社会不適合者な幼馴染は体で家賃を払ってくれる【電子書籍化】 作:猫屋敷てん
咲間竜二郎は、夕菜の全てだ。
ありていに言えばその人生には常に竜二郎が存在し、夕菜を構成する大半に竜二郎が関わっていると言っても過言ではない。
竜二郎が喜ぶから絵を描くし、竜二郎に迷惑をかける己は大っ嫌いだ。
夕菜の行動の様々なところに竜二郎の存在があって、もはや竜二郎なしでは生きていけないだろう。
もし死ねと言われれば、喜んで死ねるぐらいには大切な人だった。
竜二郎と体を重ねることは最高の幸せだ。唯一竜二郎に返すことができる行為でありながら、大好きな人と繋がれるという、これほど素晴らしい行為があるのかと夕菜は思う。
そんな夕菜も、キスだけはしなかった。
キスは大切な人とする行為だ。恋人になったり、結婚したり、そういう人がする大切なもの。
己のような役立たずの無価値が、竜二郎とキスをするなどあまりにもおこがましい。
釣り合うはずがないのだ。何も出来ない己と、とても優しくて格好いい竜二郎が釣り合うなどと口が裂けても夕菜は言えない。
だから夕菜は、ただ竜二郎の側にいられればよかった。
体という対価を差し出し、その側に置いてもらうことが理想だった。
だけど、それは叶わないらしい。
竜二郎は夕菜が側にいないことを望んだ。そして家の外で女を作り、夕菜を捨てようとしていた。
実態は違うとはいえ、夕菜はそう読み取る。
――黒いものが、内から溢れ出てきた。
竜二郎を失うぐらいなら、何だってしてやるというドス黒い感情だ。
他の女の下へ行くと考えただけで、胸が張り裂け頭がおかしくなりそうだった。
だから己の思いを打ち明けたのだ。
そうして、ずっと、側に居たかった。だけどやはり、釣り合わないらしい。
当たり前だろう。釣り合うはずがない。体と容姿ぐらいしか取り柄のない夕菜は、釣り合わなかった。
だから夕菜は暴走するままに――
◇
「……朝か」
朝日が竜二郎の顔を照らしていた。
昨日は夕菜に告白されて、それを拒絶したのを覚えている。
己のような凡人が、夕菜を縛り付けるなどあってはならない。そう断腸の思いで竜二郎は恋を捨てた。
夕菜を社会で生きていけるようにして、世界に羽ばたかせる。
それが竜二郎のやるべきことだと確信していた。
だけど、一方で悩むのだ。
本当に、それで良いのかと。
「夕菜の、幸せ、か」
夕菜は泣きそうになっていた。本当に竜二郎が好きなのだと伝わってきた。ならそれを叶えることが夕菜にとっての幸せなのではないか。そう思うこともある。
その恋が、ただずっと側にいたから生まれた刷り込みのようなものだと竜二郎は思い込むが、本当は違うのではないか。
夕菜にとってそれが全てであり、竜二郎が考えているよりも深いのではとそう思う。
「はあ、起きよ――」
結論の出ない問答に、一旦悩むのはやめた。寝ぼけた頭で考えてもロクなことにはならない。
だから竜二郎は起き上がろうとする。
しかし強烈な違和感があった。
「……ん? なんだこれ」
違和感に首を傾げ、右腕を見れば、手首が縄で縛られている。
ふと左腕を見ればこれまた縛られており、両足だってそうだ。
それぞれ縄は部屋の四方にある大きな家具に括られていて、竜二郎は動くことができなかった。
「……なんで、縛られてんだ?」
冷静に竜二郎は考えてみた。しかし理由が思い当たらない。
まさか強盗かと思ったが、部屋が荒らされた形跡はなし。
「夕菜は……」
そういえば隣で寝ていた夕菜はどこか。そう思って周囲を見れば、キッチンに立っている夕菜の姿があった。
「ん、竜くん? おはよう」
「あ、ああおはよう。何か俺縛られてるんだけど、どういうことだ? 取りあえず解いてくれ」
腕を上げてアピールするが、夕菜の表情が変わることはない。
「駄目だよ。ずっと私と一緒にいよう」
「……え?」
「竜くん、外に出たら、どっか行っちゃう」
「っ――」
夕菜の目には、光が灯っていなかった。
竜二郎の姿しか映っておらず、深い愛情と執着だけを感じ取れる。
「ご飯だよ。食べさせて、あげるね」
そう行って夕菜が持ってきたのは、ご飯とその上に乗ったふりかけだ。
保温したご飯をよそってただ振りかけただけ。しかし夕菜ができる料理なんてそれぐらいだ。
「冗談言うなよ。会社に行かないと」
「また、あの女のところに行くの?」
「だから職場の先輩でしかないって!」
竜二郎はただの勘違いだと言葉を尽すが、夕菜の目に光りが灯ることはない。
「そうかな? そうだとしても、外には沢山女がいる。竜くんを好きになって、結婚しようとする女。私は、嫌だよ。竜くんしかいないのに。いかないでよ。捨てないでよ。好きだよ。釣り合わないってわかってるけど、竜くんしかいないの」
夕菜の手はガタガタと震えていた。
顔は蒼白し、今にも泣きそうなほど口元を歪める。
夕菜自身も、自分が何をしているかわかっていないようだった。
「夕菜……」
竜二郎は、真の意味で夕菜の気持ちがわかっていなかったのだろう。
その恋はただの刷り込みであり、いずれ世界に羽ばたいた夕菜なら忘れてしまう。その程度のものだと思っていた。
だが、違った。夕菜の愛はもっと深い。深くて深くて、溺れてしまいそうなほど深かった。
竜二郎なしでは生きていけない。それほどに深い、愛がある。
「あ、ご飯の前にぴゅっぴゅしよっか。ちょっと、待ってね」
「夕菜!?」
呆然とする竜二郎を見て、夕菜はムラムラしていると思ったのかすぐに股間へ移動する。竜二郎を喜ばせるチャンスに、蒼白していた顔には笑顔が戻っていた。
「ん、とても苦しそう」
慣れた手つきでズボンを脱がすと、あっという間にちんぽを露出させた。朝勃ちのせいでこのシリアスな状況でも立派に肉棒はそそり立っている。
それを慈しむように夕菜は撫でて、身につけていたショートパンツとショーツを脱いだ。
「竜くんの勃起ちんぽは、おまんこでスッキリさせるね♡」
「夕菜、一旦待ってくれ。まずは話し合おう。というかゴムを付けないと」
「そんなの、いらない。えいっ」
止める竜二郎の言葉も聞かず、夕菜は躊躇なく生ちんぽを挿入した。
「おっ♡ はぁ、はぁ♡ す、凄い。ゴムないの、竜くん、感じる♡♡」
「これは……」
初めての生えっち。その感覚に、全てを忘れて二人は酔いしれていた。
ゴムという邪魔ものがいなくなり、互いに全てを感じることができる。夕菜のおまんこは前戯なんてしてないのにトロトロで、雄を射精に導こうと膣壁がうごめいていた。
まるで理性を溶かす暴力的な快楽だ。
だが一番その効果を実感しているのは夕菜だろう。
竜二郎のちんぽを一番奥まで挿れた夕菜は、その気持ちよさで動くことができなかった。
「ふぉ♡ 竜くんの、ちんぽ、こんな気持ちかったんだ♡ おまんこ、全部に当たってる♡ これ、やっば♡♡」
夕菜の弱点すべてにちんぽは当たっており、もし動けば恐ろしい快楽がやってくるのは想像に難くない。
だから騎乗位の体勢でありながら、夕菜はビクビクと挿れたまま震えるだけだった。
「ふぅー、ふぅー♡ が、頑張って、動くね♡♡ びゅっ、びゅって、してね♡」
快楽によって頭が馬鹿になりながらも、竜二郎を気持ちよくせねばと夕菜は腰を動かす。
数ミリだけ腰を上げて、パシっとお尻を落とす。柔らかなお尻の感覚は気持ちいが、あまりに無様な腰振りだろう。
ほぼ動いていないと言っても良い。だがこれが、夕菜に出来る限界だった。
へこへこ♡ パシパシ♡ そんな弱々しい擬音が聞こえてくるような腰振りだが、これ以上激しくすると気持ちよすぎて動けない。
無論のこと挿れてるだけで気持ちい夕菜のおまんこは動かなくても支障は無い。
しかしながらもどかしい気持ちになるのも確かだった。
「夕菜、動きが遅いぞ」
「ご、ごめんね♡ もっと♡ ぱん、ぱん♡ するね」
性欲に支配された二匹の男女は、全てを忘れて愛し合い、セックスすることに夢中になった。
夕菜は頑張って腰を振り、それに竜二郎は酔いしれる。
頑張っても少しマシなへこへこダンスだったが、生セックスしているという事実と興奮で、射精感は高まっていく。
ゴムを取っ払った夕菜のおまんこはあまりに気持ちよく、今すぐ種付けしたいと雄の本能がうずくのだ。
「あ、ちんぽ、膨らんでる♡ で、でる? うぉ♡ すっご♡ イク、イクっ♡♡ 竜くんも、一緒に、イこ♡」
夕菜のおまんこは痙攣し、精液を搾り取ろうとうごめき出す。
腰振りは止まってガクガクと震えるだけになった夕菜だが、それがとても気持ちよかった。
「っ、出るぞ」
「だ、出して♡ あ♡ うぅ♡ き、きたああぁぁぁ♡♡」
――ドビュ♡ ドビュルルルルルルル♡♡
ゴムに遮られることなく、夕菜の最奥に子供汁が解き放たれる。
暫く禁欲状態だったため、量は最大。それがおまんこを白く染めた。
「あ゛♡う゛♡ぐ♡イクイク♡♡ あつい♡ 好きぃ♡」
膣に放たれた精液のせいで、夕菜はビクビクとイキ続ける。
力が抜けて竜二郎に倒れ込み、ちんぽを挿れたまま低い喘ぎ声を上げ続けた。
熱い精子は子宮目がけて泳ぎだし、夕菜の卵子を求めて競争する。それを感じて、夕菜はとても幸せそうだ。
「……ふぅ。……夕菜」
「ん、うぅ♡」
すぐ目の前にあった夕菜の頭を撫でながら、竜二郎は考える。
その顔はとても幸せそうで、これが夕菜の求めたものなのだと一目でわかった。
「俺は、押しつけてたのかな」
スッキリとした頭で考えるのは、夕菜の幸せについてだ。
画家となり、世界へ羽ばたくことを果たして夕菜は望んでいるのか。それを願うのは、竜二郎のただのエゴではないのか。
夕菜はとても天才で、凡人が隣に立ってその道を邪魔するなどあってはならない。
こんな不純な関係はすぐに終わらせて、画家としての人生を歩む。そう思っていた。
しかしそれを、夕菜は望んでいるのだろうか。夕菜が望むのは多分もっと小さな幸せだ。
「りゅ、竜くん。すっきり、した?」
「ああ。最高だったぞ」
「ふへ。よかった。じゃあ、ご飯、食べよっか。――抜くね♡ んっ♡ ふぐぅ♡」
ぬぷっと音を立ててちんぽは引き抜かれ、夕菜はふらふらしながら側に置いてあったお茶碗を手に取る。
「竜くん、はい、あーん」
そう言ってスプーンを差し出してくる夕菜の顔は、とても幸せそうだった。
ただ大好きな人と二人きり。この時間を愛し、ただこれだけがあれば良い。そう思っているのだろう。
だから竜二郎は、考えを変えた。
夕菜の隣に立つのは凡人としてあってはならないこと。そんな下らない思いを捨て、自分の思いに素直になる。
「駄目だ。口移しでたのむ」
「……えっ?」
故にその第一歩として、竜二郎はふてぶてしくも夕菜にそう命令した。
夕菜は呆けた。