「復唱します。ステーキ一枚に奴隷食を一匹分ですね」
「一匹分……」
「よろしいでしょうか?」
「ああ」
「ご注文ありがとうございます。お客様」
ウエイトレスは注文を書いてから、しっかりした礼をすると戻っていった。
「一匹って言ってたな」
「はい。奴隷は一匹、二匹と数えるものですけど? おかしいでしょうか?」
「いや物だもんな。それよりミルルにご褒美でステーキを食べさせたかったのに悪かったな。ごめん」
「ご主人様が謝るなんて、とんでもありません。奴隷が罰せられてしまうので、もう謝ったりしないでください。お願いします」
「そうなんだ。分かった」
ステーキと奴隷食が運ばれてきた。
「ご主人様失礼します」
ミルルは椅子から降りると地面に四つん這いになる。
その前に餌入れの皿が置かれた。
中身はミルク粥みたいな物のようだ。
ミルルは四つん這いのパンツ丸出しでそのまま動かなくなった。
俺が食べ始めてもミルルは動かない。
「ミルルどうした?」
「許可がないと食べることができません」
「そうなんだ。ミルル食べていいよ」
「奴隷に餌を与えてくださり、ありがとうございますご主人様。頂きます」
ミルルは四つん這いのまま、口だけを使いミルク粥を食べる。
俺はそれを眺めてから、自分のステーキを食べた。
ステーキは大味だけどそれなりに美味しかった。
ミルルにも食べさせてあげたいけど、それは叶わないのだろう。
昼食を終えて広場に戻ってくる。
「じゃあ、ミルルの服を買いにいくぞ」
「え、奴隷の服ですか? そんなものより冒険の役に立つものとか買ったほうがよいと思います」
「そんなものじゃないんだ。連れている奴隷がみすぼらしい格好では、主人が恥をかくんだよ。奴隷にすらいい服を着せてあげられない甲斐性なしか、ケチな奴だって」
「そうなんですか。この世界の常識では、一般奴隷にはなるべくお金を掛けないのが普通なんです。高級奴隷は例外ですけど」
「おし、今日からミルルは高級奴隷として扱おう」
「そんな。いやっ、恥ずかしいっ。お願いです。それだけは許してください。……ごめんなさい。拒否権なんて奴隷にはないんですよね。どんなに恥ずかしくても、頑張って覚悟を決めます」
「どういうことなの? 高級奴隷ってどんななの?」
「高級奴隷とは貴族の性奴隷なんです」
ミルルが高級奴隷について話してくれる。
まず高価なドレスを身にまとうものの、そのドレスはアソコ、お尻、そして胸を露出させるのが今の常識になっている。
乳首とクリトリスには、快感が持続するピアスをはめられてしまい、愛液が垂れ流しになってしまう。
淫穴は使用しないときには常時ご主人様をかたどったディルドを挿入することをなかば義務づけられている。
また一般奴隷でなくてはならず、二級奴隷のように強制ではなく、自分で喜んでその待遇を受ける。
その格好で街中を歩かされたり、パーティーで見世物にされたりするとのことだ。
貴族は高級奴隷を所有しているのが当たり前で、外交や政治の場のもてなしで必須の存在なので、庶民にもその存在を知られている。
そのような嗜好が好きな冒険者の奴隷も、同様の格好をしていることがたまにあるらしい。
「なるほど、エロい。それもいいけど、ミルルには早いだろうな」
「はい。ミルルはまだ12歳なんです。まだ心も体も耐えられる自信がありません。申し訳ありません」
「普通のいい服を買ってあげるから安心して」
「ありがとうございます。優しいご主人様に出会えてミルルは幸せです」
「そういえば、ミルルの記憶ってどうなってるの?」
「ミルルの記憶は奴隷商館より前のものはありません。常識や普通のことは分かりますが、個人的な記憶は残っていません」
「そりゃそうだよね」
ミルルは俺が設定したとおりに、作られたAIだから記憶があるはずがない。
「やっぱり不安とか、寂しいとか思う?」
「少しだけ。でも、今のご主人様がいますから、記憶がなくても大丈夫です」
「両親のこととかは?」
「両親も分かりませんけど、別に寂しくないです」
「そうなんだ。それならいいよ。俺が家族みたいなもんだな」
「家族だなんて言ってはいけません。奴隷は物だから所有物に過ぎません」
「でも」
「お願いします。奴隷を物以上として見ないでください。ご主人様の常識を疑われますし、奴隷も優しくしてもらえるのは嬉しいけど、奴隷は人を好きになったりしてはいけないのです。それはタブーとさえ言われています」
「俺も寂しいけど、分かったよ」
奴隷服専門店という店に到着した。
「いらっしゃいませ、お客様。どのような服をお探しで?」
「ミルルに可愛くて綺麗な服を買ってやりたい。少し高くてもいいから」
「少し高いとは、いかほどでしょうか?」
「5万シルバーまでなら出せるけど」
「分かりました」