから艦娘を自分のモノにしたいっていうお偉いさんもいてな……だがな、今回の依頼主の好みから行けば、お前はちょっと大人過ぎる」
要するに駆逐艦が欲しいというかなりのロリコンからの依頼だったらしい。大淀の体格は軽巡洋艦と言ってもかなり大きめである。
本人の気質もあり、かなり大人びて見えるのは間違いない。
それに比べれば睦月や吹雪などは、建造年代はともかく見た目と精神年齢がかなり幼いのは間違いない。
幼女趣味者からすれば、彼らのような少女を求めるのだろう。
「ボス、どうします?このままじゃ追手が来ますよ」
大淀の予想通り、目の前の大男が海賊の頭目らしい。部下に尋ねられると、頭目は苦い顔をした。
「分かってる。深追いしてもロクなことはねぇからな。俺たちの処理用肉便器を手に入れたと思って引き上げるしかねぇな。幸い依頼主も物分かりのいい御仁だ。逃げられたって言えば納得するさ」
少なくとも海賊をやろうというだけのことはあり、引き際は心得ているようだ。だが、だからこそ大淀も妖精さんを仕込んだのである。
今頃、妖精さんが艦娘専用のネットワークで繋がる緊急信号を送っているはずだ。これがタウイタウイまで届けば、音無はすぐに助けてくれるだろう。
周波数も一般及び軍用の回線とも違うため、海賊ごときに特定されることはない。
「(私で満足できる、ですか……依頼主を含めて『深追いはしない』主義という点は恐ろしいですね)」
勇猛なバカよりも、臆病な知恵者の方がよっぽど恐ろしいのだ。
「しょうがねぇ。こいつを土産代わりにアジトに帰るとするか。まぁ……」
ボスと思しき男は無遠慮に大淀の足を撫でまわし、さらに最近少し大きくなってきた乳房にも手をかける。本音を言えば、大淀の腕を縛っている縄は音無にしてもらう時に比べれば緩く感じるほどで、やろうと思えば引き千切れなくもない。
しかし、男たちの向こうには攫われたと思わしき女性が数人、腕を拘束されて部屋の隅に固まっていた。ここで大淀が彼らを刺激すると、彼女たちがどうなるか分からない。動くに動けない状態だった。
慎ましい大きさとは言え、女性らしい柔らかくてしなやかな感触に、汚らしい顔をイヤらしくにやけさせる。
「その間は俺が楽しませてもらうとするぜ。お前らは後だ、いいな?」
「はい」
部下たちが出ていってからボスが早速と言わんばかりにズボンと下着を降ろすと、醜悪な男根が姿を見せた。
しかし、それを見た大淀は思わず『プッ』と吹き出してしまった。
「な、なにがおかしい‼」
「すみません……想像よりはるかに可愛らしい主砲だったもので」
そのペニスのサイズは、大淀からすれば『こんなもの?』と言いたくなるような程度の大きさだったのだ。
「なんだとぉっ!?……生意気言えるのも今の内だ。俺のチンポでヒィヒィ言わせてやるからな。泣いても優しくなんてしてやらねーぞ。覚悟しろ、艦娘」
だが、大淀はもうおかしくて仕方なかった。
「いえ、その……ウチの提督に比べるとまるで玩具みたいで……」
「な、なにぃ!?」
その時点でボスと呼ばれた男は戦慄した。
こう見えて商売柄、何人もの女を抱いてきた。皆彼の逸物を見れば恐れ、怖がって涙したものである。
だが、目の前にいる女は違った。
「(そういえば、タウイタウイの提督は積極的に艦娘と肉体関係を持っているって噂だが……はっ、こけおどしだ。今まで10人以上の女を泣かせてきた俺のテクに、耐えられるわけがない‼)」
男は大淀の服を引き裂き、素早く裸にした。そのまま乱暴に押し倒すと、そのまま足を押し広げた。だが、大淀も抵抗しない。
怖がれば普通、なにかしらの抵抗を見せるはずである。しかし大淀がまるで抵抗しないという事実が、男の優越感を打ち消そうとしていた。
「普段ならぶっ壊れないように濡らすくらいはしてやるが……テメェにゃそんなサービスしてやらねぇ‼」
男はそう自分に言い聞かせるようにペニスを持ち上げ、大淀の膣に挿入した。
だがその直後、想像していた感触とは全く異なる感覚に、男は背筋に寒気が走った。
――ぐちゅるっ……――
「!?(な、なんだこのマンコは……緩い。ハッキリ言って緩いのに……妙にウネウネ絡みついてきやがるっ‼)」
ハッキリ言ってかなり気持ちいい。今まで何人もの女を抱いてきたが、これほど気持ちのいい膣は味わったことがない。
「あら?挿入れただけですか?」
挑発的な大淀に、男は『うるせぇっ‼』と声を荒げた。
「見てろっ、今にアヘ顔晒させてやるっ‼」
だが何度ピストンしても、なんとも手応えがない。
「(どうなってやがるっ……俺のチンポは黒人並みだぞ‼それを挿入られて、なんで平然としてやがるんだっ……)」
そして緩いクセに、妙にゾワゾワした快感が襲ってくる。
実を言うと、挿入れたばかりなのにもう射精してしまいそうになっていた。
「どうしましたか?」
「黙れっ‼」
男は思わず大淀の頬を『バシッ!』と引っ叩いた。
「お前は黙ってよがってりゃいいんだっ‼」
「あら、いきなり暴力なんて品がないですね~」
先程から口だけはなんとか威勢の良さを保っているが、もう持たない。
なので、なんとかそれを誤魔化すことにした。
「おらっ、1発目の特濃だ‼ありがたく飲み干しやがれっ‼」
「特濃、ねぇ~……」
「うるせぇっ……射精るっ‼」
――どぴゅるっ!どぴゅぴゅっ‼――
「(どうだ!俺のザーメンは普通のヤツより量が多いぞっ‼)」
断続的に吐き出された精液の感触に、男はニヤリと笑う。
だが……
「……あの、もうおしまいですか?」
「……え?」
大淀は完全にジト目になっていた。
「お、おしまいって……」
「もっとどぴゅどぴゅってたっぷりと……お腹がパンパンになるまで射精してくださいよ。正直……全然気持ちよくないんですけど」
「は、はぁ!?」
今まで抱いて来た女は皆、挿入してピストンしてやっただけで本当にヒィヒィ泣いていたのだ。しかし、大淀が絶頂した様子はない。
しかも、常人より射精量が多いはずの頭目の射精を受けてもまるで感じていないようだ。
「……あ~もうまどろっこしいですね~!」
大淀がいきなりキレると、足だけで踏ん張って上体を起こし、力任せに頭目を押し倒した。
「ふえっ!?」
「ほらほらぁ……もっと、もっとですよぉ……」
大淀はいやらしく腰をくねらせており、彼の精を搾り尽くそうとしている。先程までのキリっとした真面目な姿が嘘のようであった。
「(な、なんでだ!?俺の……俺のセックスで、なんでこんなに平然としてられるんだよぉっ!?)」
だが、それもそのはずだった。
大淀の相手をしているのは、より立派な男根を持つ音無である。
しかもその射精量は人間どころか生物離れしており、艦娘の子宮や腸がパンパンに膨れ上がるほど……1ℓ越えの大量射精をぶちかますという存在であった。
女性経験も海賊の男とは比較にならないほど多く、性欲の化け物である鹵獲改装組の相手をしていることもあってテクニックもかなりすごい。
それと比べてしまえば、いくら量が多い、巨根と言っても、生半可な男ではもはや満足できないのだった。
しかもこの鎮守府の大淀は妙高緊縛の一件以来、妙高共々緊縛が好きになってしまったマゾ気質であった。
なので、これまた中途半端な男根と射精ではまるで気持ちよくない。
「う、うぅっ……また射精るっ‼」
――ぴゅうっ!どぴゅるるっ‼――
先程の射精から1分と経過することなく、男は再び射精させられてしまった。
「あんっ……もう、早漏らしですねぇ……ま、いいですよ。救助が来るまで、しばらく『楽しませて』もらいますからっ……」
「そ、そんなぁぁっ!?ああぁぁぁぁぁぁ……」
男の悲鳴は、分厚い扉に阻まれて誰にも聞こえることは無いのだった。
その1時間後、アジトへ向かって航行していた海賊の貨物船に、いきなり強烈な衝撃が襲い掛かった。
「な、なんだ!?」
男たちがデッキから外へ出ると、甲板が強烈な爆発に包まれた。
「あ、あれを見ろ‼」
1人が指さした先には、多数の双発機……ただし、模型かと思うような小型の飛行機が乱舞していた。
しかもなぜか、やたら軽妙な音楽が流れている。すると、1機の風防が開いてなにかが姿を現した。
「な、なんだ……?」
その影は飛行機を低空に下げると、妙なポーズを取り始めた。
『カレイナヘンシンダテジャナイ‼ツキノチカラヲセナカニウケテ、セイギノシャジュウ、ヤミヲサク‼ソラノイクサハマカセテモラオウ‼ツキヨリノシシャ、月光妖精‼タダイマサンジョウ‼』
『オナジクアシスタントノ美茄子妖精もヨロシクゥ‼』
そう、タウイタウイ島所属の妖精さん、『夜間戦闘機 月光改二(超・熟練)』だった。多数の爆弾を叩きつけることで、貨物船を混乱に陥れる。
海賊たちが珍妙な光景にポカンとしていると、今度は艦尾に多数の水柱が上がった。
「なんだ!?今度はなんだよぉ!?」
「機関をやられたぁ‼修理急げっ‼」
すると、水中からなにかが浮き上がった。
「オモチャの潜水艦か?」
「いや、違うぞ‼」
すると、その中の一隻のハッチが開き、またも妙な音楽が流れ出し、眩い光が発せられた。
『ターリラーリラー!ウミヲアイシセイギヲマモル‼ダレガヨンダカシードラゴン‼タンスニイレルハタンスニゴン‼ワタシハトクシュ妖精『蛟竜』!ツヨキギョライガトクチョウノ……ソウビヨウセイダッ‼』
今度は『甲標的丁型 蛟竜(超・熟練)』であった。通信を受けた音無が阿武隈と由良、鬼怒に命じて全速力で該当海域と信号の位置から敵の進路を予測し、待ち伏せさせていたのであった。
今の魚雷は彼らが放ったものだったようだ。
「あ、あんな奴らまで……」
「そこまでです‼」
鋭い声に水平線の方を向くと、阿武隈と駆逐艦5名が揃っていた。
天霧、如月、睦月、皐月、綾波と、皆古参の武闘派揃いである。ちなみに、睦月は補給を受けて引き返してきたのだ。
「一水戦、船を取り囲んで……」
「突撃一択だァ‼」
興奮しているらしい天霧の声を皮切りに駆逐艦の子たちが船に飛び乗ると、それぞれに戦い始めてしまった。
天霧は強烈な踵落としで男の意識を刈り取り、如月は小柄な体躯を活かして懐に飛び込んで強烈な寸勁を叩きこんでいた。
また皐月は持っている短ドス……の刃を抜かず、鞘に納めたまま喉元を突いて動きを止めていた。
綾波は1人でクルクルと立ち回り、ガン=カタのような流れる動きで男たちを手玉に取っていた。
指示を飛ばそうとして動くに動けなくなった阿武隈はプルプルと震え出す。
「アタシの言うこと聞いてくださーい‼」
阿武隈の叫びは虚しく水面に消えていった。
だが、お陰で10人以上いたはずの男たちは呆気なく制圧されてしまった。
だが、睦月がキョロキョロと周囲を見渡している。
そこにようやく高速モーターボートに乗った音無、ゆり、天龍と龍田の4人が到着した……天龍と龍田が一緒なのは白兵戦が得意な艤装の持ち主だからである。
「あれ?一番大きな男の人がいないにゃー」
「ボスか、睦月?」
「うん。さっき睦月たちを捕まえるように言ってたゴリラみたいな人がいないにゃー」
「船の中を探せ‼」
音無は64式小銃を構えており、いつでも発砲できるように安全装置は『タ』の位置にしてある。
やがて、閉じられた船室の一角を見つけた。
音無がゆりにハンドサインを出すと、ゆりが扉のノブに手を駆け、一気に開けて2人で飛び込んだ。まるで特殊部隊の動きである。
「動くな‼手を挙げろ‼」
「大人しく降参しな、さい……」
ゆりの言葉が途中で途切れたのは、目の前に広がっている光景に唖然としたからであった。
2人の眼の前では眼鏡をかけた美しい淫婦が、彼女より体格が大きくたくましいはずの男に跨って、妖艶なくねらせ方で腰を振っていた。足に包帯を巻いている、ケガをしているとは思えない動きを見せている。
跨られている大男だけではなく、後ろの穴にペニスを挿入している男もいるが、どちらもビクンビクンと体を震わせており、意識がないように見える。
「お、大淀……?」
ゆりが声をかけると、男の腰に跨っていた淫婦、大淀がやっとこちらに気付いたようで、震えながら音無の方を向いた。
「えぇ……?提督……提督!?」
その時、大淀はまるで酔いから醒めた酔っぱらいのような顔をしていた。というか、男に跨ったままアワアワと慌てだしてしまったのだ。
「あ、あの提督、こ、これはその、あのぉ……」
だが、音無はなにも言わなかった。
それどころか、大淀をヒョイと持ち上げ、しっかりと抱き締めたのだ。
「て、提督……?」
音無の抱き締める力は強く、大淀の控えめな乳房が『ぎゅぅっ』と押し潰された。
「良かった……大した怪我じゃなくて、本当に良かった……」
自分が体を交えた女が、別の男の腰の上で精を貪っていたにもかかわらず、それを表に出すことなく音無は『よかった』と言った。
「提督……私は、その……」
「なにも言わなくていい。まずは無事で……無事でよかった。それだけでいいんだ」
音無の心からの言葉に、大淀は思わず胸を高鳴らせていた。
「(あぁ、そうだ……提督は……音無結弦という男性はこういう人だった……)」
大淀も裸のまま、音無に抱き着いたのだった。
大淀が服を着たところで、別の人間が入ってきた。
「音無君、大淀君は無事かね?」
「はい。ご協力ありがとうございました。汚野提督」
そう。ボルネオ島三羽提督の1人、海パン刑事こと汚野武を始めとする特殊刑事課三羽烏が応援に駆けつけてくれたのだ。
そして、汚野は大淀の様子を見てすぐに察した。
「音無君、あとは任せろ。君は帰って、大淀君のケアをしてあげなさい」
基本的に彼らはどこに出しても恥ずかしいレベルの変態ばかりだが、根は優しい、年長者らしい人格者ばかりである。
変態だが。変態だが。大事なことなので2度言いました。
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えさせていただきます」
大淀を抱き上げたまま、音無は自分の鎮守府へ帰投したのだった。
鎮守府へ戻るや否や、音無は後回しにしていた吹雪たちからの報告を聞いていた。
「そうか、救難信号を……」
「はい。例の貨物船の話を聞いていたので、大淀さんも疑うより先に体が動いたようで」
汚野提督が調べて打電してくれた偽装船の情報を、秘書艦の天城が報告する。
「どうやら、以前拿捕した民間船の電子機材一式を再利用していたらしく、発信された救難信号もその機材を使っていたようです」
「だから救助に来た者も信用する。来た者を捕まえて物資を奪い、人を攫って売る。やり口は酷いが、嫌なくらいよく考えてやがるな」
「幸いと言いますか、例の頭目は大淀さんに骨抜きにされたせいか素直に自供しているそうで、彼らの依頼主もすぐに検挙できるだろうとのことです」
「とんでもない話だな。言いなりにさせるつもりが、逆に骨抜きにされちまうなんて」
流石の音無も苦笑している。すると、天城が『あの……』と恐る恐ると言わんばかりに声をかけた。
「提督は……怒らないんですか?」
「へ?怒るってなにを?」
「いえ、ですからその……大淀さんが、あの……」
天城の言い辛そうな様子に、音無はようやく彼女が言いたいことを悟った。
「あぁ、そのことか。思うところがないと言ったら嘘になるよ。でもさ、あの時の大淀は全然気持ちよくなさそうだったから」
「き、気持ちよくなさそうだった!?」
そんなことまでわかってしまうのかと新入りである天城は驚くばかりである。そんな彼女をフォローするように、古参の瑞鶴が『そういうもんよ』と言って肩を叩いた。
「話には聞いているでしょう?提督さんはロバ並みの巨根でしかも生物離れした射精ができる人になっちゃったから、それに慣れた大淀さんからすれば『普通の人に毛が生えた程度』じゃとても満足できないわよ。まぁ……あ、アナルはどうだったか分からないけど……それでも提督さんのあの巨砲を咥え込むことができるんなら下手な男のじゃ満足できないわね。かく言う……私もそうだし」
顔を赤くしながら頬をかく瑞鶴は、率直に言ってカワイイ。思わず音無も頭をナデナデしてしまっていた。
「ちょ、ちょっと提督さんたらなにやってるのよ‼爆撃されたいの!?」
「いや、やっぱり妹はカワイイなぁと思ってな」
「も、もうっ♡」
口では結構な悪態をついているように見えるが、その実顔はとても嬉しそうにニヤニヤしている。
深海東洋艦隊の根拠地を撃滅してから入ってきたばかりの天城はそんな2人を見て、『あぁ、こういう感じなんだ……』となんとなく察したのだった。
さーて、ここからですよー……