※この作品はR-18です。

俺は神剣を求めダンジョンに潜る   作:XX(旧山川海のすけ)

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第55話 転移の魔法

 色々問題のあった地下5階では、あの他に特に問題は起きず。

 そのまま6階に到達できた。

 

 何も無い石畳。

 それを皆で歩きながら

 

 少し気が抜けてしまったのか

 

「そういやさ」

 

 タマミが歩きながら話をはじめた。

 

「転移の巻物あるじゃん」

 

「ああ、あるな」

 

 見つけたよな。

 それも。

 

 閃光業火の巻物と一緒に。

 

「それって、緊急脱出が出来るってことなの?」

 

 巻物なんだし。

 前にさ、エリオスが「転移の魔法は、戦闘中に使うと危険なんで期待しないでください」って言ってたけど、そういうの無しで使えるんだよね?

 

 そんなことをタマミがエンジュに訊いていた。

 

 するとエンジュは

 

「いや、やっぱ無理やで。あの巻物は、座標設定のイメージができへんと使えへんし、そもそも」

 

 ウチらの中に、転移の魔法の座標を設定したことのあるヤツがおれへん。

 だから危なくて使われへんな。

 

 それがエンジュの答えだった。

 

 エンジュ曰く

 

「転移の魔法は、魔法語の詠唱中、ずっと転移先がどこにあるのか、どんな場所なのかを強くイメージし続けるらしい」

 

 ……らしいね。

 一応、勉強の過程で聞いた覚えはある。

 

「なので、戦闘中に使うのは無理なんやな。そこまで集中できへんから。大体、多くの場合目ぇ閉じるらしいしな」

 

 ……まあね。

 エリオスもそうしてたよな。

 

 すると

 

「でも、イメージくらいならタマミだって出来るよ?」

 

 タマミのヤツが食い下がって来る。

 あのなぁ……

 

 エンジュはそれに頷きながらも

 

「できるかもしれへんけど、転移実績の無いヤツにそんなもん任せられるわけ無いやろ」

 

 イメージに失敗しとったら、転移先は高さ設定ゼロ、つまり平面座標で半径100メートル圏内のどこかにランダム設定されるんや。

 その先が石やったら、全滅やぞ。

 

 使えるわけあれへんわ。

 

 ……だよねー。

 

 エンジュのコメントはもっともだ。

 そんな危険な作業、実績の無いヤツに任せられるわけがない。

 

 エリオスも、転移の魔法を習得したときは、何もない原っぱで、ひたすら自分の家のイメージをしてたらしいし。

 それで問題なく家に帰れるようになってから、ようやく実戦投入したって言ってた。

 

 それぐらい危ない魔法なんだよ。

 

「そっか……じゃあ、逃げ帰れる可能性は頭の中から摘んだ方が良いんだね?」

 

「そやな。ここまで来たら、難しいわな」

 

 そんな会話をしていたら

 

 ドアが見えて来た。

 見覚えがあるドアだ。

 

「あの先に、地下7階への階段があるよ」

 

「確か、あの扉はかなり難易度の高い鍵が掛かってたよな」

 

「そうじゃったな」

 

 タマミの言葉に、エンジュとおやっさんが応える。

 

 ……魔王が復活すると、通例では迷宮内部の扉の鍵も復活することになっている。

 つまり……

 

「タマミの出番だね!」

 

 タマミは嬉しそうに扉に取り付いた。

 

 ……タマミは宝箱とか、こういう鍵だとか。

 あと、宝箱部屋の聞き耳とか。

 自分の仕事が出来る場面に巡り合うと、テンションがあがる。

 

 この辺、こいつの気高いところだとは思うんだよな。

 

 他人のために働けるのが生きがいだってことだし。

 

 タマミのヤツは盗賊ツール……得体のしれない針金とか、フックとか、良く分からないもの……を取り出して、扉相手にカチャカチャやりはじめた。

 まあ、数分で陥落して開くようになるはずだ。

 

 こいつの腕は信頼してる。

 

 正直、少し気を抜いていた。

 

 そのときだった。

 

「ウフフフフ……」

 

 女の笑い声が響いて来た。

 ……この迷宮で……女?

 

 女悪魔のサキュバスか……?

 それとも、死の妖精デュラハンか……?

 

 色々イメージする。

 メンバー全員に、緊張が走る。

 

 皆が一斉に、声の方向を見た。

 

 そこにある闇。

 

 闇の中から……

 

 こつ、こつ、こつ、と。

 

 人影が歩み出て来た。

 

 その人影は全体としてはヒュームの美女だった。

 スタイルはかなりいい。

 ミナと同等かもしれない。かなりメリハリの利いた凹凸のある体型だ。

 背が高い。170センチに迫る勢いだな。

 そして髪が長く、赤色。

 炎のような色だった。

 衣装は同色の肩出しドレス。

 

 ……ここまでは、人間と同じ身体構造。

 

 違うのは、その細い両肩から、2つの竜の首が生えていることだった。

 

 その竜たちは、独自の意思があるのか、鎌首をあげて俺たちを睨んでいた。

 

「ここまで下りてくるとは。パズズは倒されたのね。……人間相手、自分1人で十分だと息巻いていたくせに」

 

 そう言って、妖艶に微笑む人外の美女。

 

 エンジュ、あいつは何者だ!?

 

 俺は訪ねる勢いで、彼女を見た。

 すると……

 

「……ギリメカラ、パズズと来たんや。あと、あの人型に2つの竜の首って来たならそれはもう……」

 

 彼女は教えてくれた。

 

「水の邪神ティアマトやろな。……なんでも2つの竜の頭から水刃のブレスを吐き、人体の部分から海の魔物を召喚して襲って来るらしい」

 

 赤毛の美女……邪神ティアマトは、エンジュのその返答を愉しそうに聞きつつ

 

「……残念ながらそれだけじゃ無いわね」

 

 そんな言葉を発したとき

 

 邪神の周囲から水が沸き起こり。

 ティアマトは、水の球体に包まれた。

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