ライナは負けヒロインなんかじゃないっス! 作:情緒不安定ゾンビ
「……せめて、ゆっくりするから。つらかったら言ってくれ」
「はいっス。……んぅっ……」
「できるだけ力抜いた方が、たぶん楽だぞ。っても、中はどうしたって違和感あるか。……さっき、外はちゃんとヨさそうだったな……。いっしょにいじるか」
「ぁン、ぁ、あ、ソコ、きもちい……っス。ふぁっ、アあっ……!」
「ちゃんと気持ちよくなれてえらいな、ライナ。よしよし。クリ、いっぱいよしよししようなー。そのまま、気持ちいい方に集中しててくれよ。……ん? キスもしとくか?」
「っは。して、ぇ……っ! ちゅ、ん、ん、ンン……、ふは、ぁ、んんッ……」
ライナは、よく耐えてくれた。
こちらが罪悪感を抱くほどにピタリと閉ざされていたソコは、ライナの献身と協力によりほぐれ、どうにか指二本の侵入を許してくれている。
快感も上手に拾ってくれているようで、滑りも潤沢だ。
とはいえ、それでもかなり指が動かしづらい程度の狭さと締め付けであるので、もしやライナの体格的にこれ以上は無理なのでは……などと懸念が浮かんだところで。
「ぁ、アァッ……! ね、ね、せんぱ、もんぐれ、るせんぱいっ……、も、きてぇ……!」
涙目のライナから、そんな訴えがあがってきた。
両手を俺の首の後ろにまわし縋り付くような体勢からも、彼女がこの先を望んでいる気持ちが伝わってくる。
本当に良いのか?
なんて、今更聞くのは野暮だろう。
これまで幾度、彼女の許可を得たことか。何度愛と覚悟を告げてもらったことか。
もう、十二分だ。むしろ、俺からの言葉こそ足りていない。
しかし、ここまでしてから『ライナ、愛してるよ』だなんて言ってみたところで、ただヤリたくてテキトーな言葉を吐いているなんて思われそうでなんか嫌だ。
そんな我ながらめんどくさい考えが浮かんできて、結局俺は、ただ何も言わずに頷いた。
「ふぁっ、きもち、……あ、ンん〜〜〜……っ!!」
軽くイったのか、ライナが息を呑んできゅう、と身を震わせたのを確認してから、そっと指を引き抜く。
ぱたんと、脱力したライナの両腕がベッドに落ちた。
労うように、少し息を切らせている彼女の額に一度キスをして頭を撫でた。
それから、ベッドに横たわる彼女の太ももを持ち上げ、そのあわいに狙いを定める。
くちゅり、濡れた音が小さく、先端が触れた瞬間に鳴った。
ライナは脚を開いて受け入れるような体勢でいてくれるのだが、花弁はぴたりと閉ざされている。
軽く手を添えて動かす程度では、肉棒はぬるりつるりと表面を滑っていくばかりだ。
ぬるり、つるり、ぬちぬちぬち……
愛液を男根に塗り込むような、半端な素股のような、そんな戯れ。
ここは、越えてはならない最後の一線だ。
ここまでしたらいっしょだろ。
一時の感情でしていいような事じゃない。ライナの将来を考えろ。
この未来ある魅力的な女を、孕ませて自分のモノにしてしまえよ。
自分の素性と歳と可能性を考えろ。お前はライナに相応しい男か?
ライナは他ならぬ俺を望んでくれている。俺だって、ライナが欲しい。
ここで止まれと言う俺と、このまま進めと言う俺が、ぶつかり合っている。
ぬちぬちゃ、ぬるぬるぬる……
……中に、出さなければ。
いや先走りだって危ないだろ。
中に出したところで、そもそも人間の妊娠率はそれほど高くない。
万が一だってあってはいけない。人生が変わる事だ。
ライナの生理周期によっては今日は可能性が低い、かもしれない。
そんなあやふやな物は可能性とすら呼べない。ただの願望だ。
攻守が入れ替わって、また意見がぶつかった。
ぐるぐる、ぐるぐる。
考えながらも、戯れは止まらない。
「ぁっ、じらさな、ぃでぇ……? ゃあっ、っ、アっ」
気づけば、快感を追うように、こちらを誘うように、ライナまで腰をへこへこさせていた。
俺の先走りかライナの愛液か、滑りは増し熱を帯び、どんどんと互いの動きは大胆になっていく。
ぬるぬちゃ、ぐちょぐちゃぐちゅぐちゅぐちゅ、くぷんっ!
先端が、ひっかかった。
一応ほぐしたとはいえ、するんと奥まで入ってしまうようなことはない。それはそうだろう。先程無理なのではと懸念したくらいだ。
けれど、ほんの先端がひっかかった。このままグッと力を入れて腰を進めれば、無理を通せば、中に入れるだろう角度で。
そこでピタリと、俺もライナも動きを止めた。
ライナは、うるりと潤んだ瞳で愛らしく俺を見上げ、視線でこちらを誘っている。
熱い。
先程まで指で探っていた熱くて狭くてきゅうきゅうと侵入者を締め付ける濡れそぼったあの孔が、誘うようにひくひくと収縮しているソコが、俺の亀頭の先に……。
「……――――っ!」
「あ、……ぃっ、……あぁあアアっ!」
一瞬、頭が真っ白になった。その一瞬で。
途中痛みに眉を顰めたライナを気づかう余裕すらなく、俺は一息にライナの中に割り入ってしまっていた。
閉ざされていた処女地を強引に引き裂き力ませに全ての抵抗を押しのけ、最奥へと達した。
俺の男根がライナを貫き、根元までぐっぷりと彼女の中に嵌まり込み、犯し尽くしている。
その過程でぶちぶちと何かを……いや何かなんて誤魔化すのはやめよう。処女膜を裂き破ってしまったのだろう感触。
フッ、と漂った血のニオイ。
ぎゅう、と目をつぶりシーツを握りしめ衝撃に耐えているライナ。
はっきりと己のやらかしを突きつけてくる現実に、一気に血の気が引いた。
やってしまった、という後悔が一気に襲いかかってくる。
「すまないライナ……! 痛い、よな」
「や、へーき、っス。確かにちょっと痛いっスけど、モングレル先輩とひとつになれたっていうのが……、えへ、しあわせ、っス」
ライナは、どこまでも健気にただ照れたように笑った。
本当にしあわせだとでも言うように、彼女の表情には一片の陰りも曇りもない。
俺は、ため息吐く。
「……あんまかわいいこと言うなよ。めちゃくちゃにしたくなるだろ」
「していいっスよ? コレって、なんか動かないと気持ちよくないんスよね? モングレル先輩の好きにして欲しいっス」
あっさりと言ってのけたライナに、再度のため息が漏れる。
どうしたって痛いだろうだろうに。
「俺はライナを大切にしたいの。お前は、俺にとって一番大事な人だから。せめて少しでも、ライナの負担を減らしたい。たぶん、もう少し馴染むまでは動かない方が良い、はず」
「ふへへ、そっスか」
「……いやもうここまでヤっといて何を言うかって感じだけどな……。ライナ、なんか俺にして欲しい事とかあるか?」
「んー、じゃあもっとこう、ぎゅ、ってして、キスもくれると嬉しいっス」
「りょーかい」
小柄なライナを押しつぶしてしまわないように、ライナの負傷部位をこれ以上荒らさないようにと気をつけながら彼女に身を寄せた。
嬉しげにするりと俺の背に腕を回してきたライナに求められるがままに、ゆっくりとキスを交わす。
「……んふ、ふふふっ」
何が楽しいのだかライナが小さく笑って、少しのくすぐったさを唇に感じた。
あー、今俺、なんかめちゃくちゃしあわせだわ。
ライナは、俺を心底愛して求めて受け入れてくれたんだな。
そんな実感が湧いてきて、俺も自然と口が笑みの形になっていた。ライナのそれが、うつったみたいだ。
生まれに対するコンプレックスもこれから先への不安も、ライナが与えてくれる幸福の中に解けて消えていくように感じる。
こういうことの最中であるので当然興奮してもいるのだが、これほど安らげた気持ちは、シュトルーベを離れてから初めてかもしれない。
なんでこんなに慈愛に満ちてんだか。マジでどうすんだ、俺が『ライナママぁ……』とか言い出したら。
百年の恋が冷めたって、もう逃がしてはやれないのに。
二度と、喪いたくなかった。
人の命の軽いこの世界で大切な存在を作ってしまったら、また理不尽に奪われるのではないかと恐れていた。
だから、好意を示してくれたって自分自身も憎からず思っていたって、ライナを決定的に自分の懐に入れる事は避けていたのに。
今まで我慢していただけに、これからはきっとひどく彼女に執着してしまうだろう。本当に、どうしたものだか。
きゅうう……
ふいに思考を打ち切らせる程の締め付けが分身に襲いかかり、俺は慌てて顔をあげる。
「ちょ、ライナ、締めるな。こっちは我慢してるんだからさ……」
「そ、そんなこと言われても、モングレル先輩のことが好きだなぁって思ったら、なんか勝手になったっス……」
「煽りよる……! ライナ、繰り返しになるけどな、こっちは、我慢してるんだから。めちゃくちゃにされたくなかったらあんまかわいいことしたり言ったりしない方がいい」
「えへ、かわいいっスか? えへ、えへへ。モングレル先輩も、かっこいいっスよ。やっぱり男の人なんだなーって骨格とほれぼれするような筋肉で。あと、その余裕のなさそうな表情も凛々しくてきゅんとしちゃうっス」
「いや、だからなライナ……、もー……」
ライナは俺をどうするつもりなんだ。
せっかくの俺の忠告を聞き流しての畳み掛けに、俺はなんと言えば良いかわからなくなってしまった。
『もー』しか出ないよもう。
俺はライナの肩口に顔を埋め、ぎゅう、と彼女を抱きしめ堪える。
だというのに。
「先輩、好きっス。私は、先輩といっしょなら、なにがどうなったってしあわせっスよ」
よしよしとあやすように俺の頭を撫でながら、ライナはぽつりとそう宣言した。
俺も、素直な気持ちを言葉にして返す。
「……俺も、お前が好きだ。薄々わかってるだろうけど、俺はライナに話していない事、いっぱいあるよ。どうなったってなんて、軽く言わない方が……」
「軽く、なんて心外っス。こっちは全部捧げるつもりで、実際今こうなってるんスよ?」
「それは……、そうだな。すまない」
「いいっスよ。……モングレル先輩ってある日いきなりフラッとどこかに消えちゃいそうだなって、思った事あるっス。もしもその時が来たら、責任とって私も連れて行って欲しいっス」
「……アルテミスも、レゴールも、せっかくのシルバーランクも、全部捨てることになっても、か?」
「そっス。どうなったってって、そういうことっス」
「すまな……、いや、ありがとう、ライナ」
「どういたしましてっス!」
顔をあげることが、できない。
今自分は、ひどく情けない顔をしていることだろう。
「ん……、まだ、多少ヒリヒリする感じはあるっスけど。そろそろ動いてもへーき……なんじゃないっスかね?」
ところが、湿っぽい空気に耐えられなくなったのか、軽い調子でライナはそう告げた。
俺は、重いため息を吐き出しながら、ゆっくりと顔をあげる。
ぴたり、おそらくは充血して赤くなっているだろう目でライナを見据え、低い声で伝える。
「言ったな? するぞ、めちゃくちゃに。俺はもう、暴れ出したいくらいにお前がかわいくて愛しくて仕方ないんだからな、ライナ」
「……えと、もしかして煽り過ぎた……っスか?」
「好きとかさらって逃げてもいいとかは、事後に伝えてくれた方が良かったかもしれないなぁ……」
「あ、あはは、……あの、おてやわらか、にぃっ!?」
ぐちゅり、奥に強く押し込めば、ライナはびくりと身を跳ねさせた。
うん、だいぶ馴染んだな。ライナの痛みの程はわからないが、少なくともぴっちりやらギチギチやらという状態ではなくなっている。
「ま、だめやっ、……ぁん♡ンんっ、あっ……、あぅ…ッ…っ! やぁっ、ア、あぁッ♡」
ぐちょぐちょと音をたてながら内部をこね回せば、恥ずかしそうにしつつもライナの声は次第に甘くなってきている。
「くっ……、ライナ、ライナ……! 好きだ、ライナ……!」
「やぁ、ずるいっ、スぅ……♡わ……、たしだってぇ、ン♡あっあッ、あんっ♡」
「ずるくてごめんなぁ。今言うのはズルだよなぁ。あー、ほんっとかわいい。ライナ……、ライナライナライナ……っ!」
「あ、あ、あぁ、すきっ♡せんぱ、すきぃっ! あ、ん、んあぁあああっ♡」
反応の良かった芽芯を押しつぶすことを意識しながら、彼女の名を呼び腰を振りたくった。
ライナはもはや必死な様子で強く俺にしがみついていて、爪をたてているのかひりりとした痛みを背中に感じたがそれも興奮を煽る一助にしかならない。
好きだ。かわいい。愛おしい。
俺を受け入れてくれてありがとう。気持ちがいい。愛している。好きだ。
湧き上がる感情のまま、ライナを掻き抱き自身の欲望を打ちつける。
それもライナは受け入れてくれるに違いないと思うのはとんだ甘えだが、ライナはそれくらい俺に甘いとも確信してしまっている。
もう、止まれない。
射精感がこみ上げて来ているが、このまま、この熱い媚肉の奥の奥にぶちまける事しか考えられない。
「はっ……、あー、もう出るもう出すイく出す出るでるでるっ……!」
「きてっ、きてぇっ♡わたしも、もっ、ああぁっ♡ん……っ! イくっイっちゃ、んんん、……ァああぁあー……っ♡」
「……っ、くぅ……っ!」
ひときわ強くぎゅうと締め付けられ、おそらくライナがイってから一拍遅れで、俺も熱を吐き出した。
最後の最後の一滴まで余すことなく、彼女の最奥へ。ぐり、と力を込めて執念深くねじ込み注ぐ。
「ライナ、好きだ……。好きだ……っ」
「……へへ。わたしも、すきっスよ、もんぐれるせんぱい」
ぐったりと疲れた様子のライナは荒い呼吸の合間にふにゃふにゃと力の抜けた声でそう返してくれた。その言葉も表情も、あまりにも慈愛に満ちている。
やっぱり俺は、どうすんだ俺が『ライナママぁ……』とか言い出したら、などと身勝手な憤りを感じるのだった。