ワイトは活力を吸い取る能力を持っている。
具体的に言うと、若さを吸い取るというか。
これをエナジードレインと呼ぶのだけど。
こいつらに素肌に触られると、1秒あたり約1カ月老いるのだそうだ。
俺が今、28才だから。
70まで生きるとして。
約42年分の余命がある。
そして12秒当たり1年老いる計算だけど。
厳し目に見て、10秒で1年で計算して。
そうすると……
俺の寿命が尽きるのに、約420秒。
つまり約7分くらいか。
……まあ、集団で抑え込まれたら終わりだわ。
個人なら相手にならなくてもね。
気をつけないと。
「よっ」
俺は、迫ってきているワイト4体を続けて斬り捨てた。
水月突き刺し、真向上段、逆袈裟、再度大上段。
……型の技を思い出すなぁ……
阿修羅のモードは火炎の相に切り替えている。
アンデッドには炎が有効だからな。
「おお、良い腕じゃのう。タケミ」
おやっさんは、新しく入手した勇者の遺品「魔神の戦斧」を嬉しそうに振るっている。
あのおやっさんでも軽々と振るえない超重量。
……まぁ、そういう魔斧なんだが。
おやっさんは戦斧を引き摺るように持ち運び、敵が来たらその重さで叩きつけるようにして斬っている。
……あれは受けが通用しないわ。
たった今、頭頂部から股間まで真っ二つにされた男のワイトの末路を見、強くそう思った。
避けるしかねぇ。
でも、避けられない様に、エンジュとタマミがサポートしてんのよな。
エンジュはしょっぼい魔力の矢を撃って気を逸らしているし。
タマミは新兵装の無尽の矢筒から、燃える炎のボルトを取り出し、正確な射撃を披露している。
別にワイトにしてみれば、うっとおしいだけで致命打には成り得ない攻撃だけど。
邪魔なのは間違いないわけだし。
そこで気が散ったところに、おやっさんの一撃だ。
……効率よく、狩られていく。
そしてミナは
「テラス ギフエンス ジエルノ ジンラ ローミル!」
第3位階の法力魔法・聖光を唱えて。
全身で発光して周囲を明るく照らしていた。
……アンデッドには高圧電流に感電したようなダメージを与える有害な光を。
この光を浴びて、抵抗に失敗するとアンデッドは動けなくなる。
その隙に……
ミナは、ヴァルキリーソードで縦横無尽にワイトたちを斬り捨てていく。
ヴァルキリーソードはアンデッドに特攻だものな。
みるみる数を減らしていくワイトたち。
俺たちはそれだけでも楽勝モードだったけど。
そこに
端から順に、首が落ちたり、胴体が切断されたり、腕が飛んだり。
……リンの十束剣。
彼女の武器は、1度に10体相手できるから。
こういう集団で襲って来る相手には相性がいい。
ありがたい……
そうして。
人間からワイトへ転生させられたビーン一族は。
残らず倒され、ついに根絶やしになった。
「……さて、いくか」
俺たちは先に進む。
この先に待つのは、これ以上に危ないやつらなんだから、気を引き締めないと。