「夏!!太陽!!とくれば…やっぱ海よねー!」
つい最近も見たような展開だが、さすがに水着を着ている園子。
前回と違うのはここがヌーディストビーチではなく、伊豆にある鈴木家の別荘と併設しているプライベートビーチ。
「にしても、こーんな魅力的な女が5人もいるのにビーチに男が誰もいないなんてねぇ…」
「あの、園子ちゃん。オレ、男なんだけど??」
そこで海水浴をしてるのは園子と蘭と理博、七槻と成実の5人だけだった。
前回参加していた阿笠は他の発明家仲間との用事があり、夏美はAV撮影のロケ、フサエも海外へと帰ってしまっている。
ちなみに綾子は一緒に来ていたのだが、ここまで車の運転をしていたため別荘で休んでいる。
「まあ、仕方ないわね。今日こそはここで日焼けをしてビッチギャルになって男を引っ掻けてやるんだから!」
「もー、園子ったら…博士の愛人なのに男、男って…」
「いいじゃない。博士、そういうところは放任的だし?姉貴も婚約者がいるのに私は出会いすらないのよ」
そうは言うが園子はまだ高校生。財閥ご息女としてパーティに参加することはあれど、そう言ったものはまだ早いと父親の史郎は考えているのはまだわかる。
一方の朋子は「(愛人としての自覚を持たせるために)殿方との出会いは大切です!」と前向きだった。
ちなみにそろそろ予定日が近い朋子の子供は男女の双子ということが分かっていた。
「あー、七槻さんや成実さん、いい人紹介してくださいよー」
「ごめんね、ボクの地元は福岡だから、こっちに知り合いはあまりいないんだ」
「オレも、今はこんななりだからそういう人はあんまり…」
比較的最近米花に引っ越してきた二人は女子高生に紹介できるような相手はいなかった。
ちなみに男であるはずの成実当人にたいしては女性にしか見えないため園子にとって恋愛対象にはならないようだった。
「蘭はいいわよねー、旦那がいて。その水着も新一君に見せるために買ったんでしょ?」
「そ、そんなんじゃないって…!」
蘭の水着はいわゆる黒いスリングショット水着と呼ばれる布面積が極端に少ない、紐のような水着だった。
乳首と股は隠せてはいるが、それ以外は丸見えだった。
ちなみに理博は普通のフリルが付いた女児ワンピースの水着、七槻はビキニタイプの水着で成実は水着ではなく短パンとラッシュガードを着ていた。
「それに、新一もいつ戻ってくるかわかんないんだし…」
「…ごめん」
表向きでは新一は失踪、その実「とある事件によって家族の元にも戻れない」という説明が英理の方から蘭と園子にされていた。
公安と有希子の約束では蘭までだったのだが、蘭のメンタルを考えて幼い頃の新一を知る園子にもそのことが伝えられることになった。
だから、こんな格好をして待っていようが新一に見せることができないと思った蘭の沈んだ表情に園子も不謹慎すぎたと反省をする。
「園子お義姉さま~!」
「え?」
ふと、園子が呼びかけられて見ればワンピースを着た可愛らしい少女がビーチにいた。年齢は中学生ぐらいだろうか、園子によく似た茶髪の髪を風になびかせてうれしそうに手を振っていた。
しかし、ここは鈴木家のプライベートビーチだが、いったい誰なのかと思っていると「よっ、園子ちゃん」と七槻や成実ぐらいの年齢の男性がやってきた。
「ゆ、雄三さん!?」
「最近の女子高生は大胆だな~!結婚決めたの早まったかな?」
軽そうな発言だが、冗談っぽく言うその男性の発言に「またまた~、姉貴にゾッコンな癖に~」と園子が肘で軽く小突く。
園子の姉というと綾子で、婚約者がいるというのは蘭も聞いたことがあるが会ったことがなく「綾子さんの?」と聞いた。
「そうよ!富沢財閥会長富沢哲治氏の三男の雄三さん!秋に姉貴と結婚予定なの。あとこっちは雄三さんの妹の美四ちゃん、今は中学生だっけ?」
「はい!今年から中学に上がりました。富沢美四です、この度はお招きいただきありがとうございます」
美四は作法のように優雅なお辞儀をする。
失礼ながらも同じ財閥御息女の園子が中学だった時とまるで違うな、と蘭は思った。
「えっと、こっちは…?」
「ああ、紹介するわ。私の親友の妃蘭、その妹の理博。あとは米花でお世話になっている医者の浅井成美先生とその彼女の越水七槻さん」
「ちょ、園子さん!」
いきなりの言葉に成実は慌てて、七槻は否定もせずに笑う。
しかし、成実の外見を見て「彼女…?」と首をかしげる雄三。
まあ、初見で成実の性別を見分けるのはかなり難しく「男よ、先生は」と言えば雄三も美四も驚いた声を上げた。
「す、すまない。あまりにも綺麗だったもので…」
「あ、いえいえ。よく言われるんで…」
実のところ普段から女装して楽しんでいるというは伏せることにした。
あまりにも女性的外見の成実に驚く雄三だったが「ところで綾子ちゃんは?」と婚約者の姿を探していた。
―鈴木家別荘―
「お久しぶりです、哲治さん」
「ふふ、相変わらず綺麗な
その頃、鈴木家の別荘にいた綾子のもとに来訪した哲治。
表向きの関係は【息子の婚約者】と【将来の嫁】という他人に近い家族。
しかし、その本来の関係は違った。
「美四もつれてきてやったぞ。だが、くれぐれも」
「ええ…分かっていますわ」
「しかし、最近はあの子もあなたに似てきた…ふふっ、いずれは親子そろって味わうのが楽しみだわい」
富沢美四――哲治が親戚の身寄りのない子供を引き取り養女とした子。
しかし、彼女には哲治の血が流れており、母親は鈴木綾子であることは本人も知らないことだ。
「て、哲治おじさま!」
すると、玄関が開くと挨拶のために着替えようと急いで戻ってきた水着姿の園子たちが飛び込んできた。
「ふぁ~…」
「あ、もうこんな時間」
食事を終えて、哲治はファンである社会人野球チーム鹿児島ファルコンズの衛星中継に熱中していた。
既に夜の8時を回っており、大人たちの夜はまだこれからだが小学生の理博は眠そうにあくびをしていた。
「理博、寝ようか」
「ん~…や~…」
眠そうに眼を擦るも、寝ることを嫌がる理博。
単純に大人たちが起きてる中で自分だけが寝るというのが疎外感があって駄々を捏ねてるだけなのだが。
それを察してか寝るまで一緒にいてあげようと蘭が立ち上がろうとしたら美四が「一緒に寝る?」と声をかける。
「美四ちゃん、いいの?」
「はい。私ももう眠たいので…理博ちゃん、お布団でお姉さんとお話しする?」
その誘いにワクワクを感じたのか理博は「うん!」と嬉しそうにうなずく。
ともすれば美四は隣の富沢家の別荘ではなく鈴木家の別荘に止まることになるのだが哲治は「末っ子だからな、お姉さんぶりたいのだろう」と反対もしてなかった。
「そういえば、成実先生と七槻さんは?」
「少し夜風に当たるって」
「いい景色だね」
「はい、とても落ち着く」
夜の海岸沿いを歩く二人。
方や女性にしか見えない女装子、方や米花で【王子様探偵】と言われる中性的な見た目の女性。
年齢も近く、性格もお互いに他人を思いやることからいつからかこの二人は付き合いを始めていた。
「浅井先生の故郷の、月影島でしたっけ?そこの海もこんな感じなの?」
「うん、もともと島の由来も影に浮かぶ月が水面に映って綺麗だったからとか、そんなのだったと思う」
何気ない会話をしながら歩く。会話の他には砂を掻く足音と波音だけ。
昼間――いや、普段から二人の仲を園子を中心に囃し立てているが、成実はそれを否定し続けていた。
「ごめんね。本当は、七槻ちゃんにも案内してあげたかったんだけど、オレはもうあの島に戻ることはできないから…」
七槻は成実の過去を知っている。家族を殺され、真実を求めて女装をし、そして復讐に手を伸ばしていたこと。
そこを阿笠博士に止められて、『正しい復讐』を果たしたが道を外す選択したケジメから生まれ故郷を去ったことも聞いた。
今から半年ほど前の二人の関係は【依頼人】と【探偵】だった。
月影島を離れて半年、故郷への思いは踏ん切りを付けてはいたが成実には別に気がかりがあった。
「でも、みんな浅井先生が戻ってくるのを待ってるんだよ」
島で唯一の診療所に勤めていた成実のもとに様々な患者がいた。
持病を持っていたり、年齢的に補助が必要だったりと。
医者として、島を離れた後に彼らは元気でしてるのか気にしていた。だから七槻に調査を依頼した。
「島にいる人に浅井先生のことを聞いて、ひどいことを言う人は誰もいなかった」
調査として聞き込みをしてる時に、浅井成実の噂を聞くこともあった。
島の人が全員、「あんなにいい先生はおらんかった」という。
今の診療所にいる医者も親身になってくれているが、やはり浅井成実の診察を待っている患者は多い。
だから、「戻ってきて欲しい」という声のほうが多かった。
その話を聞いて、徐々に七槻は成実に惹かれてしまった。
「でも、俺は…犯罪者の子で、殺人をする一歩手前だったんだ」
麻薬の売買に手を染めていた父に、復讐を計画していたこと。
その二つの【罪】が成実にとって重くのしかかっていた。
「……。!」
「…えっ?」
何かを思い立ったかのように、七槻は自分の着ていた服を脱ぎ始めた。
今までで何度も体を重ねてきたこともあるし、博士に使われる七槻を何度も見てきたが成実は突然の行動に驚いて立ち止まった。
過ごしやすいシャツに短パン、ブラジャーとパンツにサンダルまで脱いで文字通り【生まれたままの姿】になる。
「七槻ちゃん、何してるの!?」
「……ねえ見て、浅井先生。今の私、イブっぽくないかな?」
そう笑う七槻。イブというのは旧約聖書の【アダムとイブ】のことだろう。
確かに、鈴木家の別荘であるプライベートビーチでは人気はなく、月明かりで神秘的な海岸にたたずむ姿はまさしく
「だからさ、全部脱ぎ去ってアダムになったら……先生も、もう一度だけ、罪を知らないふりができるかもしれないよ」
七槻の声は、風に溶けるように柔らかく、それでいて確かに成実の心を打ち抜いた。
父親の罪も知らず、自分が復讐を考えることもなく医者として月影島に赴任したころ。
今の生活も気に入っている。だが、あの頃に戻りたいと思ったことがあるのは否定できなかった。
「ねえ先生……脱いで。ね?裸になって、私と水かけっこでもしよ?ふたりだけの楽園でさ、ただの
言葉の端に、抗いがたい悪戯っぽさと微かな祈りが混ざる。
探偵として、女性としてはやってはいけない誘い。だが、
その甘美な誘いに、もともとの破滅願望とマゾの気質がある成実は拒否する言葉を思いつかなかった。
「……うん」
だから、七槻の誘いを断ることはせず。成実もすべてを脱ぎ去る。
「…ふふっ、浅井先生、ギンギンに勃起してる」
「うっ…だって、七槻ちゃんが…その…綺麗だから…」
普段と違い、夜のビーチという神秘的な雰囲気に佇む七槻の姿に成実は興奮を隠せなかった。
恥ずかしさからか、眼を逸らす成実に七槻は「ふふふ」と笑いながら両手で海面を掬うように水を弾く。
「うわっ!」
「あはは、濡れちゃったね♥それ!」
そう笑う七槻はまた水を掬っては、成実に水しぶきを飛ばす。
二度も水を掛けられ、多少の反抗心と悪戯心を持った成実も「やったなぁ~!」と水を掬って七槻に飛ばす。
「きゃっ、冷たーい♥」
しばらく水を掛け合いっこをして楽しんだ後。
成実と七槻は互いに全裸の状態で並ぶように浜辺で寝転ぶ。
「…ありがとうね、七槻ちゃん」
「ううん、ボクはなーんにも♥」
全裸という羞恥心はあれど、その表情はどこか付き物が落ちたように晴れやかなものだった。
七槻としても意中の相手が吹っ切れてくれたという嬉しさもあった。
「…ほんと、いつか案内して欲しいな。浅井先生が生まれた島のこと」
「………うん、いつかね」
同じ伊豆にありながら見えない距離にある島に思いを馳せる七槻と成実。
地平線を眺めて――のんびり――
「ってちょっと待って!!」
「ふぇ♥?」
いつの間にか、七槻が成実の性器を咥えていた。
ちなみに水の掛け合いをしてる最中に触ってもないが、揺れる七槻の胸や晒された股を見てひそかに射精をしてしまったのは内緒だ。
「な、七槻ちゃん!?何してるの!?」
「えへへ♥ボク、我慢できないや♥」
「うっわああ♥♥」
七槻は成実の性器を自身の下の口で咥えると、一気にしゃぶりつく。
普段の【ご褒美】はあくまで成実主導のセックスだったため、七槻の積極的な奉仕に成実は身もだえてしまう。
「うぁああっ♥♥七槻ちゃん、はげし……♥」
「じゅぶっ、んんっ♥ボクも……我慢できないのぉ♥」
全裸で興奮し、相手の裸を見て発情したのは成実だけではない。
七槻もスイッチが入ったかのように、一心不乱に成実の性器をしゃぶりつく。
「ああぁっ♥だめ、もうでるぅう♥♥」
びゅるるるるっ!と成実は七槻の口の中に射精した。
七槻は出された精液を飲み込むと「ぷはぁ♥」と口を離す。
「えへへ……♥先生の、阿笠さんよりサラサラして飲みやすいや♥」
「っ…!」
二人にとって【主】である博士のモノと比べるまでもなく劣っている自覚は成実にはある。
しかし、口元を汚して笑う七槻の姿に、成実の中のスイッチも入る。
「七槻ちゃん…!」
「きゃっ!?」
今度は成実が七槻を押し倒して、その上に覆いかぶさった。
いきなりの出来事に「せ、先生…?」と七槻は驚いていたが、まるで獣の様に、成実は七槻の体に舌や手、唇を這わせる。
「いゃああんっ♥ちょ、せんせぇ……♥♥」
「はあ、はぁっ……!」
自分の体を這い回る手の感覚と、乳首を甘噛みする歯の感触に嬌声をあげる七槻。
そして、その眼は快楽に蕩けながらもどこか期待をしているようにも見えた。
「七槻ちゃん、七槻ちゃんっ……!」
「うん…♥きて……♥」
成実は自身の性器を七槻の秘所に宛がい、一気に挿入した。
「んぁあああっ♥♥」と嬌声をあげる七槻。その膣内は熱く、そしてキツく締め付けてくる。
成実は腰を振りながら何度も七槻にキスをする。
「ちゅ♥んんっ♥せんせ……ちゅっ♥んんぅっ♥♥」
舌を絡ませてキスをしながら、成実は腰を動かす。
先ほどこの二人は【アダムとイブ】を再現したかのように裸でじゃれ合っていた。
さすればこれは禁じられた果実を口にして欲望を得た二人が体を重ねる。
「七槻ちゃんっ、七槻ちゃん……♥」
「ああぁっ♥♥せんせぇ、ボクもぉ……♥」
まるで知識を得た人間ではなく本能で生きる獣の様に、成実と七槻は快楽を求める。
成実は背後から七槻を抱きしめる。素肌と肌が重なりあい、互いの体温を感じながらも腰を振り続ける。
「あっ♥あぁっ♥せんせぇ……っ♥♥」
「はあ、はあっ……!」
そして、互いに限界が近づいてきた。成実は腰を振る速度を上げる。
「七槻ちゃんっ!もうでるぅうっ!!」
「うんっ!きてぇえええっ♥♥」
びゅるるるる!!どぷぷぷっ!!!と七槻の膣内に精液を流し込む。
曰く【サラサラしてる精液】がトプトプと七槻の膣内へと注がれていく。
「あぁあああっ♥せんせぇ……先生のぉ♥」
大量に精液を注ぎ込まれ、腰をがくがくと震わせながら絶頂へと達する。
それからしばらくして成実の射精が終わり、性器をゆっくりと引き抜くと糸を引くように精液と愛液が混じりあったものが垂れてきた。
「はあ、はあ……」
「んっ♥先生……もう、いきなりなんだからぁ♥♥」
息切れしてる成実に対し、頬を赤らめて抗議する七槻だったがその顔はまんざらではなく、むしろ嬉しそうだった。
愛おしく、それでいて大事に胎内の精液をなでる。この中の精子が卵子のもとに辿り着いて今みたいに激しく混じり合い、受精することを願って――
「…あれ?」
「ん?あ」
ふと、雨が降り始めてるのに気づいた。
お互いに海水と汗にまみれて気づかなかったが、勢いが徐々に増してるようだった。
「戻ろうか」
「うん」
二人は、脱ぎ捨ててた服を着ると別荘へと戻った。
「やはり、私には小説家の才能がなかったのかもしれないな…」
二人が別荘に戻り、さらに夜が更けると富沢哲治が何者かに撲殺される事件が発生した。
その犯人は雄三とよく似ていたが口元をマスクで隠しニット帽をかぶっていたためその兄である太一と達二にも瓜二つだった。
アリバイ証明だが3人ともはっきりしておらず、捜査が難航するかと思いきや七槻が留守電と盗聴器を使ったトリックを見破り犯人である太一の犯行を言い当てた。
「…………」
「美四お姉ちゃん…」
事件発生から解決まで別室に隔離されていた美四と理博。
詳細は知らされず、ただ哲治の死亡と太一の逮捕だけが伝えられた。
中学生という多感の次期に養父と義兄を同時に失うのに相当参っているようだった。
「雄三、美四のことどうする?」
「どうって…?」
事件も終わり、警察も撤収を始める中で椅子に座る美四を遠巻きに見る達二は雄三にそう小声で相談をする。
「…俺もお前も、婚約者がいる身だろ。中学生の子供を引き取るにしても籍を入れる前は間が悪い。そりゃ、美四を放り出すわけにはいかねぇけど…」
確かに、婚約するときにいきなり子供を連れてくるのは相手との相談も必要だ。
だが、達二はもともと哲治に反対されていた婚約で相手方がいい顔をしないかもしれない。
かといって、雄三の相手はあの鈴木財閥。この場の一存で決めるわけには――
「ねえ、美四ちゃん。今から私と家族になってもいいかしら?」
「え?」
「「えっ」」
そんな相談をよそに綾子が落ち込む美四にそう微笑みかけた。
いきなりの申し出に美四も、コソコソと相談していた二人も思わず反応した。
「あ、綾子さん!?」
「…め、迷惑かけたら、ダメ。私、富沢の娘…だから…」
「ううん。迷惑なんかじゃない。私が美四ちゃんの家族になりたいの」
そう言ったら美四は目に涙をためて、綾子に抱きついた。
「うう……!綾子お義姉さま……!」と甘えるように泣いて甘えてきた美四を綾子は優しく抱き留めたのだった。
「いいのかい、綾子さん。美四ちゃんを…」
「ええ、お父様は寛容ですし、お母様は…まあ、なんとかなるでしょう」
「そうじゃなくて…」
泣き疲れた美四をベッドに寝かせる綾子に、雄三はなぜいきなり引き取ることを決めたのかと問いかけた。
まだ涙が流れる目元をハンカチで優しく拭いながら慈しみながら「そうねぇ」と綾子が零す。
「哲治おじさまに、美四ちゃんは母親がいたことがないから、綾子さんにその姿を重ねるかもしれない。その時は優しくしてあげてと言われてたの」
「父さんが…?」
自分たち兄弟に対して冷たい態度を取っていた哲治でも、娘に対してはそのように思っていた。
いや、もしかしたら自分たちに対してもどこかでそう接そうとしていたのを拒否していたのは自分たちの方ではないかと、雄三はその真意について改めて考えるようになった。
「それにこれ以上この子から家族を奪うのも忍びないですし、鈴木財閥の財力をもってすれば子供を引き取るのも児童相談所も認めざるを得ませんしね」
「あ、あはは…」
確かに相手があの鈴木財閥なら児童相談所もNOとは言えないだろう。
雄三は婚約者の強かな一面を見て、少し乾いた笑みを浮かべた。
「(それに……私の血のつながった娘ですから、鈴木財閥の血が流れる女でもある…鈴木家の女は全員阿笠さんの愛人ですもの♥)」
まるで聖母のように眠る子供を見る綾子の視線の中に、淫猥な光があったことに雄三は気づかなかった。
はい、リクエストというわけではないですが『夜会』の時に三つ子山荘の話についてのコメントが着ていたので書いてみました。
ただ、まあ原作通りに義治は殺されましたが…
最初は園子たちが海にいる間に裏で綾子と哲治が体を重ねていたりとかっていう展開も考えたが、そもそも太一が犯行のために現場入りしたのって遅くとも夕方から夜ぐらいで野球の状況について聞き耳を立ててたってことを考えたらもっと早くに着ていた可能性もあるし、そしたら父親が弟の婚約者と肉体関係や場合によったら義妹が実は血のつながりがあるってことでややこしいことになりそうだった。
ってかもしかしたら自供の時のそのことを暴露したり、あるいは綾子が「盗聴器…もしかして…聞かれて…」となりそうだったから泣く泣く没に。
あと、成実と七槻のアダムとイブごっこをすると文字数が増えに増えたため事件内容がほぼカットに。
……実を言うとこの二人を太一が目撃して成実のことを男性だと言い当てた、みたいな展開も考えてたけど収拾がつかなかったので。
ほんと、なんとなくで綾子が中学で出産した設定にしたら年齢的に逆算してみるとちょうど生まれた時の母親と同じぐらいの年頃になってしまった…
一応の設定は以下
富沢美四
12歳
表向きは哲治の遠縁の親戚の子供。
親と死別して施設に入るところを義治が引き取ったとされている。
お淑やかで礼儀正しく、また面倒見がいい学級委員長タイプ。
だが実の両親については知らず養父がいたものの母親については恋しく思っており、義兄の婚約者の綾子が一番身近な年上の女性であるため懐いていた。
哲治が殺害されて長男の太一が逮捕されたため、財閥は次男の達二が引き継ぐ。
身の振り方を決める際に綾子が養子として引き取る形で鈴木家の人間となる。
(綾子が雄三が婚約関係で嫁入りして名字が変わる予定で混乱を避けるため美四の苗字はそのまま)
ただ歳が近いため綾子のことを母親と呼ぶことに対しては少し抵抗がある。
実は鈴木綾子と富沢哲治との間にできた子供。
生まれてすぐに鈴木財閥の養護施設に送られて、実祖母の朋子から哲治に存在を知らされて「やがて綾子との親子プレイを楽しまれてはいかがか」とそそのかされた結果引き取られた。
自身が本当に鈴木財閥と富沢財閥の血を持った人間であることを知らないし、知らされることもない。
美四ちゃんはその後については…どうなるんだろう。
あのマンションに住むことになれば洗脳もあるし、ハーレムに入れるのもいいけど理博以上に原作やオリジナル設定から遠いキャラだからなぁ…
もしかしたらフサエ以上に文章だけ博士に抱かれるキャラになるかも
そして今回の挿絵はちょっとテストでGif形式にしてみました。
生成AIで作った画像を生成AIで動画にするという感じで。
ちょっと七槻の方よかったんですがはよかったんですが成実のモーションや水しぶきが上手くいかなかったなぁ…
あまりにも違和感がある方が多そうだったら元のPNG画像に差し替えるかもしれないです。
出力に時間がかかるから今後は片手間にサブPCで放置しながらいい感じにできたらGif形式、出来なかったら元になるPNGで投稿していくかと思います。
次回は23日に投稿予定です。