※この作品はR-18です。

【SO3】聖王国の紅刃が堕ちるとき~背徳の淫紋から始まる英雄救済譚~【IF】   作:ばんどう

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13.クレアの私室にて(前編)♡

「手ほどきしてもらえませんか? アレンさん」

 

 自室のベッドの縁にアレンを座らせ、そのまえに正座する。ベルベット絨毯のふかふかの感触を脛(すね)に感じながらアレンを見上げた。

 月の洞窟の話題から、アレンの頬はずっと赤い。忠犬のごとく指示を待つクレアをちらりと見ては視線を泳がせる。戦場では泰然としているのにこんな一面があるとは知らなかった。

 

(すごく困ってる)

 

 どうしたものだろうか。洞窟ではクレアが淫紋にたまりかねて自慰を始め、そこからなし崩しに――と、ここで過去をふり返るのをやめる。

 思えば、発作的な衝動なしに向き合うのは初めてなのだ。

 

(私だけじゃなかった)

 

 触れられているときは自分ばかりが恥ずかしがっている気がしたが、そうではなかった。その事実が頬をほころばせる。

 やがてアレンが意を決したように言った。

 

「隣にきていただけますか」

 

「はい」

 

 ふたり並んで寝台に腰掛けると、見慣れた自室にアレンがいる実感が湧く。心臓が早鳴っているのは相手も同じだ。洞窟や資料室のときとは対照的に、ぎこちなくクレアの肩に手をまわしてきた。抱きしめられるとアレンの香りに閉じ込められた気になって、思わず分厚い胸板に頬ずりしていた。

 アペリス信徒としてクリムゾンブレイドとして貞淑にあらねばならないのに、甘えたくなってしまう魔力がこの男にはある。

 

「まずはこうして、お互いの緊張をほぐします」

 

「ふふっ。はい」

 

 料理のレシピでも言い始めそうな口ぶりに笑いを誘われながらアレンの腰に手を回した。鍛え抜かれた体はどこを触ってもハリがあって、筋骨のたくましさにドキドキする。心臓の音が聞こえてくる。自分より早鳴って落ち着きのない鼓動だ。目をつむっていると、より強く抱きしめ返された。

 

(ずっと、こうしていられたらいいのに――)

 

 ふたり、しばらく抱き合ったまま動かずにいた。

 ふと背中が軽くなる。見下せば、アレンがコルセットを外していくのが見えた。

 

「ア、アレンさんっ?」

 

「……考えてみれば、紋章力を取り戻すのは私でもよいわけです。こと、この怪我を治すくらいなら」

 

 言う間に、首許のマフラー、黒い軍服(サーコート)までも取り払われる。着替えていないクレアはパンティを履いていないのだ。顔を赤くしてあわてて止めようとするも抱きすくめられてうまく動けない。

 

「い、いやです! ここはわたしが!」

 

「クレアさんは私を信用しすぎです」

 

 クレアはゆっくりと寝台に押し倒されて、のしかかられた。仰向けの楽な態勢だが、動こうとするとアレンの肩や脚に阻まれる。単純に、力で勝てない。

 光牙師団長として数多の兵を率いてきたクレアには、あまりない経験だ。

 そしてついに軍服(サーコート)を取り払われ、股間に浮かぶ淡いヘアがさらされた。

 

(あああ……、はずかしい……っ)

 

 豊満な乳鞠を覆うチューブトップ。引き締まった二の腕まで伸びる長手袋と、むちりとした太ももにかかるオーバーニーソックス。本来隠すべき茂りのみさらした恰好になり、神学資料室でさんざんなぶられた秘肉は乾く間もなく、太ももまで蜜をこぼしていく。

 クレアが頬を染め、ふとももをすり合わせてはどうにか隠そうと左手でヘアを覆った。

 

「あの、アレンさん……」

 

 訴えるように見つめた。

 鼻先にいる彼は、クレアの目を見ていた。すこし怒っているようにも見えた。

 

「クレアさん。これだけ言って聞き入れてもらえないとあらば、多少の覚悟はおありですよね?」

 

「覚悟って、どういう意味ですか……?」

 

「もちろん、リスクを取る覚悟です」

 

 アレンは動かしにくい左腕でクレアの右腕を抑えると、空いたほうの指先で女司令官のバストの根元からふくらみをつーっと撫であげる。重力を知らないお椀型の双乳は揉まれるたびにぷるぷると揺れ、揉みしだかれると、クレアの桜色の唇からは甘い吐息が洩れた。ずっと性感を高められているせいで、揉まれるだけでなく、触れるか触れないかのわずかな刺激にすら反応してしまう。

 クレアの吐息が頬に当たってこちらを見たアレンが、耳元に唇を寄せてくる。

 

「案外、俺は変態かもしれません。…………残念ながら」

 

 低くささやかれ、背筋がぞくぞくと震える。熱っぽいこの男の視線が、クレアは嫌いではない。むしろぐらぐらに煮立った瞳で見つめてくるくせ、感情を抑えているのが気に入らない。もっと求めてほしい。早く、彼のすべて寄越してほしい。深く深く。

 淑女にあるまじき欲望だった。

 クレアの倫理観から、絶対口にはしない本音だ。

 長い指先は乳房だけにとどまらず、まっ白な背中や引き締まった脇をさすり、官能のしびれをクレアにもたらす。とろけた顔で受け入れていると、ふと見せつけるように手を取られ、こわばりへと導かれていった。処女の手のひらからはみ出すそこは限界まで張り出しており、ズボン越しにも肉茎の凶悪さを主張するように形が伝わってくる。

 

(ああ……。なんて、あついの……)

 

 じんわりと広がる興奮。どうすればいいのか知らないが、平常時と違うアレンの反応が嬉しい。

 クレアが動かずに固まっていると、頭を撫でられた。

 アレンが大きなため息を吐いたせいで、クレアが頬を寄せている胸板も沈み込む。

 

「アレンさん?」

 

「…………怖いですか?」

 

 問いかけに首を横にふった。むしろズボン越しでさえ肉茎が脈打っているのを感じて、いとおしさがこみ上げてくるのだ。。彼の目を見つめた。切れ長の蒼い瞳。不安、怖れ、緊張、そしていくらかの興奮と期待が読み取れた。

 クレアは首を伸ばして彼の唇に口付ける。

 

(――好き)

 

 口にしてもよかったが、できることなら義務感ではなく心から好意を向けてくれたときに言いたい。執着がにじんだ想いを込めて口付けたあとに微笑むと、顎に手を添えられ、わずかに上向かされて深く唇を吸われる。

 神聖なシランド城内。みなが始業に入っていく物音が、扉の向こうから聞こえてくる。そんな時間帯に、私室の木製扉一枚を隔てて光牙師団長たる自分と、ゲート大陸の英雄が睦んでいるなどだれも想像できないだろう。

 そんなことよりも、いまはただ奪ってほしい。理性も使命も、なにもかもを。

 

「……ん、んぅ……」

 

 いつだれに聞かれるとも知れぬ私室で、思わずくぐもった声がでる。男の舌がぬるりと下唇を舐めてきたのだ。離れた彼の唇を追いかけようとしたところで、また唇が降りてきた。今度はごく弱々しい触れ合い。互いの弾力を愉しむように何度も何度もこすりつけあううちに、処女司令官の吐息が高まっていく。彼女の唇がゆるんでピンク色の舌がのぞきだすと、男が舌先で唇をこじ開けてきた。

 

「んぅっ!」

 

 驚きつつも受け入れる。熱っぽくやわらかな舌腹が口腔をまさぐってくる。ざらざらともぬるぬるともつかぬ感触。やわらかく、くすぐったくて気持ちがいい。舌で上顎をなでられると、ぞくりと背筋が震えた。さらにクレアの舌にも男の舌が絡んでくると、軟体同士が惹かれ合うように唾液を絡め、じゅるっ、ちゅぱっと淫らな水音を立てた。クレアからも唾液を送り出し、ふたりの息が徐々に乱れていく。もっと感じたい。貞淑さより肉欲に溶けていくクレアは目をとじてアレンの舌を必死に追う。

 呼吸が苦しくなって胸板を押すと、アレンがわずかに離れた。

 

「アレンさん……」

 

 息を切らしながら名前を呼ぶと微笑んでくる。呼吸を整えるクレアの頬を撫で、親指の先で唇をくすぐってきて続きを促してくる。クレアがうなずくと、また唇が合わさり、舌を絡めて互いの唾液を吸い合っていく。

 そうして口腔愛撫を受け入れている間も、うなじから肩先を滑る長い指先がクレアの全身の性感を高めてくる。華奢な処女司令官の体の稜線を愉しむような指使いだ。チューブトップに包まれた乳肉がぷるりとはずみ、まるで触ってほしそうに体がのけぞった。だんだんと乳房の先端が強張ってくるのがわかる。

 

(…………ああ、すごい……)

 

 今朝は彼がいなくて泣いていたのに、いま目のまえにいて濃厚な口付けを交わしているのが不思議でたまらない。この雪白の乳房についたいくつもの所有印を見たら、どんな反応をするだろう、とかすかな期待が首をもたげる。

 ごつごつした指先が柔肌をすべるたびにクレアは甘い声で鳴き、秘肉からまた蜜をどろりと垂らしていった。

 自分が、ただの女に変わっていくのを感じる。

 

「あ、あの、アレンさん。ちょっと待ってください……」

 

 口付けの合間にささやくと、アレンが止まった。首をかしげている彼をそのままにクレアが震える手で、アレンのシャツをめくりあげる。左手首を止血するのに上着(ジャケット)を使ったせいで、アレンは黒シャツと白ズボンのみの簡素な格好だ。留め具や金具のないシンプルな筒状のシャツがクレアには新鮮で、いつもきっちり服を着こんでいる彼の黒シャツをめくりあげるたび、なめし革を張ったような割れた腹筋があらわれてきて、いけない部分を覗いている気分が昂(たか)ぶる。

 クレアの柔肌とはまったく異なる、硬く引き締まった男の体だ。

 

「……クレアさん?」

 

「わ、私もアレンさんの服を脱がせてあげます!」

 

 しばらく見惚れていたらしく、ハッと宣言してあらためて黒シャツを取り払った。もっと効果的な誘い文句があっただろうがクレアに正解はわからない。少し日焼けした彼の肌はどこも彫刻のような凹凸のはっきりした筋肉がついている。その無駄のない肉体美に息を呑みつつ、今度はズボンにも手をかけた。シーハーツに流通している衣は袴のため、クレアにとってはこれまた不思議な素材でできた脚のラインがよくわかる形状の下穿きだ。

 ベルトの外し方がわからなくて困っていると、アレンが見かねて留め具を外してくれた。さらに前をつくろげると怒張したペニスがクレアの手許にぼろんとまろびでてくる。

 

(こ、これを……さわるのよね……?)

 

 自分にはない逸物を食い入るように見つめて、さっき導かれた通り、おずおずと手のひら全体で怒張を包み込んだ。彼がそうするように触れるか触れないか、やわらかなタッチですーっとさすりあげると、アレンがびくりと反応して、体をくの字に折った。

 

「っ!」

 

「ご、ごめんなさい! 痛かったですか?」

 

 あわてて謝罪するクレアに、アレンはうつむいたまま手のひらを見せてくる。

 クレアがどうすればいいかわからずオロオロしていると、耳まで真っ赤にした彼がしぼり出すように言った。

 

「す、みません……。これは思った以上に……」

 

 はずかしい、とアレンの唇が動いただけで声にはならなかった。

 クレアの鼓動が跳ねる。あと一歩。アレンの表情を見て直感した。

 慎重に問いかける。

 

「痛くはないですか?」

 

「…………はい……。気持ちいい、です……」

 

 絞り出すような声で、なぜかカタコトで答えてくるのに、くすくす笑みがこぼれる。さきほどまで資料室で、この陰茎が自分の股間をなぶっていたのだ。肉傘の大きさを思わず布越しに確認してしまい、言葉を失った。夢中でさわっていると陰茎がびくびくと脈打つのも興味深い。

 

「触れただけでこんなになるなんて……壊れてしまわないか心配です」

 

「……いや、むしろ」

 

 言いかけたアレンがぐっと眉間に力を入れてそっぽ向いてしまう。

 クレアはムッとした。

 

「むしろ、なんですか? ちゃんと教えてくれないとわかりません」

 

「…………っ、なんでも」

 

 ない、と答えるつもりだったのだろう。

 口を割らないアレンに焦れて、クレアは剛直をさすりながら、彼の首筋に口付けた。ゆっくり、あわてず、円を描くように。された愛撫を真似して皮膚の薄い首筋から鎖骨を唇でたどりながらアレンを見上げると、アレンが息を詰めたのがわかった。

 

(――早く、落ちてきて)

 

 欲望が心のなかでつぶやいた。

 

「っ!」

 

「教えてください。あなたの気持ちを知りたいんです」

 

「…………」

 

「アレンさん」

 

「……ご、ご容赦くださ……ぅっ!」

 

 否定する唇を唇でふさいだ。眉を下げて快感をこらえているさまにドキドキする。 

 

(アレンさん、なんだか反応がかわいい……)

 

 これまで抱いたことない、どす黒い感情が胸を満たしていく。肚の奥がうずく。怒張を両手のひらで包んでゆるくしごくだけでも、アレンの口から荒い息が洩れるほど気持ちいいようだ。要領などわからなかったがアレンの反応を見てさするだけでなく、指をきゅっと締めたり緩めたりしてみる。にちゅにちゅと鈴口から涙をこぼして喜ぶ肉棒に愛撫を繰り返していると、やがてアレンの息がますます激しくなってきた。その事実が嬉しくて、また頬をほころばせる。

 

(えっと……。乳房と同じだとすれば……舐めたほうがいいのかしら?)

 

 アレンから指示をもらうことをあきらめ、にゅぷにゅぷと形を浮かび上がらせる亀頭をあやし、剛直をしごきながら首をかしげる。彼の下着も沁みてきていて、このなかに詰まった肉茎の存在がいやでも気になってくる。これからそこに口づけるのだ。本能的に唾液が溜まってきて、クレアは知らず生唾を呑み込んだ。

 

(アレンさん……。全然口にはしないけど、つらそうよね)

 

 あと一歩なのに、アレンはなかなか崩れない。

 母乳を初めて飲まれたとき、クレアはとても恥ずかしかったがそれ以上に、乳首のこわばりがつらくてどうしようもなかった。それを堪えている、というのは信じられないことだが、この男はその信じられないことをやるのだ。

 

(そうだわ)

 

 そもそも自分は、もうパンティを脱がされている。このズボンと下着を取り払う権利はあると考えた。

 ひとりうなずき、体を起こしてアレンの両腰に手を当てる。なにをされるか察したアレンが一瞬、抵抗しかけたが彼女のズボンを握る力が意外に強いのに気づくやあきらめたように視線をそらし、自らもズボンと下着を脱いできた。

 その二枚を同時に受け取る形で足首から抜き取ったクレアが、満足してにっこりと笑う。この男が肉欲に傾いてきている。そんな喜びを込めた笑みだった。几帳面にたたんでベッドの隅に置いたあと、ふと、全裸に剥いたアレンを見て、急速に頬を赤らめていく。

 

(わああ…………!)

 

 アレンの下腹にぴったりとくっつき反り返っているペニス。初めて目にした異性の生殖器の迫力に、思わず頬の熱を冷まそうと両手を当てた。服を脱がせる間に、仰向けになったアレンの股の間に座り込んでいる。肉竿は、ごつごつと血管を膨れ上がらせ、すさまじく怒張していた。赤黒い肉塊は先端からよだれを垂らし、グロテスクに照る。

 鼻先を近づけると、ツンと鼻腔を突き刺すペニスの臭いがした。濃密なフェロモンの香りに頭がくらくらする。

 一方のアレンは高めるだけ高められ、もどかしい手淫にも堪えていたが、もはや我慢も限界に達しつつあった。

 

「あ、あのっ!」

 

「はい」

 

「も、もう……っ」

 

「……どうしました?」

 

 切なげなアレンがかすれ声で訴えてくるも、要領がわからずクレアが首をかしげた。

 アレンが目をつむって自ら怒張に手をやった。手のひら全体で亀頭を包み込んだまま親指の腹で円を描いている。さらに肉胴を少し乱暴にこするさまを間近でまじまじ観察しながら、クレアも肉傘の縁をさするとアレンがさらに呻いてくる。

 触り方を間違えたか、と思わず手を引きかけたところで

 

「すみませんっ」

 

「?」

 

「いいですから、そのまま続けてください!」

 

 切羽詰まった様子で言われ、クレアは先ほどより大胆に剛直の根元を左手で、肉傘を右手で握りこみ、彼が自らそうしたようにしごいてみせた。

 

「……ぅ、あ……っ!」

 

 アレンが目を細めて天を仰いだ。うっすらと浮いた汗。その切なげな表情に息を呑む。彼のこんな顔を見るのは初めてだ。

 心臓が早鳴る。呼吸が浅くなった。

 やがてアレンの腰がぶるぶるっと痙攣しだしたかと思うと、「でる……っ!」とどうにか絞りだした声とともにクレアの手のなかで大量の白濁液が吐き出されていった。

 

「きゃっ」

 

 ペニスがびくん! びくん! びくん! と激しく脈打ちながら欲望のかたまりを吐きだしていく。鈴口からほとばしった精液は処女司令官の手を、髪を、顔を、雪白のウエストを、むっちりした太ももまでもを次々に汚していった。

 その間も、クレアは最後の一滴まで搾り取ろうとするように、ゆるゆると肉竿をしごいている。アレンがこらえきれない息を吐いて、男の樹液を吐きだした。

 

「…………っ、すみませんっ!」

 

 長い長い射精のあと。

 アレンが慌てて寝台の枕元に置いてあったタオルを引き寄せた。

 

「……こんなに……出るものなんですね……」

 

「っ」

 

 べっとりと精液まみれになったクレアがぽつりとつぶやく。あたたかい。手のひらに溜まった精液をじっと見つめ、舐めとってみた。ねっとりゼリー状の白濁液はほの苦く、だがそれ以上にクレアの興奮を煽ってくる。これが、彼が我を忘れて欲望におぼれた結果なのだ。息を荒げながら口のなかでねばつくそれを唾液を絡めて飲み干すと、乾いた体の奥底に温かな力が湧いてきた。

 

(わたしの、施力が…………)

 

 アレンの推測通りだった。心地よい施力に後押しされ、クレアは手のひらの精液をぺろぺろと子猫がミルクを飲むようにすべて舐めとっていく。そのたびに肚の奥底から力が湧いてくる。男の樹液にまみれたチューブトップを下から持ち上げて、白く汚れたそれを宝物のように愛おしそうに見つめ唇を寄せる。

 アレンがたまらず顔をそむけた。

 

「アレンさん」

 

「……なんですか」

 

「気持ち、よかったですか?」

 

「………………はい」

 

 耳まで赤くなったアレンが、観念してうなずいてくる。クレアの頬がほころんだ。

 

「ヒーリング」

 

 アレンの左手を取って包帯を外し、癒しの施術をかけてやる。青白い光がクレアの手許から放たれると、見る間に痛々しい傷はふさがり、縫合の際につかった糸がはらりとシーツのうえに落ちていった。

 普段に較べれば弱々しい癒しの光だったが、完全に元通りになった彼の手首を見て、クレアが満足げにうなずいた。

 

「ありがとうございます。クレアさん…………」

 

 礼を言ってくるアレンは、どこか力ない笑みを浮かべている。

 クレアは左手首を握ったまま、ちらりと彼の剛直を一瞥すると、その耳元に唇を寄せてささやいた。

 

「私も……していいですか?」

 

「……はい?」

 

「アレンさんを気持ちよくしたいです」

 

「っ!」

 

 ふと。クレアに『お口で』していいか、と質問されたことを完全に理解したアレンが、右手で口許を覆った。クレアは精液を飲ませてしまったことにまた罪悪感を感じていそうなアレンの心情を読み込んで、おだやかに微笑む。

 アレンの左手をさすり、首筋に甘い吐息をかけてやる。

 

「だめですか?」

 

「だ……」

 

 アレンがなにか言いかけたとき、ノックの音がした。ふたりして扉のほうを見る。

 

「クレアさま。こちらにおいでですか?」

 

 光牙師団の女兵士だ。定刻になってもクレアが現れないため、様子を見にきたらしかった。音もなく立ち上がろうとしたアレンを制し、クレアは扉に向かって言った。

 

「ごめんなさい。今日は体調がすぐれないの。午後には顔を出します。みんなにも伝えておいて」

 

「かしこまりました。……クレアさま、ご無理はなさらないでくださいね」

 

「ええ。ありがとう」

 

 もともと洞窟調査で数日は父が光牙師団をあずかる手配になっていたため、急ぎの用はないのだ。それに、施文がないまま師団に顔を出すのは気が引けた。

 数言でいくらかの機会を得たクレアがアレンに向き直ると、アレンは意外なものを見るような目をしていた。

 汗ばんだ彼の肌に、みずから柔肌をすり寄せて、クレアは艶やかに笑ってみせる。

 

「さあ、アレンさん。続きをしましょう?」

 

 絶対に、この男を逃がす気はなかった。

 顔や髪、ウエストを白濁液に汚されたまま、クレアはぐちゃぐちゃになったチューブトップから乳鞠の先端をこれでもかと尖らせている。膝の横でそろえられた両腕が、双乳の大きさを強調するように膨らみを押しだす。二の腕に食い込んだ長手袋と、ニーハイソックスも汗を吸ってべたべただが、黒布と雪肌のコントラストが美しく、華奢な肩と悩ましい豊かなヒップを輝かせていた。

 すでにパンティを履いていないことに慣れてしまったのか、積極的にしなだれかかってくるクレアを跳ねのけられるほど、アレンにも気力は残っていない。

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