表の戸締まりをしてから、二人で書店のバックヤード兼居住スペースに引っ込んだ。
元々おじさんがここを使っていたみたいだけど、いまは別の場所に自宅を構えている。なので店主代理を務めている間、ここはお兄さんの城同然なのだ。バイト終わりに今日みたくお邪魔することがあるから、ちょっと私物を持ち込んでいたりもする。
着替えとか歯ブラシとか、ないと困ることだってあるし仕方ないよね。
「んしょ……、っと。これ、さっき見せたいって言ってた写真」
「おっ、焼き肉。いいね、豪快で食べ応えありそう」
「なでしこの食いっぷり、お兄さんも見たらびっくりすると思う。私だけなら、この量は絶対無理だ……」
六畳部屋に敷かれたカーペットに座って、お兄さんにスマホの画面を見せる。年代物のちゃぶ台には、淹れ直したお茶がふたつ置かれていた。
いろいろとあった四尾連湖キャンプ。
きれいな景色のつぎにくるのは、肉、そして肉。新しく買ったグリルにお兄さんも興味があるみたいで、さっきからずっと肩がふれていたりする。
いまさら、このくらいでドキドキしてるのを悟られたくなくて、いつも以上にがんばって喋ってしまったり。ただまあ、優しいのか鈍感なだけなのか、お兄さんのペースはちっとも乱れない。
「お兄さんもしてみたらいいのに、キャンプ」
「いやぁ、ボクは家でのんびり読書してるのが一番だからねぇ。リンちゃんの見せてくれる写真で、楽しい気持ちたくさん味わわせてもらっているから。これからも、それでよろしく」
「むっ……。うまいこと逃げたな、お兄さんめ」
じゃれつく流れで、軽く唇がふれ合った。
一瞬だけ、頭の中がふわっとしてしまう。キスなんてしたのは、もちろんお兄さんとが初めての経験で。
このくらいのこと、みんな当たり前にしているのかな、とリンは一応考えてみる。なでしこ……、は絶対にないか。ほかのみんなにも、それらしい気配はないし。斉藤なんて、ちくわといる時が一番楽しそうだ。
上の空になっていた顔。耳。頬。顎のライン。お兄さんの手が、かたちを確かめてくる。
もっと、ほかの部分までさわってほしいとさえ思えた。
「どうがんばっても、ちょっとじゃ終わりそうにないかな、これだと」
「うん。いつもより遅くなるかもって、家に連絡はしてあるので」
「また、ボクらだけの秘密が増えることになるね。リンちゃん、ひょっとして楽しんでない?」
途中で横槍を入れられたくないから、スマホをマナーモードにして鞄の奥底に突っ込んでしまう。そのまま、腕を拡げたお兄さんの懐に飛び込んだ。
もう一回、今度はじっくりと体温を交換するようなキスをする。最初は舌でするとかなにごと、なんて思いもしたけど、いまじゃすっかり慣れっこだ。
「キスだけで、かたくしてるんだ。あっ、ちょっと……。はむっ、んっ、ちゅるる、あんっ、んっ」
「それだけ、リンちゃんがかわいいって証拠だよ。ね、もっと」
こうなるまでに、なにか劇的なエピソードがあったわけじゃない。
知らない大人の人がくるのは不安だったけど、お兄さんはずっとこんなだし。隣にいて居心地がいいというか、なんというか。秋を迎えた頃には、秘密の関係がばっちりできあがっていたんだと思う。
というか、バイトにきたらほぼデートの時間になるのって、結構すごいことだよね。職場で散々顔をあわせているから、週末キャンプ地を飛び回っても全然寂しくなったりもしないし。
そもそも引きこもり気質なので、お兄さんから外に誘われることなんてまったくない。だから、二人きりになるのは決まってこの隠れ家で。
「おにーさ……。あんっ、あっ、はふ」
身体が熱い。抱きつくようにキスをしていると、お兄さんの上半身が段々と床に倒れていく。
これだと、私から押し倒したみたいじゃん。普通に恥ずかしいけど、やってしまったものは仕方がない。気持ちいいのは嫌いじゃないし、それが好きな人となら、尚更。
芋虫みたいにもぞもぞと両脚をくねらせ、バイト用に履いてきたジーンズを脱いでしまう。ちょっと肌寒いけど、どうせこれからあたたまるんだし別にいいよね。
「あははっ。やる気満々じゃない、リンちゃん」
「むっ……。おちんちん、こんなにしてるお兄さんの言うことか。なら、そっちも早く脱げばいいじゃん」
無駄に渋るお兄さんのズボンを、剥ぎ取りにかかった。一部分の引っかかりがあるけど、気にしない。
だって、私だけ下半身裸になってるの、どう考えたって変だし。
「ふふふっ……。よいではないか、よいではないか」
「うわー。や、やめるんだ、この悪代官めー」
小芝居を挟みつつ、リンは腕に力をこめた。引っかかっていたものが、やがてぶるんと弾ける。
まだ下着が残っているってのに、とんだやんちゃ坊主だぜ。けれど、一度捕まえたらもう逃がしはしない。テントみたいに張り出した先端を指で押すと、そこからじわりとシミが拡がった。
普通男女が逆だろ、っていうツッコミは無視するものとする。
「よっ……と。おっ、でてきたでてきた」
しっかり大きくなったおちんちんが姿を見せる。お兄さんのほんわかした雰囲気とは真逆の存在で、ただそこにおいるだけなのにギャップが著しい。
腫れた先をちょんちょんと指で揺らしてみる。こうしてみるとキノコのおもちゃみたいでかわいいかも……、と思ったのも束の間。刺激が気持ちよかったのか、おちんちんが根元からびくんと勢いよく跳ね上がった。
おおぅ……。いきなりオイタをしやがって、こいつめ。いくら慣れてるっていっても、ちょっとびっくりしたじゃないか。
「少しさわっただけなのに、こんなに反応するものか。いつもしてあげてるでしょ、このくらい」
「いやぁ、ほんとつくづく思うよ。徹頭徹尾、ボクはリンちゃんに弱いんだなぁって」
「なんだよそれ。んっ……。でも、嫌ってわけじゃないけど」
ぶら下がったボールをもてあそんでから、太くなった幹をゴシゴシと擦る。
おちんちんの先に溜まっていた蜜を、奥の方から搾り出すように。優しく、丹念にしごいてあげると、お兄さんが気持ちよさそうに小さく声を洩らした。
その声を聴いたせいで、自分もちょっと身体が熱くなる。
端的に表現すると、身体がお兄さんとの交わりを求めていた。
「待ってて、リンちゃん。いま、ゴムつけるから」
「あ……、うん。それじゃ、私はこっちで」
お兄さんの優しい声。近距離でささやかれると、妙にドキドキしてしまう。
いつもは少年ぽいというか、同年代の子といるくらいの感覚で接しているのに、時々大人の雰囲気を見せるのってすごくずるい。
カーペットに寝転んで、臨戦態勢を整えるお兄さんのことを観察する。限界まで大きくなったおちんちん。そのうえに、薄いゴムが被さっていく。また、入っちゃう。かき回されて、最後は奥で熱いのがたくさん。
いろんなことを考えていると、自然と指が敏感な部分を擦っていた。好きな人の前でこんなことしちゃうだなんて、私は変態なのかもしれない。だけど、お兄さんはゆっくり頭を撫でてくれて。
「いくよ、リンちゃん」
「きて、お兄さん。ふぐっ、うっ、ああっ……。ふーっ、あっ、あ……っ♡」
ぬるっとした感触を伴って、お兄さんが中に入ってくる。
切なくて、甘くて。やっぱり、表現が追いつかないほど心地いい繋がりなんだ。
最初ちょっと怖かったことは、自分だけの秘密にしている。
「は……んっ。あうっ、はっ、はっ……」
お互いの顔を見つめながらの前後運動。残念ながら現代社会のスピード感には馴染めていないけど、お兄さんのペースが私にはうまくハマっている。いや、ハメられながらそんなこと思うのも、結構おかしかったりして。
「ふっ、ふふっ、ふっ……」
「変なリンちゃん。いまって絶対、笑うところじゃないでしょ」
「あっ、んあっ……。胸、いきなりそうやって。ふうっ、はうっ、んっ……」
たいして大きくもないのに、お兄さんは私の胸で遊ぶのが好きらしい。
都市伝説の類ではあるんだろうけど、こうして年中刺激してもらえば、多少は成長できるんだろうか。せめて、なでしこのやつには負けない程度には。
邪な思考が顔から洩れていたのか、今度はお兄さんが笑いを堪えきれなくなった。このままだと、築いてきた雰囲気がぶち壊しになるんじゃないか。
そっと背中にふれると、お兄さんの影が落ちてきた。
「んむっ、はっ、んふっ……。あんっ、あっ……。はむっ、はふっ……」
ぐしゃぐしゃになりかけた空気すら一変してしまえるのだから、キスってとてつもなく偉大だ。それに、エッチの気持ちよさまで倍増するみたいで、止まらなくなる。
「はあっ、あっ、はっ。知ってたけど、これ……やば……ぁ。あんっ、あっ、ふぐっ……♡ もっと、お兄さん。キス、射精しちゃうまで」
「おねだり、すごく上手になったよね。年上として、ボクもうかうかしていられないなぁ」
「やっ、それってなんの対抗心……。うあっ、あんっ、あっ……♡ おちんちん、すごっ。擦られて、奥まで熱くなる」
両手を恋人らしく繋いで、お兄さんの与えてくる重みを全身で感じる。
カバンに突っ込んだコードのように絡まる舌。打ちつけてくる腰の一点から、痺れるような快感が何度も拡がった。ぎゅうっと、棒の挟まった内側を収縮させてしまう。切ない。切なくて、とてつもなく甘美だった。
「あっ、あっ、ああ……っ♡ これ、きちゃうかも。お兄さんも、はや……く♡」
「中で、出すからね。リンの奥に擦りつけて、たくさん」
「いいよ。うあっ、んっ、いいっ……♡ お兄さんの熱いの、私も感じたい。どくどくって、んっ……♡」
浅い口づけ。交わしながら、お兄さんが小さな声で言った。
また、お腹の奥が熱くなる。熱くなって、切なさと甘さがどこまでも大きくなる。
「はぐっ、うっ……ああっ……♡ お兄さんの、出てる。ゴム、ちゃんとつけてるのに、はふっ……。奥でぴったり射精されてるの、はっきりわかっちゃう。あむっ、んっ……。ちゅっ、はう……♡」
まだまだ、キスが気持ちいい。
ねばっこく、湿り気のある音。ここにあるのは、それだけだった。静かで、少し乾いているようなキャンプ場の音とは、まったく別のもの。
しばらく続いていた密着から、ようやく解放される。だけど、そう簡単に熱は冷めてくれない。その証拠に、お兄さんのはずっとかたいままだった。
「ほふっ……。ねっ。もう一回、したいな」
「閉店時間、早めておいてよかった。あんまり遅くなって、親御さんを心配させてもいけないし」
「えっ……? おちんちん挿れてる張本人が、それ言うんだ」
軽く冗談をぶつけ合う。
身体を起こすと、ちょうどふくらんだゴムがずるりと抜けたところだった。