結局。
今回の実入りは、1万行かなかった。
俺たちとしての小遣い銭である、1万ゴルド以下のお金を適当にリンと2人で分けた。
リンは「私は膝を貰ってるから今回は要らないよ」って言ったけど。
なんかね。気持ち悪いんだわ。
金を分けないと。
まあそれに。
別に、俺は金で困ってるわけでも無いし。
俺は城下町を歩きながら、手の中の銀貨を数える。
……おおよそ、2000ゴルドはあるかな。
これなら、普通に飲むなら2人は余裕で料金でるな。
……エリオスのところに行ってくるか。
今回、鑑定をエンジュに任せたから、義理が立たないというか。
まだちょっと日が高いけど、誘って飲もう。
あいつは別に、鑑定のアイテムじゃあないんだからな。
鑑定の用事が無いなら知らん顔、ってのは違うだろ。
なので、家に帰らず冒険者の酒場へ行き。
そのドアを開けて、中に入った。
……酒場は、いつも通り賑やかで……
えーと。
……やけに静まり返っている。
何だ……?
人がいないわけじゃない。
木造のこの酒場で、たくさんあるテーブルを。
数多くのパーティーがしかめっ面で囲んで相談をしていた。
「……いきなり新しい」
「……マジかよそれで……」
……なんか聞こえてくるけど、理解できない。
なんだ?
すると
「タケミさん」
……探していたのはこっちなのに。
向こうから声を掛けられた。
天才司祭にして、現在絶賛女性不信中の美少年……
エリオスだ。
彼は少し緊張した面持ちだった。
「……ええ? ミナだけ帰って来た?」
「ええ。らしいです」
立ち話。
エリオスが神妙な顔つきで頷く。
やっぱり、魔王は討伐されていた。
あの黒パーティーがやったんだ。
だけど……
戻って来たのがミナだけだったらしい。
彼女は、魔王討伐の証拠である、黄金色の魔晶石を持ち帰ってきた。
たった1人で。
で、王城で何か報告したそうだ。
それについて、詳しいことはわからないのだけど。
断片的なキーワードだけ噂になってる。
曰く、新しい敵が出た。
曰く、邪神。
曰く、魔術師。
……どうも要領を得ないというか、分からない。
何があったんだ?
「……本人に聞いてみませんと」
エリオスは腕を組んで、深刻な顔で唸っている。
それを見て
「……お前、あいつに会うつもりなのか?」
思わずそう聞いてしまった。
すると
「会わなかったら事情が分かりませんし」
淡々とそう言った。
……ん。
こいつ、女への恨みで何もかも見えなくなってるのかと思っていたけど。
こういうときは冷静になれるのか。
すると
「まあ、自分を抑えなきゃいけないのは事実ですけど」
……手が震えてる。
やっぱ、平常心では無かったか。
そのときだった。
誰か知らんけど、兵士風の男がぶっ倒れる勢いで駆け込んで来たんだ。
皆、その様子に目を引き付けられた。
兵士は言ったよ。
「たっ、大変だ!」
……想像もしていなかったことを。
「魔界の穴から悪魔の大群が出て来て、こっちに雪崩れ込んで来た!」