※この作品はR-18です。

俺は神剣を求めダンジョンに潜る   作:XX(旧山川海のすけ)

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第61話 私に出来ないことが出来る人

★リン目線です。

 

 

 目の前の3つ首竜……アジ・ダハーカ。

 

 鱗が肥大化して、鎧のようになってる装甲竜で。

 ……私の十束剣が通じない。

 

 ミスリル銀の金属糸で斬れるレベルの硬度じゃないんだ。

 

 ぐるるるる……

 

 アジ・ダハーカの唸り声。

 蜥蜴は発声器官が無いらしい。

 

 こいつはどうなんだろうか?

 

 ……ドラゴンには魔法を使う種族もいるとは知っているけど。

 

 3つの首はひとつが私。残り2つが聖騎士のミナに向いている。

 ミナは背中にタマミを庇ってて。

 

 ……あの人、性関係メチャクチャだけど、聖騎士の仕事はキッチリこなすんだよね。

 そこは認めていきたい。

 

 卑猥な話をしたくなかったから、絵の屋敷で休憩したとき、一切会話しなかったけど。

 

 と、そんなことで気を散らしていたら。

 

 私の方を向いていた首が、口を開けて。

 

 ……吹雪のブレスを吐いて来た!

 

 私は跳躍してそれを避けた。

 

 避けながら色々考える。

 

 糸が通じないなら魔法で攻めるしか無いわけだけど。

 波動の魔法って弱いんだよね。

 

 法力魔法で攻撃魔法にそれなりの火力が出てくるのは、第6位階の真空刃あたりから。

 それまでは威力はイマイチなんだよ。

 

 私は弱い。

 

 まとめて倒すのは得意だけどね。

 でも、それは雑魚散らし。

 一定以上のチカラを持つ魔物相手では無力だ。

 

 そういう相手は、侍や聖騎士、戦士の領分だ。

 私じゃない。

 

 吹雪を吐き出す竜の首。

 私はその様子を見続けて。

 

 吹雪が途切れた瞬間、糸を繰り出してその口腔内の舌を絡めとる。

 そしてそのまま、舌を切断した。

 

 グオオオオオッ!

 

 竜が吼える。

 やっぱり声なんだろうか?

 

 さっきから見てて、口の中なら斬れるかもって思ったんだけど。

 大丈夫だったみたい。

 

 ……これで吹雪のブレスも防げるかも?

 そう頭の片隅で思う。

 

 だから

 

「タマミ! こっちの首ならブレスが無いかも!」

 

 呼び掛ける。

 

 するとタマミのボウガンから矢が飛んだ。

 苦しみ喘ぐ竜の口腔に。

 

 それと同時だった。

 

 ……目に見えて、竜が調子を落とす。

 

 呪いの矢……カースボルトだっけ。

 

 体調を悪化させ、受けるダメージを増加させる呪いの矢だ。

 口の中に撃ち込みたいけど、ブレスが邪魔で出来ない、って言葉を聞いていたから。

 

「ありがとうリン!」

 

 タマミの感謝が来た。

 彼女は元々のタケミの仲間だった人だけど。

 最初から私への当たりが悪く無くて。

 

 私からの彼女の評はかなり高かった。

 

 彼女はティアマトを1人で倒したから、それで何か勘違いしないかと思ったけど、それは無かったし。

 

 余計印象良くて

 

 ……だから、ちょっと嬉しすぎて。

 一瞬、注意が逸れた。

 

「リン! 炎の首が!」

 

 え……?

 

 見ると、こちらを向いた竜の首が大きく口を開き、激しい炎を噴き出す寸前で

 

 火炎のブレス……!

 

 なので

 

「ギフエンス テラス ハリ……」

 

 慌てて法力魔法第4位階の「熱波の盾」の魔法詠唱を開始したけれど……

 

 その詠唱完成前に、竜はブレスを吐き出した!

 

 ……間に合わない!

 

 私は熱によるダメージを覚悟した。

 だけど

 

 私の前に回り込む、大きな影があったんだ。

 

 それは……

 

(タケミ……)

 

 ここ数カ月、ずっと一緒に最下層で稼いで来たパートナー。

 私が見た中で、一番強い侍。

 

 彼は阿修羅の相を「吹雪の相」に変えて、ギリギリでブレスに対抗していた。

 それを見て、思う。

 

 ……詠唱の完成を!

 

「……フィック キャストリア!」

 

 同時に、私たちを守る炎熱攻撃に対する赤いドーム状の防護壁が出現する。

 それに気づいて、緊張を緩める彼。

 彼は私に、振り向かずに

 

「悪い、手間取った。今からこっちに加勢する」

 

 そう言ったんだ。

 

 巨人の方は終わったのか。

 ……この人はいつもそうだ。

 

 私にできないことは、いつも代わりにやってくれる。

 だから

 

「じゃあ、とっとと終わらせようね!」

 

 その言葉が、当たり前のように出て来たんだ。

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