社会不適合者な幼馴染は体で家賃を払ってくれる【電子書籍化】 作:猫屋敷てん
「夕菜、今日は遊びに行くというのはどうだろう?」
竜二郎がそう提案したのは、姉がやってきて一週間が経過した日のことだった。
夕菜を社会で生きていけるようにするため様々方策する日々の中、竜二郎は久々の外出を提案する。
それにキョトンとするのは夕菜であった。
「外に?」
「ああ」
「…………」
夕菜はここに来てから、家の外に出た回数は片手で数えられる程度。それも数分だ。
恐らく怖いのだろう。外の世界は何もできぬ夕菜を攻撃してくる。この家の中にいれば、それはない。だから夕菜はずっと閉じこもっているのだ。
しかしそれでは駄目だと竜二郎は思う。
社会の一員になるためには、家の外に出なければならないのだ。
「うん……竜くんと一緒なら、いいよ」
「そうか。じゃあ決まりだな」
久しぶりの外出は、夕菜コクリと頷いて決まったのだった。
とはいえ特別なことをするつもりはない。一番近くのショッピングモールにでも行き、外食でもして楽しむ程度。
お金もなく、それぐらいしかできないが、久々の外出はそれで良いだろう。
大切なのは夕菜の外界への恐怖をなくすこと。今日はその第一歩だ。
「ん……こんな、感じ?」
「ああ。可愛いぞ」
「……そ」
無論のこといつもの恰好で外出などさせられない。
故に珍しく夕菜はちゃんと服を着ていた。高校時代、姉の一花によって着せ替え人形にされた時に貰った服だ。
黒のロングスカートに、ベージュ色のケーブルニット。これから秋になろうという季節にピッタリの服だろう。
「髪もまとめたほうがいいな」
「お願い」
「了解」
スーパーロングヘアと言えるほど長いと、出歩くにも邪魔だろう。
腰に届くほど長く、毛量も多い夕菜の髪を中学の時から手入れをしていた竜二郎にとって、髪を纏めるなど簡単なことだ。
長い髪を編み込み、お団子にして動きやすいようにしてしまう。その手腕はプロと言っても過言ではない。
「まあいずれ、一人でもできるようにならないとな」
「……うん。そうだね」
鏡に映る夕菜を見た。
ちゃんと服を着て、髪を整え、姉に習った簡単な化粧をした夕菜はアイドルよりも可愛らしい。
誰もが引き込まれる美貌を持ち、それは竜二郎とて例外ではない。
「竜くん……変じゃない?」
「あ、ああ。とても可愛いぞ」
「ん……」
見惚れていたとは言えなかった。
だから簡素な言葉しかでてこないが、それに夕菜は満足そうに微笑む。その笑みで、美貌はより増していくのだ。
本当に東雲夕菜は罪な女だ。
「よし。行こうか」
「うん……!」
◇
徒歩で二十分ほど歩く。その道中、夕菜は特に変わった様子は見られなかった。
「久々の外……人が多い」
「だな。大丈夫か?」
「うん……竜くんが、手を、繋いでくれるから」
夕菜が安定しているのは、竜二郎と手を繋いで歩いているからだろう。恋人よりも恋人らしい。そんな距離感だが、そうでなければ夕菜が出歩くなどできるはずがない。
守られているという安心感で、普段通り振る舞えるだけなのだ。
故に本当にこんな恋人距離で良いのかと思いつつも、竜二郎はその手を握る。内心とても嬉しいのは秘密だ。
「さあ着いたぞ。ここに来るのは初めてか?」
「うん。……この町のこと、ぜんぜん、知らない」
「あー、そうだよな」
元々竜二郎達が住んでた町から、電車で六駅の距離だ。学生時代から滅多に外出しなかった夕菜にとって、ここは未知の場所だろう。
その上で休日ということで人も多く、夕菜は少し動揺している。
「竜くん……」
「夕菜!?」
その結果、柔らかな胸で包むよう腕をぎゅっと抱きしめられた。
とても深く夕菜は腕を組んでくる。それに竜二郎は胸が大きく高鳴っていく。
これはいけない。恋人よりも恋人らしい。バカップルと言えるほどの距離感だ。
だがこの人混みに恐怖した夕菜は、ただ助けを求めるように抱きついている。そこに恋や愛などという感情はないだろう。
「ま、まあ……行くか」
「うん」
こうしていれば夕菜は安定する。故にドキドキとしながらも、竜二郎はショッピングモールの中へ入った。
なるべく人混みは避けながら、ウィンドウショッピングを堪能する。
今回は夕菜が外の世界に慣れることが目的のため、様子を見ながら慎重にだ。
しかし今のところ、問題は起きていなかった。
「ん、可愛い、髪飾り」
「お、良いじゃないか」
「どう?」
「似合ってるぞ」
隅の方に在った雑貨屋に来て、髪飾りを見る。
己の髪に当てて似合うか聞いてくる夕菜は、とても可愛らしい。
大きな蝶の髪飾りはとても夕菜に似合うだろう。ハーフアップにしたとき、これで留めると良いかも知れない。
「よし、買うか」
「良いの?」
「気に入ったんだろ?」
「……うん」
値札を見れば大して高くない。夕菜が喜ぶなら安いものだ。
「ありがとう、竜くん」
そう言って微笑む夕菜を見られただけで、買う価値はあっただろう。
ウィンドウショッピングを終えて、フードコートで軽い食事をする。
竜二郎はラーメンを頼み、夕菜は定食。こうして二人で外食をするのも、学生時代以来のことだ。
食事をしながら楽しく会話をする二人は、どう見ても恋人であろう。
夕菜はとても楽しそうだった。
だから少々距離が近くても、まあ良いかと竜二郎は納得する。
「そろそろ帰るか?」
「うん……帰ろっか。あ、でも……ちょっと、お手洗い行きたい」
竜二郎が尋ねれば、少し恥ずかしそうに夕菜は告げる。
「ああ、じゃああのベンチで待ってる」
「ちゃんと、待っててね」
トイレの前にあったベンチに腰掛け、夕菜は不安げにチラチラ見ながらも女子トイレに消えていく。
その背を見送りながら、竜二郎はスマホを取り出した。
適当に時間でも潰そうと、久しぶりにSNSを開く。
高校の同級生達の投稿を適当に見ていれば――
「あら、咲間くん?」
そんな声が聞こえてきた。
顔を上げて声の主を確認すれば、そこに立っていたのは一人の女性だ。女性にしては背が高く、スタイルも良い。白のブラウスに黒のワイドパンツを身につけた、大人な魅力を持った彼女をもちろん竜二郎は知っている。
「
竜二郎の勤める会社の先輩、凪野優花が驚いたように立っていた。
慌てて竜二郎は立ち上がり、挨拶を交わす。
「偶然ね。今日は遊びに?」
「はい。せっかくの休日なので」
「良いわね。私も今日は友達と来たのよ」
凪野とはいろいろ教授される良い関係だ。故に少しばかり雑談に花咲かす。
職場では仕事関係の話しかしないため、彼女とプライベートな会話をするのも新鮮な気持ちだった。
だからこそ、話し込んでしまう。
「あら……?」
「…………」
そして気づけば、夕菜が竜二郎の側に立っていた。
トイレから戻ってきて、音もなく竜二郎の横に立つと凪野をじっと見つめている。
感情のわかりにくい顔だが、その口元は僅かに歪んでいた。
「こん、にちは……竜くんの、知り合い、ですか?」
「ふふ、こんにちは。ごめんなさいね、邪魔しちゃったようで。咲間くんとはただの同僚よ」
「そう、ですか」
夕菜は何か警戒しているようだった。そっと竜二郎の腕を取り、守るように凪野を見つめる。
「じゃあ私はこれで」
「は、はい。また明日」
「ええ。また明日」
二人を見て察するように微笑んだ凪野は、軽い挨拶をして去って行った。
その背を夕菜は、ずっと見つめていた。
「竜くん……あの人は……」
「職場の先輩だよ。親切に教えてくれる、良い人なんだ」
「そう……」
夕菜は、竜二郎の腕をより強く抱きしめていた。
少し俯いている故にその顔を見ることはできないが、珍しく不機嫌な感じだ。
このような夕菜は珍しく、どうしたのかと首を傾げてしまう。
「今日は疲れたか?」
「ん……そうだね」
「じゃあバスで帰るか」
何ヶ月かぶりの外出だ。疲れて機嫌を悪くしたのだろう。
そう考えた竜二郎は、ショッピングモールの前にあるバス停まで歩いた。
◇
休日のバスは、とても混んでいた。
多くの人がすし詰めになっていて、その中で竜二郎達は隅の方に立って乗る。
「夕菜、大丈夫か?」
「うん、竜くんが、いるから」
「狭かったり」
「ううん。ぜんぜん」
混んでいるバスの中で、竜二郎と夕菜はスペースを作るために密着していた。
壁際に夕菜を立たせて、周囲の人から守るように竜二郎が壁になる。その結果、竜二郎の胸の中にスッポリ夕菜は収まっていた。
息づかいがよく聞こえてきて、夕菜の甘い匂いが鼻腔をくすぐる。上目遣いで見つめてくる夕菜は、ボーっとした瞳で竜二郎だけを視界に入れていた。
この一週間夕菜の情操教育のために禁欲中だったから、その体の柔らかさと体温を感じて、竜二郎の興奮が高まっていく。
「竜くん……」
「なんだ?」
「何でもない」
そう言って夕菜は、竜二郎の胸板に頬をスリスリとこすりつけた。
柔らかな胸が、ぎゅっと体に押し当てられる。厚手のニットとブラジャーに包まれているのに、その感触は竜二郎の性欲を掻き立てるのだ。
「ふふ……みんな、スマホ見てる」
「あ、ああ。そうだな」
周囲を見れば、誰も彼もすし詰めなど気にすることなくスマホに夢中だ。
文明の利器に支配され、小さな画面を注視する。
「じゃあ、大丈夫、だね」
「っ……」
周囲を確認した夕菜の手が、そっと竜二郎の股間を撫でた。
「ゆ、夕菜っ」
「静かに。駄目だよ、騒いじゃ」
「っ……」
声は出せない。故に手を動かして止めようとするが、この人混みで思うように動かせない。
動けなくなった竜二郎は、夕菜のされるがままだった。
「おっきい。何で、我慢してたの」
「や、止めろ。夕菜」
耳に届くか届かないかほどの囁く声で、二人は会話を交わす。
夕菜は妖しく微笑んで、そっとズボンの上から撫で続けた。
急に何をしているのか。竜二郎は混乱するが、体は非常に正直だ。
ムクムクとちんぽは大きくなり、ズボンを苦しそうに押し上げる。
それを夕菜は慈しむように撫でていた。
「抜いてあげるね」
「夕菜っ……」
竜二郎の止める声も聞かずに、ゆっくりとズボンのチャックを開ける夕菜。
慣れた手つきで勃起ちんぽを取り出すと、細い指でゆっくりと扱きだした。
無論周囲には人が多数いる。
誰もがスマホという文明の利器の虜になっているといえど、いつ気付かれてもおかしくなかった。
もし声でもあげようものなら誰かが視線をよこすだろう。
故に竜二郎はしゃべれないし下手に動けない。
「……ふふ♡」
夕菜は妖艶な笑みを浮かべていた。
シコシコと手を動かしながら、じっと竜二郎を見つめ続ける。
その瞳はとても深い色をしていて、吸い込まれそうなほど綺麗だった。
「駄目だ」
聞こえないほど小さな声で、竜二郎は告げる。しかしそれが夕菜の耳に届くことはなかった。
細い指は竜二郎のどこが弱いかをちゃんと理解していて、的確に子種を搾り取ろうと動いている。
その手はオナホールよりも気持ちよく、あっという間に射精してしまうだろう。
「っ……」
「いいよ」
夕菜の小さな声が、耳を掠ると同時に動きがより激しくなる。
シコ♡ シコシコ♡ シコシコ、シーコシコ♡♡
そんな擬音が聞こえてきそうなほど淫靡な手コキにより、竜二郎の射精感は高まるばかり。絶頂はすぐ目の前にあった。
「ふふふ♡♡」
――出せ、びゅっびゅって出せ♡♡ 私の――になれ。
夕菜の口元を見れば、そんな言葉を発している気がした。
一部読み取れない単語もあったが、夕菜はこの満員のバスの中で射精させるつもりだ。
「くっ……」
そして竜二郎に抗う術はない。
淫乱な雌の手玉に取られ、情け容赦なく射精させられるだろう。
それは逃れられない運命である。
そんな苦しそうな竜二郎の顔を見て、ふと夕菜は手の動きを止めた。
「えっ?」
それに不思議に思っていれば、夕菜はそっとしゃがんだ。
狭い空間で器用にしゃがみ、竜二郎のちんぽを目の前にする。
「ん、ぱく♡」
そして亀頭を可愛らしく咥え込んだ。
それに驚く暇など与えず、夕菜の舌は亀頭を舐る。なるべく音は立てずのフェラだが、夕菜のタップリの唾液の海に浸るのは、得も言われぬ快感だった。
「ちゅ♡ こぷ♡ ちゅぷ♡」
「くっ」
天才的な舌使いに、我慢などできるはずがない。尿道に舌先が侵入したその瞬間、夕菜の口内に雄の欲望が解き放たれた。
――ドビュっ♡♡ ドビュビュビュ♡♡ ビュ、ビュルルルルル♡♡
「ん、く♡ ちゅ、ぷ♡」
射精の快楽に放心していれば、夕菜は精液を全て舐め取りすぐに口を離すとちんぽをズボンに閉まって立ち上がる。
幸いなことに、誰にも見られなかったらしい。
スマートフォンの魔力は偉大である。
「夕菜、何をしてるんだ」
どうにか見られても問題ない恰好になったところで、竜二郎は小声で夕菜を叱った。
「……ん、べ♡♡」
だが夕菜の返答は、口内に貯められた大量の精液を見せつけることだった。
真っ白な液体で満たされた精液の海では、舌がチロチロと動き回る。
粘っこい液体が夕菜の舌に絡まり、くちゅ♡ ちゅぱ♡という淫靡な音を立てていた。
「っ!」
まるで挑発するような舌使いで、夕菜は精液を見せつけてきた。
そして誰にも見られぬ内に口を閉じると、精液を口に含みながら妖艶に笑う。
「ん、く。こく、こく♡♡ ……ふふ、美味しかったよ♡」
そして夕菜は竜二郎に聞こえるように音を立てて飲み込み、ペロリと唇を舐めて目を細めた。
「っ…………」
夕菜は変わった少女である。
しかしこんな奇行は初めてだ。
竜二郎の言葉には決して逆らわず、何でも言うことを聞く子だったのに。
一体何が、彼女をそうさせたのだろう。
「っ帰ったら説教だからな」
「うん。わかった」
何もわからぬが、今回のことはちゃんと怒らないといけないのは確かだ。
家に帰ってお説教一時間コースを決断する。
だが竜二郎は結局夕菜がなぜこんな行動を取ったのか、最後までわからなかった。
夕菜が何を思い、行動に移したのか。
それをちゃんと理解していたら――あんなことにはならなかったかもしれない。