とうとう見つけた。
魔人ヨシツネ。
「……拙者との立ち合いを所望か?」
その男……魔人ヨシツネは、俺に面白そうに俺の意思を確認する。
そこで……俺は一瞬考える。
今、俺たちはブラケル討伐のために迷宮に挑んでいる。
その状況で、こいつに挑むのは正しいのだろうか……?
魔人ヨシツネの宝箱には、おそらく神器級の武具が入っている。
魔人ランスロットの宝箱に、聖者の法衣。
ストームジャイアント・ジュピターの宝箱に、ジュピターブレード。
ならば、きっと魔人ヨシツネの宝箱には……無双正宗が入っているはず。
無双正宗。
ずっと追い求めて来た伝説の刀。
親父の代からの夢。
その夢が叶うチャンス。
しかし……これは、完全に俺のエゴ。
いいのか?
これは?
迷う。
俺のエゴで、強敵との戦いに身を投じる。
許されるのか……?
戦いたいという気持ちと、自分のエゴを押し通そうとすることへの後ろめたさ。
どうすればいい……?
そのときだった。
「皆、協力してあげてくれないかな!?」
リンが、他の仲間に呼びかけてくれたんだ。
俺の思考は、そこで止まった。
振り返る。
彼女は続けてくれていた。
「魔人ヨシツネの宝箱には、きっとタケミの悲願が入ってるの!」
宝箱を指差しながら
「たった1人で最下層に潜ることを考えるくらいの!」
……リンは、自分のことみたいに、俺の夢の実現について訴えてくれた。
……リン。
ありがとう……!
「もし、皆は嫌だって言うなら、それならそれでいいよ! 私がタケミに協力するから!」
俺は、そんなリンに「もういい」って言おうとした。
だけど
「……タケミの夢についてはワシだって知っておるし、神器を求める武芸者の気持ちも分かるつもりじゃ」
「タマミも知ってるしそのくらい。……その宝箱、高レベルの罠が掛かってるに決まってるし、タマミが協力しないとどうしようもないよね」
「私の要求を聞いていただいておいて、他人の要求は聞かないなんて。それはどう考えても駄目でしょう」
おやっさん、タマミ、ミナが踏み込んで来た。
……いや、来てくれた。
俺は、震えていた。
「もちろんウチも賛成やから」
彼女も一歩前に出る。
エンジュ……
「皆、ありがとう……!」
……嬉しかった。
俺の築いた関係は、きっと本当のものだったんだ……。
そんな俺たちの様子を面白そうに見ている魔人ヨシツネ。
彼は言った。
本当に、楽しそうに。
「……決まったようだな。もう一度聞こう……拙者との立ち合いを所望するか?」
俺は阿修羅を抜刀する。
こう、答えながら。
「……所望する!」
そして俺の返答に、ヨシツネは獰猛な笑みを浮かべた。