友森学苑の秘密 やまとなでしこケイ先生は俺の嫁 作:馬門戒明/輪島ライ
入塾式翌日の月曜朝6時半、俺は全身を筋肉痛で悶え苦しませながら自室のベッドの上で目覚めた。
自分のスマホでも目覚ましアラームをかけておいたが寮の中では起床チャイムがけたたましく鳴り響いており、どうも日曜以外は自分で目覚ましをかけなくてもよいようだった。
朝起きたら7時に間に合うよう食堂に行けばいいのであと10分ぐらいは寝られると考えてそのままベッドに横になっていると、誰かが勝手に部屋のドアを開けて中に入ってきた。
「はいはい起きましょう古田くん! 早起きは三文の得、そんな風に二度寝していてはいけませんよ!!」
「うわっケイ先生! ごめんなさいごめんなさい、ってまだ6時32分ですよ?」
「私は毎朝5時に起きてゆっくりお風呂に入っているのです。それはそれとして起きましょう☆」
寝ぼけ眼でケイ先生の顔を見ると確かに先生の綺麗な黒髪や真っ白な肌はお湯で温められてしっとりしていて、タイミング的には6時半になる前に既に生徒の部屋の前で待ち構えていたらしい。今のケイ先生は紺一色の素朴な部屋着姿で、ロングパンツからのぞく足には室内用のスリッパを履いていた。こんな服装でも流石の美人である。
「ほら、髪がぼさぼさですよ。鍛錬をして立派な
「わ、分かりました……。でも俺髪のセットとか全然やったことないんですよね。まあできるだけ頑張ってみます」
「そういうこともあると思ったので今日は特別に私が髪を整えて差し上げます。ほら、私の膝の上に座ってください」
「ええっ!? 本当にいいんですか……?」
ケイ先生はどこからか霧吹きと茶色の
恐る恐る膝の上に優しく腰掛けると案の定ケイ先生の豊かなおっぱいが部屋着越しに当たり、その柔らかな感触に俺は声を漏らしてしまうのを我慢した。
「こうやっててきぱきと整えていくんですよー、朝の時間は大切ですからねー。はい終わりです。古田くん、朝勃ちはほどほどにしましょうね☆」
「はっごめんなさい! 嫌なものを見せてしまって……」
俺がケイ先生の膝の上で勃起していたのは朝勃ちではなく先生のおっぱいと膝の感触によるものだがケイ先生はそれではまた、と言うとさっさと俺の部屋を出ていってしまった。あの膝の感触を次に味わえるのはいつになるのだろうかと俺は少し名残惜しく思った。
それからは食堂で生徒5人で朝食を取り、各自部屋に戻って歯を磨いた後は朝8時半から始まる授業のため講堂に集まった。後で知ったことだがケイ先生は授業や鍛錬のある日は基本的に理事長先生や用務員さんと一緒に食事をしており、これは生徒たちの交流を妨げないようにする学苑の配慮らしい。
今日は午前中が現代文と数学の授業、午後が体育という名の体力鍛錬であり俺は新品の教科書とノートをカバンに入れて講堂に持参していた。
講堂に入るとケイ先生はタイトスカートの黒いスーツに身を包んでなぜか眼鏡をかけており、右手で持った指示棒を左手にぱんぱんと叩きつけていた。これも後で知ったことだがケイ先生は視力5.0の超人なのであの眼鏡は講義の時だけのお洒落らしい。
「おはようございます、それでは授業を始めていきますね。教科書もありますけど私の授業は基本的に専用の学習用紙で進めていきます。左の人に回してください☆」
「分かりました……えっ、五段活用? こんなの国語にありましたっけ?」
5人が横に並べる机の右端でケイ先生からプリントを手渡された優男の山形はきょとんとした表情でそう言った。
「これは国文法と呼ばれる現代日本語の文法で、中学国語の範囲ですがここにいる皆さんは全員中高一貫校の出身者なので真面目に勉強した経験は少ないと思います。確かに大学入試では出題されませんが日本人なのに現代の日本語の文法を知らないのは恥ずかしいことですし、文法を体系的に理解しておいた方が現代文を学ぶ上でも有益なので私は必ず国文法を教えるようにしています☆」
「な、なるほど……」
この5人の中では最も勉強ができるらしいハッキングの城戸ははきはきと教育理念を説明したケイ先生に感嘆を漏らしており、普段はゆるふわ女子にしか見えない時もあるケイ先生がここまで真面目に教育について考えていることには俺も驚いていた。
それから午前中を使ってケイ先生による現代文と数学の授業が行われたが先生の教え方は一応奈良県の超進学校に通っていた俺からしてもこれまでの人生で一番分かりやすく、ケイ先生はただ単に超人でスパルタでエッチなだけの先生ではないのだと分かった。
昼食と30分だけの昼休みを終えた後は別にお待ちかねという訳でもない体力鍛錬の時間で、今日は武道の手始めに剣道を学ぶことになるがケイ先生からは他に教えることがあるので13時に柔道場に集まるよう指示を受けていた。
昨日の筋肉痛がまだ癒えず苦しみながらも俺たち5人は指定の体操服に着替えて柔道場に集まり、そこではケイ先生が昨日と同じ桜色のジャージ姿で待っていた。
「お疲れ様です! 今日はこれから剣道の授業の初回ですが、その前に年間を通して行う
「それはどういう機会に行われるんですか?」
「入塾式の日に生徒さんの最終目標は私を倒すこととお伝えしましたが、倒すといっても武器を使ったり集団で襲ったりして倒すのではちゃんと勝ったことになりません。毎週最低でも1回は私と組手をして貰うので、それで私を倒せたら皆さんはその時点で合格ということになります」
確かに5人の男が協力して手段を問わなければ超人相手でも倒す方法はいくらでもありそうなので、ケイ先生が話した組手の趣旨は理解できた。
「それは分かりますけどいきなりケイ先生と1対1というのはちょっと……僕全く勝てそうな気がしないです……」
「もちろんその懸念は承知しています。私が最初から全力を出せば生徒さんに勝ち目はないので、当面は手加減をして組手の相手をしますね。最終的には手加減なしの私と組手をできるようになりましょう。それで、今日の手加減ですが……」
恐る恐る懸念を伝えた城戸にケイ先生は優しく頷き、自分のジャージの首元のファスナーに手を伸ばすとそれを一気に胸元までずり下げた。
例によってスポーツブラに覆われたケイ先生のFカップのおっぱいがぶるんとジャージからまろび出て、俺たち5人はその様子に両目と股間を奪われてしまう。昨日も同じことをしていたがこれはケイ先生の持ちネタなのだろうか。
そしてケイ先生は両手を腰の後ろに回して組み、そのままにこにこ笑顔で俺たちに語りかける。
「今日はこの姿勢のままで組手をします。そして、生徒の皆さんは私のおっぱいに一瞬でも触れることができたら勝ちということにします! さあ、誰からお相手しましょうかー?」
「先生、本当に触るだけでいいんですね!? じゃあ俺からやります、そのでっかいおっぱいを揉みしだいて差し上げますよ!!」
「あらら、高木くんはいつも性欲が旺盛ですねー。それではどうぞ、勝負開始です☆」
元不良の高木は鼻息を荒くしながらケイ先生の前に歩み出て、今から組手が始まるらしいので俺を含めた他の4人は邪魔にならないよう5メートルほど距離を置いた。
誰が鐘を鳴らすともなくケイ先生と高木との組手は始まり、高木は早速ケイ先生の豊乳めがけて頭から突進した。
「うおおおおおおおおっ!! おっぱいいいいいぃぃぃぃぃっ!!」
「きゃあっ、高木くんいきなりはびっくりします! なんちゃって☆」
高木がケイ先生のおっぱいを右手でつかもうとした瞬間、先生の姿は消えた。
これは比喩ではなく先生の姿は本当に消えてなくなり、高木は驚いて前方につんのめる。
そしてその直後。
「があっ!?」
「はい終わりでーす。高木くん、10秒持ちませんでしたね☆」
ケイ先生は両手を腰の後ろで組んだ姿勢のまま高木の頭上に再び現れ、足のつま先で高木の後頭部に着地した。
後頭部を蹴りつけられた高木はそのまま轟音を立てて柔道場の床に倒れ、ケイ先生は着地の衝撃でFカップのおっぱいを激しく揺らした。
「なっ、何が起こったんだ!?」
「このように、真正面から近づいてきた相手には上空に跳んで逃げるという対応があります。あまり高く跳びすぎると天井に頭をぶつけちゃうので注意してください☆」
「先生本当に人間ですか!?」
驚愕する脳筋の日下にケイ先生は先ほどの回避を兼ねた攻撃の仕組みを説明したが、天井がそこまで高くない柔道場で天井ギリギリまで一瞬で跳躍して降りてくる(というか落ちてくる)など人間業とは思えない。
昏倒したままの高木の姿に怯えて誰も前に出ないので、仕方なく俺が次の相手になることにした。
目の前ではFカップの豊乳をさらけ出したままのケイ先生がにこにこ笑顔で立っていて、俺もあのおっぱいを揉みしだきたいのはやまやまだがどう考えても勝ち目はなさそうだった。
せめて頭上から降ってこられるのは避けたいと考え、俺は脳内で戦略を練った。
「それでは行きますね。……ええいっ!!」
「あらっ、古田くんはそう来ますか。お上手ですねー」
俺はケイ先生に真正面から近づくことをせず、先生を中心とした円を描くように迂回して背後を取ろうとした。
先生は一瞬で跳んで落ちてくる関係上距離を置いた相手には跳べないはずで、俺はこの戦法で少しでも時間を稼ごうとしたのだった。
「うりゃあっ!! もうどうにでもなれっ!!」
「おおっと、これは危ないです! なんちゃって☆」
「ぐうっ!!」
ケイ先生は俺に背後を取られそうになった瞬間つま先を軸に身体を回転させ、そのまま床から軽く跳び上がった。
そしてそのまま身体を地面から90度に近い角度に傾け、物理法則を無視したかのような勢いで俺の身体につま先から突撃する。
ケイ先生のつま先が俺の腹部を蹴りつけ、俺が柔道場の壁まで吹き飛ばされたのはその直後だった。
それから目覚めた俺は剣道場の床に転がされていて、横ではちょうど高木も意識を取り戻していた。後で知ったことだがケイ先生は気絶した高木と俺を両腕でそれぞれ持ち上げて剣道場まで運んでくれたらしい。
視野の向こうでは経験者らしい日下と山形が剣道着を着て
「……やるか?」
「やろう!」
高木と目を合わせてお互いの意思を一致させ、俺と高木は競い合うように剣道着を身にまとうと竹刀を持ち上げた。
そして剣道場で激しい鍛錬を重ねながら、俺はいつか組手でケイ先生に一瞬でも触れられるようになる日を夢見た。